花時間編集部
『花時間』は、花やグリーンから始まる、ボタニカルライフを提案しています。フラワーアレンジ、ガーデニング、クラフト、インテリア、イベント…暮らしの中に咲く花や癒やしのグリーンを、雑誌やムック本、書籍、SNSなどで発信中です。雑誌は1991年創刊。生産者や花市場との交流が深く、美しく役に立つ情報を厳選してお届け。
花時間
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花時間の記事
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一・二年草

知りたい! カスミソウの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方
カスミソウの原種は世界に125種ほど カスミソウ(霞草)。風情あふれるその名前から、日本生まれの花だと思っている人も多そうですね。じつは海外を生まれ故郷とする花。カスミソウが分類されるギプソフィラ属の植物は、夏の間、冷涼な気候を好み、地中海沿岸から中央アジア、シベリアにかけた一帯をルーツとします。原種の数は、なんと約125種! ふだん花屋さんで見るカスミソウからは想像できないほど多様な種類があります。カスミソウが日本へもたらされたのは、明治~大正初期とされます。 カスミソウの基本データ 学名:Gypsophila 科名:ナデシコ科 属名:ギプソフィラ属 原産地:ヨーロッパ、アジア 和名:霞草(カスミソウ)、花糸撫子(ハナイトナデシコ)、群撫子(ムレナデシコ)、小米撫子(コゴメナデシコ) 英名:baby's-breath、Gypsophila 開花期:6月 切り花の出回り時期:周年 花色:白、ピンク 花もち:7~10日 カスミソウって、どんな花? さて、カスミソウとひと言で言っても、じつはふたつのグループがあると知っていましたか? 「カスミソウ」と検索したことがある方なら、気づいていたはず。 ひとつは「一年草」のカスミソウです。花がとっても小さくて、ひと重の花や、なかには薄いピンクの花があったりします。それらは花壇や寄せ植えなどで親しまれているカスミソウ。もっともポピュラーなのはウクライナやコーカサス地方を原産地とする‟エレガンス種”で、日本へは大正期に伝えられたと言われます。 一方、「宿根(しゅっこん)カスミソウ」という多年草のグループもあり、花屋さんで、切り花として販売されているのは、こちらのタイプ。地中海沿岸からシベリアの寒冷地に自生する‟パニクラタ種”と呼ばれるカスミソウがおもで、茎が細く、小花を無数に咲かせるのが特徴です。日本へは一年草のエレガンス種に先駆けて輸入されたものの、切り花として本格的に栽培されるようになったのは、昭和50年代とか。 以下、この記事では、宿根カスミソウは「カスミソウ」と省略し、切り花のカスミソウについてご説明しますね。 カスミソウの種類・品種別の違いと見分け方が知りたい バラなどの華やかな花に添えられたり、カスミソウだけの大きな花束が憧れだと言われた時代が、かつてありました。そんなカスミソウがまた、ドライフラワーや花冠にされるなど、人気が復活しています。懐かしくも新しいカスミソウ。でもよくよく考えると…あまり詳しく知られていない花かもしれません。例えば、こんな疑問…。 「そもそも、カスミソウに品種ってあるの?」 花屋さんに並んでいるときには、品種名までは明記していないこともありますが、じつは、さまざまな品種があるんです。 もっとも流通量が多いのは、下の写真の2品種です。「アルタイル」(↓の写真の右)と「ベールスター」(左)。 いずれも、日もちのよさで人気の品種。よく似た花同士ですが、はっきりとしたこんな違いがあります。 「アルタイル」…中輪タイプ。花数が多く、同時に開花するため、ボリューム感のあるカスミソウです。 「ベールスター」…花のサイズに注目してみましょう。アルタイルとくらべると、大きいと思いませんか? いちばん大きな花のサイズは約1cmにもなるそうです。花色もより白く、純白度を極めた品種です。 ほかに、茎に特徴のあるカスミソウもあります。 「マリーベール」…茎が固いイメージのカスミソウに反して、やさしくしなるのでアレンジの幅が広がるというメリットがあります。花は中輪サイズ。 「ビッグミスター」…草丈の長い大輪品種。大きな空間装飾に向いていそう。 「スノークイーン」…茎が明るく、爽やかな緑色をしています。 花屋さんは用途に合わせて、カスミソウを使い分けているんです。訪ねたら、花や茎の様子をじっくり観察してみましょう。姿全体でみると、丸みのあるドーム形に枝が広がるものや、上に固まってフラットに咲くもの。花茎(花がついている茎)の長さや茎の色合いも含めると、じつにさまざまなカスミソウが出回っています。 清楚な花、カスミソウが生まれるところ じつは、日本が世界でもっともカスミソウの生産量の多い国だと知っていましたか? 清楚な花を好むお国柄からなのでしょうか。 代表的な産地は福島県と熊本県です。いずれも生産量日本一。いちばんがふたつの県って、不思議ですよね? 出荷する時期が異なるんです。夏と秋は福島県産で、そのあとの冬と春には熊本県産のカスミソウにバトンタッチ。こうして、私たちは、一年を通して、カスミソウを楽しむことができます。 豪雪地帯の福島県昭和村では、冬の間に積もった雪を利用した「雪室(ゆきむろ)」で、夏、カスミソウを最適な温湿度で輸送するための冷却装置にしているそうです。 カスミソウで、もうひとつ覚えておきたいことがあります。それは香りのこと。独特な匂いを軽減するために、産地では処理も行っています。小さな小さなカスミソウへのたゆまぬ努力が実り、多くの人に愛される花になっているんですね。 カラフルなカスミソウも登場しています 白いカスミソウのほかにも、最近ではカラフルなカスミソウも見かけるようになりましたね。ピンクや水色、緑、紫…。そんな色のカスミソウが開発されたのかと思っている人もなかにはいそう。これは、‟染め”と呼ばれる切り花で人気のジャンル。もともとの白いカスミソウに専用の染料を切り花に吸わせて、出荷されているんです。もちろん、染料は体に害のない安全なものを使用。 見つけたら、いけてみませんか? 水に挿しているうちに、染料に染まっていないつぼみが咲いて、1本で、白と色つきの花が交じり合うバイカラーのカスミソウが楽しめるんです! このほか、ラメを吹きつけたキラキラ輝くカスミソウもあります。どちらも産地で加工して出荷されます。面白いですね! カスミソウを飾るなら、ここをチェック! 日もちがするように、花が白くなるように、そしてアレンジしやすい丈になるように…と、手塩にかけて育てられたカスミソウ。ささやかな花ながらも、日本の花き栽培技術の一端を垣間見せてくれます。消費者としては、いちばんよい状態の花を愛でたいところです。品種はさまざまでも、鮮度の見極めは同じ。 花屋さんへ行ったら、花をよく見てください。 上の写真のように、‟花がしっかり開花し、つぼみからも、白い花びらが見えている”カスミソウが、選ぶべき花。出荷されてから間もないカスミソウのあかしです。 つぼみは、白い花びらが少しでも覗いていたら、開花します。それでも心配なら、切り花用鮮度保持剤を使ってみましょう。花屋さんによっては小袋をサービスでつけてくれる、あの鮮度保持剤です。使うことで、つぼみが開花する確率はかくだんにアップします。 反対に、避けたいカスミソウは、黄色や薄茶になっている花です。言わずもがなですが、これはちょっと時間が経っているサイン。そんなカスミソウは、つぼみの色もいきいきとはしていません。だから、買うときは、すみずみまで目を凝らして選ぶことが大切ですね。 また、花屋さんに並ぶカスミソウには長い大枝と、短めのものがあり、高いものでは1000円ほどするものもあります。どんなふうにアレンジするか、あらかじめ決めてから購入しましょう。 飾る前のひと手間で、さらに美しいカスミソウが楽しめます 新鮮なカスミソウを選べたら、いける前にもひと手間かけてあげましょう。 それは「水あげ」という作業です。葉や茎を含めた花全体に水を行き渡らせるための作業で、根から切り離され、体にもっているぶんしか水分のストックのない切り花では、とても大切なひと手間です。 花によって茎を割ったり、湯に茎を浸したりするなど、さまざまな方法があるなか、カスミソウの水あげはとても簡単です。それは「水切り」。文字通り、水中で茎をカットすることを言います。 手順はこんなふうにしてください。 ①ボウルなどの大きな器に水を張ります。 ②水中に茎を入れ、茎先1~2cm程度をハサミでカット。 ③そのままの状態で約2分、茎先を水に浸けておけば完了です。 植物の茎の内部には、導管(どうかん)という水を運ぶパイプが通っています。茎を切りなおすことで、導管の入り口がリフレッシュ。水中でその作業を行えば、導管内に余計な空気が入らず、スムーズに花へと水が運ばれるという仕組みです。カットするハサミは、刃こぼれのない花ハサミで。せっかく水切りしても、茎の断面がつぶれてしまうと、水は入っていきにくくなります。 葉が少ないカスミソウですが、水に浸かると腐れて、水中にバクテリアが繁殖します。花もちに影響するので、水に浸かりそうな葉も、このとき取り除いておきましょう。 ドライフラワーにする場合でも、水切りをしてから乾燥させると、よりきれいな花が楽しめます。 カスミソウを長く、きれいに楽しむためのメンテナンス 時季にもよりますが、切り花のカスミソウは7~10日ほどと、長もちの花に分類されます。それでも、いけっぱなしでは…かわいそうですね。 茎に産毛がなく、つるつるしたカスミソウ。水が濁ることはあまりありませんが、定期的に水切りをして、茎の導管をリフレッシュしてあげましょう。もちろん、その際には器の水も入れ替えを。 そして、ぱっと見は変化がないように見えても、いけたカスミソウは着実に時を刻んでいます。ぐぐっと寄って眺めてみると、↓のように薄茶に変色した花が見つかるはず。先に開花した花から順に枯れていくんです。幸いにして、たくさんの花がつくカスミソウですからね。見つけたら、ハサミでちょんとトリミングを! このとき、花がついている茎のつけ根から切ると、カットしたあともきれいな状態を保ちます。 最後に、カスミソウは、繊細なタイプの草花と相性がよい花です。庭やベランダからも季節の花を切って、四季折々のパートナーを見つけてあげませんか? Credit 記事協力 撮影と構成と文・鈴木清子
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樹木

バラに託されたメッセージ。花言葉やバラにまつわる物語を紹介します
バラの花言葉について知りたい! まずは、バラとはどんな花なのか、その基本を確かめておきましょう。 バラの基本データ 学名:Rosa 科名:バラ科 属名:バラ属 原産地:ヨーロッパ、北アメリカ、アジア 和名:バラ(バラ、ソウビ、ショウビ) 英名:Rose 開花期:5~11月 切り花の出回り時期:周年 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、複色 バラの花言葉は、 「愛情」「美」 だれからも愛される、華やかなバラのイメージにぴったりの花言葉ですね。多種多彩なバラには、じつは花色ごとに花言葉があります。 バラは花色ごとに花言葉があります 花色別にバラの花言葉を紹介しましょう。 赤 「あなたを愛します」「愛情」「美」「情熱」「恋」「熱烈な恋」 ロワイヤル テス 白 「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」「純潔」「清純」 フラッフィ オードリー ピンク 「しとやか」「上品」「可愛い人」「美しい少女」「愛の誓い」「感銘」 エレガントドレス イブピアッチェ 黄 「友情」「平和」「友愛」「献身」「嫉妬」「薄らぐ愛」 風月 鈴 オレンジ色 「無邪気」「魅惑」「絆」「信頼」「すこやか」「愛嬌」 オレンジキャロット+ チアガール 緑 「穏やか」「希望を持ち得る」 コンキュサーレ 紫 「誇り」「気品」「尊敬」「高貴」 リベルラ マダムヴィオレ 青 「不可能」「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」 アプローズ 覚えきれないほど花言葉がありますが、もっと細かく分類した花言葉もあるようです。特別な場合、大事な相手に花を贈る場合には、花言葉を確かめておくといいかもしれませんね。 黄色いバラには「嫉妬」「愛の薄らぎ」の花言葉があるので、プレゼントには避けたほうがいいともいわれますが、最近では父の日に好まれているのが、ヒマワリやこの黄色いバラ。「平和」「友愛」などプラスイメージの花言葉もチェックしましょう。 バラにまつわる歴史とエピソード たくさんの花言葉をもつバラ。花言葉が表すバラのイメージは、どのように生まれ、どのように膨らんでいったのでしょう。バラにまつわる神話やエピソードを、ひも解いてみましょう。 ギリシャ・ローマ時代 はるか昔、ギリシャ時代のこと。芳香のある植物が好まれていたこの時代、バラの香りも関心の的でした。しかも白やピンクの「清楚」な色、形も好まれ、やがてバラは清らかな乙女のイメージと重なり、「純潔」を象徴する花になっていきました。貴族が頭に載せていた花冠にもバラが好まれましたが、貞操を失った乙女がバラの花冠をつけることを禁じたというような記録が残っているそうです。 古代ローマ時代の黄金期、アウグストゥスの時代はバラを贅沢品と考えていましたが、すぐに古代ローマ人貴族に欠かせないものに。バラに熱狂し、バラを栽培するためのバラ園も誕生しています。 バラは暮らしと密着し、バラの花を部屋に飾り、香りを楽しみました。最初に咲いたバラを恋人にプレゼントする習慣があり、プレイボーイは恋人を「私のバラ」と呼んだとか。何とも甘い表現ですね。 皇帝ネロは晩餐のときに部屋をバラで埋め尽くし、天井からバラの雨を降らせたという話もよく知られています。バラは「高貴」なものの象徴にもなっていったのです。 神話や伝説とバラ ルネサンス期の著名なイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリ(1445年~1510年)の名画『ヴィーナスの誕生』で描かれているのは、「愛」と「美」と性を司る女神ヴィーナス。ヴィーナスは、ギリシャ神話のアプロディーテのこと。アプロディーテが海の泡から生まれたという神話が描かれ、そのとき一緒に生まれたのが白いバラ。可憐な白いバラがアプロディーテの周りを舞っています。 そのアプロディーテは恋多き女神。愛人の武神マルスよりも美少年アドニスに恋をしたため、マルスはアプロディーテをわがものにしようとして、アドニスを地上に叩きつけたといいます。駆け寄って救おうとしたアプロディーテは白いバラの茂みに倒れ、トゲで傷を負います。そして流れ出たアプロディーテの鮮血が白いバラを赤く染めたといいます。また、マルスの放った猪にアドニスが殺された時、彼の死を悲しんだアプロディーテの涙が、赤いバラに変わったという話も。赤いバラは、アプロディーテの花。「愛」と官能の象徴なのです。 また、キリスト教世界では、白バラは白ユリとともに、聖母マリアのシンボル。「純潔」の象徴を意味します。 青いバラ 時代は変わり、19世紀になると、バラの愛好家や園芸家がつぎつぎに新しいバラを作りだします。ところが、どうしても作ることができなかったのが、青いバラでした。そのため、夢見てきた青いバラは「不可能」という意味をもつようになります。その夢を実現したのが、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアの企業。遺伝子組み換えの技術を使い、長年かけて青色色素をもつバラの開発に成功。2004年に発表しました、その青いバラの名前は、アプローズ。「喝采」の意味です。花言葉は「夢かなう」。青いバラは、「不可能」から「夢かなう」の花言葉のバラに変わったのです。 12本のバラで、愛を告白 さらに、バラは本数によっても異なる花言葉をもちます。なかでもヨーロッパでよく知られているのが、「ダズンローズ」、12本のバラです。始まりは中世ヨーロッパにさかのぼり、こんな言い伝えがあります。 ある男性が恋人の家に向かう途中、野に咲くバラを12本摘んで花束を作りました。男性はその12本のバラに誓いをたて、恋人に花束を手渡し、プロポーズしたそう。女性は花束を受け取ると、そのうちの1輪を抜き取り、男性の胸元に挿してプロポーズを承諾しました。それが新郎の胸を飾るブトニアの起源といわれています。 花嫁に贈られた12本のバラには「感謝・誠実・幸福・信頼・希望・愛情・情熱・真実・尊敬・栄光・努力・永遠」と、それぞれ異なる意味が込められていたといいます。なんともロマンティックな話は、今、結婚式の演出によく使われているそう。 また、ほかにも12本のバラにこだわるのが、イギリスのバレンタインデー。この日、花屋さんやスーパーの店先に12本の赤いバラの花束、「ダズンローズ」が並びます。多くの男性が愛する人に贈るのです。 真っ赤なバラは、「愛」を語る花。バレンタインデーに限らず、もし、1ダースのバラを女性が抱えていれば、プロポーズを受けたのか、結婚記念日というわけです。イギリスで12本の赤いバラは、「愛の告白」「真実の愛」の意味。なぜそれが12本なのか考えたこともないほど、当たり前になっているそう。 韓国では、5月14日はローズデー。恋人同士がバラを贈り合います。贈る本数によって、バラの花言葉は異なるそう。 1本 「あなたしかいない」「ひとめぼれ」 2本 「この世界はふたりだけ」 3本 「愛しています」 4本 「死ぬまで愛の気持ちは変わらない」 5本 「あなたに出会えて本当によかった」 といった具合に花言葉は続きます。ふだんからよく花を贈る習慣がある韓国。お付き合いして100日目には、男性から女性へ100本のバラを贈るそうです。 ちなみに日本でもプロポーズに赤いバラを贈る男性が増えつつあるとのこと。お隣韓国の影響もあるのでしょうか? ただし、本数にはあまりこだわらないそうです。 アミリー バラを主役にした、ギフトの紹介はこちらへ。⇒「バラのフラワーギフト、選び方とおすすめ10選」 バラの扱い方、飾り方は「バラのおしゃれな生け方・飾り方。 フラワーアレンジで長もちさせるコツ」、ドライフラワーにしたいときは「バラの、上手なドライフラワーの作り方と簡単アレンジ」、種類を知りたいときは「知りたい! バラの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方」をご覧ください。 Credit 記事協力 花・嶋 友紀 構成と文・瀧下昌代
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育て方

アサガオの正しい剪定方法。時期やコツを知れば、初心者でも簡単にできます
アサガオを育てる前に知っておきたいこと アサガオは比較的育てやすい植物です。一方で、新品種を作り出すのがブームになったほど、奥の深い植物でもあります。 アサガオの基本データ 学名:Ipomoea nil 科名:ヒルガオ科 属名:サツマイモ属 原産地:熱帯から亜熱帯地域 和名:朝顔(アサガオ) 英名:Morning glory 開花期:7~9月 花色:赤、ピンク、白、青、紫、複色 発芽適温:20~25℃ 生育適温:20~25℃ アサガオを種から育てるなら、5月の連休明けから6月いっぱいくらいまでが適期です。5月以降はポット苗も出回り始めるので、夏の遮光に緑のカーテンを作りたい場合は、早めに植えつけましょう。 夏至を過ぎた7月頃には、次々と花が咲き始めます。この頃に開催される朝顔市などで開花鉢を買い求めた場合も、種や苗から育てたのと同様に10月くらいまで楽しむことができます。 剪定には、いろいろな種類があります 剪定とは、植物の姿形を整えたり、生育や結実の調整をするために茎の一部を切り取ったりする作業のこと。脚立を立てて行なうような大掛かりなものから、草花の切り戻しのような細かい作業までを含みます。剪定というと、庭木の枝切りばかりを想像しがちですが、それだけではありません。 多くの植物は、日光を求めて片側だけ伸びがよかったり、生育が旺盛で姿が乱れたりします。時には、繁りすぎることで、風通しが悪くなり病気が発生することも。 人の手が届かない山の中では致し方ないかもしれませんが、家の庭で伸びるに任せてジャングルになってしまっては困りもの。そうしないためにも、また、庭で植物がすくすくと生育でき、美しい姿でいられるようにするためにも、剪定という作業が必要になるのです。 剪定は主に、植物の姿形を整える、花つきや結実をよくする、通風や採光をよくし、生育を助ける、株や枝の若返りを図ることなどを目的として行います。 従って、剪定には、以下の作業が含まれます。 枝下ろし 樹木の大きい枝の芽を残さずに、枝分かれした元から切り落とすこと。 枝透かし(枝抜き) 通風や採光を妨げているような込みすぎた枝を、枝分かれした元から切り取ること。 刈り込み 全体の形を刈り整える作業。 切り戻し(※) 伸びた茎(枝)を短く切り詰める作業。 摘心(摘芯、ピンチ、芯止め) 枝茎の先端の芽(頂芽)を摘むこと。これにより、脇芽(腋芽、側芽)を出させたり、開花を促したりします。 ※切り花で、花材の水あげをよくするために茎の根元を新しく切り直すことも「切り戻し」といいます アサガオに剪定って、じつは必要です アサガオのような草花でも、すくすくとした株の状態で長く楽しむためには、必要に応じて随時、剪定が必要になります。 アサガオに行なう剪定は、大きく分けて、2の項で説明した「摘心」と「切り戻し」の作業です。 知りたい! 剪定する目的とメリット 切り戻しの目的とメリット アサガオを切り戻しする目的は、伸びすぎた蔓や葉を整理して、姿形を整えることです。 アサガオのような蔓性植物は、気づかない間に蔓同士が絡み合っていることがあります。そのまま放っておくと、ほどけないほどの塊になって見苦しいだけでなく、通風の妨げにもなります。余分な蔓は伸びすぎてしまう前に、切り戻しておくようにしましょう。 また、不要な蔓を切り戻しで取り除くことにより、蔓に余分なエネルギーを取られることがなく、そのぶん多くの花を楽しむことができるというメリットもあります。 なお、大輪アサガオは、花芽の数を調整して、よい花を咲かせることを目的に、切り戻しすることがあります。 摘心の目的とメリット アサガオを摘芯する目的は、葉の枝数とともに、花数を増やすことにあります。 アサガオをはじめ多くの植物は、「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質をもっています。これは、茎の先端にある芽(頂芽)の生長のほうが、茎の側面につく脇芽よりも優先されることを指します。つまり、摘心をしないでそのまま育てていると、優先された茎だけが伸びて、脇芽の生長は抑制されてしまうので、花は優先された茎先にしかつかず、その結果、花数が少ない…ということになってしまうのです。 摘心をしなくても自然に分枝するものもありますが、アサガオは摘心することで、葉の枝数が増えて繁りやすくなります。緑のカーテンを仕立てる場合、摘心で葉の枝数を増やせば、密に繁ってネットを覆うことができるというメリットがあります。 剪定に適した時期を、見極めましょう アサガオの剪定は、その目的によって、適した時期が異なります。 摘心の適期 摘心の作業は、脇芽を出すのが目的なので、植えつけ後の本葉が7枚くらいになったら、頂芽を摘みます。その後の摘心を何回行なうかは、アサガオの仕立て方によって変わってきます。 切り戻しの適期 切り戻しは、傷んだ茎や蔓を取り除くとともに、増えすぎた蔓があれば切って形を整えます。従って、特定の時期に限定せず、日々の水やりの際にでも、気がついたら随時行うとよいでしょう。 なお、開花期になると、毎日の作業として、花がら摘みが加わります。咲き終わった花をそのままにしておくと、種を作るために多くのエネルギーを使います。ある程度の種を結び、子孫を残すという目的を果たしたアサガオは、その後の生育が衰えてしまいます。 花がら摘みは、花がらを早く取り除くことによって、種を作るために使われるエネルギーを生育に回して、できるだけ長い期間アサガオの花を楽しむために行ないます。開花期間中は、この花がら摘みを兼ねて、切り戻しをしてもよいでしょう。 アサガオの剪定方法は、難しくありません 摘心の方法 摘心は、初夏の定植後に、本葉が5~7枚くらいになったら行います。方法は、アサガオの頂芽をハサミで切り取るか、茎が柔らかいものは指先でひねるようにして摘み取ります。 切り戻しの方法 アサガオの切り戻しは、夏から秋の間、随時行ないます。方法は、不要な蔓を切りたい位置までたどってカット。誤って、残したい茎を切ってしまわないよう、注意しましょう。 花がら摘みの方法 夏の開花期間中は、花がら摘みが頻繁に必要です。前述したように、この花がら摘みと一緒に、切り戻しをするのがおすすめです。花がら摘みは、花が咲き終わったら、花首の下の茎をたどって、分岐している元のところで切ります。このとき花のすぐ下で切り取っても、“種をつけさせない”という花がら摘みの目的は果たせますが、切ったあとの茎が突き立って見苦しいので、元から切るようにしましょう。 なお、萎れた花弁だけをむしり取っても、花の根元の子房(種となる胚珠を包んでいる部分)が残っていると、種を結ぶので意味がありません。剪定の目的をきちんと意識して、切り取ってください。 剪定のポイントは、枝や茎の選び方です 庭木の場合には、「忌み枝※」と呼ばれる枝を剪定し、形を整えていきますが、アサガオの剪定をする際には、どのような枝を選んで切ればよいのでしょう。 摘心の場合は、アサガオの頂芽を切るので迷うことはありません。切り戻しは、不必要に伸びて暴れているような蔓や、繁りすぎて混み合っている部分を選んで切り取ります。また、気づかないうちに風など何らかの理由で、茎が途中で折れていることがあります。いずれ萎れて枯れてしまうだけなので、こういった茎なども取り除いておきましょう。 ※「忌み枝」美しい木の形を保つときに、不要な枝のこと。枯れ枝、徒長枝、立枝、逆さ枝、懐枝、重なり枝、かんぬき枝、車枝、絡み枝、垂れ枝、胴吹き、ひこばえがあります。 アサガオの剪定には、コツがあります アサガオを剪定するときのコツは、ズバリ「切るべき時に、切るべき枝を切る」。これに尽きます。 時々、「花が咲いていると、もったいなくて切れないのよ」という声を聞くことがあります。咲いた花が何日も美しい姿でとどまっているのであれば、もったいないという気持ちもわかります。しかし、一日花であるアサガオの場合は、長く咲いても夕方までなので、これには当たりません。これまで述べてきた剪定の意義からみても、そのまま放っておくほうが悪影響になります。 また、園芸を始めたばかりというビギナーには、「ハサミを入れるのが怖い」という方も。植物の剪定は、人間にたとえると散髪のようなもの…と考えれば、ハサミを持つ手が軽くなるのではないでしょうか。 剪定するときの注意点はこちらです アサガオに限らず、植物を剪定するときの注意点は、「剪定の際は清潔なハサミを使う」ということが挙げられます。 庭で多種多様な植物を育てている場合、道具を媒介として病気がうつってしまうことがあります。あきらかに「病気にかかった植物を切った」とわかっている場合は、ハサミの消毒が必要。といっても、強い薬品や難しい作業は必要ありません。普段は水で洗ったあとに、水分をよく拭き取り、オイルを塗っておく程度でよいでしょう。消毒したいときは、薬局で売られている消毒用エタノールの使用が手軽です。 美しく見せる、アサガオの仕立て方 最後にアサガオの仕立て方について簡単に触れておきましょう。 もっともポピュラーなのは、「行灯仕立て」。ほかには、1本の蔓をそのまま伸ばして仕立てる「本蔓仕立て」、摘心して子蔓を出して仕立てる「子蔓仕立て」、子蔓をさらに摘心して孫蔓を出して仕立てる「孫蔓仕立て」があります。 一般的には、本葉が5~7枚程度になったら摘心をして脇芽を出させ、伸びた子蔓を行灯仕立て用の支柱に誘引して仕立てる「子蔓仕立て」にすることが多いようです。 このほか、1本の支柱に螺旋状に巻いた針金を固定し、そこにアサガオの蔓を這わせる「らせん仕立て」、蔓が伸びるたびに下葉を2枚残しながら摘芯を繰り返して小さく仕立てる「切り込み仕立て(盆栽仕立て)」といった仕立て方があります。
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宿根草・多年草

知りたい! カラーの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方
カラーってどんな花? まず、基本的なことについて知っておきましょう。 カラーの基本データ 学名:Zantedeschia 科名:サトイモ科 属名:サンテデスキア属(オランダカイウ属) 原産地:南アフリカ 和名:阿蘭陀海芋(オランダカイウ) 英名:Calla 、Calla lily、Arum lily 開花期:4~7月 切り花の出回り時期:周年 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、黒、複色 花もち:7~20日 花言葉:乙女のしとやかさ、素晴らしい美 カラーの名前はギリシャ語のカロス(「美」の意味)に由来するという説、カトリックの尼僧がつける襟(えり)、つまりカラーに似ているからという説があります。 和名の阿蘭陀海芋は、オランダ船によって運ばれてきた、サトイモに似た根をもつ花という意味。江戸末期の1843年に、日本に渡来したとされています。 カラーはサトイモ科の植物です。早春の湿地に咲くミズバショウは、同じサトイモ科の仲間で、茎の長さは異なりますが、花のつくりはよく似ています。 花のつくり 苞(ほう) 一般に花びらと呼ばれる部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)という葉が変化したものです。大きな花びらを1枚巻いたような、独特の形をしています。苞の厚さや巻きの深さは品種によって異なり、咲くにつれて艶が増す品種もあります。本記事では仏炎苞を、「花びら」とわかりやすく表記します。 花 仏炎苞に包まれた、黄色い棒状の部分が本来の花です。小さな花が穂状に並んで、太い肉穂花序(にくすいかじょ)になっています。写真の左側の花のようなつるんとした状態から、日が経つと右側の花のように花粉が出ます。花粉は花を逆さまにして振ると、花を汚すことなく落とすことができます。品種のなかには、ミモザのような甘い香りを漂わせるものもあります。 葉 カラーは大別すると、湿地性と畑地性の2種類があります。湿地性カラーの葉は基本的にハート形で、畑地性はハート形や細長く尖ったものなどがあります。また、斑入り模様などもあり、肉厚で光沢のあるきれいな色と形をしています。しかし、葉は水があがりにくいので、花材として市場に出回ることはありません。 茎 茎はためることで、表情をつけることができます。「ためる」とは、中指と親指をずらして茎を持ち、ゆっくりしごくと、ゆるやかなカーブがつくこと。水がよくあがっていると、茎が折れることもあるので、丁寧に扱いましょう。畑地性の小ぶりなカラーのほうが、茎にカーブをつけやすいでしょう。また、器にいけるばあいは、器の内側に沿って曲げると、きれいな曲線を描くことができます。 カラーを購入するとき、扱うときの注意点 カラーは花に張りがある、しっかりしたものを選ぶと長もちします。水あげ、水もちがとてもいい花ですが、購入するときは次のような点に注意すると、長く花を楽しむことができます。 鮮度を見るときのチェックは、ここ! 前述したように、花びらの中の花に、花粉が出ていたら、時間が経った花です。花が、花粉がまだ出ていない、つるんとした棒状なら、新鮮です。 花はとてももちがよく、1日水からあげてもあまり変化が見られません。花びらに傷みが出るほど、鮮度が落ちた花材が店頭に並ぶことは基本的にありませんが、茎を見ると鮮度がわかります。古くなったり、水があがってなかったりすると、張りがなくなり、茎に筋が入ったりします。写真の上のカラーは新鮮なもの。下は日にちがたったカラーです。 花の価格は、茎の長さで決まります 写真は左から丈が60cm、70cm、90cm。どれも同じ品種です。小さなアレジ用、大きなものはいけ込み用など、用途に合わせて選べるように、花産地は長さごとに分けて市場に出荷しています。基本的に丈が長いほど価格は高くなります。さらに、花びらが長く、花の直径が大きいもの、フォルムがきれいなものが最高級品となります。 切り花カラーが出回る時期が周年 湿地性のものは晩秋から初夏にかけて出回りますが、畑地性のものは周年出回っています。輸入品は畑地性がニュージーランドなどの南半球を中心に出回り、アフリカや中南米産もあり、真夏以外の時期に流通しています。 飾ったあとのお手入れ、注意点 カラーは、水あげ、花もちがとてもいいので、扱いやすい花材です。ただし、湿地性は乾燥を嫌うので、花が乾いたときには霧を吹きます。畑地性はウイルスに弱いため、特に気温が高い時期はまめな水替えが必要です。 カラーの原種について知りたい! カラーの仲間は8種類あり、いずれも原産地は南アフリカが中心です。多年草ですが、肥大した地下茎、塊茎をもつため、通常球根類に分類されています。原種の花色は白、ピンク、黄色。種間交雑に、現在のさまざまな色の品種が誕生しています。 湿地性のカラー 代表的な白い花のエチオピカが、和名のオランダカイウです。1761年ヨーロッパに伝わり、日本には1843年に伝わりました。この1種だけが川や池などの湿地を好む湿地性のカラーです。基本形は草丈が約1m、花は7~20㎝。花色は白のほか、ピンクがあります。 カラーはエチオピアの国花で、リリー・オブ・ザ・ナイルと、美しい別名をもっています。花の上部が緑色のものは、グリーンゴッデスという園芸品種。切り花でも出回っています。 畑地性のカラー 前述した、湿地性のエチオピカ以外の種類は、水はけのいい草地や岩場に自生し、湿気を嫌う畑地性カラーといわれています。 原種のアルボマクラタは、和名がシラホシカイウ。明治時代初期に日本に渡来しました。草丈は約60㎝で、花は乳白色です。湿地性のオランダカイウよりも花が細く、花の上部が鋭く尖っています。 19世紀末にヨーロッパに伝わり、大正時代の初めに日本に伝わったのが、和名キバナカイウです。草丈は約90㎝。花は長さ20㎝弱で、内側が黄色。葉には、白または半透明の斑点があります。 レーマニー種といわれるタイプは、和名がモモイロカイウ。ヨーロッパには1883年、日本には大正時代初めに伝わりました。草丈は約30㎝と小さく、花は約12㎝と小輪。名前のとおり、淡いピンクで、紫紅色もあります。現在、このタイプの園芸品種が増えています。 カラーの種類ごとの違いと見分け方 湿地性、畑地性のふたつのタイプがありますが、一見して同じように見えます。湿地性は花がやや大きく、白、ピンクが中心。畑で育つ畑地性は小ぶりで、カラフルな花色が揃います。 花材:カラー(フローレックスゴールド)、グレビリア、ユーカリ、ヘデラ 畑地性の黄花のキバナカイウや桃花のモモイロカイウなどの交配によって、多数の園芸品種が数多く作出され、以前に比べ、花色がぐっと豊富になりました。 花材:カラー(ガーネットグロー)、パンジー、ムスカリ、ヒューケラなど 大きな白のカラーのなかでも、茎が太くて柔らかいものは湿地性のカラー。赤、紫、ピンク、白、黄、緑、オレンジなど、カラフルな花色のカラーは、畑地性でしょう。 画像一覧つき! カラーの人気品種 花色が豊富で、清楚な白から、シックで濃厚な花色まで揃います。 ウエディングマーチ ウエディングブーケなどによく使われてきた、湿地性の白い大きな花の代表がウエディングマーチ。花が大きく、丈が長いカラーです。畑地性に比べて、茎は湿地性のほうが柔らかい。 グリーンゴッデス 緑色と白のグラデーションが爽やかな大輪。色の出方が花ごとに異なります。湿地性。 しろたえ 湿地性の品種。小ぶりながらよく開いて咲きます。 ホットチョコレート 花から茎までチョコレート色という個性を極めた品種。畑地性。 マジェスティックレッド 濃い赤紫色。開いてから数日たつと、花に艶が出ます。畑地性。 フローレックスゴールド 数ある黄色系の品種のなかで、もっとも美しいといわれる大輪品種。畑地性。 ガーネットグロー 寒い時季ほど鮮やかなピンクがのります。畑地性で、丈は短い。 キャプテントリニティ 花の端の方が強いオレンジ色に染まる花色。オレンジ色でもニュアンスカラーなので花色が強くなりすぎず、使いやすい。 キャプテンサファリ ややオレンジを含むニュアンスのある黄色。畑地性のカラーです。 カントール 赤黒い濃い花色が印象的。茎は緑色。 キャプテンプロミス 花合わせがしやすい明るい赤紫色。 キャプテンロマンス くすみ感のあるピンク。花びらの端の方が濃くなるグラデーション。 キャプテンビオレッタ 人気のモーヴカラー。グラデーションが美しい。 ブラックアイビューティ 白い花びらに、黒っぽい花底の色が美しく、印象的。 Credit 記事協力 花・熊坂英明、宮﨑慎子 撮影・山本正樹 構成と文・瀧下昌代
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育て方

アサガオの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます
アサガオを育てる前に知っておきたいこと アサガオは、ヒルガオ科サツマイモ属の蔓性植物です。アサガオの学名(※1)は“Ipomoea nil” で、これはサツマイモの仲間であることを示しています。 朝開いたアサガオの花は、その日のうちに萎んで終わる「一日花」。一方で、毎日次々と新しい花を咲かせます。アサガオを使って、近年、地球温暖化対策のひとつとして注目されている「緑のカーテン」を作ることもできます。 またアサガオは、種からでも育てやすい植物でありながら、江戸時代には交配させることでさまざまな変化に富んだアサガオを作出することが一大ブームとなりました。人々の暮らしと密接にかかわってきた歴史をもつ、奥深い植物でもあります。 ■アサガオの基本データ 学名:Ipomoea nil 科名:ヒルガオ科 属名:サツマイモ属 原産地:熱帯から亜熱帯地域 和名:朝顔(アサガオ) 英名:Morning glory 開花期:7~9月 花色:赤、ピンク、白、青、紫、複色 発芽適温:20~25℃ 生育適温:20~25℃ アサガオを種から育てるなら、5月の連休明けから6月いっぱいくらいまでが適期です。5月以降はポット苗も出回り始めます。夏の遮光にグリーンカーテンを作りたい場合は、早めに植えつけましょう。 ※1「学名」学術上、生物などを分類してつける世界共通の名称 水やりの方法と、そのタイミング アサガオの水やりのタイミングは、時間帯でいえば、朝のうちがベストです。 早朝から、日が高くなるまでのあいだ、比較的涼しい時間帯のうちに、水やりを行うのがコツです。水やりをする際は、ジョウロであっても散水ホースを使う場合でも、アサガオの花に直接水がかかるようなやり方は避けます。株元から土中に水を行き渡らせる気持ちで、ゆっくり与えましょう。 アサガオは鉢植え、地植えのどちらでも栽培できますが、それぞれ水やりの頻度は異なります。次の項からは、植えつけ別の水やりを紹介しましょう。 鉢で育てている場合の、アサガオの水やり 水やりの頻度 通常は朝のうちに1回、土が乾いているかを確認してから水やりをします。天候により土が湿っている状態であれば、水やりは不要です。 夏になると、水やりの頻度は雨が降っている日以外は毎日の作業になります。ただし、小雨のときは、さっと鉢の土の表面が濡れただけ、お湿り程度のことがあります。あるいは外は本降りの雨でも、アサガオの鉢は軒先で、土にはちっとも雨がかかっていないということも。これでは鉢の中まで、水が行き渡ることはありません。そのようなときはやはり、鉢土の状態をしっかり確認して、水やりをしましょう。 水やりのコツ 「土が乾いたら、鉢底穴から水が流れ出てくるまでたっぷりと水やり」が基本です。土の表面だけが濡れた状態だと、根まで水が届きません。ですから、ジョウロなどで水を与えるときは、底から水が流れ出ているかを、しっかり確認してください。 水やりの確認方法 水やりのタイミングを確認するには、指で土を触ってみる、あらかじめ土に割り箸などを刺しておいて、引き抜いて湿り気があるか見る…といった方法があります。アサガオの背丈が低いうちは、水やり前と水やり後の鉢の重さを体感しておくというのも、ひとつの手です。 アサガオの葉先が萎れたようになっているのも、水切れのサインです。そのような状態のときは、しっかりと水やりをしましょう。 地植えの場合の、アサガオの水やり 水やりの頻度 地植え栽培では、アサガオがしっかり根づいたあとは、自然に降る雨だけで、基本的に水やりは不要です。これは、土の量が鉢に比べて、圧倒的に多く、地中に水分が蓄えられているためです。しかし、極端に雨が降らない日が続いたり、アサガオの葉が萎れてしまうような乾燥した日が続いたりする場合には、土中にしっかりと水がしみ渡るように水やりしてあげましょう。 水やりのコツ 前述したとおり、水やりを行うときは、土の奥、根の先端まで水が届くように、たっぷりと与えます。 水やりの確認方法 極端に雨が降らない日が続いたときなど、アサガオの葉先が萎れたようになっていたら、これは水切れのサインです。しっかり水を与えましょう。 水やりは、季節によっても多少変わります 水やりの具合は、天候のほか、植物の生育状態や季節で多少変わります。そこで、この項では季節ごとの違いを見ていきましょう。 春~初夏(鉢植え、地植え) 種まき後は、発芽するまで土が乾かないように湿らせておく必要があります。アサガオは水やりで種が流れてしまうことはあまりないですが、小さい種をまいた場合などは、水を張った容器に苗床を入れて底穴から水を吸い込ませる「底面給水(底面灌水)」というやり方もあります。この方法では、土に十分水分が行き渡ったら、苗床は水から引き上げます。 なお、植え替え後のアサガオも、活着(根づいて生長を続けること)するまでの間は、地植えであっても、水やりは忘れずに行ってください。 夏(鉢植え) この時季は、朝の水やりだけでは足りないことがあります。前述したように、鉢土の乾き具合を確認して、必要に応じて水やりをするのが基本ですが、夏の間は、朝・夕2回の水やりが必要となる日が多いでしょう。 秋(鉢植え) 夏が過ぎて花の数が少なくなったアサガオは、片付け時を見越して、水やりを控えても差し支えはありません。しかし、花後の種を採りたいのであれば、種が熟すまでは基本どおりの水やりをします。 西洋アサガオやノアサガオは、大輪アサガオに比べて1か月ほど開花時期が遅れるので、秋になっても盛んに花を咲かせている間は水やりを継続します。 アサガオの水やり、注意点が知りたい 鉢植えの場合の注意点 鉢植えのアサガオに勢いよく水やりをすると、水は鉢の内面を伝ってすぐに流れ落ちてしまい、肝心の根に水が行き渡っていないことがあります。アサガオの鉢の下に鉢受け皿を置いている場合は、水やり後に鉢底から流れ出た水はそのままにしておかず、必ず捨てるようにしましょう。アサガオは根腐れしにくい植物といわれていますが、いつも鉢受け皿に水が溜まっていると、鉢土の過湿状態を招きます。 逆に、鉢受け皿に水が溜まるのが嫌だから、鉢底から水が流れ出す前に水やり終了!という「水のちょいやり」もNGです。『アサガオを元気に育てるには、適した土作りと、植え替え(定植)が必要です』で、土の団粒構造について解説しているとおり、水やりをすると団粒と団粒の間の空気が押し流され、ここに水分と共に新しい酸素が供給されます。しかし「ちょいやり」では、土は湿っても、この大事な酸素を供給するまでには至りません。水やりの基本である「鉢植えでは鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと」というのには、このような理由があるのです。 上記のほか、夏の水やりでの注意点もあります。真夏ともなると、朝に水やりをしても、昼には鉢土がカラカラに乾いてしまっていることがあります。そんなとき、慌てて水やりをしてはいけません。夏の日照りの下に置いていたジョウロやホース内の水は、熱せられてお湯のようになっていることがあるからです。水やりの前に、触って手で水温を確かめるなど注意しましょう。 外出先から帰宅したら、アサガオが水切れでグッタリしていた!という場合は、鉢が動かせるのであれば日陰に移動し、バケツに張った水に鉢ごとつけます(腰水)。熱せられた株を冷やすと同時に、乾いた鉢土にしっかり吸水させることで、元気なアサガオへと復活を図ります。緑のカーテンにしているなど鉢が動かせないときは、鉢土を冷やす気持ちでゆっくり、しっかり水やりをしてください。水は水温が低いことを確認してから、水やりに使うことを忘れずに。 地植えの場合の注意点 地植えでは、庭などの水やりを一気に済ませようと、散水ホースを使うケースがあります。このとき、水の勢いが強すぎると、土が跳ね返って葉裏につき、そこから病気が発生することがあるので注意が必要です。 アサガオ栽培のなかで、水やりの役割 アサガオに限らず植物栽培における水やりは、俗に「水やり3年(5年とも)」といわれるくらいに奥深いものです。なぜなら、水やりは次のような役割を担っているからです。 ・植物の根に水を吸収させる ・根が呼吸するのに必要な酸素を供給する ・高温期には株や土の温度を下げる ・葉に付着した埃などを落とす(葉への散水の場合) つまり、水やりはただ毎日の日課で漫然と植物に水をかけるという行為ではありません。以上のような役割を念頭に、植物の根がしっかりと水分や酸素を吸収できるよう与える必要があるということです。 日々の水やりに際し、土の乾き具合を確認するとともに、花色や葉色はどうか、虫害や病気は出ていないかなど、植物の様子を観察することも日課にしたいですね。
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宿根草・多年草

知りたい! クレマチスの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方
クレマチスの花の、特徴と原種が知りたい! 初夏、旬を迎えるクレマチス。咲き方の多彩さとやさしげな風情が好まれ、年々、人気が高まっています。まずは、クレマチスについて、基本的なことを知っておきましょう。 クレマチスの基本データ 学名:Clematis L. 科名:キンポウゲ科 属名:クレマチス属 原産地:中国、日本、ヨーロッパ、北アメリカ 和名:風車(カザグルマ)、鉄線(テッセン) 英名:Leather flower、 Vase vine、 Virgin's bower 開花期:5~10月 切り花の出回り時期:4~10月 花色:赤、ピンク、白、紫、青、複色 花もち:5~7日 イングリッシュガーデンに咲き誇る花のイメージからか、クレマチスはヨーロッパ生まれの花だと思っている人が多いそうです。バラを「蔓植物の王」、クレマチスは「蔓植物の女王」とするイギリスでは、確かに、古くからクレマチスの栽培が行われてきました。しかし…イギリスを発祥の地とするクレマチスの原種はビタルバという花の1種だけ。 クレマチスは北半球の温帯を中心に、約300種もの原種が存在する多年草の植物です。そして、その三分の一は中国に自生する花。じつはクレマチスには、中国原産の花が多くあります。 ちなみに、クレマチスは和名で「テッセン(鉄線)」とも呼ばれていますよね。その由来は、中国名の「鉄線蓮(テッセンレン)」とも、茎が固く、まっ直ぐ伸びるからともいわれています。古くから呼び親しまれている和名のためか、クレマチスもテッセンも、この花の総称と思っていませんか? じつはテッセンという名前は中国に自生する、ひとつの原種を指します。クリームがかった6枚の白い花びらが平らに開き、しべの色は濃い紫色をしています。 そして、日本にもクレマチスの原種があることはご存じでしたか? ↓の写真をご覧ください。 夏の野山で清楚な白い花を揺らす「ボタンヅル(牡丹蔓)」。 ボタンヅルによく似た「センニンソウ(仙人草)」は、別名を「ウマクワズ(馬喰わず)」。有毒で馬も敬遠したことからとか。 ベル形の花を下向きに咲かせることから半鐘にたとえられた「ハンショウヅル(半鐘蔓)」。 そして、花びらが8枚の大輪「カザグルマ(風車)」。花色は淡い紫や白など、さまざまです。 日本の各地に自生するこれらの花々を含め、日本にも約20種のクレマチスの原種があるそうです。 海を渡った日本のクレマチス「カザグルマ」 ヨーロッパでの大輪の園芸品種の隆盛には、前述の日本の原種「カザグルマ」が大きな役割を果たしています。その立役者はふたり。ひとりめは、ドイツ人の医師であり博物学者、シーボルト。多くの植物とともに、1836年、植物標本として、このカザグルマとテッセンを持ち帰ったという記録が残っています。シーボルトといえばアジサイで有名ですが、日本のクレマチスにも関心を寄せていたのですね。 そして、ふたりめはイギリス人のプラントハンター、ロバート・フォーチュンです。中国で原種のクレマチス、ラヌギノーザを発見し、日本の八重咲き種とともに1851年頃、本国へ持ち帰ったそう。なお、このラヌギノーザの原種は絶滅したといわれています。 こうして海を渡ったアジアのクレマチスは、世界の原種とマッチング(交配)され、現在、私たちが目にするような多彩な花色の大輪や八重咲き品種が生まれたといいます。クレマチス革命ですね。 世界に誇る、日本のクレマチスがあります この方の名前をご存知でしょうか? クレマチスを愛する方々から崇拝される育種家・小澤一薫さん(1923年~2003年)。雑誌の『花時間』でも登場いただいたことがあります。ピンクシャンパンと呼ばれ、世界中の庭を彩る「柿生(カキオ)」や「篭口(ロウグチ)」、踊場(オドリバ)」などの名花を生み出した人です(篭口はつぎの項目で花を紹介しています)。クレマチスの挿し木による栽培方法を確立したことで、日本のクレマチスの切り花は飛躍的に進歩し、品質が向上したとされます。 そして、現在。切り花としてのクレマチスは、海外からも注目を集めています。そのひとつが「デュランディー」です。デルフィニウムやアジサイの青さとも違う、しとやかに潤った青紫の花色。日本のクレマチスがふたたび、海を渡っているんですね! クレマチスの主なタイプと、その見分け方 クレマチスは大別すると、3つのタイプがあります。ひと重咲きと八重咲き、そして「ベルテッセン」という通り名で呼ばれる、小さなベル形。この3のタイプは、花びらの枚数や形で、それぞれ見分けられます。 ひと重咲き 花びらは6枚が基本。ぱっちり顔です。 八重咲き 花びらの枚数が6枚以上。ボリュームがあります。 ベル形タイプ 言葉どおり、ベルの形をした可憐なタイプ。 画像一覧つき! クレマチスの種類と人気品種 クレマチスのヒストリーやタイプを学んだところで、今度は種類や品種について紹介しましょう。現在、クレマチスの園芸品種は、厳密には17~18系統に分類されます。そのなかで、切り花として出回る花を、以下のようにグループ分けしました。なお、出回り時期はおおよその目安と考えてください。 切り花クレマチスの主な種類(分類)は以下の7種です。 早咲き大輪系 花色が豊富で品種も無数。日本のカザグルマと中国のラヌギノーザを交配し、改良されたクレマチスを代表する、もっとも大きなグループです。花びらが平らに開く大輪のなかでも、早咲きのものを指します。本来は一季咲きですが、現在はほとんど四季咲き性です。 出回り時期/4月~秋 マルチ・ブルー 舞姫 早咲き大輪系八重 早咲き大輪系のなかの八重咲きです。ゆっくりと花を開きながら、なかには半月以上も楽しめる花もあるそう。一番花は八重咲きでも、二番花以降は半八重咲きやひと重咲きになる花もあります。 出回り時期/ 4月~秋 ベル・オブ・ウォッキング ジョセフィーヌ フロリダ系大輪 中国のテッセンを中心とした、その交配種のグループです。ひと重咲きがメインですが、万重咲きのシロマンエも、テッセンの枝変わり品種。 出回り時期/ 5月~秋 フォンド・メモリーズ テッセン(フロリダ・バイカラー) 遅咲き大輪系 濃い花色が多数。大輪とはいえ、以前はジャックマニー系とされていた、中輪系の花もこの系統に分類されます。 出回り時期/5月下旬~秋 ロコ・コラ ヴィチセラ系 小輪から大輪の花が数多くつく、ひと重咲き。花のもちも抜群です。咲き方は、花びらが波打つものやベル形など多彩に揃います。アジア南西部と南欧に自生するヴィチセラの交配種です。 出回り時期/4月~秋 エトワール・ローズ テキセンシス系・ヴィオルナ系 花びらが外に向かってカールする、チューリップ形やベル形のひと重咲きです。テキサスなどのアメリカ中西部に自生するテキセンシス、ヴィオルナと大輪系の交配種が多く見受けられます。丈夫で花もちがよく、蔓もよく伸びます。 出回り時期/4月中旬~秋 篭口(ロウグチ・テキセンシス系) スカーレット(ヴィオルナ系) インテグリフォリア系 この系統は、主に4弁のひと重咲きで、可憐な花をたくさん咲かせます。ベル形やパラソル形もあり、大きさも多様。切り花では小ぶりな品種が主流です。 出回り時期/4月中旬~秋 ソシアリス ユーリ ヴィチセラ系やテキセンシス系・ヴィオルナ系、インテグリフォリア系のベル形やチューリップ形の花は、花屋さんに出回る切り花では、「ベルテッセン」という通り名でも呼ばれています。 下の写真の、シルバーがかったこのもしゃもしゃしたものは「クレマチスシード」。そう、花後にできる種です。種がついた枝も、切り花として出回っているんです! クレマチスの種類ごとに、種の様子も違うようです。おもしろいですね。 クレマチスの切り花を、飾って楽しむために さまざまな種類がある切り花のクレマチスだから、いけて楽しみたくなりますよね! 種類はいろいろでも、いける前の下準備は同じです。そう、水あげ。最近のクレマチスは、とても優秀なので、水中で茎を切る「水切り」だけでもよく水があがります。 水切りの方法 アレンジに生かさない不要な葉を取り除き、水中で、茎を斜めにカット。すぐさま30分ほど深い水にいけて休ませましょう。これで全体に水が行き渡り、張りのある姿で楽しませてくれます。不要な葉を取り除くと、花により多くの水を行き渡らせることができます。 いけるときは… クレマチスの花びらは、とても繊細です。ひと重や八重の花びらはとても薄く、一見、しっかりしていそうなベル形タイプも、じつは振動や少し触れただけで、ぱらりと花弁がはがれてしまいます。花器などに挿すときは、花の部分には触らず、茎を持って挿して! クレマチスの茎はしっかりしていますが、細いので長く伸ばしていける際は、折れないように注意が必要です。 また、葉もとても美しい花なので、ぜひ生かして、あしらいに取り込みましょう。とてもいきいきとしたアレンジが楽しめます。 クレマチスをできるだけ長く楽しむためには、飾る場所もポイント。 ・直射日光、照明が直接当たらないところ ・エアコンの風が直接当たらないところ ・電化製品がそばにないこと ・風通しのよい場所 これらが、花の居場所としてはベターです。直射日光やエアコンの風が当たると、クレマチスは花びらから水分を奪われ、しおれの原因に。花にやさしい場所を選んでくださいね。 クレマチスがもっと素敵になる、おすすめ切り花 もちろん、クレマチスだけでいけても素敵ですが、ときにはほかの花と出会わせてみませんか? アレンジで、クレマチスの魅力がぐんと引き立つ花はこちらです。 バラ ガーデンではクレマチスのよき友。アレンジするときも、優雅な雰囲気を醸し出す王道の名コンビです。カップ咲きなどの丸い花形や、花弁数の少ないバラがおすすめ。 シャクヤク 初夏にクレマチスを楽しむなら、シャクヤクと。華やかで、香らないクレマチスに芳香を添えてくれます。 アジサイ クレマチスの軽やかさが際立つ、こちらも初夏のパートナー。涼やかさと、しっとりとした潤いをもたらします。水面を見せるアレンジに。 ダリア おしゃれにアレンジしたいときは、こんなふうにデコラティブな花形のダリアを選んでみては?八重咲きの大輪クレマチスと抜群の相性です。 トルコギキョウ 八重咲きのトルコギキョウを選ぶと、ゴージャスなイメージに。ひと重咲きでは、楚々としたイメージを演出できます。クレマチスと同じ、初夏が旬の花です。 スモークツリー ピンク色の細い花びらがふわっと広がり、煙のように咲く花。初夏、一瞬だけ出回る花ですが、クレマチスを幻想的なイメージで楽しめる花材の代表です。 スカビオサ ベル形のクレマチスを楽しみたいときには、小さな草花もおすすめです。野原で摘んだ花のつもりで、花合わせを楽しみましょう! クレマチスって、素敵な花ですから、もっともっとお近づきになりたいものですね。 併せて読みたい ・宿根草ショップの店長が教える! バラと組み合わせるクレマチスのおすすめ品種 ・平成園芸を彩った三種の神器「バラ」「クレマチス」「クリスマスローズ」 ・小さな庭に咲かせるクレマチスのオススメ品種と仕立て方 Credit 記事協力 構成と撮影と文・鈴木清子
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知りたい! カーネーションの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方
カーネーションってどんな花? まずは、カーネーションについて、基本的なことを知っておきましょう。 ■カーネーションの基本データ 学名:Dianthus caryophyllus 科名:ナデシコ科 属名:ナデシコ属 原産地:南ヨーロッパ、西アジア 和名:阿蘭陀石竹(オランダセキチク)、阿蘭陀撫子(オランダナデシコ)、麝香撫子(ジャコウナデシコ) 英名: carnation、Clove pink 開花期:4~6月 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、複色 花言葉:純粋な愛、感動 カーネーションの栽培の歴史は古く、古代ギリシャ・ローマ時代までさかのぼるようです。その当時のカーネーションは鑑賞するためだけでなく、食用としても使われていました。日本では明治時代の終わりに東京で栽培が始まったと言われ、全国に広まったのは大正時代になってからでした。 カーネーションは母の日の花としてもよく知られています。母の日にこの花を贈る習慣は、100年以上前のアメリカで始まりました。アメリカの南北戦争(1861~1865年)の際、ウエストバージニア州で敵味方を問わず負傷兵の看護にあたったアン・ジャービスという女性がいました。彼女が亡くなって数年後の1907年5月、娘のアンナ・ジャービスが亡き母に追悼を捧げるために教会で集会を開催し、母が好きだった白いカーネーションを配ったのが母の日の起源です。彼女はその後、「母の日」の公式な制定を熱心に世の中に働きかけ、その結果1914年に5月の第2日曜日は母に感謝する記念日と定められ、正式に「母の日」と制定されました。母の日の習慣は大正時代には日本に伝わっていましたが、広く知られるようになったのは1950年代のようです。 日本ではカーネーションはキク、バラに次いで生産量の多い花です。色や形のバリエーションも多く、1995年には遺伝子組み換え技術によって、自然界にはない青色色素をもつ品種も誕生しています。花もちは切り花のなかでも抜群によく、爽やかな香りがある品種もあります。 カーネーションを購入するとき、扱うときの注意点 カーネーションはもちのいい丈夫な花ではありますが、下記の点には注意が必要です。 鮮度を見分けるにはガクを見る 花の色や花びらの状態だけでは鮮度の判断が難しいのがカーネーション。新鮮な花を選びたいときは、花よりも花の下にある緑色のガクをチェックしましょう。ここが茶色くなっていたり、割れたりしている場合は、花の鮮度がよくない証拠です。ガクの先端まで緑色をして、ピンと張りがあるものを選んでください。 咲くつぼみと咲かないつぼみがある スプレー咲きの場合、つぼみがたくさんついているもののほうがおトクな感じがすると思います。でも、カーネーションのつぼみは全部が全部、咲くわけではありません。写真左側のように、少しガクの先端が開いて花びらがのぞいているものは、咲く可能性が大です。でも、右側のように、先端までしっかりと緑色のガクに包まれているつぼみは、まず咲きません。それどころか、つけておくとムダに花のエネルギーを消費してしまいます。デザイン的につぼみがあったほうがいい場合は別として、とくに必要ないつぼみは、カットしたほうが花が長もちします。カーネーションは咲いてからのもちがいいので、花屋さんでスプレー咲きを選ぶときは、つぼみがたくさんついているものより、花がすべて咲いているもののほうがおすすめです。 節のところで折れやすいので要注意 カーネーションはとても丈夫な花で、数時間程度なら給水をせずにおいてもしおれることはありません。このため、長時間持ち歩いたり、パーティなどで水を使えない場所に飾ったりするときにはとても便利です。そんなカーネーションの唯一の弱点が、茎の節。ここは細胞が裂けやすく、ちょっとした刺激で折れてしまうことがよくあるのです。なので、花屋さんから家に持ち帰るとき、花をいけているとき、ここを強い力でつかまないように注意してください。アレンジを飾った後も、ちょっとぶつかっただけで茎が節から折れることがありますので気をつけて。とくに涼しい時期には折れやすいようなので、人が通る場所などに飾るのは避けたほうが無難かも。ほかの花と違い、カーネーションは花びらの傷みよりもむしろ茎の傷みに注意する必要があるのです。 カーネーションの原種について知りたい! カーネーションが属するナデシコ属に含まれる花は約300種。ヨーロッパから地中海沿岸地域、アジア、熱帯・南アフリカの山地などに自生しています。ですが、現在栽培されている種の原種ははっきりしていません。ナデシコ属は種間交雑が簡単に行われる花なので、南ヨーロッパや西アジア原産のひと重の多年草Dianthus caryophyllus (ダイアンサス・カリオフィルス)と、Dianthus chinensis(ダイアンサス・シネンシス)などのほかのダイアンサス属の花との交雑が長い年月にわたって繰り返され、品種改良が進められてきたのではないかと考えられています。ダイアンサス・カリオフィルスは、色はピンク~ベージュピンクで、 チョウジのようなちょっとスパイシーな香りがあり、古くはワインの風味づけに使用されていました。カーネーションはもともとはハーブのような使われ方をしていたようで、その理由もこの香りがあったからでしょう。 特徴で、4つのタイプに分けられます カーネーションは、それほど種類が多くはありません。花が茎にどのようについているか、もしくは花の形の特徴によって、次のようにタイプに分けることができます。 花のつき方で分けると… ●スタンダード ●スプレー咲き 花の特徴で分けると… ●剣弁咲き ●極剣弁咲き ●丸弁咲き ●ひと重咲き 画像一覧つき! カーネーションの種類ごとの違いと見分け方 「3.特徴で、4つのタイプに分けられます」で紹介したカーネーションの種類について、それぞれの違いや見分け方を画像つきで紹介します。 花のつき方 スタンダード 1本の茎の先に1輪の花がつきます。花が大きく、花びらがたっぷりついてボリュームもあるので、華やかな印象です。花顔をぎゅっと固めて面にして使うと、さらに豪華に見えます。 スプレー咲き 枝分かれした茎の先に、つぼみも含めて数輪の花がつきます。花が小さめで愛らしい印象。切り分けて使えるので、おトク感がありますし、1本でさまざまなあしらい方ができます。 花の特徴 剣弁咲き 花びらの縁にギザギザした切れ込みが入る、昔ながらの代表的な花形です。カーネーションといえばほとんどの人がこのタイプを思い浮かべますし、絵画などにもよく描かれます。 極剣弁咲き 先端にギザギザのある細い花びらが、剣のように尖っているユニークな形。別名スター咲きともいいます。つぼみも含め、ぱっと見にはカーネーションに見えない珍しい種類です。 丸弁咲き 花びらの縁に切れ込みがない、もしくは非常に少ないタイプ。よ~く見ないと剣弁咲きとの違いがわからないのですが、柔らかな雰囲気が好まれ、最近品種も増えています。 ひと重咲き ナデシコと見分けがつきにくい、ひと重、もしくは半八重咲きタイプ。どれも楚々とした小輪です。主役にするよりも、アレンジのアクセントとして使うほうが向いています。 画像一覧つき! カーネーションの人気品種 数え切れないほどたくさんの品種があるカーネーション。同じピンクでも多彩なトーンのものが揃うので、どれを選んでいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、カーネーションの人気の品種を画像付きでご紹介します。複色から絞り模様が入ったものまで、さまざまな品種が揃います。最近はとくに濃い色のものが人気なので、濃い色をアレンジに取り入れてみるのもいいかもしれません。 スターチェリー 花径4cmのひと重咲き。小輪ながら、先端に深い切れ込みが入った花びらにはインパクトがあります。 ソネットフレーズ かわいくなりがちなピンクの濃淡ですが、色合いが深いので大人っぽく落ち着きのある印象を与えるひと重咲きです。 ダークテンポ くすんだピンクの花びらを赤が縁取るので、華やかでありながらシックな表情にもなります。 ミヤビ ベージュの花びらに赤い絞り模様が入った個性的な色合いです。ちょっと和風なテイストがあるのも魅力のひとつ。 オペラ 透明感のあるピュアなピンクなので、幅広い使い方ができます。甘い雰囲気のアレンジの主役にぴったりです。 ロイヤルグリーン 淡い緑色が爽やかなスプレー咲き。花らしさの少ない緑系のカーネーションは、アレンジをおしゃれな雰囲気に仕上げてくれます。 ホワイトバーバラ くしゅっとした純白の小輪は、絞った生クリームを思わせます。ブライダルなどにも使われるキュートな品種です。 ドヌーブ やさしいピーチ色の花は、メインはもちろん、空間を埋めるサブ花材としても重宝します。どんな花色に添えても似合うからです。 同じ育種家・会社が開発し、シリーズになっているもの ムーンダスト カーネーションでは珍しい、青色色素をもつブルー系のムーンダスト。写真上はライラック色が清楚なスプレー咲きの「ムーンダスト・パールブルー」、下は濃い色合いとマット感が特徴的な「ムーンダスト・ベルベットブルー」。 レリシア 色づく前の堅いつぼみのうちにガクをはずし、花びらを根元から大きく開かせた特別な作り方をしています。写真上はピンクの「アオモリ」、下はレリシアを4本(黄色、ピーチ色、白2本)組み合わせた、花径13cmの超大輪の「レリシア4」。 このほかに、濃い色が揃うノビオシリーズ、上に挙げた「ソネットフレーズ」を含むスプレー咲きのソネットシリーズなども人気があります。 Credit 記事協力 構成と撮影と文・高梨奈々
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カーネーションに託したメッセージ! 花言葉や花名の由来、英語名を紹介
カーネーションの花言葉について知りたい! 最初にカーネーションという花のことを、簡単に説明します。 ■カーネーションの基本データ 学名:Dianthus caryophyllus 科名:ナデシコ科 属名:ナデシコ属 原産地:南ヨーロッパ、西アジア 和名:阿蘭陀石竹(オランダセキチク)、阿蘭陀撫子(オランダナデシコ)、麝香撫子(ジャコウナデシコ) 英名: carnation 開花期:4~6月 花色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、紫、緑、茶色、複色 日本におけるカーネーション全般の花言葉は下記です。 「あなたを熱愛します」 「純粋な愛」 「感動」 その意味など詳しい解説は「3.カーネーションの花名や花言葉の由来は?」でご紹介します。 花言葉は、花の色によっても変わります カーネーションの花言葉は、色によっても違います。色ごとの花言葉は下記です。 赤…母への愛 ピンク…熱愛の告白、感謝の心 黄色…軽蔑、友情 オレンジ…熱烈な心、純粋な愛 白…私の愛情は生きている、尊敬 紫色…誇り、気品 複色…美しいけれど切ない 青…永遠の幸福 ※花言葉はその花の特質などに合わせて象徴的な意味をもたせたもので、明確な根拠があるものではありません。前述したように、監修する人や国、文化などによって、選ばれる言葉が違うこともよくあります。 カーネーションの花名や花言葉の由来は? カーネーション(Carnation)は歴史の古い花で、その栽培は古代ギリシャ・ローマ時代までさかのぼります。このため、名前の由来にも古来さまざまな説があるようです。たとえば、この花が肉(ラテン語でcarn)の色に似ているから、というのがそのひとつ。もうひとつ、16世紀の著名な英国の詩人がパーティのときにこの花で冠(corona)を作り、酒に酔うことを防いだという説もあるようです。同じく英国で戴冠式(coronation)によく飾られたのでカーネーションという名前がついた、という説もあります。 ちなみに、属名であるダイアンサスはギリシア語で「神の花」を意味します。ギリシア神話において、ソニクスという美しい女性がカーネーションの冠を作り、アポロンの神殿に飾ったとの逸話があるからです。彼女が亡くなったとき、アポロンは彼女の行いに感謝してその姿をカーネーションの花に変えたとか。ここにも冠との共通点が見られます。 一方で、花言葉の由来は明確です。アメリカの南北戦争(1861~1865年)の際、ウエストバージニア州で敵味方を問わず負傷兵の看護にあたったアン・ジャービスという女性がいました。彼女が亡くなって数年後の1907年5月、娘のアンナ・ジャービスが亡き母に追悼を捧げるために教会で集会を開催し、母が好きだった白いカーネーションを配りました。彼女はその後、母の日の制定を熱心に世の中に働きかけ、おかげで1914年に5月の第2日曜日は母に感謝する記念日と定められ、正式に「母の日」として制定されたのです。 カーネーションの栽培が日本で広まったのは大正時代。母の日の習慣も、この頃には日本に伝わっていましたが、広く知られるようになったのは1950年代のようです。 もうひとつ、キリスト教では、イエスが十字架を背負ってゴルゴダの丘へ向かう途中、マリアが落とした涙が地面に落ちてカーネーションの花になったと伝えられています。このため、キリスト教ではカーネーションは無垢の愛とか母性愛のシンボルです。ダ・ヴィンチの描いた「聖母子」でも、聖母マリアがカーネーションを手にしています。 こうしたことから、カーネーションの花言葉には「純粋な愛」「母への愛」など、母への愛情や尊敬を表すものが多いのです。その一方で、なぜか黄色いカーネーションにはネガティブな花言葉がつけられています。バラやユリなどほかの花でも同様に、黄色い花には不吉な意味をもつものが多く、黄色いカーネーションの場合にも色から来ているものだと思われます。 なお、元々アンナ・ジャービスが配ったのは白のカーネーションでしたが、現在では主に赤のカーネーションが使われるのは、英語の花言葉や色のイメージから赤のほうがお母さんに似合うから、と言われています。また、かつてはお母さんが存命の場合には赤のカーネーション、亡くなっている場合には白のカーネーションを用いる、などと言われていましたが、現在ではそうした区別はあまりなされていません。 カーネーションの英語名と、海外での花言葉 カーネーションの英語名は「Carnation」もしくは「Clove pink」。Clove pinkというのはちょっと不思議な表記ですよね? じつはこのcloveとは香辛料のクローブ、つまりチョウジのこと。なぜカーネーションとクローブが結びつくのかというと、ヨーロッパではこのふたつの香りがよく似ていると思われていたからです。かつて、カーネーションはワインに風味や香りをつけるためによく使われました。つまり、カーネーションは観賞用である以前にハーブの一種でもあったわけです。ペルシャやインドなど東方からもたらされる貴重で高価なクローブの代用品としてカーネーションが使われるうち、ヨーロッパの諸言語でこのふたつが混同されたといわれています。原種の花色がピンク色だったためにcloveにpinkがついたのでしょう。 英語での花言葉は「fascination(魅惑、魅力)」「love(愛情)」「distinction(卓越、名声)」などとされています。 色別の花言葉は下記のようになります。 Red Carnation(赤いカーネーション) 「My heart aches for you(たまらなくあなたに会いたい)」 「deep love(深みのある愛)」 「admiration(敬愛、感嘆)」 White Carnation(白いカーネーション) 「sweet and lovely(かわいらしくて愛らしい)」 「innocence(純真・純潔)」 「pure love(純粋な愛)」 Pink Carnation(ピンクのカーネーション) 「I’ll never forget you(あなたを決して忘れない)」 「a woman’s love(女性の愛)」 「a mother’s love(母の愛)」 Yellow Carnation(黄色いカーネーション) 「You have disappointed me(あなたには失望した)」 「rejection(拒絶・拒否)」 「disdain(軽蔑)」 Purple Carnation(紫のカーネーション) 「capriciousness(気まぐれ)」 「changeable(変わりやすい)」 フランス語ではカーネーションは「œillet(ウイエ)」で花言葉は「 effronterie(厚かましさ)」となります。色別では、赤いカーネーションが「hélas pour mon pauvre cœur(ああ、私のかわいそうな心)」、ピンクのカーネーションが「amour d’une femme(女性の愛)」、黄色いカーネーションが「dédain(軽蔑)」です。 ドイツ語ではカーネーションは「Nelke(ネルケ)」。花言葉は、赤いカーネーションが 「Ich liebe dich heiss (ぼくは君を熱愛する)」、白いカーネーションが「 Ich bin noch frei(ぼくはまだ自由だ)」となります。 花言葉の世界はいかがでしたか? 花言葉にはさまざまな物語が隠れていますね。ただし、花言葉は明確な根拠があるものではないので、あまりこだわりすぎないことも大切です。花を買うときには、自分の好きな色、そのときにビビッと来た色の花を選ぶのが、いちばんよいのではないでしょうか。 Credit 記事協力 構成と文・高梨奈々
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5月の誕生花、シャクヤク。花言葉や花名の由来、英語名を紹介します
シャクヤクの花名、花言葉の由来は? シャクヤクを漢字で書くと「芍薬」。「芍」は、抜きんでて美しいという意味をもちます。そして、シャクヤクの根は、古くから鎮痛剤などに用いられてきた生薬(しょうやく)。花名の由来は、見とれてしまうほど見目麗しい花をつける「薬」ということのようです。 花名の由来には、たおやかで、やさしげな姿を意味する「綽約(しゃくやく)」から転じた名前だとする説もあります。いずれにせよ、その美しさをたたえられ、花名になったよう。余談ですが、「綽(しゃく)」は、ゆったりとした様を意味します。焦らず、のんびり構えていることを「余裕しゃくしゃく」と言いますよね。漢字では「余裕綽々」と書きます。 花言葉についても紹介しましょう。シャクヤクは、その華やかな風貌からは、ちょっと想像がつきにくい花言葉をもっています。それは「恥じらい」「はにかみ」「謙虚」というもの。なぜでしょう? 一説には、イギリスの古い民話が由来とか。恥ずかしがり屋の妖精が、ある日、シャクヤクに隠れたら、花も赤く染まったそうです。羞恥心のシンボルとして伝わり、かわいらしいこんな花言葉になったのかもしれませんね。 シャクヤクの英語名、海外での花言葉が知りたい 英語は「ピオニー」。これはじつは、シャクヤクとボタンの仲間の総称です。シャクヤクだけを指すときは、こんな呼び方をされています。原産地の名前を冠して「Chinese peony(チャイニーズピオニー)」。また、草のとか草本の、ハーブの、という意味の形容詞をつけた「herbaceous peony(ハーベイシャス ピオニー)」。あとで触れますが、シャクヤクって草なんですよ! 「ピオニー」は、ギリシャ神話の医療の神、パイエオンに由来するそうです。 ところで、英語には「blush like a peony」という慣用句があることをご存知ですか? 恥ずかしさから、ピオニー(シャクヤク)のように頬を赤く染める様子をいいます。 英語での花言葉は「bashfulness(恥じらい、はにかみ)」、「compassion(思いやり)」など。日本での花言葉と、そう変わりませんね。前に紹介したように、イギリスの古い民話から生まれたという説がありますが、、詳細はわかっていません。 シャクヤクの花言葉は色によっても変わります 花材:シャクヤク6種 花・田中光洋 撮影・中野博安 花色ごとにも、花言葉があるようです。 ピンク…はにかみ 赤…誠実 白…幸せな結婚 これらの3色をまとめてウエディングブーケにしたら、素敵でしょうね。 ※花言葉はその花の特質などに合わせて象徴的な意味をもたせたもので、明確な根拠があるものではありません。監修する人や国、文化などによって、選ばれる言葉が違うこともよくあります。 美人の代名詞、シャクヤクは5月の誕生花 誕生花とは、生まれた月や日にちなんだ花のことです。理由は定かではありませんが、自分のシンボルフラワーとして知っておくのも素敵かもしれませんね。 シャクヤクが誕生花の人は5月生まれの人。ちょうど旬を迎え、花屋さんにも切り花のシャクヤクが種類豊富に並んでいる頃です。バースデイウィークには、シャクヤクを飾ってお祝いしませんか? ちなみに、同じ5月生まれの誕生花には、スズランやクレマチス、アヤメ、花木のヒメウツギなど、爽やかな初夏の到来を告げる花々があります。 シャクヤクは、海を渡ってきた渡来植物です シャクヤクの基本データ 学名:Paeonia lactiflora 科名:ボタン科 属名:ボタン属 原産地:中国、朝鮮半島など 和名:芍薬(シャクヤク) 英名:chinese peony 開花期:5~6月 切り花の出回り時期:4~6月 花色:ピンク、赤、オレンジ、黄色、白 花もち:5~7日 シャクヤクのふるさとは、アジア大陸北東部。中国北東部やモンゴル、朝鮮半島北部などの一帯です。もたらされた時期については諸説あり、奈良時代、漢方薬の材料として、渡来したという説もあります。鑑賞のための生きた植物としての渡来は、平安時代もしくは室町時代とされます。そして、戦乱の世が過ぎ、園芸の技術が開花した江戸時代。茶席に飾る茶花として、品種改良が積極的に行われるようになったそう。なかでも、肥後藩(今の熊本県)では武士のたしなみとして園芸を推奨し、「肥後芍薬」という、数々のオリジナルの園芸品種が誕生しました。 多くの品種が江戸時代に誕生した肥後芍薬は、こんなシャクヤクです↓。 肥後六花に挙げられる肥後芍薬の花を見るなら、東京では早稲田の肥後細川庭園、大阪なら八尾市にある九宝寺緑地へ! 育種が本格的に行われるようになったのは明治期以降。神奈川県の農事試験場で育種が進められ、昭和初期には、なんと700種もの新たなシャクヤクが発表されたそうです。美しいシャクヤクを作り出そうとする熱意が伝わりますね。前述の肥後芍薬を合わせて誕生した日本生まれのシャクヤクは「和シャクヤク(和シャク)」と呼ばれ、ひと重咲きや、内側に小さな花弁をぎっしりと抱える翁(おきな)咲きなど、風情のある花形のものが多く見受けられます。 ひと重咲き(コーラルキング) 翁咲き(富士) 一方、中国のシャクヤクは、18世紀にヨーロッパへももたらされ、そこで生まれた品種は「洋シャクヤク(洋シャク)」と呼ばれます。バラ咲きなど、花びらの数が多く、豪華な姿同様に、香りの華やかな品種が多いのが特徴です。 バラ咲き(サラベルナール) シャクヤクとボタンの見分け方は、葉に注目 シャクヤク(芍薬)とボタン(牡丹)。あまりにも似ていて、紛らわしい花だと思ったことはありませんか。それもそのはず! どちらも、ボタン科ボタン属の花です。 ほら、この写真がボタン。ひとつ前の写真のシャクヤクと見くらべると…花びらの形や質感、ボリューム感たっぷりに重なる様子までよく似ていて、ぱっと見ただけでは、なかなか見分けるのが難しそうですね。 豆知識として、見分け方のポイントを紹介しましょう。 ■見分けポイント1 大きな違いは、シャクヤクは「草」で、ボタンが「木」だということ。シャクヤクは「宿根草」です。冬には、根だけを残してすべて枯れます。新芽が生まれるのは春。木にならない草本植物のため、別名を「草牡丹」。 ボタンは落葉低木。冬には茎だけの状態で越冬し、春になるとその茎に新芽が生まれます。幹は年々、太くなります。でも、これでは冬にならないとわかりませんね…。 ■見分けポイント2 すぐ知りたいときは、葉の様子に注目してみて! シャクヤクの葉は、枝先に三枚の葉がつく複葉。丸みを帯びて、つやつやと光沢があります。触ってみると、厚みもあります。 対して、ボタンはというと…。上の写真でわかるように、葉は同じ複葉でも、1枚ずつに切れ込みがあります。そして、いちばんの決定打。光沢がまったくありません!白く曇った葉の色をしていて、厚みもありません。 園芸用として庭に植えられている場合は、開花の時期も少し前後します。先に咲くのはボタンで、4月下旬~5月初め。シャクヤクは、5月初旬~5月下旬です。気候変動の激しい昨今ですから、思いのほか早く咲いた…なんてこともありますが…。 上手に選んで、切り花のシャクヤクを楽しんで シャクヤクのシーズンになると、待ってました!とばかりに、切り花のさまざまなシャクヤクが花屋さんに勢揃いします。馥郁と咲くシャクヤクの季節を満喫するために、これも覚えておきましょう。そう、花が咲かずに、つぼみのまま終わって、がっかりしないためのコツ! 花屋さんに並ぶ切り花のシャクヤクを購入するとき、いつもどんな状態の花を選んでいますか? 少しずつ花がほころぶ過程も楽しみたいからと、つぼみの花を買っていませんか? 確かに、つぼみで出回るケースは多いですが、じつは、シャクヤクの場合はお得感どころか、つぼみのままで終わったり、咲いても日もちがよくなかったりと残念なこともあるようです。 1日でも長く、きれいな花を楽しむには「少しでも、花びらが開いたシャクヤク」を選んでください。シャクヤクに限ることではありませんが、花はつぼみを開くとき、とても多くのエネルギーを消費します。その段階で体力を使っては、咲いたあと、息切れ状態に…。 花のもちは短くなります。なお、花びらが黒ずんでいたり、縮れていたりするつぼみは、すでに弱っていて、花が開かない可能性があるので、ご注意を。 葉の状態も確認してください。 〇葉がしゃっきりと立っている→水が行き渡っている証拠 ×葉がだらりと下がっている→水が下がっています ※その場合は次項目の対応策を! 切り花のシャクヤクを買ったら、下処理を! 咲きかけのシャクヤクを入手できて、これで万全だと、いきなり花器にいけてしまわないで。シャクヤクがもっているパフォーマンス力を最大限、引き出せるよう、まずは下準備をしましょう。 余分な葉を取って整理します いけたときに水に浸かる葉や、アレンジに生かさない葉はすべて取ってしまいます。せっかく、いきいきときれいな葉なのに、と思うかもしれませんが、これは花に十分な水を与えるための大事な作業です。 植物は主に葉から、吸いあげた水を蒸散します。吸いあげた水よりも、この蒸散の量が勝ってしまうと、花は、ぐったりと水切れを起こしてしまうんです。シャクヤクは、葉が大きく蒸散しやすい花。水切れを起こさないためにも、余計な葉は取ることが大切です。花と葉で別々に切り分けて、いけるのも手かもしれませんね。 同じ緑色でも、花のつけ根にあるのはガクです。このガクには、花の支えという大切な役割があります。ないほうがきれいかも?なんて取ってしまうと…花びらが落ちやすく。取ってしまわないよう、気をつけて。 茎を「水切り」しましょう 花の「水あげ」って知っていますか? 切り花の全身に水を行き渡らせ、元気な状態で楽しむために欠かせないステップ。茎を焼く、深い水で休ませるなど、さまざまな方法があるなか、いちばんスタンダードな方法が「水切り」です。シャクヤクはこの方法で、水が上がります。 手順は簡単! ボウルなどの深さのある容器に、水を注ぎ、水中で茎を切ります。このとき、茎は大きく斜めにカットすること。切ったあとは、茎を引き出さず、そのまま水中で2分ほど休ませましょう。 植物の茎には導管という水を吸い上げるパイプが無数に通っています。水中で、茎をカットすることで、導管内への空気の侵入を防げ、パイプの通りがぐんとよくなります。さらに、大きく斜めにカットすると、導管の数も増やせるというわけです。導管がつぶれないように、よく切れるハサミでカットしましょう。 しかし、葉がしんなりと垂れ、水が下がっている場合は、「深水(ふかみず)」を試してみてください。これも水あげ方法のひとつです。用意するものは、新聞紙とバケツなどの深めの容器。茎元だけ出るようにして、シャクヤクを新聞紙でしっかりと包んだら、水をたっぷりと注いだバケツに、茎を下にして入れておきます。水圧を高めて、水を上げる方法。花びらがデリケートなシャクヤクなので、水に浸からない部分は新聞紙で包んでおいて。バケツなどに入れて2時間ほど休ませると、しゃっきりとしたシャクヤクに復活です! つぼみは洗って、すっきりと 切り花のシャクヤクを選ぶときは、“少しでも、開いた花”がおすすめとはいえ、つぼみのシャクヤクしか入手できない場合もあるでしょうし、花がほころぶ過程をゆっくりと愛でたい気分のときもありますよね。 つぼみからいける場合はまず、つぼみを触ってみて。もしも、ベタベタした蜜がついていたら、洗いましょう(花屋さんで処理をしている場合もあります)。 方法は、これも簡単です。水切りをする前に、水につぼみを入れて、やさしく洗うだけ。 蜜がとれ、花びらが開きやすくなります。それにしてもなぜ、シャクヤクのつぼみには蜜がついているのでしょう? 一説には、アリとハチを蜜でおびき寄せ、つぼみを食べる害虫から身を守るためとか。虫同士の敵対関係を巧みに利用するシャクヤクって、すごいですよね。 毎日のお手入れで、さらにシャクヤクを長もちに きれいに飾ったシャクヤク。少しでも長く咲いていてもらうには、毎日のお手入れを忘れずに行ってください。シャクヤクのシーズンは、気温が高くなる初夏。いけたままでは水中にバクテリアが発生します。花の寿命を縮めるバクテリアの繁殖を防ぐために行いたいのが、水替えと切り戻しです。 器の中の水を入れ替える作業「水替え」 水替えとは、花をいけたあと、器の水を入れ替えることです。いけた水は、見た目には変わらなくても、汚れているもの。毎日が難しくても、2日にいちどは、器の中の水をきれいな水に替えましょう。その際、茎も丁寧に洗い、ヌメリを取るのがベター。 また、器の中を、食器用の中性洗剤で洗浄すると、バクテリアの発生がぐっと抑えられます。器を洗うときは、汚れが溜まりやすい底まで丁寧に。口が狭く、手が入らない器も、コップや水筒用の柄つきスポンジを使えば、隅々までキュキュッと洗うことができます。 「切り戻し」で茎を切り直し、吸水しやすく 花をいけたあと、茎や枝の切り口を新しく切り直すことを、「切り戻し」といいます。水替え時に、茎のヌメリを洗ってから行ってください。茎を新たにカットすることで、導管の入り口が新しくなるのです。水が下がりぎみのシャクヤクも、このひと手間でまた、元気に水を吸いあげてくれます。シャクヤクを切り戻すときも、水中で斜めにカットします。 花の見ごろが終わり、いけたシャクヤクとさよならをするとき、使った器は台所用除菌剤で、菌を徹底退治!しましょう。次の花のために、これもぜひ行いたいお手入れです。 Credit 記事協力 構成と文・鈴木清子
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百花の王! ボタン(牡丹)の花言葉や花名の由来、英語名を紹介します
ボタン(牡丹)の花言葉について知りたい! 植物に象徴的な意味をもたせる風習は太古の昔からあったようですが、現在のような花言葉の文化は17世紀のトルコが起源で、19世紀の西ヨーロッパで体系化されたとするのが定説になっています。日本における花言葉は、ヨーロッパの花言葉を土台にしたものと、独自につくられたものがありますが、いずれも、花の姿形だけではなく、その植物にまつわる伝説や風習などにも着想を得て考えられています。 ボタン(牡丹)の花言葉を紹介する前に、まずはボタンという植物について簡単に説明します。 ボタン(牡丹)の基本データ 学名:Paeonia suffruticosa 科名:ボタン科 属名:ボタン属 原産地:中国北西部 和名:牡丹(ボタン) 英名:Tree peony 開花期:4〜5月 花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、紫、複色(絞り咲き含む) 発芽時期:2〜4月ごろ(翌年の花芽形成開始時期:5〜7月ごろ) 生育適期:通年(高温多湿には弱い) ボタン(牡丹)は中国原産の樹木で、1〜2世紀には根皮が薬用に使われていたことが中国最古の薬物書からわかっています。その後、中国では5世紀ごろ、7〜8世紀に薬用として伝わった日本でも(遣唐使や空海が持ち帰ったともいわれます)、花の美しさに関心が集まり、観賞されるようになりました。 そんなボタン(牡丹)の花言葉は、 「風格あるふるまい」 「王者の風格」 ボタン(牡丹)の花の抜群の存在感や、雅やかな魅力にぴったりですね。しかし、古代から芸術家たちの創作意欲を刺激したボタン(牡丹)は、いわば“ミューズ”的存在の花なのに、“女神”や“女王”ではなく“王者”なのはなぜでしょう? 次の項では花名の由来や意味から、花言葉の成り立ちを考えてみたいと思います。 ボタン(牡丹)の花名や花言葉の由来は? 「ボタン(牡丹)」という和名は、中国の花名「牡丹」をそのまま使ったものです。ボタン(牡丹)と同じころに日本に伝わった漢音(中国北方系の読み方)では、「牡」は「ボウ」と発音するため、当時は日本でも「ぼうたん」と呼ばれていました。響きがなんだか可愛らしいですね。今でも俳句や短歌などの世界では、「ぼうたん」は健在です。 一方、現在の中国では、共通語で「ムゥー(↓)ダァン(↑)」という発音で呼ばれています。日本と中国でずいぶん違っていますね。 それでは、そもそも中国における花名「牡丹」の由来はどういったものでしょうか。実はまだ、決定的な根拠のある説はありません。赤色を意味する「丹」は、原種の花の濃い赤紫色からきていると考えられていますが、雄(オス)を意味する「牡」の解釈がいろいろで、どれも少しこじつけっぽく思えます。名付けた人はボタン(牡丹)の姿形や生態に、何らかの男性的なものを感じたのでしょうか。 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、女性の美しさを形容することわざにも使われているくらいですから、日本ではボタン(牡丹)を女性的な花ととらえている方が多いと思います。そうしたなか、「王者の風格」という雄々しい花言葉が与えられたのは、「牡」の字に引っ張られた可能性もありそうです。 あるいは、唐時代の呼び名「花王」「百花王」から派生したのかもしれません。これらの呼称は、宮廷の庭を飾る園芸植物の中でボタン(牡丹)がもっとも愛され、尊ばれたことから生まれました。宮廷に招かれた詩人たちは、皇帝ではなく、その妃を「花王」にたとえていますから、「花王」の「王」は“キング”ではなく“王者(チャンピオン、覇者)”の意味なのでしょう。花言葉とマッチしますね。 ボタン(牡丹)の花言葉には他にも、前項で紹介した「風格あるふるまい」を始め、「富貴」「高貴」「壮麗」などがあります。これらは、絹のような花びらが幾重にも重なる優雅でふくよかな花姿や、隋の煬帝や唐の玄宗皇帝らに愛されたという逸話にちなんでいます。 明治30年代にシャクヤクの台木を用いた接ぎ木方法が確立する以前は、ボタン(牡丹)の苗木はかなり高価で、上流階級や富裕層しか楽しめなかったそうです。「富貴」や「高貴」の背後には、そうした園芸事情も見え隠れしますね。 なお、ボタン(牡丹)には花の色ごとの花言葉はありません。妖艶な雰囲気を漂わせる濃い紫色のボタンも、清々しい純白のボタンも同じです。 花言葉は、業界団体や新品種の開発者が考えたり、メーカーが公募で決めるなどの方法でつくられます。ボタン(牡丹)の新品種は次々に作出されているので、将来はボタンの花言葉がもっとバラエティに富んでいるかもしれません。 ボタン(牡丹)の英語名と、海外での花言葉 ボタン(牡丹)の英名は「Tree peony(ツリーピオニー)」です。同じボタン科のシャクヤクは「Chinese peony(チャイニーズピオニー)」で、正式にはちゃんと区別されているのですが、日常的な場面ではボタン科(Paeoniaceae)の植物は、「Peony(ピオニー)」の総称で呼ばれることが多いです。 「ピオニー」という名前の由来については2つの有名な説があります。ひとつは、医薬を司る神ペオン(Paeon)説。もうひとつは、美しい妖精パエオニア(Paeonia)説。どちらもギリシャ神話の登場人物です。 ペオンの物語は、彼が不思議な植物を求めてオリンポスの山に行くところから始まります。全知全能の神ゼウスの子を身ごもった女神に出会い、その植物の根が陣痛を和らげることを教わったペオンは、冥界の王ハデスが戦いで負った傷をその薬草で治してやります。他の負傷した神々も同じように治療しますが、師である医神より優れた存在となったために、師に嫉妬されてしまいます。結末は2パターンあり、その後ペオンは師に殺され、恩人の死を悲しむハデスによってその薬草に変えられたとするバージョンと、殺されそうになったところをゼウスによって美しい花に変えられたとするバージョンがあります。 パエオニアの物語も、「高木は風に折らる」系のストーリーです。妖精パエオニアは誰もが振り返る美貌で、男性の神たちを虜にしていました。なかでも、オリンポス十二神の一人であるアポロンにも可愛いがられていたことが、美の女神アフロディテの機嫌を損ね、姿を花に変えられてしまいました。 ペオン、あるいはパエオニアが生まれ変わった花として、ボタン科の植物に「ピオニー」の名がつけられたとされています。 そのピオニーの西洋での花言葉は、 「compassion(思いやり)」 「bashfulness(恥じらい、はにかみ)」 「思いやり」は、ペオンやパエオニアがただ闇に葬られたのではなく、花に変えられたことと通じ合う気がします。彼らの運命を思うと、「恥じらい」にも、どこか教訓的な意味合いを感じますね。 「恥じらい」「はにかみ」の由来としてよく紹介されるものには、花の中央を隠すようなボタン(牡丹)の咲き方が恥ずかしがっているように見えたからとするものと、アジア原産の花に西欧人のアジア人観を反映させたというものがあります。皆さんの感覚にしっくりくるのはどちらでしょうか? 人々がボタン(牡丹)から受ける印象は、東洋と西洋でずいぶん違うことがわかりました。花の豪華さばかりに目を奪われがちですが、ボタンは私たちが知る以上に多彩な魅力を秘めているんですね。 Credit 記事協力 構成と文・橋 真奈美



















