冬の寒さが本格化し、寒がりのシニア犬にとっては厳しい季節がやってきました。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法を学ぶ海野美規さんが、寒さに弱くなってきた愛犬を守るために実践しているのが、身体を内側から温める「温かい食事」と寒さを防ぐ「防寒着」の着用。冬の寒さを乗り越え、温かく快適に過ごすための寒さ対策をご紹介します。
目次
シニア犬の寒さ対策
師走を迎え、今年もいよいよ本格的な冬の寒さとなりました。
我が家の柴犬あんは間もなく12歳を迎えるシニア犬。厳しい寒さは体温調節能力が衰えがちなシニア犬にとって大敵です。
寒がりのあんは、朝はぬくぬくのお布団からなかなか出てこられず、散歩に出ればブルブルと震えてしまうほど。そんな愛犬の姿を見ると、飼い主としては胸が痛みます。
愛犬たちが、この冬を寒さに震えることなく、温かく快適に過ごせるように、 身体の中から温める「食事の工夫」と、寒さからしっかり守る「適切な防寒対策」を考えてみました。
身体の中から温める! おすすめヤギミルクパウダー

温かい食事は、消化吸収を助け、体温を上げる効果が期待できます。食欲が落ちがちなシニア犬の嗜好性アップにもつながります。そこで、ヤギミルクパウダーを活用して、暖かいミルクシチューを作ってみてはいかがでしょう。
ヤギミルクパウダーは、特にシニア犬や体力の衰えた犬にとって非常に有用な栄養補助食品として知られています。
ヤギミルクのメリット

1)消化吸収に優れている
ヤギミルクの脂肪球は牛乳の約1/6と非常に小さいため、膵臓の消化酵素(リパーゼ)の働きで素早く分解され、胃腸への負担が少なくスムーズに吸収されます。シニア犬や胃腸が弱い犬に適しています。
また、牛乳に多く含まれ、下痢の原因となりやすい乳糖(ラクトース)の含有量が少ないため、牛乳でお腹を壊しやすい犬でも比較的安心して与えることができます。
2)栄養価が高い
牛乳の約20倍のタウリンが含まれているといわれています。タウリンは犬の心臓機能のサポートや、視力や脳の発達維持に必要な栄養素です。
そして、カルシウム、ビタミン(A, D, B群)、微量元素(鉄、亜鉛、銅など)が豊富に含まれており、免疫力の維持や骨・歯の健康、皮膚・被毛の健康維持に役立ちます。
3)アレルギーのリスクが低い
牛乳のアレルギーの原因となりやすいタンパク質「αS1カゼイン」が非常に少ないため、牛乳アレルギーの犬の代替ミルクとして利用されることがあります。
4)水分・栄養補給
夏バテや食欲不振、体調不良で固形物を食べたがらないときでも、水分と同時に栄養を効率よく補給できます。飲水量が少ない犬の水分補給の促進にも役立ち、尿結石などのリスク軽減にもつながります。
犬用ヤギミルクパウダーの使い方と注意すること

ヤギミルクパウダーは、水分補給や嗜好性の向上など、目的に応じてさまざまな使い方ができます。
基本的な使い方は、
- ぬるま湯で溶かす
- フードにふりかける
- 手作り食に混ぜる
など。
どの方法でも簡単に使うことができ、開封後の保存方法さえ注意すれば、いつでも使える便利な食材です。
ヤギミルクパウダーの注意点
ヤギミルクパウダーは栄養豊富なため、与えすぎるとカロリーオーバーや主食を食べなくなる原因となります。パッケージに記載された給与量を守り、愛犬の体重や運動量に合わせて調整しましょう。
また、ヤギミルクパウダーには人間用のものも販売されています。
多くの商品で、人間用とペット用で成分や内容物が同じである場合が多く、「人間用としても、ペット用としても使える」と記載されている製品もよく見られます。ただし、パッケージや添加されている栄養素(例:カルシウム強化など)が異なる場合もあるため、人間が犬用のものを、または犬が人間用のものを利用する場合は、必ず成分表示を確認し、添加物や塩分などが犬にとって問題ないか確認しましょう。特に犬に与える場合は、無添加・無調整のものが最も安全です
ヤギミルクパウダーで! 温かシチューの作り方

ヤギミルクパウダーを使って、野菜と鶏肉のシチューを作ります。
<材料>
- 鶏ササミ 50g
- コカブ 50g
- カリフラワー 50g
- ハクサイ 30g
- 水 100〜150ml
- ヤギミルクパウダー 5g
- 水(ミルクを溶かすため)
<作り方>

1. 野菜を食べやすい大きさにカットします。
2. ヤギミルクパウダーを少量の水で溶いておきます。
3. お鍋に、野菜とササミ(そのままの大きさで)と水を入れて火にかけます。
4. 野菜が柔らかく、ササミもしっかり煮えたら、ヤギミルクパウダーを少量の水で溶いて入れます。
5. 全体をよく混ぜて出来上がりです。

食べやすい温度に冷まし、食べやすい大きさに肉を割いて与えてください。

愛犬を守る防寒着

数年前、あんのかかりつけの病院の先生から、屋内と屋外の温度差のヒートショックに注意するようにアドバイスされました。
服を着るのも有効とのことで、我が家のルールとして、朝夕の散歩の時に外気温が8℃以下なら保湿性に優れた犬用発熱Tシャツ、5℃以下ならば黄色のダウンベスト、もっと低い場合は、これらを重ね着すると決めています。

犬用の服についてですが、関節が弱くなっているシニア犬にとって、無理な姿勢での着脱は負担が大きいです。伸縮性のある素材のものや、マジックテープやスナップボタンで簡単に着せられるものがやはりおすすめです。また、重い服は動きの妨げになり、体力を消耗させます。軽くて動きやすい保温性の高い素材を選びましょう。

この季節の散歩道、防寒着をしっかり着込んだワンコたちとすれ違います。どの犬も、おしゃれで暖かそうで可愛らしいです。
以前、古い考えの私の父は、「犬には自前の上等な毛皮がある。服など不要だ!」と、頑なに持論を曲げなかったのですが、あんがあまりにも可愛いのでしょうか、それとも父自身が年を重ねて寒がりになったからでしょうか、今では、あんが散歩に出かける時間になると、誰よりも率先して「服を着せる係」を買って出てくれるようになりました。何やら、あんに話しかけながら、手際よく発熱Tシャツを着せています。その様子に思わず笑みがこぼれます。
Credit
写真&文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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