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カラフルな色の葉を持つ植物、カラーリーフの中でも、白や銀色の葉を持つのが「シルバーリーフ(銀葉)」。銀葉や白色の葉はほかの植物とも合わせやすく、寄せ植えや花壇などの色合わせの花材として活躍します。今回は、使いやすいシルバーリーフの中から、代表的な17種類のシルバーリーフと、花壇や鉢植えでの使い方の実例をご紹介します。

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寄せ植えのアクセントにぴったりのシルバーリーフ

 

シルバーリーフを取り入れた花壇
シルバーリーフを取り入れた花壇。横浜・山下公園にて撮影。

ガーデニングを楽しむ際には、植物の花だけを考えるのではなく、葉も景観づくりの重要な要素になります。花は美しく華やかですが、花期だけにしか見ることができません。一方の葉っぱは、花後も茂って残るので長い期間楽しむことができ、葉の形もバリエーション豊か。また大きく広い範囲をカバーすることができるので、花壇や寄せ植えのベースやアクセント、暗い用土の色を隠す役としても幅広く活躍します。ガーデンで植物を栽培する際には、葉の形や美しさも考慮してみましょう。ガーデンプランツの中でも、特に美しい葉を観賞するものをリーフプランツといいますが、花を主に観賞するものにも、美しい葉を持つ植物はたくさんあります。

 

シルバーリーフとバラ
シルバーリーフはローズガーデンにもよく似合います。

植物の葉は、一般的に緑色のイメージが強いですが、銅葉や黒葉、黄金葉など、さまざまな色があり、色鮮やかな葉を持つガーデンプランツを総称してカラーリーフと呼びます。今回取り上げるのは、その中でも白や銀色に輝くような色彩を持つシルバーリーフ。銀葉ともいい、特定の種類の植物を指すのではなく、このような特徴を持つ植物を総称した呼び名です。一口にシルバーリーフといっても、純白に近いはっきりした銀色を持つものから、紫がかったグレイッシュなもの、柔らかな緑白色までその色合いはさまざま。ほかの色とも合わせやすい色なので、メタリックで硬質なイメージの銀の色味を生かして、モダンな印象づくりに利用したり、パステルカラーの花と合わせて優しい色調にまとめたりと、他の花材と合わせて寄せ植えや花壇で活躍します。シルバーリーフを上手に生かすことで、ガーデンでの表現の幅がぐっと広がり、園芸の腕があがりますよ。

植物と‘銀色’

シルバーリーフに限らず、自然界に白い花は数多ありますが、実は白色の色素を持った花、というものはありません。白い花は、植物の細胞の隙間などで光が乱反射し、白く見えていることがほとんどです。シルバーリーフの場合は、緑色の色素が少ないか、細かい白い毛で覆われているために白く輝くような葉を持つことになります。そのため、多くのシルバーリーフでは、表面の毛によるふわふわモコモコとした触り心地も楽しめるおまけつき。質感の違いも、寄せ植えやフラワーアレンジの素材としてよいアクセントになりますよ。

シルバーリーフを取り入れた寄せ植え&花壇のアイデア

どんな色とも合わせやすい白色のシルバーリーフは、色合わせに便利で寄せ植えや花壇のアクセントに効果的。他のガーデンプランツとも組み合わせやすいので、どんな寄せ植えにも活躍します。シルバーリーフを効果的に取り入れた、オシャレでかわいい寄せ植えや花壇のアイデアをご紹介します。

シルバーリーフの寄せ鉢ガーデニング
Photo/cparrphotos/Shutterstock.com

効果的にシルバーリーフを使った寄せ鉢ガーデニングの一角。ラミウムのメタリックな銀色が、足元に明るさをプラスし、ダークパープルのチューリップを引き立てています。

シロタエギク

色とりどりの春色ガーデンの中でも、シロタエギクの群植による白色のエリアは一際目を引きます。

チューリップとシルバーリーフ シルバーリーフと忘れな草

白いチューリップをメインに、空色のワスレナグサと紫色のラベンダー、シルバーリーフのラムズイヤーを合わせた爽やかな色合わせのガーデンの一角。チューリップの花後に立ち上ってくるラムズイヤーが枯れかけた葉をカバーしてくれるというガーデニングアイデアです。

シルバーリーフと青花 シルバーリーフと青花の花壇

シルバーリーフと青い花の組み合わせは相性抜群。

シルバーリーフとホワイトガーデン

シルバーリーフといえば、外せないのがホワイトガーデン。白い花と合わせて印象的な白いガーデン風景づくりに活躍します。中央のシルバーリーフは、アサギリソウ。

ニューサイランとシルバーリーフ

フォルムがかっこいい植物と合わせれば、スタイリッシュでモダンな雰囲気に。

スタイリッシュで魅力的な葉を持つ
シルバーリーフ17種

リクニス・コロナリア

リクニス・コロナリアは、フランネルソウの別名でも知られる宿根草。細かな産毛に覆われた葉と茎はベルベットのような質感で、常緑性なので冬にも美しいシルバーリーフを観賞することができます。草丈は60cm~1mほどと高く育ち、すらりとした草姿で枝分かれしながら咲き続けるので、花壇の背景などに使うと立体感を演出。夏には鮮やかな濃いピンク色や白色の花を咲かせ、白い茎葉とのコントラストも楽しめます。

乾燥したやせ地などでもよく育つ、丈夫な宿根草ですが、反面蒸れには弱いので、日当たりと水はけのよい場所で栽培し、過湿に注意しましょう。

シロタエギク

シロタエギク シルバーリーフの中でも代表的なもの。白く短い毛でびっしりと覆われた葉は柔らかで、触り心地も楽しい。

シルバーリーフの中でも代表的なシロタエギクは、寄せ植えや花壇の名脇役として、ガーデナーにとってはお馴染みの存在です。一般的に、キク科セネシオ属のセネシオ・シネラリアを指します。白く短い毛でびっしりと覆われた葉は柔らかで触り心地も楽しく、耐寒性が強いので、冬のガーデニングには欠かせません。一般的には写真のような切れ込みの入った葉ですが、切れ込みのない葉を広げてよりインパクトを与える‘エンジェルウィングス’のような品種もあります。

丈夫で育てやすいガーデンプランツですが、高温多湿時には株元が蒸れやすいので、水はけと風通しがよい場所で栽培するとよいでしょう。長く伸びすぎたり、つぼみが見えたら切り戻しをすると美しい姿を保ちやすくなります。

モクビャッコウ

モクビャッコウ
sharohyip/Shutterstock.com

シルバーリーフが美しいキク科の常緑性小低木で、枝がよく分枝してこんもり茂り、葉には独特の香りがあります。冬には、小さくミモザを思わせる粒状の花が咲き、花の少ない季節をつなぐ貴重な植物です。耐寒性はあまり強くないので、鉢植えなどで室内に移動させするのがおすすめ。日当たりがよく水はけがよい用土で、乾燥気味に育てるとよいでしょう。

ヘリクリサム・シルバースノー

ヘリクリサム・シルバースノー
simona pavan/Shutterstock.com

キク科の常緑低木のヘリックリサム・シルバースノーは、銀色の細葉が茂り、耐寒性や乾燥に強いので冬の寄せ植え花材として人気です。花材が少ない冬に活躍しますが、真夏の高温や多湿には弱いので、地植えをする場合は日当たりがよく、風通しがある場所に植えるとよいでしょう。初夏に黄色の丸い花が咲きますが、梅雨時期は蒸れやすいので、枝を間引くように剪定をするとよいでしょう。

サントリナ

サトリナ
mizy/Shutterstock.com

キク科ワタスギギク属のサントリナは、和名をワタスギギク、別名にラベンダーコットンやコットンラベンダーと呼ばれるかわいい名前がついています。一見、先にご紹介したヘリクリサムに草姿が似ていて初夏に黄色の花が咲きますが、銀葉は珊瑚のようで個性的。耐寒性のある低木で爽やかな香りがあり、リースやポプリにするなどハーブとしても活用されます。

エレモフィラ・ニベア

エレモフィラ・ニベア
alybaba/Shutterstock.com

長く伸びる枝に白銀の葉が茂り、春には先端に淡いパープルの花を咲かせるエレムルス・ニベアは、オーストラリア原産の植物。エアープランツのようなビロードに起毛した葉のため、雨などで濡れてしまうと乾燥しにくいので、雨が当たらないよう、乾燥気味に管理します。地植えでは管理が難しいので、鉢植えにして春から秋は軒下で、冬は室内の明るい場所で育てるとよいでしょう。

『白銀の葉と淡いパープルの花「エレモフィラ・ニベア」【オージーガーデニングのすすめ】』

ギボウシ(ホスタ)

ギボウシ(ホスタ) 青緑色に白を落としたような、涼し気な葉を広げるギボウシは、シェードガーデンの定番。銀葉に限らず、緑や斑入りなど葉色の種類も豊富です。
青緑色に白を落としたような、涼しげな葉を広げるギボウシは、シェードガーデンの定番。丈夫で育てやすく、大株に育てても見応えがあるので、ガーデンではとてもよく見かける植物です。シルバーリーフに限らず、緑や斑入りなど葉色の種類も豊富で、初夏には淡い紫色の可愛らしい花も楽しめます。

ギボウシの栽培は、明るい日陰や半日陰で育てるのがオススメ。乾燥が厳しい場所は避け、鉢植えの場合は水切れしないように注意しましょう。

ラムズイヤー

ラムズイヤー まるで子羊の耳のような見た目と、ずっと触っていたくなるほどの手触りが特徴。寒さに強く、丈夫でよく増えるのも人気の秘密。

まるで子羊の耳のような見た目と、ずっと触っていたくなるほどのもこもことした手触りが特徴のシルバーリーフ、ラムズイヤー。梅雨頃には、花穂を上げて薄紫色の花を咲かせます。葉は乾燥させてクラフトにも利用できます。寒さに強く、丈夫で、ほったらかしでもよく増えるのも人気の秘密です。

日当たりのよい場所を好みますが、高温多湿は苦手。夏は半日陰になる涼しい場所に移動するとよいでしょう。また、梅雨時には雨の当たらない軒下などに移動するとよいでしょう。株が混んできたら株分けを。

ラミウム

ラミウム メタリックな輝きの銀葉を持つラミウムは、低く広がるのでグラウンドカバー向きの植物。春に咲く小さなピンクや黄花もかわいい。

メタリックな輝きの銀葉を持つラミウムは、低く広がるのでグラウンドカバーやハンギングバスケットに向く植物。シソ科オドリコソウ属の多年草で、初夏に咲く小さなピンクや黄花もかわいいです。シルバーリーフのほか、明るい黄金葉や斑入りの葉を持つ品種もあります。

シェードガーデンでも栽培できる植物で、日陰では花は咲きにくくなりますが、葉は美しい色が楽しめます。強い日差しの下では葉焼けすることがあるので注意しましょう。よく広がるので、株が混んできたら株分けをしましょう。

コンボルブルス・クネオルム

コンボルブルス・クネオルム
Iva Villi/Shutterstock.com

細かな銀色の葉を茂らせ、初夏にヒルガオに似た丸い花を咲かせるコンボルブルス・クネオルムは、ヒルガオ科の耐寒性多年草。地域によっては真冬も葉を保ち、枝分かれしてこんもり育ちます。耐寒性があるので、冬の寄せ植えにも活躍するうえ、暑さにも強く、花が咲いていない時期でも光に照らされて輝く葉を楽しめます。

ニシキシダ

ニシキシダ パープルシルバーの色合いがなんともいえず美しいニシキシダ。特徴ある葉姿とも相まって、シェードガーデンでひときわ目を引く存在です

パープルシルバーの色合いがなんともいえず美しいニシキシダ。特徴ある葉姿とも相まって、シェードガーデンでひときわ目を引く存在です。ナチュラルな雰囲気があり、和風の庭にも洋風の庭にもよく合います。また、日本に自生するシダの仲間なので、気候に合っていて育てやすいのも嬉しいところ。

日陰で湿った場所で栽培すると、葉が大きく、発色もよくなります。日向や乾燥した土地、やせた土地では葉色が出にくくなるので注意しましょう。

ブルンネラ

ブルンネラ
Photo/Flower_Garden/Shutterstock.com

シルバーに緑色の葉脈が際立つ大きな葉が美しい写真の品種は、ブルンネラ‘ジャックフロスト’。ブルンネラは春早くに細い茎を伸ばしてワスレナグサによく似た青紫色の小さな花を咲かせる宿根草です。シェードガーデンで育つリーフプランツとしても代表格のブルンネラには、写真の品種のほかにもシルバーの色彩を持つ品種や斑入りなど、バリエーション豊かな品種があります。

高温や乾燥を嫌い、涼しい場所を好みます。冬から春は日が当たり、夏は日陰になる落葉樹の下などで栽培するとよいでしょう。

ヒューケラ(ツボサンゴ)

ヒューケラ
Anna Gratys/Shutterstock.com

ユキノシタ科の宿根草で葉色のバリエーションが多いヒューケラにも、銀色の葉を茂らせる種類がいくつかあります。写真は、銅色の葉脈が浮き立つシルバーリーフの‘シルバー・スクロール’です。この種類の他にも‘プリンス・オブ・シルバー’や‘シナバー・シルバー’などがあり、それぞれ初夏に咲く花色の違いがあるので組み合わせてカラーリーフの花壇を作るのも方法。

ヒューケラは、耐寒性が強く丈夫なカラーリーフですが、美しい葉色を維持するためにも半日陰の場所に植えるのがおすすめ。枯れた葉を見つけたら切り取って、株をきれいに保ちましょう。

エリンジウム

エリンジウム
Photo/Del Boy/Shutterstock.com

青みがかったような光沢のあるメタリックな銀色と、とげとげとしたユニークな形状がインパクトのある夏に咲く宿根草。写真の‘シルバーゴースト’は、同種の中でも花が最大級で、ガーデンで抜群の存在感がある品種です。庭で栽培するのはもちろん、ドライフラワーにしても個性的な姿と色合いが楽しめます。

日当たりがよく、冷涼で乾燥した気候を好むので、栽培の際は過湿に注意し、水はけのよい場所でやや乾かしぎみに管理しましょう。

『装飾的な花、オーナメンタルな姿を楽しみたい エリンジウム』

レックス・ベゴニア

レックスベゴニア
Photo/Wiert nieuman/Shutterstock.com

レックス・ベゴニアは、多肉質の茎が地下を這う、根茎性ベゴニアと呼ばれるグループに属すベゴニア。渦巻き葉や切れ込みのある葉など、形状も大きさも、そして色合いもさまざまな個性的な葉を持ち、葉の美しさを楽しむ観葉植物として人気があります。テラリウムでの栽培にもオススメです。シルバーリーフを持つ写真の品種は‘シルバー・スプレンダー’。

あまり日光を必要としないので、明るい日陰もしくは室内で育てます。耐寒性が弱いので、霜が降りる前に室内に取り込むとよいでしょう。

ユーカリ

ユーカリ
AndresFelipeSaenz/Shutterstock.com

ドライフラワーやフラワーアレンジなどでもおしゃれな花材として人気のユーカリも、銀葉が美しいカラーリーフの一つです。オーストラリア原産で、コアラの餌としても聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。ユーカリには約600以上の種類があり、写真のような丸い葉や柳のように細長い葉などさまざま。種類によっては、庭に植えると手に追えないほど短期間で大きくなる種類もあるので、選ぶ際には注意が必要です。

日本の庭で育てるならば、ユーカリ・シデロキシロン(Eucalyptus sideroxylon var. roseaやユーカリ・リューコキシロン‘ロゼア’(Eucalyptus leucoxylon ‘Rosea’)などを選ぶとよいでしょう。

『日本に向く「ユーカリ」の育て方【オージーガーデニングのすすめ】』

セラスチウム

セラスチウム
Photo/Mariola Anna S/Shutterstock.com

スノー・イン・サマー、ナツユキソウの別名の通り、細かい毛の生えた小さなシルバーリーフに、白い小花をびっしり咲かせてカーペット状に低く広がる姿は、まるで雪が降ったかのような景色に。繊細な葉は他の植物とも合わせやすく、ホワイトガーデンや寄せ植えのアクセントにオススメです。

基本的に丈夫で育てやすいですが、過湿と多肥を嫌います。日当たりがよく、やせた土地で栽培し、梅雨は雨が当たらないようにするとよいでしょう。夏越しが難しいため、暖地では一年草扱いとされることも多いです。

細かい毛に覆われたシルバーリーフの多くは、乾燥や低温に強く、高温多湿や蒸れが苦手。栽培の際には、適した環境を考慮して植え付けましょう。

ここで紹介したもののほかにも、ユニークな魅力を持つシルバーリーフのガーデンプランツはたくさんあります。ぜひ、お気に入りの種類を見つけて栽培してみてくださいね。

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Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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