蝶のような花がたくさん咲く! 多彩な楽しみ方ができるロベリアを育てよう

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蝶のような愛らしい花が株を覆い尽くすように咲く、華やかなロベリア。特に濃いブルーの花色は人気が高く、「毎年植えている」という方も多いようです。この記事では、ロベリアの特徴や育て方、活用の仕方についてご紹介します。
目次
ロベリアの基本情報

植物名:ロベリア
学名:Lobelia
英名:Lobelia
和名:ルリミゾカクシ(瑠璃溝隠)
その他の名前: ルリチョウソウ(瑠璃蝶草)
科名:キキョウ科
属名:ミゾカクシ属(ロベリア属)
原産地:熱帯〜温帯
分類:一年草、 宿根草(多年草)
ロベリアはキキョウ科ミゾカクシ属(ロベリア属)で、品種によって一年草と多年草があります。原産地は熱帯〜温帯地域で、約400種が確認されています。日本で主に流通しているロベリアは、南アフリカ原産で一年草のロベリア・エリヌスですが、多年草もロベリア・カーディナルスなど、多種類が出回っています。
ロベリアの草丈は、主に日本で流通している一年草は10〜20cm。多年草は種類によって幅があり、200cmに達するものもあります。開花期は、ほとんどが4〜6月ですが、多年草では7〜9月に咲くものもあります。花色は、一年草は白、青、紫。多年草はほかに赤、ピンク、複色などもあります。
ロベリアの名前の由来と花言葉

ロベリアは、学名Lobeliaそのままの名前で流通するようになりました。この学名は、医師で植物学者のマティアス・ロベルにちなんでいます。和名は「瑠璃溝隠(るりみぞかくし)」で、青い花を咲かせるミゾカクシの意。「瑠璃蝶草(るりちょうそう)」の名もあり、瑠璃色の蝶のような花を咲かせる花姿から名付けられました。
ロベリアの花言葉は、「謙遜」「いつも愛らしい」という、花姿をイメージさせるもの。一方で、根にアルカイド系の毒があるために「悪意」「敵意」といった、よからぬ意味の花言葉もあるので、贈り物などにはちょっと注意したいですね。
ロベリアの種類と特徴

ロベリアは約400種が世界各地に分布していることが分かっていますが、日本で園芸用として主に流通しているのは、一年草のロベリア・エリヌスです。園芸品種は、花つきがよくこんもりと茂る‘アズーロコンパクト’が最もポピュラー。多年草では、真っ赤な花を咲かせるロベリア・カーディナリス‘クイーンビクトリア’、日本・朝鮮半島・中国原産のサワギキョウなどがあります。
ロベリアを上手に育てるためのポイント
ここまで、 ロベリアの基本情報や特徴、名前の由来、花言葉、品種などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、手入れなど日頃の管理、増やし方など、育て方について詳しく解説します。
ロベリアに適した栽培環境

ロベリアは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。暑さを苦手とするので、西日が強く当たる場所は避けてください。水はけ・水もちのよい土壌を好むので、植え付け前に腐葉土や堆肥をすき込んで、ふかふかとした土づくりをしておきましょう。冬は常に寒風が吹きつける場所や凍結する場所を避け、暖かな陽だまりなどで越年させます。
ロベリアを栽培するための土づくり

【地植え】
植え付けの2〜3週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。
ロベリアの植え付けと植え替えで気をつけるポイント
ロベリアの植え付け・植え替えの適期は、3〜4月か、10月下旬〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。
一年草は、夏越しできずに枯死するので、開花期が過ぎたら早めに抜き取って処分してください。多年草は、環境に合えば植え替える必要はありません。ただし、数年経って込み合ってきたら株分けして植え替え、株の若返りを図りましょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、5〜7号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。ロベリアの苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
一年草は夏越しできずに枯死するので、開花期を過ぎたら抜き取って処分します。多年草は、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
ロベリアの水やり

水やりの際は株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。
また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、ロベリアは多湿を嫌うので、水の与えすぎに注意してください。いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が白く乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
ロベリアの肥料の与え方

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一年草
【地植え・鉢植えともに】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきます。開花期には、10日に1回を目安に液体肥料を与えて、株の勢いを保つとよいでしょう。
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多年草
【地植え・鉢植えともに】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきます。その後は、3月上旬と11月上旬の年2回、緩効性化成肥料を株の周囲にまいて軽く耕し、土に馴染ませます。
鉢栽培の場合は、水やりと共に肥料成分が流亡しやすいので、株の状態を見て勢いがないようであれば液肥を施して様子を見るとよいでしょう。
ロベリアを健やかに育てるために必要な作業

【摘心】
一年草のロベリアは、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、よく分枝してこんもりと茂り、花つきもよくなります。
【花がら摘み】
ロベリアは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
【花後の刈り込み】
多年草のロベリアは、多湿になると株が蒸れて弱るので、梅雨前に切り戻して風通しよく管理します。草丈の半分くらいの高さを目安にカットして、込み合っている部分があれば、すかし剪定をしておくとよいでしょう。
気をつけておきたい病気と害虫

【病気】
ロベリアの栽培では、病気の心配はほとんどありません。
【害虫】
ロベリアに発生しやすい害虫は、アブラムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ロベリアの増やし方は?

【種まき】
種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。
ロベリアの種まき適期は3〜4月か9月下旬〜10月頃です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れ、1穴あたり1〜2粒ずつ播きます。覆土はせずに、浅く水を張った容器にセルトレイを入れ、底から水を吸わせましょう。乾燥しないように管理し、発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所に置いてください。本葉が10枚ほど揃ったら、黒ポットに植え替えて育苗します。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。
【株分け】
多年草のロベリアは、株分けで増やすことができます。
多年草のロベリアの株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株分けの適期は3月頃か11月頃です。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直します。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
多年草のロベリアは、挿し芽で増やすことができます。挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましいですね! 植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、多年草のロベリアは挿し芽で増やせます。
挿し芽の適期は、6月頃か10月頃です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。セルトレイを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に植え穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。根が回ってきたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
花壇はもちろん鉢植えやハンギングバスケットでも楽しめるロベリア
4〜6月の開花期には、華やかな姿を見せてくれるロベリア。特に一年草のロベリアは草丈が低く、ほかの植物と合わせやすいので、ここでは一年草のロベリア・エリヌスの利用の仕方についてご紹介します。
春から初夏にかけての花壇を彩るロベリア

一年草のロベリアは人気が高く、庭やベランダに取り入れやすい花苗です。草丈は10〜20cmと小さめなので、花壇の前面や縁取りに向いています。こんもりと茂り、花つきがよく茎葉を覆ってしまうほどに咲くので、色の塊となって目に飛び込んできます。そのため、列植すれば主役となってダイナミックな景色をつくってくれますよ!
鉢植えやコンテナの寄せ植えはもちろん、ハンギングにも向くロベリア

一年草のロベリアは草丈10〜20cmで、鉢植えやハンギングバスケットに植えてもコンパクトにまとまるので重宝します。一つひとつの花は小さいので、摘心せずに華奢な姿に仕立てて脇役として利用するのも一案。また、冴えたブルーの花色は草花の中でも珍しいので、寄せ植えにインパクトを与えるのにも一役買ってくれます。
可愛い花を咲かせてくれるロベリアを植えてみよう!

4〜6月に花壇やコンテナ、ハンギングバスケットをカラフルな色で賑やかに彩ってくれるロベリア。主役にも脇役にも利用でき、「今年はどんなコーディネートを楽しもうかな?」とワクワクさせてくれる草花です。春から初夏にかけてたくさんの花を咲かせてくれるロベリアを、ぜひ取り入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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