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夏も庭や花壇、寄せ植えなどで園芸を楽しみたい人にオススメの、暑さが厳しい真夏に長い期間花が咲く植物をリストアップ! 手間がかからず、とても丈夫で簡単に育ち、そのうえ暑さに強い宿根草を5グループ21種ご紹介します。選者は、宿根草ショップ「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんです。

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猛暑にも負けない! 暑くても元気に咲く宿根草

宿根草の花のピークである初夏を過ぎ、気温が高くなってくると、庭の花もだんだん少なくなり、緑が多い季節になります。宿根草は寒さに強い分、暑さは苦手というイメージがありますが、種類は少ないものの、夏に元気に咲く宿根草があります。

暑さに負けずに咲く花には元気をもらえますし、周囲に花が少ない中で咲く宿根草は、庭でよく目立ち、いっそう美しく目に映るものです。夏咲きの宿根草は暑さだけでなく、寒さにも強いので、宿根草の中では「最も丈夫」な部類になります。初心者の方にもオススメの、そんな暑さに強い花が咲く宿根草をご紹介します。

暑さに強い夏の宿根草の代表格
エキナセア

昔からバレンギクの名前で日本でも親しまれているエキナセアは、気温が上がってくる初夏から真夏にかけて開花します。暑さにはもちろん、寒さにも強いため、暖地から寒冷地まで広く育てることのできる宿根草です。

エキナセアは免疫力を高めるハーブとして、効能が注目されています。古くから利用され、現在でも薬用、健康食品、サプリメントなどに広く利用されています。花茎が長いので切り花にしてもよいでしょう。

以前はピンク(エキナセア・パープレア)や白(エキナセア ‘アルバ’)など古くから親しまれている色が主体でしたが、海外で次々に新しい品種が登場して、今では花色、花形のバリエーションも豊富になりました。お庭のイメージに合わせて品種を選んでみてください。いろいろ組み合わせて、夏花壇を華やかに演出することもできますし、コレクションするのも楽しいグループです。

‘グリーン・ジュエル’

‘ストロベリー・ショートケーキ’

‘サマー・サルサ’

‘グリーン・エンビー’

エキナセア 生育の様子

暑さ、寒さに強い宿根草で、植えっぱなしで問題ありません。日向で水はけのよい場所を好みます。一度植えると年々株が大きくなり、花の数も増えます。花が傷んできたら、花茎を下から切ります。種類によっては秋も開花し、長期間楽しめます。冬は落葉して越冬し、春になると土の中から芽を出します。

【DATA】
■ キク科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 60~100㎝前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約−30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

夏にビビッドな花色が映える!
暑さに強い花、宿根フロックス

宿根フロックスは多くの種類があり、シバザクラやツルハナシノブなどもこの仲間です。本来は春に咲くタイプが多いのですが、このパニクラタ(パニキュラータ)種は夏に咲く種類として、花が少なくなる夏の花壇に重宝します。背が高く、花色の鮮やかなものが多いので、花壇の後方などに向きます。日射や暑さ、ある程度の乾きにも耐える丈夫な性質で、寒さにも強いので、気をつかわなくても植えっぱなしで毎年楽しめます。

パニクラタは北米が原産で、特にアメリカでの人気が高く品種改良が盛んです。鮮やかなものから、落ち着いた花色、個性的なものまでバラエティーが豊富です。お庭の雰囲気に合わせて選んでみてください。

‘ジェイド’

‘クレオパトラ’

‘ブルーパラダイス’

‘ブラインド・ライオン’

宿根フロックス 生育の様子

暑さ、寒さ、どちらにも極めて強く、一度植えればほとんど手入れも必要なく、毎年きれいに花を咲かせてくれます。日当たりがよく、少し乾き気味の場所を好み、痩せた土地でもよく育ちます。逆に水分が多い場所や、風通しの悪い日陰では、間延びしてしまったり、うどんこ病の害が出やすいので注意してください。

最初の花が満開を過ぎ、散り始めても、まだ花茎は切らないでください。終わった花を指でつまむように丁寧に引き抜いておきます。すると再び中央からつぼみが出てきて開花します。繰り返し咲かせて、完全に咲かなくなったら花茎を下から切り戻して、株の充実をはかります。冬は落葉して越冬しますので、茎は短く切り戻しておきます。

【DATA】
■ ハナシノブ科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 50~100㎝前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

大型で夏に目立つ花!
ホリホック

ホリホックは英名。日本ではタチアオイと呼ばれる、アオイ科の宿根草です。数多いアオイの仲間の中でも大型で、種類によっては2mを超える高さで咲くものもあります。

初夏になると、ヒマワリに負けじと太陽に向かって一気に伸び、真夏近くまで、たくさんの花を咲かせます。暑い季節に元気を与えてくれるビタミンカラーで、花壇の後方に背景のように使ってみるのもオススメです。

パステルカラーの淡い色から、鮮やかなはっきりとした色まで種類も多く、ボリューム感のある八重咲きの品種も人気があります。

‘シャモイス・ローズ’

ルゴサ

スプリングセレブレティ・シリーズ

ニグラ

ホリホック 生育の様子

育てやすさが特に魅力の宿根草です。暖地でも寒冷地でも植えっぱなしで手間がかかりません。植え場所は、日当たり、乾き気味を好みます。日陰、湿気が多い場所では花茎が倒れたり、姿が乱れやすいのでご注意ください。夏に伸びる花茎は、下のほうから順々に花が咲きますので、咲き終わった花のみ摘み取って、全体の花が終わったら下から花茎を切り戻します。冬はほとんどの葉が落ち、春になると新しい葉が吹きます。

【DATA】
■ アオイ科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 80㎝~200㎝前後(種類によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

すっと伸びる花穂が爽やかな印象!
西洋クガイソウ

クガイソウはベロニカの仲間で、日本の山地に生える山野草としても有名な花ですが、北米産のクガイソウは日本の種類と違い、暑さに強く猛暑地でも育つ強健さが特徴です。花穂が長く伸びるクガイソウの特徴はそのままに、まるで山地の名花が、平地でも楽しめるような、お得感があります。

欧米でも人気が高く、有名ガーデンでも多く使われています。大きな株に育てて庭の背景を飾ると、さながらガーデンの洋書の一ページのような風景がつくり出せます。花色は白、紫、ピンクなどの品種があります。

‘ファーシネーション’

‘ダイアナ’

‘ラベンデルトルム’

西洋クガイソウ 生育の様子

背が高くなり、株立ち状に広がるので、庭の後方で、ある程度スペースがある場所にオススメです。日向に向く花ですが、多少の半日陰でも花がしっかりと咲くので、さまざまな場所で楽しむことができます。ある程度の水分や乾きにも強く、寒さ、暑さに耐えます。一度植えれば、ほとんど放任でよく、手間がかかりません。

花が咲き終わったら花穂のみを切り、冬に落葉したら茎ごとすべて切り戻します。春になると再び芽吹き、夏に開花します。

【DATA】
■ オオバコ(ゴマノハグサ)科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 1m~1.5m前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

夏も秋も咲く! 丈夫な宿根草
ペルシカリア・アンプレキシカウリス

花の大きいタデの仲間。細い花茎から目立つ花を咲かせるので、花穂が宙に浮いているような独特なフォルムが楽しめます。花は真夏から咲き始め、次々に花を上げて、10月中旬まで3~4カ月に渡り楽しむことができます。花期が長いうえ、暑さ寒さにも強く、性質が極めて丈夫。暖地から寒冷地まで幅広い地域で育てることができます。

国内での流通はまだ少ないですが、アメリカやヨーロッパでは人気が高く、品種も数種知られています。

‘ファット・ドミノ’

花が太く大きい品種。

‘ゴールデン・アロー’

ライム色の葉をもつ品種。花との対比が美しい。

‘アルバ’

花つきのよい白花品種。

‘オレンジ・フィールド’

オレンジがかったピンク色。

ペルシカリア・アンプレキシカウリス 生育の様子

基本的に日当たり、水はけのよい場所を好みます。半日陰や水分の多い場所でも育ち、よく咲きますが、伸びて姿が乱れやすいので、なるべく日向で育てます。

夏から秋まで咲き続けるのですが、夏の花がある程度咲き進んだら、株元で短くバッサリ切ると、秋の株姿がまとまり、花も低く咲きます。こんもり茂るのでグラウンドカバーとしても活躍。秋には紅葉し、冬に落葉して越冬します。春になると再び芽吹いて生育を始めます。

【DATA】
■ タデ科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 80~120㎝前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

夏は宿根草にとっても苦手な季節。そんな暑い中でも元気に咲く宿根草は、丈夫さに優れており、初めて植える方でも失敗が少ないと思います。春夏秋冬、それぞれに成長する姿を楽しませてくれる宿根草を植えて、季節ごとに花が咲く、癒やしの庭をつくってみませんか?

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