おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
面谷ひとみ -ガーデニスト-の記事
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おすすめ植物(その他)

バラの美しさを引き立てる! 春〜初夏に植えたい草花リスト【初心者向け黄金コンビ10選】
ゴールデンウィークは庭づくりのベストシーズン みずみずしい緑を背景に次々に花が咲き、甘い香りにあふれる5月の庭。 ゴールデンウィークは庭づくりを始めるのにおすすめのタイミング。園芸店やホームセンターには、一年で最も多くの草花が店頭に並びます。なかでもこの時期は庭の主役となるバラが咲き始めて開花株が並ぶため、花の色や香りを実際に確かめながらお気に入りを選べます。 バラは上級者向けと思っている方が多いかもしれませんが、じつは近年の品種は育てるのに苦労しないものがほとんど。というのも、新品種の開発において「病気への耐性」は必須条件で、新しい品種は「丈夫で育てやすい」というのが今のバラのスタンダードなのです。もちろん、品種によりオールドローズにも丈夫で魅力的なものがたくさんあります。 庭づくりにバラがおすすめの理由 ピンクのバラはオールドローズの‘ジャック・カルティエ’。 バラは1株あるだけで、庭の雰囲気を一気に格上げしてくれる存在です。春から初夏にかけて咲く花は、香りも姿も華やかで、まるで庭に物語が生まれたような特別な空間をつくってくれます。また、バラは春だけでなく繰り返し花を咲かせるものや、秋にはシックな表情で魅せてくれるものもあります。初めてのバラ選びで迷ったら、次の3つを意識してみてください。 初心者さん向け|バラ選びのコツ 半つる性でコンパクトにまとまる‘プリュム’(ピンク)と‘フレーズ’(赤)の華やかな共演。 初めてのバラ選びといっても、難しく考えなくて大丈夫です。大切なのは、次の3つ。あなたにぴったりのバラがきっと見つかりますよ。 育てやすさ/病気に強いとお世話のハードルがグッと下がり、庭づくりが楽しめます。また四季咲きか、春だけ咲く一季咲きかも確認しましょう。四季咲きは繰り返し何度も花が見られる一方で、咲くたびに花がら切りなどのお手入れが必要です。一季咲きのほうがお手入れの回数が少なくてラク。 花の好み/色や花形、香りなど、バラの個性は多彩です。ときめいたものこそ、あなたにピッタリ! 育てる場所に合うか/環境に合っていることが、育てやすさやバラ本来の魅力につながります。 【初心者でも安心】バラと合わせたい春〜初夏の草花10選 つるバラの株元をさまざまな草花が彩る庭のワンシーン。 単体でも美しいバラですが、草花と組み合わせることで「風景」が生まれます。バラだけでは単調になりがちなシーンも、花形や草丈の異なる草花が入ることで、奥行きやリズムが生まれ「庭景色」となるのです。また、草花の緑はバラの背景として、小花はバラの愛らしさをいっそう引き立てる脇役として活躍してくれます。さらに、草花が地表を覆うことで土の乾燥や温度上昇を防ぐ効果もあります。 バラと草花を組み合わせて、あなただけのローズガーデンを作ってみてください。効果別に組み合わせに最適な草花を、バラの庭づくり10年以上という面谷ひとみさんの庭から10種ご紹介します。 【縦ラインで庭にリズムをつくる花】 1. アリウム/球根植物・花色(白、紫)・草丈(品種による)10〜120cm アリウムの白花品種。ボールのように浮かんで光に輝き庭で目を引きます。 春から初夏にかけて咲き、丸く浮かぶ球体の花は庭をとても装飾的に彩ってくれます。バラのふわっとした株姿に対し、すっと伸びたアリウムの組み合わせは、庭の印象を引き締める効果もあります。乾燥気味の環境を好み、植えっぱなしでも数年は楽しめる丈夫な球根植物です。 花火を散らしたようなアリウム・クリストフィー。ともに咲く小花はシノグロッサム(暖地では一年草扱い)。赤いバラはつる性のオールドローズ‘スブニール・ドゥ・ドクトル・ジャメイン’。トゲが少なく扱いやすい。 2. ジギタリス/二年草(多年草)・花色(白、ピンク、オレンジ、黄、紫、茶、複色)・草丈(品種により)30〜100cm 壁を彩るつるバラと共演する草丈の高いジギタリス。 釣鐘形の花が縦に並んで咲くジギタリスは、英国のコテージガーデンのようなロマンチックな雰囲気を演出するのに最適。バラと組み合わせると、絵本のような物語性あふれるワンシーンが生まれます。半日陰でも育ち、草丈が高い品種はつるバラとの共演もOK。 近年作出されたハイブリッド・ジギタリスは、これまでのジギタリスと比べて開花期が長く、秋にも花が咲き大株に育つ。ピンクのバラは‘メアリー・ディレイニー’。 3. ラークスパー(チドリソウ)/一年草・花色(ピンク、紫、青、白)・草丈50〜100cm 縦に連なる花穂が特徴のラークスパー。糸のような細かい葉も繊細な雰囲気を生み出し、バラの名脇役として活躍してくれます。支柱を添えたほうがまっすぐ育ち、風で倒れにくくなり安心です。 サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’/宿根草・花色(紫)・草丈50〜75cm バラにはブルー系の花がほぼないので、この強烈な青紫の花を組み合わせることでドラマチックなシーンを生み出します。細い花穂状にもかかわらず、茎はしっかりと立ち上がり支柱は不要。シャープな紫のラインはモダンな雰囲気の演出にもおすすめです。 【株元をふんわり彩る小花系】 5. ダイアンサス‘グランズフェイバリット’/多年草・花色(赤、白、ピンク、黄、複色)・草丈約40cm 白にラズベリーピンクの縁取りが入る八重咲きの小花はバラを思わせます。シルバーグリーンの細い葉や茎も美しく、バラの下草にぴったり。開花期も長く秋まで花が咲きます。 6. ギリア・トリコロール/一年草扱い・花色(白、ブルー)・草丈40〜60cm 水色で縁取られた白色の小花が群れ咲き、可愛らしく繊細な雰囲気をつくってくれます。英語で「バードアイズ」とも呼ばれる黒い花心がおしゃれ。 7. アスペルラ/一年草・花色(青紫)・草丈約30cm 青紫のふわふわした小花が株を覆うように咲きます。株元からよく枝分かれして横に広がり、バラの株元をブルーのベールをかけたように彩ってくれます。 8. フロックス(一年草タイプ)/一年草・花色(ピンク、白、黄、複色)・草丈15〜25cm 左はベージュに花心がラズベリー色になる‘チェリーキャラメル’、右は‘クリームブリュレ’。密に咲く小花がバラの株元を優しく彩りながら、長期間咲き続けるので、庭に花の彩りを途切れさせません。日当たりと風通しのよい場所に植えれば、初心者でも育てやすい草花です。 バラの株元を彩るフロックスの小花が愛らしい。 【バラと一緒に咲いて華やぐ主役級の花】 9. シャーレー・ポピー/一年草・花色(赤、ピンク、白、複色) 風に揺れる薄い花びらのシャーレー・ポピーは、華やかで儚い雰囲気を一瞬で完成させます。直根性で根をいじられるのを嫌うので、ポット苗は根を崩さずそっと植えます。こぼれ種でも増えます。 光を透かす薄い花びらが魅力のシャーレー・ポピー。 10. クレマチス/宿根草・花色(白、赤、ピンク、紫、青、茶、黒、複色)・つるの長さ(品種により)20〜300cm以上 つる性と木立ち性があり、花形や花色も多種多様です。つるバラとつる性クレマチスの組み合わせは壁を華やかに彩る黄金コンビ。クレマチスは直根性で根をいじられるのを嫌うため、バラと組み合わせる場合は株幅を50cmほどあけて植えると、それぞれの管理がしやすいです。 草花選びのヒント【初心者向け】 バラとシャーレー・ポピーが共演する花壇。レンガの花壇の下にはこぼれ種で増えたエリゲロンが小花を群れ咲かせる。 バラと草花を組み合わせるとき、ちょっとしたコツを押さえるだけで、庭がぐっと自然で美しく見えます。 「ライン」を取り入れると、バラとの対比が美しいバラのふわっとした花や株姿に対して、空に向かって伸びるライン状の草花を組み合わせると、庭にリズムと立体感が生まれます。 「株元カバー」で自然な一体感をバラの株元に小花が広がると、足元からふんわりとしたつながりができ、より自然な景色に。 「色合わせ」は無理にそろえず、バラに似合う1色を選ぶだけでOK完璧に色を揃えようとしなくても大丈夫。「このバラにはこの色が似合いそう」と思った1色を選ぶだけで、庭に統一感が生まれます。 難しく考えず、「好き!」と感じた草花から始めて最初は直感でOK! 育てるうちに、自然と「自分らしさ」が見えてきますよ。 まとめ|バラと草花で、春の庭に“動き”と“光”を バラと草花の組み合わせで、春の庭はぐっと生き生きと輝きます。ふわりとそよぐ小花、すっと立ち上がる花穂、バラの優雅な花姿──。さまざまな草花とバラとの共演で、春の庭に動きや陰影が生まれ、素敵な庭景色が出来上がっていきます。 この春、花たちと一緒に、あなただけの庭時間を楽しんでみませんか? 小さな1歩から始めた庭づくりが、きっと未来に、美しい景色を届けてくれるはずです。
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宿根草・多年草

【実例でよく分かる!】花が咲かない、少ない…クリスマスローズの悩みを横山直樹さんが解決!〜Dr.横山のクリスマスローズ診察室〜
【診察①】環境は理想的…でもクリスマスローズが咲かないのはなぜ? 2020年の庭の様子。樹木の下で‘プチドール’がたわわに咲いて春爛漫の風景。 面谷さん:横山さんが作出されたクリスマスローズの‘プチドール’。数年前までは何十輪と花を咲かせ、圧巻の花姿から「まるでメガドールだね」と冗談を言っていたのに、数年前から数えるほどしか花を咲かせなくなってしまいました。このエリアは庭の南東で、落葉樹のウワミズザクラの下なので、クリスマスローズが好む「冬から春は日が当たり、夏は木陰」という好条件のはず。近くにバラも植わっているので、適度に肥料も効いているはずなんですが…。植えて7〜8年くらい経ちますが、寿命なんでしょうか? Dr.横山:クリスマスローズは限りなく寿命が長くて、40年以上も花を咲かせている株もあるくらいなんです。ですから、植えて7年の株が寿命ということはないし、栽培環境としても申し分ないですね。咲かないなあって思うようになったのは、去年が初めてですか? 面谷さん:いえ、ここ2〜3年くらいかな。 赤丸が2024年の‘プチドール’。 Dr.横山:なるほど。栽培環境もよくて、今までよく咲いていたクリスマスローズが咲かないなと気づいたとき、1年は様子を見てほしいんですよ。というのは、その時たまたま気候や環境の影響によって咲かないけれど、次の年はまたいつもどおりに咲く、というケースもよくあるんですよね。だから、1年はまずは見守ってあげて、次の年もまた咲かないということであれば対処する、というのが基本的な考え方です。 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 クリスマスローズが咲かない、花が少ないという場合、1年はそのまま様子を見ましょう。翌年は再び以前のように咲くこともあります。2年連続で咲かない場合は、原因あり! Dr.横山:このケースの場合、こういう状態になって2〜3年ということだから、たまたま咲かないんじゃなくて、何か原因があると考えましょう。ここは見たところ、5〜6㎡のエリアにウワミズザクラと‘プチドール’のほかにもクリスマスローズが数株、そのほかに球根類や草花も植わっているので、年数を経てそれぞれが生育して、手狭になってきている可能性が高いかもしれないですね。 面谷さん:そうなんです。クリスマスローズもこぼれ種でいつの間にか増えたし、鳥が落とした種子からホタルブクロもすごい増えちゃったし、1つのところにいろんな植物が多すぎるのかな。 Dr.横山:それが必ずしも悪いわけじゃないし、僕はこうやってクリスマスローズがほかの花と仲よく咲いているのはとっても好きですよ! ただ、ホタルブクロがすごい勢いで発芽しているのが気になるかな。とにかく、ちょっと掘り上げて見てみましょうか。 地植えのクリスマスローズの掘り上げ方 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 クリスマスローズは10年近く植えたままにすると、連作障害を起こすことがあります。2年連続で花が少なかったり、咲かなかった場合、また細かい葉ばかりになってきたら、株を掘り起こしてみましょう。株分けをしたり、違う場所に植え替えることで刺激が与えられ、再び元気に育ち始めます。 【診察②】根詰まりと競合植物が原因だった! ウワミズザクラの太い根が‘プチドール’の株の下に入り込んでいた。 Dr.横山:面谷さん、ほら、‘プチドール’を掘り上げた穴を見てみてください。ウワミズザクラの太い根っこが‘プチドール’の株の下に入り込んでいました。花が咲かなくなったのは、きっとこれが主な原因ですね。掘り上げた‘プチドール’の根っこにもホタルブクロの根がたくさん絡んでいるし、 ‘プチドール’が十分に根を伸ばせなかったんですね。 抜いた‘プチドール’の株を見ると、ほかの植物を避けるように、新芽が下へ潜りつつ横へ横へと出てきていた痕跡がありますね。ここでは十分な養分が得られないから、逃げるように株が新天地を求めて移動しようとしていたということです。 面谷さん:あらぁ、ここは窮屈だったんだ。気がつかず申し訳ないことをしてしまったなぁ。でも動かないと思っていた植物が、逃げようとして動くなんて大発見だわ。掘ってみるといろんなことが分かるものですね! ところで、この‘プチドール’はどうなりますか? もうダメなんでしょうか? 【How to】根詰まりのクリスマスローズの再生方法 掘り上げた‘プチドール’。赤丸で囲んだ白っぽい根は、新しい根。 Dr.横山:大丈夫! 私、失敗しないので! この‘プチドール’は、少ないけれどもまだ新しい白い根を出しているので、ひとまず鉢に掘り上げて夏は半日陰で養生させ、秋に植え直してあげましょう。僕がクリスマスローズのために長年研究して作った横山園芸のオリジナル培養土に植えておくと安心ですよ。水はけもよく、肥料もちも適度で、固すぎず柔らかすぎず、植物の根に優しい土です。掘り上げた株は根っこがダメージを受けているので、鉢上げの際は肥料ではなくて、「活力剤」をあげておくといいですよ。 掘り上げた‘プチドール’の、新芽が出ていた部分を株分け(本来株分けは秋がおすすめ)。鉢に植えて養生させることに。 面谷さん:秋には同じ場所に植え直していいですか? それとも別の場所のほうがいい? Dr.横山:同じ場所でもいいんですが、このままの状態ではなくて、一度大胆にこのエリアをリフォームしたほうがいいと思うな。というのも、年数が経ってウワミズザクラの根っこが張り巡らされているうえに、球根や宿根草の根も絡み合っているので。いわばこの植栽エリアは、盆栽の鉢の中のように根っこがギュッと締め固められている状態なんです。ですから、いったん樹木以外の植物を抜いて土壌改良をしたうえで、植物の数を減らして植え直してあげたら、また以前のようにたくさん花を咲かせるようになりますよ。 面谷さん:ああ、よかった! 庭ではたくさんのクリスマスローズを育てているんですが、「これは初めてサンシャインで買った株」とか「子どもが卒業した時に買った株」とか、どれも思い出があって大事にしているんです。この‘プチドール’にも「横山先生に助けてもらった株」というありがたい経歴ができました。とりあえず、秋まで鉢上げして療養入院ですね。私、元看護師なので、しっかりお世話させていただきます! 【診察③】日陰の庭では「控えめな咲き方」を楽しむのもアリ 面谷さん:先生、こちらの北の庭でも花がポツポツとしか咲かなくなってしまったんですが、ここも掘り上げて様子を見たほうがいいでしょうか。 Dr.横山:ここは見たところ、先ほどのエリアとは原因は別にありそうですね。まず、環境が先ほどの日なたの庭と全然違って、ここは日陰で立ってるだけでも寒いなぁ。 面谷さん:そうなんです。ここは建物の陰になる北側の庭で、日が当たるのは早朝の数時間で、10時くらいにはもう日陰になっちゃうかな。日陰すぎて、ここは無理なんでしょうか? 植えた当初は何輪も咲いていたのに、みんな1本立ちの可哀想なスタンダードみたいになってしまって…。 Dr.横山:大丈夫! 私、失敗しないので! 日陰ということもあるけど、朝日は浴びているわけですから、栽培環境としては悪くはないんですよ。ただ、ここは先ほどの日なたの庭と違って、土が痩せてる感じがしますね。ここはほかの場所ほど、肥料が足りていないんじゃないかな。ビオラやパンジーもほかのエリアと比べて、株が小さいですもんね。 面谷さん:先生のおっしゃるとおり! ここはバラとか宿根草をあまり植えていなくて、他の場所より断然肥料をやっていないんです。でも、春になるとサクラソウとか原種シクラメンとかエビネとかがポツポツ咲いて、その控えめな感じがかわいいんですよ。 Dr.横山:うんうん、僕もこの控えめに咲くクリスマスローズの感じもすごくいいと思ったんですよ。必ずしも、いっぱい咲かせることだけが、正解じゃないと思うんだよね。2〜3輪で控えめに咲いても、クリスマスローズってかわいいし、場所の雰囲気に合ってるならそれでいいと思うんです。だから、ここはこのままでもいいけれど、もしもうちょっと花を咲かせたいと面谷さんが思うなら、腐葉土や肥料を施して土を肥えさせましょう。 そうだな、ここはあと5cmくらい腐葉土や堆肥を重ねておくといいと思います。毎年、そうやって秋に定期的に腐葉土や堆肥、肥料を与えれば、もっと花つきがよくなるはずです。それから、これまではきっときれいにお掃除されていたんでしょうけど、このエリアにも落葉樹がいくつか植わっているので、秋の落ち葉を植栽エリアに寄せておくのも効果的ですよ。 夏は緑陰が涼しい北の庭。 面谷さん:なるほど〜。落ち葉を活用すればよかったんですね。今年からそうします! ここはほかのエリアより花は少ないんですが、雑木林のような自然な雰囲気が好きなんです。夏なんかは木陰がとっても涼しくて、ガーデニングの最中の避難所にしているんですよ。 Dr.横山:面谷さん、クリスマスローズにとっても、ここは夏の間の避難所として最適ですよ。さっき掘り上げた‘プチドール’みたいに、ちょっと生育が心配だなというクリスマスローズを養生させておくのにぴったりの場所ですよ。 面谷さん:それはいい考えですね! では、ここはクリスマスローズの保養所にすることにします! それにしても同じ庭の中でも、いろいろ環境条件が違って、咲かない理由も1つではないんですね。 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 日照不足の場所は、しばしばお世話が忘れられて肥料不足になっていることもよくあります。その場合、腐葉土や堆肥などで土壌改良をすることでクリスマスローズの花付きがよくなります。しかし、育て方の目標は必ずしも「たくさん咲かせる」ことだけではありません。その場所の雰囲気に合っていれば、花が少なくても魅力的に見えるものですよ。 【診察④】“葉ばかり茂る”のは古葉切り不足かも! 古葉切りをしたクリスマスローズ。見事な花つきの大株。 Dr.横山:あと、よく質問されるのは、葉っぱばかり茂って花が咲かないんです、というお悩み。これは古葉切りをまったくしていないと、そうなることがあるんですね。無茎種(多くは無茎種)は晩秋から冬にかけて、古葉を切るのがクリスマスローズの管理の基本です。切られる刺激でホルモンが働き、開花が促されるという仕組みになっているんですよ。 面谷さん:先生、いつ切ってもホルモンが働き、開花が促されるんですか? Dr.横山:そうそう、だから例えば夏に傷んだ葉をバンバン切ってしまうと、暑くて休眠しているクリスマスローズが動き出して、余計な体力を使って枯れてしまうことがあるから注意しましょう。基本的に古葉切りは11〜2月の間に行います。葉を切ることで株元にも日が当たり、寒いなかでも地温が上がってつぼみが伸びてくるんです。面谷さんの庭のクリスマスローズは、ちゃんと古葉切りがされていますね。 面谷さん:はい! 米子は1月になったらたくさん雪が降って作業ができないこともあるので、いつも12月までにせっせと古葉切りをしています。じゃあ今、春から新たに葉っぱが出てきて、5月はフサフサになるじゃないですか。それは新葉だから切っちゃいけないということですね。 【楽しむヒント】咲き終わりの花でブーケを作ろう! Dr.横山:そのとおりです。それが晩秋になったら「古葉」という扱いになるわけです。晩秋から冬になると、古葉が外側に倒れてくるので、全部切らなくてもいいですけど、株元5cmを残して切るといいですよ。米子のような雪の降る地域は、冬のガーデニングは寒くて大変なことも多いでしょうけれど、雪国ならではのいい花が見られるという特典もあるんですよ。日当たりのいい場所に咲いているクリスマスローズは、茎がとても太くて充実しているでしょう。これは厳しい寒さに耐えたからこそなんですよ。面谷さんはアレンジメントも得意だから、こういうしっかりした茎の花はブーケにもいいんじゃないですか。 朝一でクリスマスローズを庭から摘んで、ブーケを束ねる面谷さん。 面谷さん:そうなんです! というわけで、診察のお礼に、先生にブーケをプレゼントします! 庭のクリスマスローズを摘んで作ったブーケです。横山先生の「よしの」も入っていますよ。 Dr.横山:わぁ、なんて贅沢なブーケ! ありがとうございます! 4月はそろそろ花が咲き終わって色あせてくるので、そうなったら早めに花茎を切るのが翌年のためにもいいんです。もったいないと思うかもしれませんが、こうやってブーケにすると花の顔もよく見られていいですよね。クリスマスローズを育てている人はぜひ、4月はクリスマスローズのブーケを作ってみてくださいね。 クリスマスローズのブーケをもらったDr.横山、満面の笑み! 【まとめ】咲かない原因は1つじゃない! クリスマスローズが咲かない原因は1つではありません。今回ご紹介した以下の原因をチェックして、それぞれ適切に対処しましょう。 【地植えのクリスマスローズが咲かない主な5つの原因】 根詰まり 他植物との競合 栄養不足 日照不足 古葉切りの不足 そして、1年目は様子を見るのも大事。2年連続で花が咲かないときは、今回の面谷さんの庭のように“掘り上げてみる”のが原因判明の近道かもしれません。 次回は鉢植えのクリスマスローズのお悩みについてご紹介します。
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一年草

【今が買い時!】まるで青い妖精の庭…ネモフィラが彩る夢のガーデンの作り方
世界中の人が夢中になるネモフィラ・ブルー 国営ひたち海浜公園の「みはらしの丘」。Spyan/Shutterstock.com ネモフィラの最大の魅力は、幻想的なブルー。多くの人が心を奪われるこの青の世界が、茨城県の国営ひたち海浜公園にあります。ネモフィラといえばこの場所を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。4〜5月にかけて約530万株のネモフィラが咲き誇るここ「みはらしの丘」には、GW中だけで30万人を超える人々が訪れます。空と海、そしてネモフィラが一体となる絶景は、まさに「空の青に包まれる奇跡の場所」。「一生に一度は見たい風景」として毎年大きな話題を呼び、国内外の注目を集めています。 「みはらしの丘」の壮大なスケールとは異なりますが、その幻想的な美しさを、自宅のガーデンに再現できるのも、ネモフィラの魅力。光が差し込むと花びらがほんのり透け、庭全体がふんわりとした青のグラデーションに包まれます。春のやさしい青空を切り取ったかのようなネモフィラ・ブルーは、どんな庭にも清らかでロマンチックな雰囲気を添えてくれます。 ネモフィラってどんな植物? 繊細なブルーが魅力のネモフィラ。hasetetsu/Shutterstock.com ネモフィラは、別名「瑠璃唐草(るりからくさ)」とも呼ばれる一年草。やわらかなブルーの花びらが特徴で、春になると空のように澄んだ花が一面に咲き広がります。日本の平地では、例年4月中旬から5月上旬にかけてが見頃。草丈は10〜30cmとコンパクトで、グラウンドカバーや寄せ植えにもぴったりです。苗が出回るのはちょうど今頃、3月中旬〜4月上旬で、植えてすぐにキレイな風景が楽しめるのも魅力。手がかからず育てやすいので、ガーデニング初心者にもおすすめです。 ネモフィラの魅力を堪能するガーデンデザイン ネモフィラはどんな植物とも相性がいい春の名脇役 チューリップ‘アプリコットインプレッション’とネモフィラの共演。 国営ひたち海浜公園ではネモフィラが主役ですが、私の庭では脇役として活躍してくれています。ネモフィラのブルーはどんな花色とも相性がよいので、本当に便利。毎年、春にはチューリップを植えるのですが、何色のチューリップと合わせても上品になるのが、お気に入りの理由の1つです。草丈10〜30cmというサイズ感も、チューリップの株元を彩るのにぴったり。 チューリップ‘レモンシフォン’やイエロー系のパンジーとも相性抜群。 チューリップは前年の晩秋から冬にかけて植えたものが芽を出しているので、その間にネモフィラの苗を植え付けるようにします。あまり大胆に掘り返してチューリップの球根を傷めないように注意しましょう。ネモフィラの根は浅く広がるので、少し穴を掘って植え付け、上から盛り土をするような感じでもOKです。 季節をつなぐ役目を果たしてくれるネモフィラ 4月上旬の庭。ネモフィラがチューリップの脇役として活躍。この頃はネモフィラの草丈は20cm程度。 ネモフィラは庭の主役がチューリップからバラへと交代する際、間をつなぐ役目も果たしてくれます。私の庭がある鳥取県米子市ではチューリップは4月いっぱいまでで、バラはもう少し先、5月中旬以降に見頃となります。バラが見頃となるまでの1〜2週間、わずかな端境期が生まれるのですが、その間の庭の彩りをつないでくれるのがネモフィラです。 群植・連続植えでネモフィラ・ブルーを発揮 チューリップが終わった後、草丈が30cmほどになったネモフィラが庭を幻想的に演出。 3月中旬に植え付けたネモフィラは、5月初旬には草丈も株張りも30cmほどになっています。それが春風に揺れると、まるで「花の波」のよう。ネモフィラは花の一つひとつは繊細で小ぶりなため、1株だけでは“青”の印象が淡く、その魅力が最大限に発揮できません。複数株を一定の間隔で植え続けることで、視線を引く美しいラインや面が生まれ、ブルーの魅力が際立ち、あの「ネモフィラ・ブルー」が真価を発揮します。特に春先のガーデンは、宿根草のボリュームがまだ控えめなため、ネモフィラの連続植栽がとても映えます。 花壇の手前にネモフィラを連続植栽。 <植え方のコツ> ●この庭では小道の両側や花壇の縁に沿って連続的にブルーがつながるように、手前から奥までネモフィラを植栽。連続させることによって、景色の中に「青の流れ」を作るようにします。 ●ブルーのボリュームが出るように、1箇所に株間を10〜15cmとって3株程度を植えます。これを連続的に繰り返すと「青の流れ」として認識しやすくなります。 ●植栽帯や花壇の「手前」にネモフィラエリアを作るとブルーが目立ちます。これは抜く際の考慮でもあります。 1株では感じにくい“空を歩くような感覚”は、群れ咲くことで初めて生まれるもの。ネモフィラは「広がってこそ美しい」という特性を活かし、庭に青の物語を描くように植えてみましょう。 ネモフィラのお手入れ&終わったらどうする? チューリップの間に咲くネモフィラ・インシグニス(左)と黒花のネモフィラ‘ペニーブラック’(右)。 ネモフィラは開花中の手入れはほとんど必要ありません。パンジー・ビオラのように、こまめな花がら摘みをせずともOK。ネモフィラは自然に次々と花を咲かせるタイプで、咲き終わった花がタネになってもすぐに見苦しくなることは少なく、花がら摘みをしなくても長く楽しめます。基本的に水はけと日当たりがよければ、放任でもキレイに育ちます。 ネモフィラは5月中旬には花が終わるので、花後は抜く必要があります。その時期はほかの宿根草が旺盛に茂っている最中ですから、抜く際に他の植物を傷めてしまうのでは? と心配になるかもしれませんが、次のようにすれば問題なく、他の植物との組み合わせが楽しめます。 ネモフィラは草丈が低く前景向きの植物なので、宿根草の手前に、20〜30cmほど離して植えます。ネモフィラの根は浅く広がるので、このくらいの間隔があれば他の植物の根を傷める心配はありません。抜いた後は宿根草が勢いを増して茂ってくるので、隙間ができず自然にきれいな風景になります。 心配な場合はネモフィラを抜かずに、株元をハサミで切って、根は土中に残してもOK。根は分解されて宿根草の邪魔にはなりません。 寄せ植えでも活躍するネモフィラ 同じブルーのデルフィニウム‘チアブルー’の株元をネモフィラで彩った寄せ植え。枝垂れ咲くのはクレマチス・ペトリエイ。 ネモフィラは横にやさしく広がる草姿をしており、寄せ植えの中で “ふんわり感”や“抜け感”を演出してくれます。ぎっしり詰まった寄せ植えに軽やかさを加えられる、まさに名脇役。さらに、印象的でありながら派手すぎない淡い青色は“つなぎの色”としても優秀で、他の花色を引き立てながら全体を調和させる効果があります。 淡いピンクのラナンキュラス・ラックスともネモフィラのブルーは相性抜群。 寄せ植えでのネモフィラの使い方アイデア 前景・垂れ下がり役に こぼれるように咲くため、鉢の前面や縁に配置すると自然な流れが出て美しい仕上がりに。 ブルーで“抜け感”を演出 濃い色の花が多い寄せ植えにブルーを加えることで、軽やかで透明感のある仕上がりになります。 単色トーンでまとめてナチュラルに ネモフィラを中心に、ホワイト〜ブルー系の花でまとめると、シックで爽やかな寄せ植えが作れます。 ネモフィラは、ナチュラルでロマンチックな雰囲気を添えてくれる頼れる存在。他の草花とも馴染みやすく、カラーコーディネートや立体的な演出がしやすいのが魅力です。春のガーデニングに、ネモフィラのやさしいブルーを取り入れて“小さな春の物語”が始まるような庭や寄せ植えを作ってみてはいかがでしょうか?
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宿根草・多年草

花が咲かない!少ない! クリスマスローズの疑問・悩みをプロが一挙解決!
Q.1 クリスマスローズの寿命はありますか? 植栽から3年目、大株に育ったプチドールを摘んでブーケに。 長年、クリスマスローズを地植えで育てています。買ってきた苗を地植えにし、3年くらい経つと株いっぱいに花が咲き、それはそれは見事です。最盛期には庭中から惜しみなく切ってきて、クリスマスローズのブーケを作って楽しめるほど。数年はそんなふうに素晴らしくよく咲くのですが、7〜8年経った頃から花数が減ってきて、以前のようには咲かなくなってしまいました。クリスマスローズは長生きする宿根草だと思っていましたが、寿命があるのでしょうか? それとも植えている場所が悪いのでしょうか? A.1 クリスマスローズはとっても長生き! ただし、コツがあります。 横山園芸には40年以上生き続けている株がありますよ。ですから、クリスマスローズの寿命は、ハイブリッドに関しては限りなく長いといえます。しかし、面谷さんがおっしゃるように、開花してから7〜8年経つと、勢いが衰えて花数が少なくなってくるものです。そうなる前にやってほしいのが、植え替えと株分けです。横山園芸の40年以上の株も、株分けと植え替えを繰り返して生き続けています。また、ハイブリッドはこのように長生きさせることができますが、原種の中には短命なものもあり、それらはタネ採りで生き残りを図ります。 Q.2 クリスマスローズ同士の相性ってありますか? 横山さんの作出した‘ヨシノ’が大好きで、大事に育てています。原種チベタヌスの雰囲気がありつつ、ハイブリッドとの交配により性質はとても丈夫で、地植えで年々株が充実してすごくきれいです。そこで、‘ヨシノ’の隣に‘姫ヨシノ’も植えたのですが、なんだかいまいち調子が悪いようです。クリスマスローズにも相性の良し悪しがあるのでしょうか? A.2 クリスマスローズ同士は適切な距離が必要です。 クリスマスローズ同士は、近くに植えるとケンカする傾向にあります。根からアレロパシーを出して戦い、全体的に株が弱ってしまうんです。特に植木鉢など限られた空間ではそれが顕著ですが、地植えでも適切な距離を保って植えることが大切です。 Q.3 こぼれダネで出てきたクリスマスローズはどうすればいいですか? 場所によって、こぼれダネでクリスマスローズがあちこちから出てくるのですが、そのまま育てていいのでしょうか? A.3 移植が必要です 先ほどと同じ理由で、クリスマスローズ同士が近くにあると、全体的に株が弱ってしまうので、小苗のうちに掘り上げて別の場所に移してあげるか、鉢植えで楽しむといいでしょう。 Q.4 花や葉っぱに黒い斑点が出て枯れてきました。どうしたらいいですか? A.4 「ブラックデス」という病気です。すぐに対処しましょう。 ブラックデスは葉や花、茎などに黒い病変が現れます。ハサミの使い回しやアブラムシ、ハダニなどが媒介して液体感染するので、それらの防除に努めますが、発症後は適応する薬剤がないので、残念ですが株を掘り上げ、周辺の用土も破棄して、ほかの株への感染の拡大を防ぐことをおすすめします。 横山直樹さんによる「横山お花クリニック〜面谷クリニックのガーデンから〜」開催! 上記のお悩みを含め、実際に横山直樹さんが面谷さんの庭を巡りながら、クリスマスローズのお悩みを解決するインスタライブを開催します。「花数を衰えさせない植え替えのベストなタイミング」や「アレロパシーを出さない適切な距離感」「草花とクリスマスローズの相性」「適切な植え場所」「猛暑の乗り切り方」など、専門家の目線でクリスマスローズの庭づくりを指南します。 横山さんに相談したいクリスマスローズの疑問やお悩みがある方は、ガーデンストーリーのインスタグラム「クリスマスローズの疑問・お悩み募集」の投稿のコメント欄で、ご質問をお寄せください。インスタライブ内にて回答します(事前に編集部でセレクトさせていただきます)。 ■「横山お花クリニック〜面谷クリニックの庭から〜」インスタライブ/3月30日(日)10〜11時 また、同日午後13時から、現地にお悩みのクリスマスローズの株をお持ちいただける方に限り、横山さんが診察してくれる「横山お花クリニック・植え替え診察室(無料)」を開催。ご希望の方には、あなたのクリスマスローズの株が健やかに育つよう、横山さんが植え替えをしてくれます(1鉢1,000円)。 ■「横山お花クリニック・植え替え診察室」/3月30日(日)13〜15時 住所/鳥取県米子市道笑町4丁目221−1(*クリニックへの電話でのお問い合わせは受け付けておりません。現地に直接お越しください。駐車場50台あり)
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寄せ植え・花壇

かわいさアップ! クリスマスローズと咲かせる早春の花&寄せ植えアイデア
クリスマスローズとは? 豪華な八重咲きから魅惑の原種まで多彩な魅力 左/庭で咲いたクリスマスローズのブーケ。うつむいて咲く花の表情がよく眺められる。右/原種チベタヌスとニゲルの種間交配で生まれた‘ピンクアイス’。 クリスマスローズはまだ花が少ない1〜3月に、うつむき加減の可憐な花を咲かせます。年々株が大きくなり、花数が増えていく宿根草で、地植えでも鉢植えでも育てられます。原種はヨーロッパから地中海沿岸、西アジアにかけて自生し、これらを掛け合わせて生まれた園芸品種は多数。日本には熱心な育種家がいるおかげで、毎年新しい品種が生まれ、魅力は深まるばかりです。あなた好みの花もきっと見つかるはず! クリスマスローズの栽培の基本 クリスマスローズが咲く早春の庭の小径。冬〜早春は日が当たり、夏は木陰になる落葉樹の側が地植えの栽培適地。 育てやすさは品種ごとに異なり、例えば標高1,500m付近に自生するチベタヌスは高山植物のように特別なケアが必要となり、上級者向きです。しかし、多くは寒さに強く丈夫で、初心者でも育てられます。地植えでは、夏の直射日光を避けられる落葉樹の側などを選んで栽培するのがポイント。また、クリスマスローズの生育サイクルは以下のように他の多くの植物と少し異なるので、それに合わせて適期適切な手入れをすれば、ほとんど病害虫に悩まされることなく育てられます。 1〜3月/開花期 4〜5月/生育期 6〜9月/半休眠 10〜12月/生育期 ① 開花期・生育期は日が当たり、休眠期は日陰になる場所を選んで育てる。落葉樹の側がおすすめ。 ② 生育期に肥料を与える。特に、八重咲き品種は花を咲かせるのに一重よりパワーが必要なので、たっぷりあげる。 ③ タネをつけると株が衰えるので、咲き終わった花は遅くとも4月中に花茎を切る。 ④ 11月以降、内側の花芽に日が当たるよう、春に伸びた葉を折り取る(古葉取り)。周辺に植わる宿根草や球根にも日を当てる目的があります。 クリスマスローズと相性のよい早春の花 アネモネ・フルゲンスと八重咲きのクリスマスローズ‘プリマドレス’。 クリスマスローズは草丈が30〜40cmになり、早春の庭にボリュームを出してくれる貴重な素材です。早春の草花は草丈の低いものが多く、うつむき加減に咲くクリスマスローズと咲かせると、花同士がおしゃべりをしているように見えて、なんとも愛らしいのです。組み合わせのポイントは、以下の3つ。 ① クリスマスローズと開花期が揃うもの② クリスマスローズと栽培条件が似ているもの③ 大きくなりすぎないもの クリスマスローズとの組み合わせにおすすめの早春の花を6つピックアップしました。 1.アネモネ・フルゲンス アネモネ・フルゲンスは春に咲くキンポウゲ科の球根花で、アネモネの原種です。細く繊細な茎を伸ばし、上向きの丸い花を咲かせます。草丈は20〜30cmで、クリスマスローズと同じくらいの草丈で咲き、花が寄り添うような風景がとても愛らしいです。冬〜早春にかけて花苗が販売されています。球根は植えっぱなしで何年も咲いてくれ、ローメンテナンスなのも魅力。 さまざまな花色があり、花心の色も魅力的なアネモネ・フルゲンス。 2.ナルキッスス・バルボコディウム ナルキッスス・バルボコディウムは、草丈10〜20cmの小型の原種スイセンです。鮮やかな黄色や柔らかなクリーム色があり、赤紫色の花が多いクリスマスローズと好相性。株元を明るく鮮やかに彩り、レフ板効果でクリスマスローズの花も際立ちます。花が終わると茎が次第に枯れて茶色くなり、夏は休眠に入ります。ちょうどその頃にはクリスマスローズの葉が茂って、枯れた葉を隠してくれるとともに、夏の日差しからも守ってくれるので、栽培環境としても好相性です。球根は晩秋〜冬に植え付け、植えっぱなしでOKです。 ユニークな花形と透明感のある花弁が魅力のナルキッスス・バルボコディウム。Walter Erhardt、AlmacUK/Shutterstock.com 3.ユキワリソウ ユキワリソウは草丈10〜20cmの宿根草。北陸や東北地方原産で、鮮やかな小花が素朴で愛らしい日本の植物です。「雪割草」という名前どおり、雪国の春を代表する花なので、夏の暑さや直射日光にはクリスマスローズ以上に注意が必要です。落葉樹の下で、なおかつ夏は直射日光がほとんど当たらない場所のみ残って咲いてくれているので、場所選びがポイントです。植え付けのタイミングは、春と秋のお彼岸前後です。 色や花形もバリエーション豊富なユキワリソウ。Elena Zobova、mizy、Amalia Gruber/Shutterstock.com 4.パンジー&ビオラ パンジー&ビオラは冬の庭を愛らしく彩る一年草。晩秋から翌春までと開花期が長く、クリスマスローズが咲き出す頃には、花のボリュームが出て株元を華やかに彩ります。カラーバリエーションが豊富で、花形もフリルや小輪などさまざま。クリスマスローズの個性に合わせて組み合わせるのが楽しい花です。秋から冬に開花株を植え付けます。一年草なので、花後は抜き取るだけで、気楽に育てられるのも魅力。 小輪の素朴なビオラと淡いピンクのクリスマスローズの組み合わせ。 5.プリムラ・マラコイデス プリムラ・マラコイデスは小花が群れ咲き、ふわふわと柔らかな雰囲気が素敵です。花径が大きくフォルムがはっきりしているクリスマスローズとは対照的で、組み合わせると互いの魅力が引き立ちます。本来は多年草ですが、暑さに弱いので日本では一年草扱いになります。秋から冬に開花株を植え付け、花後は抜き取ります。開花期間中は液肥を定期的に施すと次々に花が咲き、見頃が長くなります。 白く粉をかけたような草姿から化粧桜とも呼ばれるプリムラ・マラコイデス。 クリスマスローズとプリムラ・マラコイデス、パンジーの組み合わせ。 6.原種シクラメン・コウム 原種シクラメン・コウムは、地際7〜8cmの高さで咲き、花も小さく素朴でクリスマスローズとよく似合います。落葉樹の下では、球根が分球してどんどん増えていってくれるのもお気に入りの点です。原種シクラメンには、秋に咲くヘデリフォリウムと冬から早春に咲くコウムがあります。2種類植えておくと、クリスマスローズが咲く前から開花中まで、花が寂しくなりがちな季節にも庭を彩ってくれます。 葉の色もきれいな原種シクラメン・コウム。 クリスマスローズの寄せ植えアイデア クリスマスローズの花色には、赤茶がかった、割と渋めのカラーが多くあります。それゆえに古くから茶花としても愛されてきましたが、寄せ植えでも和の雰囲気に仕立てたり、はたまた華やかシックに演出したりと、組み合わせる植物次第でさまざまな表情を引き出せるのが面白いところです。クリスマスローズと早春の花の寄せ植えをご紹介します。 渋めカラーのクリスマスローズで野の風情を演出した寄せ植え ラブリーガーデンの安酸友昭さんが作ってくれた寄せ植え。 クリスマスローズの‘レッドサン’や‘パピエ’を直径60cmの大鉢に寄せ植えにしました。この2種は上向き気味に咲き、花の表情がよく見える品種です。控えめな色で和の雰囲気を感じさせる上品な花に合わせて選んだのは、スミレ‘エビ茶’や‘紅花ヒラツカ’、ミヤマオダマキなどの山野草。さらに、クリスマスローズと同じ栽培環境を好む宿根草のティアレラもプラス。鉢の縁には、茎が‘レッドサン’と同じブロンズレッドのベロニカ‘オックスフォードブルー’を植えてあります。 円形鉢の寄せ植えの1つのセオリーとして、中央が高くなるよう主役となる花を配置し、鉢縁にいくにつれ草丈を低くし、こんもり丸い整った形を作る方法がありますが、今回はあえてさまざま草丈のものが入り混じるように仕立ててあります。クリスマスローズも主役として目立たせる植え方ではなく、山野草類と入り混じらせて咲かせることで、野の風情を演出しました。 小輪で葉も小さく、野生っぽい雰囲気のクリスマスローズに合わせて、ハナニラやアッツザクラを寄せ植えしました。スイートアリッサムとベロニカ‘オックスフォードブルー’は鉢縁にグラウンドカバーとして。 立ち枯れた樹木の根っこを活用し、森の中をイメージして作った寄せ植えです。渋めのカラーのクリスマスローズ2種に、ミヤマオダマキやハナニラ、原種シクラメン・コウムなど森林にも自生する素朴な花を組み合わせました。鉢縁には、ここでもベロニカ‘オックスフォードブルー’を。 チョコレートカラーの花を華やかに寄せ植え 渋めのカラーのクリスマスローズも、組み合わせる花を変えるとシックで華やかな雰囲気に変わります。フリフリの花びらが華やかなパンジーを、クリーム色、チョコレートカラー、アプリコットの3種合わせ、ハツユキカズラとスイートアリッサムを鉢縁に植栽。こんもりドーム状に仕立てました。 クリスマスローズの寄せ植えで気をつけること 鉢植えのクリスマスローズの中から寄せ植えに用いる株を選ぶこともある。 寄せ植えの場合は、開花した株、または開花しそうな株を選んで合わせるので、2〜3月初旬に作業します。この時期はクリスマスローズの根は軽くほぐす程度で、あまり大胆にいじらないようにします。基本的にクリスマスローズの根は直根性といい、まっすぐ下に深く伸びる性質があり、いじられるのを嫌います。ダメージを受けると、本来夏越しに向けて温存しておかなければならない体力を回復のほうに消費してしまい、うまく夏越しできなくなってしまうので、根を傷めないようそっと扱います。 花が終わったら花茎を切り、寄せ植えをバラして、クリスマスローズは落葉樹の下など適所へ地植えにするか、単独で鉢植えにし、直射日光の当たらない風通しのよい場所で養生させます。この際も、根は傷めないようそっと扱います。 2月はクリスマスローズの開花苗が出回る季節です クリスマスローズは、早春の庭に立体感や奥行きを与えてくれる宿根草。場所や栽培のちょっとしたポイントを押さえれば、何年も続けて庭で咲いてくれます。同時期に咲く一年草や春の球根類などと組み合わせることで、庭をいっそう華やかにしたり、イメージを変えたりすることができます。クリスマスローズの開花株がたくさん出回るこの季節に、さまざまな花とのコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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宿根草・多年草

【今が買い時!】初心者にもおすすめの宿根草ラナンキュラス・ラックスで作る、映える春の庭
春の庭を彩るラナンキュラス・ラックスの魅力と育て方のポイント たっぷりとした花びらが華麗なラナンキュラス・ラックス‘ヘラ’。 私が暮らす山陰の年明けは、たいていは雨か雪。冬に青空が見られることはほとんどなく、東京の大学へ通う娘のところへ行くようになって、関東では冬も毎日お日様が見られることに驚きました。寒くて薄暗い冬を長く過ごしていると、明るい日差しあふれる春が恋しくてたまりません。春の訪れは、光の色が変わる瞬間で分かります。光が春色になったら、庭もそれに合わせてパッと華やかにしたくなります。そんな気持ちに応えてくれるのが、ラナンキュラス・ラックスです。 ラナンキュラス・ラックスやパンジー、ネメシア、スズランなどが共演する春の庭。 ラナンキュラス・ラックスは、桜と同じ頃に開花する宿根草。ちょうど今頃、1月初旬から花が咲いた株が店頭に並びます。1ポット数千円するので、草花の苗の中では高めですが、一度育ててみればその価値は余りあることが分かります。宿根草ですから、毎年、季節になると花を咲かせてくれるのは当然ですが、地植えにすると2年目は株の大きさが倍以上になります。3〜5月まで次々に花を咲かせ、1株で優に100輪は咲くでしょうか。この点がチューリップなどの春の球根花との違いで、とにかく1株で豪華。草丈は60〜70cmほどになり、春先の庭ではとても存在感があります。草丈は高いのですが、株元の茎は太くしっかりしており、それでいて風に揺れるような抜け感があり、ふわふわ優しい大きな花束のような草姿も絵になります。 ラナンキュラス・ラックスが初心者にもおすすめの理由 ラナンキュラス・ラックスを育て始めて6〜7年になりますが、害虫の被害を受けたことがありません。パンジーやビオラ、デルフィニウムはダンゴムシやナメクジ、ヨトウムシなどに食べられて花がボロボロになることがありますが、そばに植えてあるラックスは被害を受けません。また、花びらが薄く繊細な植物は、開花後に強い雨に当たると花がクシャッとなって復活しないことがありますが、ラックスは繊細に見えて雨を弾き、雨にも負けずに綺麗な花を咲かせてくれるのも大きなポイント。ラックスの名前は「ワックス」からきているのですが、その名前の通り、「耐雨性」にも優れており、最近の激烈な雨にも耐えてくれます。植えっぱなしで夏越しも冬越しもするので、初心者にもおすすめです。 地植えで楽しむラナンキュラス・ラックスの育て方 盛り土をして水はけをよくしたラナンキュラス・ラックスの花壇。 庭のさまざまなエリアに植栽しているラナンキュラス・ラックスをご紹介します。ここは駐車場に面した東側の花壇で、通りからも見える場所なのでラックスをたくさん植え、春が来た喜びを道ゆく人も感じられるようにしました。ラックスは花びらにツヤツヤとした光沢があり、日に当たると輝くように花色が浮かび上がります。 ラナンキュラス・ラックスの育て方のコツは水はけ ラナンキュラス・ラックスの育て方のコツは、何よりも水はけ。もともと球根植物なので、湿った環境を嫌います。この花壇も地面より10〜15cmほど高く盛り土をし、水はけをよくしています。わずかな段差のようですが、植物の生育には確実に違いが出ます。 ラナンキュラス・ラックスは花壇後方の色彩構成に活躍 ここは、クリニックの待合室から眺められる主庭です。濃いブルーのデルフィニウムに合わせて、イエロー系のラナンキュラス・ラックスを植栽しました。この植栽帯は道路側へ向かって地面が緩やかに高くなっており、雨が降っても水がすぐにはけるので、ラナンキュラス・ラックスの栽培環境としては好適です。草丈が高く、ある程度まとまった色を提供してくれるので、花壇の後方の色彩構成に大活躍します。 ラナンキュラス・ラックスは2年目以降に本領発揮 赤茶色のバラの新葉ともよく似合う黄色のラナンキュラス・ラックス‘サティロス’。 ラナンキュラス・ラックスは地植えにすると2年目以降は株の大きさが2倍以上になります。株の大きさにともない花数が増えるのはもちろんなのですが、充実した株に咲く花は花色がグッと深みを増し、一年目とはまったく違う表情を見せます。庭にスペースの余裕があれば、ぜひ地植えをお勧めします。 透明感のある黄色の花が木陰でも輝くようなラナンキュラス・ラックス‘ハリオス’。 ここは先ほどの植栽帯の向かい側、高さ約40cm、奥行き1m、長さ8mほどの花壇です。こちらはテーマカラーを淡いピンクとブルーにし、ピンク系のラナンキュラス・ラックスを花壇後方へ植栽しました。ラナンキュラス・ラックスには‘アリアドネ’や‘アウラ’、‘ヴィーナス’など、ふわっと儚げなピンクの花が多く、春の優しい光によく似合います。この花壇では3カ所にラナンキュラス・ラックスを配置しています。 花心とのコントラストがかわいいラナンキュラス・ラックス‘ヘスティア’。 ラナンキュラス・ラックスの開花期と合う春の花 ラナンキュラス・ラックスの手前には草丈の低いネメシア(右上)やネモフィラ(右下)、クリスマスローズ(左)などを植栽。ペールトーンの花色でまとめて優しい雰囲気にしました。ネメシアとネモフィラは一年草、クリスマスローズは宿根草です。ちょうどラナンキュラス・ラックスの開花と同じ3〜5月に庭を彩ってくれます。 寄せ植えで楽しむラナンキュラス・ラックス ここは建物に沿った小道の庭で、診察や治療を受ける患者さんから一番よく見える場所なので、一番の見どころを作るようにしています。八角形の高さのある大鉢にラナンキュラス・ラックスを寄せ植えにしました。スイートアリッサムやハナカンザシ、シレネなどの小花が株元にふわふわ咲き群れ、ラックスの花を引き立てます。 ブーケのように華やかな寄せ植えは、ガーデナーの安酸友昭さん(ラブリーガーデン)制作。 鉢の周囲に設けた4カ所の植栽帯にもラナンキュラス・ラックスと小花を植栽。 ラナンキュラス・ラックス‘ディーバ’。咲き進むと淡くなる花色の変化も素敵。 小道の庭の入り口にも、中くらいのラナンキュラス・ラックスの寄せ植え鉢を置きました。小道のようなスペースの限られた庭では、鉢植えの花を取り入れると高低差ができ、風景に変化が生まれます。植木鉢を庭の中に置くときは、周囲の地植えの花ともコーディネートすると、狭くても目を引くコーナーが作れます。ここでは紫色のラナンキュラス・ラックス‘ディーバ’に合わせ、紫系のパンジーやキンギョソウ‘ブランルージュ’などを周囲に地植えし、花色が繋がるようにしました。 ラナンキュラス・ラックスの夏越し・冬越し 鉢上げしたラナンキュラス・ラックス(黄みがかった葉はクリスマスローズの鉢)。 ラナンキュラス・ラックスの花は、5月くらいまでが見頃。私の庭では、バラと交代になるように花茎を切ってさっぱりさせます。そのまま地植えの箇所もありますが、主に東側の花壇や寄せ植えの鉢は、バラと合わせる草花に入れ替えるため、ラックスは鉢上げして北側のバックヤードへ。やがて緑の葉も枯れ、地上部は何もなくなりますが、休眠しているので心配ありません。これは地植えのままの株も同じで、地上部がなくなり次の季節の宿根草に席を譲ってくれるので、好都合です。地上部がなくなったら、鉢上げした分も水やりはせず自然の降雨のみで風通しよく管理します。秋になると再び目覚めて、写真のように葉っぱが展開してきます。葉が出てきたら緩効性の置き肥を株元に施し、冬〜早春に再び地植えや寄せ植えにします。私は鉢上げした分は花が咲く直前に植え込みします。 ラナンキュラス・ラックス‘ムーサ’。 米子では冬は雪が積もることがありますが、植えっぱなしの株も全く問題なく、春になると毎年盛大に咲くので、これといった冬越し対策はしていません。ラナンキュラス・ラックス‘ムーサ’はもう植栽から6年以上経過しており、奥行き35cmしかない花壇に植えっぱなしですが、見事な花つきでバラの前のシーズンの主役を担ってくれます。 ラナンキュラス・ラックスは、その華やかさと丈夫さで、春の庭を彩る主役になれる花です。初心者でも育てやすく、毎年美しい花を楽しむことができます。ラナンキュラス・ラックスで、庭をさらに輝かせてみてはいかがでしょうか?
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寄せ植え・花壇

【マストバイ冬の花10】寄せ植えに、花壇に大活躍する冬の庭の定番植物と生かし方
【パンジー&ビオラ】芸術的に進化する魅惑の花色を鉢植えで パンジー&ビオラは冬の花の代表選手。10月頃から店頭に並び始め、翌年の4月まで庭を彩ってくれる花期の長い一年草です。毎年、新品種が登場し、八重咲きやフリル、フリンジ、斑入り、ピコティ(覆輪)、バイカラー(2色咲き)、小輪、極小輪など、多彩なバリエーションは進化し続けています。人気作出家やブランドの花は1株千円前後することもありますが、ひと冬うっとり過ごさせてくれるものを千円で他に探すのは難しいかもしれません。ちなみにパンジーもビオラもどちらもスミレ科の植物で、花の比較的大きいものをパンジー、小さいものをビオラと呼び区別しています。 パンジー&ビオラの花色は季節によっても変化し、寒くなるほどに鮮やかさが際立ちます。上の写真は同じ寄せ植えですが、左が12月で右が翌年3月の様子。冬の間はピンクが濃く、メリハリのある表情ですが、春になると花色が優しくなり、花数も増えてふわっとした印象に変化しました。そんな季節による表情の変化も、パンジー&ビオラの魅力の1つです。 パンジー&ビオラの栽培のコツ これまで何百という種類を育ててきた経験から、花の特徴によって生育の仕方にも個性があることが分かりました。人気のフリル系八重のパンジーは、花弁数が多いので、花を咲かせるのに通常のパンジーよりパワーが必要です。植え込み時には元肥を、そして生育中も肥料が切れないように液肥をしっかり与えながら育てると、花数が確保できます。そうした特徴からも施肥管理がしっかりできる鉢植えのほうが栽培には向いているようです。また、雨に濡れると八重咲きは花が傷みやすいので、置き場所は軒下などがいいでしょう。 一方、花径が小さく素朴な印象のビオラは、地植えで活躍してくれます。冷たい雨に濡れても花茎がシャキッと立ちます。春になると花数が増えて華やかになりますが、草丈が10〜15cmと小さいので、春咲きの球根花やクリスマスローズの株元を彩るのにも最適です。 【ガーデンシクラメン】華やかな色彩でハレの日にぴったり シクラメンは赤やピンクのパッと目につく華やかな花色が特徴で、クリスマスやお正月などハレの日の演出に最適な冬の花材です。一般的なシクラメンは寒さに弱いため、部屋の中で鉢植えを楽しみますが、シクラメンよりミニサイズのガーデンシクラメンは、寒さに強く冬の庭でも育てることができます。花弁が反り返って咲くピンクや赤系の花が一般的ですが、上向きに咲くものや花弁がクルクルとリボン状になるもの、ブルーやイエロー系など多彩なバリエーションで毎年楽しませてくれます。 ストライプ模様がユニークなシクラメン‘クレヨン’。 ガーデンシクラメンの栽培のコツ 葉を外側へ、花芽を中央に移動する「葉組み」により開花が促される。 ガーデンシクラメンは、サクラソウ科シクラメン属の球根です。葉が密に重なっており、内側に枯れた花や傷んだ葉が隠れがちなので、株をそっとかき分けながら、「株元から」茎をやさしくねじって折るようにします。シクラメンがかかりやすい灰色かび病という病気がありますが、球根や葉、花に水がかからないよう株元に水やりをし、上記の手入れをして風通しよく育てることで防ぐことができます。 ガーデンシクラメンは一般的なシクラメンよりは寒さに強いですが、雪や霜が強く降りると、花がしおれて復活しにくいので、鉢植えで軒下などで育てるのがおすすめです。 ガーデンシクラメンの夏越し方法 シクラメンは5月頃別の鉢に植え替え、水やりをせずにそのまま9月頃まで過ごさせることで休眠して夏越しが可能です。その間、地上部は葉も茎も何もない状態になりますが、直射日光と雨の当たらない屋外の風通しのよい場所で鉢を管理します。秋になり涼しくなってきたら、植え替えて日当たりのよい場所に移動し、水やりと肥料を再開すると、再び葉が茂り始めます。 【ストック】草丈の高さを生かして大鉢の中心に ストックの草丈は20〜80cmで、パンジー&ビオラやガーデンシクラメンなど、他の冬の花に比べて、この時期では貴重な草丈の高い花です。その草丈を生かして大鉢の寄せ植えの中央にストックを植えると、立体的なフォルムになり存在感が抜群。特にクリスマスやお正月の頃の寄せ植えには、真っ赤なストックが活躍してくれます。 草丈のあるストックは冬の花壇も立体的に見せてくれます。 ストックの栽培のコツ ストックは、アブラナ科アラセイトウ属の一年草です。原産地はヨーロッパ南部で本来は多年草ですが、日本では厳しい夏を乗り越えられないため、一年草に分類されています。一年草ですが花期は長く、11月頃から苗が出回り、翌年5月頃まで花を咲かせてくれます。ガーデン向けに販売されているストックは分枝するタイプのものが多く、花がら摘みをすることで脇からも花茎が伸びて繰り返し花が楽しめます。 【スイートアリッサム】レースのような群花がエレガント スイートアリッサムは、1つの花は小さいですが、花いっぱいの姿がエレガント。花色は、白、ピンク、紫など、ほかの花と組み合わせやすい色が揃っています。草丈は10~15cmと低く、広がって咲き、寄せ植えでは鉢縁に植栽すると枝垂れるように伸びて、鉢との一体感を生んでくれます。 ガーデンでもよく咲き広がり、広い面を花で埋めてくれるグラウンドカバープランツとしても活躍します。大鉢の周りをスイートアリッサムで埋め尽くすようにすると、よりロマンチックな雰囲気になります。 スイートアリッサムの栽培のコツ 花期は長く、2~6月、9~12月。高温多湿が苦手なので、春に咲いた花は、夏に茎を5cm程度切り戻すことで、秋にもよく花を付けます。さらに、ゆっくりと効果が現れる緩効性の肥料を施すと、きれいに咲き継いでくれるでしょう。日本では一年草として扱われているアリッサムですが、じつは、冷涼な地域では宿根草として扱われます。 【ペルネッティア】オーナメンタルなたわわな実 別名ハッピーベリーとも呼ばれ、花言葉は「小さな幸せがいっぱい」「実る努力」です。そんな花言葉から、この時期、受験勉強に励むお子さんがいるお宅におすすめ。初夏にスズランのような小さなベル形の花を咲かせますが、秋から冬に実る赤やピンクの実を主に観賞します。園芸店に流通するのもその頃です。ツヤツヤの実は寄せ植えや花壇のかわいいアクセントになり、クリスマスらしい雰囲気を演出するのにも重宝します。 花壇の縁を彩るペルネッティア。寒さに強く地植えでOK。 淡いピンクと濃いピンクのペルネッティアを鉢縁に入れた寄せ植え。 ペルネッティアの栽培のコツ ペルネッティアはツツジ科の常緑低木で、北海道で生産されることが多く、耐寒性には優れていますが、耐暑性は弱いです。また、多くの庭の植物がアルカリ性から中性の土壌を好むのに対し、ペルネッティアは酸性土壌を好み、人工授粉をしないと再び実をつけるのが難しいので、私は一年草扱いとしてワンシーズン楽しんでいます。 【宿根ネメシア】ボリュームたっぷりに咲く開花期の長い小花が魅力 日本で長く親しまれてきたのは一年草のネメシアですが、近年は2〜3年は株が生育する宿根草タイプが重宝されています。宿根ネメシアは耐寒性が強く、耐暑性もほどほどあり、10〜6月まで長期間開花し夏越しします。上記写真のネメシア・エッセンシャル‘ラズベリーレモネード’のようなイエローとラズベリーの組み合わせなど、花色も多彩に進化し、香りが豊かなものなど魅力が増すばかりです。 甘い香りが漂うゲブラナガトヨの宿根ネメシア・メーテル。耐寒性が強く、マイナス5℃まで耐える。 宿根ネメシアの栽培のコツ 10月から6月の開花期間中、咲き終わった花はこまめに取り除きます。株全体の花が咲き終わってきたら、株元から5〜10cmの場所で切り戻すと再び新芽が発生し開花が促されます。開花中と切り戻し後には定期的に液肥を与えます。 【カルーナ】クリスマスの演出に重宝する常緑低木 カルーナは常緑低木でシュッと細長い形状をしており、葉っぱがモミの木に似ているのでクリスマスの演出に最適です。細かな緑の葉の間から縦に連なるように咲く花は花穂のような姿で、よく目立ちます。品種によりさまざまな草丈がありますが、高さがあるものは大鉢や細長いタイプの鉢の中央に植えると見応えが出ます。花色も赤、ピンク、オレンジ、黄、白など多彩なバリエーションがあります。荒れた痩せ地の酸性土壌に自生し、耐寒性は強いですが耐暑性は弱いので、暖地での夏越しは困難です。私は一年草として扱っています。 カルーナを中心にストック、ガーデンシクラメン、パンジー、スイートアリッサムと、鉢縁にいくに従い草丈が低くなるよう寄せ植え。 丸くてこんもりと茂るタイプの花が多いなか、カルーナはライン状の花姿が寄せ植えのよいアクセントになります。草丈が小さいコンパクトな品種は、中鉢から小鉢の寄せ植えにぴったり。 横長のバスケットコンテナにガーデンシクラメン 、ビオラ、スイートアリッサムと寄せ植え。 【ハボタン】バラに似た葉姿がお洒落 ハボタンはキャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の植物で、別名「ハナキャベツ」とも呼ばれます。キャベツと異なるのは、美しい色。観賞期間はとても長く、寒さに強く気温の低下に伴って鮮やかに発色し、白やピンク、赤、紫などに株の中心部が染まっていきます。小ぶりでバラのような花形のものなどがあり、寄せ植えにお洒落な雰囲気をもたらしてくれる冬の素材です。春には株の中心部が伸びてきて菜の花とよく似た黄色の花を咲かせます。二年草、または多年草ですが、私は一年草扱いでワンシーズン楽しみます。 左は12月の植栽直後。右は翌年4月の様子。春になると花心が長く伸びてきて、菜の花によく似た花が咲く。 【スキミア】つぼみの姿がかわいい常緑低木 スキミアは、ミカン科ミヤマシキミ(スキミア)属の常緑低木。晩秋から冬にかけてプチプチとしたつぼみや赤い実をつけた可愛い姿を保ち、春になると花が咲き、冬から春にかけての花壇や寄せ植えで活躍してくれるガーデンプランツです。園芸店に並ぶ幼苗は樹高30cmほどで、寄せ植えや花壇で活躍します。花期は春の3月頃ですが、11月頃に花芽ができ始め、冬はつぼみのまま全く変わらない姿を観賞でき、手をかけなくてもきれいな姿を保つことができるのが嬉しいところ。クリスマスやお正月の花飾りとしても活躍します。 赤と緑のスキミア、パンジー、チェッカーベリーを大鉢に寄せ植え。春にはつぼみが開いて白い花が咲き、雰囲気がガラリと変わる。 スキミアの栽培のコツ スキミアの苗が園芸店に出回るのは、主に11~12月なので、冬は寄せ植えに用い、その後は寄せ植えをバラして地植えにします。スキミアはもともと山の中で育つような植物なので、日陰を好みます。夏の暑さや直射日光が苦手なので、庭のシェードエリアに地植えにしています。生育はとてもゆっくりで、将来的にも樹高は80~100cmほどとコンパクトなので、花壇の奥のほうへ植えておくと手がかからず、常緑の葉がいつもきれいに日陰を彩ってくれます。 【コニファー】クリスマスの定番樹木 クリームイエローの葉が美しいコニファー・サルフレア。成長すると2〜3mに。 コニファーは常緑針葉樹の総称で、マツ科やヒノキ科などのさまざまな種類があります。葉色は緑に限らず、シルバーがかっていたり青味がかっていたり個性豊か。円錐形の美しい樹形は、クリスマスツリーとして活躍します。大きなクリスマスツリーを庭にしつらえるのは大変ですが、小型のコニファーを寄せ植えにすると、華やかなクリスマスツリーが演出できます。 パンジーやガーデンシクラメン、チェッカーベリーなど赤い花の中にミニサイズのイタリアカサマツ(ピヌス・ピネア)が入ると、よりいっそうクリスマスらしい雰囲気。 コニファーの栽培のコツ 日当たりのよい場所が栽培適地。耐寒性は強いですが、夏の暑さには弱いので西日が強く当たる場所は避けます。苗木のうちは寄せ植えにできるくらい小さいですが、例えば上のイタリアカサマツ(ピヌス・ピネア)は10mくらいになるので、地植えにする際は生育後の樹高を調べてから場所を選ぶ必要があります。
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寄せ植え・花壇

【おしゃれガーデニング術】パンジー&ビオラの品種の違いを生かして魅せる! 鉢植えコーディネート
鉢とのコラボでかわいさが際立つパンジー&ビオラ パンジー&ビオラはさまざまな花色や花形があり、毎年驚くような新品種が登場します。地植えでも冬の庭をかわいらしく彩ってくれますが、草丈10〜20cmのパンジー&ビオラは、鉢植えにするとよりその魅力が際立ちます。定番のテラコッタはもちろん、多彩な個性の花をさまざまな植木鉢とコーディネートするのは、着せ替え人形のような楽しさがあり、寄せ植えや鉢植えがこれほど楽しみな花はほかにありません。 パンジー&ビオラの品種ごとに異なる生育の違い 左は12月、右は翌年3月の様子。八重咲きのフリルは花数が2倍ほどに。 多彩な個性は色や形だけでなく、育ち方にも違いがあります。この生育の違いは、植えたばかりの頃は気になりませんが、春になると明確に現れてくるので、パンジー&ビオラの品種違いを寄せ植えにするときは、生育差も考慮して組み合わせます。例えば、八重咲きのフリルの強い花は、1輪を咲かせるのにパワーを使うため、春になっても花数がものすごく増えるということはありません。 左は12月、右は翌年3月の様子。中央に植えたパンジー&ビオラがこんもり盛り上がるように茂ってボリュームたっぷり。 それに比べて一重の中輪や小輪は、植えたときの3〜5倍くらいになることも珍しくありません。こうした生育の差が大きなものを同じ鉢に植えると、鉢の片側だけがものすごくボリュームが出てバランスが悪くなったりします。経験を積むとそうした品種ごとの違いが分かってきますが、一番失敗がないのは、同じ品種で色違いを寄せ植えにすること。生育差が少なく、春になっても姿のよい鉢になります。 左/同じタイプのパンジー&ビオラを寄せ植えすると、同じように茂って形のよい鉢姿になる。右/左右の生育の違いがはっきり出た鉢植え。 強烈な個性派パンジー×ダークカラーの鉢でシックな雰囲気 八重咲きで花弁のフリルがまるでサンゴ礁のようなサトウ園芸のパンジー‘ドラキュラ’。花心が黒くベインと呼ばれる筋模様が入る個性強めの花は、ダークカラーの鉢と相性ぴったりです。花はカラフルな取り合わせでも、鉢をダークカラーにするとシックな雰囲気にまとまります。前述のように、一般的な一重のパンジーに比べて春の花数の増え方は控えめですが、1輪のもちがものすごくよいのもこの花の特徴です。一重の花は咲いてしおれるまでが早いので、花がら摘みを始終する必要がありますが、この花はその手間がなく美しさを長くキープしてくれます。ただし、八重咲きは山陰では雪に弱いので、軒下が定位置です。 パンジー&ビオラには‘ドラキュラ’に限らず花心が黒っぽく染まるものが多くあるので、黒やディープパープルの鉢色はよく似合います。この鉢は英国王立の植物園Kew garden(キューガーデン)によって認定された高品質釉薬シリーズで、さまざまなカラー展開があり、色幅豊かなパンジー&ビオラとのコラボが楽しめます。全てのアイテムに公式ロゴ「ROYAL BOTANIC GARDENS-KEW-」が刻印されており、高貴な雰囲気も魅力。 釉薬鉢、陶器鉢の冬期使用の注意点 釉薬とは素焼き鉢に光沢を出すガラスコーティングのようなもので、液体が染み込んだり染み出したりするのを防ぐため、食器などによく使われる焼き物の技法です。底部は素焼きになっていることがほとんどで、排水には問題ありません。ただし、寒冷地では内部に残った水分が凍結し、ひび割れが発生することがあるので、気温が下がる夜間まで水が鉢内に過剰に残らないよう午前中に水やりをするなど注意が必要です。0℃を下回るような厳しい冷え込みが予想される場合は、室内に取り込んだほうが無難。陶器鉢も同様です。 透明ブルー系パンジー×モノトーン鉢でロマンチックに! パンジー&ビオラにはとても一言で「何色」と言えないような繊細な花色がたくさんあります。特にブルーの透明感のある花色を引き立てるには、色彩を排除したモノトーンの鉢がよく似合います。植木鉢といえば茶色のテラコッタが一般的ですが、ブルー系の花色にはウォームカラーのテラコッタが強すぎることがあるので、黒、白のほか、グレーの鉢もおすすめです。 透明感あふれるブルーが魅力のビオラ‘レディ’。 白い鉢はソフトな色合いのパンジーもより美しくロマンチックな雰囲気に仕立ててくれる。 花色と鉢色を合わせたワントーンコーデ カラフルな色合いがたくさんあるパンジー&ビオラですが、なかでも黄色の花は遺伝子上誕生しやすく、花付きのよい品種も多いです。ですから、黄色の鉢はパンジー&ビオラと合わせやすく、1つ持っておいても困りません。冬の間は曇りや雨の日が多い山陰では、明るい黄色の植木鉢とパンジーがひだまりのような明るさをもたらしてくれます。 花色と鉢色を合わせたワントーンコーデは1鉢1株でも目を引く存在感があるので、ガーデンテーブルの上や門柱の上など、狭い場所でも活躍します。小ぶりで色柄ものも多く、パンジー&ビオラとのコーディネートが楽しめます。 カラフルな釉薬鉢を並べて。左2鉢は英国ウィッチフォードポタリー製。雨ざらしにならない軒下で管理。 花柄&レリーフ鉢でエレガントな寄せ植え 青い花柄の鉢に、ブルー系のパンジー&ビオラをコーディネートしました。花柄の鉢はあまり多くはありませんが、このウィリアム・モリスシリーズはどんな花も不思議と上品にまとまります。ウィリアム・モリス(William Morris)は19世紀に活躍した英国の思想家、詩人、芸術家で、草花や自然をモチーフにしたファブリックや壁紙を数多く残しました。「美しいと思わないものを家に置いてはならない」という信念のもと作品を作り、“芸術と仕事、そして日常生活の統合”という理念を掲げたモリスのアーツ&クラフツ運動は近代デザイン史に大きな影響を与えました。 モリスの代表的なパターンであるフローラルやウィロー(柳の葉)などのバリエーションがあり、サイズも大中小と揃うので置き場所に合わせて選べます。 こちらはローラ・アシュレイの横長のコンテナで、白一色の全面に花柄のようなクラシカルなレリーフが浮かび上がります。横長のフォルムはフォーマルな印象なので、玄関前などにおすすめです。淡いラベンダー色のパンジーとスイートアリッサムをコーディネートして、エレガントにまとめました。 籐のバスケットに花たっぷりで田舎風リラックス ピンク系のパンジー&ビオラを主役に、ガーデンシクラメンやブラキカム、ルブス、エリカなどを寄せ植えしました。いろいろな種類がたっぷり入っているのが、バスケットの雰囲気には似合うような気がします。バスケットタイプの鉢は中にビニールがセットしてあり、土がこぼれないようになっています。どんな花色にも似合い、軽量で移動しやすいのも優れた点です。この鉢は持ち手がついているのもポイント。 バスケットにパンジー&ビオラをたっぷり寄せ植え。 サイズ豊富な定番テラコッタは1株植えからたっぷり寄せ植えまで 英国ウィッチフォードのテラコッタ鉢はパンジー&ビオラを上品に見せてくれる。 鉢の定番といえば、テラコッタ。植木鉢の中では、最もデザインもサイズも豊富で選び放題です。大鉢はたっぷり寄せ植えをすると、彩りの少ない冬の庭を華やかに彩ることができます。3号サイズの小さな植木鉢は、1株だけをコレクション的に愛でるのにぴったり。英国にはプリムラ・オーリキュラを1鉢1種植えて専用の棚に並べた「オーリキュラ・シアター」という観賞方法がありますが、近年の芸術的なパンジー&ビオラも、そのような飾り方をしたら壮観に違いないと思います。 英国で伝統的なオーリキュラ・シアター。Wiert nieuman/Shutterstock.com 我が家の玄関は、冬はさながらパンジー&ビオラシアターです。階段を利用して大小さまざまな鉢にパンジー&ビオラを植えていますが、この花たちのおかげで、ほとんど晴れることがない米子の冬も、気持ちを明るく過ごせます。こちらでは雪が降る前の今がちょうど植えどき。今年も、新たな花との出会いと寄せ植えをめいっぱい楽しんでいるところです。
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寄せ植え・花壇

【パンジー&ビオラ】冬こそ活躍する寄せ植え! 大鉢、中鉢、小鉢の効果的な生かし方と植え方
鉢のサイズごとに活躍する場所が異なる! まず最初に植木鉢の基本をおさらい。鉢のサイズは1号、2号と呼び、1号で直径3cm、2号で6cm。号数×3cmが鉢の直径です。この庭では大鉢は13号以上、中鉢は7〜12号、小鉢は6号以下が目安。それぞれの大きさで活躍する場所が異なります。 庭のフォーカルポイントになる大鉢 13号以上の大鉢はたっぷり花が入り、高さもあるので庭の中に置くとフォーカルポイントとして活躍してくれます。特に秋冬の庭では草丈の小さなパンジー、ビオラなどの花材が多いので、地植えにプラスして大鉢の寄せ植えを置くと目線のやや高い場所にも彩りが出て、平面的になりがちな風景に変化が生まれます。大鉢は深さがあるので、低木など高さが出る種類もいれることができます。 【使った植物】 <低木> ・ギョリュウバイ ・サザンクロス ・ヘーベ <つる植物> ・ヘデラ <一年草> ・パンジー&ビオラ ・アリッサム ・カルーナ(一年草扱い) アプローチに格式を演出する大鉢 大鉢は玄関前や庭の入り口などに、格式を演出する存在感があります。この鉢で使っているのはパンジー&ビオラ、ガーデンシクラメン、ハボタンの3種類の代表的な冬の素材で、一つひとつはそれほど主張の強い花ではありませんが、大鉢1つにまとめることで華やかさを演出することができます。小鉢に分散させることもできますが、鉢の色や素材感の異なるものをたくさん並べると、ごちゃごちゃした印象になってしまいがち。鉢をたくさん置く場合には鉢の色や素材感も統一感を出した方がよいです。その点、大鉢1つは手軽に印象的な風景が作れます。 【使った植物】 <一年草> ・ガーデンシクラメン ・ハボタン ・パンジー&ビオラ 大鉢の寄せ植えの手入れのコツと注意点 大鉢に土が入り植物を植えると、とても重くなるので、基本的に移動できません。日当たりなどを考慮して置く場所や鉢を吟味して置く必要があります。そして、何を植えるか植物選びもポイントです。鉢の容量が大きいのでバラや大型の宿根草ももちろん育てられますが、こうした花々は見頃が短期間のことが多いです。玄関前など目立つところに置いた場合、花期以外は見所が少ない鉢になってしまいます。ですから、私は季節ごとに植え替えることを前提とし、一年草を主役にしています。一年草は1シーズン限りですが、一緒に植えた低木や宿根草は庭におろして再利用もできます。株数はトータルで20〜30株植え込みます。 【使った植物】 <低木> ・ギョリュウバイ ・ヘーベ <つる植物> ・ハツユキカズラ ・ヘデラ <一年草> ・キンギョソウ ・ネメシア ・パンジー&ビオラ ・アリッサム ・カルーナ(一年草扱い) 大鉢の寄せ植えの植え替え方 ①前シーズンの植物を抜く まずは茂って乱れた前シーズンの植物を抜きます。大鉢に植えた植物は根が深くまで張っているので、抜くときは柄の長さが約50cmの中くらいサイズのシャベルで掘り起こすようにするとよいです。 大鉢の植え替えに重宝するツール。柄の長さが50〜60cmで扱いやすい。 ②土を1/3入れ替える 植え替えをするときは土も入れ替えます。土をそのまま使うと、次の植物がうまく育ちません。というのも、土の栄養分が前の植物に使い果たされた状態であったり、病害虫がいることがあるからです。ただし、大鉢の場合は全部の土を入れ替える必要はありません。1/3ほどの土を出して、前の植物の根っこや土中に潜んでいる害虫も取り除きましょう。 ③元肥を入れる 次の植物がよく育つように元肥を入れ、その上から新しい用土を鉢縁から10cm程度下くらいまでになるよう足します。 ④植物を仮置きして配置を吟味 いきなり植物を植えずに、ポットのまま仮置きしてバランスをみます。全方位的に観賞する場合は草丈の高い植物を中央に配置し、鉢縁に向かって段々草丈が低くなるようにします。壁際などに置く場合は前と後がはっきり決まっているので、後方に草丈の高い植物を配置します。鉢縁にはいずれも枝垂れるように伸びる植物を入れると、鉢と植物の一体感が生まれます。 ⑤植物をポットから出して植栽 配置が決まったらポットから苗を出します。根が回っていれば、ほぐすとその後の生育がよくなります。根元をよく見て傷んだ葉があればこの時点で取り除いておくと病気が防げます。植栽するときは苗の向きに配慮し、一番可愛く見える方向で植えます。 ⑥苗の間に土を入れる 苗の間に土を入れていきます。植栽していく過程で、沈みこみ過ぎてしまう苗も出てくるので、埋もれてしまった花があれば少し浮かせて、その下に土を入れ込み高さを調節します。 ⑦水やりをして完了 根元に十分水がいき渡るように水やりをして完了。鉢底から水が流れ出るまでたっぷりあげましょう。冬の間はあまり花が咲き進みませんが、花がらを見つけたら摘み取りましょう。定期的に液肥を与えると寄せ植えの見頃が長くなります。 【使った植物】 <低木> ・ロフォミルタス‘マジックドラゴン’ <つる植物> ・コウシュンカズラ <一年草> ・パンジー&ビオラ ・アリッサム ・カルーナ(低木・一年草扱い) ・エリカ‘フラワーレインドロップ’ (低木・一年草扱い) <宿根草> キンギョソウ‘スカンピードラゴン’(カラーリーフとして) 最も扱いやすい中鉢の寄せ植え こちらは最も作りやすい中鉢の寄せ植えです。中鉢はスペースをとらず、移動も可能なので、玄関前や通路など人が通る場所など、どこにでも置きやすいのがメリット。10〜15株程度植栽できるので、さまざまな植物を組み合わせて複雑な表情を作り出すこともできますし、品種を絞ってインパクトを出すこともできます。 【使った植物】 <一年草> ・パンジー&ビオラ ・トウガラシ‘カリコ’ ・ネメシア ・デコベリー (低木・一年草扱い) <宿根草> ラベンダー‘バレンス・ダークバイオレット’ カリシアロザート アルテルナンテラ‘キャツラジュピター’ 庭の小道の入り口に置いた中鉢の寄せ植えです。周りにいろいろな花が咲く場所なので、寄せ植えはパンジー&ビオラに絞って印象的にしました。例えば、複数の寄せ植えの鉢を並べる場合も、シンプルな鉢植えと複数種類の植物が入った複雑な寄せ植えを組み合わせると、見応えのある風景になります。 【使った植物】 <一年草> ・パンジー&ビオラ ・アリッサム レア品種をコレクションする小鉢の寄せ植え パンジー&ビオラは一輪で複雑な表情を持つ絞りやフリル、フリンジなど、工芸品のような花があります。入手するのも困難な品種も少なくありませんが、運よくそんなレア品種と出会えたときには小鉢でコレクション的に楽しみます。ガーデンテーブルや門柱の上に置けるサイズ感なので、風景のワンポイントになります。 【使った植物】 <一年草> ・フリンジのパンジー ・原種シクラメン・コウム 【使った植物】 <一年草> ・フリンジのパンジー&ビオラ2種 単品植えの小鉢の「寄せ鉢」 1鉢に1種ずつ植えた小鉢を並べてコーディネートした寄せ植えならぬ「寄せ鉢」の窓辺です。小鉢を複数並べる場合は鉢の素材感や色を合わせると花が引き立ちスッキリ見えます。パンジー&ビオラは品種数がとても幅広いので、1鉢ずつ異なる品種を植えた寄せ鉢もおすすめです。 大鉢、中鉢、小鉢のコーディネート 大鉢、中鉢、小鉢を並べた庭のテラスです。大鉢と中鉢のパンジーは同じものを入れてコーディネートしました。寄せ植えはなんといっても地植えにできない場所でも華やかに演出できるのがメリット。さまざまなサイズの寄せ植えを作って家の周りを彩ってみてはいかがでしょうか。
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寄せ植え・花壇

【球根の買い時は9月】組み合わせてかわいいチューリップおすすめ品種
チューリップの球根の買い時と植え時は別 チューリップは植物にさほど関心のない人でも春らしさを感じる花です。季節感の演出には欠かせないので、クリニックの庭では小道の両側に沿ってたくさんのチューリップを植え、待合室から見えるメインガーデンも毎年趣向を変えたチューリップガーデンにしています。球根は十分寒くなってから植えないと、土の中で腐ってしまったり、早く芽が出てしまうので、この庭では年を越して1月になってから植えています。ただし、球根を買うのは今。人気品種はのんびりしているとすぐにsold outになってしまうため、早めに入手し、家の涼しい場所で植え時になるまで保管しておきます。 チューリップの原種系はコスパ優秀、園芸品種は豪華絢爛 左は原種系チューリップの‘レディージェーン’、右は園芸品種の‘ブラックパーロット’。Sebastian 22、KrisJacques/Shutterstock.com チューリップには大きく分けて「原種系」と「園芸品種(改良種)」があります。園芸品種のほうが圧倒的に種類が多く、八重咲きやフリンジ咲き、花弁が波打つパーロット咲きなど、おしゃれで豪華なものもたくさん! ただ、こうした品種特性は基本的に1年限りで、植えっぱなしにして翌年も開花する確率は低く、咲いたとしても花が小さくなったり、色が違っていたり、前年と同じとは限りません。ですから園芸品種は一年草として扱うことが多いのに対し、原種は植えっぱなしで何年も同じように咲いてくれるのでコスパ優秀です。ただし、原種は品種数が限られ、園芸品種のような大輪で豪華なものはなく、素朴で愛らしい花姿が特徴です。それぞれによさがあるので、私は植え場所の雰囲気に合わせて、原種も園芸品種もどちらも植栽して楽しんでいます。 チューリップには早咲き、遅咲きがあります 左は早咲きの‘アプリコットインプレッション’、右は遅咲きの‘レモンシフォン’。 チューリップにはとても多くの品種があり、毎年違う雰囲気のものにチャレンジできるのも楽しいところです。品種の違いは見た目だけでなく、開花期にも差が生まれます。「早咲き」は3月下旬から、「遅咲き」は4月中旬から咲き、品種によっては開花期に1カ月近くの差がある場合もあります。同時に咲かせたいときは開花期が同じものを選ぶ必要があり、逆に開花期の異なるものを植えれば、リレーするように花が咲き継ぎ、チューリップのシーズンを伸ばすことができます。私はどちらの方法も取り入れています。 チューリップシーズンを伸ばす開花期違いの組み合わせ ここはクリニックの待合室から見えるメインガーデンで、4月初旬から中旬にかけての風景です。朱色のチューリップは早咲きの‘アプリコットインプレッション’という品種で、ブルーのデルフィニウムやネモフィラとのコントラストが気に入っています。‘アプリコットインプレッション’は、20日過ぎには花が傷んでくるので、咲き終わったら葉だけ残して花茎を切り取ります。球根ごと抜き取ると、庭にボコボコと違和感のある「空き」が生まれるので、季節が進んで他の草花が大きくなってきたタイミングで球根を抜き取ります。 チューリップ‘アプリコットインプレッション’とブルーの花の共演。チューリップは一直線でなく、少しランダムに植えると自然な雰囲気。 上写真は、20日過ぎの風景。‘アプリコットインプレッション’から、淡い黄色の‘レモンシフォン’へバトンタッチしました。こちらは4月中旬から咲き出し、5月初旬まで咲いてくれる遅咲きです。チューリップが交代しただけで、庭の雰囲気が一気に変わると思いませんか。段々と気温が高くなるなかで、レモンイエローとブルーのコンビネーションが庭に爽やかさをもたらしてくれます。咲き継がせるときは、こんなふうに印象がガラッと変わるような2種を選ぶと、歌舞伎の早替わりのようで面白いですよ。 白とレモンイエローがやさしい雰囲気のチューリップ‘レモンシフォン’。冬から咲いているシックなパンジーとも相性抜群。 同時に咲かせて可愛い原種系と園芸品種の組み合わせ ピンクの背の高いチューリップは‘ホーランドチック’。咲き始めは白色で、咲き進むにつれピンクと白が入り交じり、変化が楽しい花です。‘ホーランドチック’の株元でパンジーに交じって咲く小さな黄色のチューリップは、原種系の‘ブライトジェム’。ヒヨコみたいなかわいらしい花で、どのチューリップとも相性がよいので、こちらは植えっぱなしです。 同じ小道の別の年。淡いピンクのチューリップは‘シルバークラウド’。 原種系の‘ブライトジェム’は草丈が20cm程度で愛らしい。 ピコティ品種と単色の園芸品種の組み合わせのコツ 単色のチューリップは‘パープルハート’、花弁が赤色で縁取られるピコティ咲きは‘ビューティートレンド’です。どちらも4月上旬〜中旬にかけての早咲き品種です。ピコティや斑入り品種は個性的でとても美しいのですが、それだけだと意外と風景に紛れてしまい目立たないので、単色のチューリップを少量混植して存在感を引き立たせるのがポイントです。その際、単色のチューリップは縁取りの色と合わせると、おしゃれにまとまります。 チューリップと他の球根花との組み合わせ 春の球根花はチューリップばかりではないので、他の花との組み合わせも楽しめます。ここは前出の小道の庭で、今年2024年の風景です。シックな赤色が魅力のチューリップ‘ラスティングラブ’が引き立つように、白色のアリウム・コワニーを添えるように植えました。アリウムといえばバラの頃に咲く紫色の大きなギガンチウムが有名ですが、コワニーは4月下旬から咲き出す小型種で、白色の愛らしい花です。‘ラスティングラブ’は遅咲きのチューリップなので、アリウム・コワニーとベストマッチ。 チューリップ‘ラスティングラブ’とアリウム・コワニー。コワニーは花もちがよく、切り花としても重宝します。 ‘ラスティングラブ’は今年初めて咲かせた赤色のチューリップで、とてもよかったのでちょっと熱弁を振るわせていただきます。まず名前が素敵! そして、なんといってもシックで上品な赤色は、何人もの患者さんから褒められました。見る時間帯や光によって透き通るような澄んだ赤色だったり、ベルベットのような濃厚な感じになったり、表情豊かなのも魅惑的。写真の右側はもう花が終わりそうな頃ですが、多くのチューリップが花の終わりはバラーンとだらしなく花びらが開いてしまうのに対し、‘ラスティングラブ’は静かにひっそり萎んでいくのもいいところ。ご覧のように花色もあせるというより、黒っぽく凝縮されていく感じなので、だいぶ長く庭に残しておいてもOKでした。 木の株元は野原のような原種系ゾーン ここは枝垂れ桜の株元付近です。自然な雰囲気にしたかったので、小輪で細身のものが多い原種系のチューリップや、小型の球根花のスイセン、ムスカリ、クロッカスなどを混植しています。植えっぱなしでいいので、掘り返して木の根を傷つける心配もありません。原種系の花は小ぶりなので、1穴にある程度まとめて球根を植えるのがポイントです。 黄色と赤の2色咲きの原種系チューリップ‘クルシアナシンシア’。 ムスカリと原種系チューリップ‘ヒルデ’の共演。 買い逃しのないよう、早めのお買い物を 球根の植え時はイチョウが黄葉する頃が目安とされていますが、最近は温暖化でズルズルと遅くなっており、球根の流通時期とかなり時差が生まれています。深い雪に覆われる場所でない限りは、年を越して1月に植えたとしても問題なく咲きます。しかし、植え時には肝心の球根が入手できないことも多いので、買い逃しのないよう早めの計画&お買い物をおすすめします。かくいう私も、毎晩来年の春の庭を想像しながら眠りにつく日々。文字どおり、寝ても覚めてもガーデニングに夢中です。





















