私たちの暮らしに、いつも喜びや安らぎをもたらしてくれる愛犬に感謝を込めて、手作りケーキをプレゼントしてみませんか? ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんに、愛犬も安心して食べられる材料で作る、可愛いバースデーケーキの作り方を教わります。
目次
愛犬あん6歳の誕生日

我が家の愛犬、柴犬のあんは、2月12日で満6歳となります。一緒に暮らし始めて6年。最初の2年くらいは、いたずら盛り、元気いっぱいで運動量も多く、私は毎日ヘトヘトでした。大人になるにつれてだんだん落ち着き、今ではいたずらをすることはなくなりました。
散歩の様子も変化してきました。今日は散歩の気分じゃないから早く切り上げよう~とか、お天気がいいからのんびりベンチに座ろうよ~というように、私もあんも、ゆとりを持って散歩を楽しめるようになっています。
あんとの暮らしは、毎日嬉しいことの連続です。朝起きて、おはようと声をかけて、散歩に行って早朝の空気を吸って、徐々に昇ってくる太陽の光を浴びて…。ソファーに並んで座ってゆっくりテレビを見て、夜は、あんの温もりを感じながらぬくぬくと眠る。あんと一緒に過ごす日々は、ささやかな幸せに包まれているんだなと、あらためて気付かされます。
そんな愛犬あんへの感謝の気持ちを込めて、手作りのバースデーケーキで誕生日をお祝いします!

初めて犬用のバースデーケーキを買ったのは、あんの1歳の誕生日の時。あんは初めて見るケーキにとても喜んで、黒い鼻に白いクリームをつけたとぼけた顔が今でも印象に残っています。
そのときのケーキをイメージして、今年は手作りのケーキでお祝いします。もちろん、犬が食べても大丈夫な材料で作ります。旬のいちごを飾った、ノンシュガー、ノンオイルのヘルシーケーキです。

手作りバースデーケーキの材料(12cm丸型1台分)

スポンジ
- 米粉(薄力粉) 40g
- 卵(全卵) 2個
- 牛乳(ヤギミルクや豆乳でも) 15cc
デコレーション
- 無糖ヨーグルト 200g
- イチゴ、キウイなど犬が食べてもよいフルーツ
さぁ、作ってみましょう!
手順
- ヨーグルトを水切りしておきます。
コーヒーフィルターを使うと簡単に水切りできます。少し硬めのヨーグルトにしたいので、冷蔵庫に入れて半日くらい水切りします。 - 卵をボウルに割り入れて、ハンドミキサーで泡立てていきます(共立て)。
湯煎にかけながら、もったりするまで泡立てます。 - 牛乳を湯煎にかけて人肌くらいに温めておき、泡立てた卵の中に入れて混ぜます。
- 米粉をふるいにかけて、3の中に入れてゴムべらで混ぜます。
- 型に流し入れ、180℃に予熱したオーブンで、17~20分ほど焼きます。
- 焼き上がったら、網の上で冷まします。
- 冷めたら、2枚にスライスします。
- 1枚のスポンジの上面に、水切りしたヨーグルトを塗ります。
- 水切りヨーグルトを塗った上に、フルーツを小さくカットして散らします。
今回は、旬のイチゴとキウイにしました。リンゴやバナナなどもいいですね。 - もう一枚のスポンジをのせて、表面に残りのヨーグルトを塗ります。
- イチゴとキャンドルを飾ってでき上がり。
犬もデザートは別腹かどうか分かりませんが、あん(11kg)には、一日に与える量としては、6等分にカットしたものを1つか2つくらいまでにしました。通常のご飯を食べなくなると困りますし、多量摂取は肥満にもつながります。食べ過ぎに注意して与えましょう。冷蔵庫で2、3日は保存できます。
犬が食べてよいイチゴの量

作る前は、旬のイチゴをたっぷりはさんで、デコレーションのイチゴもたくさんのせよう! と思っていたのですが、イチゴには、犬にはあまり歓迎されない成分キシリトールが含まれていることを知りました。
「摂取量によっては、低血糖を引き起こし、次に肝機能に異常、悪化すると肝機能不全になり、その結果、中毒症状(嘔吐、下痢、けいれんなど)が表れ、症状が酷いと最悪の場合は死に至ることもある」ということです。
それではどれくらいの量でこのような症状が出るかというと、米国では10kgの犬が1,000mg以上を摂取した場合に低血糖を起こすとされ、1,000mgを超えるキシリトールを摂取するには、2.5kgのイチゴを食べなくてはいけないという計算になるそうです。いくらなんでもそんなに食べることはないですし、食べさせるなんてこともしませんので、1粒、2粒ならば心配ないでしょう(もっと小さな犬であれば、もっと少量になります)。
しかし、そのようなことを踏まえ、食べる時は飾ったイチゴは取り除き、あんにはイチゴ少なめケーキにして与えます。


どこでも一緒が理想。盲導犬がどこでも行けるような環境に
二十数年前パリに住んでいたときのことです。レストランに入って料理が運ばれてくるのを待っていたら、センスのよい服装のご年配のカップルと一緒に、大きな犬が、いかにも通い慣れたような軽やかな足取りで、混み合うお店に入ってきました。カップルは案内された席につき、犬はいつもの定位置という様子でテーブルの下に入りました。テーブルクロスで隠れてしまったので犬の様子は分かりませんでしたが、時々鼻先が覗くことがあるだけで、あとは、静かに大人しく過ごしていました。
パリのレストランでは、小さな子どもはNGだけど犬はOKというカルチャーがあると聞きます。確かに、レストランに子どもさんではなく、犬が一緒という光景はよく目にしました。二十数年前、いいえ、きっとそれ以上前から、犬は飼い主と一緒に飲食店に出入りすることを許される環境だったのだろうなと思います。
先日、週末のお昼をいただこうと、お蕎麦屋さんに入りました。お昼時の人気のお蕎麦屋さんですから、もちろん満席。やっと私たちの順番がきて案内される時、「お隣の席にワンちゃんがいますので」と言われました。隣のテーブルの下を見ると、大きなラブラドールの盲導犬が待機中でした。テーブルとテーブルとの間隔が狭く、私は、盲導犬のしっぽを踏まないように、体に足が当たらないように気をつけて奥の席に座りました。
私は「今日は一緒にお蕎麦屋さんに来たのね」と話しかけたくなりましたが、仕事中は触ったり声をかけたりしてはいけないと聞いたことがあったので、そっとしておきました。
ここのところテレビで日本盲導犬協会のCMを見ることがあります。「きみと一緒だから、どこへでも行けるのに。きみと一緒だから、行けないところがある」という「受け入れ拒否」がテーマのものです。盲導犬はしっかり訓練を受けていて、それはそれは重要な働きをして、目の不自由な方のパートナーとなっています。それなのに、まだまだ一緒に飲食店に入れないことがあるというのは、とても残念です。先日のお蕎麦屋さんのように、お店の方の理解と、居合わせたお客さんの理解が、もっともっと広がらなくてはいけないと思います。
最近では、ドッグカフェでなくても、テラス席などにはペットとしての犬同伴が可能なお店が増えてきました。ペットの犬同伴と、盲導犬の同伴とでは、意味合いはまったく違います。ですが、盲導犬も犬ということで括られてしまうと、ペットとしての犬が、飲食店で暴れたり吠えたり、落ち着きなくしていたら、犬はなんでも、飲食店に入るのはダメ! ということになってしまいます。
犬が家族の一員であり、また社会の一員でもあるということを、犬の飼い主はしっかり自覚しなくてはいけません。パリの犬たちのように、「犬、飲食店だって大丈夫!」というイメージになると、盲導犬もパートナーの方も安心して飲食店に入れるようになれるかなと思います。
犬を愛する者として、盲導犬がもっともっと広く理解されて、活動しやすい社会になるように、せめて、一般の犬と飼い主ができることはしよう。日本盲導犬協会のCMを見て、そんなことを考えました。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
参考:
『愛犬のためのホリスティック食材事典』(日本アニマルウェルネス協会監修)
「日本盲導犬協会」 http://www.moudouken.net/special/ac/
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