寄せ植えにもかわいい!個性派シクラメン特集、森の妖精、天使の羽、ミニシクラメン、香りシクラメン…
フリルにペチコート、カールリボン。まるでレディーの素敵なお洋服の話のようですが、これは全部、シクラメンの花形です。近年、愛らしい花が続々登場しているシクラメンは、今年も「これがシクラメン?!」と驚くような個性的な花が園芸店に並びます。ガーデナーの面谷ひとみさんがお気に入りの個性的なシクラメンたちをご紹介します。
目次
シクラメンってどんな花?
シクラメンはサクラソウ科の球根花で、10月頃から3月まで赤やピンクの鮮やかな花が咲きます。冬に向かって庭が寂しくなる頃に、鮮やかな色で楽しませてくれる可愛い花です。
シクラメンは、庭植えで楽しめるタイプと、室内の窓辺で楽しむタイプがあります。庭植えで楽しめるのは、シクラメン・ヘデリフォリウムやコウムと呼ばれる原種シクラメンのほかに、耐寒性の強い「ガーデンシクラメン」と呼ばれるタイプです。ガーデンシクラメンは従来のシクラメンより寒さには強いですが、霜に何度も当たったり、雨や雪でずっと濡れた状態が続くと枯れてしまうので、置き場所は軒下などが向いています。室内で楽しむタイプは、雨に当たると葉っぱや花弁にシミができ枯れる原因になるので、玄関ポーチなどに置いて楽しんでいます。シクラメンが好む温度は10〜15℃ですので、あまり温かくなりすぎない場所がよいでしょう。
屋外用か室内用かはお店の人に聞いてみよう
室内用のシクラメンは、一般に5号以上の鉢に植えられた状態で販売されており、価格は庭植え用の3倍以上です。とても華やかなので贈答用としても人気の花ですが、間違って庭に植えてしまうと、寒さであっという間に枯れてしまいます。そんな残念なことにならないように、買うときは屋内用か屋外に置いてもよいか、確認して選びます。目安としては、屋根のない屋外の売り場に並んでいる場合は庭植えできるタイプで、店舗の建物の中に置いてあるものは、たいがい屋内用と思っていいでしょう。最終的にはお店の人に聞いてみるのが確実です。
個性的に進化し続けるシクラメン注目品種!
ミニシクラメン カール
細い花弁がクルッとカールした、これまでにないユニークな花形のシクラメン。草丈15cmほどのミニサイズですが、個性的な花姿で存在感抜群です。「麻野間園芸」のオリジナル品種で、突然変異で現れた1株を何年も地道に種子を取り交配を続け、品種の固定に成功しました。自然の奇跡と育種者の情熱から生まれたこの愛らしい花は、さらに進化を続け、現在流通している赤色とピンクから、今後数色に展開するそう。楽しみですね!
ミニシクラメン‘カール’は鉢に単植するのはもちろん、小型なので寄せ植えでも楽しめます。リボンのような花が、寄せ植えにプレゼントボックスのような楽しい雰囲気をプラスしてくれ、クリスマスにもぴったり。ミニシクラメン‘カール’はガーデンシクラメンほど寒さに強くはありませんが、軽い霜程度なら問題ありません。雨を避けられる軒下や室内の明るく涼しい場所が適しています。花弁が黒くなったら早めに取りましょう。次々に株元から花が上がって、長く楽しめます。
シクラメン スノーショコラ
艶やかなシルバーリーフにダークレッドの花がシックな‘スノーショコラ’は、室内向きのシクラメン。シクラメンで有名な「はら園芸」の育種で、ミニ系に分類されますが、華奢な花茎を伸ばして1株から数十輪の花を上げる咲き姿は見事です。
シクラメン ジックス
白いガクと艶やかな赤い花弁のコントラストが個性的なシクラメン。バイカラーになるつぼみもおしゃれな雰囲気です。寒さにも比較的強いので室内でも屋外でも楽しめ、ガーデンシクラメンとして庭を彩ることも可能です。連続開花性に優れ、たくさんの花が咲きます。花もちもよいため、観賞期間が長く、ロングランでたっぷり楽しめます。目線より少し低めの場所に置くと、花の個性が堪能できます。
シクラメン フェアリーピコダブル
八重咲きのシクラメンで、バイカラーの丸っこい花が愛らしい品種。「はら園芸」の育種で、花粉が出ないため花の寿命がとても長く、非常に丈夫。花は小中輪ですが、生育旺盛で夏にも冬にも強いので、鉢増ししながら育てると年々花数が増え、見事な大株になります。
シクラメン ファルバラ®︎ローズ
フランス「モレル社」のシクラメンで、ほんのり甘やかな香りがある芳香品種です。本来、シクラメンには香りがありませんが、こちらは数少ない香りが楽しめる品種。花弁の縁に細かなフリンジが入り、とりわけベル形の満開前の花形がとても優雅。屋内向きです。
シクラメン 天使の羽
原種と園芸品種を掛け合わせて世界で初めて種間交雑に成功した花で、なんと30年の年月を経て生み出されたという奇跡のシクラメンです。花弁がウェーブしながらうつむいて咲く姿がとても美しく、花もちが抜群。耐寒性が強く屋外でも育ちますが、霜や雪には当てないほうが無難です。
シクラメン 森の妖精
珍しいクリーム色に加え、ピンクのグラデーションとフリンジが愛らしいシクラメンです。耐寒性がありますが、霜の当たらない玄関の軒下に置いています。生産数が少なく滅多にお目にかかれませんが、今年は運よく園芸店で見つけることができました。同じフリンジのハボタンと一緒に寄せ植えしました。
シクラメンを長く楽しむお手入れ
シクラメンは鉢の表面を覆うように葉がいっぱい出ているので、水やりの際は葉っぱをめくり、球根に水がかからないよう鉢縁に沿って水をあげます。球根に水がかかると、葉が密集しているためなかなか乾かずに、カビが生えて病気になることがあります。花がらも放置しているとカビの原因になるので、枯れてきた花は花茎ごと手でひねって取ります。
植え替えの時は、あまり球根を深く植えすぎないよう注意します。球根の上部が少し土の上に出るように植えるとよいでしょう。
室内で、屋外で、寄せ植えで、プレゼントでと、楽しみ方がいろいろ多いシクラメン。個性的な可愛い花がたくさんあり、冬もガーデニングを楽しく盛り上げてくれますよ。
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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写真&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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