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知りたい! カーネーションの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方

知りたい! カーネーションの種類や品種、それぞれの特徴と見分け方

誰もがよく知る身近な花、カーネーション。とくに、フリルみたいな花びらがぎっしり集まっているところが、なんとも言えず愛らしいですよね。花色の種類が豊富だし、大輪から小輪までいろいろな花形があるので、さまざまなイメージを演出できるのも魅力です。そんなカーネーションの種類や品種について、詳しく解説します。

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カーネーションってどんな花?

まずは、カーネーションについて、基本的なことを知っておきましょう。

■カーネーションの基本データ
学名:Dianthus caryophyllus
科名:ナデシコ科
属名:ナデシコ属
原産地:南ヨーロッパ、西アジア
和名:阿蘭陀石竹(オランダセキチク)、阿蘭陀撫子(オランダナデシコ)、麝香撫子(ジャコウナデシコ)
英名: carnation、Clove pink
開花期:4~6月
花色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白、紫、緑、茶、複色
花言葉:純粋な愛、感動

カーネーションの栽培の歴史は古く、古代ギリシャ・ローマ時代までさかのぼるようです。その当時のカーネーションは鑑賞するためだけでなく、食用としても使われていました。日本では明治時代の終わりに東京で栽培が始まったと言われ、全国に広まったのは大正時代になってからでした。

カーネーションは母の日の花としてもよく知られています。母の日にこの花を贈る習慣は、100年以上前のアメリカで始まりました。アメリカの南北戦争(1861~1865年)の際、ウエストバージニア州で敵味方を問わず負傷兵の看護にあたったアン・ジャービスという女性がいました。彼女が亡くなって数年後の1907年5月、娘のアンナ・ジャービスが亡き母に追悼を捧げるために教会で集会を開催し、母が好きだった白いカーネーションを配ったのが母の日の起源です。彼女はその後、「母の日」の公式な制定を熱心に世の中に働きかけ、その結果1914年に5月の第2日曜日は母に感謝する記念日と定められ、正式に「母の日」と制定されました。母の日の習慣は大正時代には日本に伝わっていましたが、広く知られるようになったのは1950年代のようです。

日本ではカーネーションはキク、バラに次いで生産量の多い花です。色や形のバリエーションも多く、1995年には遺伝子組み換え技術によって、自然界にはない青色色素をもつ品種も誕生しています。花もちは切り花のなかでも抜群によく、爽やかな香りがある品種もあります。

カーネーションを購入するとき、扱うときの注意点

カーネーションはもちのいい丈夫な花ではありますが、下記の点には注意が必要です。

鮮度を見分けるにはガクを見る

花の色や花びらの状態だけでは鮮度の判断が難しいのがカーネーション。新鮮な花を選びたいときは、花よりも花の下にある緑色のガクをチェックしましょう。ここが茶色くなっていたり、割れたりしている場合は、花の鮮度がよくない証拠です。ガクの先端まで緑色をして、ピンと張りがあるものを選んでください。

咲くつぼみと咲かないつぼみがある

スプレー咲きの場合、つぼみがたくさんついているもののほうがおトクな感じがすると思います。でも、カーネーションのつぼみは全部が全部、咲くわけではありません。写真左側のように、少しガクの先端が開いて花びらがのぞいているものは、咲く可能性が大です。でも、右側のように、先端までしっかりと緑色のガクに包まれているつぼみは、まず咲きません。それどころか、つけておくとムダに花のエネルギーを消費してしまいます。デザイン的につぼみがあったほうがいい場合は別として、とくに必要ないつぼみは、カットしたほうが花が長もちします。カーネーションは咲いてからのもちがいいので、花屋さんでスプレー咲きを選ぶときは、つぼみがたくさんついているものより、花がすべて咲いているもののほうがおすすめです。

節のところで折れやすいので要注意

カーネーションはとても丈夫な花で、数時間程度なら給水をせずにおいてもしおれることはありません。このため、長時間持ち歩いたり、パーティなどで水を使えない場所に飾ったりするときにはとても便利です。そんなカーネーションの唯一の弱点が、茎の節。ここは細胞が裂けやすく、ちょっとした刺激で折れてしまうことがよくあるのです。なので、花屋さんから家に持ち帰るとき、花をいけているとき、ここを強い力でつかまないように注意してください。アレンジを飾った後も、ちょっとぶつかっただけで茎が節から折れることがありますので気をつけて。とくに涼しい時期には折れやすいようなので、人が通る場所などに飾るのは避けたほうが無難かも。ほかの花と違い、カーネーションは花びらの傷みよりもむしろ茎の傷みに注意する必要があるのです。

カーネーションの原種について知りたい!

カーネーションが属するナデシコ属に含まれる花は約300種。ヨーロッパから地中海沿岸地域、アジア、熱帯・南アフリカの山地などに自生しています。ですが、現在栽培されている種の原種ははっきりしていません。ナデシコ属は種間交雑が簡単に行われる花なので、南ヨーロッパや西アジア原産のひと重の多年草Dianthus caryophyllus (ダイアンサス・カリオフィルス)と、Dianthus chinensis(ダイアンサス・シネンシス)などのほかのダイアンサス属の花との交雑が長い年月にわたって繰り返され、品種改良が進められてきたのではないかと考えられています。ダイアンサス・カリオフィルスは、色はピンク~ベージュピンクで、 チョウジのようなちょっとスパイシーな香りがあり、古くはワインの風味づけに使用されていました。カーネーションはもともとはハーブのような使われ方をしていたようで、その理由もこの香りがあったからでしょう。

特徴で、4つのタイプに分けられます

カーネーションは、それほど種類が多くはありません。花が茎にどのようについているか、もしくは花の形の特徴によって、次のようにタイプに分けることができます。

花のつき方で分けると…
●スタンダード
●スプレー咲き

花の特徴で分けると…
●剣弁咲き
●極剣弁咲き
●丸弁咲き
●ひと重咲き

画像一覧つき! カーネーションの種類ごとの違いと見分け方

「3.特徴で、4つのタイプに分けられます」で紹介したカーネーションの種類について、それぞれの違いや見分け方を画像つきで紹介します。

花のつき方

スタンダード

1本の茎の先に1輪の花がつきます。花が大きく、花びらがたっぷりついてボリュームもあるので、華やかな印象です。花顔をぎゅっと固めて面にして使うと、さらに豪華に見えます。

スプレー咲き

枝分かれした茎の先に、つぼみも含めて数輪の花がつきます。花が小さめで愛らしい印象。切り分けて使えるので、おトク感がありますし、1本でさまざまなあしらい方ができます。

花の特徴

剣弁咲き

花びらの縁にギザギザした切れ込みが入る、昔ながらの代表的な花形です。カーネーションといえばほとんどの人がこのタイプを思い浮かべますし、絵画などにもよく描かれます。

極剣弁咲き

先端にギザギザのある細い花びらが、剣のように尖っているユニークな形。別名スター咲きともいいます。つぼみも含め、ぱっと見にはカーネーションに見えない珍しい種類です。

丸弁咲き

花びらの縁に切れ込みがない、もしくは非常に少ないタイプ。よ~く見ないと剣弁咲きとの違いがわからないのですが、柔らかな雰囲気が好まれ、最近品種も増えています。

ひと重咲き

ナデシコと見分けがつきにくい、ひと重、もしくは半八重咲きタイプ。どれも楚々とした小輪です。主役にするよりも、アレンジのアクセントとして使うほうが向いています。

画像一覧つき! カーネーションの人気品種

数え切れないほどたくさんの品種があるカーネーション。同じピンクでも多彩なトーンのものが揃うので、どれを選んでいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、カーネーションの人気の品種を画像付きでご紹介します。複色から絞り模様が入ったものまで、さまざまな品種が揃います。最近はとくに濃い色のものが人気なので、濃い色をアレンジに取り入れてみるのもいいかもしれません。

スターチェリー

花径4cmのひと重咲き。小輪ながら、先端に深い切れ込みが入った花びらにはインパクトがあります。

ソネットフレーズ

かわいくなりがちなピンクの濃淡ですが、色合いが深いので大人っぽく落ち着きのある印象を与えるひと重咲きです。

ダークテンポ

くすんだピンクの花びらを赤が縁取るので、華やかでありながらシックな表情にもなります。

ミヤビ

ベージュの花びらに赤い絞り模様が入った個性的な色合いです。ちょっと和風なテイストがあるのも魅力のひとつ。

オペラ

透明感のあるピュアなピンクなので、幅広い使い方ができます。甘い雰囲気のアレンジの主役にぴったりです。

ロイヤルグリーン

淡い緑色が爽やかなスプレー咲き。花らしさの少ない緑系のカーネーションは、アレンジをおしゃれな雰囲気に仕上げてくれます。

ホワイトバーバラ

くしゅっとした純白の小輪は、絞った生クリームを思わせます。ブライダルなどにも使われるキュートな品種です。

ドヌーブ

やさしいピーチ色の花は、メインはもちろん、空間を埋めるサブ花材としても重宝します。どんな花色に添えても似合うからです。

同じ育種家・会社が開発し、シリーズになっているもの

ムーンダスト

カーネーションでは珍しい、青色色素をもつブルー系のムーンダスト。写真上はライラック色が清楚なスプレー咲きの「ムーンダスト・パールブルー」、下は濃い色合いとマット感が特徴的な「ムーンダスト・ベルベットブルー」。

レリシア

色づく前の堅いつぼみのうちにガクをはずし、花びらを根元から大きく開かせた特別な作り方をしています。写真上はピンクの「アオモリ」、下はレリシアを4本(黄色、ピーチ色、白2本)組み合わせた、花径13cmの超大輪の「レリシア4」。

このほかに、濃い色が揃うノビオシリーズ、上に挙げた「ソネットフレーズ」を含むスプレー咲きのソネットシリーズなども人気があります。

Credit

記事協力

構成と撮影と文・高梨奈々

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