花びらに見える苞(ほう)を1枚、くるりと巻いたシンプルな花に、しなやかで美しい茎が特徴のカラー。独特な花形は特に、ウエディングシーンで人気です。近年では、小ぶりなタイプの流通が増え、スタイリッシュで大人っぽい雰囲気のアレンジや花束に活躍しています。ここでは、個性的な姿、花形のカラーについて、どんな種類や品種があるのか、見分け方と一緒に詳しく紹介しましょう。

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カラーってどんな花?

まず、基本的なことについて知っておきましょう。

カラーの基本データ
学名:Zantedeschia
科名:サトイモ科
属名:サンテデスキア属(オランダカイウ属)
原産地:南アフリカ
和名:阿蘭陀海芋(オランダカイウ)
英名:Calla 、Calla lily、Arum lily
開花期:4~7月
切り花の出回り時期:周年
花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、黒、複色
花もち:7~20日
花言葉:乙女のしとやかさ、素晴らしい美

カラーの名前はギリシャ語のカロス(「美」の意味)に由来するという説、カトリックの尼僧がつける襟(えり)、つまりカラーに似ているからという説があります。

和名の阿蘭陀海芋は、オランダ船によって運ばれてきた、サトイモに似た根をもつ花という意味。江戸末期の1843年に、日本に渡来したとされています。

カラーはサトイモ科の植物です。早春の湿地に咲くミズバショウは、同じサトイモ科の仲間で、茎の長さは異なりますが、花のつくりはよく似ています。

花のつくり

苞(ほう)

一般に花びらと呼ばれる部分は、仏炎苞(ぶつえんほう)という葉が変化したものです。大きな花びらを1枚巻いたような、独特の形をしています。苞の厚さや巻きの深さは品種によって異なり、咲くにつれて艶が増す品種もあります。本記事では仏炎苞を、「花びら」とわかりやすく表記します。

仏炎苞に包まれた、黄色い棒状の部分が本来の花です。小さな花が穂状に並んで、太い肉穂花序(にくすいかじょ)になっています。写真の左側の花のようなつるんとした状態から、日が経つと右側の花のように花粉が出ます。花粉は花を逆さまにして振ると、花を汚すことなく落とすことができます。品種のなかには、ミモザのような甘い香りを漂わせるものもあります。

カラーは大別すると、湿地性と畑地性の2種類があります。湿地性カラーの葉は基本的にハート形で、畑地性はハート形や細長く尖ったものなどがあります。また、斑入り模様などもあり、肉厚で光沢のあるきれいな色と形をしています。しかし、葉は水があがりにくいので、花材として市場に出回ることはありません。

茎はためることで、表情をつけることができます。「ためる」とは、中指と親指をずらして茎を持ち、ゆっくりしごくと、ゆるやかなカーブがつくこと。水がよくあがっていると、茎が折れることもあるので、丁寧に扱いましょう。畑地性の小ぶりなカラーのほうが、茎にカーブをつけやすいでしょう。また、器にいけるばあいは、器の内側に沿って曲げると、きれいな曲線を描くことができます。

カラーを購入するとき、扱うときの注意点

カラーは花に張りがある、しっかりしたものを選ぶと長もちします。水あげ、水もちがとてもいい花ですが、購入するときは次のような点に注意すると、長く花を楽しむことができます。

鮮度を見るときのチェックは、ここ!

前述したように、花びらの中の花に、花粉が出ていたら、時間が経った花です。花が、花粉がまだ出ていない、つるんとした棒状なら、新鮮です。

花はとてももちがよく、1日水からあげてもあまり変化が見られません。花びらに傷みが出るほど、鮮度が落ちた花材が店頭に並ぶことは基本的にありませんが、茎を見ると鮮度がわかります。古くなったり、水があがってなかったりすると、張りがなくなり、茎に筋が入ったりします。写真の上のカラーは新鮮なもの。下は日にちがたったカラーです。

花の価格は、茎の長さで決まります

写真は左から丈が60cm、70cm、90cm。どれも同じ品種です。小さなアレジ用、大きなものはいけ込み用など、用途に合わせて選べるように、花産地は長さごとに分けて市場に出荷しています。基本的に丈が長いほど価格は高くなります。さらに、花びらが長く、花の直径が大きいもの、フォルムがきれいなものが最高級品となります。

切り花カラーが出回る時期が周年

湿地性のものは晩秋から初夏にかけて出回りますが、畑地性のものは周年出回っています。輸入品は畑地性がニュージーランドなどの南半球を中心に出回り、アフリカや中南米産もあり、真夏以外の時期に流通しています。

飾ったあとのお手入れ、注意点

カラーは、水あげ、花もちがとてもいいので、扱いやすい花材です。ただし、湿地性は乾燥を嫌うので、花が乾いたときには霧を吹きます。畑地性はウイルスに弱いため、特に気温が高い時期はまめな水替えが必要です。

カラーの原種について知りたい!

カラーの仲間は8種類あり、いずれも原産地は南アフリカが中心です。多年草ですが、肥大した地下茎、塊茎をもつため、通常球根類に分類されています。原種の花色は白、ピンク、黄色。種間交雑に、現在のさまざまな色の品種が誕生しています。

湿地性のカラー

代表的な白い花のエチオピカが、和名のオランダカイウです。1761年ヨーロッパに伝わり、日本には1843年に伝わりました。この1種だけが川や池などの湿地を好む湿地性のカラーです。基本形は草丈が約1m、花は7~20㎝。花色は白のほか、ピンクがあります。

カラーはエチオピアの国花で、リリー・オブ・ザ・ナイルと、美しい別名をもっています。花の上部が緑色のものは、グリーンゴッデスという園芸品種。切り花でも出回っています。

畑地性のカラー

前述した、湿地性のエチオピカ以外の種類は、水はけのいい草地や岩場に自生し、湿気を嫌う畑地性カラーといわれています。

原種のアルボマクラタは、和名がシラホシカイウ。明治時代初期に日本に渡来しました。草丈は約60㎝で、花は乳白色です。湿地性のオランダカイウよりも花が細く、花の上部が鋭く尖っています。

19世紀末にヨーロッパに伝わり、大正時代の初めに日本に伝わったのが、和名キバナカイウです。草丈は約90㎝。花は長さ20㎝弱で、内側が黄色。葉には、白または半透明の斑点があります。

レーマニー種といわれるタイプは、和名がモモイロカイウ。ヨーロッパには1883年、日本には大正時代初めに伝わりました。草丈は約30㎝と小さく、花は約12㎝と小輪。名前のとおり、淡いピンクで、紫紅色もあります。現在、このタイプの園芸品種が増えています。

カラーの種類ごとの違いと見分け方

湿地性、畑地性のふたつのタイプがありますが、一見して同じように見えます。湿地性は花がやや大きく、白、ピンクが中心。畑で育つ畑地性は小ぶりで、カラフルな花色が揃います。

花材:カラー(フローレックスゴールド)、グレビリア、ユーカリ、ヘデラ

畑地性の黄花のキバナカイウや桃花のモモイロカイウなどの交配によって、多数の園芸品種が数多く作出され、以前に比べ、花色がぐっと豊富になりました。

花材:カラー(ガーネットグロー)、パンジー、ムスカリ、ヒューケラなど

大きな白のカラーのなかでも、茎が太くて柔らかいものは湿地性のカラー。赤、紫、ピンク、白、黄、緑、オレンジなど、カラフルな花色のカラーは、畑地性でしょう。

画像一覧つき! カラーの人気品種

花色が豊富で、清楚な白から、シックで濃厚な花色まで揃います。

ウエディングマーチ

ウエディングブーケなどによく使われてきた、湿地性の白い大きな花の代表がウエディングマーチ。花が大きく、丈が長いカラーです。畑地性に比べて、茎は湿地性のほうが柔らかい。

グリーンゴッデス

緑色と白のグラデーションが爽やかな大輪。色の出方が花ごとに異なります。湿地性。

しろたえ

湿地性の品種。小ぶりながらよく開いて咲きます。

ホットチョコレート

花から茎までチョコレート色という個性を極めた品種。畑地性。

マジェスティックレッド

濃い赤紫色。開いてから数日たつと、花に艶が出ます。畑地性。

フローレックスゴールド

数ある黄色系の品種のなかで、もっとも美しいといわれる大輪品種。畑地性。

ガーネットグロー

寒い時季ほど鮮やかなピンクがのります。畑地性で、丈は短い。

キャプテントリニティ

花の端の方が強いオレンジ色に染まる花色。オレンジ色でもニュアンスカラーなので花色が強くなりすぎず、使いやすい。

キャプテンサファリ

ややオレンジを含むニュアンスのある黄色。畑地性のカラーです。

カントール

赤黒い濃い花色が印象的。茎は緑色。

キャプテンプロミス

花合わせがしやすい明るい赤紫色。

キャプテンロマンス

くすみ感のあるピンク。花びらの端の方が濃くなるグラデーション。

キャプテンビオレッタ

人気のモーヴカラー。グラデーションが美しい。

ブラックアイビューティ

白い花びらに、黒っぽい花底の色が美しく、印象的。

Credit

記事協力

花・熊坂英明、宮﨑慎子 撮影・山本正樹 構成と文・瀧下昌代

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