春から秋にかけて、長く花壇やコンテナを彩ってくれる花、ペチュニア。品種のバリエーションが豊富で育てやすく、あふれんばかりにたくさんの花を咲かせるペチュニアは、ガーデナーにとって頼れる存在です。そんなペチュニアの使い方や育て方を、ガーデンでの写真とともにご紹介します。
目次
ペチュニアとは
夏の花壇や寄せ植えを彩る、代表的な花の一つがペチュニアです。「あなたと一緒なら心がやわらぐ」「心のやすらぎ」という花言葉を持つペチュニアは、夏の暑い時期もよく咲いて花期が長く、育てやすく、品種のバリエーションが豊富でほかの花とも合わせやすい、とよいこと尽くめ。コンテナや花壇、ハンギングバスケットなど、ガーデニングの定番の花の一つとして、ガーデンには欠かせない存在です。鉢からあふれ出るほどにたくさんの花を咲かせ、こんもりと茂る姿はとても可愛らしいですね。成長が速くて丈夫なので、ガーデニング初心者にもオススメの花です。
ペチュニアはナス科の植物で、本来は多年草ですが、寒さに弱いため日本では基本的に一年草として扱われます。品種改良が進んだ結果、栄養系品種の元祖である「サフィニア」から始まり、「スーパーチュニア」、「バカラ」、「ギュギュ」など、より花数が多く、丈夫で育てやすい園芸品種も多数登場しています。
ペチュニアのバリエーション
ペチュニアには多くの品種があり、一般的な一重咲きや八重咲き、大輪から小輪まで咲き姿もさまざまな種類があります。花色も、白やピンク、赤、紫、黄色などから、覆輪や縞の入ったものまで多彩で違いが楽しめるのも魅力。バリエーションが豊富なので、お気に入りの品種を育てたり、新しい品種に挑戦したりと、毎年育てていても飽きることなく楽しめます。
ペチュニアの使い方
カラーバリエーションが幅広く、どんな花とも合わせやすい姿で、開花時期が長いペチュニアは寄せ植えにオススメの花。ペチュニアだけの単体で鉢に植えても可愛らしいですね。
また、匍匐するタイプのペチュニアは、鉢から枝垂れるように育つのでハンギングバスケットなど、空中や壁に吊り下げて使うのにもぴったり。ペチュニアは蒸れを嫌うので、通気性のよいハンギングの環境での栽培にも向き、元気に咲いてくれます。海外の町で、ペチュニアのハンギングを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
鉢植えとハンギングを同じ花色のペチュニアで組み合わせれば、統一感のある光景に。イギリスで見かけた素敵なアイデアです。
ペチュニアは、初夏から夏頃にかけて、公園や公共の花壇などでも地植えでよく使われています。基本的に低く広がって育つので、花壇に植栽する時は手前に植えるのがオススメです。
ペチュニアの育て方
ペチュニアは、4~5月頃に出回る苗を買って鉢や庭に植え替えて育てるのが一般的。基本的に一年草で、冬越しや挿し芽をして翌年以降育てることもできます。ただし冬越しは難しく、花つきが悪くなったり病気にかかりやすくなるため、毎年季節が来たら新しい苗を購入するほうがよいでしょう。連作障害(同じ場所に同じ植物、または同じ科の植物を続けて栽培することにより生じる、生育が悪くなる、病気が発生しやすくなるなどの現象のこと)が起きやすいナス科の植物なので、栽培場所を変えたり、新しい土を使ったりして育てます。苗を購入する際は、株張りがよく茎が伸びすぎておらず、葉っぱが黄変したりモザイク模様になったりしていない健康な株を選びましょう。また、少し値は張りますが、園芸品種のブランド苗を販売先から購入するのがオススメ。大きく花つきよく成長します。秋か春に細かなタネを播いても育てることができます。
ペチュニアは日光を好むので、栽培は日当たりのよい場所で。また、暑さや乾燥には強い一方で、雨に弱いため、特に梅雨時はうどんこ病対策としても、直接雨の当たらない場所で育てるとよいでしょう。また、ナメクジなどの虫が葉を食べたりしていないかなどのチェックもしましょう。改良品種は雨に強くなっていますが、軒下などで管理するのが無難です。また、泥がはねて株につくと病気が発生しやすくなるので、株元にマルチングをするなどして対策しましょう。
植え付けや植え替えの際は黄色い葉や花がらを取り除き、根を軽くほぐします。深植えにしないようにするのがコツです。また、植え付け後に茎の先端を摘む「摘心(てきしん)」作業をすることで、脇芽がよく出て花数を増やすことができます。ペチュニアは生育旺盛で、品種によっては株の幅が30cm以上と大きく成長するので、植え付けの際は株の間隔を広く取り、土が足りなくならないよう大きめの鉢を使うのがオススメです。成長すると鉢の縁から枝垂れるように育つので、高さのある鉢を使うとよいでしょう。
水やりは土の表面が乾いたら。成長期は水をよく吸い上げ、また夏は乾燥しやすいので水切れには注意しましょう。ただし、根腐れ防止のため、土が湿っていたら水やりは必要ありません。花に水がかかると傷んでしぼむことがありますが、それ以上に花が咲くのであまり気にしなくてもよいでしょう。
梅雨時は蒸れに注意が必要。蒸れを防止するために、全体の1/2~1/3程度を残して剪定する「切り戻し」をします。株姿が乱れてきたら同様に切り戻しをすることで、晩秋まで花を楽しむことができます。
開花期には適宜花がら摘みを行います。ペチュニアは枝葉がべたべたしているため、花がらがくっついて見た目が悪くなりやすいだけでなく、病気の発生源になることがあるので、こまめな花がら摘みが大切です。こまめな花がら摘みが難しい時は、花が大体終わったら、切り戻しを兼ねて枝ごと切るとよいでしょう。また、開花期には肥料を多く必要とし、肥料が切れると花が休みがちになったり、葉が黄色くなったりします。適宜追肥を行いましょう。
ペチュニアをこんもり形よく育てるためのコツ
ペチュニアは成長してくると、次第に株の中心の葉が枯れたり、伸びすぎた枝の先にしか花が咲かなくなったりして見た目が悪くなりがちです。きれいなこんもりとした見た目を保ち、花をたくさん咲かせるコツは、「摘心」と「切り戻し」。上に書いた通り、新芽が出たらこまめに摘心をすることで脇芽が多く出て枝が増え、結果として花数が増えるとともに、こんもりと茂らせることができます。株姿が乱れてきたら切り戻しをすると、摘心と同様に新しい脇芽の発生を促して株姿を整えることができ、蒸れ防止にも効果があります。ペチュニアは成長が速いので、思い切ってバッサリ切ってしまっても大丈夫ですよ。
また、ペチュニアはたくさんの花を咲かせるため、肥料を多く必要とします。小さめのプランターに植えてある場合、株に対して土が少なくなりがちで、肥料やミネラルが不足することがよくあります。肥料が切れると花がとまりがちになるので、適宜追肥を施しましょう。
●ペチュニアをタネから育てる種まきの方法は『タネから花を育ててみよう! タネ播きの適期・失敗しないコツ・発芽後の管理を分かりやすく解説』をご覧ください。
併せて読みたい
・ガーデニングシーズンの主役! “ペチュニア”と“カリブラコア”の魅力と楽しみ方
・安酸友昭さんに教わる 夏に美しく咲き続ける一年草の寄せ植え
・夏の花壇に咲かせたい、涼しげな青い花7選
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
参考:みんなの趣味の園芸 https://www.shuminoengei.jp/
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