【夏花】トロピカルムード満点! ニューギニアインパチェンスの魅力を最大限に引き出す方法

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ニューギニアインパチェンスは、株いっぱいに花が付くトロピカルムードの植物として知られています。近年、暑さに強く丈夫な品種が次々と登場し、花壇での利用も広がり、ますます人気が高まっています。この記事では、そんなニューギニアインパチェンスの品種情報から、その魅力を最大限に引き出し、長く花を楽しむための育て方や管理の秘訣まで、栽培のプロが詳しく解説します。
目次
ニューギニアインパチェンスの基本情報

植物名:ニューギニアインパチェンス
学名:Impatiens New Guinea Group
科名:ツリフネソウ科
属名:ツリフネソウ属
原産地:ニューギニア
形態:一年草
ニューギニアインパチェンスはインパチェンス(アフリカホウセンカ I. walleriana)と同じ仲間で、ニューギニア高冷地原産の原種(I. hawkeri)から育種された園芸品種がニューギニアインパチェンスとされます。インパチェンスと比較すると、葉や花は大きく葉は濃い緑色で艶があります。本来は常緑の多年草ですが、寒さに弱く日本では屋外での冬越しが難しいため、一年草扱いとなる場合が多いです。
従来の品種は夏の直射日光や暑さに弱い性質があり、主に鉢花として育てられます。近年は暑さに強く花壇などに地植え可能な品種が増え、人気も高いです。

ニューギニアインパチェンスの特徴・性質

園芸分類:草花
草丈:20~100cm
開花時期:5~11月
耐寒性:弱い
耐暑性:普通(品種による)
花色:白、ピンク、赤、オレンジ、紫、藤色
強い直射日光が当たらない湿り気の多い場所を好みます。たくさん花を咲かせている株は水分を旺盛に吸収して水切れしやすいので、十分な水やりをする必要があります。
品種によっては1m近くまで大きく育ち、一株でも非常に見応えがあります。春の入手時は小苗でも、夏までにグングン育って大株になります。
一般に流通するのは光沢のある葉をもつ品種がほとんどで、葉に黄色や白の斑が入るものもあります。
花色は赤やピンク、オレンジ、紫、白などがあり、複色の花も多くあります。
開花期間は長く、春から秋まで長期間花が咲きます。周年開花性が強く、温度を保てば一年中開花します。
寒さには弱いですが、鉢植えを室内に置けば越冬は難しくありません。暖房事情のよい暖かい部屋の日当たりのよい窓際などの場所に置くと、冬でも花がよく咲きます。
ニューギニアインパチェンスの品種
サンパチェンス

インドネシアに広く分布する大型の強健な原種(I. platypetala)との種間雑種です。暑さに強いニューギニアインパチェンスとしてサカタのタネにより開発された、ロングセラーの人気品種です。花色豊富で、斑入り葉の品種もあります。サイズは株張りが50~80cm、草丈が50~100cmです。
他の植物と合わせやすいコンパクトサイズの姉妹品種として、サンパティオがあります。
サンハーモニー
中~大株に育ち、夏の暑さに強いです。主にポット苗で販売されています。
暑さに強いコンパクトな品種
暑さに強く、株姿がコンパクトにまとまる品種には、‘インパシオ’、‘ソルルナ’、‘太陽のサンバ’、‘スマイルサン’などがあります。夏の直射日光に強く、性質も丈夫なので、地植えするのもおすすめです。
ワイルドロマンス
八重咲きの品種で、分枝がよいコンパクトサイズの品種です。強い直射日光には弱いので、夏は朝だけ日光が当たる場所か、明るい日陰で育てるとよいでしょう。
ニューギニアインパチェンスの栽培12カ月カレンダー

開花時期: 5~11月
植え付け・植え替え:5~7月中旬
肥料:5~7月、9月中旬~11月
切り戻し:7月
挿し芽:5~9月
ニューギニアインパチェンスの栽培環境

適した環境・置き場所
風通しがよく、建物の東側など午前中だけ日光が当たるような半日陰が適します。
暑さに強い品種は日なたから半日陰で育てますが、猛暑時は西日の当たらない半日陰に移動するのがおすすめです。
ただし、夏以外は日向で育てたほうが茎が間延びせず、花付きもよくなります。
暑さに強くない品種は、夏は半日陰か明るい日陰に置いてください。
鉢植えを夏にベランダやコンクリートの上などに直接置くと、照り返しで株が弱ります。台の上などに置き、風通しのよい環境にするとよいでしょう。
生育温度
生育温度の目安は、15~30℃です。強い直射日光と水切れに注意すれば、夏もたくさん花を咲かせることが多いです。
冬越し
鉢植えで室内に置けば越冬します。最低温度の目安として、5℃以上を保つようにしてください。生育を停止している場合は、控えめに水やりします。最低温度を10~12℃以上を保って窓越しの日光によく当てると、冬でも花が咲きます。花が咲いている場合は水切れしないよう、表土が乾いたらたっぷり水やりしてください。またよく花が咲いている場合は、2週間に1回リン酸が多めの液体肥料を規定より半分程度に薄めて与えるとよいでしょう。
ニューギニアインパチェンスの植え付け・植え替え

苗の入手
春~夏にポット苗か、5号くらいの開花鉢が販売されます。地植え用の用途が増え、ポット苗の流通が多くなってきています。葉が多く、コンパクトでがっしりとした印象の株を選んでください。
地植え
夏の暑さが厳しい場所では、西日の当たらない半日陰に植えると安心です。
植え付け1~2週間前に直径と深さともに30~40cmほど穴を掘り、完熟堆肥や腐葉土などの有機物を1~2㎏と3要素が等量の緩効性化成肥料30~40gを混ぜて埋め戻します。サンパチェンスやサンハーモニーなど大きく育つ品種は株間約60cm、通常の品種は株間約40cmとし、5月以降にポット苗を植え付けます。作業後にたっぷりと水やりして完了です。
鉢植え

大株に育つ品種は、ポット苗を購入したら5~6号鉢に植え替え、次に10号くらいの大きな鉢に最終的に植えます。底面給水鉢を利用すると、水やりの労力を減らすことができます。
通常の品種は、ポット苗を購入したら5~7号鉢に植え替えます。その後植え替えの必要はないでしょう。
用土
草花用の一般的な培養土を利用するとよいでしょう。培養土には肥料が含まれているものがほとんどなので、1カ月くらいは肥料を与えなくても大丈夫です。自分で配合する場合は、赤玉土小粒とピートモスを同じ割合で混ぜた用土などがあります。
ニューギニアインパチェンスの日々の管理・作業

水やり
春は鉢土の表面が乾いたら水やりしてください。株が小さなうちに過湿にすると、根腐れをおこしやすいです。
株が大きくなるにつれて水切れしやすくなります。花がよく咲くようになったら、表土が乾き始めたら与えます。よく乾燥する夏の晴れの日は毎日朝に水やりし、夕方も水切れしていないかチェックするようにしてください。また株全体に水をかけると、ハダニの発生を防ぐ効果があります。
昼にひどく萎れている場合は、夕方まで待たずにすぐに水やりしてください。鉢植えは鉢底から流れ出る水が冷えるまでたっぷり水やりし、日陰に置けばよいでしょう。
地植えした場合は表土が乾いたら、早朝か夕方に水やりしてください。

肥料
3要素が等量の化成肥料を規定量与えるほか、よく開花している時はリン酸の多い液体肥料を1~2週間に1回併用して与えるとよいでしょう。夏の暑さなどで株の調子が悪い場合は、肥料を与えないでください。
また暑さに強くない品種も、夏は肥料を控えたほうがよいでしょう。
切り戻し
暑さに強くない品種は7月に半分くらいまで切り戻すと、秋からよく開花します。作業後夏の間は、明るい日陰で管理するとよいでしょう。
増やし方
5月から9月に、挿し芽で容易に増やすことができます。茎を3節ほど切って上部の葉を2~3枚残し、バーミキュライトや赤玉土小粒などの清潔な用土に挿します。少し長めに切って、水挿ししてもよいでしょう。明るい日陰で乾かさないように管理すれば、2週間ほどで発根します。水挿ししても簡単に発根します。
ニューギニアインパチェンスの病害虫

梅雨時や長雨の時など多湿にすると、枝葉や花にカビが生える灰色カビ病が発生します。見つけ次第取り除き、鉢植えは雨の当たらない場所に置きます。また散った花弁などが葉についてもカビが発生するので、咲き終わった花はこまめに摘むとよいでしょう。
また用土を常に過湿にしても、疫病などによる立ち枯れをおこします。水が溜まりやすいような場所で地植えすると発生しやすいので、周囲に溝を掘るなど排水に配慮してください。
ダニ類が発生すると、葉がかすり状になったり、ねじれて委縮するような症状が見られます。見つけ次第薬剤で防除してください。
ニューギニアインパチェンスの栽培ポイント
- 夏の強い直射日光に注意
- 猛暑時は西日の当たらない場所で育てるのがおすすめ
- 暑さに弱い品種は、夏は明るい日陰で管理する
- 開花時は水切れしやすいので、十分に水やりする
- たくさん花が咲いている時は肥料を十分に与える
- 挿し芽が簡単
- 冬の暖かく日当たりのよい室内では、花が咲きやすい
ニューギニアインパチェンスを鉢植えや花壇で楽しもう

春から秋まで長期間花が楽しめるニューギニアインパチェンス。暑さに強い品種が登場し、ますます魅力が高まっています。ニューギニアインパチェンスがたくさん咲く花壇を作っても、トロピカルムードな美しさで素敵ですね。ニューギニアインパチェンスを花壇やベランダに迎えて、夏も元気にガーデニングを楽しんでください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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