おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-の記事
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ガーデンデザイン

【おすすめ!】トゲ少なめで誘引しやすくナチュラルに景色を彩るつるバラ7選
つるバラとは? 柱に誘引したピンクのバラは、花にも葉にもハーブのような香りがある‘コンスタンス・スプライ’。 バラには自立して育つ「木立ち性のバラ(ブッシュ・ローズ)」と、自立せずに長く伸びたつるをアーチなどに留めつけて育てる「つるバラ(クライミング・ローズ)」、この2つの中間のような性質を持つ「半つるバラ(シュラブ・ローズ)」の3タイプの樹形があります。 樹高が6m以上になる‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’。 つるバラの枝は1年で2m以上、品種によっては7mくらい伸びるものもあります。この長く伸びた枝をアーチやフェンスなどに留めつけることを「誘引(ゆういん)」といいますが、品種によって枝の太さややわらかさ、トゲの多寡などが異なるので、仕立て方や空間の広さ、誘引時の労力も考慮して選ぶことが大事です。 私のつるバラ選びの5ポイント 上記のとおり、品種によって特性の異なるつるバラですが、私が気に入っているものには、以下の5つのポイントが共通点として挙げられます。 トゲがほとんどなく、枝が細くしなやかで誘引しやすい‘メアリー・ディレイニー’。 ① 枝が細めでしなやか/誘引や剪定(枝を切ること)がしやすく、花や葉を落とし枝だけになる冬期も繊細な雰囲気です。② トゲが少なめ/誘引しやすく、ケガの心配が少ないです。③ 小輪〜中輪/ほかのつるバラや草花と組み合わせたときに馴染みやすいです。④ 消毒なしでOK/病害虫の被害が受けにくく、丈夫な品種を選んでいるので、バラには基本的に消毒をしていません。⑤ 香りがある/バラは品種ごとにさまざまな香りがあり、最盛期にはあたりに甘い香りが漂います。品種によっては香りがまったくないものもありますが、できるだけよく香るものを選ぶようにしています。 これらのポイントに加え、名前が素敵であることも選ぶときのポイントにしています。「このバラは何?」と聞かれたときに、素敵な名前やエピソードがあると、お話しするのも楽しいものです。そんな私のお気に入りのつるバラたちをご紹介します。 アーチ状になり誘引しやすい「クラウン・プリンセス・マルガリータ」 ヴィクトリア女王の孫娘で、一流の造園家でもあったスウェーデン皇太子妃の名前を冠したバラです。アプリコット色の中輪の花を房になって咲かせます。咲き進むにつれて外側の花弁が反り返ってクラシカルな花形になり、色が淡くなっていく変化も美しい花です。花は果物のような爽やかさを感じる強香。淡い紫色のガーデンシェッドの壁に、白花の‘スノーグース’とともに誘引しています。枝はしなやかで自然にアーチ状になり、トゲも少なめで誘引もしやすいです。樹高は3m前後。5月が一番花が多く咲きますが、その後も返り咲きます。 トゲがほぼなし!「メアリー・ディレイニー」 ‘メアリー・ディレイニー’は2022年に「モーティマー・サックラー」から改名したバラで、品種自体は古くからあります。ほんのり淡いピンク色で、ゆるっと開く半八重咲きの花がナチュラルでリラックスした雰囲気を庭に醸し出してくれます。このバラも中輪でとても爽やかないい香りがします。病気に強く非常に丈夫ですが、一番のおすすめポイントはトゲがほとんどないこと。誘引時のストレスがありませんし、人が通る場所でも安心して育てることができます。樹高は3m前後で、四季咲き。 つるバラの使い方ワンポイント① ‘メアリー・ディレイニー’は低い位置にも花が咲いてくれるので、草花との共演も楽しめます。はかなげな淡いピンクの花と相性がよいのは、ブルーや白の花。私のお気に入りは水色の花をふわふわと咲かせるギリア・カピタータやニゲラです。一年草ですが、こぼれ種から毎年芽を出して育ちます。 左/ギリア・カピタータ。右/水色のニゲラ。 遅咲きでバラのシーズンを延ばしてくれる「デビュタント」 社交界にデビューする少女を意味する「デビュタント」。そんな可憐なイメージで咲く小輪のつるバラです。ほかのバラに遅れて、鳥取県米子市では5月20日過ぎから見頃を迎え、バラのシーズンを引き延ばしてくれる貴重なバラです。半八重咲きでピンクの花色は、咲き進むにつれ淡く変化します。華奢な花枝がタランとこぼれるように咲き、高いところに誘引すると独特の風情が楽しめます。生育旺盛で6mくらい伸びる大型のつるバラで、壁にワイヤーを張ってそこに枝を誘引しています。花は微香で5月の一季咲き。同様に遅咲きで小輪、アプリコット色の‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’と一緒に咲かせています。 華奢な花枝を垂らして咲く‘デビュタント’。 朝夕の光に輝く「ティージング・ジョージア」 深みのあるイエローの優雅な花は、朝夕の光に照らし出されて輝くように咲き、甘い香りをあたりに漂わせます。クリニックの玄関の壁からアプローチの屋根の内側へ誘引していますが、トゲは普通にあるほうなので、人が手を触れない場所に植えています。患者さんからは「このバラを見て気持ちが明るくなった」「香りに癒やされる」という声も聞こえる、とても人気のある花です。イエローのバラはパッと明るく朗らかな印象なので、玄関など人をお迎えする場所には合っているのかなと思います。樹高は2.5〜3mで、非常に丈夫。病気や害虫に悩まされることもなく、もう何年もこの場所で美しい花を咲かせています。 つるバラの使い方ワンポイント② 壁に誘引したつるバラは、ほかの花の背景としても活躍します。‘ティージング・ジョージア’を誘引した壁の前の鉢には、いつもブルー系の花を寄せ植えにしています。黄色とブルーは補色関係にあり、お互いの色を引き立て合い、美しい風景を作ってくれます。 サルビアやフロックス、ブラキカムなどブルー系の花を寄せ植えした大鉢。 ナチュラルな咲き姿が魅力の「シャンペトル」 シャンペトルとはフランス語で「田園風」という意味で、その素敵な名前にひかれて買ったバラです。その名のとおり、花と葉のバランスがちょうどよく、とてもナチュラルな咲き姿なのが気に入っています。バラの中には花つきがものすごくよく、空間をびっしり花で埋め尽くすように咲くタイプもあるのですが、この庭ではほかの草花との調和を重視してバラを選んでいるため、このくらいのフワッとした咲き具合がちょうどいいのです。トゲがほとんどなく、病気にもならず、とても丈夫。樹高は120〜150cmと、しなやかな枝は伸びすぎないので誘引の手間もほとんどかからず、とても使い勝手のよいバラです。 ‘シャンペトル’の下には野生的な雰囲気で咲くセンティッド・ゼラニウムを。 四季咲きで冬のローズヒップも可愛い「スノーグース」 左/春の‘スノーグース’。右/冬の赤い実とアプリコットがかる花。 小輪の白い花をたわわに咲かせる様子は、雪におおわれたようです。咲き始めはほんのりとピンクがかり、次第に真っ白になっていきます。四季咲きで12月に入ると赤いローズヒップが実り、これも可愛いのです。チラチラと咲く冬の花は、春とは異なり数は少なく、色もアプリコットがかっています。樹高は2〜3mほどでトゲが少なく、しなやかな枝は誘引もしやすいです。 左端の白いバラが‘スノーグース’。 白いふわふわとした花の雰囲気に似合うように、株元には同じ白花でふわふわと咲く宿根草のセントランサス‘スノークラウド’を植栽して白いコーナーにしています。 セントランサス‘スノークラウド’。宿根草で何年も同じ場所で花を咲かせますが、こぼれ種であちこちに増えていきます。 シックな赤と濃厚な香りの「スヴニール・ドゥ・ドクトル・ジャメイン」 濃い赤色の中輪のつるバラで、バラらしいダマスク香が濃厚に香ります。赤色にもさまざまニュアンスがありますが、このバラは黒みを帯びてとってもシックな雰囲気。つるはわりとしっかり真っ直ぐ伸びるほうですが、トゲがほとんどないので扱いやすいです。本来の樹勢は普通なのですが、この庭ではほかのバラとコラボレーションさせることが多く、生育旺盛な‘メアリー・ディレイニー’のそばに植えていたら、4〜5年後に樹勢が負けて花付きが悪くなってきてしまいました(写真は3年目)。単体で植えるか、ほかのバラと組み合わせるときは、お相手選びを慎重にすることをおすすめします。 ‘スヴニール・ドゥ・ドクトル・ジャメイン’と‘メアリー・ディレイニー’との競演。3年目くらいまでは見事でしたが、その後、‘スヴニール・ドゥ・ドクトル・ジャメイン’の樹勢が衰えてきました。 つるバラの病害虫対策 基本的に病気に強い品種を選んでおり、つるバラに消毒はしていません。バラの代表的な病気にはうどんこ病と黒点病があり、花の盛りが終わって夏になると黒点病にはかかります。黒点病にかかった葉は、ポツポツと黒い点ができ、やがて黄変して散ります。しかし、それでバラが枯れるということはなく、上の写真のとおり、春になればまたみずみずしい緑の葉が展開し、わんさか花を咲かせるので気にしていません。四季咲き性のバラを秋にもたわわに咲かせたいと思ったら、葉を残しておいたり消毒をする必要も出てくるのでしょうが、秋はコスモスや寄せ植えを楽しんでいるので、バラはポツポツ咲くだけで私は十分満足しています。つるバラは5月に楽しめればOK!というスタンスで栽培すれば、消毒の面倒からは解放されます。 一方、葉がうどん粉をかけたように白くなるうどんこ病にかかると、バラが枯れてしまうので気をつけなければなりません。この庭はクリニックの待合室でもあり、さまざまな体調の方がいらっしゃいますし、消毒の面倒も負いたくないので、私は初めからうどんこ病にかからない品種を選んでいます。ここでご紹介したつるバラは、これまでうどんこ病にかかったことはありません。 気をつけたいバラの害虫テッポウムシ バラの新葉やつぼみを枯らすバラゾウムシ。 同様にバラにやってくるバラゾウムシなどの害虫に対しても、基本的に見つけたら手でとるスタイルです。つるバラの多くは大きくなると花がたくさん咲くので、多少虫にやられたとしても、ガッカリするほどのレベルに至ったことはありません。ただし、カミキリムシの幼虫「テッポウムシ」だけは、大株のつるバラを枯らす被害をもたらすので注意が必要です。 株元をチェックしてオガクズが出ていたら、幹の中をテッポウムシが食い荒らしている証拠なので、その時ばかりは穴に細いノズルを差し込んで噴射する殺虫剤を使います。また、テッポウムシの成虫、ゴマダラカミキリムシは6月頃から庭に現れるので、産卵される前に見つけたら捕殺します。 6月以降はこの虫に要注意。ike-yama/Shutterstock.com つるバラの咲く庭の楽しみ 庭の「映えスポット」。記念撮影する人がたくさん。 つるバラは構造物に誘引して咲かせるので、人が立った高さのところに花が咲いてくれ、香りを楽しむのにちょうどいいのです。ですから、庭を歩いていていろんなバラの香りが楽しめるように、なるべく香りのあるものを選んでいます。そして、記念撮影をするときの「映えスポット」としても大活躍。バラが咲くと、皆さんバラと一緒に、あるいはバラを背景に記念撮影をしてくださいますが、我が家でも必ず家族写真を撮るのですよ。美しいバラととともに家族の歴史を残すことができるのは、幸せなことです。 つるバラは空間を広く彩ってくれますが、地面のスペースはさほど必要ありません。次の記事では狭小スペースで育てているつるバラたちをご紹介します。 書籍出版の記念に夫と。可愛いピンクの‘デビュタント’が背景になってくれました。
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寄せ植え・花壇

【あったか!】温かな気持ちになる暖色カラーの冬の寄せ植え
暖色カラーの冬の寄せ植え素材 庭の植物は寂しくなるものの、冬はじつは寄せ植えに最も適した季節で、花材も豊富に揃います。上の植物(下に解説)は定番の素材で、暖色カラーもバリエーション豊か。クリニックは患者さんが開院時間の前から玄関に並んでくださるので、少しでも温かい気持ちになっていただけるよう、庭にもこうした暖色の花を取り入れた寄せ植えを作ってお迎えしています。 【写真左上から時計回りに】 パンジー・ビオラ/花がらを摘むことで次々に花をあげ、5月頃までよく咲く一年草。チェッカーベリー/赤い実がかわいい低木。夏越しが難しいので一年草扱い。鉢縁に入れて赤い実がこぼれるようにすると魅力が際立ちます。ガーデンシクラメン/庭植えや鉢植え用の寒さに強いシクラメン。強い霜や雪にあたると花が傷むので、軒下などに置くとよいでしょう。スイートアリッサム/這うように広がって、こんもり花を咲かせる一年草。白花が一般的ですが、近年は赤やピンク、オレンジなども展開しています。ミニバラ/四季咲き性が強く、冬の寄せ植え花材として重宝します。寒さで病害虫の被害が少なく、花も冷蔵保存されたかのように一輪が長もちします。 真っ赤なリンゴを添えた寄せ植え 鉢の中央に赤いパンジーとカルーナ、ワイン色の斑が入るカラーリーフのコプロスマとキンギョソウ‘ブランルージュ’を配し、鉢縁周辺にスイートアリッサムやチェッカーベリーを植栽しました。カラーリーフは寒くなるにつれ発色が鮮やかになり、冬の寄せ植えで重宝します。春に向けてパンジーやスイートアリッサムはどんどん花数が増えて、最終的に鉢からあふれるほどふわふわになりますが、植えた当初は花数がゆっくり増えるので、赤いリンゴを置いて色を足しました。装飾用のリンゴは、フラワーショップなどで手に入ります。 受験生のいるお家に! たわわに実るペルネッティアの寄せ植え 冬の赤い実ものといえば、チェッカーベリーと並んで人気のペルネッティア。別名ハッピーベリーとも呼ばれ、花言葉は「小さな幸せがいっぱい」「実る努力」です。そんな花言葉から、この時期、受験勉強に励むお子さんがいるお宅におすすめの寄せ植えです。4人の子どもの受験を経験した私ですが、受験生のいる家では、本人のみならず見守る親御さんも内心ヤキモキ、ハラハラの毎日をお過ごしのことと思います。が、親が代われるものでもなし! 美しい寄せ植えを作ってご自身の心も、勉強に励むお子さんもリラックスさせてあげましょう。美しいものには心を癒やす力がありますよ。ふんわりピンクのビオラと少し濃いピンクのストック、白いスイートアリッサムを合わせました。たくさんの幸せが訪れますように! チェッカーベリーと並んで冬の実ものとして人気のペルネッティア。つやつやの実がたわわにつく低木です。 パンジー、スイートアリッサム、チェッカーベリー、ペルネッティアをたっぷり植え込んだ大鉢の寄せ植えです。これらの花は、冬場は草丈が低くペタッとしてしまいがちなので、ツンツンとライン状に生育するカルーナを入れてアクセントにしました。カルーナも冬の寄せ植えでとても活躍してくれる名バイプレイヤーです。 大鉢におすすめのエリカの寄せ植え 鉢の中央に植えたのが、エリカ。カルーナの近縁種の低木で、細い茎にライン状に花がつきます。冬の花材の中では草丈が高いので、大鉢や冬花壇の後方で活躍します。この大鉢の寄せ植えでは白いエリカを鉢の中央に配置し、周囲に草丈の低いパンジーやカルーナをぐるりと植えました。鉢の縁にはチェッカーベリーも入っています。 花が大きく豪華なエリカ‘ふっくらももちゃん’。四季咲き性で耐暑性に優れ、冬だけでなく通年咲きます。 シクラメン×パンジーの紅白おめでとう寄せ植え 赤いガーデンシクラメンとブルーホワイトのパンジーをメインにした、紅白のおめでたい雰囲気の寄せ植えです。それぞれ3つずつ三角形になるように配置し、間にはチェッカーベリーやカルーナを入れました。ガーデンシクラメンは寒さに強く外で育てられるように改良された品種ですが、強い霜や雪にあうと花が溶けるように枯れてしまうので、軒下などに鉢を置くのがおすすめです。 冬こそおすすめのミニバラの寄せ植え この時期は、ガーデンセンターや園芸店にミニバラの開花株がたくさん並びます。開いた花はこの時期、寒さで咲き進むことがなく、屋外ではまるで冷蔵保存されたかのように、1カ月以上美しい姿を保ちます。ミニバラといえどもバラの気品を漂わせ、存在感も抜群なので、寄せ植えでは間違いなく主役になります。ここではピンクのミニバラに赤いガーデンシクラメン、パンジー、斑入り葉のキンギョソウ‘ブランルージュ’、エリカを合わせました。 この大鉢の主役は赤い花のストックです。ストックは花もちがとてもよく、冬の庭の植物の中では草丈が30〜40cmと高いほうで、寄せ植えや花壇に立体感を出すのに重宝します。ストックの周りにカルーナ、コプロスマ、パンジー、スイートアリッサムというように、鉢縁に向かうにつれ草丈が低くなるよう植栽しています。 暖色には心理的に2〜3℃の温度感の上昇を生じさせ、前向きで楽しい気持ちにさせる効果があるとか。ぜひ暖色カラーの草花を寄せ植えにも取り入れて、ハッピーな気持ちで一年をお迎えください!
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ガーデン&ショップ

クリスマスの寄せ植え&森の動物たちが集まるかわいいガーデンクリスマス
モミの木の寄せ植えツリー 昨年のクリスマスツリー。いつも待合室の窓からよく眺められる場所に置いています。 クリニックの庭のクリスマス演出は、患者さんたちも楽しみにしてくれている年末恒例のイベント。庭に飾るクリスマスツリーは毎年、テーマを決めてイルミネーションの色やオーナメントを変えているので、12月が近づくと、「今年はどんなふうになるの?」と聞かれるようになりました。そう聞かれたら張り切らないわけにはいきません。一緒に庭づくりをしているガーデナーの安酸友昭さんに「今年はどうするだ?」と相談すると、今年は「小さいツリーにしましょう」という意外な提案が。毎年庭には3m以上のツリーを飾ってきたので、それを小さくするのは不安でしたが、あれこれと安酸さんの指示に従って進めるうちに、いつもとは少し違う、かわいいガーデンクリスマスが出来上がりました。 大鉢に樹高150cmくらいのモミの木を植え、株元にはパンジーを植栽。その鉢の手前にいつも庭で使っている小さめのガーデンテーブルを置いて、パディントンベアを着席させました。「ほら面谷さん、パディントンから見たら、このツリーは大木ですがん」と安酸さん。庭づくりは想像の翼を広げることが大事と安酸さんはいつも言いますが、本当にそのとおり。パディントンから見たら、この庭は大きな森かもしれません。というわけで、今年のテーマは「森の動物たちのクリスマスパーティー」になりました。 パディントンたちのおかげで、冬の寂しい庭が一気に楽しい雰囲気に。患者さんも窓からたくさん写真を撮ってくれています。 モミの木の株元にはイルミネーションの色に合わせた優しい色のパンジーとアイビーを寄せ植え。 テーブルコーディネートで庭に彩りを 冬の庭はどうしても彩りが寂しくなりがちですが、ガーデンテーブルをコーディネートすると、庭に効果的に鮮やかさを演出することができます。赤のタータンチェックと緑の布は手芸店で買ったもので、雨をはじくように防水スプレーをしてあります。その上にはキャンドル入りのバスケットアレンジを置きました。アレンジも扉にかけた大きなリースも、赤がポイント。これは私がアレンジの練習に通っている東京・神楽坂の「ジャルダンノスタルジック」さんが作ってくれました。 テーブルにはハリネズミやフクロウも遊びに来ました。びしょ濡れになるとかわいそうなので、この子たちも防水スプレー済み。 夜になり、ライトアップをすると、ボックスウッドの後ろから鹿が! じつはこれ、安酸さんお手製の影絵です。防水加工をした紙に鹿を描いて、丁寧に切り抜いて作ってくれました。テーブルの下に紙の鹿を置いて、扉へ投影しています。いつも言葉数少なく「ふーん」とか「へー」とかばかり言っている安酸さんですが、その頭の中には楽しいアイデアがあふれているようです。よくこんなことを考えつくなぁと感心します。 紙の鹿は風で飛ばされないように、木の板と針金で留めてあります。室内ならもっと手軽にできるはずです。紙とライトと映し出す壁があればできますから、ぜひ作ってみてください。きっとお子さんも喜ぶと思いますよ。 クリスマスの寄せ植え 寄せ植えもクリスマスカラーで植栽しました。パンジーやガーデンシクラメン、チェッカーベリー、スキミアは赤で統一。ブルーグリーンのツンツンとした葉は、ピナス・ピネアと呼ばれるイタリアカサマツです。小さなツリーのようで、クリスマスの寄せ植えにぴったりです。赤色の寄せ植えは、夜は色が闇に沈んで見えにくくなるので、室内の明かりがこぼれる窓辺のすぐ側に置いています。 白っぽい色でまとめた寄せ植えは、夜のライトアップにもよく映えます。中央には草丈の高いキンギョソウを、周りには淡い色合いのパンジーやネメシア、白色のカルーナ、スイートアリッサムを植栽。鉢縁からは斑入りのアイビーやハツユキカズラを垂らして動きを持たせました。 ガーデンの入り口にも、大鉢のモミの木の寄せ植えを作りました。静かな森の水辺をイメージし、ブルー系のパンジーを株元に植栽しました。モミの木に吊したのは氷で作ったオーナメントで、中に庭の花を閉じ込めました。 シリコンの製氷機に花と水、吊すためのワイヤーも一緒に入れて凍らせます。いずれ溶けてしまうはかないオーナメントですが、したたる滴もきれいです。 大きなツリーはなくても、庭にちょっとしたストーリーを持たせると楽しい雰囲気が生まれます。想像の翼を広げて、ガーデンクリスマスを楽しんでみませんか。
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寄せ植え・花壇

【秋の庭づくり】球根と花苗、どっちを先に植える? 球根と花苗の植え方
春に美しい花を咲かせる秋植え球根 淡いピンクのチューリップ‘シルバークラウド’の足元に小型の原種系チューリップ‘ブライトジェム’を。 来年の春に美しい花を咲かせるために、この秋に植える球根を「秋植え球根」と呼びます。チューリップ、スイセン、ヒヤシンス、ムスカリ、クロッカス、スノードロップなどたくさんの種類がありますが、さらにチューリップだけでも7,192の品種が登録されており(王立球根生産者協会|2022年4月現在)、その数は毎年増え続けています。 なくなる前にゲット! 秋植え球根は今が買い時 そんなわけで、よりどりみどりの秋植え球根ですが、販売されている期間は限られており、遅くとも11月まで。人気の品種は早々に売り切れてしまうので、園芸店やホームセンター、通販などで早めに購入しておくことをおすすめします。でも、植えるのは少し待って。秋植え球根の植えどきは「イチョウの黄葉」が目安です。 秋植え球根の植えどき目安「イチョウの黄葉」はいつ? イチョウの黄葉は地域によって異なり、ちょうど桜前線と逆行するように北から南へ移動します。気象庁が発表しているイチョウの黄葉日の平年値は、以下の図の通り、10月末から11月末。 出典/気象庁「生物季節観測の概要」 日本気象株式会社によると、今年は夏に続き、秋の気温も高いことから、北日本・東日本では平年並みか平年よりやや遅め、西日本では平年並みと予想されています。ですから、球根を植えるのはもう少し後が理想的。暖かすぎると球根が土中で傷み、花が咲かなくなってしまったり、咲いても草丈が伸びずに本来の美しさが見られないことがあるので、十分寒くなってから植え付けましょう。 秋植え球根は適期を守れば成功率はダントツ! 原種も推し! 原種のアネモネ・フルゲンス。植えっぱなしで毎年よく咲き丈夫。 植えどきさえ守れば、秋植え球根はほとんど失敗することなく来春に可愛い花を見せてくれます。というのも、あのぷっくりとした球根の中には、すでに花芽も葉も茎も作られており、それらを育てるだけの栄養も蓄えてあるので、あとは土に埋めさえすればOK! ガーデニングビギナーも大成功へと導いてくれますよ。特におすすめなのは「原種系」。寿命が長く、丈夫で毎年繰り返し咲いてくれるコスパのとてもよいグループです。原種系のおすすめについてはこちらをご参考に。 ●マストバイ“原種・神7” 植えっぱなしで、よく増え、かわいい! 原種系の植物を植えたエリア。小型でかわいい花が集い咲きます。 チューリップは開花期に注意 チューリップ‘パープルハート’と‘ビューティートレンド’の共演。 チューリップは品種によって早咲き、遅咲きがあり、開花時期に1カ月近い差が出ることも。ですから、いくつかの種類を組み合わせて「共演」させようとする場合には、開花期を揃えて選びましょう。開花期が異なると、共演が見られません。一方、開花期の異なるものをうまく組み合わせると、チューリップが咲き継ぐ「リレー」が楽しめます。目的によって開花期に注意して選びましょう。 秋植え球根と花苗の植える順番 チューリップとパンジー&ビオラの春の共演。 秋植え球根の植えどきを楽しみに待っている間に、園芸店にはパンジーやビオラ、ガーデンシクラメン、ネメシアなど、晩秋から翌春まで咲いてくれる一年草の花苗もたくさん店頭に並ぶようになります。これらの花と秋植え球根をともに植えると、庭植えでも鉢植えでも、翌春はとても華やかな景色が楽しめます。ここで疑問なのが、どちらを先に植えるのかということ。花苗が先でしょうか? それとも球根が先でしょうか? 庭植えなら花苗を先に植えましょう 花苗の間に球根を植えていきます。 パンジーやビオラなどの花苗と秋植え球根を同じエリアに植える場合には、花苗を先に植えましょう。球根は一度土に植えてしまうと、芽が出るまではどこに植わっているか、地上からは分からなくなります。ですから、球根を先に植えると、後から花苗を植えるときに掘り返してしまったり、シャベルで傷つけてしまったりします。パンジーやビオラは11~12月にも新品種が出てくるので、それらを植えたい場合は、球根の植え付けを1月まで(雪の降る地域では降雪前まで)待っても大丈夫です。 チューリップの球根は、球根の2倍くらいの深さに植えます。球根植え専用のツールがあると、花苗の根を傷つけないので便利。 草花との共演に向くチューリップ チューリップは品種によって葉っぱの幅が広く、成長した際に大きな葉が周囲の草花を覆い隠してしまうものもあります。ですから、草花と共演させる場合には、葉っぱの細めのものを選んでいます。上の写真の‘シルバークラウド’は葉が細く華奢な感じがしておすすめです。ほかに、‘パープルハート’と‘ビューティートレンド’もおすすめ。 チューリップ‘パープルハート’と‘ビューティートレンド’も葉が小さめで優雅な雰囲気で咲きます。 ムスカリや原種チューリップなどの小球根の植え方 小球根は1穴にドサッと植えます。 ムスカリや原種チューリップ、クロッカスなど、小型の花の球根類を小球根と呼びます。小球根は1穴にドサッとまとめて植えると、咲いたときにブーケのように華やかなので、基本的に私はそのように植えていますが、場所によっては点在させても面白い風景になります。 ムスカリと原種チューリップを1穴に混植して咲かせました。 グラウンドカバーの中にポツポツと点在させて咲かせても風情があります。 鉢植えなら球根を花苗の下に 1鉢の中にチューリップとパンジー&ビオラを一緒に植える場合には、まず球根を植えた、その上に花苗を植えます。すると、秋から冬にかけてはパンジー&ビオラが咲き、春になるとその間からチューリップの芽が伸びてきて花が咲きます。2段階に楽しみがある寄せ植えで、ダブルデッカーとも呼ばれる植え方です。鉢植えで球根を育てる場合には、球根だけだと春まで何もない鉢を眺めることになり、水やりも忘れがちですが、花苗が植わっていれば花も楽しめ、水やりも忘れることなく一石二鳥です。 球根は、誰が育てても必ず花を咲かせてくれる頼もしい植物。春の景色を想像しながら、ぜひ球根ガーデニングを楽しみましょう!
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育て方

【秋の庭づくり】コスモスが揺れ咲く庭&ハロウィンの庭演出
庭の整理をすることで病害虫被害が減らせます 今年は暑さの影響もあり、長年育ててきたベニバスモモ‘ベイリーズセレクト’や大きなつるバラが枯れてしまいました。たぶん、カミキリムシの幼虫、テッポウムシの仕業です。テッポウムシは樹木の中に入って幹の中を食い荒らす厄介な虫ですが、猛暑で幼虫の活動が活発になることがあるそうです。庭の景色として重要な役目を果たしていた木々が枯れるのは、とっても残念で悔しいことですが、仕方ありません。こういうとき私は、「また新しい植物を試す機会をもらった!」と気持ちを切り替えるようにしています。枯れてしまった樹木は、そのままにしておくと台風などで倒れて危険なので切り倒します。秋はまずこうした庭の片付けから。整理整頓、庭をきれいにすることで、新たな病害虫の被害も防ぐことができます。 間引き・透かし剪定をしましょう 夏の間に見通しがきかないほど植物が茂った。 病害虫を防ぐのに欠かせないのが風通し。風は見えないのであまり意識されませんが、植物が健全に育つためには太陽と水と並んで、風は重要な要素です。風通しが悪いと蒸れて病気が発生したり、害虫が隠れやすい棲み処になったりします。夏の間にボサボサと茂った株は、思い切って剪定しましょう。 茂りすぎた株は株元から「間引き・透かし剪定」。 この剪定でポイントとなるのは、枝数を減らすように「株元から切る」ことです。これを間引き剪定、あるいは透かし剪定といいます。剪定というと生け垣の刈り込みのように上部をバッサリ切ることをイメージされるかもしれませんが、これでは株の風通しは確保できません。株の間を透かすように株元から数本を剪定することで、風通しがよくなります。また、バサッと上部だけを「オンザ眉毛」風に切るよりも、この剪定の仕方のほうが、庭の雰囲気が自然です。 間引き・透かし剪定をしてすっきり。風通しも見通しもよくなった。 枯れ茎を整理しましょう 新葉を残し、春から伸びて古くなった茎はカット。 春から初夏にかけて咲いた宿根草や球根類の茎は、まだ葉をつけていますが、曲がったり葉が茶色くなったりしています。下から新しい葉が出てきているものもあるので、新葉は残し、古い葉や茎はカットしてすっきりさせましょう。球根類は葉から球根に栄養が送られているので、緑色のうちは残しておきますが、黄色くなったら役目を終了したのでカットしてOKです。 ユリなどの球根類も葉が黄色くなったら株元からカットしてOK。 そうこうして庭がきれいになっていくうちに、バラの株元からオガクズが出ていたりするのを発見したりします。このオガクズがテッポウムシ被害の証拠です。株元をよく見ると穴があいているので、その穴に専用のスプレーを噴射し、中にいる幼虫を退治しますが、食べ進められた枝は枯れてしまいます。 オガクズに注意! 一緒に庭づくりをしているガーデナーの安酸友昭さんは、「親のカミキリムシをやっつけたら、捨てんで死骸を株元に置いておいてください」と、またヘンなことを言います。「同胞たちがバラバラ死んどったら、あ、この庭は物騒だぞって、カミキリムシが思うんじゃないかと僕は思うんですよね。僕が母親だったら、そんな物騒な庭に子どもを産みつけんですがん」とかなんとか。本当かいなと思いながらも、でも、今のところ決定打となる予防策がないので、安酸考案の「見せしめ作戦」を試してみています。 スズメバチに注意を! この時期は、働きバチの数が増えて攻撃性が高まる季節です。庭で片付けをしていると不意に刺激してしまったりすることがあるので、注意しましょう。黒い服は攻撃の対象になりやすいので、庭仕事をする時は避けましょう。近くにきたら、騒がずゆっくり退避を。複数回刺されるとアナフィラキシーショックを起こすことがあるので、速やかに病院へ。一度刺されたことがある方は、病院でエピペンを処方してもらい持っていたほうが安全です。 秋の花の植え付け 庭がすっかり片づいたら、秋に開花期を迎える一年草や多年草を植え付け、寄せ植えも秋仕様にします。秋におすすめの草花をご紹介します。 秋の庭を華やかに彩るおすすめの草花 コスモス/ピンクや白、濃赤、黄、オレンジなど花色豊富な秋を代表する一年草。日向であればよく育ち、脇芽を上げて11月までよく咲きます。 プレクトランサス(紫の花)/本来は多年草ですが、冬越しが難しいので一年草扱いです。10〜11月にかけて花の最盛期を迎えます。 カクテルマム(白とピンクの花)/株姿がコンパクトにまとまる小型のキクです。年々、花色のバリエーションが豊富になります。花もちが抜群で、寄せ植えに重宝する宿根草。 セロシア/ケイトウの名で知られる秋の一年草。夏から植えておいたものが11月まで咲き続けます。 マリーゴールド‘ファイヤーボール’/赤からオレンジへと色変わりしながら晩秋まで咲き続けるマリーゴールド。一年草。 センニチコウ/ポンポンの丸い苞(ほう)を観賞する一年草。たくさんの品種があり、花色も大きさも豊富。 秋の寄せ植えを作ろう 上記でご紹介したように、秋には一年草の花が豊富に出てきます。これらの花を使って、安酸さんが寄せ植えを作ってくれました。 【使った花材】 プレクトランサス‘マジックモナ’(紫の花)ペンタス(赤い星形の花)キク‘ストリームピンクバイカラー’(白とピンクの花)ダールベルグデージー(黄色の花)カスミソウ‘ジプシー’(鉢縁に植えた白とピンクの小花)キャットテール(鉢縁に植えた赤いふわふわした花) ガーデンの入り口の巨大な鉢も秋仕様に。クリニックの診察時間を待つ患者さんの目を楽しませてくれます。 ケイトウやチョコレートコスモス、ジニア ザハラダブルサーモン、ソラナム・パンプキン、ペンタス、キャットテールなど。 ハロウィンの庭演出をしよう シーズンのイベントを庭に取り入れると、楽しい季節感の演出ができます。今月末にはハロウィンが控えていますね。ハロウィンといえばカボチャ! カボチャを庭のあちこちに置くだけで、途端にハロウィンらしい雰囲気になりますよ。飾り用のカボチャは地方の「道の駅」などへ行くと巨大なものが販売されていたり、フラワーショップでもユニークな柄のおもちゃカボチャを売っています。以前、はりきって大きなカボチャをくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作り、中に電球を入れて点灯したことがあります。本当に素敵な照明になったのですが、そのうち中のカボチャが腐ってショートし、大変なことに! 電気をつけるのはおすすめしません。 寄せ植え用の鉢にもおもちゃカボチャをいっぱい。赤い実は庭のアロニアの枝。 秋のお買い物 秋は園芸店の品揃えが豊富になってくる時期です。この時期にしか並ばないものや早々に売り切れてしまうものがあるので、買い逃しがないようチェックしましょう。球根の植え付けどきはイチョウの黄葉が目安なので、まだまだ先ですが、植え付け時期になると店頭はすでに品薄です。早めに選んで確保しておくことをおすすめします。バラも今年は猛暑の影響で流通量が少なめと聞きます。早めに予約しておいたほうがよいかもしれませんね。私はガーデンストーリーを見て、早速バラをいくつか予約しましたよ! やっと涼しくなって、ガーデニングを謳歌できることを嬉しく思っている方は多いのではないでしょうか。私ももちろんその1人。来年の庭へ向けての準備はもう始まっています。さぁ、庭仕事です!
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一年草

おしゃれでかわいいポピーに夢中! 植え付け時期で姿が変わる⁈
シャーレーポピーとは シャーレーポピーとは、ヒナゲシの園芸品種のことです。ヒナゲシといえば、アグネス・チャンの歌でピンとくる方もいるかもしれませんね。ケシ科ケシ属の秋まき一年草で、5〜6月に開花した後は日本の暑い夏を乗りきることができません。原産地はヨーロッパ中部で、寒さには強いものの、暑さには弱い性質です。花色は白、赤、ピンク、複色などで、花径5〜8cmの4弁花を咲かせ、品種によっては華やかな八重咲き種もあります。 2022年、シャーレーポピーやデルフィニウム、バーバスカムが共演する庭。 私がシャーレーポピーを植えたきっかけは、行きつけの園芸ショップ「ラブリーガーデン」での花談義。いつものように花を選んでいたら、お客さんの1人から「シャーレーポピーって植えたことある? とっても素敵な花よ」と教えてもらったのです。3月頃だったので、まだ店頭の苗は花が咲いていませんでしたが、おすすめされたら試したくなるのが花好きというもの。いくつか買って帰りました。そして5月、つぼみが開いた途端、私は一瞬でポピーに魅了されてしまいました。 『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』の表紙にもなった2022年の庭。 花弁は薄い和紙のように繊細で、ふんわりカップ咲きの花は光を透かして輝きます。まるで中に親指姫でも眠っていそうな愛らしさ。つぼみをつけた茎が白鳥の首のように優雅にうつむく姿にも、それが咲く直前に真上を向き、つぼみが割れてわずかに色が見えてきた時のワクワク感にもすっかり参ってしまいました。何よりもバラや草花との相性も最高。60〜80cmほどでバラに寄り添って咲くような雰囲気は本当に素敵で、何でこんないい花を今まで知らなかったんだろう、と教えてくれた方に感謝しました。 植えどきで劇的に変わるシャーレーポピーの姿にびっくり! 2023年、バラとシャーレーポピーの存在感がチグハグに…。 「来年はポピー祭りだ!」と心に決めた私は、ラブリーガーデンにシャーレーポピーの苗が出回ると同時にたくさん買い込み、はりきって苗を植え付けました。ところが、季節が進むにつれ、シャーレーポピーが想像以上に勢いよく育ってくるではありませんか。株周りの大きさは昨年の5倍はあるでしょうか。バラに寄り添うどころか、バラを押しのけてバラの生育を阻むほどです。ジギタリスもシャーレーポピーの陰で、ひっそり弱々しく茎を伸ばせずにいます。一方、日々、隆々とたくましく育つシャーレーポピーを見ながら「どうしよう」「マズいなぁ」「抜こうかな…」と私は右往左往。このままでは何もかもがポピーの勢いに負けて、庭がポピー畑になってしまいます。そんなわけで、思案の末に結局いくつか抜いたのですが、残した株からは、それはもう立派な花が咲きました。 大輪で存在感たっぷりに咲くシャーレーポピー。 バラに寄り添って咲くどころか、「私を見て!」と言わんばかりのシャーレーポピーに、ただただ驚くばかり。花径15cmはあろうかという巨大輪で、色も去年より鮮烈なものが多く咲きました。もちろん花はきれいなのですが、この庭の広さでは存在感が予想以上にありすぎて、バランスが取れなかったようです。もっと広い庭で、もっと違う植物と組み合わせていたら、この花の魅力をもっと生かすことができたでしょうにと反省。しかし、昨年と同じ花を植えたのに、なぜこんなにも姿が違うのでしょうか。 早く植えすぎ&肥料の効きすぎ 最盛期の庭で反省会をする私と隊長。 隊長にそのことを相談すると、「だから言ったがん」と一言。隊長とは、この庭を一緒に作っているガーデンデザイナーの安酸友昭さんです。隊長が言うには、1月に植え込み作業をしようとする私に、「早すぎだけん、もうちょっと待ってください」と言った、とのこと。アラ、そうだったっけ? 「何度も言いましたがん。この庭はバラの肥料も効いてるから、そんなとこで地植えにして5カ月も育ったら、シャーレーポピーが育ちすぎて大変なことになりますよって止めたのに、全然聞かんですもん。なんでこげなことになったと今さら慌ててもねぇ、面谷さんが聞かんからですがん」。 アラララ? そういえば、そんなこと言ってたような気がしなくもありませんが、ポピー祭りにまっしぐらだった私は、手元にあった苗を早く植えたくて仕方がなかったのです。でもこの経験のおかげで、来年の庭のテーマができました。「リベンジポピー!」です。 大株に育った2023年のシャーレーポピーとバラ。どちらも主役級に目立つため、ビューポイントが定まらない感じに…。 シャーレーポピーは大変生育旺盛な一年草で、本来このように大株に育ちます。しかし、限られたスペースでいろいろな草花と共演させるこの庭では、その生育をコントロールする必要があったのです。コントロールの手段は、隊長が言ったように植えどき。早く苗を手に入れても、ポットのまま養生しておき、3月になってから地植えにすることで一昨年のようなバラに寄り添って咲く風景ができたと安酸さんは改めて教えてくれました。シャーレーポピーは根が「直根(ちょっこん)」といい、縦にゴボウの根のように伸びるので、ポットの中が根でパンパンになったら、直径はそのままのロングポットに植え替えて育てるのがポイント。ちょっと面倒ではありますが、その労力に報いてあり余るほどの感動を与えてくれるはずです。 日本で育種されたオリジナルポピーとの新たな出会い まるでオートクチュールのドレスのような「八ヶ岳の花遊び」オリジナルポピー。青い花心も幻想的。 そんなシャーレーポピーの反省がある一方で、今年は新たなポピーとの感動の出会いもありました。それは山梨県のナーサリー「八ヶ岳の花遊び」さんのオリジナルポピーです。フワフワとした八重咲きの花と、繊細なニュアンスカラーの花にうっとり。珍しい花色に、たくさんの人から「これはなんという花?」と聞かれました。 繊細なピンクの花やシックな赤色がおしゃれ。 この花は「八ヶ岳の花遊び」さんが、10年以上前から交配を続けてきたオリジナルのポピー。もともと、色幅の多い園芸品種の中からグレー系を選抜交配しているため、グレイッシュな大人っぽい色の花が多くあります。育種の過程では種子ができにくくなるなどさまざまな課題がありましたが、異なる系統との交配で種子をつけさせることに成功。交配の結果、フワフワとした多弁の花形が誕生したといいます。赤色の花は高温になるほどグレーに花色が変化するユニークな特徴があります。 「八ヶ岳の花遊び」さんオリジナルポピーの数々。インスタグラムより。 花色のバリエーションは豊富にあり、他のシャーレーポピーと同じように、咲くまで花色は分かりません。そんなサプライズ感も、私がポピーに惹かれる理由です。こちらは株が大きくなりすぎることもなく、個性的な花色なのですが、ほかの草花との相性もとてもよく、共演させるとまた新たな魅力を発揮するように思います。 リシマキア・アトロプルプレア‘ボジョレー’との共演。 群植しても、風に揺れる風情がいい具合。石積みの手前の群植は、今年新たな庭の見所となりました。「八ヶ岳の花遊び」さんオリジナルポピーは市場に流通するほどたくさんは生産していないので、直売所かインスタグラムのDMから入手可能です(色指定はできません)。今年の販売は終了し、次回苗が入手可能になるのは2024年の2月以降です。直売所の営業はインスタグラムでご確認ください。 石積みの前の群植。突然強い雨風に見舞われ茎が倒れることもあるので、プランツサポートで前面を支えています。 長くガーデニングをしてきましたが、隊長に指導されながらまだまだ学ぶことがあったり、また新たな花に感動できるなんて、庭づくりってなんて面白いのでしょうか。患者さんの癒やしにと始めた庭づくりですが、私自身、花に癒やされ、新たな出会いをもらい、未来へ導いてもらっています。来年の「リベンジポピー!」がどうなるのか、今から楽しみでなりません。
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おすすめ植物(その他)

【春の庭づくり】おしゃれな庭づくりに必須のブルーの小花ベスト8
春の3大ブルーは、ネモフィラ、ワスレナグサ、オンファロデス 左/ネモフィラ 中/ワスレナグサ 右/オンファロデス 春に咲くブルーといえば、ネモフィラ、ワスレナグサ、オンファロデス。ネモフィラは茨城県の「国営ひたち海浜公園」で有名な花です。4月に丘一面に咲く淡いブルーの花景色は青空につながり、そのインフィニティーブルーの幻想的な世界は絶景と称されます。庭ではそこまで盛大でなくても、やはりある程度群生させるようにまとめて咲かせると存在感が出ます。ワスレナグサやオンファロデスも同様です。 ベイビー・ブルー・アイズとも呼ばれるネモフィラ ■Plants Dataネモフィラ/一年草・草丈10〜20cm・開花期4〜5月 上の写真は、ネモフィラをところどころに群生させるように植えた春の庭です。こんもりふんわり茂って、ブルーの小島が浮かぶように咲いてくれます。草丈が低いので、植栽帯の奥ではなく手前に配置するとよいでしょう。英名は「ベイビー・ブルー・アイズ」。澄んだ赤ちゃんの目のようなピュアな花色は春の柔らかい光によく似合います。ネモフィラにはいくつかの品種がありますが、この水色の花は‘インシグニス・ブルー’という品種で、中心がほんのり白く抜けるため軽やかな印象です。ひたち海浜公園に咲くネモフィラの品種も同様です。 こんもり茂って花壇の縁からあふれるように咲くネモフィラ。 黒花のネモフィラ‘ペニー・ブラック’ やや黒みを帯び、水色の品種より小輪で草丈も低いのがネモフィラ‘ペニー・ブラック’です。花弁の縁が白く縁取られる覆輪(ふくりん)という模様が特徴。黒っぽい色合いで引き締め役としても活躍し、軽やかな印象もあり、小輪ながら植栽の中で存在感を発揮します。この花が咲く頃はパンジー&ビオラがこんもり茂ってきますが、それらの間に‘ペニー・ブラック’を植栽しておくと、抜け感が出て軽やかな印象になります。 奥行き15cmほどの極小の植栽帯にパンジー&ビオラ、ネモフィラ‘ペニー・ブラック’、チューリップを咲かせて。 こぼれ種でよく増えるワスレナグサ ■Plants Dataワスレナグサ/一年草・草丈30〜50cm・開花期3月下旬〜6月上旬 ワスレナグサはブルーの小花がチラチラと咲き、素朴でとても可愛らしい春の花です。春のはじめは下の写真のように草丈が小さいのですが、季節が進むにつれ分枝しながら旺盛に茂って膝丈くらいまで大きくなり、青い海原のように咲き広がります。 2年目以降はこぼれ種でとてもよく増えます。増えるのは嬉しいことでもありますが、放っておくと庭中がワスレナグサ畑になって、他の草花の生育に影響を及ぼすことがあります。場所によっては草丈の小さいうちに間引いて移植したり、数をコントロールしたほうがいいでしょう。 半日陰を可憐に彩るオンファロデス ■Plants Dataオンファロデス /宿根草・草丈20〜30cm・開花期4〜6月 ワスレナグサを少し大きくしたようなオンファロデスの水色の花は、庭でよく目立ちます。左のブルーは‘チェリーイングラム’、右の2色咲きは‘スターリーアイズ’。ワスレナグサは一年草でどんどんこぼれ種で増えるのに対し、オンファロデスは少しずつ株が大きくなっていく宿根草なので、大事に育てて増やしてきました。一気に増えるわけではないので、コントロールしやすい花です。 明るい緑の葉は葉焼けしやすいので、落葉樹の下など半日陰になる場所でよく育ちます。ピンクのアネモネやチューリップなど、少し大きめの花と合わせると、とても愛らしいシーンが生まれます。 一推し品種! 開花期間が長くコンパクトなデルフィニウム‘チアブルー’ ■Plants Dataデルフィニウム‘チアブルー’/宿根草・草丈約40cm・開花期4〜6月、10〜11月 一般的なデルフィニウムより早く咲き始め、草丈もコンパクトな改良品種が‘チアブルー’。開花期間が非常に長く、チューリップとの組み合わせや、バラとの競演も楽しめます。さらに、夏越しがうまくいけば、秋にももう一度咲いてくれるパフォーマンスのよさ、そして目を引く鮮やかなブルー、上向きで華やかな花が評価され、ヨーロッパで最も権威のある植物の審査会で2021年ゴールドメダルを受賞しました。優秀な品種を掛け合わせており、丈夫で育てやすいのも魅力。遠くにあっても目を引き、春の新たな定番としておすすめの花です。本来は宿根草ですが、夏越し・冬越しができない場合は一年草として楽しみます。 デルフィニウム‘チアブルー’やワスレナグサ、オンファロデスなどブルーの花を組み合わせたガーデンの一角。ピンクのチューリップやビオラもよく映えます。 名脇役として活躍するブルーの小花 庭ではバラのように主役として目を惹きつけるもののほかに、脇役も大事なキャスト。庭を主役級の花ばかりで構成すると、見所が渋滞して全体の調和がとれなくなりがちです。主役を上手に引き立て、より美しさを際立たせてくれる名脇役のブルーの小花をご紹介します。 ふわふわ繊細に咲くアスペルラ・オリエンタリス ■Plants Dataアスペルラ・オリエンタリス/一年草・草丈約30cm・開花期4〜7月 タマクルマバソウとも呼ばれる淡い青紫色の花は、全体的に華奢な雰囲気。葉も茎も細く繊細で、決して主張しすぎることなく名脇役として活躍します。よく分枝してこんもり茂り、チューリップやバラの株元をふんわり彩り、優しい雰囲気を演出してくれます。 チューリップとも好相性のアスペルラ・オリエンタリス。 バラの株元でアスペルラ・オリエンタリスやピンクのゲラニウム・サンギネウムが名脇役として活躍。 華やかなピンクのバラ‘ジャック・カルティエ’にパッと目を惹かれるものの、株元の小花もよい仕事をしてくれています。小花が咲いているか否かで、このシーンの印象はだいぶ変わります。試しに手で株元の花を隠してみてください。バラはきれいですが、それだけだとずっと眺めていたい風景になるでしょうか。いろいろな花が共演してこそ、うっとり見入ってしまうシーンができあがるものです。デルフィニウム‘チアブルー’の青も効いています。 驚異的な花もちと強さでコスパ最強! ゲラニウム‘ビルウォーリス’ ■Plants Dataゲラニウム‘ビルウォーリス’/宿根草・草丈30〜50cm・開花期4〜11月 さまざまな品種があり、小花がかわいいゲラニウムですが、なかでも‘ビルウォーリス’は春から秋遅くまでずーっと長く咲いてくれ、暑さにも寒さにも強く、さらに年々株が太るうえに、こぼれ種でも増える! というメリット満載、コスパ最強の宿根草です。濃い青紫色の花は花径2cmほどで、いろいろな植物と合わせやすいのも魅力。 春先、アネモネやビオラとともに咲くゲラニウム‘ビルウォーリス’。 グラウンドカバーとして活躍してくれるブルーの小花 グラウンドカバーとは這うように広がって生育し、地面を覆うように咲く性質を持った植物のこと。ブルーの小花でふわふわ地面が青く染まるなんて、それだけでロマンチックだと思いませんか。ブルーの小花のグラウンドカバープランツをご紹介します。 こぼれ種でよく増えるイオノプシジウム ■Plants Dataイオノプシジウム /一年草・草丈5〜10cm・開花期3〜6月 ごく淡い水色の花が咲き広がるイオノプシジウム。こぼれ種でよく増え、レンガの間などからも花を咲かせます。原種で丈夫なので、これといったケアをしなくても毎年よく咲いてくれます。 植えっぱなしで毎年よく咲くベロニカ ■Plants Dataベロニカ/宿根草・草丈5〜10cm・開花期3〜5月 淡い青紫の‘マダムマルシア’や濃い青色の‘オックスフォードブルー’などの品種があります。植えっぱなしで毎年よく咲き、次第に株が大きくなってこんもり茂ります。花が株を覆うように咲く姿も見事です。花壇の縁取りや寄せ植えにも好適。 淡い青紫の花をあふれるように咲かせる‘マダムマルシア’。 日陰でもよく咲き広がる ‘オックスフォードブルー’。 クリスマスローズの株元に広がった‘オックスフォードブルー’。常緑〜半常緑で、秋冬は写真のように葉色がブロンズ色を帯び、カラーリーフとしても活躍する。 面谷さんの庭を舞台にした新刊書籍『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)には、今回ご紹介したブルーの小花を含め、一年を通じて花を咲き継がせるテクニックが満載! 参考にして春からの庭作りを楽しんでください。 2023年5月の「365日 花あふれる庭」の様子を動画で公開中! ●患者さんのためにつくったバラ香る癒やしの庭 面谷内科・循環器内科クリニック【2023年5月】
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イベント・ニュース

【好評4刷り】春夏秋冬、毎日花咲く庭づくりが叶う! 人気書籍『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』
花を咲き継がせるテクニック満載! 春は、クリスマスローズやビオラ、ムスカリ、アネモネ、チューリップが咲き、初夏は、爽やかな緑をキャンバスに、バラやアリウム、サルビアが鮮やかに咲き競います。風に乗って甘い香りが漂い、幸せな空気に満たされる庭のベストシーズン。 盛夏は、照りつける太陽の下でも負けずに育つ種類を選んで、手入れは最低限ながらも、花と緑を絶やさずに。暑さがやわらぐと、小休止していた草花たちが再び活動を再開する秋のガーデニングシーズンです。サルビアやコスモス、秋バラ、秋色のアジサイなどが、この時期にしか会えない花色を見せます。足元には原種シクラメンが顔を出し、一年草のパンジー&ビオラ、ハボタンなどが美しく映える冬へと季節は巡ります。 こうして、一年中花が絶えない庭づくりを叶えるノウハウが詰まった教科書が、2023年3月2日に発売される本書『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』です。 365日美しい庭では、いつ、何を植え、何をしているのか⁈ 全国で話題の美しい個人庭を舞台に、どのように365日を咲き継がせていくのか。シーズンごとの庭景色を多数収録しながら、環境ごとに ▶︎日向の庭 ▶︎半日陰の庭 ▶︎小径の庭 ▶︎狭小花壇 ▶︎レンガ花壇の5つのエリアに分け、それぞれ魅力的な演出方法を紹介します。 春、初夏、盛夏、秋、冬と、季節によって庭がどう変化するか、彩りになる植物とともに紹介。また、各季節の庭の魅力や植物選びのヒントなども解説。 また、庭がなくても楽しめる寄せ植えもシーズンごとに23の実例を掲載。奥行き35cmの狭小花壇を花が絶えない場所にする工夫や秘訣も必読です。 ハロウィンやクリスマス、バラのジャム、庭摘みの花のアレンジなど、庭があればこそのワクワクする提案も! どんな庭の人も、庭がない人も、季節を楽しむガーデニングのヒントが得られます。 役立つ花カレンダー&咲き継ぐ草花を137種一挙公開‼︎ ガーデナーが長年、庭で育てた経験からピックアップした貴重な花図鑑には、季節の見どころとなる主役級の花から、名脇役の小花やリーフ、グラウンドカバーまで、庭づくりや寄せ植えに活躍する厳選した咲き継ぐ草花たちが。「季節を咲き継ぐ植物図鑑」では、こぼれ種で増えやすい植物も表示しています。 巻頭には、 “咲き継ぐ流れ”が一目瞭然の「ガーデンフラワー12カ月」を掲載。庭に彩りがない期間を作らない、365日 花を咲き継がせるための貴重なリストです。 1冊に365日花であふれる庭づくりのヒントがいっぱい! 庭作業を12カ月に分けてリストアップしているので、毎月ページを開いてガーデニングカレンダーのように使えます。さらに、日々行いたいルーティン作業と、タイミングを逃さずやりたい季節の作業、庭づくりで遭遇する病害虫の発生時期・症状・対処法も紹介。植物にやさしいガーデンツール、庭仕事が楽になるガーデングッズ、庭仕事がはかどるガーデン装備など、すぐ実践できる情報が満載。 いつ、何を植え、何を抜き、何を買い、何をすべきか、どうやるべきかが分かり、迷える初心者も楽しいガーデニングの世界へと導きます。 庭の舞台は、NHKテキスト『趣味の園芸』で連載していた2人が丹精する庭 秋植えの球根を手にする、面谷ひとみさんと安酸友昭さん。 『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』に掲載されている庭は、鳥取県米子市にあります。そこは、患者さんが通い、医療スタッフが日々忙しく働く、内科・循環器内科クリニック。 待合室からも診察室からも、全ての窓から花咲く風景が眺められるように、そして、花咲く風景が癒やしとなるようにと、庭主の面谷ひとみさんと、ガーデナーの安酸友昭さんが、二人三脚で作る「365日欠かさず花が咲き継ぐ、美しい庭」です。 たとえ、庭の広さや条件は違っても、ガーデニングは美しい風景を自分の手で作り出すことができるクリエイティブな手仕事です。この1冊に紹介されている草花リストと「12カ月の庭作業」を教科書に、窓の外の風景をあなたの指先で変えてください。 『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』もくじ 一年を咲き継ぐガーデンフラワー12カ月 第1章 咲き継ぐ庭 365日 花あふれる庭の見取り図 咲き継ぐ庭 《春 初夏 盛夏 秋 冬》 庭がなくても楽しめる寄せ植え 奥行き35cmで花が咲き継ぐ狭小花壇の四季 第2章 庭の植物選び 季節を咲き継ぐ植物図鑑 《春 初夏 盛夏 秋 冬》 植物にやさしいガーデンツール 庭仕事が楽になるガーデングッズ 庭仕事がはかどるガーデン装備 第3章 12カ月の庭作業 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 12月 1月 2月 日々のガーデニング作業 季節のガーデニング作業 庭の病害虫対策 『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』 著者:ガーデンストーリー定価:1,870円(本体1,700円+税)発売:2023年3月2日判型:B5判 ページ数:160ページ発行:KADOKAWAISBN:9784048975247 ●お近くの書店、または「KADOKAWA公式オンラインショップ」、「amazon」、「楽天ブックス」でお求めいただけます! ●「楽天ブックス」でお求めいただいた場合、【限定特典】として「未公開! 寄せ植えのバリエーションレシピ(デジタル特典)」付き! ガーデンストーリーの書籍第2弾発売記念のサロンを開催しました ガーデンストーリーサイトでも大人気のガーデナー 、面谷ひとみさんと安酸友昭さんが作る庭を実例に、どのように365日、花を咲き継がせているのか、137種の植物とシーズンごとの庭景色をたっぷり収録した本書。発売に先駆けて、倉重編集長と鶴岡副編集長がその見どころや制作秘話などを2023年2月24日(金)に「ガーデンストーリークラブ」主催のオンラインサロンでお話しさせていただきました。 今回のサロンの一部はYouTubeライブ配信にてどなたでもご覧いただけます!▼ご視聴はこちらからhttps://youtube.com/live/INR-fgqi_xI 2023年5月、2021年4月&5月「365日 花あふれる庭」の様子を動画で公開中! ●患者さんのためにつくったバラ香る癒やしの庭 面谷内科・循環器内科クリニック【2023年5月】●面谷ひとみさんによるオンラインオープンガーデン!鳥取県米子市より、春の花咲くお庭案内●バラと草花が共演するメドウ風ガーデン! ガーデニスト・面谷ひとみさんのオンラインオープンガーデン ガーデンストーリー第一弾書籍も12刷好調発売中!
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おすすめ植物(その他)

マストバイ“こぼれ種(こぼれだね)・神7” 植えっぱなしで、よく増え、かわいい!
こぼれ種とは 植物のほとんどは花の後にタネをつけます。そのタネから次世代が育つわけですが、どれも勝手に大きくなるわけではありません。ある種類の植物は意図的にタネを採り、その植物が好むよう栽培環境を整えたうえで、苗床に改めてタネを播き、日々世話をしないと育たないものもあります。一方、地面に落ちたタネから勝手に発芽し、勝手に育つ種類もあります。後者の勝手に増えるタイプを「こぼれ種で増える植物」といいます。勝手に増えるため、英語では「self-sowing(勝手に種まき)plants」とも呼ばれます。基本的に丈夫で、育てるのにも手がかかりません。 こぼれ種のメリット こぼれ種で増えたイングリッシュデージーやワスレナグサが咲く春の庭。面谷ひとみさんの庭より。 前述の通り、特に世話をしなくても勝手に発芽して育ち、また再びタネがこぼれて発芽する、ということを繰り返し、どんどん増えてくれるコスパのよさが、こぼれ種の植物の最大のメリットです。加えて、雨風で運ばれたり、虫たちによって移動されたりして、思いもよらないところから芽を出しナチュラルな庭風景を作ってくれるのも大きな魅力。レンガの隙間や小径の脇などに繁茂すると、何年も経た庭のような雰囲気が生まれます。 よく増えてコスパがいい丈夫でローメンテナンスナチュラルな雰囲気になる という3つがこぼれ種のメリットです。 ガーデナーがおすすめする“こぼれ種”の植物 ここからは、庭で多くのこぼれ種の植物と上手に付き合っている面谷ひとみさんに、その魅力とおすすめの7種を紹介していただきます。 ワスレナグサ/一年草扱い/開花期3〜5月 春に水色の小さな花を咲かせるワスレナグサ。原生地では多年草ですが、暑さに弱く日本では夏に株がいったん枯れるので、一年草扱いです。しかし、こぼれ種でよく増える植物の代表選手で、毎年、どんどん増えていきます。春の初めの頃から咲き出し、スイセンなどの球根花のそばで彩りを添えてくれる名脇役です。咲き始めは小さく愛らしい姿ですが、季節が進むにつれて勢いを増し、草丈が高くなっていきます。 「バラなどよく肥料をあげる植物の側では、1株が上の写真の5〜6倍に大きく育ち膝丈くらいにまでなります。増えるのを喜んで何もしないでいたら、庭がある年真っ青になってしまって、ほかの花が全然育たなかったことがあります。それ以来、春の芽出しのまだ小さな頃に掘り上げて間引いたり、移植するなどしています」(面谷ひとみさん) 左/こぼれ種でレンガの隙間から生えたイングリッシュデージーとワスレナグサ。右/スイセンの株元に咲くワスレナグサ。黄色と水色が美しいコントラスト。 季節が進むにつれ、どんどん草丈も大きくなっていきます。 「ちなみに、こちらはワスレナグサによく似たオンファロデス‘スターリーアイズ’、宿根草です。かわいいので増やしたいのですが、この花はこぼれ種では全く増えないので、大事にして株を太らせ、毎年、少しずつ増やしてきました。こんなふうに、植物の全てがこぼれ種で育つわけではないので、毎年様子を見ながら特性に合わせて上手に付き合うようにしています」(面谷ひとみさん) セントランサス/宿根草/開花期5〜6月 英国ではコンクリートの割れ目や屋根の上にも生えている丈夫な花。宿根草なので、毎年同じ株から咲くのに加え、こぼれ種で庭の思いがけないところからも咲きます。白花と赤花があります。 「草丈50〜60cmで、ちょうどバラの開花期に咲いてくれて、レースのような繊細な花がバラと相性ぴったりです。こぼれ種であちこちから生えてくるので、白花は白いバラの側など、咲かせたい場所に移動して育てています」(面谷ひとみさん) シャーレーポピー/一年草/開花期5〜6月 色も花形も豊かなバリエーションがあり、赤の一重から八重、ピンクや覆輪など、咲いてみるまでどんな花か分からないサプライズ感が楽しいポピーです。根が真っ直ぐに下に生える直根性で移植を嫌うので、移動したい場合は、ごく小さいうちに根を傷つけないように深く掘り上げます。こぼれ種から発芽して11月くらいに幼苗ができている場合があるので、よく観察しましょう。 ニゲラ/一年草/開花期4月下旬〜7月 「Love in a mist(霧の中の愛)」というロマンチックな別名を持つニゲラ。糸状の葉っぱの中にブルーの花を咲かせ、爽やかな彩りが魅力です。草丈は50〜60cmで、4月から7月まで次々に花を上げます。病害虫被害もほとんどなく、非常に丈夫。花後、小さな風船のようなタネ袋ができますが、そのタネ姿も愛らしいです。そのまま刈り取らずにいると、風船が弾けて中からタネがこぼれ、翌年も発芽します。 「ちょうどバラと開花期が重なり、ふんわり柔らかな雰囲気で咲いてバラを引き立ててくれます。バラにはブルーの色がないので、合わせるととても素敵です。繊細な花の雰囲気とは裏腹に、とても丈夫で、こぼれ種で駐車場のコンクリートの隙間からもたくさん生えてきています」(面谷ひとみさん) 淡いブルーから濃いブルーまで青の色幅がある。バラと好相性。 イングリッシュデージー/多年草/開花期3〜5月 ヨーロッパに自生する原種のデージー。花径2cmほどの小さな花で、ヒナギクとも呼ばれます。丸い黄色の花心に白い一重の花弁が野原のような素朴な雰囲気。こぼれ種でよく増え広がっていきますが、草丈が10〜15cmと低いので、増えても邪魔になることはありません。むしろグラウンドカバーのように地面を覆い、雑草が生えるのを防いでくれます。 イングリッシュデージーに彩られた春の小径。 オキナグサ/多年草/開花期4〜5月 赤紫のうつむいて咲く花と銀葉の草姿が美しい多年草。花後はふわふわとした綿毛のようなタネができ、風で飛んで増えていきます。園芸では山野草にも分類され、風に揺らぐ自然な花姿が魅力。落葉樹の下など、少し日陰になるところを好んで増えていきます。 セリンセ・マヨール/一年草/開花期4〜5月 シルバーがかった青緑の葉に、青紫のグラデーションの花が不思議な魅力の一年草。茎の先がくるっと曲がる花姿もユニークで、派手さはないのに庭で目を引く存在です。 「小さな1株が、こぼれ種で増えてこんなに大きな群生になりました。バラの肥料が効いているせいか、草丈も70cmくらいまで大きくなります。増えすぎた分は株が小さい芽出しの頃に掘り上げて、寄せ植えなどに利用しています」(面谷ひとみさん) セリンセ・マヨール、ユーフォルビア、黒花のペチュニアなどを合わせた寄せ植え。 こぼれ種はコントロールしよう こぼれ種で増えたオダマキの幼苗を掘り上げて移植。 こぼれ種はよく増えるがゆえに、増えすぎて困るケースがあります。庭中がこぼれ種の植物でいっぱいになってしまうと、ほかの植物がその陰になったり、栄養を取られて育たなくなることも。そんな場合は、間引くなどの引き算のコントロールが必要です。発芽したばかりの幼苗のうちなら、シャベルで根っこごと掘り起こして別の場所へ移植することもできます。咲かせたい場所に移動したり、間引いたりして、こぼれ種の植物と上手に付き合いましょう。
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宿根草・多年草

寄せ植えにもかわいい!個性派シクラメン特集、森の妖精、天使の羽、ミニシクラメン、香りシクラメン…
シクラメンってどんな花? シクラメンはサクラソウ科の球根花で、10月頃から3月まで赤やピンクの鮮やかな花が咲きます。冬に向かって庭が寂しくなる頃に、鮮やかな色で楽しませてくれる可愛い花です。 左/ガーデンシクラメンの寄せ植え。中/原種シクラメンとビオラの寄せ植え。右/屋内観賞用のシクラメン‘ペチコート’。 シクラメンは、庭植えで楽しめるタイプと、室内の窓辺で楽しむタイプがあります。庭植えで楽しめるのは、シクラメン・ヘデリフォリウムやコウムと呼ばれる原種シクラメンのほかに、耐寒性の強い「ガーデンシクラメン」と呼ばれるタイプです。ガーデンシクラメンは従来のシクラメンより寒さには強いですが、霜に何度も当たったり、雨や雪でずっと濡れた状態が続くと枯れてしまうので、置き場所は軒下などが向いています。室内で楽しむタイプは、雨に当たると葉っぱや花弁にシミができ枯れる原因になるので、玄関ポーチなどに置いて楽しんでいます。シクラメンが好む温度は10〜15℃ですので、あまり温かくなりすぎない場所がよいでしょう。 屋外用か室内用かはお店の人に聞いてみよう 室内用のシクラメンは、一般に5号以上の鉢に植えられた状態で販売されており、価格は庭植え用の3倍以上です。とても華やかなので贈答用としても人気の花ですが、間違って庭に植えてしまうと、寒さであっという間に枯れてしまいます。そんな残念なことにならないように、買うときは屋内用か屋外に置いてもよいか、確認して選びます。目安としては、屋根のない屋外の売り場に並んでいる場合は庭植えできるタイプで、店舗の建物の中に置いてあるものは、たいがい屋内用と思っていいでしょう。最終的にはお店の人に聞いてみるのが確実です。 個性的に進化し続けるシクラメン注目品種! ミニシクラメン カール 細い花弁がクルッとカールした、これまでにないユニークな花形のシクラメン。草丈15cmほどのミニサイズですが、個性的な花姿で存在感抜群です。「麻野間園芸」のオリジナル品種で、突然変異で現れた1株を何年も地道に種子を取り交配を続け、品種の固定に成功しました。自然の奇跡と育種者の情熱から生まれたこの愛らしい花は、さらに進化を続け、現在流通している赤色とピンクから、今後数色に展開するそう。楽しみですね! ミニシクラメン‘カール’は鉢に単植するのはもちろん、小型なので寄せ植えでも楽しめます。リボンのような花が、寄せ植えにプレゼントボックスのような楽しい雰囲気をプラスしてくれ、クリスマスにもぴったり。ミニシクラメン‘カール’はガーデンシクラメンほど寒さに強くはありませんが、軽い霜程度なら問題ありません。雨を避けられる軒下や室内の明るく涼しい場所が適しています。花弁が黒くなったら早めに取りましょう。次々に株元から花が上がって、長く楽しめます。 シクラメン スノーショコラ 艶やかなシルバーリーフにダークレッドの花がシックな‘スノーショコラ’は、室内向きのシクラメン。シクラメンで有名な「はら園芸」の育種で、ミニ系に分類されますが、華奢な花茎を伸ばして1株から数十輪の花を上げる咲き姿は見事です。 葉っぱと花のコントラストが美しい‘スノーショコラ’。似合う鉢を探すのも楽しみ。 シクラメン ジックス 白いガクと艶やかな赤い花弁のコントラストが個性的なシクラメン。バイカラーになるつぼみもおしゃれな雰囲気です。寒さにも比較的強いので室内でも屋外でも楽しめ、ガーデンシクラメンとして庭を彩ることも可能です。連続開花性に優れ、たくさんの花が咲きます。花もちもよいため、観賞期間が長く、ロングランでたっぷり楽しめます。目線より少し低めの場所に置くと、花の個性が堪能できます。 シクラメン フェアリーピコダブル 八重咲きのシクラメンで、バイカラーの丸っこい花が愛らしい品種。「はら園芸」の育種で、花粉が出ないため花の寿命がとても長く、非常に丈夫。花は小中輪ですが、生育旺盛で夏にも冬にも強いので、鉢増ししながら育てると年々花数が増え、見事な大株になります。 葉っぱの模様も美しい‘フェアリーピコダブル’。 シクラメン ファルバラ®︎ローズ フランス「モレル社」のシクラメンで、ほんのり甘やかな香りがある芳香品種です。本来、シクラメンには香りがありませんが、こちらは数少ない香りが楽しめる品種。花弁の縁に細かなフリンジが入り、とりわけベル形の満開前の花形がとても優雅。屋内向きです。 左/イチゴのようなつぼみの姿も愛らしい。中/満開前のベル形の花が可憐。右/満開になるとフリルのある花弁が反り返り華やか。 シクラメン 天使の羽 原種と園芸品種を掛け合わせて世界で初めて種間交雑に成功した花で、なんと30年の年月を経て生み出されたという奇跡のシクラメンです。花弁がウェーブしながらうつむいて咲く姿がとても美しく、花もちが抜群。耐寒性が強く屋外でも育ちますが、霜や雪には当てないほうが無難です。 シクラメン 森の妖精 珍しいクリーム色に加え、ピンクのグラデーションとフリンジが愛らしいシクラメンです。耐寒性がありますが、霜の当たらない玄関の軒下に置いています。生産数が少なく滅多にお目にかかれませんが、今年は運よく園芸店で見つけることができました。同じフリンジのハボタンと一緒に寄せ植えしました。 シクラメンを長く楽しむお手入れ シクラメンは鉢の表面を覆うように葉がいっぱい出ているので、水やりの際は葉っぱをめくり、球根に水がかからないよう鉢縁に沿って水をあげます。球根に水がかかると、葉が密集しているためなかなか乾かずに、カビが生えて病気になることがあります。花がらも放置しているとカビの原因になるので、枯れてきた花は花茎ごと手でひねって取ります。 植え替えの時は、あまり球根を深く植えすぎないよう注意します。球根の上部が少し土の上に出るように植えるとよいでしょう。 室内で、屋外で、寄せ植えで、プレゼントでと、楽しみ方がいろいろ多いシクラメン。個性的な可愛い花がたくさんあり、冬もガーデニングを楽しく盛り上げてくれますよ。




















