小川恭弘 -園芸研究家-
小川恭弘 -園芸研究家-の記事
-
樹木

「夏の庭が寂しい」を解決! ラベンダーのような花が3カ月咲き続ける、強健な西洋ニンジンボクが今おすすめの理由
セイヨウニンジンボクの基本情報 APugach/Shutterstock.com 植物名:セイヨウニンジンボク学名:Vitex agnus-castus英名:Chaste Tree和名:セイヨウニンジンボク(西洋人参木)別名:チェストベリー科名:シソ科属名:ハマゴウ属原産地:地中海沿岸~中央アジア、インド形態:落葉低木 ラベンダーのような涼しげな花を、夏に長期間咲かせる落葉低木です。花や葉、花後にできる果実に香りがあることから、チェストベリーの名でハーブとしても知られています。薬用植物やスパイスなどとして利用されます。 病害虫の被害が少なく、暑さや寒さに強いので、初心者でも育てやすいです。放置気味の管理でも樹姿は自然に整ってよく花が咲き、手間がかかりません。樹形は広がって多くの花を咲かせます。木が小さいうちから花を咲かせるので、鉢植えにも適しています。 セイヨウニンジンボクの特徴・性質 Wirestock Creators/Shutterstock.com 樹高:2〜3m 開花期:7~9月耐寒性:強い耐暑性:強い 手のひらのような形で光沢のある葉が、チョウセンニンジンに似ていることが、和名の由来です。 幹は複数あることが多く、温暖な地域では5m以上の大きさに生育します。落葉期の強剪定により低く樹高を抑えることができます。成長が早く、地上部が寒さなどでほとんど枯れても、1年で人の背丈ほどの高さになります。 太い直根が地中深くまで伸びるため、乾燥には強いです。直根が発達した成木は、移植を嫌います。 花は夏頃を中心に3カ月ほどの長期間、たくさんの花を咲かせます。花色は一般的な青紫色のほか、ピンクや白があります。近年は、人の背丈ほどの矮性種も流通しています。 セイヨウニンジンボクの利用方法 m-desiign/Shutterstock.com スパイシーな風味のある果実は、かつてコショウの代用とされました。香りのよい葉は、モロッコなどでスパイスとしても使われています。 ハーブとしてはチェストツリーの名で知られています。婦人病や更年期障害などの緩和などに効能が期待でき、薬用植物として古くから利用されてきた歴史あるハーブです。国内でもその効能などがテレビなどで紹介され、ハーブティーやサプリメントなどがよく流通しています。ただし決定的な科学的根拠はまだ得られていません。 妊婦や子供の利用は避けてください。重大な副作用はないとされますが、頭痛や胃腸障害などが発生することがあります。 セイヨウニンジンボクの仲間 ミツバハマゴウ ‘プルプレア’ Vitex trifolia 'Purpurea' alybaba/Shutterstock.com spline_x/Shutterstock.com 日本にも自生するミツバハマゴウの園芸品種です。温度が低くなってくると、葉裏がより鮮明な紫色になります。 ハマゴウ Vitex rotundifolia Skyprayer2005/Shutterstock.com 日本の海岸沿いの砂浜などに自生し、地面を這うように伸びる落葉低木です。 ‘ブルー ディドレ’ Vitex agnus-castus ´Blue Diddley´ コンパクトに改良された品種で、樹高は180cmほどです。ラベンダーブルーの爽やかな色の花が長期間よく咲きます。 ‘シカゴランド ブルース’ Vitex 'Chicagoland Blues' セイヨウニンジンボクとハマゴウとの交配によって作出された園芸品種です。ハマゴウの性質が強く、背丈は低いですが横方向に大きく広がります。 セイヨウニンジンボクの栽培12カ月カレンダー 植え付け適期:3~4月、10月植え替え適期:3~10月肥料:2~3月剪定:2~3月 セイヨウニンジンボクの栽培環境 tamu1500/Shutterstock.com 日当たりと水はけのよい場所を好みます。半日陰の場所でも育ちますが、日なたのほうが花付きがよいです。適した環境なら、石などが多いようなやせ地でも育ちます。排水がよければ土壌を選ばず、適応性が高いです。 樹高と同じくらい樹幅が広がることがあるので、広めのスペースに植えるのがおすすめです。成木は移植を嫌うので、注意してください。 生育温度 暑さには強く、夏に弱ることはほぼありません。 冬越し 落葉した状態で越冬します。最低温度の目安はマイナス17℃で、寒さには強いです。北海道南部などでも栽培できますが、厳しい寒さに当たると地上部の枝も枯れます。根が生存していれば春に芽を出して花を咲かせ、多年草のように栽培できます。ただし新葉が展開をはじめるのは比較的遅いので、捨てないように注意してください。 セイヨウニンジンボクの植え付け・植え替え xlibes/Shutterstock.com 植え付け 春の3~4月、秋の10月が植え付けの適期です。根鉢の2~3倍の大きさの植え穴を掘ります。掘り上げた土に2割くらいの量の腐葉土と3要素が等量の緩効性化成肥料を混ぜ、用土とします。根鉢の表面付近を軽くくずし、周囲よりやや高めになるように植え付けます。作業後、たっぷり水やりしてください。 鉢植えの植え替え 鉢植えで育てることもできます。購入した株はそのまま2回りほど大きな鉢に植え替えてください。根鉢をあまりくずさなければ、3~10月に植え替えできます。最終的に10号くらいの鉢に植えて育てます。 その後は2~3年おきに植え替えます。早春の3月頃に回りこんだ根や長い根を切って根鉢を1/3程度落とし、新しい用土で植えます。 用土 排水のよい用土が適します。幅広い植物に使える一般的な培養土か、赤玉土小粒7と腐葉土3を混ぜた用土などを使います。 ピートモスなどが多い水もちのよい用土を使うと、根腐れするので気をつけてください。培養土の水もちがよい場合は、パーライトや軽石を1~2割混ぜるとよいでしょう。 セイヨウニンジンボクの育て方・日常の手入れ Elena Odareeva/Shutterstock.com 水やり 地植えした場合は、根付けばほぼ水やり不要で育ちます。 鉢植えは用土の表面が乾いたら水やりします。枝葉がよく茂った株は乾燥しやすいので、夏場、晴れる日が続く場合は毎日水やりしてください。 肥料 肥料はあまり必要ありません。落葉期の2月から3月に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを与えてください。肥料が多いと、枝葉ばかり茂って花付きが悪くなります。 病害虫 目立った病害虫の被害はありません。 セイヨウニンジンボクの剪定 Konstantinos Livadas/Shutterstock.com 落葉期の2~3月が剪定の適期です。剪定しなくても自然に形が整うので、枯れた枝や伸びすぎた徒長枝などを切ればよいでしょう。 ただし生育が早く、放任した場合は比較的広いスペースを必要とします。 適期ならかなり強い剪定に耐えるので、好みの位置で切り戻すことができます。地面に近い位置で切れば大きくなるのを防ぎ、多年草のように育てることができます。ただし開花時期は遅れます。 生育期間中に剪定すると、花が咲かなくなったり、花数が少なくなります。生育期間中にサイズを小さくしたい場合は、伸びすぎた部分などを間引くように剪定しますが、全体の1/3以下になるようにとどめてください。 冬に地上部が枯れる寒冷地では、葉が落葉して枝が枯れ始めたら、すぐに地際付近で切っても問題ありません。 セイヨウニンジンボクの手入れ作業 NDanko/Shutterstock.com 花がら摘み 花後にそのままにすると、結実して種子がよくできます。咲き終わった花をこまめに摘み取ると実に栄養がとられないので、開花期間が長くなります。 温暖な地域では、こぼれ種で増えるので注意してください。 増やし方 挿し木で増やすことができます。前年度に伸びた枝を3~4月に10cmほど切り、赤玉土小粒を入れた容器などに挿します。明るい日陰に置き、用土の表面が少し乾いたら水やりしてください。2~3カ月後に発根したら、3号ポットなどに鉢上げします。 セイヨウニンジンボクの栽培ポイント Tupungato/Shutterstock.com 日当たりと水はけのよい場所を好む 庭木としては、広めのスペースで育てるとよい 冬に強く切り戻しても花が咲く 寒冷地では多年草のように生育する 日当たりのよい場所に地植えすれば、放置気味の管理でよく育ちます。夏に長期間美しい花を楽しめるおすすめの庭木ですが、国内ではまだあまり知られていません。世界では広く栽培される魅力的な花木を、ぜひ庭やベランダに迎えてはいかがでしょうか。
-
ハーブ

ミントの地植えは要注意? 爆発的に増えるハーブを安全に楽しむ「仕切り」の裏ワザ
ミントの基本情報 alybaba/Shutterstock.com 植物名:ミント学名:Mentha英名:Mints科名:シソ科属名:ハッカ属原産地:北半球の温帯、アフリカ形態:多年草 ミントは清涼感のある香りが特徴で、ハーブの中でも特に有名です。古代ギリシアの時代から栽培されてきた歴史あるハーブで、現在でもさまざまに利用されています。日本では料理にはあまり使われませんが、東南アジアなど多くの国では食用としてもよく利用されます。一般にはペパーミント、スペアミント、アップルミントなどがよく栽培されます。国内にはハッカとヒメハッカが自生し、かつてハッカが産業用として栽培されていました。 ミントの仲間は24種類が、世界中に広く分布します。自然交雑種が多く、以前は約600種に分けられていました。同じ種類の中でも変異が多く、香りや草姿はさまざまです。 非常に多くの種類や品種がありますが、見分けるのは難しいです。大きく分けると、スペアミント系、ペパーミント系、アップルミント系、オレンジミント系、その他などがあります。意外な香りを持つミントがあり、オーデコロンやオレンジ、グレープフルーツ、レモン、チョコレート、ジンジャーなど、多様にあります。 ミントの特徴・性質 Kabar/Shutterstock.com 草丈:10~100cm開花期:7~9月耐寒性:強い(種によって異なる)耐暑性:強い(種によって異なる) 3月から4月頃に新芽が成長を始め、夏から秋頃に花が咲きます。花色は、白やピンク、藤色などがあります。花が咲く前頃に収穫すると、最も質のよいミントを収穫することができます。開花後に雑味の元になる成分が増え、収穫ごとに香りも弱くなってきます。 霜に当たると地上部は枯れますが、地下茎は生き残る多年草です。地下茎は生育が旺盛で、株は広がって繁殖します。ただし同じ場所で育てていると、次第に生育が悪くなる傾向があります。 多くの種類は湿った場所を好み、ウォーターミントなど水辺に自生する種類もあります。種類によっては茎が立ち上がらず、地を這うように伸びる匍匐性の種類もあります。 病害虫の被害も少なく育てやすいですいハーブです。ただし地植えでは旺盛に広がるので、放置すると問題になりやすいです。 ミントの仲間 ペパーミント Mentha x piperita Janisbija/Shutterstock.com スペアミントとウォーターミントの自然交雑種で、セイヨウハッカの和名があります。日本では最も人気のあるミントです。芳香の主成分はメントールで、ミントの中でも特に香りが強く、少量でもよく香ります。 スペアミント Mentha spicata Doikanoy/shutterstock.com ヨーロッパ原産で、欧米などでは最も一般的なミントです。芳香の主成分はカルボンで、ペパーミントより清涼感は劣りますが、料理などには程よい香りで使いやすいです。 ウォーターミント Mentha aquatica Manfred Ruckszio/Shutterstock.com ヨーロッパから中央シベリア、アフリカ、西アジアの広い地域が原産です。湿地に自生するミントで、香りが非常に強いです。葉や茎は紫色を帯びます。 アップルミント Mentha suaveolens Kabar/Shutterstock.com ヨーロッパ、地中海沿岸などの地域が原産です。丸みのある葉から、マルバハッカの和名があります。葉は柔らかく、香りはおだやかです。丈夫で繁殖力が強く、よく野生化しています。 パイナップルミント Mentha suaveolens ‘Variegata’ Skyprayer2005/Shutterstock.com 斑入りのアップルミントで、生育はアップルミントよりゆるやかです。暑さや蒸れにもやや弱い傾向があります。 ハッカ Mentha canadensis Zulashai/Shutterstock.com 日本にも自生するミントで、他に中国やシベリア、北アメリカ原産などの広い地域が原産です。ミントの中でもメントールの含有量が最も多いといわれ、戦前に北海道で盛んに栽培されました。 ペニーロイヤル Mentha pulegium Zulashai/Shutterstock.com ヨーロッパ、地中海沿岸、エチオピアなどが原産です。清涼感の強い芳香がありますが、毒性があるため飲食用には適しません。グラウンドカバーなどに使うとよく茂りますが、草丈が50cm近くまで高くなることがあります。ハエやアリ、ノミなどの虫よけに利用されます。 ミントの利用 Tom Gowanlock/Shutterstock.com 種類や品種によって特徴や性質が異なるので、それぞれ利用方法を使い分けてください。 【ペパーミント】メントールの強い芳香があり、ミントソースの材料や飲料に適しています。飲料に多く入れると、刺激が強すぎるので注意してください。生の葉は苦みがあるので、アイスクリームなどの食用には乾燥葉かエッセンスを用います。モヒートに使う場合は、少量がよいでしょう。 【スペアミント】程よい香りと刺激があります。料理に幅広く使え、エスニック料理の材料として有名です。肉料理のソースになり、サラダにも使われます。モヒートなどの飲料にも最適です。 【アップルミント】香りがおだやかで、スペアミントやペパーミントに比べると利用が少ないです。料理の香りづけや飲料に利用できます。 【すべての種類のミント】リースやポプリにして楽しむことができます。収穫した葉を袋に入れて入浴剤に使うと、清涼感のある香りが楽しめます。剪定して多く収穫できたら、乾燥させれば長期保存も可能です。 ミントの栽培12カ月カレンダー 植え付け:4~10月植え替え:4~6月、9月中旬~10月肥料:3~4月 ミントの栽培環境 danti sukmawati/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 西日の当たらない半日陰の、肥沃でやや湿り気のある土壌が適します。日なたから明るい日陰で育てることができますが、日光によく当てると芳香が強くなります。 日なたでは夏の土壌の乾燥に注意してください。株の周囲に腐葉土やバーク堆肥などを敷き詰めると、乾燥を防げます。乾燥しやすい鉢植えやプランターは、夏は西日の当たらない半日陰に移動してください。 風通しが悪いと、さび病が発生しやすくなります。 生育温度 15~25℃くらいの温度が生育に適した温度の目安です。春と秋に最もよく生育します。夏の暑さにも比較的強いですが、乾燥には注意してください。 這性のコルシカミントは、梅雨の多湿や夏の暑さで弱ることが多いです。 冬越し 寒さに強いので、特に対策は必要ありません。室内の日当たりのよい場所に鉢植えを置くと、冬も成長して収穫できます。 ミントの植え付け・植え替え Liga Petersone/Shutterstock.com 植え付けの注意点 地植えすると地下茎が旺盛に成長します。違う種類のミントを近くに植えると、根が伸びて混ざってしまいがちです。また放置すると至る所で繁殖し、持て余してしまうことが多いです。そのため植えてはいけない植物などといわれます。繁茂するのを防ぐには、仕切り用の板で株の周囲を囲うのがおすすめです。広範囲に覆う場合は、購入しやすい価格で入手できる水田用のあぜ板が便利です。 植え付け 植え付けは、生育期の4月から10月にいつでも行えます。腐葉土や堆肥などの有機物と肥料をすき込み、株間は30cmあけて植えます。夏に植え付けた場合は、根付くまで水を十分与えるようにしてください。 植え替え・改植 地下茎の成長が旺盛なので、すぐ根詰まりします。地植えでは土壌の劣化が激しく、質のよい葉を収穫するには毎年植え替えたほうがよいでしょう。特にスペアミントやペパーミントは、改植は重要な作業です。 夏を避けた生育期の4~6月、9月中旬~10月が植え替えの適期です。鉢植えやプランターでは1年に1回、地植えした場合は1~2年に1回掘り上げ、株分けしてから植えなおしてください。 用土 草花に広く使える一般的な培養土が気軽に利用できます。または赤玉土小粒6:腐葉土4を混ぜた用土などを使います。 ミントの育て方・日常の手入れ Jr images/Shutterstock.com 水やり 乾燥を嫌うので、やや多めの水やりが適します。春と秋は、鉢植えやプランターの表土が乾いたら水やりします。夏の晴れた日は毎日水やりするほか、乾燥が激しい場合は朝夕2回水やりをしてください。秋も枝葉がよく茂っている場合は、毎日水やりしたほうがよいでしょう。 地植えした場合は、夏に土壌が乾いたらたっぷり水やりしてください。 肥料 窒素肥料が多いと、香りが弱くなります。骨粉入り油粕や3要素が等量の緩効性化成肥料などを、春の3~4月に与えます。 病害虫 病害虫の発生は、比較的少ないです。ただし梅雨の時期に風通しが悪いと、葉に茶色い斑点ができるさび病が発生します。さび病が発生したら広がるので、株は処分してください。風通しよく育てることで、発生を防ぐことができます。 ベランダなどの乾燥しがちな場所では、ハダニが発生することがあります。夏の乾燥時などはこまめに葉水を与えると、発生を防げます。 ミントの作業 africa_pink/Shutterstock.com 剪定・切り戻し 草丈が伸びて下葉が落ちてきたら、半分から1/3程度残して切り戻します。また梅雨前に収穫を兼ねて切り戻すのがおすすめです。風通しや日当たりのよくない場所では、地際から切るとよいでしょう。風通しが非常によくなり、さび病の発生を防ぐことができます。 開花後も地際付近まで切り戻すと、柔らかい新芽が伸びてきます。強い寒さに当たると葉や茎は枯れますが、春に新芽が成長を始める前に枯れた部分を切ってください。 収穫 若い葉や茎を収穫して利用します。春から秋まで随時収穫しますが、5月から7月頃が最もよい状態で収穫できます。乾燥して保存する場合は、株元から切って風通しのよい場所などで吊るして乾燥させます。 増やし方 Gv Image-1/Shutterstock.com 水挿しで簡単に発根します。発根したら、下葉を少しとってから植え付けるとスムーズに活着しやすいです。 ミントの栽培ポイント Sveta Gavrilova/shutterstock.com 植えは株の周りを仕切って植えるとよい 根の発達が旺盛なので、1~2年おきに株分けする 乾燥と多肥に注意 梅雨時は風通しよくする よく生育させるには、毎年植え替える ポイントを把握して育てれば、ミントは栽培しやすいハーブです。枝葉が盛んに伸び、たくさん増やすのも簡単で、育てる楽しさを感じることができます。冬に室内で小鉢を観葉植物として育てるのもおすすめです。冬にミントのみずみずしい緑色が映え、香りも楽しめます。冬の間は水挿しでもよく育ちます。さまざまに利用できるミントは、栽培すれば重宝することでしょう。庭やベランダなどでミントを育てて、緑のある暮らしを楽しんでください。
-
野菜

【プロが解説】切ってもまた生えてくる! 家庭菜園で「ニラ」を何度も収穫する育て方のコツ
ニラの基本情報 Juntee/Shutterstock.com 植物名:ニラ学名:Allium tuberosum英名:Chinese chive和名:ニラ(韮)科名:ヒガンバナ科属名:ネギ属原産地:中国形態:多年草 野菜のニラは、中国西部が原産の多年草で、アジアでは古くから食用として栽培されてきました。葉が主に食用とされますが、花茎とつぼみも食べることができます。 欧米やヨーロッパでは、夏頃に咲く花が美しい多年草の観賞用植物として主に栽培されています。 日本には9~10世紀頃に伝来し、古くから利用されてきた植物です。ただし葉の強い匂いから、戦前まで食材として多くは使われませんでした。戦後に中華料理の普及とともに栽培が急速に広がり、ギョウザの材料として、また、モツやレバーなどの肉料理に欠かせない野菜として人気です。近年人気の韓国料理でも定番の野菜でもあります。 一般に流通するのは施設栽培されたニラで、旬は冬から春とされます。生産が最も多いのは高知県で、温暖な気候がニラの生育に適しています。他に栃木県や群馬県、東北地方や北海道などでも多く生産されています。 ニラの特徴・生育サイクル ahmydaria/Shutterstock.com 草丈:30〜35cm開花期:7~8月耐寒性:強い耐暑性:普通 春の3~4月が種まきの適期で、その後5月中旬から6月に苗を定植します。生産農家での栽培の場合、1年間は収穫せず、株の充実を図ります。家庭菜園では、秋に収穫してもよいでしょう。 11月くらいから葉が枯れ始め、冬は地上部が枯れた状態で休眠します。2月下旬頃から根が動き始め、3月になると芽が出てきます。 春に生育が盛んになり、冬越しした株は4~7月まで収穫期を迎えます。夏頃に花茎が伸びて花を咲かせますが、花が咲くと株が弱ります。また、夏頃の葉は細く、厚みも薄くなり、収穫に適しません。 秋になると葉が充実して生育したら、収穫が可能です。 ニラの栄養・利用方法 riphoto3/Shutterstock.com 栄養成分が豊富で、カロテンや各種ビタミン類、カリウムやカルシウム、食物繊維などが含まれます。血流を促進して体を温めたり、免疫力向上、美肌効果、腸の働きを整える効果などが期待できます。 ニラの特有な香りは、硫化アリルによるものです。ネギやニンニクなどにも含まれ、ビタミンB1の吸収を促進し、疲労回復効果なども期待できます。 ビタミンB1を豊富に含む、豚肉やレバーなどと食べると、ビタミンB1を効果的に取り入れることができます。 特有の香りは肉との相性がよい他、炒めのものやスープ、鍋の具などさまざまに利用が可能です。 硫化アリルは熱に弱いので、生のまま細かく刻んで醤油漬けにするのがおすすめです。他にゴマ油やミリンなどを入れ、好みで唐辛子やニンニクを入れます。いろいろな料理と相性のよい調味料になり、長期間保存できます。 硫化アリルの香味成分は根元の白い部分に多く含まれます。香りを和らげたい場合は、葉先を利用するのがおすすめです。また油で炒めたり、卵とじなどにすると、香りを抑えることができます。 多く収穫した場合は、使いやすい大きさに切って冷凍保存してください。約1カ月保存でき、解凍せずにそのまま使えます。 ニラの品種 品種は、冬に休眠する大葉系と小葉(細葉)系、休眠しない花ニラに分けられます。 大葉系の品種 現在主流のニラで、葉の幅が広く、厚みもあります。休眠は浅く、栽培しやすいです。ただし乾燥に弱い傾向があります。 小葉系の品種 在来種の系統で、全体的に小型で葉が細いです。日持ちが悪く栽培されることは少ないですが、暑さに強くやさしい甘味があるのが特徴です。苗やタネの入手は困難です。現在となっては希少価値があるかもしれません。 花ニラ Lotus Images/Shutterstock.com 花茎とつぼみが食用できますが、葉は食用に適しません。長期間花茎が出てきますが、春から夏にかけての時期が最も収穫量が多いです。休眠せず、比較的高温を好みます。「テンダーポール」や「マルイチポール」などの品種があります。 黄ニラとは? 黄ニラは、暗い場所で葉ニラを育てたものです。ニラの香りが少なく、いろいろな料理に使えます。柔らかいので、サラダにも適しています。 黄ニラの作り方 収穫した後のニラに、バケツや箱を被せて暗くして栽培すれば収穫できます。株に負担がかかるので、2年目以降の充実した株を使います。また同じ株を連続して黄ニラ栽培に使うのも避けてください。 ニラの栽培12カ月カレンダー 植え付け:5月中旬~6月中旬植え替え:2月下旬~3月上旬肥料:6~9月 ニラの栽培環境 適した環境・置き場所 日当たりと水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。有機物の多い肥沃な土壌は、白絹病などの発生が少なくなります。雨が降った後に水が溜まりやすい場所は、避けてください。 連作 連作障害は少ないとされますが、連作によりネダニの被害が深刻になることがあります。最低1~2年はあけて植えると安心です。 生育温度 15~25℃が生育温度の目安です。春と秋に最もよく生育します。暑さで弱ることがありません。 冬越し 真冬は地上部が枯れた状態で越冬します。寒さで枯死することはありません。 ニラの苗の入手 JoannaTkaczuk/Shutterstock.com 種まきするか、市販のポット苗などを入手して植えます。種まきすることで、安価で大量の苗を入手できますが、本格的な収穫は2年目以降になります。初心者は手軽ですぐ収穫できる、ポット苗などを入手するのがおすすめです。 種まきの方法 発芽適温は20℃が目安になりますが、最低温度が10℃以上あればおおよそ発芽します。 3~4月が種まきの適期です。育苗箱などに種まきする場合は、深さと幅がともに1cmほどの溝を作り、溝の間は10cm程度あけます。溝の間にすじまきし、土をかぶせて軽く手などで押さえます。 プランターに植える場合は、直播します。5cm間隔で1cmの穴をあけ、種子を3~4粒ずつ播きます。種まき後はたっぷり水をやってください。 ニラの植え付け sopon_S/Shutterstock.com 苗の植え付け適期は、5月中旬~6月中旬です。地植えする場合は、同じ場所で数年にもわたって収穫を続けるためには、有機物をしっかりすき込んで土づくりを行ってください。 植え付け準備 2週間以上前に植え付け場所の準備をします。1㎡あたり、3要素が等量の化成肥料150g、腐葉土や堆肥などの有機物3kgを混ぜて耕しておきます。 酸性土壌では生育が悪くなります。苦土石灰などを適量施し、適した土壌酸度(pH)6.0~7.0に調整してください。 植え付け 株間を15~20cmあけ、深さ5cmほどの植穴を掘ります。1穴に3~5株まとめて植えます。適度にまとめて植えたほうが、生育がよくなります。購入したポット苗は、株分けせずにそのまま植えます。浅めに覆土して、植え穴の部分が周囲より低いようにします。後に土寄せしていきます。 土寄せ 地植えした場合は、植え付け後3週間ごとに2~3回、2~3㎝の厚さで土寄せします。 鉢やプランターへの植え付け ポット苗を入手した場合は、株分けせずに7~8号鉢に2株、65cmプランターに4株を目安に植えてください。深型のプランターや鉢を使う場合は、鉢底石を入れて排水をよくしてください。 用土 弱酸性から中性の、肥沃で排水のよい用土を好みます。野菜用の培養土が気軽に利用できます。 ニラの育て方・日常の手入れ 水やり 強い乾燥は嫌います。土壌の乾燥が激しい場合、たっぷり水やりしてください。 鉢植えやプランターは、表土が乾いたら水やりしてください。水やりが多いと根腐れするので注意しましょう。夏の乾燥が激しい場合は、晴れた日は毎日水やりしてもよいでしょう。 肥料 6~9月が、肥料を与える時期の目安です。収穫後に1㎡あたり化成肥料を30g追肥し、土寄せしてください。追肥を怠ると、生育が衰えます。種まきして1年目の株は、秋に追肥します。 地上部が枯れる12月~翌年1月に、株の周囲に堆肥をまいておくとよいでしょう。土壌改善効果があり、生育がよくなります。 病害虫 比較的病害虫は少ない野菜です。夏頃にアブラムシが発生することがあるので、見つけ次第、早めに防除します。 病気はさび病や乾腐病などが発生するので、見つけ次第防除してください。 ニラの収穫 kungfu01/Shutterstock.com 種まきから育てた場合は、本格的な収穫は2年目からになります。生育の早い「グリーンロード」など、品種によっては1年目の秋からの収穫が期待できます。 葉は1年の間に、4~5回収穫できます。葉が20cm以上伸びたら、地際から3~4cmの位置で切ります。夏は収穫すると株が弱るので、控えたほうがよいでしょう。 夏頃に花茎が伸びて花が咲きますが、つぼみのうちに地際から3cmの位置で切れば、花ニラとして食べることができます。 ニラの作業 捨て刈り 古い葉を刈り取って、質のよい新しい葉を出させるための作業です。夏に収穫しなかった古い葉などを、地際から3~4cmの位置で切ります。秋の収穫の15日前を目安に行いますが、作業は9月上旬までに済ませてください。 植え替え(改植)・株分け 植えたままにすると、葉が小さくなってきます。植えてから3~4年後の春か秋に掘り上げ、株分けしてから別の場所に植えます。 根が動き始める2月下旬~3月上旬に行うのがおすすめです。根から5cmくらい残して残りの葉は切り、1株ずつに分けます。2週間前から土づくりしておいた場所に3株くらいずつまとめて植えますが、葉が触れ合わないように少し間隔をあけてください。 ニラの栽培ポイント BK_graphic/Shutterstock.com 日当たりのよい場所で育てる 肥沃で排水のよい土壌を好む 種まきから1年目は多く収穫できない 柔らかい葉を多く収穫するには、肥料をしっかり与える 花を咲かせると、株に負担がかかる 3~4年ごとに植えなおす 鉢やプランターで栽培できるので、ベランダなどでも育てられ、新鮮なニラを繰り返し味わうことができます。栄養豊富で多く収穫できるので、重宝することでしょう。病害虫も少なく、栽培に失敗することも少ないです。ポット苗などを入手すれば栽培は簡単なので、気軽に挑戦してみてください。
-
育て方

その挿し木、じつは間違ってるかも? 初心者によくある失敗と成功のコツ
挿し木とは kobkik/Shutterstock.com 枝や葉、根などの植物体の一部を切り取り、用土や水に挿して発根させる増やし方が挿し木です。草本植物の場合は、挿し芽として区別することもあります。 挿し木による繁殖は親の形質をそのまま受け継ぐので、品種の維持に適しています。また種まきからの実生苗と比べて開花や結実が早いというメリットがあります。一方、挿し木のデメリットは、実生苗と比べて根が深く伸びず短命な傾向があり、種まきによる繁殖と比べて大量生産するうえではコストがかかりやすいです。 植物の種類によっては挿し木が不可能な場合があります。また挿し木が可能でも、適当に枝を切って庭などに挿すだけで発根するものから、厳密な管理をしてやっと少数が発根するものまでさまざまです。 挿し木の基本用語 Kazakova Maryia/Shutterstock.com 挿し木に関連する専門用語があります。よく使う用語を紹介します。 挿し穂 挿し木に使う枝や茎のことです。 挿し床 用土を入れた鉢や育苗箱など、挿し木をするための場所です。 葉挿し 葉を切って用土の上に置いたり、一部を埋めて発根させる方法です。可能な植物は限られます。 根挿し 太い根を切り分けて繁殖する方法で、可能な植物は限られます。 天挿し 頂芽挿しの別名があり、一番上の芽がついた枝を切って挿すことです。 水挿し 挿し穂を用土ではなく、水につけて発根させる方法です。 植物によって違う挿し木の方法 La Huertina De Toni/Shutterstock.com 挿し木はすべて方法が同じで、梅雨時期に挿し木して多湿気味に保てばよいと思っている人が多いようです。また挿し木に関する初心者によくある失敗例として、観葉植物を冬場に挿し木する、日なたの風当りの強い場所で挿し木する、適当に枝を切ってそのまま挿すなどがあります 挿し木は、すべての植物が同じ方法ではありません。種類によっては梅雨の時期以外に挿し木を行い、乾かし気味に管理することもあります。挿し木の適期や、挿し穂の調整方法、挿し木後の管理などは、植物の種類などによって大きく異なります。それぞれの栽培適地や生育適温などの条件の他、落葉樹や常緑樹、草本植物など植物の形態なども、挿し木の方法に影響する重要なポイントになります。特に乾燥地に適応した多肉植物は、他の植物と挿し木の方法が大きく違うので注意してください。 挿し木の適期 VH-studio/Shutterstock.com 挿し木は生育期に行うのが基本です。ただし樹木類は例外も結構あります。落葉樹は、生育期前の2月中旬~3月頃に行うことができます。 春が挿し木の適期の植物が多いですが、熱帯植物の中には夏が適期の種類もあります。また冬でも生育する種類は、冬に挿し木が可能です。 電熱マットなどの保温器具があれば、冬でも室内で挿し木ができます。適温が保てれば、他の季節より挿し穂が腐りにくいというメリットがあります。 挿し穂の調整 Natallia Ustsinava/Shutterstock.com 挿し穂は健全で充実した枝や茎を使い、5~12cmくらいの長さで切ることが多いです。樹木類は半木質化した枝を挿し木に利用することが多いですが、例外も多いです。 硬い木の枝は、切り口が斜め45度になるように切ります。柔らかい木の枝や草花類の茎は、斜めに切ると用土にさす時に切り口を傷めるので、水平に切ります。 上部の葉を残し、余分な下葉を切り取ります。挿し穂の長さの半分程度の葉を切るか、葉を3枚程度残します。また大きすぎる葉は半分に切ります。 葉からの蒸散により水分がなくなるので、葉が多いとしおれやすくなります。一方、葉をすべて切ると、発根が遅れます。 メネデールなどの活性剤を薄めた溶液で1~2時間程度水あげすると、発根しやすくなります。また挿し穂の切り口に発根剤をつけると、挿し木の成功率が高くなることが多いです。挿し木が難しい植物は、発根剤の使用がおすすめです。 挿し穂は1/3くらいの長さをおおよその目安に用土に挿します。 挿し木後の管理 Aleksandra Cheremisova/Shutterstock.com 多くの植物は、明るい日陰の風当りの弱い場所に置きます。日光を好む植物でも強い日光に当てるのは避けます。 水やりは乾かさないようにしっかり与え、多湿気味に管理するのが一般的です。ただし蒸れを嫌う植物は適度に風通しのよい適湿な環境がよく、挿し木後1週間くらいからは用土の表面がやや乾いたら水やりします。 多くは1~2カ月後に発根しますが、半年近くかかることもあります。小さなポット鉢などに挿し穂を鉢上げ(植え付け)しますが、使用する用土には、いくつか注意点があるので、以下の項目を参考にして用意してください。 挿し木に使う用土 清潔で肥料分の少ない用土を使うのが基本です。赤玉土小粒や鹿沼土、砂、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、ミズゴケなどを使い、これらを混ぜて使うこともあります。 腐葉土や堆肥は、雑菌や有害物質によって挿し穂が腐りやすくなるので、挿し木には使いません。また肥料も施すと悪影響になるので、与えません。一般的な培養土は肥料や堆肥などが含まれるので、使用は避けてください。 パーライトやピートモスは単用では扱いにくいので、他の用土と混ぜて使うとよいでしょう。配合例として、粉状のパーライトとバーミキュライトを等量ずつ混ぜた用土は、挿し穂がビッチリとよく固定されます。赤玉土や鹿沼土にピートモスを3割から半分程度混ぜると、乾きにくい用土になります。 適度に乾燥させたほうが成功しやすい種類は、赤玉土小粒や鹿沼土、砂などを単用で使うのがおすすめです。 観葉植物の挿し木 denise1203/Shutterstock.com 観葉植物は、熱帯のジャングルなどが原産のものが多いです。そのような植物は、暖かい時期に多湿な環境で挿し木してください。具体的には、6月から9月までの温度が高い時期に、室内や屋外の風当りの弱い軒下などの明るい日陰に置き、水やりを多めにして管理します。空気が乾燥する場合はビニールなどで覆うか、こまめに霧吹きして湿度を保ちます。 多肉植物の挿し木 Christina Siow/Shutterstock.com 他の植物と、方法がかなり違うので注意してください。枝のある種類を挿し木する場合は、挿し穂を切ってから必ず明るい日陰で3~4日くらい切り口を乾かしてから挿します。赤玉土小粒や砂などの水はけのよい用土に挿し、発根するまで水やりしないでください。発根したら用土の表面が湿る程度に水やりし、用土の表面が乾いてから次の水やりをします。葉ざしも同様に発根するまでは水やりせず、発根後から徐々に水やりします。 観葉植物として扱われるサンスベリアやハートカズラなどは多肉植物でもあるので、多肉植物と同様の方法で挿し木します。 ハーブの挿し木 La Huertina De Toni/Shutterstock.com ラベンダーやローズマリー、タイムなどのハーブ類は風通しのよい場所を好み、蒸れを嫌います。挿し木後に多く水やりしたり多湿にすると、挿し穂が腐って失敗しやすくなります。 挿し床は適度に空気の循環のある適湿な場所に置くようにしてください。ビニールなどで密閉すると、かえって失敗します。用土は水はけのよい赤玉土小粒や鹿沼土、砂などを使います。水やりは用土の表面がだいたい乾いてから行ってください。常に用土がよく湿っていると腐ります。 日当たりのよい乾燥気味の草原などが原産の草花類も、ハーブ類と同様の方法で挿し木します。南アフリカ原産のガザニアやゼラニウム、カナリア諸島原産のマーガレット、北アメリカ原産のルドベキアやエキナセアなど多くの種類が多湿な環境を嫌います。 ゼラニウムは梅雨時に挿し木すると腐りやすいです。梅雨時に挿し木する場合は、切り口を1日程度乾かしてからさし、発根するまではやや乾燥気味に管理します。 水挿しのすすめ Mila Naumova/Shutterstock.com 切った枝は、水につけても発根します。清潔なのでテーブルの上などに置くことができ、根が出てくる様子を見るのも楽しいことでしょう。コップに水道水を入れ、調整した挿し穂を長めに切って挿します。 ニチニチソウやユーフォルビアなど切り口から白い乳液が出る植物は、10分ほど水につけて乳液を落としてから水挿ししてください。観葉植物のシェフレラなどは油分が多く水が腐りやすいので、避けたほうがよいです。 水挿ししたコップは、明るい日陰に置きます。コップを日光に当てると水温が上がりすぎたり、腐敗するので注意してください。コップの水が濁ってきたら、水を入れ替えます。 発根した挿し穂をそのまま用土に植えると、根が土から水分を吸収することに適応していないので、しおれてしまうことが多いです。下葉をとって葉の量を1/3から半分程度減らした後に用土に植えてください。 挿し木を成功させるためのポイント Mariia Boiko/Shutterstock.com 植物によって挿し木の方法が異なる 挿し木では発根しない植物がある 挿し穂の調整を必ず行う 用土は必ず清潔な用土を使う 挿し木後は、種類によっては適度に乾かす ハイビスカスは春に適湿な環境で挿し木するとよく、ブーゲンビレアは夏に多湿な環境で挿し木するとよく発根します。同じ熱帯植物ですが、それでも種類によって挿し木の方法は異なります。挿し木を成功させるには、できるだけ情報を集めてから行うとよいでしょう。 水ざしするだけで発根する植物も多くあります。いろいろ試してみるのも楽しいかもしれません。まずは野菜として購入したバジルやクレソン、クウシンサイなどから挑戦してみてください。
-
宿根草・多年草

春から秋までずっと満開! 長く楽しめる宿根草「エリゲロン」の育て方と人気品種
エリゲロンの基本情報 Martin Fowler/Shutterstock.com 学名:Erigeron英名:Erigeron和名:ペラペラヨメナ、アズマギクなど科名:キク科属名:エリゲロン属(ムカシヨモギ属)原産地:北アメリカ原産が多い形態:多年草、一・二年草 エリゲロンの仲間は、約460種が世界に広く分布する多年草、または一・二年草です。北アメリカ原産の種類が多く、海沿いの地域から高山性の種類まで多様です。 身近に見られる花がきれいな雑草のハルジオンやヒメジョオンも同じ仲間で、いずれも園芸植物として渡来し、野生化したものです。エリゲロンの代表的な種類のカルビンスキアヌスも丈夫で繁殖力が強く、関東地方以南で野生化しています。ほかに栽培されているのは、北アメリカ原産のグラウカスやスペシオサスなどの種類、また、その園芸品種、国内の高山に自生するミヤマアズマギクなどがあります。流通量は少ないですが、丈夫で美しい花がよく咲くものが多いので、今後のさらなる普及が見込まれます。 エリゲロンの特徴・性質 pixel creator/Shutterstock.com 園芸分類:草花草丈:5~70cm開花期:5~7月に咲くものが多い耐暑性:強い~普通(高山性の種類は弱い)耐寒性: 強い花色:白、ピンク、紫、青、黄、オレンジ、赤など 草丈は50~70cmと背が高くなるものから、地面を低く覆うように伸びるものまで、種類によって性質はさまざまです。 花色は、白やピンク、紫、青、黄、オレンジ、赤などで、明るく華やかな印象の花が多いです。乾燥や寒さには強い種類が多く、夏の高温多湿を嫌います。高山性の種類は栽培がやや難しいですが、エリゲロンの名で宿根草として一般に栽培されているものは比較的育てやすいです。中でも、カルビンスキアヌスは環境適応性が高く、特に丈夫で放任気味でも育ちます。 寒さには強いので、寒冷地のほとんどの地域で栽培できます。ただし水はけの悪い場所では、冬に傷みやすいです。 エリゲロンの種類・園芸品種 エリゲロン・カルビンスキアヌス Erigeron Karvinskianus Tom Meaker/Shutterstock.com メキシコ~パナマ原産で、春から秋まで長期間花が咲く丈夫な宿根草です。花径2cmほどの小花は白からピンクに変化して美しく、白と赤みがかったピンクの二色咲きに見える様子から、ゲンペイコギク(源平小菊)の名前があります。 茎は細かく枝分かれして低くマット状に広がり、グラウンドカバーや花壇の前面などに最適です。白とピンクのカスミソウのような柔らかい雰囲気があり、いろいろな草花と合わせやすいです。 こぼれ種でよく増え、他の植物が育ちにくい石の間のわずかな隙間からも芽が出て繁殖します。選抜品種の‘プロフュージョン’や、斑入り葉の品種なども流通しています。 ‘アズール・フェアリー’ Erigeron speciosus 'Azure Fairy' APugach/Shutterstock.com カナダ~アメリカ、メキシコ原産のスペシオサスの選抜品種です。爽やかな青色の花が美しく、苗の流通が増えています。茎は直立して伸び、草丈40~50cmになります。5~7月に花径3cmほどの花を多く咲かせます。 エリゲロン・グラウカス Erigeron glaucus iPlantsman/Shutterstock.com カリフォルニア州~オレゴン州の沿岸地域が原産の多年草です。海岸に自生するため、シーサイドデージーの英名があります。草丈は15~30cmで、低いマット状によく茂り、花径5cmほどの花が初夏を中心に長く咲きます。花色はピンクや青、白など変異があります。 グラウカスの園芸品種には、コンパクトな株姿で薄い青色の花が咲く‘ビーチボーイブルー’などがあります。 ‘ロサ・ジュエル’ Erigeron 'Rosa Juwel' RukiMedia/Shutterstock.com ピンクの大輪花を咲かせる種間交配種です。草丈は50~70cmで、開花期は6〜9月です。 エリゲロン・オーランティアカス Erigeron aurantiacus Robert Buchel/Shutterstock.com カザフスタン原産の多年草です。黄色やオレンジ、赤などの鮮やかな花が咲き、日本では主に赤色の花が流通しています。開花期は5~7月。草丈30~40cmで、やや乾燥気味の場所を好みます。 エリゲロン・オウレウス ‘カナリー・バード’ Erigeron aureus 'Canary Bird' Todd Boland/Shutterstock.com 北アメリカのオレゴン州~カナダ西部原産のオウレウスの園芸品種で、草丈5~10cmとコンパクトな多年草です。夏に明るい黄色の花が咲きます。 ミヤマアズマギク Erigeron thunbergii ssp. glabratus backpacking/Shutterstock.com 山野草として栽培されるアズマギクの高山性の亜種で、本州中部から北海道の高山の砂礫地などに自生します。花色は薄い青~青、白まで変異があります。夏の暑さや蒸れに弱く、栽培は上級者向けです。花が美しいので人気があり、ネット通販などで入手できます。 エリゲロンの栽培12カ月カレンダー 植え付け:3~5月、9月下旬~11月上旬植え替え:3~4月、10月株分け:3~4月、10月肥料(鉢植え):4月、10月剪定:3月、11~12月 エリゲロンの栽培環境 Peter Turner Photography/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりと風通しがよく、乾燥気味の場所が適します。風当たりの強い吹きさらしのような場所やロックガーデンなどに最適です。午前中だけ日光が当たる半日陰でも育ちますが、花付きは悪くなります。 水はけがよく肥沃でない土壌が適します。砂利を敷いたような場所や砂礫地、石の隙間などでは、引き締まった花付きのよい株に育ちます。 鉢植えは日当たりと風通しのよい場所に置きます。鉢を地面に直接置くと蒸れやすいので、高い位置で管理するとよいでしょう。夏に調子が悪い株は、西日を避けた半日陰の涼しい場所で管理してください。 カルビンスキアヌスは非常に丈夫で環境適応性が高いです。適した環境でなくても枯れにくく、明るい日陰でも花を咲かせることがあります。 生育温度 生育温度の目安は15~25℃で、春と秋に最もよく生育します。多くの種類は高温多湿を嫌うので、夏は涼しく風通しのよい場所に置くとよいでしょう。 冬越し 寒さに強く、寒冷地でも栽培できます。冬越しのために対策する必要は特にありません。 エリゲロンの植え付け(地植え) APugach/Shutterstock.com 植え付け 植え付けの適期は、3~5月と秋の9月下旬~11月上旬です。丈夫なカルビンスキアヌスは適期が長く、3~6月、9月~11月上旬です。 水はけのよい場所が適するので、あまり排水性のよくない場所では周囲より高めに土を盛って植え付けるとよいでしょう。専用のガーデンフレームなどを使うと、手軽に見栄えのよい花壇を作れます。また粘土質などで水はけの悪い場合は、軽石や砂などを足して土壌改良してください。 地植えした株の掘り上げ 植えたままにすると株が大きく育ち、蒸れやすくなります。2~3年ごとに1回、春の3~4月か秋の10月頃に株を掘り上げ、株分けしてから植え直してください。 エリゲロンの植え替え(鉢植え) Richard Griffin/Shutterstock.com 植え替え 大株になると腐りやすいので、1~2年に1回、3~4月か10月頃に株分けして植え替えます。根鉢をくずして株を半分に分け、同じサイズか1回り小さな鉢に植えます。 ポット苗を購入した場合は、根鉢をくずさずそのまま1~2回り大きな鉢に植え替えます。根鉢をくずさない場合とカルビンスキアヌスの植え替えの適期は、3~6月、または9月~11月上旬です。 用土 水はけのよい用土が適します。赤玉土6:腐葉土2:軽石2を混ぜたり、一般的な草花用の培養土と山野草用の培養土を半分ずつ混ぜた用土などを使います。特に丈夫なカルビンスキアヌスは、一般的な培養土だけでもよいでしょう。 ミヤマアズマギクなど高山性の種類は、山野草用の培養土が適します。 エリゲロンの育て方・日常の管理 APugach/Shutterstock.com 水やり 地植えした場合は、水やりの必要はほぼありません。 鉢植えは、必ず用土の表面が乾いてから水やりします。水やりの回数が多いと過湿で根腐れするので、注意してください。 肥料 やせた土壌で育つ植物なので、地植えした場合は肥料を与える必要はほとんどありません。肥料が多いと、花があまり咲かずに枝葉ばかりがよく茂り、蒸れやすくなります。 鉢植えは4月頃と10月頃に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量の半分程度与えてください。 病害虫 病害虫の発生は少ないですが、日照が不足するとアブラムシが発生することがあります。また風通しが悪く多湿にすると、スペシオサスの系統などはうどんこ病が発生しやすくなります。 エリゲロンの作業・手入れ Tria Maret Aryuni/Shutterstock.com 花がら摘み 咲き終わった花は、そのままだと枯れて見苦しいので、こまめに花がらを摘み取りましょう。風通しがよくなり、花も次々と咲いてくれます。 増えすぎた株の撤去 カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えて、思わぬところから繁殖します。定期的に見回って、余分な株は抜き取るといいでしょう。 エリゲロンの剪定 BOULENGER Xavier/Shutterstock.com 生育期前の早春頃に、地際に近い新芽が見える位置まで強く刈り込みます。寒冷地以外の地域では、晩秋の11月頃にカルビンスキアヌスに枯れた部分が目立ってきたら、地際近くまで刈り込んでください。ほかの種類も、強い刈り込みを晩秋に行ってもかまいません。 枝葉がよく茂って風通しが悪くなると、夏の高温多湿や雨が長く続いた時に蒸れて腐ることがあります。夏前に全体を半分から1/3くらいまで残してバッサリ刈り込むと、トラブルが少なくなります。開花中の株は、花がら摘みも兼ねて咲き終わった茎をこまめに半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。 エリゲロンの増やし方 Andrew Fletcher/Shutterstock.com カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えるので、意図しない場所に出た株を掘り上げて増やすことができます。 ほかの種類は、主に株分けで増やします。カルビンスキアヌス以外は、大株に育つと蒸れて枯れやすくなります。3~4月、または10月頃に行う植え替えなどの作業と同時に株分けしてください。2~3株に切り分けてから植えますが、秋に行う場合は地上部を1/3程度まで刈り込んでから作業してください。 エリゲロンの栽培ポイント APugach/Shutterstock.com カルビンスキアヌスは特に性質が丈夫 日当たりと水はけ・風通しのよい場所を好む 夏の蒸れや多湿を嫌う 肥料は控えめに カルビンスキアヌスは数ある園芸植物の中でも特筆すべき丈夫さで、放任してもよく育つ場合が多いです。開花期間も春から秋まで長いので、重宝します。ほかの種類は夏の高温多湿には注意したほうがよいですが、あまり手間がかからず開花期間も比較的長いです。流通量は少ないですが、ネット通販などを利用すれば入手できる場合が増えています。エリゲロンは可憐な花をたくさん咲かせるものが多く、花色も豊富なので、コレクションしても楽しいでしょう。
-
ハーブ

順調だったバジルが突然全滅…⁉︎ 近年急増する大敵『べと病』から株を守る4つの対策
バジルの基本情報 Wirestock Creators/Shutterstock.com 学名:Ocimum basilicum英名:Basil、Common Basil、 Sweet Basil和名:メボウキ(目箒)科名:シソ科属名:メボウキ属原産地:アジアの熱帯~亜熱帯地域、北オーストラリア園芸分類:ハーブ、野菜形態:一年草 バジルは冬に枯れる一年草として扱われますが、熱帯や亜熱帯地域では短命な多年草です。品種が多く、またバジルの名がつくほかの近縁種や交配種も多くあります。日本でバジルとして扱われるのは、主にスイートバジルやジェノベーゼバジルといわれる栽培品種です。茎や葉は明るい緑色で、茎はよく分枝して艶のある葉がよく茂ります。近年はタイ料理で使われるホーリーバジル(別名トゥルシー/Ocimum tenuiflorum)も人気があります。 バジルは葉が食用として主に利用されますが、花やつぼみも穂ジソと同様に食べることができます。また種子(バジルシード)は水につけるだけでゼリー状に大きく膨らみ、タピオカのように食べることができます。健康やダイエットによい食品として、バジルシードも人気があります。 イタリア料理をはじめ、さまざまな料理に多く使われ、特にトマトやチーズとは相性がよく、栄養豊富で健康によい効果も期待できます。イタリア料理で人気のジェノベーゼソースには大量のバジルが必要ですが、自宅で手作りする人も多いようです。 バジルの育て方と病害虫 BearFotos/Shutterstock.com バジルの種子は手に入りやすく、ホームセンターや100円ショップなどでも購入できます。比較的大きな種子なので扱いやすく、発芽率もよいです。畑に直接播いても失敗しにくく、育てやすいです。ジェノベーゼなどに使うには大量のバジルが必要ですが、4月中旬~5月に種まきすれば、たくさん収穫できます。 日なたの適度に湿り気のある肥沃な場所を好みますが、夏の猛暑や乾燥にも強く、明るい日陰でも育ちます。環境適応性が高く、土壌もあまり選ばないので、初心者でも育てやすいハーブです。 ただし、比較的自然が豊富な地域や場所では、葉がバッタなどに食害されることが多いです。また近年は畑などで大量に育てると、梅雨時や秋頃からべと病が発生してすべての株が枯れるケースが増えてきています。 メボウキ(バジル)べと病(Basil downy mildew)とは カビ(Peronospora belbahrii )が原因の病気で、2003年にイタリアで発見され、急速に世界中に広がりました。葉に黒っぽいしみができて黄化し、最終的に葉がすべて落ちて枯れます。また胞子が風で飛んで空気伝染するので、いったん発病すると急速に付近の株に伝染してすべての株が枯れてしまいます。薬剤を使用しても発病後は効果が低いため、予防的な薬剤散布が必要です。 雨が多い、風通しが悪い、昼と夜の温度差が激しいと夜露が降りるなど、多湿な環境下で発生しやすいので注意。また発生しやすい時期は、花が多く咲き始める夏の終わりから秋、または梅雨時です。 ① 発生初期:一部の葉が黄化、または黒っぽいしみが見られる Korrakot/Shutterstock.com JSpataro/Shutterstock.com ② 葉の落葉が続いている状態 The natures/Shutterstock.com ③ ほとんど葉が無くなった状態 The natures/Shutterstock.com べと病の対策 撮影/小川恭弘 日当たりと風通し、水はけのよい環境で育てる 水はけのよくない場所では畝を作るか、周囲より土を高く盛った場所に植えます。また株間をあけて風通しのよい環境で育てましょう。枝葉があまり茂らないよう、適度に収穫を繰り返すのも効果的です。 こぼれ種から育てない バジルは前年のこぼれ種からよく発芽します。しかし、べと病は種子から感染するので、べと病が発生した場所でこぼれ種から芽が出た場合は処分してください。また前年に病気が発生した場所も避けたほうがよいです。 亜リン酸肥料で防除 亜リン酸肥料は、べと病の予防に効果があります。液体タイプの肥料でも効果があります。他の肥料より高価で入手がやや難しいので、ネット通販や専門の種苗店などの利用がおすすめです。 べと病に強い品種を選ぶ イタリア語でチャンピオンの意味の「カンピオーネ(Campione)」は、べと病の耐性が強い品種として知られています。ほかにトキタ種苗作出の「TSGI−217」も耐性が強いです。 べと病対策は、べと病に強い品種を植えるのが非常に効果的です。ただし、べと病は変異が激しく、耐性のある品種でも発病する可能性があります。ほかの方法と組み合わせてべと病に対処するようにしてください。 葉の食害 Abu khoir/Shutterstock.com 生育初期は、ナメクジの食害が問題になりやすいです。ナメクジ対策は、有機栽培にも使える天然成分由来の粉末の薬剤があります。株の周囲に薬剤の粉末をまくことで安全に防除できます。 バッタなどの昆虫は、一匹でも葉を多く食害します。可能な限り捕殺するとよいですが、捕殺では限界もあります。薬剤を使ってもバッタは移動が激しいので、防除が難しいです。また食べるものに薬剤を使うことに抵抗がある人も多いと思われます。 葉の食害対策 青じそ(大葉) ネットをかける 鉢やプランター、地植えでも、植栽数が少ない場合は、防虫ネットを全体にかけるのが効果的です。欠点としては、植栽数が多いと作業性が特に悪くなりやすく、収穫中にバッタが株の間に入ってしまうこともあります。 おとり植物と混植する 葉が柔らかい大葉青シソは、バジルよりもバッタに食害されやすいです。バジルと青シソを交互に植えたり、または青シソを点在させるように植えると、バッタは青シソを食べることが多くなります。青シソもバジルと同様に直まきして育てることができます。 バジルの室内栽培 Avocado_studio/Shutterstock.com 徒長気味の株姿になりますが、室内の明るい日陰でもバジルを育てることができます。屋外の日なたより収穫量は減りやすいですが、清潔で葉を食害する害虫やべと病の心配もありません。ただし乾燥しやすい室内では、ハダニの発生に注意してください。こまめに葉に霧吹きで水をかけたり(葉水)、湿らせた軽石などを敷き詰めた広めの受け皿の上に鉢を置くことで発生を防ぐ効果があります。 窓際の直射日光が当たる場所に鉢植えを置くと、エアコンを切った不在時などに周囲が火傷するくらいの温度まで急上昇しがちです。北向きの窓際などに置くと適度に明るく、手間もかかりません。またはLED育成ライトを使用すると理想的な環境になります。 バジルの栽培ポイント Avocado_studio/Shutterstock.com べと病が発生すると全滅することが多い べと病には耐性のある品種を植えるのが効果的 べと病は、さまざまな方法を組み合わせて予防する バッタなどの対策には、防虫ネットやおとり植物の利用などがある 病害虫の少ない室内でも育てられるが、ハダニに注意 以上のポイントに注意すれば、バジルは非常に育てやすいハーブです。多くの植物に使える一般的な培養土でよく育ち、春に種まきすれば夏までに大きく育ちます。たくさん収穫できた場合は、乾燥保存もできます。バジルをたくさん育てて、豊かなハーバルライフを楽しんでください。
-
野菜

捨てたらもったいない! 買ってきた「空芯菜の茎」から始める超簡単な無限水耕栽培
クウシンサイの基本情報 Masyhuri abi toyyib/Shutterstock.com 植物名:クウシンサイ学名:Ipomoea aquatica英名:Water Spinach、Swamp Morning-Glory 、Kangkong和名:クウシンサイ(空芯菜)、ヨウサイ(蕹菜)別名:エンツァイ、ヨウサイ、アサガオナ(沖縄ではウンチェー、ウンチェーバー)科名:ヒルガオ科属名:サツマイモ(イポメア)属原産地:アジア、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島などの熱帯~亜熱帯地域形態:一年草(熱帯、亜熱帯地域では多年草) アジアやアフリカ、オーストラリアなどの熱帯~亜熱帯地域に広く分布し、水辺や水中などに自生する多年草です。寒さに弱いため、日本では冬も温暖な沖縄などの地域以外では一年草として栽培されます。 生育初期は直立して伸びますが、だんだんとつるが這うように伸びて地面や水面を覆うように茂ります。中華料理や東南アジアの料理などではよく使われる重要な野菜で、茎の先端付近の柔らかい部分を葉とともに食用とします。沖縄でも春の4月頃から秋の9月まで長期間収穫できる野菜として、以前から栽培されてきました。また近年は、沖縄以外の地域でも夏に収穫できる貴重な葉物野菜として人気が上昇しており、全国的に栽培数が増えています。 茎は内部が空洞になっており、水面に浮きます。浮遊した状態で根を出して生育できるため、池に浮かべたイカダなどでも栽培されています。汚染された水でもよく育つため、水質浄化の目的で栽培されているケースもあります。ただし重金属を吸収して蓄積する危険があることが研究報告されています。また細菌感染の可能性があるため、食用とする場合は加熱調理したほうが安全です。 クウシンサイの特徴・生育サイクル Masato Studio/Shutterstock.com 園芸分類:野菜開花時期:10月草丈:2~3m(つるの長さ) 収穫時期:7~11月耐暑性:強い耐寒性:弱い花色:白、ピンク、薄紫 生育が早く、つるは収穫しないで放置していると2~3mまで伸びます。熱帯・亜熱帯地域では多年草で、最適な環境下では、つるが最大で20m以上まで伸びます。繁殖力が旺盛なため、地域によっては有害雑草に指定されています。 サツマイモなどと同様に、茎を切ると白い乳液が出ます。生育状態が悪いと葉が硬くなり、乳液が多くなります。 発芽適温や生育温度が高いので、5月くらいから種まきします。早く種まきをしたい場合は、室内などの暖かい場所に置いてください。 春の温度が低い時期は生育が遅いですが、温度の上昇とともに生育が早くなります。7月頃から収穫が始まり、乾燥に注意すれば、夏に最も旺盛に生育してたくさん収穫できます。短日条件で開花するため、秋の10月頃に白やピンク、薄紫色のアサガオによく似た花が咲きます。温度の低下とともに生育が遅くなり、沖縄以外の地域では花が咲いても種子ができずに枯れてしまいます。 地植えの場合、夏の水やりが大変なので、家庭では水耕栽培がおすすめです。あまり水質のよくない沼や池などでもよく生育するので、簡易的な水耕栽培でもOKです。 クウシンサイの効能・利用方法 Quang Vinh Tran/Shutterstock.com ビタミンAをはじめとした各種ビタミン類、カルシウムや鉄分、タンパク質、良質の食物繊維などを含むヘルシー野菜です。シャキシャキと食感がよく、くせのない風味です。 傷みやすいので、収穫したら早めに食べるようにしてください。茎が固い場合は葉と茎に分け、茎を包丁の腹などで潰し、火の通りにくい茎から炒めるとよいでしょう。 保存する場合は、湿らせた新聞紙などに包み、立てて置くと長持ちしやすいです。 クウシンサイの栽培12カ月カレンダー 植え付け: 5~6月(地植え)収穫:7~10月肥料:5~10月挿し芽:5~10月 クウシンサイの栽培環境 Krisrian/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日なた~明るい日陰の水辺や池、湿地などで生育します。やや水質の悪い池や、河川水(淡水)と海水が混ざり合うような汽水域でも育ち、水質浄化にも役立ちます。地植えのほか、水田や池などでも栽培できます。 乾燥に弱いので、地植えする場合は夏に水やりしやすい場所に植えるとよいでしょう。プランターや水耕栽培のバケツなどの容器で栽培している場合は、夏は西日の当たらない半日陰か明るい日陰に移動したほうが水切れしにくく、葉や茎が柔らかくなって生育もよくなる場合が多いです。 生育温度 クウシンサイの生育に適した温度の目安は15~35℃で、高温多湿を好みます。水分が十分なら夏に最もよく生育し、暑さで弱ることもありません。 冬越し 寒さには弱く、屋外では越冬できません。温度が10℃以下になると生育が止まり、0℃以下になると枯死します。 クウシンサイの種まき Puripatch Lokakalin/Shutterstock.com 「クウシンサイ」の名称は商標登録されているため、流通する種子は「エンサイ」や「エンツァイ」などの名前で販売されているので注意してください。 5月が種まきの適期です。発芽適温は20~30℃と高いので、できるだけ暖かい環境に置くと発芽率が高くなります。種子は一晩水に漬けてから播き、5mm~1cm程度覆土してください。ポット鉢に播く場合は3~4粒播き、本葉が2~3枚になったら2本に間引きます。 本葉が4~5枚になるまで育苗したら、植え付けます。 クウシンサイの挿し芽 Ageng Arifian Sasono/Shutterstock.com 5~10月に、挿し芽で簡単に増やすことができます。特に夏の温度が高い時期は生育が早いです。 クウシンサイは再生力が強く、根元付近の茎をコップに水挿しするだけで発根して芽が出てきます。初夏頃から野菜売り場で流通するようになるので、苗を購入するよりお得に栽培をスタートできます。赤玉土小粒などの用土に挿し芽しても、用土を乾かさなければ簡単に発根します。 挿し芽する際は、上部の葉を2~3枚だけ残して下葉を取ってください。葉が大きい場合は半分に切ります。水挿しして葉が多くついた苗を用土に植え付ける場合は、古い葉を取って葉の量を1/3~半分程度に減らしてください。 クウシンサイの植え付け・植え替え ThessaElArta/Shutterstock.com 植え付け(地植え) 連作障害はないので、前年度栽培した場所でも問題なく植えることができるのも利点です。多めの肥料を好むので、たくさん収穫するには、しっかりと土づくりをすることが大切です。 植え付けの適期は5~6月です。植え付け前の準備として、2週間くらい前に1㎡当たり堆肥や腐葉土3㎏、化成肥料150gを均一にまき、耕しておきます。苗を株間20~30cmあけて植え、種まきで育てた小さな苗は1カ所に2株植えるとよいでしょう。植え付け後にたっぷり水やりし、敷きわらなどで表土の乾燥を防ぐとよいでしょう。 植え付け・植え替え(鉢植え、プランター) 鉢植えで育てる場合は、ポット苗が根詰まりしたら5~6号鉢に植え替え、最終的に8号くらいの鉢に植えます。はじめからポット苗を3鉢程度8~10号鉢に寄せ植えしてもよいでしょう。 65cm幅のプランターの場合は、3~5株植えます。 いずれも肥料と水をしっかり与えられるなら、2~3cm間隔くらいの密植気味にしても育ちます。 用土 多くの植物に使える一般的な培養土か、野菜用の培養土を利用することができます。自分で作る場合は、赤玉土小粒7:腐葉土3の割合で配合します。 クウシンサイの育て方・日常の手入れ Dezych/Shutterstock.com 水やり 水生、または半水生の植物なので、乾燥を嫌います。春の温度が低く苗が小さい時期は、用土の表面が乾いたら水やりしますが、その後の晴れた日は毎日水やりしてください。 鉢植えやプランターは夏に腰水栽培できますが、ためた水がお湯のように熱くならないよう注意してください。 肥料 植え付け後、元肥が切れた1カ月後ぐらいから10月まで肥料を切らさないように追肥します。窒素が多め、または3要素が等量程度含まれた緩効性化成肥料などを規定量与えます。 病害虫 アブラムシが発生することがあります。春は日当たりのよい場所で育てるようにし、発生したら、初期のうちは水を強めに当てて洗い流します。 また、ベランダなど乾燥しやすい場所ではハダニが発生します。半日陰から明るい日陰に移動し、葉水をよく与えるようにしてください。 クウシンサイの簡易的な水耕栽培 kobrunrun/Shutterstock.com 家庭で水耕栽培する場合は、密集した状態でもかまいません。水質のよくない池で茎が浮かんだ状態でも生育できるので、難しく考える必要はありません。ペットボトルやビニールコップなどを利用して、少しの工夫でさまざまに栽培することができます。以下に、100円ショップで購入できる簡単な資材を使って、たくさんのクウシンサイを収穫できる方法をご紹介します。 水耕栽培の種まき・苗の植え付け 撮影:小川恭弘 【用意するもの】 プラスチック製のザル ザルが収まるサイズのバケツ 不織布 野菜用の培養土、または軽石小粒 プラスチック製のザルと、ザルがちょうどはまるサイズのバケツを購入します。バケツとザルがセットになったものも販売されています。 不織布をザルにしき、その上に野菜用の培養土をザルの半分~2/3程度の高さまで入れます。また培養土の代わりに軽石小粒を使ってもよいでしょう。初期の成長はやや遅れますが、その後は問題なく生育します。 ジョウロなどで水をかけて用土を湿らせ、2~3cm間隔の密集気味に種まきして軽く覆土してください。用土に挿し芽してもよいでしょう。 その後は、バケツにためた水がザルの底の部分に浸かるようにすれば、用土が底面から湿るようになります。ただし春の温度が低い時期は底面給水せず、室内の日当たりのよい場所でザルに直接水やりしたほうが発芽率や初期生育がよいです。 水耕栽培の管理 根がザルから長く伸びてバケツの水を直接吸水できるようになったら、用土が水に浸からなくても問題ありません。水の交換は2~3週間に1回やれば大丈夫です。夏は水の減り具合が激しいので、水量のチェックを怠らないようにしてください。 バケツの水には、肥料成分として微粉ハイポネックスを1,500倍~3,000倍程度に薄めて与えるようにします。肥料は、ザルから根が多く伸びてきたくらいのタイミングで与えます。 クウシンサイの収穫 Arayabandit/Shutterstock.com つるの先端の柔らかい部分を10~30cmほど切って収穫します。 植え付け後、30~40cmほどの高さに伸びたら、株元から3~4節を残して切り、収穫します。その後発生したわき芽を伸ばし、分岐した部分から1~2節を残して切り、収穫を繰り返します。 収穫が遅れて枝葉が茂りすぎると、わき芽が伸びにくくなります。適度に収穫して風通しよく育てるとよいでしょう。 秋に花が咲いて結実すると茎が硬くなり、生育も衰えてきます。 クウシンサイの栽培ポイント Robert Buchel/Shutterstock.com 高温性で夏に最もよく生育する 水生()植物なので乾燥に弱い 水耕栽培がおすすめ 肥料切れに注意 挿し芽でよく増える 風味がよく栄養豊富なクウシンサイは、水辺などで簡単に栽培でき生産性が高いので、東南アジアなどでは最も重要な野菜です。クウシンサイを栽培すれば近年の夏の猛暑にも負けずに旺盛に生育し、貴重な葉物野菜がたくさん入手できます。生育も早いので驚くほど何度も収穫でき、重宝することでしょう。水耕栽培ならあまり手間がかからずグングン大きくなるので、生育する様子の観察も楽しめます。 野菜として入手したクウシンサイの根元付近の茎を利用して、気軽に栽培を始めてみませんか。
-
宿根草・多年草

【プロが解説】驚きの進化! 秋まで長く花が楽しめる「最新ジギタリス」の魅力と従来品種の育て方
ジギタリスの基本情報 Mariia Boiko/Shutterstock.com 植物名:ジギタリス学名:Digitalis英名:Fox Globe和名:キツネノテブクロ(狐の手袋)科名:オオバコ科属名:キツネノテブクロ属(ジギタリス属)原産地:園芸種形態:一年草、多年草(ハイブリッドジギタリス) ジギタリスは多くが二年草で、1年目は葉と根が生育し、2年目の春に花を咲かせて枯れる性質です。穂状の美しい花は見応えがあり、ヨーロッパでは古くから親しまれてきました。イングリッシュガーデンでもよく植えられ、開花期が重なるバラと共に春の庭園を華やかに演出します。日本では園芸植物として育てられることは少なかったですが、現在はその花の美しさから栽培が増えています。 ジギタリスは園芸品種が多く、草丈や花色のバリエーションも、じつは豊富にあります。苗を秋や早春頃に植え付ければ、あまり手間がかからず豪華な花を楽しめます。近年は秋まで長期間開花して多年草として楽しめる品種が登場し、さらに魅力が高まっています。なお、新しい多年草の品種は種間交配により作出され、ハイブリッドジギタリスの名で流通しています。 ジギタリスの特徴・性質 Khairil Azhar Junos/Shutterstock.com 園芸分類:草花草丈:30~180cm開花期:5~6月(通常品種)/5~10月(ハイブリッドジギタリス)耐寒性:強い~普通(ハイブリッドジギタリスは普通のものが多い)耐暑性:弱い~やや弱い(ハイブリッドジギタリスはやや弱いものが多い) 草丈は人の背丈ほど高くなるものから、鉢植えでも育てやすいコンパクトタイプまであります。 開花期は主に春で、花色は紫やピンク、赤、白、黄など。秋まで咲くとされる品種は、夏は暑さで花が咲かなくなることが多いです。 ジギタリスは暑さに弱いものが多いですが、寒さには強いです。ただし夏越ししやすいハイブリッドジギタリスは寒さに強くないものが多いので、注意してください。 明治時代に国内に渡来し、薬草として強心剤に利用するために栽培されました。ただし民間の利用は危険で劇薬に指定され、現在は薬用植物としては栽培されていません。全草に有毒成分があり、口に入れると危険です。幼児やペットのいる家庭では、栽培を避けたほうがよいでしょう。通常は作業をする際に手袋をすれば、問題ありません。 ジギタリスの種類 ジギタリスの仲間は、地中海沿岸、ヨーロッパ、西アジアなどに27種が知られています。 ジギタリス・プルプレア Digitalis purpurea LiamZhao/Shutterstock.com 従来から栽培されているジギタリスの代表的な種類で、園芸品種が多くあります。人の背丈ほどの高さになる大型の宿根草で、開花時は非常に人目を引きます。春の開花後に夏の暑さで枯れることが多いため、二年草として主に栽培されます。 ジギタリス・グランディフローラ Digitalis grandiflora Walter Erhardt/Shutterstock.com 黄色の大きな花が咲き、高さ1mほどでプルプレアより背丈が低いです。明るく華やかな雰囲気で、イギリスではよく栽培されます。 シギタリス・カナリエンシス Digitalis canariensis(=Isoplexis canariensis ) Tamara Kulikova/Shutterstock.com カナリー諸島原産の常緑の多年草、または亜低木です。枝は木質化して低木状に育ち、最大で1.5mほどの高さになります。分枝して幅が高さと同程度に広がり、オレンジ色の花を咲かせます。近年のハイブリッドジギタリスの交配親に使われています。 ジギタリスの最新品種(ハイブリッドジギタリス) 種間交配で作出された、夏越しして秋まで花が楽しめる最新品種をご紹介します。種子がつかず、連続開花性に優れています。 ジギタリス・バルニー・イルミネーションシリーズ Digitalis × valinii Illumination Series MacBen/Shutterstock.com 高さは0.5~1mで、従来のタイプより背が低い場合が多いです。フレイム、ラズベリー、アプリコットなどの品種があります。 ‘ベリーカナリー’ Digitalis × valinii 'Berry Canary' 撮影:小川恭弘 草丈が最大で0.5~1mと比較的コンパクトなサイズで、華やかなピンクの花が咲きます。よく分枝して花付きがよいです。 ‘パンサー’ Digitalis 'Panther' Lee ArtPhotos/Shutterstock.com タキイ種苗作出のハイブリッドジギタリスで、草丈40~50cmと矮性です。側枝をたくさん出し、明るいピンクの花を春から秋まで多く咲かせます。寒さにも強く、ほとんどの地域で冬越しします。2021年度のジャパンフラワーオブザイヤー最優秀賞を受賞しています。 ジギタリスの栽培12カ月カレンダー 植え付け(地植え):3~4月、10~11月肥料:3~6月、10~11月種まき:5~6月、9月 ジギタリスの栽培環境 Mariola Anna S/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日なた~半日陰で育てることができますが、夏の強い西日の当たらない半日陰のような場所が適します。 鉢植えは、夏は午前中だけ日光が当たる半日陰に置くようにします。暑さが厳しい場合は、直射日光が当たらない明るい日陰に移動するとよいでしょう。夏以外の時期は日光によく当てて育てると、花付きがよくなります。 生育温度 生育に適した温度の目安は10~25℃です。春と秋に最もよく生育します。 冬越し 従来のジギタリスは寒さに強く、北海道でも地植えできます。 ハイブリッドジギタリスのイルミネーションシリーズやベリーカナリーは、マイナス5~マイナス9℃が最低温度の目安です。冬の強い北風が当たりやすい場所や、霜が降りやすい場所は避けたほうがよいでしょう。軽い霜や雪にあたると葉は傷みますが、問題ありません。霜の降りにくい暖地のほうがよく育つので、鉢植えは冷え込みの厳しい日は玄関などに取り込むとよいでしょう。 ジギタリスの植え付け・植え替え Mariia Boiko/Shutterstock.com 植え付け 春の3~4月と秋の10~11月が植え付けの適期です。比較的温暖な地域で春に植える場合は、早めに植えたほうが大きく育ちます。寒冷地では、秋に小さなポット苗を植えるのは避けたほうがよいでしょう。寒さでひどく傷むことが多いので、冬は鉢植えで北風の当たらない建物近くの場所などに置き、春になったら植え付けてください。 肥沃で水はけのよい、中性から弱酸性の土壌が適します。腐葉土や堆肥などの有機物と元肥の緩効性化成肥料をすき込んでから植え付けます。株間は40~50cmあけ、背が高くなるタイプや毒性の危険が考えられる場合は、花壇の奥に植えるとよいでしょう。 Michael Warwick/Shutterstock.com 鉢植えの植え替え ポット苗を入手した場合は、根鉢をくずさず2回り大きな鉢にすぐ植え替えます。根が鉢底付近までよく伸びてきたら、さらに8~10号鉢に最終的に植え替えます。ポット苗から8~10号鉢に植えてもよいのですが、過湿気味になりやすいので、水の与えすぎに注意してください。 用土 肥沃で水はけのよい用土が適します。多くの植物に適する一般的な培養土か、赤玉土小粒5:腐葉土3:パーライトまたは軽石2を混ぜた用土などを使います。 ジギタリスの育て方・日常の手入れ PLA0081/Shutterstock.com 水やり 鉢植えは、用土の表面が乾いてからたっぷり水やりしてください。常に用土が湿っていると過湿で根腐れします。ただし春の開花期には株が多くの水分を必要とするので、水切れしないように注意してください。 地植えした場合は、水やりは不要です。 肥料 生育期の3~6月と、秋の10~11月に3要素(チッ素・リン酸・カリ)が等量程度含まれた緩効性化成肥料などを規定量与えます。 病害虫 病害虫の発生は比較的少ないです。花穂などにアブラムシがつくことがあるので、早めに防除してください。 ジギタリスの剪定・作業 Mariia Boiko/Shutterstock.com 剪定 花穂全体が咲き終わったら、花茎の根元から切ってください。早めに切ると下の茎から新しい芽が出て再び花が咲きやすくなります。開花期が長いタイプは、特に重要な作業です。そのままにすると見苦しいだけでなく、カビなどの発生原因になります。 支柱立て 草丈が高くなるタイプは強風などで倒れることがあるので、花穂が伸びてきたら支柱を添えてください。 ジギタリスの増やし方 Kazakov Maksim/Shutterstock.com 種まき 種子が市販されているので、播いて増やすことができます。発芽適温が15℃以上と高いので、5~6月か、9月が適期です。種子は好光性なので、ごく薄く覆土してください。 ジギタリスは二年草とされますが、秋まきして翌春に咲く早生タイプの品種もあります。 挿し芽 4~5月、または10月に挿し芽で増やすこともできます。種まきに比べて開花までの期間が短いです。 株元や茎の基部に発生する充実した芽を切り、葉を3枚程度残して下葉を取り除き、大きな葉は半分に切って挿し穂とします。赤玉土小粒やバーミキュライトなどの清潔な用土に、挿し穂を挿し、明るい日陰に置いて適度に風通しのよい場所で管理してください。水やりは、用土の表面が乾き始めてから次の水やりをします。常に用土が湿っていると腐るので気をつけましょう。 ジギタリスの栽培ポイント kingfrom/Shutterstock.com 夏は西日を避けた半日陰か明るい日陰で育てる 地植えするとほとんど手間がかからない 過湿に注意 鉢植えは生育が早いので、植え替えを適切に行う 最新の品種は寒さに強くないものがある ジギタリスは花が咲くまでの育成期間が比較的長いので、ポット苗を購入して育てるのがおすすめです。ポット苗を地植えすれば、ほとんど放任気味でも花を咲かせます。豪華な花を楽しめる割には育てやすいので、お得な植物ともいえます。さらに近年は、よく夏越しして多年草として長期間花が咲く品種が登場し、今後さらに人気の植物となることが予想されます。ジギタリスを庭やベランダに迎え入れて、ワンランク上の美しいガーデニングをお手軽に楽しんでください。
-
野菜

【プロが解説】土は不要! コップやペットボトルで簡単にできる「クレソン」水耕栽培のコツ
クレソンの基本情報 Fotema/Shutterstock.com 植物名:クレソン学名:Nasturtium officinale英名:Watercress和名:オランダガラシ(和蘭芥子)別名:ミズガラシ科名:アブラナ科属名:オランダガラシ属原産地:ヨーロッパ、中央アジア、アラビア半島、北アフリカ形態:多年草 クレソンは、ヨーロッパなどで古くから食用とされてきた半水生野菜です。ピリッとする辛味成分があり、肉料理などと相性がよいです。また栄養価も高く、ハーブとしても利用されます。 ヨーロッパからアジア、北アフリカなど、地中海に比較的近い地域が原産で、河原や池などの水辺に自生します。繁殖力が強く、世界の温帯に広く帰化しています。国内には明治初期に導入され、現在は全国の水辺で野生化しています。生活用水が多く流れ込むような用水路の周辺でもよく群生します。 国の安全委員会から、野生のクレソンには危険な寄生虫がいる危険性が喚起されています。必ず加熱して食べるようにしてください。 クレソンの特徴・性質 Furiarossa/Shutterstock.com 園芸部類:野菜開花時期:4~7月草丈:20~60cm耐寒性:強い耐暑性:やや弱い花色:白 春から夏に白い花を枝先に咲かせ、花後に種子がよく結実します。乾燥に注意すれば、種まきから育てるのは比較的容易です。 茎は60cmほどに伸び、茎の内部は中空で水面に浮きます。浮遊状態でも育つので、水を張ったバケツやコップに入れるだけで栽培できます。 茎が水に浸かった部分からは、根がよく生えてきます。野菜の中でも挿し芽による増殖が最も簡単な1つです。増やしながら、さまざまな容器で水耕栽培も可能です。 涼しい気候を好み、夏は生育がやや衰えます。寒さには強く、冬は室内で育てれば1年中収穫できます。 クレソンの仲間 NPvancheng55/Shutterstock.com 日本では、小型でクレソンによく似たコバノオランダガラシ(N. microphyllum)と、クレソンとコバノオランダガラシの交雑種で葉が紫色になりやすい、ムラサキオランダガラシ(N. ×sterile)が帰化しています。変異が多く見分けるのは困難ですが、両種ともクレソンと同様に食用できます。 クレソンの栄養と効能 alex rodrigo brondani/Shutterstock.com 特有の爽やかな辛味成分は、フェニールエチルカラシ油です。ビタミンCなど各種ビタミン類が豊富で、カリウムやカルシウムなどのミネラルも多く含まれます。 古くから薬草やハーブとしても利用され、発熱時などに乾燥した葉をハーブティーとして飲用します。増血作用があり、貧血を予防する効果があるともいわれています。 クレソンの利用方法 Heike Rau/Shutterstock.com クレソンに多く含まれるビタミンCやカリウムは水に溶けやすいので、栄養を逃さないためには、肉の付け合わせやサラダなど、生で食べるようにします。生食には、葉や柔らかい新芽付近の茎が適しています。 ほかにサッと茹でておひたしにしたり、スープや天ぷら、ソースなどにも利用できます。たくさん収穫した場合は、炒め物にするのがおすすめです。 クレソンの栽培12カ月カレンダー 種まき:4月中旬~5月植え付け:4~6月、9月肥料:4~6月、9月中旬~10月収穫:6月以降 クレソンの栽培環境 COULANGES/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりがよく、湿った場所が適します。半水生植物で、乾燥に弱いため、頻繁に水やりできる場所で必ず育ててください。水田に植えると手間がかかりません。 暑さにやや弱く、夏に直射日光に当てると生育が衰えやすいです。風通しのよい明るい日陰に置いて育てれば、夏でも葉を収穫できます。 間のびしますが、1年中室内でも栽培可能です。葉焼けしにくい11月~翌年3月は、窓際に置いてよく日光に当てるとよいでしょう。 土壌 アルカリ性の土壌を好み、強い酸性土壌は嫌います。軽度の連作障害があるので、同じ場所で1年は栽培しないほうがよいです。 生育温度 生育温度の目安は5~30℃です。涼しい気候を好み、15~20℃が生育適温です。春と秋に最もよく育ちます。 冬越し 北海道などの寒冷地でも、ひどく凍結しなければ、春に芽が出てきます。冬でも流れのある川では、越冬しやすいです。5℃以上を保つと生育を続けます。 クレソンの種まき teleginatania/Shutterstock.com 種まきの適期 苗が多く必要な場合は、種まきから育てるとよいでしょう。発芽適温は10~30℃で、4月中旬~5月が種まきの適期です。2カ月後の6月中旬以降が収穫の目安となります。 種まきの方法 乾燥を嫌うので、育苗箱に用土を入れて種まきします。用土は種まき用の配合土か、赤玉土小粒と川砂を等量ずつ混ぜたものなどを使います。種子をばらまきして、軽く隠れる程度に覆土してください。クレソンの種子はやや小さく流れやすいので、水やりは底面から吸水させるとよいでしょう。発芽まで、5~10日かかります。 本葉が4~5枚になったら、3号ポットに1~2株鉢上げしてください。 クレソンの挿し芽 21 Phukao/Shutterstock.com 茎を10~15cm切り、新しい葉を2~3枚残して水挿しすると、簡単に発根します。葉が多いと水分不足になり、下葉が枯れます。短く切った茎は、湿らせたキッチンペーパーなどの上に置けば、よく発根します。 春と秋が挿し芽の適期ですが、室内の部屋などではあまり時期に関係なく、挿し芽してもよいでしょう。ただし温度が高いと腐るので、夏は直射日光の当たらない明るい日陰か、北側の窓際などに置いてください。また冬に室内でも水が凍結する場合は、避けてください。 クレソンの植え付け Fotema/Shutterstock.com 植え付けの適期は、春の4~6月、秋の9月です。 植え付け2~3週間前に、1㎡当たり堆肥2㎏、苦土石灰80g、化成肥料40gをまいて土づくりをしておきます。 4~5cm以上に育った苗を、株間20cm間隔で植えてください。 クレソンの鉢植え・プランター栽培 wawritto/Shutterstock.com 鉢やプランターでも栽培できます。プランターに植える場合は、深型を用意する必要はありません。65cm角のプランターの場合、3~4株を目安に植えてください。 乾きやすい鉢やプランターは、腰水栽培するのがおすすめです。受け皿となる容器に浅く水を張り、鉢やプランターを置きます。受け皿の水は月1回以上取り替えるようにします。夏に水温が高くなると腐りやすいので、半日陰や遮光下などの涼しい場所で管理してください。 用土 花や野菜に広く使える一般的な培養土か、赤玉小粒7と腐葉土3を混ぜた用土などを使います。 腰水で栽培する場合は、肥沃な用土は避けたほうがよいです。赤玉土小粒と川砂を等量、さらにくん炭を1割程度配合した用土などを使います。 クレソンの簡易的な水耕栽培 NPvancheng55/Shutterstock.com クレソンは水耕栽培がおすすめです。コップやペットボトルなどに茎を入れておくだけでも栽培できます。ただし夏は腐りやすいので、水替えはこまめに行ってください。 ザルなどを用意して簡易的な水耕栽培装置を作ると、手間がかからず多くの葉が収穫できます。クレソンの苗と目の細かいザル、ザルの受け皿となるプラスチック製などの容器、砂利を用意します。ザルに砂利を5~10cmほど敷き詰めて苗を植え、容器にザルをセットします。容器に水を入れ、ザルの底の部分が水に浸かるようにします。水を月1回入れ替えるだけでよく育ちます。ただし夏に水温が高くなりやすい場合は、水替えの頻度を増やしましょう。 クレソンの育て方 avoferten/Shutterstock.com 水やり 水分を多く必要とするので、春と秋は土の表面が乾いてきたら水やりしてください。自動灌水装置などで定期的に水やりするようにすると、手間がかかりません。 肥料 生育期の4~6月、9月中旬~10月に、有機配合化成肥料を月1回与えると生育が旺盛になります。または液体肥料を10日に1回、小さな苗は15日に1回与えます。 水耕栽培では肥料を与えなくても育ちますが、よく生育させたい場合は肥料を与えます。液体肥料を月に1~2回、やや控えめに与えてください。温度が高い時期に液体肥料の濃度が高いと、根が傷みやすいです。 病害虫 家庭菜園などでは、病害虫の被害は少ないです。 ただし、新芽付近にアブラムシが発生したり、黒いイモムシのようなカブラハバチの幼虫によって葉が食害されることがあります。密植して風通しが悪かったり、日照不足や多肥などで軟弱気味に育つと、発生しやすいです。多く発生した場合は、適用のある薬剤で防除します。クレソンに使用できる薬剤は、モスピラン顆粒水溶剤やスピノエース顆粒水和剤などがあります。 クレソンの収穫 Lotus Images/Shutterstock.com 花の咲く前が最も美味といわれます。花が咲くと茎が硬くなるので、花芽は摘み取るとよいでしょう。 先端部分を10cmほど切って収穫します。先端を切っても、脇芽がよく伸びてきます。 夏は明るい日陰などの涼しい場所に置けば生育するので、収穫できます。また、冬は5℃以上を保てば生育するので、鉢植えを室内の窓際に置けば収穫可能です。なお、寒さにあたると辛味が強くなります。 クレソンの栽培ポイント Hawk777/Shutterstock.com 日当たりのよい場所を好む 夏は明るい日陰などの涼しい場所に置く 冬は室内で管理すると葉を収穫できる 乾燥に弱い 挿し芽で簡単に増える 水生植物なので、水耕栽培がおすすめ 栽培のポイントを知れば、クレソンの栽培は非常に簡単です。特に水耕栽培はあまり手間をかけずに、多くの収穫が期待できます。室内で栽培可能なのも魅力です。手持ちのビンやペットボトル、イチゴパックなど、工夫次第でさまざまな容器で栽培できます。 また、食材として購入したクレソンの余った茎などからも、簡単に根が出てきます。どんどん増えて成長する様子を眺めても楽しめるので、窓辺やキッチンなどでクレソンの栽培に挑戦してみてください。
-
観葉・インドアグリーン

吊して飾ると可愛さ倍増! 子株が増えてお得な植物「オリヅルラン」の種類と育て方
オリヅルランの基本情報 TuktaBaby/Shutterstock.com 植物名:オリヅルラン学名:Chlorophytum comosum英名:スパイダープラント和名:オリヅルラン(折鶴蘭)科名:キジカクシ科(クサスギカズラ科)属名:オリヅルラン属原産地:熱帯アフリカ、アフリカ南部形態:多年草 オリヅルランの仲間は、アフリカやアジア、オーストラリアの熱帯地域に約200種が知られています。栽培されるのは主に葉に白斑が入る品種で、葉の中央に斑が入る‘ピクチュラタム’が多く流通します。また斑の入らない緑葉のオリヅルランも流通しています。 観葉植物としてミニ~中型の鉢植えとして育てるほか、吊り鉢にするとランナーの先に子株を付けた姿がユニークで、人目を引きます。子株がたくさん発生するので、増やすのも簡単です。 屋外では花壇の前面に植えたり、寄せ植えに使ったりとさまざまな方法で育てることができます。移植にも強いので、地植えした株は冬前に掘り上げて鉢植えにすれば、室内で容易に越冬します。 オリヅルランの葉や花の特徴・性質 Julio Rivalta/Shutterstock.com 園芸分類 観葉植物、熱帯植物開花時期:通年草丈:10~50cm耐寒性: やや弱い耐暑性:強い花色:白 茎は伸びず葉は放射状に伸び、その姿からスパイダープラントの英名があります。葉は柔らかくて細長く、20~50cmの長さで先端はとがっています。株元からランナー(匍匐茎)と呼ばれる茎を伸ばして白い小花を咲かせ、その先に子株を付けます。 環境適応性が高く丈夫なので、初心者でも育てやすいです。病害虫の被害は少なく乾燥に強いため、手間もかかりません。冬は室内に置けば容易に越冬します。 オリヅルランの仲間・園芸品種 オリヅルラン ‘ピクチュラタム’ Chlorophytum comosum ‘ Picturatum’ t50/Shutterstock.com 白い中斑が鮮明に入る美しい品種で、流通量が多いです。ランナーはやや出にくい傾向があります。 オリヅルラン ‘ボニー’ Chlorophytum comosum ‘Bonnie’ ArtCreationsDesignPhoto/Shutterstock.com ピクチュラタムの突然変異による品種です。葉先がカールした、ユニークな株姿が魅力です。限られたスペースに置く観葉植物に最適です。 ソトフオリヅルラン(外斑折鶴蘭) Chlorophytum comosum ‘Variegatum’ KPG-Payless2/Shutterstock.com 葉の外側に斑が入る品種で、葉はやや硬く性質は丈夫です。 ヒロハオリヅルラン Chlorophytum capense fotosenukas/Shutterstock.com 南アフリカのケープ州原産で、名前のとおり葉の幅が広いです。斑入り葉の品種が出回りますが、流通は少ないです。存在感のある緑のインテリアが楽しめます。 シャムオリヅルラン Chlorophytum laxum ‘Bichetii’ Endah Kurnia P/Shutterstock.com インドチョウラン(印度蝶蘭)の別名があり、アフリカからアラビア半島、インドから中国、北オーストラリアにかけての広い地域が原産です。オリヅルランと比較すると、ランナーを出さず、コンパクトな株姿で、性質が弱いです。また強い直射日光に当てると葉焼けしやすいので、明るい日陰で育てます。冬の低温時は休眠するため、断水して室内で冬越しさせてください。繁殖は株分けで行います。 クロロフィツム ‘グリーンオレンジ’ Chlorophytum orchidastrum 'Green Orange' Zulashai/Shutterstock.com 西アフリカからザンビアにかけてのアフリカ熱帯地域が原産で、株元付近が鮮やかなオレンジ色になります。草丈40cm、株幅60cmほどの大きさまで育ちます。強い直射日光を避けた明るい日陰に置き、最低温度を5℃以上に保つように管理してください。類似した品種に‘プリンセスメイベル’ (Princess Mabel)があり、日本でも流通しています。 クロロフィツム ‘スターライト’ Chlorophytum saundersiae 'Starlight' 南アフリカ原産のサンデルシーの園芸品種で、葉は細長くクリーム色の斑が入ります。草丈100cmほどになり、グラス類のような雰囲気がある常緑多年草です。根は太くならず、やや湿り気のある場所を好みます。夏から秋に枝が長く伸び、白い小花をたくさん咲かせます。オリヅルランより寒さに強く、冬越しの最低温度の目安はマイナス8℃で、関東地方の多くの地域では屋外で越冬します。 オリヅルランの栽培12カ月カレンダー 植え付け適期:5~9月植え替え適期:5~9月肥料:5~10月入手時期:4〜10月 オリヅルランの栽培環境 GreenThumbShots/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 環境への適応性が高く、日なた~明るい日陰で育てることができます。ただし暗い場所で長期間育てると葉が細くなり、数も少なくなります。また葉が柔らかく張りがなくなり、葉が寝たような姿になります。 春から秋は風通しのよい屋外の日なたで育てるとよいでしょう。ただし夏の猛暑時に強い直射日光に当たると、葉焼けすることがあります。厳しい暑さが続く時は、西日が当たらないようにすると安心です。 Bozhena Melnyk/Shutterstock.com 暗い場所から急に直射日光に当てると葉焼けするので注意してください。室内に置かれていた鉢植えを入手した場合は、日陰に適応しています。強い直射日光は避け、夏は明るい日陰、春と秋は明るい日陰から半日陰の場所に置いてください。 生育温度 10~30℃が生育温度の目安ですが、夏の猛暑時にも半日陰に置けば弱りません。葉焼けを防ぐには夏の強い直射日光は避けたほうがよいですが、比較的猛暑にも強いです。 株姿を美しく保つには、冬は室内の日当たりのよい場所で育てます。マイナス3℃程度の低温に耐えますが、葉はほとんど枯れてしまいます。関東地方南部や都心部などでは、水はけのよい場所なら地植えでも地下部は越冬し、春に再び葉が出てきます。 オリヅルランの育て方・日常の手入れ 水やり Simplylesia/Shutterstock.com 根が太く水分を蓄えるので、乾燥には比較的強いです。春から秋は鉢土の表面が乾いたら水を与え、冬は乾かし気味に管理します。温度が低い時期に常に用土を湿らせていると根腐れするので注意してください。 日当たりのよい場所で鉢いっぱいに葉を茂らせている株は、夏は乾きやすいので、夏の晴れた日は毎日水やりしてください。 肥料 5〜10月に、3要素(チッ素・リン酸・カリ)が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。 オリヅルランの植え替え・植え付け Olla Yakovleva/Shutterstock.com 生育が旺盛で根詰まりしやすいので、1~2年に1回は植え替えてください。 1~2回り大きな鉢に植え替える場合 根鉢を1/4程度、底の部分をくずして落とし、新しい用土で植えます。作業は4月下旬~10月に行ってください。10月に植え替えた場合、作業後は室内で管理してください。 同じ鉢に植え替える場合 株分けを兼ねて植え替えます。ハサミなどで2~3株に切り分け、根を軽くほぐして土も少し落とします。葉を1/4程度、外側の葉から切って落とし、同じサイズの鉢に新しい用土で植えます。夏に植え替えした場合は、作業後2~3週間は明るい日陰に置くとよいでしょう。作業の適期は5~9月です。 増やし方 子株を切って植えれば、簡単に増やすことができます。ランナーを2cmほど残して切り、ポット鉢などに植えます。5号鉢に4~5株寄せ植えしてもよいでしょう。寄せ植えした場合は、1~2カ月で観賞できるようになります。 用土 清潔で排水性のよい用土が適しますが、比較的用土を選ばずよく生育します。室内ではピートモスを主体とした用土が清潔でおすすめです。配合例としては、赤玉土5:ピートモス3:軽石2など。また、観葉植物用の培養土も手軽に使うことができます。 屋外でプランターなどに植え付ける場合は、草花用に広く使える一般的な培養土でよいでしょう。 花壇・プランターなどへの植え付け Nadya Buyanowa/Shutterstock.com 日なた~明るい日陰の水はけのよい場所に植え付けます。5~9月に作業ができますが、夏に行う場合は明るい日陰~半日陰に植え付け、根付くまで十分に水やりしてください。 植え付けた株は10月中に鉢に植え替え、室内で越冬させれば、翌年も利用できます。また子株を水挿しして、室内で観賞しながら冬越しさせるのもおすすめです。 オリヅルランの栽培ポイント fotosenukas/Shutterstock.com 日なた~明るい日陰に置ける 吊り鉢は子株がたくさん付いた株姿が楽しい 乾燥に強い 子株で容易に増やせる 関東地方南部では地上部は枯れるが、屋外で越冬することがある 根詰まりしやすいので、植え替えを1~2年に1回行う オリヅルランは丈夫で栽培しやすく、手間もかかりません。増やすのも簡単で、園芸のさまざまなシーンで重宝する植物です。栽培のコツを覚え、長く育てて立派な株姿を楽しんでください。




















