ラムズイヤーという植物をご存じでしょうか。全身に白い産毛をまとっているために、美しいシルバーリーフを持ち、カラーリーフプランツとして活躍します。茎葉を触って見ると、もふもふとして小動物をなでるような感覚を得られる愛らしさも魅力。大きく育って初夏にはピンクの花を咲かせ、ダイナミックな姿が楽しめるラムズイヤーを、ぜひ育ててみませんか?

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ラムズイヤーってどんな花?

ラムズイヤー
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ラムズイヤーは、シソ科イヌゴマ属(スタキス属)の多年草で、ほのかに香りもあり、ハーブとしても利用されています。原産地はオーストラリアを除く温帯・亜熱帯で、寒さには強い一方で、高温多湿を嫌う性質を持っています。

ラムズイヤーの名前は「羊の耳」という意味で、その名の通り葉を触ってみると、ベルベットのような柔らかな質感をしています。これは白く細かな産毛に覆われているためで、この心地よい触り心地が気に入って購入する方も多いようです。茎葉全体が白い産毛に包まれるため、さわやかなシルバーグリーンに見えてカラーリーフプランツとしても人気の高い植物です。

ラムズイヤーの開花期は5月中旬〜7月で、紫またはピンクの小さな花を咲かせます。草丈は30〜80cmになり、環境に合えば根を広げて株張りもよくなり、花壇の中段あたりに向いています。

ラムズイヤーの品種

ラムズイヤー
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ラムズイヤーの品種には、ピンクの花色が美しい‘オリンピカ’、産毛が密についてシルバーリーフの色がより白い‘シルバー・カーペット’、逆に葉の緑が濃く出る‘プリムローズ・ヘロン’などがあります。

花言葉

ラムズイヤー
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ラムズイヤーの花言葉には「あなたに従う」「従順」などがあります。これは名前の由来となっている、羊をイメージしてつけられたものです。

育て方

ここまで、ラムズイヤーのプロフィールや特性、品種や花言葉などについてご紹介してきました。ではここからは、ガーデニングの実践編として、育て方について深く掘り下げていきましょう。苗の植え付けからスタートし、水やりや肥料、病害虫対策などの日頃の管理、ひと手間をかけて健やかに育てるテクニックや増やし方に至るまで、幅広く解説します。

栽培環境(日当たり・置き場所)

ラムズイヤー
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【庭植え】

日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。

一方で日本の夏の高温多湿の環境を大変苦手とするので、夏前に掘り上げて鉢植えにし、風通しのよい半日陰など涼しい場所に移動させて管理するのがおすすめです。寒さには比較的強いほうで、暖地なら地植えして越冬できます。株元にバークチップなどを敷き詰めて霜よけをしておくとよいでしょう。

【鉢植え】

日当たり、風通しのよい場所に置いて管理します。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。産毛に覆われているせいで蒸れやすい性質のため、長雨が続く時期は軒下など雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。また、真夏の高温多湿の環境を苦手とするので風通しのよい半日陰など、涼しい場所で管理を。寒さには強いので、暖地なら戸外で越冬できます。

土づくり

土づくり
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【庭植え】

酸性土壌を嫌う性質があるので、植え付けの2〜3週間前に苦土石灰を散布して土壌改良しておきましょう。同時に堆肥や腐葉土などを施してフカフカの土づくりをしておきます。また、水はけのよい土壌を好むので、植える場所は斜面の低い位置よりは高い場所や、少し土を盛って周囲より少し高くした場所に植えるとよいでしょう。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

植え付け

ガーデニング
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植え付けの適期は、3月上旬〜5月下旬、または9月中旬〜10月中旬です。植え付け適期でない時期でも、花苗店などで苗を購入したら入手次第植え付けてかまいません。苗を購入する際は、節間が間のびしておらず、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

【庭植え】

土づくりをしておいた場所に、根鉢よりもひと回り大きな穴を掘って苗を植え付けます。複数の苗を植える場合は、約20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢のサイズは、6〜8号鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットのまま鉢に仮置きし、高さを決めます。ポットからラムズイヤーの苗を出し、軽く根鉢をほぐして植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝ほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
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ラムズイヤーは細かな産毛をびっしりとまとっています。そのため、茎葉に水がかかると蒸れやすくなるので水やりの際には注意してください。株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。

真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がってすぐお湯になってしまうので、朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【庭植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿を嫌う性質のため、与えすぎには注意し、いつもジメジメしている環境にならないようにしてください。

土の表面が十分に乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まって表土も乾きにくくなるので、控えめに与えるとよいでしょう。

追肥

肥料
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【庭植え】

土づくりの際に、有機質肥料を十分にすき込んであれば、植え付けた年の追肥は不要です。越年して再び生育が盛んになり始めた頃に、緩効性化成肥料を周囲にばらまいて軽く耕し、土寄せしておきましょう。

【鉢植え】

3月中旬〜6月と9〜10月に、月に1〜2回を目安に、液体肥料を与えて、株の勢いを保ちます。生育が止まる真夏と真冬は不要です。

花がら摘み・剪定(切り戻し)

剪定
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【花がら摘み】

ラムズイヤーの終わった花は、早めに花茎の元から摘み取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【剪定(切り戻し)】

旺盛に生育し一通り咲いて草姿が乱れてきたら、込み合いすぎることが原因で株が蒸れて枯れ上がってきてしまいます。そのため、草丈の半分〜1/3くらいまでを目安に全体を刈り込む「切り戻し」をするとよいでしょう。すると再び株が勢いを取り戻して生育し始めます。真夏の高温多湿を嫌うので、暑くなる前に切り戻して風通しよく管理することがポイントです。

病害虫

アブラムシ
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【病気】

ラムズイヤーの栽培で注意したい病気は、うどんこ病です。

うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。株の勢いがなくなり、見た目としても不愉快になってしまうので、兆候が見られたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。

【害虫】

ラムズイヤーの栽培で注意したい害虫は、アブラムシです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついてしまうほどに。植物の茎葉について吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落とすなどして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の薬剤を利用するのがおすすめです。ただし、ハーブとして収穫する場合は、無農薬での栽培をおすすめします。

夏越し・冬越し

ラムズイヤー
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  • 夏越し

【庭植え】

日本の暑い夏を苦手とするため、特に暖地で日当たりのよい場所に植えている場合は、半分〜3分の1までの高さを目安に切り戻し、鉢に植え替えましょう。西日の当たる場所を避け、風通しのよい涼しい半日陰で管理し、9月下旬〜10月の涼しくなった頃に庭に植え戻します。

【鉢植え】

西日の当たる場所を避け、風通しのよい涼しい半日陰に移動して管理します。

  • 冬越し

【庭植え】

寒さに強いので、鉢上げせずとも庭植えのままで越冬します。寒冷地では、株元にバークチップや腐葉土などを施し、霜対策をしておくとよいでしょう。

【鉢植え】

寒さに強いので、戸外で越冬できます。日当たりのよい場所で管理しましょう。

植え替え

植え替え
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植え替えの適期は3月上旬〜5月下旬、または9月中旬〜10月中旬です。

【庭植え】

ラムズイヤーが大株に育って繁茂しすぎ、周囲の草花との調和を乱すようになってきたら、植え替えます。掘り上げて株を分けて小さくし、植え直しましょう。詳細は「土づくり」と「植え付け」の項目を参照にしてください。

【鉢植え】

ラムズイヤーは根の生育が旺盛で根詰まりしやすいので、鉢栽培している場合は毎年植え替えましょう。植え替えの際は、しばらく水やりを控えて土を乾かしておき、作業しやすいようにしておきます。鉢から株を取り出して根がびっしりと詰まっていたら、根鉢を少しずつ崩して古い根や土を取り除きましょう。株分けして数鉢に植え直して増やしてもいいですし、根を崩して1/2〜1/3まで小さくし、ひと回り大きな鉢に植え替えてもOKです。詳細は「土づくり」と「植え付け」の項目を参照にしてください。

増やし方

種まき
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【株分け】

株分けの適期は、3月上旬〜5月下旬、または9月中旬〜10月中旬です。大株に育っていたら株を掘り上げ、2〜3芽つけて根を切り分ける株分けをすると株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に場所を分けて植え込んでもいいですね。新しい植え場所に堆肥や腐葉土をすき込んで水はけをよくし、根鉢よりひと周り大きな穴を掘り植え直すとよいでしょう。

【挿し芽】

挿し芽の適期は5〜6月頃か10月頃です。まず、勢いのある茎葉を約5cmの長さで切り取り、水を張った容器に1時間ほど挿して吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉(挿し穂)を挿します。摘芯したり、切り戻して切り取った茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。

【種まき】

種まきの適期は4月か9月で、発芽適温は15〜20℃です。種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、タネ同士が重ならないようにばらまきします。タネが隠れる程度に土を薄くかけましょう。種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを載せて底面から吸水させます。涼しい場所で乾燥しないように管理し、発芽を待ちます。

発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。本葉が5~6枚つくまで管理し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

おしゃれなラムズイヤーを育てよう!

ラムズイヤー
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この記事では、カラーリーフプランツとして人気の高いラムズイヤーについてご紹介してきました。多年草のため、一度植え付ければ長く息づいてくれるコストパフォーマンスの高い植物です。引き立て役にも主役にもなるラムズイヤーを、ぜひガーデンやベランダなどに迎え入れてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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