タネから花を育てるなんて、ガーデニング初心者にはとても無理! もしかしたら、そう思っていませんか? いいえ、基本さえ守ればタネは必ず発芽します。そして、タネは花苗よりずっと安いので、コスパ的に断然お得! さあ、春の今こそ、花のタネまきに挑戦してみましょう。

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花のタネはどこで買えばいいの?

タネ

花のタネは信頼できる園芸店で買いましょう。自宅近くにいい園芸店がないときはネットを利用して、「サカタのタネ」(横浜市)、「タキイ種苗」(京都市)などの大手種苗会社の通販サイトから購入することもできます。

タネは、いつまけばいいの?

種まきの時期

花のタネをまくのに適している季節は春と秋の年2回。春は3月中旬頃からがまき時となります。発芽に必要な温度は、通常、15〜20℃。種類によっては、もっと高い気温、25℃前後を必要とするものもあります。発芽適温はタネの袋の裏面に必ず書いてありますので、タネを買ったら、その説明をよく読むようにしましょう。

どんな用土にまけばいいの?

種まき用土
サカタのタネのジフィーピートバン。

市販のタネまき専用土を使います。ただし、あまり安価なものは避けましょう。

「サカタのタネ」からは「ジフィーシリーズ」というタネまき用グッズが各種販売されています。大きめのタネをまくのに適しているのは、小さなポット型の「ジフィーセブン」。発芽後、植え替えなしで、ポットごとそのまま定植することができます。

細かいタネをまくのに適しているのは、同シリーズの「ピートバン」。ピートモスを固めて薄い板状にした製品で、水でふくらませて使います。発芽した苗の初期生育に必要な肥料が入れてあり、酸度も調整済み。発芽率がとてもいいので、タネまき初心者にもオススメできるすぐれものグッズです。

その他、必要なタネまきグッズは?

発芽

上記以外にもタネをまけるものはいくつかあります。3号ポット(径3cm)をいくつか用意します。その中にタネまき専用土を入れて、苗床をつくります。イチゴの空きパックなどをタネまき用のトレイとして使うこともできます。その場合は、空きパックの底に水はけ用の小さな穴をいくつか開け、タネまき専用土を入れて苗床をつくります。

タネはどんなふうにまくの?

  1. まず苗床にたっぷりと水をやり、用土を充分に湿らせます。
  2. 指でつまめる程度のタネは、ひとつのポットに2〜3粒ずつまきます。まいた後は、タネを指で用土に押しつけ、しっかりと密着させましょう。
  3. 細かいタネは用土を入れたトレイや、前記の「ピートバン」にバラまきします。まき終えたら、タネを用土に押しつけ、しっかりと密着させます。

植物に合わせた3つの「タネ播き」の方法

タネに土をかける? かけない?

花のタネには、発芽に光を必要とするタイプと、光に当たると発芽しないタイプがあり、このような性質のことをそれぞれ「好光性」と「嫌光性」といいます。

好光性なのか、嫌光性なのかは、タネの袋の説明に書いてありますので、それによってまいたタネに土をかける(覆土する)か、覆土しないかを決めます。

水のあげ方は?

タネの水やり
K.Decha/Shutterstock.com

覆土した場合も、覆土しない場合も、ジョーロなどで一度にドッと水をやると、タネが動いたり、流れて一カ所に偏ってしまったりする恐れがあります。なので、いずれの場合も、霧吹きで丁寧にたっぷりと水やりをしましょう。

発芽するまで、この霧吹きによる水やりを続け、苗床が乾かないようにします。

直まきもOK?

花の中には、苗のときに移植されるのを嫌うので、コンテナや花壇に直まきしたほうがいい種類もあります。タネの袋の説明をよく読み、タネまき専用土にまくか、直まきするかを決めましょう。

タネをまいた後の置き場所は?

種まき後の置き場所

タネまきをしたポットやトレイは、屋外ではなく、室内のなるべく日当りのいい窓辺に置きましょう。 日当りのいい窓辺はポカポカ陽気。15〜20℃程度の発芽適温を確保することができます。

発芽までの日数は?

早いものは3〜4日で発芽します。通常は1週間から10日程度。もっと長く、14日前後かかるものもあります。それまで霧吹きでの水やりを続けながら、気長に発芽を待ちましょう。

「発芽発見」に大感激!

種まき

ある日、苗床から緑色の小さな芽が顔をのぞかせているのを発見したときの喜びと感激! そして、その瞬間、ガーデニングは買ってきた苗を育てるより、タネからやったほうがずっと楽しいということに気づくのです。「発芽発見!」の瞬間の喜びと感激を知らないなんて、本当にもったいない!

発芽後の管理は?

発芽後は、しばらくそのまま水やりをしながら育苗を続けます。その後、本葉が2〜3枚、あるいは3〜4枚になった頃に、一回り大きなポットに植え替えたり、コンテナや花壇に定植したりします。

種類によっては、生育のよい苗だけを残す「間引き」の作業も必要となります。タネの袋の説明をよく読んで、植え替えや定植、間引きなどの作業を行いましょう。

芽がでてからの大事な作業「間引き」とは? やり方とポイントをご紹介

苗が小さいうちは固形肥料を与えると、効き目が強過ぎて、枯れてしまうことがあります。

肥料を与える場合は、200倍以上に希釈したごく薄い液肥を与えるようにしましょう。ただし、可愛がっているつもりのあげ過ぎはNG! 2〜3週間に1回程度にしましょう。

タネから育てる花・オススメ5選

(1)インパチェンス

インパチェンス
NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com

初夏から晩秋になって霜が降りる頃まで咲き続けてくれる春まきの一年草。

まき時は4月上旬から5月下旬。先に紹介した「ピートバン」にまくと、後の作業が楽です。タネは好光性なので、覆土はしません。

発芽後、本葉2〜3枚の頃に3号ポットに仮植えし、雨風に当てないようにしながら育苗します。本葉8枚ぐらいになったら定植の時期。日向よりも半日陰を好みます。夏の猛暑の時期にはちょっとお休みしますが、涼しくなると再び旺盛に花を咲かせてくれます。

さまざまな品種がありますが、「タキイ種苗」が販売している「F1アテナ・レッド」は真っ赤なミニバラのような花が咲く八重咲き種。ハンギングにすると素敵です。

(2)ジニア(百日草)

ジニア
ShaikhMeraj/Shutterstock.com

多くの品種があり、花色も豊富。違う色をいくつも組み合わせて群植すると、素晴らしい景観をつくり出してくれます。

タネまきは4月の上旬、気温が20℃になった頃から。ポットに3〜4粒ずつ間隔をあけてまくか、あるいはトレイにやはり間隔を充分あけてまきます。

ジニアのタネは嫌光性なので、薄く覆土します。4月にタネまきをすると、6月末頃から咲き始め、晩秋まで長く花を楽しむことができます。

草丈が40〜50cm以上になる高性種もあります。高性種を植えたときは、手前に草丈の低い草花植えて組み合わせると、美しさがより引き立ちます。

(3)朝顔

アサガオ
ruiruito/Shutterstock.com

朝顔は日本の夏を象徴する代表的な草花の一つ。江戸時代には栽培が大ブームとなり、さまざまな新品種がつくり出されました。

タネは外皮が固いので、一晩水につけて充分に吸水させてからまきましょう。このとき水に浮いているタネは除き、容器の沈んでいるタネだけをまきます。発芽適温が20〜25℃とやや高めなので、まき時は5月中旬から下旬にかけて。3号ポットに2〜3粒ずつまき、タネを用土に密着させた後、1cmほど覆土します。

発芽までの日数は通常4〜5日。そのまま育苗を続け、最も生育のいい苗だけを残し、その他は間引きます。そして2枚の子葉が水平になったら、ピンセットなどで根を切らないように丁寧に掘り上げ、鉢やコンテナ、あるいは庭に定植します。

花が咲き始めるのは7月中旬頃から。一日花なので翌日にはしぼんでしまいますから、花がらを摘み取りましょう。摘み取らないと、やがてタネができます。そのタネを保存しておいて、翌年またまく場合は、花がら摘みはしません。だだし、こうしてできたタネからは、前年と同じ花が咲くとは限りません。

「西洋朝顔」は夏の終わりから咲き始め、秋遅くまで咲き続けるタイプ。大輪の空色の花が咲く‘ヘブンリーブルー’などがオススメです。

(4)ペチュニア

ペチュニア
Job Narinnate/Shutterstock.com

多花性で、夏の暑さに強く、花期も長いので、多くの人に愛されている草花です。春先にさまざまな種類の花苗が販売されますが、ぜひタネから育ててみましょう。発芽適温が20〜26℃と高めなので、タネまきの適期は3月中旬から5月中旬にかけて。ソメイヨシノが散った頃が、一つの目安となります。

前述の「ピートバン」に1粒ずつ、間隔をあけてまくと、発芽後の作業が楽。ペチュニアのタネは好光性なので、覆土はしません。発芽後、本葉3〜4枚の頃にポットに植え替えて育苗し、一番花のつぼみが見え始めた頃、鉢やプランター、コンテナなどに定植します。

長雨には弱いので、梅雨時には雨が当たらない場所に置きましょう。

しぼんだ花はそのままにしておかず、こまめに花がら摘みをしましょう。また、伸び過ぎた枝や枯れっぽい枝は少し切り詰め、再生を促します。月に1度程度、薄い液肥を与えましょう。

(5)ナスタチウム(金蓮花)

ナスタチウム
Shutova Elena/Shutterstock.com

赤、黄色、オレンジ色などの大きな花が咲き、黄緑色の葉も美しい春まきの一年草。ハーブの仲間で、花や葉にはピリリとした爽やかな辛みがあり、サラダに使うと彩りがよく、風味もアップします。

タネのまき時は3月下旬から5月上旬にかけて。3号ポットに1粒ずつまき、1cmほど覆土します。本葉2〜3枚になった頃が定植の時期です。あるいは、用土を入れたプランターやコンテナ、あるいは庭に直まきします。直まきでも、よく発芽します。

ナスタチウムに多肥は絶対NG! 肥料をやり過ぎると、葉っぱばかり繁って花が咲かなくなります。水やりも控えめにして、乾燥気味に育てましょう。春から夏にかけて次々に花を咲かせ、次第に大株になっていきます。7〜8月の猛暑の時期はちょっとお休み。涼しくなると再び花が咲き始めます。そして晩秋、霜が降りると一夜にしてしおれてしまいますが、それまで数カ月間、花と美しい葉を楽しむことができます。

パクチー、タイム、カモミール
ハーブの種まきにもぜひ挑戦してみよう!

コリアンダー
PPMeth/Shutterstock.com

タイム、カモミール、セージなどのハーブ類も発芽率がよく、鉢やプランター、コンテナなどで栽培すれば、狭いベランダにもミニ・ハーブガーデンがつくれます。とくに、独特の香りで女性に人気のパクチー(コリアンダー)は、発芽率抜群! タネまき初心者にオススメのハーブです。

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Credit

文/岡崎英生(文筆家、園芸家)

Photo/3 and garden

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