野原はもちろん、空き地や道端の草花も一斉に芽を吹き、花を咲かす季節になりました。眺めているだけでも可愛らしいのですが、せっかくならこの時期にしか味わえない自然の恵みを味わってみませんか? 食べられる身近な野草5種をご紹介します。

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意外とたくさん 食べられる野草

普段は雑草として気にもとめないような身近な草花の中にも、食べられるものはたくさんあります。栽培品種ではない野草は、アクや癖の強いものが多いのですが、アク抜きなどの下処理をすると、野の香りと野趣あふれる風味が楽しめ、普段の野菜とはまた違うおいしさが味わえますよ。

ここでは、身近な場所でもよく見かける、代表的な食べられる野草を5種類ご紹介します。

ツクシ

春の野の楽しみといえば、代表的なものがツクシ。春の一時しか見られない姿なので、土手などにツンツンと伸びる可愛らしい光景を見て、春の訪れを実感する人も多いのではないでしょうか。ツクシはスギナの胞子茎で、両者の姿は全く違いますが、地中で根はつながっています。

美味しいツクシは胞子が飛ぶ前の、穂先が締まった状態のもの。収穫したら、まずは「はかま」を取り除きましょう。茎の周囲についている「はかま」は葉が退化したもので、かたくて食べられません。下茹でして炒め物や卵とじ、つくだ煮、ツクシご飯などにして、春の味覚を楽しみましょう。

ナズナ

ナズナという名前より、ぺんぺん草という別名のほうが通りがよいかもしれません。茎の周囲に小さなハート形の実がたくさん並び、実を少し引っ張ってから茎をくるくると回すと音が鳴るので、子どもの頃に遊んだ人も多いはず。春になると、道端や野原などのあちらこちらで白い小花を咲かせている姿が目に留まります。春の七草の一つでもあり、とても身近な野草です。

ナズナを食用にする時は、冬から早春にかけての柔らかい若葉を摘みましょう。ナズナは癖やアクが少なく、ほろ苦くて美味しい野草です。さっと茹でてお浸しや卵とじに、また味噌汁の実などにもよく合います。

タンポポ

Photo/Spdy/Shutterstock.com

明るい黄色の丸い花が、元気をくれるタンポポ。子どもから大人まで誰もが知っている、代表的な春の花の一つですが、都会で見かけるタンポポは外来種のセイヨウタンポポやその交雑種が多く、カントウタンポポなどの在来種を見かけることは少なくなりました。よく似た両者ですが、花が咲いている時期にガクが外側に反り返っているのがセイヨウタンポポの特徴です。

漢方では「蒲公英」として活用されていることが知られていますが、ヨーロッパでは食用の品種が栽培されているほど一般的な香味野菜として扱われています。苦みが強いので、下茹でした後に水にさらしてしっかりとアクを抜き、和え物やソテーなどに。天ぷらにしてもほろ苦さと香りがあり、春らしい味わいが楽しめます。

ヨモギ

濃い緑色と豊かな香りが、草餅や草団子などの春の和菓子に欠かせないヨモギ。切れ込みが深く入るひらひらとした葉は、裏面は綿毛で覆われて銀白色なのが特徴です。日本だけでなく、世界各地でも古くから薬草として使われており、ヨモギ属の学名Artemisiaは、ギリシア神話の狩猟と月の女神アルテミスにちなんだものだそうです。

ヨモギは、出始めたばかりの新芽や、柔らかい先端部分を収穫して食用とします。下茹でしてしっかりアク抜きをしたのち、フードプロセッサーやすり鉢などで細かくしたものを、団子やパンの生地に加えれば、香り豊かな春の味わいに。アクが強い場合は、下茹での際に重曹を加えるとよいでしょう。

ヨメナ

Photo/F_studio/Shutterstock.com

野菊の一種であるヨメナは、秋には薄紫や白の花を咲かせる可愛らしい野草で、ノコンギクとよく似た姿をしています。ノコンギクには葉に細かい産毛が生えているのに対し、ヨメナはほとんど産毛がなく、ツルツルした手触りが特徴です。古くから若菜を摘んで食用としていたようで、万葉集にもヨメナの古名「ウハギ」が登場します。

食用にするのは春先に出る柔らかな若芽。ヨメナはアクが強いので、下茹でしてアク抜きをしてから調理します。香りがよく、和え物や味噌汁の実、菜飯などにすると季節の味と香りを美味しくいただけます。

*野草を食べるにあたって
野草は食用として栽培されたものではありませんので、安全性の確保されたものを採取するようにしましょう。道端の草花は排気ガスや動物の糞尿で汚れていたり、食用に認可されていない農薬などがかかっている恐れがあるので、十分注意してください。また、毒性の強い植物もあるので、食べられる確信のないものは口にしないこと。野草にはアクの強いものが多く、食べすぎにも注意が必要です。

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Credit

写真&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/「食べられる野草と料理法 新・摘み草入門」(福島誠一著 ふこく出版)

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