近年注目が集まるスーパーフード「スプラウト」。じつは、健康志向の人だけでなく、愛犬の食事にもぴったりの食材なんです。中でも、スルフォラファンを豊富に含むブロッコリースプラウトは、天然のサプリメントともいわれるほどの栄養価。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、人にも犬にも嬉しいスプラウトの効果や、手軽な取り入れ方を紹介します。愛犬の毎日のごはんに、ちょっとした健康習慣を加えてみませんか?
目次
種類豊富なスプラウト

「スプラウト」はお好きですか?
スプラウトというと、かいわれ大根をイメージする方が多いと思います。そのほか、ブロッコリー、マスタード、レッドキャベツなど、最近は種類が豊富になっていますね。
先日、「かいわれ大根は平安貴族が食した高級食材だった!」と聞いてとても驚きました。ラディッシュやマスタードなどの新芽は欧米で古くから食べられていて、ヴィクトリア朝時代にもスプラウトがブームになったという記録があるそうです。
注目のスルフォラファンを含むスプラウトは天然のサプリ

さて、「スプラウト」とは、発芽直後の植物の新芽を食べる発芽野菜のこと。
植物が発芽し成長を始めると、乾燥した種子の状態では存在しなかった種類のビタミンや、その他の栄養成分を自分で合成するようになります。大きく成長するために必要な栄養やパワーを、最も豊富に含んだ状態の野菜です。
中でも注目の成分が、植物由来の化学成分(ファイトケミカル)のスルフォラファン。野菜として成長したブロッコリーにも微量に含まれるスルフォラファンですが、ブロッコリースプラウトには何倍、何十倍も含まれているといわれています。
スルフォラファンは、植物の中ではスルフォラファングルコシノレートとして存在し、酵素によって分解されるとスルフォラファンに変換されます。スルフォラファンは、解毒作用や抗酸化作用などが期待され、また健康な中高年世代において、継続的に摂取することで日常生活からくる酸化ストレスによる肝臓のダメージを軽減し、血中ALT値(肝臓の健康状態を示す指標の1つ)を改善する作用もあることが明らかになっています。
これが、「スプラウトは天然のサプリメント」「スーパーフード」といわれる理由。人気があるわけですね。
そのほかの栄養も豊富!
スルフォラファンのほか、スプラウトの種類によって含まれている成分や栄養素は異なりますが、β-カロテンやビタミンC、葉酸、ビタミンK、カリウム、カルシウム、食物繊維などが豊富です。
特にスルフォラファンの摂取には、サラダやサンドイッチの具材にして、そのまま「生」で食べることが一番! なので、調理も簡単です。
生のほか、味噌汁やスープの具材に加えてみてもいいですね。どちらにしても、さっと洗って水気を取るだけで使えるのが嬉しいです。
スプラウトの種類

スプラウトには、かいわれタイプともやしタイプがあります。
かいわれタイプは、ダイコン、ブロッコリー、マスタード、レッドキャベツ、ルッコラなど。アブラナ科の植物が多いですね。
もやしタイプは出荷まで暗室で育てたもので、緑豆モヤシ、大豆モヤシ(豆が残っているもの)、アルファルファなどがあります。
愛犬にもブロッコリースプラウト

スプラウトは、犬が食べても大丈夫な食材です。
スルフォラファンはさまざまな健康効果をもたらしてくれますが、辛味成分の一種でもあります。人間にはそれほど辛味を感じなくても、犬にはとても辛く感じるかもしれまん。また与えすぎは犬の胃や腸に刺激になり、下痢や嘔吐といった症状をもたらす可能性があります。与えすぎに十分注意してくださいね。
我が家の愛犬あんも、初めはお肉に隠していても目ざとく見つけて、きれいにスプラウトだけ残していました。少量ずつ混ぜていくうちに慣れたのか、よく食べるようになりました。あんはもともと茹でたブロッコリーが好きなので、ブロッコリースプラウトは食べやすいのかなとも思います。
これだけ栄養価の高い食材ですし、手に入れやすい上に調理が簡単なので、上手に使うことができればいいですね。
愛犬が食べるには

スルフォラファンは加熱に弱いので、そのまま「生」で摂取したいもの。手作りごはんでは、細かくカットしたものを調理したごはんに混ぜ込むようにします。
それから、スプラウトをよく噛んで細胞を壊すことで、スルフォラファンに変換されて吸収率が高まるということなのですが、犬には「よく噛んで食べて!」と言っても難しいですよね。なにしろ、あんもだいたい1〜2回噛んで、後は丸呑みです。そのためにも細かく刻んで与えるのがおすすめです。

スプラウトの調理例
冬瓜と鶏胸肉の煮物とブロッコリースプラウト
<材料>

- 冬瓜 50〜60g
- 鶏胸肉 40g
- ブロッコリースプラウト 少々
- 茹で卵 1/4
<作り方>
1. 冬瓜の皮と種を除き、1cm角ほどにカットします。

2. お鍋に冬瓜と鶏胸肉と水を入れて火にかけます。
3. 冬瓜がトロトロに柔らかくなったら出来上がり。
4. 仕上げにみじん切りにしたブロッコリースプラウトと茹で卵を散らして完成!

栄養価の高いスプラウト。愛犬の食事にも、ぜひ適切に取り入れてみてくださいね。

Credit
写真&文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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