日本のロールケーキは具材たっぷりですが、英国伝統の「スイスロール」はジャムを巻いただけ。不安になるほど地味なのに、ミルクティーと合わせると不思議とクセになる味わいです。コッツウォルズのホテルで働いていた経験のあるパティシエのTomoさんが、気張らず作れる本場レシピを伝授。春のお花見やティータイムのお供にぜひ手作りしてみませんか?
目次
不安になるほど地味だけどクセになる英国菓子「スイスロール」

スイスロールというシンプルなイギリス菓子。レトロでもありますし、今もお茶菓子として人気のお菓子。多くのイギリス人にとっては懐かしの味かもしれません。このお菓子、スポンジ生地でジャムを巻いただけというシンプルさ。
ふわふわでフルーツやクリームたっぷりの美味しいロールケーキをたくさん食べている日本人にとっては、これが完成系なの?? と不安になってしまうような地味な見た目、シンプルすぎる味。ですが、これがイギリス伝統のお菓子! という感じで、ミルクティーをお供にすると癖になってきます。
私はイギリスのホテルで働いていた時、このスイスロールをたくさん作っていたのですが、そのままお客様にお出しする用ではなく、違うお菓子に使うためでした。
そのままでは出さない!? 老舗ホテルの料理イベント“プディング・クラブ”

私が働いていたホテルは、イギリス伝統のお菓子を大切にしていて、毎週末、夕食後に7種類のプディングを食べ比べる“Pudding club”というイベントを行っていました。
その7種類のうち、夏以外は、温かいプディングを6つ、冷たいプディングを1つ用意していました。夏は逆に冷たいプディングを5つ、温かいプディングを2つ用意していました。その冷たいプディングの中に定番で、「シャルロット」というお菓子を作っていました。
断面を見せてゴージャスに!「シャルロット」や「トライフル」に大変身

この「シャルロット」とは、プディング型の周りに薄く切ったスイスロールを敷き詰め、ムースを詰めて固めたお菓子のこと。日本の煌びやかなお菓子に慣れている私にとっては、なんだかなあ……という見た目でしたが、このシャルロットが一番、イベントの中では映えていました。他のプディングは控えめな印象だったことから、派手な見た目で目立ったのかもしれません。
それ以外には、以前ご紹介したトライフルにも使われることがあります。トライフルに使う時も、ロール生地の断面を見せるように使うと、いつもとは違った見た目になってゴージャスになりますよ!

材料はたった3つ! 本場流はバターなしで作る「ジェノワーズ」

このスイスロールというシンプルなお菓子の生地は、お菓子作りが好きな方なら知っている、定番の生地「ジェノワーズ」です。ジェノワーズを作ることができれば、もうあとはお好きなジャムを巻くだけです。ただ、日本のジェノワーズはバターが入ることが多いですが、私がイギリスで作っていたものは卵、砂糖、薄力粉のみでした。いろいろなレシピを見ても、イギリスではバターなしのものが多いように思います。
ちなみに、ジェノワーズにバターを入れると、コクが出るのはもちろん、生地がパサつきにくくなり、ふんわりとした柔らかさが持続します。
なので、イギリスで作っていたものは、日本のものと比べると、しっかりとしたかみごたえのある生地で、少し乾燥した生地でした。それが逆に、紅茶に合うのかなと思います。
それでも、重めのバター生地が多いイギリスでは、ふわふわの部類に入るジェノワーズのお菓子は貴重な存在! それも人気の理由の一つなのではないかと思います。
ちなみに、使うジャムはイチゴやラズベリーなどのベリー系が人気ですが、レモンカードなども美味しいですよ。
スポンジが「灰色」に!? イギリスと日本の決定的な食材の違い
一度、語学学生時代に、当時イギリスに住んでいた日本人の友達に日本のようなショートケーキを作りたいから教えて欲しい! と頼まれ、教えたことがあります。ショートケーキといえば、ジェノワーズ生地。

まだイギリスでのお菓子作りをしたことがなかった当時、知らなかったことがありました。それは、材料の違いです。特にイギリスと日本の卵のは違うのです! イギリスの卵は日本の卵のように黄身が黄色くありません。なので、できたスポンジケーキがなんだか白というか灰色に(ちなみに、スクランブルエッグなども、白っぽく出来上がります)。全然美味しそうじゃありませんでした。見た目の色って大事なんですね。日本に帰国した時に、今度は逆に卵の色の濃さにびっくりしました。

そして、小麦粉も全然違うため、なんだかふわふわというよりは弾力があり、生クリームもすぐにボソボソになってしまうのです。本当に頑張って作ったのに、思い通りにはいかなかったのです。友達はそれでも日本風のお菓子の完成に、とっても喜んでくれて、ホッとしましたが、こんなにも材料が違うのかと思い知った出来事でした。イギリスでのパティシエ修行をする前の懐かしい思い出です。
気張らずさっと作るのが本場流! 失敗を恐れず楽しむイギリスの家庭菓子

ということで、同じレシピ、同じ手順で作っても、どうしてもイギリスのものとは別のものができてしまいます。イギリスから帰国してすぐの頃は、イギリスと同じように作りたい! と思ってあれこれとチャレンジしましたが、どのように作っても、完全に一緒にはなりません。最近では、私が美味しい! と思えるのが一番だなぁと思って、レシピを作っています。
失敗することもありますが、私がご紹介しているイギリス菓子はイギリスの家庭菓子。家族や友達、もちろん自分も美味しいと思えて、気を張らずに、さっと作ってみんなで食べるということがイギリスの家庭菓子の原点。あまり深く考えず、楽しく作って、みんなで美味しくいただくのが一番かなと思っています。
それでは作っていきましょう!
スイスロールの作り方

【材料(26.5×37.5cmの天板1枚分)】
- 卵 3個
- グラニュー糖 75g
- 薄力粉 75g
- お好みのジャム(私はイチゴを使用) 適量
天板の大きさは機種によって違うと思いますが、おおよそ26.5×37.5cmなら、上の量で大丈夫です。
もし、天板の面積が約2/3なら卵2個、グラニュー糖50g、粉50gというように微調整してください。
なお、同じ天板で卵4個、砂糖、粉100gで焼くと、もう少しボリュームのあるロールケーキになります。焼き時間は少し変わるので、調整してみてください。
◾️スイスロールの作り方手順
- 天板にオーブンシートを敷いて用意しておく。オーブンは200℃に予熱する。



2. ボウルに卵とグラニュー糖を入れ、そのボウルを湯煎にかけて卵と砂糖を人肌くらいに温める。その時、常にホイッパーで混ぜるのを忘れないように。
人肌くらいまで温まったら、湯煎から外す。



3. 湯煎から外したら、ハンドミキサーに持ち替え、高速で泡立てる。
ハンドミキサーを持ち上げると、リボン状に落ちてくるくらい、もったりしたらOK。そのくらいもったりしたら、今度はハンドミキサーを低速にして、2分くらい回し、キメを整える。



4. 薄力粉を振るいいれ、ゴムベラで粉気がなくなるまで、さっくりと混ぜる。


5. 用意していた天板に流し、平らに整え、天板の底を2回ほどパンパンと叩いて、大きな空気の穴を消す。
予熱していたオーブンで10分焼く。

その間に、ティータオルの上に生地がのる大きさのオーブンシートを広げ、グラニュー糖(分量外)をふりかけておく。

6. 焼き上がり。表面を優しく触って、跳ね返ってくるようなら焼き上がりです。
焼きすぎると、お煎餅のように弾力があって、巻けなくなるので注意してください。

7. 焼き上がったら用意しておいたティータオルとオーブンシートの上に、ひっくり返す。

8. 上側に貼り付いたオーブンシートをゆっくりと剥がす。


9. 下に敷いたオーブンシートごと生地を巻いて、ティータオルで包んで生地を冷ます(このようにすると、ロール作業時に生地が割れづらくなる)。

10. 生地が冷めたら、巻いていた生地を開いて、お好みのジャムを全体に塗る。

11. ロールケーキを作る要領で、生地をしっかりと巻く(この時、オーブンシートを巻き込まないように!)。

12. お好みの厚さに切って完成!


ぜひ、ミルクティーと一緒に手作りスイスロールを味わって、花咲く季節を楽しんでください。

ちなみに、シャルロットを作りたい場合、適当な大きさのボウルにラップを敷いて、薄めにスライスしたスイスロールを敷き詰め、以前ご紹介したパッションフルーツのムースを中に詰めて一晩冷やし、固まれば完成です。
ぜひ組み合わせて作ってみてくださいね!
Credit
写真&文 / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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