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猛暑でも花いっぱいの品種が注目の宿根草!ニーレンベルギアの育て方【プロ直伝】

猛暑でも花いっぱいの品種が注目の宿根草!ニーレンベルギアの育て方【プロ直伝】

Reallyice/Shutterstock.com

ニーレンベルギアはカップ型の可愛い小花がたくさん咲き、明るい景色を作ってくれるガーデンフラワーです。ただし高温多湿に弱く、夏は花数が少なくなりがちですが、近年は暑さに強く、長期間たくさんの花を咲かせる園芸品種の「オーガスタ」が登場。再び人気が高まっています。この記事では現在多く流通している「オーガスタ」を中心に、ニーレンベルギアの特徴や主な仲間、育て方などをプロが解説します。

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ニーレンベルギアの基本情報

ニーレンベルギア

植物名:ニーレンベルギア
学名:Nierembergia
英名:Cup Flower
和名:アマモドキ
科名:ナス科
属名:アマモドキ(ニーレンベルギア)属
原産地:メキシコ、南アメリカ
形態:多年草

ニーレンベルギアの仲間は、ブラジルやアルゼンチン、コロンビアなどの南アメリカとメキシコに、約20種類が分布する多年草、または低木です。カップ状の花は、青色や紫、白色などの花色があり、中央に黄色い目が入ります。背が低くまとまった株姿で、花壇や寄せ植えの前面、ハンギングバスケットなどに最適です。

園芸植物として栽培されるのは、こんもりとドーム状に茂る「セルレア」や匍匐性でマット状に広がる「レペンス」、直立性で背がやや高くなる「スコパリア」などです。近年は交配種の「オーガスタ」が登場して多く流通し、ニーレンベルギアの代表的な存在になっています。

ニーレンベルギアの特徴・性質

ニーレンベルギア
islavicek/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:5〜10月
草丈:3~80cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:普通
花色:白、青、紫、複色

多年草ですが短命で、2~3年で枯れてしまう場合が多いです。葉は小さく細い茎はよく分枝して茂り、繊細な株姿をしています。花径2~3cmの花が多数咲き、初夏から秋まで開花するものが多いです。ただし夏に暑さが厳しいと、開花が少なくなる傾向があります。

乾燥に弱い反面、高温過湿で根腐れしやすいですが、「オーガスタ」は高温多湿に耐えるように改良され、夏も花が咲きやすいです。

ニーレンベルギアの仲間・品種

「オーガスタ」シリーズ Nierembergia Augusta Series

「オーガスタ」シリーズ Nierembergia Augusta Series

丈夫で育てやすく、連続開花性に優れる交配種です。春の早い時期から咲き始め、こんもりとドーム状に茂ります。グラウンドカバーにも最適です。耐寒性はマイナス3℃の最低温度が目安なので、霜がほとんど降りない地域では簡単な防寒対策で越冬します。越冬した株はさらに大きく充実した株姿になり、たくさんの花を咲かせます。

育成者は、サフィニアやカリブラコア、ラグランジアなどを開発した、日本を代表する育種家の坂嵜 潮氏です。今後のさらなる普及が見込まれます。

ニーレンベルギア・セルレア ‘パープル・ローブ’ Nierembergia caerulea ‘Purple Robe’

ニーレンベルギア・セルレア ‘パープル・ローブ’ Nierembergia caerulea ‘Purple Robe’

線形の細い葉をつけ、草丈15~20cmになります。茎はよく分枝し、紫色の花をたくさん咲かせます。過湿に弱いので注意してください。冬はマイナス3℃以上保つようにすると冬越しします。

ニーレンベルギア・レペンス(ギンパイソウ) Nierembergia repens

ニーレンベルギア・レペンス(ギンパイソウ) Nierembergia repens

草丈3cmほどの多年草です。茎は地を這うように伸びてマット状に広がるので、グラウンドカバーに最適です。寒さにも比較的強く、冬はマイナス9℃まで耐えます。根が深く伸びないので、乾燥する場合は水やりしたほうがよいです。

ニーレンベルギア・スコパリア(アマモドキ) Nierembergia scoparia

ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ原産です。茎はよく分岐して亜低木状になり、草丈80cm程度の高さに育ちます。矮性で白い花を咲かせる‘モンテブランコ’ などの品種があります。

ニーレンベルギアの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜10月
植え付け適期:4~6月
植え替え適期:4~7月
肥料:4~10月
挿し木:4~6月と9月

ニーレンベルギアの栽培環境

ニーレンベルギア
islavicek/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

日当たりと風通しのよい場所が適します。最低でも半日以上日光が当たる場所で育ててください。

地植えする場合は、水はけのよい場所に植えるようにしてください。

暑さが厳しく株の調子が悪い鉢植えは、半日陰か明るい日陰の涼しい場所に移動するとよいでしょう。

生育温度

15~30℃がよく生育する温度の目安です。種類や品種によりますが、夏の猛暑時は弱ることがあります。

冬越し

寒さには種類によって耐寒性が変わります。人気の交配種の「オーガスタシリーズ」は、マイナス3℃を目安としてください。他の種類は寒さに強く、マルチングや不織布で覆うなどの簡単な霜除け程度で越冬します。

ニーレンベルギアの育て方・日常の手入れ

ニーレンベルギア
nissia/Shutterstock.com

水やり

鉢植えやプランターは、用土の表面が乾いたら水やりしてください。過湿にすると、立ち枯れ病に罹病することがあります。地植えした場合は、ほぼ必要ありません。

肥料

生育期の4~10月に、緩効性化成肥料などを規定量与えてください。

病害虫

アブラムシが発生することがあります。見つけ次第、薬剤などで防除してください。

ナメクジやカタツムリなどに食害されることがあります。見つけ次第捕殺するか、専用の薬剤で防除します。

立ち枯れ病が発生しないように、風通しよく栽培し、高温多湿にならないよう注意してください。

ニーレンベルギアの手入れ作業

ニーレンベルギア
SHAWRANJAN/Shutterstock.com

植え替え

購入したポット苗は、5~6号鉢に植え替えます。さらに大きな鉢に植替えると、過湿で立ち枯れ病になりやすく、成長も遅くなるので注意してください。最終的に10号くらいの鉢に植え替えます。底が深いタイプの鉢を使う場合は、鉢底石をやや多く入れて排水よくしてください。

植え付け

庭植えする場合は、4~6月に植え付けます。腐葉土などの有機物をすき込んでから植え付けましょう。

用土

肥沃で水はけのよい用土が適します。赤玉土中粒6:腐葉土2:酸度調整済みピートモス2などを混ぜた用土を使います。小株を植え付ける場合、赤玉土は小粒を使ってください。

切り戻し

夏頃に、茎が伸びて花が咲かなくなったら切り戻してください。風通しがよくなり、新しい芽が伸びて花が勢いよく咲きだします。

増やし方

春の4~6月と9月に、挿し木で増やすことができます。枝を5cmほど切り取って、赤玉土や川砂などの清潔な用土に挿します。

※「オーガスタ」は種苗登録法に基づく登録品種です。無断で増殖、譲渡するのは禁止されています。

ニーレンベルギアの栽培ポイント

ニーレンベルギア
  • 日向で育てる
  • 高温多湿に注意
  • 夏頃に伸びたら切り戻す
  • 「オーガスタ」は霜に当てなければ越冬する

流通量は少ないものの、魅力的な性質を備えた「オーガスタ」は今後人気が高まると予想されます。可愛いカップ状の花がたくさん咲き、こんもりした株姿は庭の風景作りにも役立ちます。この記事の情報を頼りに、新しい植物を取り入れてワンランク上のガーデニングを楽しんでください。

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