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【人気の庭木】トキワマンサクの育て方

【人気の庭木】トキワマンサクの育て方

リボンのような可愛い花が、春に株いっぱいに咲くトキワマンサク。なかでも銅葉で赤花の品種は人気が高く、家庭の庭にもよく植えられています。常緑の葉は密に茂り性質も丈夫なので、生け垣にもよく使われています。近年はさらに魅力的な品種が登場し、注目度が高まっています。この記事では、トキワマンサクの特徴や楽しみ方、育て方や剪定の方法などを栽培のプロが詳しく解説します。

トキワマンサクの基本情報

トキワマンサク
Federico Magonio/Shutterstock.com

植物名:トキワマンサク
学名:Loropetalum chinense
英名:Chinese Fringe Flower
和名:トキワマンサク(常盤万作)
科名:マンサク科
属名:トキワマンサク属
原産地:日本、中国、アッサム州(インド)、タイ、台湾
形態:常緑低木

春に、リボンのような小花が株全体を覆うように咲く花木です。葉は常緑で、カラーリーフや斑入り葉の品種は、花がない時期も楽しめます。小さな葉は密に茂るので目隠しの効果が高く、生け垣にもよく利用されます。病害虫の被害も少なく、初心者でも育てやすい樹木です。

トキワマンサクの仲間は、中国や東南アジア、日本に4種が知られています。従来の白花のほか、赤い花の変種のベニバナトキワマンサクが出回るようになって人気が上昇しました。近年は魅力的な園芸品種が多く作り出され、銅葉や斑入り葉、2色の咲き分けの品種などもあります。また樹形は直立性のものから、鉢植えやグラウンドカバーになる矮性の品種までさまざまあります。品種や用途が非常に広いのもトキワマンサクの魅力です。

トキワマンサクの特徴・性質

トキワマンサク
Scisetti Alfio/Shutterstock.com

園芸分類:花木、庭木
開花時期:4~5月
樹高:3~4m
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:ピンク、赤、白

葉に産毛があり、軍手などに付きやすいです。花芽は夏にでき、翌年の4~5月に開花します。開花期は株いっぱいに花が咲き、見事な美しさです。ただし開花後にたくさん花が落ちて目立ちます。

温暖な気候を好むので寒さにはやや弱く、寒冷地の植栽には向きません。日照や乾燥には適応性が高く、比較的場所を選ばず植えることができます。

剪定しなくても樹形は自然にまとまりやすいです。ただし樹勢が強いので、強めに剪定しないと肥大しやすい傾向があります。剪定に強く、刈り込んでさまざまな形に仕立てることができます。

トキワマンサクの用途・楽しみ方

従来の白花のトキワマンサクとベニバナトキワマンサクは、花色や葉色が違うので印象も変わります。白花種とベニバナ種に分けて解説します。

トキワマンサクの白花種

白花のトキワマンサク
simona pavan/Shutterstock.com

黄緑色の明るい葉色と白い花の対比が爽やかな印象です。和風の庭をはじめ、いろいろな雰囲気の庭に調和しやすいでしょう。ナチュラルで明るい庭にしたい場合にもおすすめです。

ベニバナトキワマンサク

ベニバナトキワマンサク
Primi2/Shutterstock.com

紅色の花が美しく、人目をよく引きます。存在感のある美しさで人気が高く、目立つ場所でのシンボルツリーにも最適です。多く流通している銅葉の品種は、花のない時期でも大人っぽいおしゃれな雰囲気があります。秋には葉が部分的に紅葉する美しい姿も楽しむことができます。洋風の庭によく似合います。

白花種に比べると、寒さにやや弱い傾向があります。

トキワマンサクの品種

七彩

ベニバナトキワマンサクの園芸品種で、緑の葉に白や桃色、紫色などの斑が入ります。季節により葉色の変化も楽しめます。ほかに葉色が楽しめるものとして、美しい紅色の斑が入る「紅彩」という品種もあります。

花吹雪

白と赤の異なる花色が一緒に開花する、咲き分け品種です。株が小さなうちは白色が出やすい傾向があります。

紅姫

ベニバナトキワマンサクの極矮性品種で、葉は銅葉です。枝が這うように横に伸びるので、グラウンドカバーにも利用できるでしょう。

‘ルビースノー’

樹高50cmほどの矮性品種で、花は白花です。葉も若いうちは、強く赤みを帯びます。

トキワマンサクの栽培12カ月カレンダー

植え付け:4~5月、9~10月
植え替え:4~5月、9~10月
肥料:2月、9月
入手時期:通年
挿し木時期:6~8月

トキワマンサクの栽培環境

トキワマンサク
tamu1500/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

日当たりのよい場所が適しますが、明るい日陰でも育ちます。乾燥しやすい場所でも、比較的よく育ちます。

日陰では花が咲かなくなり、葉の艶は増しますが葉数は少なくなります。また樹形も乱れがちで、病害虫も発生しやすくなります。カラーリーフの品種は、日陰では葉の発色が悪くなります。

生育温度

温暖な気候が適し、厳しい寒さは嫌います。15~30℃が生育に適した気温です。夏の暑さで弱ることは少ないです。ただし鉢栽培の場合、日当たりがよいコンクリートの上などに直接置いてしまうと、夏には40℃以上の高温になって葉焼けすることがあります。

冬の耐寒温度はマイナス5~マイナス7℃なので、関東地方北部から東北地方や北海道などの寒冷地の地植えには向きません。寒冷地では、冬は鉢植えにして室内で越冬させます。

トキワマンサクの植え付け・植え替え

トキワマンサク
Itsunfotos/Shutterstock.com

庭への植え付け

春の4~5月、秋の9~10月が、植え付けの適期です。花を多く咲かせたい場合は、日当たりのよい場所に植えます。冬の冷たい北風がよく当たる場所は避けてください。

腐葉土などの有機物を十分すき込んで植え付け、支柱を立てて支えます。細い枝は折れやすいので、若い苗木は取り扱いに注意してください。秋に植え付けた場合は株元に敷き藁を施すなど、防寒対策をするとよいでしょう。

鉢植えの植え替え

2年くらいで根詰まりしたら、植え替えてください。春の4~5月か、秋の9~10月に1回り大きな鉢に植えます。

用土

赤玉土小粒7、腐葉土3の一般的な配合の用土を使います。

トキワマンサクの育て方・日常の手入れ

トキワマンサク
simona pavan/Shutterstock.com

水やり

地植えの場合、根付けば水やりは不要です。ただし公道沿いの南側など、乾燥しやすい場所では、夏に過度の乾燥が続く場合は水やりするとよいでしょう。

鉢植えは、表土が乾いたら水やりします。

肥料

地植えの場合は、2月に寒肥として骨粉入り油かすなどを規定量与えるとよいでしょう。成長させたい場合や鉢植えは、9月にも追肥してください。

病害虫

日なたでは、病害虫の発生は比較的少ないです。ただしハマキムシの被害が発生する場合があります。また日照不足の場所ではカイガラムシが発生することがあります。

強い寒さにあうとシミのような傷みが出ることがありますが、病気ではありません。

トキワマンサクの手入れ

トキワマンサク
Kirkam/Shutterstock.com

剪定

放任しても樹形は整いやすいですが、一定の美しい姿を保つには刈り込みなど、適切な手入れが必要です。剪定の適期は、花後の4~5月です。大きくしたくない場合は、強めに刈り込んでください。枝が込み入った場所は、間引いて風通しをよくしてください。

地際から出るひこばえや徒長枝などの直立した太い枝は、根元から随時切るようにしてください。そのまま放っておくと樹形が乱れて密生状態になり、ほかの枝を枯らすことにもなります。

増やし方

6~8月に挿し木で増やします。枝を10cmほど切り、上の部分の葉を2~3枚残して挿し穂とします。小粒の赤玉土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰に置いて乾燥させないように管理してください。

多彩な楽しみ方ができるトキワマンサク

トキワマンサク
Photo/小川恭弘
  • 寒さには強くないので寒冷地の植栽には向かない
  • 花後に剪定する
  • コンパクトに保ちたい場合は、強めに剪定する
  • 樹形を保つには、徒長枝やひこばえを見つけ次第切る

トキワマンサクは、美しい花や紅葉、カラーリーフなどさまざまに楽しめます。日なたでよく咲きますが、明るい日陰でも育ちます。乾燥にも比較的強く、場所を選ばず育てやすいのも魅力です。

矮性の品種は、鉢植えで育てるのもおすすめです。またスタンダード仕立てにした木の根元に、グラウンドカバーとして矮性の銅葉品種を植えてもよいでしょう。花やカラーリーフが美しいおしゃれな雰囲気の赤花種と、爽やかでナチュラルな美しさの白花種があるので、好みによって使い分けてください。

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