ガーデンストーリー編集部
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観葉・インドアグリーン

2023年激推し【観葉植物神7】を観葉植物のエキスパートが徹底解説!|観葉植物基礎講座 Vol.5
観葉植物のおさらい 東京都練馬区の大手園芸店「オザキフラワーパーク」が指南し、初心者の方にも分かりやすく観葉植物の魅力を紹介してきた「観葉植物基礎講座」。今回は、同店の観葉植物担当後藤さんに、2023年激推しの観葉植物「神7」をピックアップしてもらいました。 これから観葉植物を購入しようと考えている方はもちろん、さらに増やそうと考えている方も、ぜひご参考に! まずは、観葉植物の基本をおさらいしましょう。 観葉植物とは 一鉢置くだけで部屋の見栄えがワンランク上がることから“インテリアグリーン”とも呼ばれる観葉植物。自宅で管理可能なサイズのものから、オフィスや店舗に置いて見栄えのする大きなものまで、さまざまなタイプのものを選ぶことができます。種類も豊富で、亜熱帯地方の植物を中心にさまざまあり、葉の形や樹形のバリエーションも多彩なため、コレクションする楽しみもあります。 育て方は決して難しくありません。置き場所と水やりの頻度のコツさえつかめば、誰でも簡単に育てることができます。忙しい毎日に癒やしを与えてくれる観葉植物を、ぜひ部屋に加えてみませんか? 観葉植物の栽培に必要な道具と基本の育て方 観葉植物を育てるには以下の10アイテムを使用します。 ①水やりに必要な「ジョウロ」 ②葉水に必要な「霧吹き」 ③植え替えの際に土を盛るための「スコップ」 ④植え替えに必要な「鉢(根腐れを防ぐためにも必ず底穴が空いているものを選びましょう)」 ⑤鉢からもれ出る水が床などを汚さないようにする「受け皿」 ⑥鉢底の穴から害虫の侵入や土の流出を防ぐ効果があり、植え替えの際に最初に鉢に入れる「鉢底ネット」 ⑦鉢内の水はけと通気性を確保するために鉢底ネットの上に敷く「鉢底石」 ⑧植物を植えるための「用土」 ⑨成長に欠かせない「肥料」 ⑩剪定に使う「ハサミ」 この10種類全部揃えるの!? と思うかもしれませんが、全てがマストというわけではありません。販売時のプラスチック鉢のまま育てるのであれば、最初の段階で④〜⑧は特に必要ありませんが、植物は成長するものなので、大きくなれば必要に応じて植え替える必要があります。その時に備え、将来的に一回り大きめの鉢は用意しておいたほうがよいでしょう。また、100円ショップで手に入るものも多いので、初期費用もさほどかかりません。 ただし、土は植物の栄養の源となるため、しっかりとしたものを選ぶのをおすすめします。園芸店で販売している培養土や観葉植物専用土なら問題ありません。 これらのアイテムを用意し、お気に入りの観葉植物を購入したら、あとは基本的な5つのことを実践すれば、観葉植物の基礎知識は完璧です。 基本1:置き場所は直射日光を避け、明るい場所で管理 基本2:水は土の表面が乾いたら鉢底から溢れるくらいたっぷりと 基本3:葉水を与えることで葉の美観を維持 基本4:春〜秋の成長期には肥料を与える 基本5:生い茂ってきたら、成長期に入る前に株全体に光が当たるように剪定する。 ※植物の種類によっては管理方法が異なる場合があるため、詳細は購入店にお問い合わせください。 「オザキフラワーパーク」後藤さん激推しの観葉植物神7 “買える植物園”の異名を持つほど品数豊富な「オザキフラワーパーク」には、日夜多くのお客様が観葉植物を買い求めに来店します。その店内で観葉植物を担当する後藤さん、観葉植物に関する造詣の深さは店内随一! そんな後藤さんに、初心者マストバイの激推し神7をピックアップしていただきました。 神①「フィカス・ベンガレンシス」 【写真の商品】高さ99cm 店頭価格:9,800円(税込) 「永遠の幸せ」という花言葉を持つフィカス・ベンガレンシスは、インドのベンガル地方原産のゴムの木の仲間。くっきりとした葉脈が美しい葉とユニークな樹型が人気の観葉植物です。 おすすめの理由 観葉植物としては定番のゴムの木。その中でも葉が緑色のタイプがフィカス・ベンガレンシスです。くっきりとした葉脈が葉の存在感を高めています。乾燥にも強く、水やりの管理が簡単なため初心者の方にもおすすめです。写真のものは高さも約1mと、どんなスペースにもマッチするちょうどよい大きさです。 育て方のコツ 最適な置き場所は、陽射しがレースのカーテン越しに入ってくる窓辺、あるいは、明るい日陰。直射日光は葉焼けの原因となるため厳禁です。水は土の表面が乾いたら鉢底から出るまでたっぷり与えて育てます。葉の表裏に頻繁に葉水をしてあげると健康な葉に育ちます。 ゴムの木の種類は、幹を切ると切り口から白い樹液が出ます。これが肌に付着すると、体質によっては肌に炎症が生じるおそれがあるため、剪定などで付着した場合は必ず石鹸で洗い流してください。 神②「フィカス・アルテシマ」 【写真の商品】高さ76cm 店頭価格:9,800円(税込) インドや東南アジア原産のフィカス・アルテシマは、樹高がかなり高くなるためラテン語で最も背が高いことを意味する「アルテシマ」と名付けられました。成長も早く、本当に高く伸びるため、天井が高いスペースに向いています。黄色の葉はとてもおしゃれで、部屋を明るくしてくれます。 おすすめの理由 アルテシマにはいろいろな模様の入り方がありますが、こちらは黄色の斑が入る葉のタイプになります。迷彩模様のようなこの色彩は眺めるたびに元気をくれるので、一鉢置けばテンションもあがります。部屋に活気が欲しい方におすすめです! 乾燥に強いため、初心者の方でも簡単に育てられます。写真のものは高さ76cmですが、どんどん伸びていくので成長がとても楽しみな株です。 育て方のコツ 日光が大好きな品種ですが、ベンガレンシス同様に直射日光には弱いので、同様に陽射しがレースのカーテン越しに入ってくる窓辺での管理が適しています。明るい環境で育てることで、葉の美しい模様が維持できます。水やりは土の表面が乾いたタイミングで鉢底からあふれるくらいたっぷりとあげてください。また、葉の表裏に頻繁に葉水をしてあげると健康な葉に育ちます。 ゴムの木の種類は、幹を切ると切り口から白い樹液が出ます。これが肌に付着すると、体質によっては肌に炎症が生じるおそれがあるため、剪定などで付着した場合は必ず石鹸で洗い流してください。 神③「ポトス」 【写真の商品】高さ15cm 店頭価格:680円(税込) 東南アジアのソロモン諸島を原産とするサトイモ科のツル性の植物、ポトス。数多い観葉植物の中でもとても身近な品種ではないでしょうか。クリームイエローの模様が入った美しい葉はまるで絵画のようで、飾る場所を選びません。ツルが旺盛に垂れていくため、ハンギングに最適です。 おすすめの理由 ポトスは、観葉植物の中でもダントツに育てやすいです。つる性の植物なので成長期にはぐんぐん伸びていくため、このツルをどういうふうに仕立てるのかが腕の見せ所であるのと同時に、醍醐味でもあります。ハンギングはもちろん、棚などの高所からツルを垂らしたり、ワイヤーで支柱を作り、ツルを上に這わせるなど、さまざまな方法で楽しめます。 またポトスは種類も多く、写真の商品はゴールデンポトスといって、ポトスの代表的な品種です。この他、単色のポトス・ライムや、大胆な模様のマーブルクイーンなど、集める楽しみもあります。 種類により価格は変わりますが、今回おすすめするゴールデンポトスは680円(税込)とリーズナブルなので、初心者の方におすすめです。 育て方のコツ 耐陰性に富むので日陰でも成長する反面、直射日光には弱く、夏場はわずかな時間直射日光を浴びただけで簡単に葉焼けを起こしてしまいます。管理を行うのに理想的なのは、レースのカーテン越しの明るい場所で、気温が10℃を下回らないように注意してください。 葉の模様は、明るい場所であればあるほど綺麗に出て、暗所で育てると単色になる傾向があります。 水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から出るまでたっぷり与えます。頻繁に葉水をすると葉の色艶が増しますよ! 神④「ペペロミア・ナポリナイツ」 【写真の商品】幅6.5cm 店頭価格:680円(税込) ギリシャ語で胡椒を表す”ペペリ”を語源とするペペロミアは、名称の由来通りコショウの仲間です。熱帯アメリカを中心に、世界中の亜熱帯地域におよそ1,000種が分布し、そのうちの十数種が園芸品種として流通しています。 写真の商品はペペロミア・ナポリナイツという品種ですが、ペペロミア・ベルキダという品種の葉はベトナム料理のスパイスとしても知られています。 おすすめの理由 一目見た瞬間にその可愛らしい葉に惹かれるペペロミア。乾燥に強く、少々渇水気味でも育つため、多忙な方にもおすすめです。光の加減によっては銀色にも輝くこの丸みを帯びた多肉質の葉は、眺めているだけで日々の煩わしさから心を解放し、リラックスさせてくれます。 葉の手触りはぷにぷにしていて、これを触っているだけでも気持ちが和みます。 写真のように、幼葉は裏側が紫色になっていて、表裏で色の違いを楽しめるのも魅力の一つです。ちなみに紫は成長と共に消えていきます。 このタイプ以外にも、丸葉、縮れ葉と種類も豊富なので、集める楽しみも味わえます。価格も680円(税込)と安いため、日々忙しい方は、リラクゼーションの意味も込めて一鉢いかがですか? 育て方のコツ 水が多すぎると不調気味になるので、やや放置気味のほうが失敗を防げます。日当たりを好みますが、直射日光は他の観葉植物同様に葉焼けを起こしてしまうので、直射日光が当たらない、かなり明るい場所で管理してください。また寒さに弱いので、室内の温度が6℃を下回らないようにしてください。 神⑤「サンセベリア」 【写真の商品】高さ35cm 店頭価格:980円(税込) サンセベリアは葉が多肉質なため、水不足で葉がシワシワになってもそう簡単に枯れることはありません。熱帯アフリカなどが原産地で、シュッとした形の葉は、写真のように横縞の入ったタイプをはじめ、単色のタイプなどがあり、好みに応じて色を選べるのも魅力です。 おすすめの理由 とにかく葉がスタイリッシュで、ずっと眺めていても飽きません。この多肉質の葉は、乾燥地帯を生き抜くためにたっぷりと水分を蓄えているために乾燥に強く、水やりの頻度も少なくて良いため、とても育てやすいです。今回おすすめするのはこの横縞の入ったタイプですが、他にも種類が多いので、サンセベリアに特化してコレクションする方も多く、マニア心をくすぐる観葉植物です。 ただ、成長がゆっくりなため、早く大きくしたい方には不向きですが、限られたスペースで美しい葉を長期間にわたって楽しみたい方にはぜひおすすめです。980円(税込)という価格も魅力です。 育て方 多肉質の植物は過湿を嫌うため、春〜秋は竹串などを使い、土の表面のみでなく鉢内の土全体が完全に乾いたことを確認してから、鉢底から溢れるくらいたっぷりと水をあげてください。冬の時期は休眠期になるので、水やりを一切やめて断水します。暖かくなり始めたら徐々に水やりを再開します。 神⑥「モンステラ」 【写真の商品】高さ54cm 店頭価格:2,480円(税込) 熱帯アメリカが原産で、一度見たら忘れない切れ込みの入った葉が特徴のモンステラ。1鉢あるだけで南国気分が楽しめます。観葉植物の中でも1、2を争う人気商品です。昨今は流行りということもあり、店舗やオフィスでも目にする機会も多いのではないでしょうか。 そのダイナミックなフォルムとは裏腹に、じつはツル性の着生植物なんです。原産地では椰子の木などに着生して自生しています。 おすすめの理由 モンステラをおすすめする理由はなんといっても、お部屋に一鉢置くだけで南国気分を味わえること。切れ込みの入った特徴的な葉は、気分だけでなくインテリアのイメージ自体をワンランク上げてくれます。都内の高級ホテルやスパリゾートなどでもモンステラは愛用されているため、その雰囲気を自宅でも楽しめるのも魅力ですね。 大きな株は数万円するものもありますが、写真の株は高さ54cmなので、価格も2,480円(税込)と大変お手頃。葉は、新芽の形のままで成長するため、成長と共に切れ込みの数が増えることはありません。また、新芽の時に切れ込みがなければそのままの形で成長します。 まだ小さな株なので、これからどんどん切れ込みのある葉を生やしていき、ゆくゆくはそれが存在感を増していく過程を楽しむことができる有望株です。 育て方 育て方は決して難しくありません。置き場所は、陽射しがレースのカーテン越しに入ってくる窓辺が理想ですが、耐陰性が高い品種なので、陽射しが弱い部屋でも栽培は可能です。逆に、直射日光は特徴的な葉を葉焼けで台無しにしてしまうおそれがあるため避けてください。 水は土の表面が乾いたら鉢底から出るまでたっぷりと与えます。葉が大きいので、霧吹きで葉水を与えるといきいきとします。成長するにつれて切れ込みのある葉が出てきますが、葉が多くなり過ぎたら支柱で止めたり、剪定も行ってください。 神⑦「ベンジャミン」 【写真の商品】高さ34cm 店頭価格:980円(税込) インドや東南アジア原産のベンジャミンは、オフィスや店舗のインテリアグリーンとしては定番ですね。一般的には写真のようなクリーム色の斑の入ったタイプのものをよく見かけますが、この他にも、葉が波打つものや、くるっとカールしたものなど、さまざまなタイプのベンジャミンがあります。 旺盛に成長するため、好条件下では20mに達することもあるほど元気満々な観葉植物です。 おすすめの理由 ベンジャミンはフィカスの仲間ですが、他のフィカスに比べ幹や枝が柔軟なため、編み込みのタイプや、支柱を立てて誘引せずに、そのままの状態で葉を生い茂らせたボサ仕立てタイプなど、仕立てによって異なる魅力を楽しむことができます。 写真の商品は高さが34cmとまだ若い株のため、思い通りに仕立てて楽しむことができます。もちろんこのまま放置のボサ仕立てでもグングン成長しますよ! スタミナもあるので、長年にわたって共に寄り添える観葉植物です。1,000円でお釣りがくるというコスパのよさも魅力です。 育て方 日当たりを好みますが、直射日光は葉焼けを起こしてしまうため、レースのカーテン越しの窓辺か、明るい日陰の環境で管理しましょう。ただし、あまり暗い場所で管理すると、葉を大量に落としてしまうため、基本は明るい場所での管理を心がけてください。また、環境の変化に敏感なため、慣れ親しんだ場所から移動すると葉を落とす場合がありますが、新しい環境に適応すればまた新芽が出てくるので、その場合は様子を見てください。 水は土の表面が乾いたら鉢底から溢れ出るまでたっぷり与えます。たまに葉水をしてあげると葉のコンディションを良好に保つことができます。環境が合えば葉を旺盛に出してくれますが、茂り過ぎたら剪定して風通しを良くしましょう。 観葉植物が枯れた? と思った時の対処法 ここで紹介した7つの商品に共通するのは、直射日光は厳禁ということ。これはこの神7に限らず、多くの観葉植物にいえることですが、観葉植物の多くは熱帯雨林の地表付近で、背の高い樹木の間からの木漏れ日を頼りに自生しています。このため、強烈な日光を浴びてしまうと葉焼けを起こしてしまうのです。 葉焼けした葉は細胞組織が破壊され、光合成を行うことができなくなってしまいます。多くの葉が葉焼けし、光合成の効率が悪くなれば、自ずと株全体にダメージが広がってしまいます。また、葉焼け以外でも、乾燥により葉が枯れてしまうこともあります。 万一、葉焼けや乾燥で葉が枯れた場合は、枯れた葉をカットしてから、しばらくの間日陰で管理しましょう。根が生きていれば、また新芽が出てくるので、その時まで要観察です。 根が生きているかどうかの確認は、株の根本を見て、黒く変色していなければ大概の場合は大丈夫です。 取材担当後記 今回挙げていただいた7種類の観葉植物は、比較的メジャーなものが多いので、見たことがある方は多いのではないでしょうか。 私も最近、ふと街の店舗に目をやる際は、どんな観葉植物が置いてあるのか探すようになってしまいました(笑)。その結果、飲食店はポトスやサンセベリア、ヘアサロンはフィカス系、カーディーラーはモンステラ、がそれぞれ多いことに気づきました。 このことから、紹介した神7の観葉植物たちがどんな雰囲気で飾られているかを見たいとき、意外にもそれは普段自分が立ち寄るお店など、身近な場所で見ることができ、そしてそこに飾り方のヒントが隠されているかもしれませんよ。このように、観葉植物って私たちの生活にとても身近で、そして街のいたるところでインテリアとの融合を研究できるんだなと思いました。 皆さんもぜひ、ここで挙げた神7が街の中でどう飾られているか見つけてみてください。新しい発見があるかもしれません。 さて、オザキフラワーパークでは観葉植物のどんな些細な質問でも常時受け付けてくれます。スタッフの皆さんがお客様一人ひとりの、今日の「分からない」を明日の「楽しみ」に変えるお手伝いをしてくれるので、この機会にぜひ観葉植物の世界に足を踏み入れてみてください!
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ガーデニング

【プロが解説】枯れた? 枯れてない? 園芸の冬のお悩み解決します!
園芸、冬への備えは万全ですか? 植物を育てているとさまざまな問題にぶつかりますが、冬越しに関するお悩みは、この時期とても多く耳にします。育てている植物は冬を越せるのか、越すためにはどうすればよいのか、購入時に聞いとけばよかった…という経験は誰でもあると思います。今回は、そんな園芸の冬の対策に関するお悩みを、当連載でもうお馴染みの、街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」の関ヨシカズさんに解決していただきます。 今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺) 今回も読者の皆さんのお悩みに答えていただいた『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される、地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、植物の四季に精通した園芸のエキスパート。お店には花を買い求めるお客様だけでなく、四季折々のお悩みを関さんに相談しようと、大変多くの方々が来店。今回の皆さんからいただいた冬のお悩みにも分かりやすく答えてくれます。さて、今回はどんなお悩みが寄せられているのでしょうか? さっそく関さんに伺ってみましょう。 【お悩み1】ぺチュニア、ニチニチソウ、ハナキリンの冬越しについて教えて! ぺチュニアやニチニチソウなどを冬越しさせるかどうか、悩んでいます。 また、ハナキリンの冬越しの仕方について教えてください。(九州・沖縄 50代 女性) 関さんの答え そもそもの話になってしまいますが、ぺチュニアもニチニチソウも一年草です。まぁ正確には両方とも多年草ですが、日本の冬を越せないため、日本では一年草という扱いなんです。ぺチュニアは春の花、ニチニチソウは夏の花なので、それぞれの時期に楽しんでいただき、冬はサヨウナラをしてください。 でも、質問者さんは九州・沖縄地方にお住まいということで、九州・沖縄地方の冬が氷点下になるイメージはないから、意外とぺチュニアやニチニチソウも外で冬越しできるかも…。 とはいうものの、10℃を切るようなら、室内の暖かいところで管理してください。ただ、冬を越すためには、管理の場所がどこであれ、花期が終わる11月くらいに、株の体力を温存するための剪定を行わなければなりません。時期的に今年はもう遅いので諦めて、来年再び植えて冬越しにチャレンジされてはいかがでしょう? ハナキリンに関してですが、ハナキリンは多肉植物のユーフォルビア属なので、寒さに反応して落葉します。ここで落葉しても枯れたとは思わず、室内に取り込んで管理してください。 落葉しない場合は、お住まいの地域的には、冬の寒さに徐々に慣らしてあげれば外での冬越しも可能かと思います。ただし気温が5℃に迫るようなら、室内に取り込んだほうが安全です。 室内に取り込んだあとは、こまめな管理が肝心となります。水をあげすぎないように、とことん乾かし気味に管理してください。冬は活動が鈍る時期なので、水やりは土の表面が乾いてから、さらに4〜5日経ってからあげるくらいのほうが理想的かな。とにかく土の湿り具合を毎日でもチェックしたほうがいいですね。そういうタイミングってね、植物がちゃんと教えくれるんだよね。 【お悩み2】クレマチスを同じ鉢に植え替えたいです! クレマチスの鉢植えに関してです。根がパンパンなので植え替えをしなければならないのですが、そのまま同じ鉢に植え替えたいです。クレマチスは根を切らないようにと聞いたことがありますが、切っても大丈夫でしょうか? (近畿 50代 女性) 関さんの答え う〜ん、根がパンパンなら、本来は鉢増し(一回りくらい大きい鉢に植え替えること)をしたほうがいいんだけど、それができず、同じ鉢に植え替えたいということは、お気に入りの鉢に植えている、ということなのかな? いずれにせよ、根がパンパンの状態で同じ鉢に戻すのなら、それは根を切るしか方法はないと思いますよ。ただ、クレマチスの根の特性上、質問者さんのおっしゃる通り、切るのはかなり危険です。それでもどうしてもと言うのであれば、これは賭けになりますが、株を鉢からあげて、外側のほうから中心に向けて尻すぼみになっていくように刈り込んでください。最終的に下図のようになる感じでしょうか。 その後同じ鉢に戻せば、根玉が小さくなっている分、鉢を大きくしたのと同じ意味合いになるので、そんなイメージでやってみてください。 カットの仕方ですが、生きている根を刈り込めばどんな植物でも危険が伴うので、慎重に。それこそ赤子を起こさないように…という感覚で、古い土を落として、黒くなっている根は除去しながら、前述のような形を作っていきましょう。 あと、根を切る時期も重要です。クレマチスは春〜秋が季節の花なので、その時期に切ると確実に駄目になります。やるとしたら2月下旬から3月上旬あたりでしょうね。お住まいの地域は近畿なので、その時期でよいと思います。 何度も言うようですが、鉢増しという方法を取らずに根を切るという手段を取るのであれば、せっかく育てたものが駄目になるリスクがあることだけは心に留めておいてください。 植物のことを考えるのであれば、まぁいろいろと事情があるとは思いますが、僕は鉢増しを強くおすすめします。 かく言う僕も、まだ知識も浅かった昔の話ですが、同じキンポウゲ科で根が弱いクリスマスローズの根をガッツリと切って、同じ鉢に植え直したら、枯らしてしまった経験があるんですよ。まぁ失敗も経験のうちとは言いますが、生きている植物相手ですから、失敗しないに越したことはないですよね! 【お悩み3】庭が日陰のため、秋冬は植物が育ちません! 住宅街で庭が三方向から壁で囲まれた状態なので、ほとんど日陰か半日陰です。基本的に秋冬は日向を好む植物は育ちません。日向で育てなきゃいけないものは、いったんベランダで育苗し、春になってから庭に植え替えます。宿根草の日陰向きの植物を植えたりもしますが、全体的に花つきは悪いです。(関東 50代 女性) 関さんの答え これは“そういう環境で育つ植物にはどんなものがありますか?” という質問なのかな? もしそうなのであれば、秋冬は夏と違って植物は温度を保ちたいので、特に太陽を必要としています。それで宿根草とかも駄目になっちゃうと思うんだけど…。まぁ、パッと思いつくのは、クリスマスローズぐらいかなぁ。クリスマスローズは日陰や半日陰でもスクスクと育つ“冬の植物”なので、試してみてはいかがでしょう? あとは、マンションとかの植え込みにもよく使われるヤブランなんかは寒さ暗さにも強く、酷な環境でも綺麗な花を咲かせます。ただ花期が夏なんで、毎年夏を楽しみに、っていう感じ。 あとは、う〜ん、ユキワリソウなんかは「雪割草」と書くように、冬場は雪に埋もれていても春になれば残雪を押し除けてちゃんと花を咲かせるので、質問者さんのお庭の環境に向いているかも。 【お悩み4】知人に託されたアネモネの球根を冬越しさせたいです 引っ越しされるご近所さんに託されたアネモネの球根を植えているのですが、葉は立派ですが花が咲きませんでした。来年花を咲かせるために、この冬の管理をどうすればよいでしょうか? ちなみに我が家の庭は、一日中太陽が当たります。玄関側は午前中のみ日が当たり、北風が吹きつけ、雪が積もることもあります。(近畿 60代 女性) 関さんの答え アネモネは秋植えなので、冬の管理というより、どちらかというと夏の管理のほうが重要なんですよ。アネモネは、秋に球根を植えると、根っこを張って、冬に葉を出し、春にかけて花が咲き、夏に休眠する、というサイクルです。 つまり、休眠期の夏の管理をミスると、その次の年の植え時に球根が痩せちゃうんですよ。葉をつけて、子孫を残すために花を咲かせて…という、植物にとって一番パワーが必要な時期にエネルギーがない状態になってしまうんです。だから冬の管理ではなくて、葉っぱと花が咲き終わった後の球根をどう太らせるか、そこが最も重要なんです。これはアネモネに限らず、チューリップもヒヤシンスも、球根類は基本的に夏の管理が重要になってくるんです。 ただね、難易度が高いんですよ。チューリップなんて毎年球根をリサイクルしてる人もいますが、芽は出るものの花が咲かない、咲いても貧弱、というパターンはかなり多いんです。簡単なのは水仙くらいかな・・・。 アネモネのあの梅干しみたいな小さな球根を太らせるためには、花が散った直後にあげる肥料、つまり「お礼肥」が必要です。 【お礼肥とは】 植物がたくさんの果実や花を付けた後に、豊かな恵みを与えてくれた感謝の気持ちを込めて、果樹は収穫後、花や木は花落ち後に肥料をあげることを「お礼肥」といいます。お礼肥には意味があり、結実や開花で消費したスタミナを回復させる効果があります。 やり方ですが、球根は花が落ちてもすぐにカットせず、葉しかないその状態の時に肥料をあげてください。葉は光合成のために残しておく必要があります。残しておいた葉もやがてシワクチャの状態になり、全部が黄色くなって枯れていきますが、その時までハサミを入れないでください。その状態になるまでにどれだけ肥料をあげられるかがカギとなってくるので、そこをミスると次回の開花は期待できません。花が落ちた後の葉だけの状態のときの施肥が、球根リサイクル成功のキモとなるんですよ。 球根を託した方は、毎年咲くのを楽しみにされていたと思うので、託されたほうとしては、やっぱり休眠期の管理をしっかりやらないと、同じ想いは共有できないと思います。 落花後にうまいこと肥料をあげて球根を大きくし、引っ越しされた方に「咲いたよ!」って写真が送れたら、お互いにハッピーですね! でも、僕だったらスパっと新しい球根を買って植えちゃいますが(笑)。 【お悩み5】ラベンダーミントをこんもりと育てたい! ラベンダーミントを鉢植えで育てていますが、伸びすぎて困っております。上にばかり伸びず、こんもりと育てるにはどうしたらよいでしょうか? (東北 60代 女性) 関さんの答え これは剪定しかないですね。要は“収穫するための剪定”っていう意味合いではなくて、“よく育てるための剪定”が必要です。冬の寒さが増してくる前にやっておいたほうがよいでしょう。 街路樹とかも、年末になるとよくクレーンを使ってやってますよね。あれは別に伸びすぎて邪魔だからという理由で剪定しているのではなく、植物のために切っているんです。切ることにより、吸収した養分を効率的に使えるようになり、寒い冬を耐え抜くスタミナをつけ、次の成長につなげるんです。 ハーブの場合、剪定は同時に収穫をするっていう意味合いになるから、伸びた分はどんどん剪定して収穫を楽しみましょう。 カットの方法ですが、これは映像の中で説明しますね。つたない絵ですが・・・。 【お悩み6】「耐寒」と明記されているラベンダーなのに、うまく冬越しできません! 「耐寒」と明記してあっても、ラベンダーを枯らしたり花を咲かせることができないのはなぜでしょうか? 2階南側のベランダでプランターで栽培していました。 ちなみに、土を総取っ替えせずに一部掘って、購入時の土のまま入れて馴染ませていますが、古い土と混ざるのはよくないのでしょうか? (近畿 50代 女性) 関さんの答え これは、なんていうか、枯れていないんじゃないかなぁ。 「耐寒」とあるものでも、とありますが、耐寒性=常緑ではないんで、そこはもしかしたら、ちょっと認識の違いがあるかもしれませんね。 要は、宿根草と多年草の言葉の違いもあるんですが、最初にそのあたりを簡単に説明しますね。毎年楽しむことができる多年草は2種類あって、そのうちの一つ、ローズマリーのように、葉が四季を通して常緑の植物を「多年草」といいます。そしてもう一つが、土の中で根は生きているけど、葉を落として、一見して枯れたような状態になって冬越しする植物。これを「宿根草」といいます。ラベンダーは種類にもよりますが、多くは前者の「多年草」に属します。ただ、多年草といっても、お住まいの近畿のエリアが、京都や兵庫の北部や山間部に近いところだった場合、都市部に比べて寒さも厳しいと思うので、ラベンダーは株の更新のために冬に落葉することがあります。なので、それを見て枯れたと勘違いされた可能性も考えられますね。 商品タグとかに記載してある“耐寒”に関しては、「枯れたような状態になるけど、実際は根が生きているので、枯れずに冬越ししますよ」という意味なんです。なので、一度、枯れたと思っていたラベンダーの幹を切ってみてください。 本当に枯れている幹はカッサカサな感じがして、ハサミを使わないでも指で簡単に折れ、切り口も乾燥しています。 しかし、生きている幹はどことなくしなやかで、切り口には繊維感もあり、水っ気も感じられます。何よりも指では折れませんし。 その辺をチェックして、落葉しても春までは諦めずに、そうだなぁ、3〜4月ぐらいまで待って音沙汰なしだったら、それは本当に枯れてるって判断すればいいんじゃないかな。 まぁ、ちゃんと暖かくなれば芽が出てくるんで、そこで判断したほうがいいかなと思いますよ。意外かもしれませんが、ラベンダーは草本ではなく常緑樹の仲間なので、強いですから。 花を咲かせないというのは、肥料とかの問題もあると思うので、そこはちゃんとね、花に効くような、ウチでもよく売れている『リンカリ肥料』や、普通のチッソ(N)、リン酸(P)、カリ(K)の比率が10-10-10や8-8-8などの化成肥料とかを使って、花に栄養を与えてあげれば咲いてくれると思います。 あと、ラベンダーは高温多湿を嫌うので、水のあげすぎには十分気をつけてください。もしかしたら、それで枯れた可能性もあるのかな・・・? ちなみに土に関してですが、古い土と混ぜるのは特に問題ないですよ。 【お悩み7】鉢植えのグラス類の越冬の仕方を教えて! 鉢植えのグラス類の越冬の仕方がよく分からなくて、去年は枯らしてしまいました。 (関東 60代 女性) 関さんの答え グラス類もたくさん種類があり、一年草もあれば多年草もあります。なので、何を育てているかによりますが、多くのグラス類は宿根草で、冬場は上部は枯れても根は生きているものが多いんです。なので、【お悩み6】のラベンダーの質問者さん同様、去年枯らしたというものが、地上部だけを見て、枯れたと判断されてしまった可能性もありますね。 もちろん、本当に枯れている可能性もあるけど、僕が直接見られるわけではないので、何とも言えないですが、一度根を上げてみて、根の端のほうを切ってみてください。本当に枯れていれば切り口に水気は無いですが、枯れていなければ水気があるはずです。 お住まいの関東も広いので、例えば群馬の比較的標高の高いエリアで、極寒の環境下にずっと置いておいたとか、雪がずっと乗ったままだったとかだと、完全に枯れる可能性もあるでしょう。ただ前述のように、宿根草は、地上に出ている部分は冬になれば必ず枯れ、根が生きていれば春を待たずしてなんらかの動きを見せるものなので、とりあえず春先ぐらいまでは様子を見てはいかがでしょう? 関さんから愛のメッセージ 植物にとって、耐えなければならない季節「冬」。春夏と元気だった植物が、冬になると元気をなくすのは、それは生き物なので止むを得ないことです。人間も冬になると活動が停滞しがちですからね。人間は「寒いよ〜」と言葉を発することができますが、植物は寒くても、それを人間みたいに言葉で発することができない分、葉を紅葉させたり落としたりして、周囲に自分の状況を知らせています。大事なのは、そこに目を向け、耳を澄まし、植物がなぜ今そんな状況なのかを知ることだと思います。せっかく来年の春のために準備している彼らを、枯れたんだな、と誤解して捨てちゃったら、それはとても悲劇ですよね。 植物たちが生きる時間軸で物事を考えた場合、性急な判断というのは、時に後味の悪い結果をもたらすことがあります。それを避けるためには学びも必要だと思うし、それはとても貴重な学びであり、“戦い”でもあるんだよね。 読者の皆さん、よいお年を! おわりに担当編集より というわけで、皆さん、冬のお悩みは解決しましたか? 最後にお馴染みのフレーズをいただきましたが(笑)関さんがおっしゃるように、植物の分類とそのライフサイクルをちゃんと知らないと、いろいろと誤解も生じてしまいます。でも今は、インターネットが当たり前の時代。ガーデンストーリーとしては、こうして皆さんにお悩み解決の場を利用していただき、それが誤解やお悩みの解消につながったら、最高に嬉しいです。 ただ、取材を通して毎回感心するのは、ネット上では見つけられない、関さんが経験から得た貴重な知識や生の情報の数々。皆さんも、ネットの情報に加え、最寄りの園芸店ともっと懇意にされてはいかがでしょうか? 関さんのお店には、取材の最中もお客様がたくさんお見えでしたが、訊かれると丁寧にいろいろお話ししている関さんを見ていて、あぁ、お客様が大好きなんだなぁと思ってしまいました。話術は関さん流ですが(笑)。 さて、今年始まったこの企画ですが、ガーデンストーリーでは来年も引き続き関さんにさまざまな質問をぶつけていきます。乞うご期待です! Merry Christmas! & Happy New year! 植物に関するお悩み募集中! 植物を育てる上でのお悩みを募集しています。お寄せいただいたお悩みは、こちらの連載『街の園芸店がお悩みを解決!』にて、園芸のプロが丁寧に回答してくれるかもしれません。 ※取り上げるお悩みは編集部にて選定させていただきます。お答えできない場合もございますので、ご了承ください。 お悩み入力フォームはこちら↓↓ https://forms.gle/vi7LXzPMD51Qgb5g9 取材協力 フラワーガーデン セキ 東京都目黒区中町2-39-15 電話:03-3712-3230 ※現在(2024年5月)一時休業中。新店舗にて再開次第お知らせいたします。 Credit 取材・文/ガーデンストーリー編集部
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観葉植物は【ハンギングプランター】でワンランク上の空間を楽しむ!|観葉基礎講座Vol.4
ハンギングプランターってどんなものなの? ハンギングプランターは、カーテンレールやダクトレールなどに植物を吊り下げて楽しむ園芸のおしゃれ技。たくさんの緑が空中に浮かぶ様子は、まるでジャングルのよう。また一鉢吊すだけでも、お部屋がとてもスタイリッシュになります。 吊り下げるだけでなく、ベランダの壁やフェンスに引っ掛けて、屋外で楽しむこともできます。 ハンギングプランターを楽しむための道具 吊り鉢 吊り鉢は、ハンギング用の鉢にフック付きのハンギングパーツがあらかじめ付いているため、そのまま植えて吊せます。 鉢の素材は、写真のようなプラスチックをはじめ、テラコッタ、陶器、ブリキ、鉄、銅などさまざまで、形もお椀型やスクエア型など種類がたくさん。 【バスケット素材のハンギング】 バスケット素材のハンギングは、鉢植えを中に入れて使うアイテムで、鉢カバーの役目も果たします。籐や椰子などの自然素材を編み込んだタイプのものは、温かみがあって大人気です。 【ワイヤーバスケット】 椰子の繊維で作られたヤシマットを敷いて使うワイヤーバスケットは、通気性がよいため、多肉植物のハンギングに向いています。ただし、ヤシマットは通気性が“よすぎる”ため、水切れがとても早いので、植える植物によっては注意が必要です。 【ハンギングはペットのいるご家庭でも有効】 ペットにとって危険なコーデックスなどを育てる場合、植物をペットの手の届かないところに配置する意味でもハンギングは有効です。 ハンギングロープ ハンギングロープは、そのままでは吊せない普通の鉢を吊すために用います。シンプルな麻ひもや綿ひも製、またそれらをおしゃれに編み込んだマクラメタイプのもの、ブリキや銅製のチェーンタイプのものなど、さまざまな素材から選べます。 【ハンギングロープは自分で作ることもできます】 ハンギングロープはさまざまな素材を使い、自分で作ることもできます。編集部のスタッフも、綿ひもをマクラメ編みした自作ハンギングロープで観葉植物を楽しんでいます。 ハンギングフック ハンギングフックは、カーテンレールや、ダクトレールなどに物を吊すための器具で、S字フックともいいます。 鉄製やステンレス製のものが多く、プラスチック製のものもありますが、鉢は土が水を含めば重量も増すため、耐久性の面からもプラスチック製のものはおすすめしません。 ハンギングロープに写真(上)のようなフックが付いていれば、基本的にハンギングフックは不要ですが、引っ掛ける場所とサイズが合わない場合は、ハンギングフックで調整することも可能です。 プラントホルダー ハンギングは吊すだけではありません。プラントホルダーを使えば、壁やフェンス、ベランダの手すりなどに引っ掛けて楽しむことができます。 ハンギングにおすすめの植物 アイビー(ヘデラ) ハンギングプランターのアイコン的存在のアイビー(別名へデラ)は、屋内はもちろん屋外でも楽しめる万能選手。ヨーロッパやアジア西部にかけ幅広く分布し、耐寒温度がマイナス2℃のため、欧州の比較的寒い地域でも雨だけでどんどん育つタフな植物です。その生命力の強さと、そう思わせないおしゃれなルックスが相まって、観葉植物初心者にも大人気です。 どの園芸店でもハンギングしたいと相談されれば、まず最初にアイビーをおすすめするのではないでしょうか。また、品種改良も頻繁に行われているため、市場では色や形などさまざまな種類のアイビーに出会うことができ、そんな選べる楽しみもアイビーの魅力の一つです。 アイビーのツルはとても旺盛に伸びていくため、おしゃれな樹形を維持するためには剪定が必須となります。むしろ剪定しつつ、ツルを巻いたりどこかに引っ掛けたりして楽しむのがヘデラの醍醐味。ハンギング入門者にもおすすめです! 【ヘデラとアイビー】 園芸店よっては学名のヘデラで販売されていますが、基本的に同じもの。アイビーはヘデラの英語での正式名称コモン・アイビーを由来としています。 ポトス ポトスは東南アジアのソロモン諸島を原産とするサトイモ科のツル性の植物。おしゃれなカフェやオフィスに飾られていることも多いので、それを見て自分も育ててみたいと思った方は多いのではないでしょうか。ツルは旺盛に下に垂れて伸びるため、ハンギングに最適な観葉植物です。 しかし原産地でのポトスは、鬱蒼としたジャングルの地面付近に自生し、他の樹木に気根(地上の幹や茎から出た根)を巻き付かせながら上に伸びていきます。ゆえに耐陰性に富み、逆に直射日光には弱いんです。レースのカーテン越しの明るい場所で、気温が10℃を下回らないように管理すれば、容易に育てることができます。 ちなみに、ポトスって意外にもたくさん種類があり、私たちが最も多く目にする緑の葉にクリームイエローの模様の入ったものは黄金カズラというものなんです。他にもポトスライムやマーブルクイーンなどさまざまな種類があるので、園芸店巡りをするのも楽しいですね。 ホヤ ガガイモ科のツル性植物ホヤは、東南アジアやオセアニアの亜熱帯地域に広く分布し、自生地では他の樹木や岩場に着生しながら成長し、最大で18mにまでなるというとてもタフな植物です。多肉質で可愛らしい葉が特徴ですが、一番の推しは、なんといっても可愛い花。肉厚の花びらにはワックスを塗ったような艶があるため、海外ではワックスプラントとも呼ばれています。 花からは、高貴なフレグランスのような、甘くスパイシーな香りが漂います。 ホヤにはたくさんの種類があり、品種によって葉や花の形状や色もさまざま。またホヤ自体、市場での流通量が決して多いわけではないので、興味がある方は見つけたら即買いがおすすめです。 育て方も他のハンギング植物同様、直射日光を避け、レースのカーテン越しの明るい場所で、気温が10℃以下にならないように、水やりは用土が乾いたらたっぷりと、といった感じで、初心者でも容易に育てられます。 ちなみに、この貝みたいなホヤという名前の由来は、著名な植物学者ロバート・ブラウン氏により、彼の友人でもあり、18~19世紀に活躍した英国の著名なガーデナー、トーマス・ホイ氏を讃え、その名にちなんで命名されました。 フィロデンドロン 中南米が原産のフィロデンドロンは、種類が650にも上り大変多いことでも知られています。日本で販売されている園芸品種は限られているものの、多くのバリエーションを持つ葉の美しさから、フィロデンドロンを中心に収集しているコレクターもいます。 とにかく葉が美しいので、園芸店では入荷するたびにすぐに売れてしまう人気品種です。 耐陰性もあり、基本的な育て方はポトスと同じですが、品種によっては葉の発色のために、長時間日光浴(真夏の直射日光はNG)させたほうがいいものもあるので、購入時に確認しておきましょう。 余談ですが、学名はギリシャ語のフィレオ(友愛、兄弟愛の)デンドロン(木)を意味することから、風水的にも人気なのだとか。その辺りの詳細は風水師にお尋ねください。 リプサリス ハンギングできるサボテンとして人気のリプサリス。さまざまな種類がありますが、特に人気なのは、上写真のひものような摩訶不思議な形のリプサリス。これは茎が変化したものなのです(普通のサボテンも胴体の部分は茎なんですよ!)。私たちが日頃抱いているサボテンのイメージとは異なるため、購入時にサボテンと知って驚く人も多いです。 リプサリスは熱帯雨林に自生するため「森林性サボテン」とも呼ばれています。サボテンといってもトゲはなく、ただひものような茎がどんどん生えていきます。そして品種により異なりますが、成長すると春頃に白や黄、オレンジ、ピンクの花を咲かせ、自家受粉した後に写真のような赤い実がなります(実は白い場合もあります)。 育て方は、普通の夏成長型のサボテンと同じで、水やりは春から夏の生育期は用土が乾いたらたっぷりと、秋から徐々に控えて、冬は月に1回、湿らす程度、という感じです。ただ、耐陰性が強い分、強い日差しに弱いので、半日陰くらいのところでの栽培が適しています。まさにハンギングのためのサボテンですね。 シダ類 シダというと、恐竜時代から変わらぬ姿で鬱蒼とした森に生えている、というイメージを持つ人も多いと思いますが、実は観葉植物としても大人気で、特にハンギングプランターとしての人気が高いんです。人類よりも遥かに長い歴史を生き抜いてきたため、熱帯のどの地域でも見ることができ、種類も大変豊富。私たちがハンギングで楽しむ園芸種としては、昨今インテリアグリーンとして大人気のビカクシダ(コウモリラン)などを筆頭に、ボストンファーンとしても知られているツルシダ科のネフロレピス・ペンジュラなどが人気です。 育て方は種類によって異なりますが、基本的に高温多湿を好むため、冬場は気温が10℃以下にならないよう、また水切れにも注意して育てる必要があります。育て方に慣れてくるとコレクションしたくなるのがシダの魅力(魔力?)。スタイリッシュにシダ類がハンギングされたシーンは、一度はやってみたいと憧れている人も多くいます。 ハンギングプランターの管理のしかた 最適な設置場所 【室内】 直射日光による「葉焼け」を防ぐためにレースのカーテン越しの明るい場所で、エアコンの風が直接当たらないように管理してください。エアコンの風は植物を必要以上に乾燥させ、根から吸い上げた水分を葉から蒸発させる「蒸散作用」に悪影響を与え、葉がだんだん黄色に変色してしまいます。そもそも植物は代謝のために古い葉を黄色くして落としていきますが、あまりにもそれが顕著な場合はエアコンの風を疑い、管理場所を移動させたほうがよいかもしれません。室内でのハンギングの場合、この点に特に注意が必要です。 【屋外】 夏場は直射日光が当たりすぎず、風通しのよい環境が最適です。また、エアコンの室外機から出る風の影響がない場所を選びましょう。 冬場は日当たりのよい場所に置き、種類によっては、夜間が氷点下になる場合や降雪時には室内に取り込みましょう。冬の管理は、植物の種類により耐寒温度が異なるので、ネットなどで確認するか、購入した園芸店に尋ねてみるのもよいでしょう。 用土 市販の観葉植物専用の用土、あるいはハンギング専用土を使います。リプサリスなどのサボテンには多肉用培養土も使用できます。 水やり・葉水 水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。 室内に飾っている場合は、ベランダや庭、あるいはお風呂場で行い、水が鉢底から出なくなったら定位置に戻すとよいでしょう。 受け皿つきでハンギングしている場合は、受け皿に水が溜まったままだと根腐れを起こしてしまうため、溜まった水はすぐに捨てましょう。 葉水は毎日でもOKです。特に室内は乾燥しやすいため、葉水をすることでホコリやハダニが付着するのを予防できます。 剪定 長く伸びてしまった葉や茎は、剪定しても大丈夫です。ただし、観葉植物は種類によっては切り口から垂れてくる液体により皮膚がただれる場合があるので、手袋をするか、剪定後は手をしっかりと洗ってください。 肥料及び活力剤 春から秋の時期に、『マグアンプK』などの遅効性肥料を置き肥として土の表面に置いてあげるとよいでしょう。『マグアンプK』以外の肥料は、種類によってはあげすぎたり、直接植物に触れると肥料焼けを起こす場合があるので、置き肥は幹から遠い鉢の縁に置くことをおすすめします。 水やりの際に、2〜3回に1回の割合で植物活力剤『メネデール』を規定量希釈して与えると、葉の瑞々しさや、植物自体のスタミナ増強効果が期待できます。 植え替え 植物の成長に合わせ、2〜3年に1回は、1〜2回り大きい鉢への植え替えをおすすめします。水やりの際に水をなかなか吸わなかったり、鉢底から根が飛び出してきたら、それは植え替えのサインです。 オザキフラワーパークのおすすめコーディネート5選 今回お話を伺ったオザキフラワーパーク観葉植物担の後藤さんに、どんなお部屋にもマッチする、おすすめのハンギングコーディネートを選んでいただきました。 コーディネート①:【ポトス】 【POINT】 白と黒のツートーンカラーの麻ひも製ハンギングロープの黒の部分に、耐陰性が強く初心者の方でも育てやすいポトスを入れた同色のアートストーンポットを合わせてみました。ポトスの葉色がとても映える仕立てになっています。ポトスは成長するにつれて下に垂れていくので、徐々に大胆な雰囲気へと変化していく様子を楽しめます。ただ成長が早いので、あまりにも伸びすぎた場合は、強めの剪定をしてスッキリさせることができます。こんなに切って大丈夫かな? というくらい切っても、またすぐに伸びてくるので大丈夫です。 伸びたツルを巻いたり、他のものに巻き付かせたり、思い通りに形を作れるのがポトスの魅力です。価格がお手頃なのもいいですね。 コーディネート②:【オキシカルジウム・ブラジル】 【POINT】 サトイモ科の植物オキシカルジウム・ブラジルを、シンプルに編み込まれたハンギングカバーで吊ってみました。網目感のある鉢カバー部分は細かい仕事が施されていて、ダークカラーの割には優しい雰囲気を醸し出しています。またそのコントラストが、葉に入った斑の美しさを際立たせます。 オキシカルジウム・ブラジルはポトス同様に育てやすく、滴形のおしゃれな葉は葉水が大好きなので、毎日の葉水で喜ばせてあげましょう。 コーディネート③:【アイビー】 【POINT】 ハンギングの定番アイビーは、王道のシンプルな白いハンギングカバーが似合います。吊り具部分が同色のチェーン状なので、ひも製のものよりも品のよい高級感があります。また、アイビーの紋章のような形の葉がその雰囲気をさらに強め、全体的にハイセンスな仕立てになっています。アイビーの葉っておしゃれですよね! この葉の形に惹かれて買っていかれるお客様も多いんです。でも、乾燥するとハダニが発生しやすいので、こまめに葉水をしてあげるとよいでしょう。 コーディネート④:【リプサリス・エリプティカ】 【POINT】 ハンギングで大人気のリプサリス。平べったくギザギザした葉のような茎「葉状茎」が特徴のエリプティカ種を、黒い楕円フレームのハンギングカバーに入れて、コンテンポラリーな雰囲気の中にもアメリカンガーデンを感じられるような仕立てにしてみました。他のリプサリス同様、花を咲かせた後に実がつくので、そんな移ろいも楽しむことができます。風通しのよい場所で乾燥気味に育ててください。もちろん、エアコンの風はNG ですよ。 コーディネート⑤:【ホヤ・ロシータ】 【POINT】 白いサークルパイプの中で植物が浮いているように見せる、ちょっと遊び心のあるハンギング。旺盛に伸びるツルがお部屋をスタイリッシュにアップグレードするホヤ・ロシータを楽しげな感じに仕立ててみました。前述のようにホヤ属は流通量が少なく、中でもロシータは特に希少性が高いので、ある意味出会えたらラッキーな植物かもしれません。 我ながらこの組み合わせはいいですねぇ(笑)。おすすめです! ハンギングおしゃれ図鑑 お部屋をスタイリッシュに見せるハンギング。インスタグラムで#ハンギングと検索をかけると、その投稿数はなんと6.2万!。英語で#hangingplantsと入れると、その数はさらに膨れ上がり48.1万件にもなります!。 世のハンギンングマスターたちは、いったいどんな風にハンギングを楽しんでいるのか気になりますよね。そんな巷のハンギングを、ちょっとのぞいてみましょう! おわりに いかがでしたか? ハンギングプランター特集。ハンギングプランターをおしゃれに飾りたいけど、やり方がイマイチ分からずに手が出せないという方も多かったのではないでしょうか。この記事でご紹介しているちょっとしたコツを掴めば、もう簡単。雑誌やテレビで見たような、ワンランク上の理想の空間を手に入れることができます。 今回この記事のためにInstagramに投稿されているいろんな方のハンギングプランターを拝見したのですが、植物の選び方、アイテムの選び方、飾り方、どれをとっても勉強になるものばかりでした。植物によってその表情がガラッと変わるハンギングプランター、あなたは何をハンギングしますか? さて、オザキフラワーパークでは観葉植物のどんな些細な質問でも常時受け付けてくれます。スタッフの皆さんがお客様一人ひとりの、今日の「分からない」を明日の「楽しみ」に変えるお手伝いをしてくれるので、この機会にぜひ観葉植物の世界に足を踏み入れてみてください!
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園芸にまつわる資格って何がある? 園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
活躍してます! 園芸資格 園芸に関する資格には、園芸業界で仕事をしている方もそうでない方もチャレンジできるさまざまなものがあります。 特集「活躍してます! 園芸資格」では、資格受験の補助制度や社内検定など、熱心な社員教育を制度化しているユニバーサル園芸社の取り組みと、一般の方も挑戦できるものを含む3つの園芸資格をピックアップしてご紹介しています。 実力を可視化しモチベーションもアップ! ユニバーサル園芸社の社員教育 レンタルグリーン事業をはじめ、園芸店・インテリアグリーン専門店の運営、造園業なども行うユニバーサル園芸社では、社員が国家資格などを取得する際にかかる費用に対して補助制度を設けています。 補助制度の対象となる資格は、小型移動式クレーンの運転免許、造園技能士、造園施工管理技士、グリーンアドバイザー、ガーデンデザイナー、エクステリアデザイナー、樹木医などなど…。中でも同社が特に力を入れているのが、園芸装飾技能士です。社内の有資格者では、一級園芸装飾技能士所持者が最も多く、管理業務など現場に出ない社員でも持っている人がいるほど。 資格を持つことで、お客様から注目していただけたり、安心していただけること、また社員同士でも刺激を与え合えること、一定の実力が評価されて目に見えることで、社員のモチベーションアップにもつながっていることなど、よい影響が出ているそうです。 また、独自の社内検定も設けていて、毎年1回、人によっては2カ月に1回の頻度で行われています。初級のDランクから、超上級のSSSランクまでの7段階があり、Dランクは直径30cm程度の鉢を使った寄せ植え、上にいくほど作品の規模が大きくなり、SSSランクでは大きなディスプレイや庭園とも呼べる規模の作品に挑戦します。SSSランクに上り詰めた社員はまだ2人しかいないとのこと。規模の大きい作品を作る場合は、一般公開もしています。 現場に携わらない人も含め、社員全員が「園芸」に取り組み、学び続ける姿勢づくりが、ユニバーサル園芸社の信頼にもつながっているといえます。 資格紹介1:“園芸の精通者”に授与される「グリーンアドバイザー」 「グリーンアドバイザー」は、園芸の指導者としてふさわしい知識を身につけていることを認める資格です。資格取得者の力を借りて家庭園芸の普及活動をすることを目的に、公益社団法人日本家庭園芸普及協会が1992年に始めました。 資格取得には、専用テキストと動画による講習を受けた後、筆記試験を受け、試験合格後に資格登録手続きを行います。 現在、グリーンアドバイザーは約1万1千人。資格取得者は、園芸講師や園芸相談をはじめ、幅広く活躍しています。記事では、29年前にグリーンアドバイザーの資格を取得した埼玉グリーンアドバイザーの会会長・杉浦啓泰さんの活動内容などもご紹介しています。 〈資格情報〉 試験期間:毎年9月ごろ 資格要件:不問 試験方法:筆記 会場:未定 受講・受験料:一般40,700円他 ※2022年度時点 グリーンアドバイザー紹介ページ:https://www.kateiengei.or.jp/greenadviser/ 資格紹介2:制作技術と基礎知識を有することを証明する「ハンギングバスケットマスター」 「ハンギングバスケットマスター」は、一般社団法人日本ハンギングバスケット協会が主催する資格です。ハンギングバスケット、コンテナガーデンなどの制作技術と園芸の基礎知識を有すると認められた人に与えられます。 各地にあるハンギングバスケットマスター支部仲間と、花のまちづくりや子どもたちへの花育、地域の行催事に参加するなど、資格を活用して活動の幅を広げることができます。 記事では、園芸、エクステリア施工店のAnnes garden(愛知県日進市)を営む武島由美子さんに、資格取得に至った経緯や、その後の資格の生かし方などについてうかがっています。 〈資格情報〉 試験期間:年1回 資格要件:園芸実務1年以上、園芸学校卒業など(要確認) 試験方法:筆記、実技 会場:全国4カ所 受験料:20,000円(税込) ※2022年度時点 日本ハンギングバスケット協会公式ウェブサイト:https://www.jhbs.jp/ 資格紹介3:観葉植物の知識を有することを証明する「グリーンマスター」 一般社団法人日本インドア・グリーン協会が主催する「グリーンマスター」は、観葉植物の名前や特性、管理の知識を有する人に与えられる資格。観葉植物レンタルなどを展開する企業や、園芸店・花屋のスタッフ、園芸学校の学生など園芸業界関係者はもちろん、一般の人も受けられる、園芸の入門としておすすめの資格です。 試験は、園芸関係者を中心に一般の人も含め、毎年約100人が受験。シンプルに植物の名前、特性、管理など、植物を扱ううえで必須の知識が問われます。 記事では、屋内緑化と庭のメンテナンスなどの事業を展開する追分農園(静岡市清水区)代表・持舘幸弘さんに、資格の業務への役立て方などを伺っています。 〈資格情報〉 試験期間:年1回 秋 資格要件:不問 試験方法:筆記 会場:全国14カ所 受験料:10,000円(税込)他 ※2022年度時点 グリーンマスター認定試験公式ウェブサイト:https://greenmaster.jp/ ルポルタージュ店舗〜ラブリーガーデン〜 全国の園芸店をご紹介する連載「ルポルタージュ店舗」。今回は、ガーデンストーリーでもおなじみ、鳥取県米子市の『ラブリーガーデン』をピックアップしています。 “バラと宿根草と園芸雑貨”をメインにラインアップしている同店。イングリッシュガーデンの中に店舗があるような癒やし空間には、ベテランの園芸愛好家が多く訪れます。 代表の安酸友昭(やすかたともあき)さんは、店舗運営のほか、造園・メンテナンス業も請け負っています。専門学校で学んだ後、地元の造園業者のもとでの修行を経て、さらなる技術を習得するためイギリスへ渡ったという安酸さん。2000年に帰国後、ガーデナーとして個人で仕事を始めた頃、植物調達に訪れていた園芸店で現店長の関聡子さんと出会い、「庭がある園芸店をつくりたい」と意気投合。2006年にラブリーガーデンをオープンしました。 安酸さんが造園を手がける庭の中でも最も有名なのが、同じ米子市にあり、ガーデンストーリーでも幾度となく取り上げている「面谷内科・循環器内科クリニック」の庭。ガーデンセラピーを意識して作られ、バラの季節にはクリニックの前一面にバラが咲き誇ります。 この記事では、センスあふれるクリニックの庭を事例としてご紹介しながら、安酸さん、関さんお二人の園芸店への想い、悩みなど、園芸店を運営する側の視点からお話を伺っています。 世界のグリーンインフラについて各国の事情を解説 今号の第一特集は、「世界のグリーンインフラ」と題し、日本、アメリカ、シンガポール、中国、韓国、ヨーロッパのグリーンインフラ事情に詳しい方々からの寄稿を掲載しています。 グリーンインフラ(GI)は、「社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組」と国土交通省によって定義されています。近年の例でいうと、東京都杉並区を流れる善福寺川沿いの和田堀公園に1983年に整備された調整池や、新横浜スタジアムが建つ鶴見川多目的遊水地が2019年の台風19号上陸の際に治水機能を発揮したことなどが、グリーンインフラと同等の取り組みとして挙げられますが、昨今、改めて「グリーンインフラ推進」が注目されています。 記事では、以下の国々の事例をご紹介しています。 アメリカにおける、水辺の自然と人をつなぐ「リバーリング・プロジェクト」 シンガポールにおける住宅地内に完成した近自然型河川を含む都市公園「ビシャン・アンモキパーク」の事例 中国における最前線の緑化事例 韓国・ソウルにおける「ガーデニング支援センター」等グリーンインフラへの取り組み ヨーロッパのグリーンインフラの源流となるエストニアの事例 専門的な内容ではありますが、グリーンインフラを実現した各国の事例写真は、見ているだけで植物と共存することの意義やパワーを感じられ、一見の価値ありです。 今号は全国の園芸店掲載の別冊付き! このほか、『グリーン情報』11月号では、欧州の老舗園芸用品ブランド『ガルデナ』の紹介や、エクステリアガーデンの現場で働く人たちからの最新情報、生産者紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。また創刊500号を記念して、全国の園芸店名簿付きの別冊「創刊500号記念誌」もついています。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓ ショップページはこちら。 https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/ Credit ガーデンストーリー編集部
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花と緑

【オリーブ】育て方を徹底解説! 専門家おすすめの人気オリーブ7選|観葉植物基礎講座Vol.3(後編)
オリーブを知るための5つのポイント 観葉植物基礎講座Vol.3オリーブ編。前半では、オリーブってどんな植物? どうやって育てるの? についてご紹介しましたが、後半に行く前に、まずは前半を簡単におさらいしましょう。 【オリーブを知るための5つのポイント】 オリーブは地中海地方原産のおしゃれな植物。 オリーブにはいくつもの種類があり、樹形は「直立型」と「開帳型」に分かれる。 オリーブには「自家受粉タイプ」と「他家受粉タイプ」があるが、いずれも結実には複数の品種で管理することが望ましい。 オリーブは日光を十分に当てて、外で管理する。 オリーブは剪定が肝心。 前半で説明したこの5つのポイントを知っていれば、もうオリーブ通になったようなもの。 さて後編では、今回の企画でお話を伺った「オザキフラワーパーク」の佐藤さんに、おすすめのオリーブをご紹介していただきます。 オリーブのスペシャリストがおすすめするオリーブ7選 店頭に並ぶさまざまな種類のオリーブ。そのどれもが、オリーブに情熱を傾けている生産者が手塩にかけたものばかり。今回の取材でご協力いただいたオリーブのスペシャリスト、「オザキフラワーパーク」の佐藤さんに、おすすめのオリーブを紹介していただきました。 ピクアル(スペイン原産) スペイン原産のピクアルは、1本で実がつく自家受粉タイプ。結実すると、お馴染みのオリーブグリーンの実と、赤紫色の実の両方がつきます。白味がかった葉も特徴的です。直立型で真っ直ぐ上に伸びやすい品種なので、あまり場所を取らないような樹形を探している方にはおすすめです。このオリーブオリーブした色味は当店でも大人気で、僕もイチオシです。 価格は8,900円(税込)です。 ミッション(アメリカ原産) 米国カリフォルニア生まれのミッションは、枝がバナナみたいに斜めにしなって上に伸びるため、あまり剪定をしなくても、上に真っ直ぐの直立型の姿をとどめてくれるのが特徴です。管理もしやすく、綺麗な薄い緑色の幹に細長くスタイリッシュな無数の葉がついている姿に惹かれるファンは多く、「オザキフラワーパーク」でもよく売れています。ただし、結実するためには異なる品種が必要となる他家受粉タイプのため、相性のよいネバディロブランコを側に置いておくのがおすすめ。価格も9,800円(税込)と、手が届きやすいのも魅力です。 このミッションを手掛ける香川県の生産者「SOUJU」は、一般に販売されているオリーブに比べて小さめの鉢で仕立てるのが特徴です。その理由は、購入したお客様が2回りぐらい大きい鉢に植え替えてちょうどいいサイズになるように考えているから。お客様目線の理由からなんですが、あえて小さくしている分、水はけがよく、水枯れしやすいので注意が必要です。 ネバディロブランコ(スペイン原産) オリーブオイルの原料として知られているスペイン原産のネバディロブランコは、柔らかい緑色の葉が特徴で、小さい実が付きやすい品種です。開帳型なので、樹形としては横にボリュームが出やすい特徴があります。そのため、背丈をあまり伸ばしたくない人にはおすすめです。 花の数も花粉量も多く、また開花期が長いため、他品種の中にネバディロブランコを1本入れることにより、ほかの木の受粉量が飛躍的に上がり、全ての木に実が付きやすくなります。そのため、結実のための受粉木としてネバディロブランコを買う人も多いですね。ちなみに、ネバディロブランコは他家受粉タイプなので、ネバディロブランコに実をつけたい場合も、他の品種を近くに置く必要があります。 ミッション同様「SOUJU」が手がけたものなので、オザキのネバディロは全て幹が太く、しっかりとした樹形がお客様から支持されています。 価格は4,500円(税込)です。 オリーミー(ミッション&ネバディロブランコ) ネバディロブランコにミッションを接木して作られたオリーミー。「SOUJU」が登録商標を持つオリジナルの品種です。もともと相性のよい2品種なので、これを繋げ、お互いが受粉し合うことによる自家受粉タイプにしてしまうなんて、オリーブを知り尽くした「SOUJU」ならではのアイデアですね。 自宅のスペースが限られていて、2品種を置くとなるとちょっと、という方にはとてもおすすめです。ただし、価格が35,000円と少々高めですが、この大きさの異品種を2〜3本買うよりは断然お得です。 オリーミーのもう一つの魅力は、もともと香川県で盆栽を生産していた「SOUJU」ならではのその樹形。というのも、「SOUJU」が拠を構える香川県は盆栽の産地として有名で、特色として地植えした盆栽を鉢上げする文化があり、その技術をオリーブに用いているのです。つまり、オリーミーは普通のオリーブと違い、丹精込めて樹形を作り込んだ盆栽型なんです。ゆえに値段も高め。ただ、最初の形がここまでよいと、後々の形もさらによくなっていくんですよ。 綿密に計算して作られた樹形はひと目見ただけで、ほかのオリーブとは何かが違うという雰囲気が漂います。これはぜひ店頭に見に来ていただきたいですね。花付きもすごくよいので、条件によっては200〜300個の実の収穫も可能です。まさにオリーブ好きを唸らせるオリーブだと思います。当店には、オリーミーの入荷に合わせて地方からわざわざ買いにくるお客様もいるほどなんです。 【オリーミーに関する佐藤さんの説明をこちらで聞くことができます】 ※オリーミーは今回は限定10鉢のみの入荷となっているので、興味のある方は事前にお店にお問い合わせください。 シプレッシーノ(イタリア原産) シチリア島に多く自生しているシプレッシーノは、1本で実がつく自家受粉タイプのオリーブ。数あるオリーブの中でもシプレッシーノの実が一番美味しいというイタリア人は多いです。 全体的に青みが強く、光線の加減で銀色に輝く美しい葉が次から次へと出てくるため、ボリューム感のある直立型の樹形が特徴。ピクアルよりも直立具合は強めですね。初めから縦に伸びることが分かっているので、限られたスペースでオリーブを育てたい方にはおすすめです。 自家受粉タイプですが、近くに他の品種(特にネバディロブランコ)を置くことにより結実もよくなるので、美味しいと評判のシプレッシーノの実、収穫して食べてみてはいかがですか? 価格は9,800円(税込)です。 オヒブランカ(スペイン原産) オヒブランカは観賞用としては最も流通量のある品種で、初心者に最適のオリーブです。1本で実がつく自家受粉タイプで、暑さ寒さにも強く、真っ直ぐ上に伸びる直立型。色はブルー系で管理もしやすいという、オリーブのいいとこ取りなところが人気です。柔らかい割にはしっかりとした枝が絶え間なく出てくれるので、剪定もしやすく、形が作り込めるのも魅力ですね。地植え、鉢植えと、どちらでも楽しめ、「オザキフラワーパーク」でもとてもよく売れます。 ちなみに、当店のオヒブランカは、ベテランオリーブ生産者「小倉園」の手によるもので、優れたオリーブを数多く作る「小倉園」の中でも、このオヒブランカは特におすすめです。群馬県の生産者なので、関東地方在住の方には気候的にも育てやすいと思います。 価格は20,000円(税込)です。 オリーバ・エスパニョール(スペイン原産) ちょっと変わったところでは、著名なオリーブハンターの又右衛門氏が日本に持ってきたスペイン原産のオリーバ・エスパニョールも面白いです。関東圏ではおそらく当店でしか販売されていないことから、遠方からこのオリーブを目当てに来られるお客様もいるほどレアな品種です。こちらの商品は情報量が少ないため、自家受粉タイプか他家受粉タイプかは不明なのですが、ネバディロブランコを近くに置くことにより、結実率も高くなります。結実するとブラックオリーブの実がなるところも珍しいですね。また、葉は全体的に茶葉を思わせる緑色でとても小ぶり。枝は柔らかく、分枝もしやすいため、剪定によりコンパクトな形が作りやすく、当店のラインナップの中では変化球ではあるけれど、とても栽培を楽しめそうな品種です。コンパクトサイズのため価格も4,500円(税込)とお手頃です。 編集部のイチオシ オリーブ古木 イタリアで30年の歳月を送った古木のオヒブランカ(スペイン原産)。幹が経年で割れてくる姿には“我が古木たる”という威厳を感じます。管理している佐藤さんは、この古木オリーブを盆栽のように仕立て上げている最中なのだとか。欲しい人は佐藤さんが「売りたくない・・・」と思い始める前に、いざお店へ。 お値段もヴィンテージの名に恥じぬ22万円(税込)! でも樹齢30年でこの値段はむしろ良心的かも。運よく手に入れることができたら、このただでさえ味わい深いフォルムを、自ら剪定することで自分色に仕立てる喜びも手に入れられます。まさに大人の時間を楽しむための、大人のためのオリーブですね。 ただし、30年という樹齢が持つエナジーの強さゆえに「ひこばえ」が頻繁に出てくるので、根元付近は頻繁にチェックし、見つけたら即カットしてください。 【取材の時も偶然ひこばえを発見しました】 【ひこばえとは】 ひこばえは、樹木などの根元や、根元に近い地中から新しい枝が生えてくることを指し、ひこばえを放置していると水分や栄養分がひこばえのほうに偏り、主幹の樹勢が弱まり、最悪の場合枯れてしまう。イチョウやサクラに出やすい。 おわりに いかがでしたか、オリーブ大特集後編。「オザキフラワーパーク」の佐藤さんにいろいろなオリーブを紹介していただきましたが、欲しいオリーブは見つかりましたか? 素敵なオリーブの数々に迷ってしまいましたが、取材に赴いた私としては、まるで盆栽のような風貌のオリーブ古木が目に焼き付いて離れません。お値段はかなりのものですが、自生地の地中海沿岸地方での数十年の歴史が、あの味わい深い幹に刻まれているのですから、それだけの価値があると思います。もちろん、古木以外にも魅力的なオリーブをたくさん紹介していただきました。こんな時代ですからね、「平和の象徴」でもあり、ご自宅に地中海の風を運んでくれるおしゃれなオリーブを、ぜひ育ててみませんか? さて、オザキフラワーパークでは観葉植物に関するどんな些細な質問でも常時受け付けてくれます。スタッフの皆さんがお客様一人ひとりの、今日の「分からない」を明日の「楽しみ」に変えるお手伝いをしてくれるので、この機会にぜひ観葉植物の世界に足を踏み入れてみませんか?
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観葉・インドアグリーン

【オリーブ】育て方を徹底解説!ポイントは剪定!|観葉植物基礎講座Vol.3(前編)
オリーブの木って、どんな植物? モクセイ科オリーブ属の常緑高木、オリーブ。スタイリッシュな葉とおしゃれな樹形、そして実も収穫できることから、世界中で愛されている樹木です。また、旧約聖書の中で描かれている記述により、古くから「平和の象徴」として崇められていて、国連の旗にもオリーブの枝が描かれています。しかし一般的には、敬うべき木というよりも、実を食べたり、搾油して料理や美容などに活用するイメージのほうが強いかもしれませんね。 オリーブの木(以下オリーブ)の原産地は、イタリア、スペイン、ギリシャ、トルコなどの地中海沿岸地域。年間を通して温暖でドライな場所に自生しています。歴史も長く、最古の記録としては、イタリアで5万年前のオリーブの葉の化石が見つかっており、オリーブがクロマニョン人以前より人類と共にあったことがうかがえます。現在においても樹齢1,000年以上のオリーブが幾つか存在し、中でもギリシャのクレタ島にある樹齢約3,000年のオリーブは有名です。 オリーブは種類も多く、現在のところその数なんと約1,600品種以上。葉の形や実の大きさ、樹形など、それぞれに特徴を有しています。品種改良も積極的に行われているため、今もなお種類は増え続けています。熱心なファンの中には、まるで農家のように何種類ものオリーブを栽培し、品種ごとに造詣を深めていくことを趣味にしているマニアックな人もいます。でも、この記事を最後まで読んでいただくとその気持ちが分かるかも…。 オリーブは日本でも盛んに栽培が行われています。産地としては、地中海沿岸地域と気候が似ている香川県の小豆島が有名ですね。しかし、日本にオリーブの木が初めて持ち込まれたのは、意外にも小豆島ではなく横須賀だったんです。江戸時代末期にフランスから持ち込まれた最初の1本が横須賀に植樹され、以後十数年に渡り栽培の研究が行われました。そして、初めてその結実に成功したのが小豆島です。オリーブが私たちにとって身近な存在になれたのは、そんな先達の努力があってのことだったのですね。心より感謝です。 オリーブは価格の幅も広く、小さいものは1,000円前後で買うことができますが、大きいものになると100万円以上するものもあります。個体差はあるものの、比較的成長が早い植物なので、最初は予算に見合った小さいものを買って、大きくする過程を楽しむのもおすすめです。 観葉植物として室内栽培を前提に購入する人もいますが、「オザキフラワーパーク」で最も多いのは、屋外で育てる目的で購入するオリーブ初心者のお客様。ほかにも、庭のあるご家庭では最初から比較的大きめのオリーブを買って自宅のシンボルツリーにしたり、商家の方が店舗前の植栽として購入されることもあります。 多くの人に愛されるオリーブですが、実の収穫に至るまでは、幾つかのポイントをマスターしなければなりません。でも、基本的には初心者にとってハードルの低い植物なので、ぜひこれを機会にトライしてみてはいかがでしょうか。 オリーブの選び方 縦に伸びるか、横に広がるか オリーブはとても種類が多く、選ぶのに迷うかもしれません。そんなときは、縦に伸びる「直立型」か、横に広がる「開帳型」かという、成長のしかたで選んでみてはいかがでしょうか。 栽培するスペースが限られている人は縦に伸びる直立型、横に広げてぽってりとした姿を楽しみたい人は開帳型を選ぶとよいでしょう。直立型の品種は、その樹形を活かし、庭や部屋の目隠しとして植栽する人もいます。 色 オリーブの葉の表面は、一般にオリーブグリーンといわれる、やや青みのある緑色。裏面は光の加減で銀色に輝いて見えるため、風に揺れたときなどはとても美しいんです! おしゃれに伸びる枝も光の加減でさまざまな表情を見せてくれるため、色彩で楽しめるのもオリーブの魅力。葉色は品種により極端に変わるわけではありませんが、まるで茶葉のようなフレッシュグリーンであったり、青みが強いものであったりと、好みに応じてさまざまなオリーブを選ぶことができます。 実の付きかた オリーブの魅力といえば、実。オリーブを植える動機として、その実を収穫したいと思う人も大勢います。オリーブは、単体の木で結実(実がなること)する自家受粉タイプと、2種類以上の品種が受粉することにより結実する他家受粉タイプの2種類があるので、結実させたい場合は、購入するオリーブがどちらのタイプかを見極めておく必要があります。 種類により差はありますが、大体5〜6月に白くて小さい可愛い花をたくさん咲かせます。しかし、その全てに実が付くわけではなく、通常は1〜2割、多くても3割くらいしか結実しません。つまり大量に収穫したい場合は、それなりに大きい木でなければなりません。 付き始めの実は、1〜2mmのとても可愛い薄緑色の粒で、それが日を追うごとにだんだん大きくなっていきます。品種によって異なりますが、肥大化が止まる10〜11月に収穫します。せっかく育てるオリーブですからね、ぜひ結実にチャレンジし、収穫体験を味わってみてください! 【ポイント:受粉木をそばに置く】 花付きがよく花粉量も多い品種を「受粉木」としてそばに置いておくと、より結実する確率が高まり、また、実の量も多くなることが期待できます。1本で実が付く自家受粉可能なタイプも、受粉木がそばにあると、同様の効果が期待できます。ネバディロブランコという品種が受粉木として人気です。 オリーブの育て方 置き場所 オリーブは太陽が大好き! 基本的に全種類、真夏の強光線に長時間あたっていても葉が日焼けすることはないので、日当たりのよい屋外で管理してください。半日以上は直射日光が当たる環境が理想的です。逆に、光量が少ないと枝が徒長し、葉もポロポロと落ちて、徐々に樹勢が弱まっていきます。 集合住宅など、ベランダで育てる場合は、エアコンの室外機の風が当たらないように注意してください。 【室内管理について】 オリーブは耐陰性が強いわけではないので、室内で管理する場合は、日の出から日の入りまで十分に日の当たる場所に置いてください。日照が足りない場合は、植物育成ライトを補助的に使用することをおすすめします。ただし、安価な低出力タイプだと効果がないので、高出力タイプのものを使用してください。 季節ごとの管理方法 【夏の管理】 オリーブは暑さに強いため、40℃近くまで気温が上昇する昨今の真夏の暑さでも問題なく乗り越えられます。ただし、室内で管理する場合は、エアコンの風を直にあてるのは厳禁です。これはオリーブに限らずどの植物でもそうですが、エアコンの風は、葉が水分を蒸発させる「蒸散作用」を阻害してしまうため、植物が弱る原因となってしまいます。また室内は、植物の生育に欠かせない「自然な風」がないため、蒸れによる根腐れが起きやすいので、サーキュレーター(送風機)で部屋の空気を循環させることをおすすめします。 【冬の管理】 オリーブの故郷地中海沿岸は、冬は寒くはなりますが、氷点下になることはありません。オリーブは耐寒性も強いので、たまの降雪には耐えられますが、0℃を下回る極低温状態が続くと枯れてしまう場合があります。このため、関東以北の寒冷地での地植えはおすすめしません。寒冷地では鉢植えで栽培し、夜間など気温が下がる時にはこまめに屋内に取り込むことをおすすめします。関東以南で、かつ降雪量が少ない地域であれば地植えでの越冬も可能です。室内で管理する場合は夏と同様に、エアコンの風が直にあたらないよう注意し、サーキュレーターで室内の空気を循環させましょう。 【梅雨の管理】 オリーブの花が開花する5〜6月は日本では梅雨にあたるため、開花期間中に長雨が続くと、うまく花粉が飛ばなかったり、受粉しないまま花が落ちてしまい、うまく結実しない場合があります。結実を目指す場合は、開花時期は天気予報をこまめにチェックし、雨が降りそうなら、鉢植えの場合は雨があたらない場所にいったん移動させ、地植えの場合はビニールシートをかぶせるなど、雨対策を行いましょう。 水やり オリーブは乾燥気味の土壌を好むため、基本は乾かし気味に栽培します。地植えの場合は四季を通して雨のみに頼ることも可能ですが、長期間雨が降らない時は土の状態をチェックしながら適宜水やりを行ってください。 鉢植えの場合は、表士が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与え、鉢底皿に溜まった水はすぐに捨てましょう。夏場は気温が下がる夕方に、冬場は気温が上がっていく午前中に与えるようにしてください。乾いたらたっぷり与えるという、メリハリのある水やりがよいオリーブを育てます。 ちなみに、「オザキフラワーパーク」では『サスティー』という水分チェッカーが人気です。チェックが完了するまでに30~60分と時間はかかるものの、大鉢用のLサイズでも598円というコスパのよさが魅力です。 用土 鉢植えの場合は、赤玉ベースの植木培養土か、オリーブ専用の培養土を使います。地植えの場合、オリーブはアルカリ性の土壌を好むため、地面に苦土石灰を適量まいて定植すると生育がよくなります。逆に酸性の土を嫌うので、酸度の高い土や培養土には植えないほうがよいでしょう 日本は降雨量が多く、雨は基本的に酸性のため、長く植えているとどうしても酸度が高くなってしまいます。このため、年に1回は市販の酸度測定キットなどで土壌酸度(pH)をチェックするとよいでしょう。6.5〜7.0のpH値がオリーブにとって理想的な土壌とされています。 肥料・活力剤など 微量要素が多く入っているオリーブ専用の肥料がおすすめですが、ご家庭にある『マグアンプK』などの化成肥料でも問題ありません。 施肥の時期は3月(新芽が伸びる頃)、6月(実が付く頃)、10月(実の収穫が終わった後)が適期。結実を目指す場合は、この時期の施肥は必須です。 肥料切れになると葉の先端が黄色くなるので、あげどきの目安にもなります。また、5〜6月の花期には、水やりの際に植物用活力剤『メネデール』を規定量希釈して与えると、実付きをよくすることが期待できます。 剪定 樹形がとても魅力的なオリーブですが、この美しいフォルムを維持するためには剪定が欠かせません。また、剪定により思い通りの樹形に仕立てることができるのもオリーブの魅力ともいえます。 逆に、枝を伸ばしっぱなしにしておくと、重力により枝が垂れてしまい、形が悪くなるばかりか、実付きも悪く、幹も太くならないので、1〜3月に思い切ってバッサリと強剪定することをおすすめします。そして6月に軽く形を整える弱剪定を行えば、剪定に関してはOK。 強剪定といっても、慣れない人はバッサリ切ることに躊躇してしまいますよね。でも、オリーブは30cmくらいの丸太状の幹を地面に杭のように打ち込んでおくと、根っこがなくても上からどんどん枝と葉が出てくるほどタフな植物なので、心配せずにどんどん切っちゃって大丈夫です。 【剪定方法】 オリーブの多くは「互生葉序」※で葉を出すため、カットした場所の直下の葉の出ている方向に枝が分枝していきます。このため、枝をどっちの方向に向かわせたいか、剪定により樹形をコントロールすることができるんです。つまり、樹形を上に高くしたいのであれば、葉が上に向いているところの少し上のところで切り、横に広げたいのであれば、横方向に出ている葉の少し上のところで切れば樹形は横に広がっていく、という感じです。ただし、横に切って伸びた枝を放置しておくと下に垂れていくため、大きくなりにくいので注意が必要です。 [動画による説明はこちら] ※【葉序】 葉序(はじょ)とは、茎から出る葉の配列の規則性のこと。葉序には互生葉序と対生葉序、輪生葉序の3種類がある。茎にある節目から葉が1つ出るのが互生葉序、2つ出るのが対生葉序、2つ以上出るのが輪生葉序と呼ばれる。 植え替え 鉢植えのオリーブは、土の表面から根が出てきたり、鉢底穴から根が出てきたら植え替えを行ってください。2回り大きいサイズの鉢に植え替えるのがおすすめです。素焼き鉢や、鉢の底部にスリット(切り込み)の入ったスリット鉢を使用すると、根が張りやすく、成長もしやすいので、早く大きくなります。 植え替えの際は、土の落としすぎに注意してください。せっかく根が抱え込んだ土を無理に落とすと株が弱る可能性があります。オリーブ自体は強い植物ですが、根は繊細なので、植え替えの際は、鉢から抜いた根の表面の土だけをやさしく落としてください。 収穫したオリーブを食べるには? 大切に育てたオリーブに実が付き、収穫までこぎつければ、それを食べたいと思うのは当然ですよね。しかし、オリーブの実はそのままではとても食べられたものではなく、食品用の重曹を用いた、とても手の込んだ渋抜き処理が必要です。 自家製ピクルスにチャレンジしたい方は、下記クックパッドなどを参照してください。健闘を祈ります。 cookpad [重曹で渋抜き。自家製オリーブの塩漬け] オリーブをおしゃれに魅せる技 ただでさえおしゃれなオリーブ。鉢植えで楽しむ方は、可愛い鉢や、気品ある鉢、ちょっと個性的な鉢に植え替えるなど、いろいろこだわりを持って楽しんでいます。 また、これから迎えるホリデーシーズン、いっそのことオリーブをクリスマスツリーにしてみてはいかがですか? これがまた可愛いんです! お庭の地植えのオリーブや鉢植えのオリーブに、クリスマスオーナメントを飾り付ける「クリスマス“オリーブ”ツリー」、ぜひ試してみてください! まとめ いかがでしたか? オリーブ大特集前編。編集部にも自宅で育てているスタッフがいますが、改めてその魅力を再認識したそうです。今回の取材では、「オザキフラワーパーク」の佐藤さんにオリーブのあれやこれやを伺いましたが、その知識の豊富さたるや! これには感嘆しました。ちょうど取材2日前、お店には300鉢もの各種オリーブが入荷したということもあり、植木コーナーは左右どちらを見てもオリーブ、オリーブ。まるでオリーブ畑で取材をしているようでした。 さて、後編ではそんな佐藤さんに、お店でおすすめのオリーブを紹介していただきます。この前編を読んで、オリーブを育ててみたいと思った人は要チェックですよ! オザキフラワーパークでは観葉植物に関するどんな些細な質問でも常時受け付けてくれます。スタッフの皆さんがお客様一人ひとりの、今日の「分からない」を明日の「楽しみ」に変えるお手伝いをしてくれるので、この機会にぜひ観葉植物の世界に足を踏み入れてみませんか? お話を伺ったのは…オザキフラワーパーク植木担当 佐藤さん 「ほかの木に比べ、手をかけた分、一番かっこよくなるのがオリーブ」とその魅力を語る佐藤さん。オリーブのエキスパート佐藤さんには、後編でおすすめのオリーブを紹介していただくので要チェックです!
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ガーデニング

【花を上手に咲かせたい!】街の園芸店がお悩みを解決!vol.5
人々の心を潤す、花 植物を育てているとさまざまな問題にぶつかりますが、花に関するお悩みもたくさん耳にします。なかでも多いのが、やはり「なぜ咲かないの?」というお悩み。咲くと思っていた花が咲かないことほどショックなことはありませんよね。今回はそんな花に関するお悩みを、当連載でもうお馴染みの、街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」の関ヨシカズさんに解決していただきます。 今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺) 今回も読者の皆さんのお悩みに答えていただく『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される、地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、花に精通した園芸のエキスパート。お店には花を買い求めるお客様だけでなく、花に関するお悩みを関さんに相談しようと、大変多くの方々が訪れます。もちろん皆さんからのご相談にも分かりやすく答えてくれますよ。さて、今回はどんなお悩みが寄せられているのでしょうか? さっそく関さんに伺ってみましょう。 【お悩み1】花が咲かないのは栄養状態に問題アリでしょうか? 花が咲いている苗を購入し、日当たりのよいベランダのプランターで育てているのですが、花が咲きません。肥料をあげないといけないでしょうか? 今まで、ラベンダー、羽衣ジャスミンなどを育ててきました。(近畿 50代 女性) 葉ばかり元気で花がつかない。栄養が多いのか足りないのか分からないです。(関東 50代 女性) 関さんの答え お二方とも、何の花についてかが分かればより的確にお答えできるのですが、最初の質問の方の「肥料をあげないといけないのでしょうか?」に関しては、あげたほうがいいです。むしろあげるべきです。肥料にはチッ素・リン酸・カリという3大要素があって、ざっくり言えば、チッ素は葉っぱとか茎を作り、リン酸やカリは花や実に効果があります。これら3大要素が均等に、8-8-8とか10-10-10とかの比率で入っている肥料をあげておけば、とりあえず問題はないと思います。あげすぎると肥料焼けを起こすので、多くてもダメですが、少なすぎるのも効果がありません。さじ加減は、植物やプランターの大きさにもよるので、肥料のパッケージに記載の使用方法を参考にしてください。 もうお一方の質問のほうですが、「葉ばかり元気で花がつかない」というのは、肥料以外にも、日当たりの問題や、根っこが詰まりすぎていないかなど、他の要因も考えられます。おすすめは『リン・カリ肥料』。 これは、チッ素が0、リン酸19、カリ10、マグネシウム3と、この2つの栄養素に特化した肥料なのですが、お花に直接効くので、これもおすすめです。ちなみに、木や葉に元気がない時は、チッ素が多い油かすをあげると改善が期待できます。でも葉は元気なんですもんね。であれば、やはり『リン・カリ肥料』がベストです。という感じで、何の花かが分からない以上、施肥で改善を図るというのがよいのではないかと思いますね。根の状況も分からないので、コレだ! という確実な解決策を提示できませんが、施肥は試す価値はあると思います。 【お悩み2】豪雪地帯でのクレマチスの冬の管理方法を教えてください 4年前にクレマチスを買い求め、購入2年目は偶然かもというぐらい綺麗に咲きましたが、豪雪地帯のために外には置かず、家の中で管理するので、その方法が難しく、毎年綺麗に咲きません。どういうふうに管理すると安心して冬を越せるのでしょうか?(東北 60代 女性) 関さんの答え この豪雪地帯ってのがね…。ウチは東京の目黒なんでね、正直なところ、豪雪への対処で的確な答えを出すのは難しいかも。ただまぁ、室内でどういうふうに管理するのか、ということにお答えすると、基本的にはなるべく外の環境に近づけるというのが一番だと思います。室内管理で重要になるのは風なので、日当たりのよいところでサーキュレーター(送風機)を回し、室内の空気を循環させ対処するという感じでしょうか。 豪雪地帯って確か、部屋と玄関の間にもう一個玄関があったりするところが多いと思うので、部屋を暖めるということに関しては、知識、技術共に、東京の人よりも圧倒的に長けているでしょうから、温度に関して言えば、部屋に置いておけば即ち温室栽培みたいな感じになると思うので、あえて必要以上に加温する必要はないと思います。 ただ、クレマチスに関して言えば、置いてある部屋を暖めすぎないほうがよいですね。でも話を伺うかぎり、一応冬越しはできているということなので、冬の寒さに当てすぎず暖めすぎずという感じがよいと思います。常に程よく暖かいという状態を保ちつつ、クレマチスは日光が大好きなので、日にもちゃんと当ててあげて、そして新緑の時期を迎えたら強めの肥料をあげる、そういう感じでいいと思います。 より確実なのは、クレマチスにもいろいろ種類があるので、購入したお花屋さんに行って品種を確認した上で適切な冬越しの仕方を聞いてみるのが一番だと思います。豪雪地帯のお花屋さんなら、僕ら東京の園芸店よりもその辺の知識はずっとあると思いますよ。 【お悩み3】羽衣ジャスミンの剪定の仕方を教えてください 羽衣ジャスミンを剪定せずに長年育てていますが、枯れ木の上にどんどんかぶさるように葉が出て花を咲かせている状態です。剪定するにも、どこをどう切ったらいいのか分からずに悩んでいます。(関東 50代 女性) 関さんの答え これはね、これ言っちゃうと元も子もないのですが、どこでもいいんですよ、切りたいところを切ってください。って、答えになってないか(笑)。 ただ、どうしたいのかにもよりますね。例えば、地植えで壁に這わせたいという場合だと、地植えで根が存分に張れるため、あえて剪定をする必要もないと思います。 鉢植えの場合は、“株を更新”するという意味では剪定も有効ですが、それでも僕個人的には、伸びたいだけ伸ばしてやればいいと思います。鉢の場合はツルも綺麗に巻かれて行灯になって販売されているケースが多いのですが、結局、そう時間も経たないうちに行灯からどんどんツルが飛び出ちゃって、購入時の形は崩れるんですよ。で、それをどう巻いていくかという問題になってくるんです。コンパクトに仕立てて、花をそこだけに咲かせたいのか、あるいはそれを地面に下ろして、バーっと繚乱に咲かせたいのかで、方法も変わってくると思うんで。質問者さんの場合は、察するに地植えだと思うので、そして花もちゃんと咲いているようだから、そのままでいいかなと僕は思います。 どんどんかぶさるように葉が出るのは、これはジャスミン的にはしょうがないことなので、単に邪魔なところは切る、これ以上伸ばしたくないのであれば切る、これでいいかと思います。あるいは一度、翌年の花は諦める覚悟で強剪定する、という手もあります。その場合、ここを切っちゃったらまずい、というのは特にありません。ただし、一番下でガッツリ切っちゃうっていうのはやめてくださいね。 とにかく、羽衣ジャスミンはめちゃくちゃツルが伸びるんで、切れば切ったでそこからまた芽が出るため、あまり考えずに、これはもう直感で剪定しちゃって大丈夫ですよ! そして切ったあとはちゃんと肥料をあげてください。肥料をあげるにしても、冬の休眠期前に切ってからの施肥はあまり意味がないので、適期は2〜3月くらい。その時期に剪定して、直後に液体肥料でもあげて新芽を促す、という感じでやれば、ちゃんと元に戻りますよ。下のほうの枯れているようなところに葉を芽吹かせたいとなってくると、またちょっと別の話になってくるんですけど、そこはもう経年劣化部分なんで、あまり気にせず、上が生きていれば何の問題もない、って考えて、ガシガシ切っちゃって大丈夫です。 【お悩み4】バラに使用する薬剤の安全性について知りたいです 庭でバラを15株ほど育てています。バラ以外にもいろいろな花が花壇にあります。バラを育てていく上で、ある程度の薬剤散布はやむを得ないと思っていますが、オーガニックに関する記事を目にするたびに、薬剤散布について罪悪感を抱いてしまうことがあります。使用する薬剤の安全性(環境にどう影響するのか、生物に対してどう影響するのか)について詳しく知りたいです。(中国地方 50代 女性) 関さんの答え 15株ですよね? 農薬散布のヘリコプターで広大な農地に薬を散布するわけではないので、15株のバラに使用するぐらいの使用量で罪悪感を抱かなくても僕はいいと思います。ただ、そのように環境に配慮しようという気持ちを持つことはとても意義のあることだと思います。一人の“ちょっとなら大丈夫”が、塵も積もればで地球規模での環境汚染につながることもあるかもしれませんよね。ただ残念ながら、環境にどう影響するのか、生物に対してどう影響するのかに関しては、僕はそのあたりの研究者ではないので分かりません。そこを知りたいのであれば、住友化学園芸など、薬剤の販売元に聞くのが一番ではないかと思います。 同社のこちらのページでもそのあたりが説明されています。 https://www.i-nouryoku.com/agora/anzen/index.html 僕もこのURLを見てみましたが、そもそも影響を与えるようなものを、民生品には使わないでしょう。家庭園芸用なわけですから。市販されている化学薬剤は、いわゆる劇薬ではないので、取り扱い免許を持っていない僕らが使ったり、一般のお客様が使うことを想定して作られています。生物に対して影響があるようなものを売るはずがありませんよ。まして、バラは確実に虫は来るし、病気のリスクも高い植物なので、ちゃんと安全性を確認してから商品を市場に出しているはずです。 少なくとも僕は気にしたことはないですよ。当店の狭い環境で『ベニカX』まいたからって、地球に悪いことしたな、って僕は思わないし、むしろ植物育ててCO2吸収してますよ、くらいに思っています(笑)。 それでも気になるのでしたら、オーガニックな殺菌剤などを使えばいいと思います。木酢液など、天然由来の物は、決して商品数は多くはないでしょうが、どこの園芸店でも販売しています。ただ、それが化学薬品に比べてどの程度の効果があるかは分かりません。とにかく、栽培農家というわけでもなく、家庭園芸なわけですから、あまり神経質にならずに美しい花を楽しんでください。 【お悩み5】買ってきた花がセンスよく見えるコーディネートを教えてください センスがなくて、プランターばかりが増えていきます。とにかく花を買ってきて、植えて、飾って、水をあげる、そんな感じ…。 コーディネートが難しいです。(関東 30代 男性) 関さんの答え 関東30代男性、素晴らしいじゃないですか(笑)! 30代の男性からの質問は、この連載始まってから初じゃないですか? レアです。素晴らしい! プランターばかりでセンスがない、とおっしゃいますが、センスって基本的に人が決めるものじゃないですか。別に自分が、素敵だな、かっこいいな、と思ったらそれで僕はいいと思うんですけど。 ものすごいざっくりと言うならば、例えばプラスチックの鉢と、ちょっとアンティーク感のあるモスポット(素焼き鉢)を2つ並べると、99%の人がモスポットのほうがおしゃれ、と言うでしょう。つまり、そちらのほうがセンスがよいと思うわけです。 であればまず、もしプラ鉢を使っているのであれば、鉢を違う素材のものにしてみるだけでも一つコーディネートがよくなったといえます。 あと、よくありがちなのが、横長のプランターに花だけを統一感なく植えているケース。あれはいただけませんね。そもそもコーディネートという意味でいえば、横長のプランターって難しいんですよ。凄くセンスが問われるんです。この場合は、丸いプランターに変えてみて、今まで「花-花-花」だったところに「グリーン-グリーン-花」というふうに、ちょっと変化球でカラーリーフを入れてフォーメーションを変えてみるとよいでしょう。これは花だけで作るよりもセンスよく見えるので、おすすめの手法です。 花の集合体にちょっとグリーン物を使うとね、センスよく見えるんですよ。花束を人にあげたことがある人は分かると思いますが、切り花屋さんはよく使う手法です。ハイビスカスばかりだと芸がないので、ソテツの葉を一本加えただけで、ガラッとセンスがよくなる。あの手法をプランターで使うのは、ぜんぜんアリなんですよ。 ちょっとやってみましょうか。 このように、ちょっとした変化球でコーディネートの腕も上がるはずです。がんばってください! 最高なコーディネートができたらGS編集部に写真でも送って披露してください(笑)。 【お悩み6】野放図に育ってしまった庭のバラを綺麗にしたい 庭のバラが野放図に育ってしまって…どうしたらいいのか? しかも植えた覚えのない八重のバラまで咲いてしまい、色も一色になってしまいました。綺麗にするにはどうしたらいいでしょうか?(関東 60代 女性) 関さんの答え 植えた覚えのない八重が? う〜ん、どうなんだろ。(タネが)飛んで来たのかな? 植物には「先祖返り」とかもあるので。そもそもバラ自体交配種なんで、交配される前のやつが出てきちゃう、ということも考えられるのかな…。僕の周辺ではあまり聞いたことはないですが。 【先祖返りとは】 植物が品種改良のため交配を何代も重ねていくうちに、偶発的に原種とよく似た遺伝子を持つ品種ができて、原種に近い状態に戻ってしまうことを「先祖返り」といいます。花以外にも樹木など、植物全般に起こりうることであり、また、品種改良の有無にかかわらず、植物に過度のストレスがかかることによって起こるともいわれています。 おそらく、剪定せずに放置して、葉っぱも落ちちゃったりとかして、ワサワサ〜ッてなってるような状況が思い浮かぶので、これは一度、強剪定をするのが一番じゃないかな。強剪定とは、根元に近いところで切っちゃって、株を一から更新するということです。ワサワサと野放図になっているのが我慢できないのであれば、1〜2年くらいは開花を我慢して、強剪定をかけるのが最善の策だと思います。 大人の背丈くらいまで伸びているのであれば、腰とか膝ぐらいのところまでで止めちゃって。そうしないと、おそらく下のほうから上がってきません。株を作り直すのだったらそれぐらいしちゃってもいいと思います。上を切ったところで、根さえ生きていれば植物は死なないんで。それにより、切られたところからまた脇芽が出て、株が徐々に大きくなり、1〜2年ぐらいでこんもりさせて完成させる、というイメージでしょうか。 庭とか花って、そうすぐには完成しないものなんですよ。植えてからだいたい2〜3年経って完成するものなんです。なので、ここは心を決めて強めに切っちゃいましょう! 関さんから愛のメッセージ 皆さん、なかなか苦心しているようですねぇ〜。花は、基本的には世話をしてあげなければうまく咲かないものです。もちろん、自然に咲く花もたくさんありますが、要は「園芸」なわけですから、芸を施さないと、強く美しい“よい花”は咲きません。もちろん、この質問で取り上げた方々は、どう世話をしよう、どのように管理しよう、という模索をしておられる方ばかりなので、それはとてもよいことなのですが、じつはここで取り上げなかった他の質問の多くは、いかに手間をかけずに花を咲かせることができるか、というような内容で、正直僕は悲しい気持ちになりました。 普段よくいわれる「戦い」とまでは言いませんが、生ける物を扱うにあたり、世話をする「心」が欲しいものです。日頃仕事や家事が忙しく、なかなか花の世話もできないのは確かでしょう。でも思い出してみてください、園芸店の軒先で、その美しさ、可愛さに誘われてその花を家に連れ帰ったわけですから、そうして加わった“家族”に対し、手間をかけない方策を模索するのは、僕はどうかと思います。 確かに、今は通常の園芸品種に比べて手間のかからない改良された品種も多く販売されています。でも結局、手間を惜しむ人って、そういう品種でさえ簡単に枯らしてしまうんですよ。憚りながら園芸に携わる身としては、お買い求めになった商品が、そのお客様の心を潤すものであり続けてほしいと思います。花が美しさを保つには、その潤った心でお返しする愛情こそが最良の肥料なんです。ぜひとも手間は惜しまないでくださいね。そこで分からないことがあれば、どんどんこのコーナーで聞いてください。共に芸を磨きましょう! おわりに いかがでしたか? 今回の“愛の叱咤激励”は、何やらご本人のイメージに合わず(といっては失礼ですが)、ジ〜ンと来てしまいました。花って、関さんが言われるように、栽培する人の愛情の結晶だと思います。その結晶が実を結ばない時は、正直がっかりすることもしばしばですが…。でも、産みの苦しみがあってこそ、花開いた時の感動もひとしおというものです。元来、人間よりも儚い命ですからね。日々学びながら、その命を大事に育んでいきましょう。 ガーデンストーリーでは、引き続き関さんにさまざまな質問をぶつけていきます。次回も乞うご期待です! 植物に関するお悩み募集中! 植物を育てる上でのお悩みを募集しています。お寄せいただいたお悩みは、こちらの連載『街の園芸店がお悩みを解決!』にて、園芸のプロが丁寧に回答してくれるかもしれません。 ※取り上げるお悩みは編集部にて選定させていただきます。お答えできない場合もございますので、ご了承ください。 お悩み入力フォームはこちら↓↓ https://forms.gle/vi7LXzPMD51Qgb5g9 取材協力 フラワーガーデン セキ 東京都目黒区中町2-39-15 電話:03-3712-3230 ※現在(2024年5月)一時休業中。新店舗にて再開次第お知らせいたします。 Credit 取材・文/ガーデンストーリー編集部
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ガーデン&ショップ
![よみうりランド「HANA・BIYORI(はなびより)」花苗・野菜の展示即売会を初開催! [お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/10/733294f05f6b32387946ff7774a49df3.jpg)
よみうりランド「HANA・BIYORI(はなびより)」花苗・野菜の展示即売会を初開催! [お出かけ情報・東京ボタニカルライフ]
たくさんの花に出会えるフラワーパーク「HANA・BIYORI」 よみうりランドに隣接する日本庭園に、2020年3月にオープンしたエンターテインメント型フラワーパーク「HANA・BIYORI」。花々が咲き誇る約1,500㎡の温室や、日本初となる「花」と「デジタル」技術を融合したプロジェクションマッピングショーが私たちを幻想的な世界に誘います。さらに花の香りや彩りを体感できるワークショップ、花や緑に囲まれたカフェなどエンタメ要素がふんだんに盛り込まれたフラワーパークが堪能できます。 圧巻の300鉢を超えるフラワーシャンデリア(吊り花) 「HANA・BIYORI」の中心に位置する温室内には、日本最大級となる300鉢超のフラワーシャンデリアが咲き誇ります。壁面には長さ20m、高さ2mを超す「壁面花壇」があり、床面を彩る花々も含め、360度花に囲まれた空間が広がります。いつ行っても満開に咲く季節の花々を楽しむことができるのが最大の魅力。360度花に囲まれた空間を心ゆくまで楽しめます。 「花」と「デジタル」が融合した「マルチエンディング」型アートショー ガラスの温室が暗転すると、60m(総長)にせまる壁面3面を使った「花」と「デジタル」が融合したプロジェクションマッピングがスタート。「イマーシブ(没入型)空間の創造」をテーマに、2つの異なるエンディングを用意したマルチエンディングを採用。最新の感情分析システムにより、観客の感情をリアルタイムでデータ化。その結果がエンディングに反映され、観客自身も参加しながら楽しむことができます。 現在、秋限定バージョン「色づく紅葉と花景色」が上映中。空に舞う紅葉や舞い散る雪など、深まる秋と冬の始まりの景色を楽しめます。上映スケジュールなど詳細は、HANA・BIYORI公式サイトをご確認ください。 コラボイベント「秋のPW (ピーダブリュー)花苗即売会」を初開催 10月7日(金)~10日(月/祝)の4日間、植物の国際ブランド「PW (ピーダブリュー)」とのコラボイベント「秋のPW花苗即売会」が開催されます。PWの新品種や今後注目の花、多肉植物や観葉植物を観賞したり購入することができます。ほかにも四季の庭などで、見本展示が行われます。スタッフが丁寧に商品の説明をしてくれるので、花に詳しくない方は気軽に相談してみては。 PW(PROVEN WINNERS=プルーブンウィナーズ)とは アメリカ・日本・ドイツ・オーストラリアなどの企業20社が参加する、世界の園芸業界を代表する植物の国際ブランド。それぞれの地域の育種家が開発した新品種を集め、気候条件が異なるアメリカ・ドイツ・日本で試験栽培を行い、日本の気候に合う高い基準をクリアした品種を厳選し、PWブランドとして発売しています。 展示・販売予定の花はこちら これらは展示・販売予定の花のほんの一部。会場でお目当ての花や育ててみたいと思うものを探してくださいね。 「PW×HANA・BIYORI 秋のPW花苗即売会」開催概要 ■開催期間:10月7日(金)~10日(月/祝) ■時 間:10:00~17:00 ■場 所:HANA・BIYORI館内「おみやげびより」前 ※要HANA・BIYORI入園料 「HANA・BIYORIマルシェ」で野菜や宿根草などを販売 10月14日(金)~16日(日)の3日間、「HANA・BIYORIマルシェ」が開催されます。JA東京むさしの新鮮な「東京産野菜」や、HANA・BIYORIのロスフラワー(廃棄予定の花)を使用したハンドメイドグッズ、宿根草などが販売されます。 「HANA・BIYORIマルシェ」開催概要 ■開催期間:10月14日(金)~16日(日) ■時 間:10:00~17:00 ■場 所:HANA・BIYORI館内「おみやげびより」前 ※要HANA・BIYORI入園料 ■参加予定店舗 ・JA東京むさし(管内の武蔵野市・三鷹市・小金井市・小平市・国分寺市で生産された野菜やその他の商品) ・はるはなファーム(日本でも有数の生産者が生産した宿根草) ・espoir(モイストポプリ、バスソルトなどHANA・BIYORIの花を再利用した商品) ・ハクサンインターナショナル(観葉植物、多肉植物など) ・HANA・BIYORI特設ブース(ロスフラワー、切花など) 花と緑に囲まれたカフェ「スターバックス」 植物園に日本初出店となるスターバックスは、本物の植栽でSTARBUCKSのサイネージ(看板)を表現。「New life style with coffee」をデザインコンセプトにした店内は、心地よく響く水音と花と緑に囲まれたボタニカルな新しいカフェ体験を提供。南側の屋内テラス席からは、一年中花が咲き誇る「四季の庭」が望め、毎日がお花見日和。コーヒーとともに、季節によって変わる花や植物を愛でられる至福の空間が楽しめます。 ぜひ秋の行楽シーズンに訪れてみてはいかがでしょう。 HANA・BIYORI情報 ■営業時間:10:00〜17:00 ※時期により変動 ■入園料:大人(中学生以上)1,200円、シニア(65歳以上)1,000円 小人(3歳〜小学生)600円 ■住所:東京都稲城市矢野口4015-1 ■公式サイト:https://www.yomiuriland.com/hanabiyori/ Credit 文/ガーデンストーリー 編集部 写真提供/よみうりランド
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【土と上手につきあう!】街の園芸店がお悩みを解決!vol.4
植物の栄養の源、土 植物を育てているとさまざまな問題にぶつかりますが、特に土に関しては、この花にはこの土で合っているのか、土をどのようにすれば丈夫に育つのかなど、迷いを感じる人は多いはず。土は、表面以外、ほとんどの部分が目に触れることはなく、また根に直接触れているため、植物にどんな効果や影響を及ぼしているのかがちょっと気になりますよね。そんな土に関するお悩みを、今回も街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」の関ヨシカズさんに解決していただきます。 今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺) 今回も読者の皆さんのお悩みに答えていただいた『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される、地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、自らオリジナルの培養土を作ってしまうほど、土にも精通した園芸のエキスパート。そのため、お店には土に関するお悩みを相談しに訪れるお客様がとても多く、今回皆さんからいただいたお悩みにも分かりやすく答えてくれます。さて、今回はどんなお悩みが寄せられているのでしょうか? 早速関さんに伺ってみましょう。 【お悩み1】卵の殻を土に撒いていますが効果はありますか? 卵の殻を天日で干してから、すり鉢ですりつぶし、その粉末を土に撒いています。石灰の代わりにとやっていますが、効果はありますか? (関東 50代 女性) 関さんの答え 結論から言うと、効果はあります。卵の殻には炭酸カルシウムが含まれているので、すりつぶして撒けば石灰の代わり、というか石灰を撒くのとほとんど変わらないので、酸性の土を中性に変えるなど、それなりに土壌改良の効果はあります。ちなみに、近所を散歩しているとよく見かけるのは、卵の殻をまんま土に刺していたり、割ったまんまの殻を撒いただけの玄関先のプランター。あれは全く意味がないので、この方のようにちゃんと粉末にするのが正解です。なぜなら、殻のままだと成分が土に浸透するまでには何十年とかかるため、土に手早くなじませるためには粉末にしてやる必要があるんです。 ただ、費用対効果でいうと、同じような石灰が1kgで大体250円とか300円で売ってるので、擦り潰す手間とかを考えたら、石灰を買っちゃったほうが早いんじゃないかなとは思いますが。まぁ、卵の殻は毎日のようにゴミとして出るっちゃあ出るんでね、再利用という意味ではよいと思いますけど。僕だったら迷わず石灰買っちゃいます(笑)。でも、自分の手で作ろうという心意気みたいなところは素晴らしいと思います。 【お悩み2】多肉植物の用土、市販のと自分で作るのとでは違いがありますか? エケベリアなどの多肉植物を育てています。お花屋さんで買った多肉植物用培養土と自分でブレンドするのとでは育ちに違いはあるのでしょうか? 普段はお花屋さんで買ったものを使っています。また、ブレンドするとしたら、どんなふうに作ればよいのでしょうか? (東北 40代 女性) 関さんの答え う〜ん、あんまり違いはないと思いますけどね。確かに多肉植物用土、サボテン培養土とか、いろんなメーカーが出していますよね。僕は出来合いのものは、成分が好みじゃないということもあり、あまり使ったことがないんです。でも、それは僕が商売として土を扱っているからこそ、成分の違いに気付くところもあるんですけど。ただね、土は根っこが直接触れている部分なんで、意識を向けることはとてもよいことですが、土によって成長スピードが上がったりとか、葉っぱが大きくなったり、よく育つってことは、あまりないと思いますよ。 つまり裏を返せば、市販のものでもある程度のクオリティーのものを使っていれば、基本何でも大丈夫、っていう感じです。それよりも何よりも、一番気をつかわなければいけないのは、栽培環境。このシリーズでも何度も言っていますが、植物を育てる上で最重要視しなければいけないのは、環境作りなんですね。2リッター3,000円ぐらいする高級培養土を使っても、室内で育てればエケベリアはまともに育ちませんから。室内で育てるならサーキュレーターを回して室内の空気を循環させるとか、LEDを使って日照時間をコントロールするとか、そういう問題からまずクリアして、正しい育て方というのを実践していくと、なんだかんだ自分で土を作りたくなってくるんですよ。こだわり、みたいなのが出てくるんで、要はそこにたどり着けるかどうかじゃないですかね。 僕も大昔はいろんなメーカーのものを使ってはみたんですけど、結局自分で作って使うのが一番コスパがいいんですよ。作ったものを小分けにして保管しておけばいいだけのことですから。 植物をやっていく上で、土に興味を持って自分で作り出すのって、結構大事なことなんですよ。そこまでいったらね、それなりのオタクになるんですけど(笑)。でもね、そこまでいかないと、やっぱうまくならないと思うんで。なので、自分で作ろうっていうのはすごくよいことだと思いますよ。 ブレンドに関してですが、ちなみにうちで作っているものでいうと、まぁ別に秘伝のタレっていうわけでもないんでタネ明かししますけど、うちは小粒の赤玉土に、小粒の鹿沼土、そして小粒の日向土(軽石)、パーライト、くん炭の5種類がベースで、そこに堆肥が入るか入らないかは植物によって変えるんですけど、ベースはこの5種類ですね。 アガベとか、多肉とかを育てるときは、あまり堆肥は入れないかな。少しでも養分が強いと葉が伸びすぎて逆によくないので。でも、サボテンとかだと堆肥も入れるし、パキポディウムなどのコーデックスも、多少は堆肥を入れるかな。あと、極微量のマグアンプも入れます。マグアンプがなぜ微量かというのは、あまり多く入れると間のびしちゃう可能性があるんで、徒長して格好悪くなるようなサボテンとかには、微量で済ましておきますね。ちなみに、マグアンプ自体で肥料焼けとかはないので、安心して使ってください。 まぁ、その辺の細かいさじ加減は、自分でやりながら学んでいけばいいと思います。とりあえずはチャレンジですよ。ブレンドに偏りがあったところで枯れることはまずないんで。やっていればね、いずれたどり着きますよ、"自分の培養土”に。何よりもね、メーカー系の用土使っているよりは、かっこいいよねって、自分が感じるだけなんだけど(笑)。 オタクの領域で待ってますよ。がんばって! 【お悩み3】タンポポに占領されてしまった土壌を回復するにはどうすればよいですか? リュウノヒゲを植えていたのですが、すっかりタンポポにやられて、ほぼなくなってしまいました。代わりに芝桜を植えようと思っているのですが、土壌を回復するにはどうすればよいですか? まずは雑草を取って、その後は耕したほうがいいのでしょうか? (関東 50代 女性) 関さんの答え 雑草を取ってその後は耕したほうがいいのでしょうか、ということですが、ぜひそうしてください。これはですね、植物を植えるための土壌を作る上では大前提の作業ですね。ただし、雑草は根を残してしまうと、よりパワーアップして復活しちゃうため、念には念を入れて除草剤を撒いて、文字通り“根絶やし”にすることをおすすめします。 芝桜を代わりに植えるというのはよい考えですね。ただ、注意しなければならないのは、除草剤を撒いた直後に植物を植えても、枯れてしまうだけなので、芝桜を植えるにしても除草剤の効果が切れる1カ月後くらいに植えましょう。除草剤の効果は製品によって6カ月効き目が続くものもあれば、2週間のものもあるので、植栽予定地に使う場合は効果の短いものを選んでください。1カ月経ったら、堆肥を混ぜながら耕し、石灰を撒き、そこで1週間程度土を天日干しするのがベストなのですが、まぁそこまではしないでもいいと思います。でも、そうすることにより、なお一層よい土になります。その後で、芝桜やリュウノヒゲを植えるとよいと思います。 まぁ今となっては後の祭りですが、すっかりタンポポにやられるその前に、これらの作業をやっておくとよかったですね。雑草の力をみくびっちゃあいけませんよ。雑草をしっかり根こそぎ取らずに芝桜を植えても、結局芝桜はリュウノヒゲと同じ運命をたどることになってしまうので。 時間をかけてしっかりと雑草と戦ってください。そう、まさに戦いなんですよ。どのみち芝桜を植えるとしたらもう来年の春、3〜5月ぐらいになるので、それまでにはしっかりと土を作っておきましょう。 【お悩み4】植え替えなどで生じた古い土がうまく再生できません ベランダで大量の植物を栽培していますが、植え替えなどで生じた古い土がうまく再生できません。再生用の資材を規定量入れても、古い土の微塵のためか、排水性が悪くなってしまいます。何かコツなどがあれば知りたいです。 (関東 50代 女性) 関さんの答え この、古い土をどうするか、というのは、昔からある園芸大問題の一つなんです。結局、園芸を嗜んでいれば土って増え続けるわけで、どこかでこれを再生するか、あるいはなくさないといけないんですが、これが捨てるとなると、そう簡単には捨てられないんですよ。自治体によってなんですけどね。ちなみにうちの店のある目黒区は土は捨てられません。土をそのままゴミとして出しても清掃局は持って行ってくれないんです。自治体によっては、リサイクル業者に委託するなんて話も聞いたことはありますが、それでも、根が残っていたり葉が混入していると、持って行ってくれないという話も聞きます。そもそも委託業者に頼むと値段も高くつきますし。でも、実際問題として、そういう方法しかないんですよね。だから、手間はかかりますが、再生させるという方針で考えておられるのは、とてもよいことだと思います。 コツに関してですが、まず赤玉土や鉢底石を除去します。根の残骸が残っていると新しく植える植物の病気の原因になるので、それらを全部をふるいにかけて、全部完璧に落とします。そしてそこに堆肥や、市販されてる再生材などを入れるんですが、おっしゃるように、規定量とかはあんまり関係ないんですよ。適量で大丈夫。そして、古い根や微塵などが完全に取り除かれたかどうかを再度入念にチェックしてから、ブルーシートなどに広げて、石灰を撒いて消毒して、5日くらい天日干しして…と、そこまでしなきゃ土って再生しないんですよ。なので、植物を健康に育てるためには、新しい培養土を買って使ったほうがよいのです。でもそうなると、前述のように土廃棄の問題にぶつかる。家庭園芸って、結局この堂々巡りなんですよね。 再生のコツが知りたいというご質問に対し、ちょっと違う角度からお話をしてしまいましたが、僕がよいと思う解決法は、まずはお住まいの自治体に、土の破棄方法をどうすればよいかを問い合わせましょう。それで解決しなかったら、近隣の園芸店などに引き取ってもらえるかも調べてみましょう。少量なら引き取ってくれるところがあるかもしれません。また、大手ホームセンターだと古い土を引き取ってくれるサービスもあります。ただしこれには条件があり、そこで商品として販売されている土であり、なおかつ、鉢底石や根や葉などをしっかりと除去し、販売時の袋に入れて持っていく、というものです。これらを行っても解決できなかった場合に、前述のコツで処理をする、という感じでいかがでしょうか。 土の再生には手間と経験を要するため、経験を積みたいのであれば、それはそれで大変よいことではありますが、家庭という限られた環境で植物を育てるのであれば、植物のためにも、再生よりもまず破棄の手立てを考えるほうが、僕はよいと思います。 【土壌再生に用いる資材とは】 土を再生(改良)するには、堆肥やもみ殻、くん炭、油粕などの有機質資材、バーミキュライトやパーライト、ゼオライトなどの無機質資材、ポリビニルアルコール系資材などの高分子化合物、そして石灰、といったものを目的ごとに配合を調整して土に加えます。しかしそれらには知識と経験が必要なため、プロの手でバランスよく配合された市販の「土再生材」というものがホームセンターなどで販売されています。手軽に扱えるので、これから土再生にチャレンジしてみたいという人には、後者をおすすめします。 【お悩み5】植物が育っていくにつれ倒れないようにするには、土をどのようにすればよいですか? いつも楽しみにガーデンストーリーを読んでいます。私は、庭で植物を育てていますが、背の高くなる、ジギタリスとか、ストック、カスミソウなどが、育っていくにつれ、苗がふかふかになって倒れてしまいます。土がふかふかになりすぎているのでしょうか? ちなみに、土は家庭ごみなどを堆肥化した有機堆肥を入れています。 (関東 50代 女性) 関さんの答え ジギタリスに関しては、成長過程で支柱は絶対必要になってくると思いますが、ストックはそこまで大きくなるイメージはないですね。カスミソウは、やっぱピンチ(摘心)しないで伸ばしっぱなしだと、上に比重がきて、ぐらつく感じになっちゃうんで。カスミソウはもともと茎が強い植物ではないので、こまめに支柱を組んであげるか、成長期前に何回かピンチをして幹を大きくして、脇芽で大きくして低くこんもり大きい形にするしかないと思います。 土がフカフカにというのは、おそらく堆肥が多いのかな。コンポスト(家庭で出る生ゴミなどから有機肥料を作ること)をお使いとのことですが、その比重が多くてふかふかしすぎてるのかもしれませんね。もしそうならば、解決策としては、普通の培養土を多めに入れて、赤玉土とかも配合して、植えるときにきっちりと押しておくといいですね。そして、やっぱり大きくなるものは支柱だったり、ピンチや剪定は必要になってくるので、そうした作業をしながら様子を見ていくのがベストかなと思います。グラグラしちゃうのは、しょうがないんですよ。陽当たりが悪くて徒長して細長く育って、倒れがちになっちゃうというのは、よくあることなんで。 まぁ、切るのが怖いのは分かります。花が咲かなくなると思い込んでる人が多いので。でも実際はその逆なので、ここは勇気を出して剪定をして、株を大きくして、強い幹を作るのが最良の方法だと思います。 【お悩み6】美味しいトマトが育つ土の作り方を教えてください ベランダで家庭菜園をしようと思います。まずはトマトを育ててみようと思います。美味しいトマトをたくさん作るには、土はどうすればいいですか? (九州 60代 男性) 関さんの答え まず、そもそもトマトは難易度が高いんですよ。家庭菜園のスタートでトマトを選ぶこと自体が、まず間違い。僕はおすすめしません。でも、ミニトマトならOK。まずはミニトマトから入ることをおすすめします。 なぜトマトが難易度が高いかというと、基本的にデカいものって難しいんですよ。八百屋さんやスーパーで売っているような形になる前に、まず実割れするし、病気にもなるし、「美味しいトマトをたくさん作るには」といいますが、そもそも、ベランダ栽培でたくさんは採れないと思います。腰砕けにさせてしまうようで申し訳ないですが。ベランダの環境がどのようなものかは分かりませんが、仮に午前中だけしか陽が当たらないようなベランダでは、よい土を使ってもおそらく実はならないでしょう。なったとしても、変形していたり、あまり美味しくないものが2〜3個ってところでしょうか。 野菜はね、そんなに簡単じゃないんですよ。それでゴロゴロできるようなら農家は商売上がったりですからね。食卓に並べられるトマトを本当に育てたいなら、日の出から日の入りまで太陽が当たる環境、要は畑ですよね。これが一番です。地区で共同で運営している「共同農地」などを借りてみるのはいかがですか? そうすれば、かなり条件も揃いますよ。 もちろんベランダでも栽培はできます。僕も実際にやってましたし。ただ、日照条件もクリアし、土も一から作るのが一番ですが、市販の培養土を使うのなら、メーカーによって養分の配合率も異なるので、まぁ一概には言えませんが、それにプラス堆肥を入れて、水はけをよくするために小粒の赤玉土を混ぜるなど、手を加える工夫も必要です。肥料も大事だし、仕立て方や、特にトマトは重量があるため、1本の茎で育てる場合は、脇芽を出さないようにする「芽かき」も大事なんです。そういうトータルな条件や、かけた手間の向こうに、大量の収穫があるんですよ。なので、ベランダという条件が限られた空間で手軽に収穫を楽しみたいのであれば、比較的簡単なミニトマトを植えることをおすすめします。ミニトマトは上手になれば、ベランダでも1苗で50個くらい収穫できますから。ただ、これも日照がどのくらいかで変わってきます。 とにかく、大きい野菜はベランダでは難しいですよ。ミニトマトに対して、普通のトマトって握り拳くらいあるわけですから、必要とするエネルギーもかなり大きいわけです。極論かもしれませんが、ベランダでスイカを作ろうと思う人っていないでしょ? それに近いと思います。ベランダで家庭菜園を、というのであれば、いきなりトマトにいかずに段階を踏んだらいかがでしょうか? 最初は容易なキュウリやピーマン、ナスなどいくつか挑戦してみて、収穫までのプロセスを経験値として体得してから、改めてトマトにチャレンジするのがベストだと思います。 まぁ、朝イチの採れたての野菜は美味いですからね、気持ちは分かりますよ。野菜を上手に作るにはね、プランターは最低でも直径30cm、深さも30cmくらいは必要なので、普通にお花屋さんで売っているプランターでは難しいですよ。いかに畑に近い環境を作れるかなんで。 でもね、僕は基本的に家庭菜園をやろうっていうの、すごくいいと思います。食べることを目標に育てるって、ある意味人間の基本じゃないですか。なんやかんや言ってしまいましたが、僕の鞭打つような話にくじけずに(笑)、ぜひいろいろチャレンジしてみてください。 【ベランダ菜園におすすめの「ベジトラグ」】 集合住宅のベランダや、限られた空間で家庭菜園を楽しみたい場合におすすめなのが「ベジトラグ」。「ベジトラグ」とは、イギリスで開発された木製プランターで、一番の特徴は、植える容器部分が地面より高い位置にあることです。手入れがしやすかったり、植え付けたものがすくすく育つなど※、野菜をはじめとした植物を栽培するのに優れた形状になっているガーデニングアイテムです。そして何よりも、関さんの言われるプランターの大きさの条件も揃っているので、まさにベランダ菜園に打ってつけのプランターです! ※生育状況は日照時間など、諸条件により異なります。 ベジトラグの詳しい情報はこちらから 関さんから愛のメッセージ 皆さんそれぞれのやり方で楽しんでいると思うので、その中でこだわりが生まれてくるのって、素晴らしいことだと思います。市販の培養土でもよいものは多いので、これらを活用してもよいと思いますが、中には100円ショップで100円で売られている培養土や多肉の土を使って育てようとする人もいます。なぜ100円で買えるか、それには100円で売れる理由があるんです。それが決して悪いわけではないですが、あまりにも激安の土を使う場合、自分で何かを足すなどしてみてはいかがでしょうか? 料理をするにも、美味しくなるように味付けをするじゃないですか、そんな風に、自分でひと手間加えることによって価値を高めながら園芸を楽しめれば、楽しみの向こうに、より質の高い達成感も味わえるのではないでしょうか。 例えば、小粒の赤玉土を入れて水はけをよくしようかな、とか、元肥に堆肥を少し加えて変えてみようかな、とかすれば、植物はそういう手間にちゃんと応えてくれるものです。 ちなみに、今回は堆肥という言葉が結構出てきたと思うんですけど、僕はあんまり腐葉土を使わないんですが、これは僕の好みなんです。僕は腐葉土を使うぐらいだったら、ほとんど堆肥にしてるんで。別に腐葉土を堆肥に変えたって、多分差はないと思うんですよね。要はね、「こだわり」なんです。つまり、自分の好みを持って、こだわりをもって園芸を楽しんでほしいなって思います。土に関しては、特にそう思います。 僕は土に関してはほとんど堆肥をベースにして、そこに赤玉土を足してみたりとか、あるいは市販の培養土を少量足してちょっと土をかさ増ししたりとか。市販のものをほとんど使わないとは言いましたが、そんなふうに使う場合も稀にあります。花を植えたりするときはそうするし、観葉植物とかは赤玉土をベースに作っちゃうし。店の外の花もそうやって作ったサラサラの培養土に堆肥を多めに入れて、自分でブレンドした土を使ってるけど、むしろよく育ってくれる。水やりとかでしくじる以外に、土で直接的に植物が枯れるってことは、菌だらけの土とか、土がもともと腐ってるとかでない限りはないんですよ。なので、より自分の園芸の形に合った土作りみたいなところを目指してほしいなと思います。怖がることなく、どんどん土で遊んでみれば、それが必ず勉強になると思います。自分流の何かを足すなど、それをやることによって多分園芸がより楽しくなるような気がします。そして園芸を好きになればなるほど、自分流の土を見つけ出すことができると思うので、いつも言っている「戦い」、というのではなく、土と「戯れて」ください。 これで締まったかな?(笑) おわりに いかがでしたか? 今回の愛の叱咤激励は、いつもの「戦え」ではなく、「戯れろ」でした。土と戯れる・・・子どもの頃は公園などでよく土と戯れましたが、なるほど、大人の土との戯れ、それこそが園芸の真髄なのかもしれませんね。関さんもおっしゃっていましたが、土作りって、確かに料理にも似ていますね。皆さん、自分の土に出会えるといいですね! ガーデンストーリーでは、引き続き関さんにさまざまな質問をぶつけていきます。次回も乞うご期待です! 植物に関するお悩み募集中! 植物を育てる上でのお悩みを募集しています。お寄せいただいたお悩みは、こちらの連載『街の園芸店がお悩みを解決!』にて、園芸のプロが丁寧に回答してくれるかもしれません。 ※取り上げるお悩みは編集部にて選定させていただきます。お答えできない場合もございますので、ご了承ください。 お悩み入力フォームはこちら↓↓ https://forms.gle/vi7LXzPMD51Qgb5g9 取材協力 フラワーガーデン セキ 東京都目黒区中町2-39-15 電話:03-3712-3230 ※現在(2024年5月)一時休業中。新店舗にて再開次第お知らせいたします。 Credit 取材・文/ガーデンストーリー編集部
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観葉・インドアグリーン

観葉植物人気No.1! フィカス・ウンベラータのやさしい育て方【観葉植物基礎講座Vol.2】
フィカス・ウンベラータってどんな植物? 日常のお手入れが容易で、誰でも楽しむことができる人気の観葉植物。一鉢置くだけでお部屋のイメージもワンランクアップします。でも、種類が豊富なため、何を買えばよいのか迷ってしまいますよね。そんな方におすすめしたいのが、今回ご紹介するフィカス・ウンベラータ。まずは、どんな植物なのかを見てみましょう。 フィカス・ウンベラータはアフリカ熱帯地域に自生するゴムノキの仲間です。ゴムノキ(ゴムの木)とは、ラテックスと呼ばれる樹液が採取できる樹木の総称で、ラテックスは私たちの身の回りにあるゴム製品の原料となります。そのゴムノキが属するフィカス属は、日本ではイチジクのことを指すため、フィカス・ウンベラータはイチジクの仲間でもあります。全体的に主張強めの樹形が多い他のフィカス属の仲間に比べると、フィカス・ウンベラータは葉が可愛らしいハート形をしているためか、柔らかく、優しい印象が特徴です。ちなみに、ウンベラータの名はラテン語の日傘(ウンベラ)から来ていて、この葉を日傘に見立てるなんて、と考えると、可愛らしさもさらに増して見えてきます。 インドアユースの樹木系品種は、全体的にあまり柔らかい印象の種類が多くはないので、フィカス・ウンベラータは、そんな上品さと可愛らしさが同居した雰囲気に惹かれて購入されるケースが多いように感じます。また、育て方も比較的容易なため、初心者から経験者まで、幅広い層で人気の高い品種です。価格は、卓上サイズだと1,000円以下から2,000円くらい、ミドルサイズで5,000~10,000円前後、身の丈くらいのサイズで15,000~25,000円くらいと、あくまでも目安ですが、チョイスの幅が広いのも魅力です。ただし、この価格はあくまでも目安であり、実際は販売店や仕立てによっても変わるので、現物を確かめてから購入することをおすすめします。 フィカス・ウンベラータの育て方 置き場所 フィカス・ウンベラータの最も適した置き場所は、窓の近くなど、レースのカーテン越しに陽射しが届く恒常的に明るい部屋。直射日光は葉焼けの原因になります。葉焼けを起こすと、せっかくのおしゃれな葉も台無しになり、また最悪の場合、病気の引き金にもなってしまうため、避けたほうがよいでしょう。部屋の向きなどの関係で陽射しが入らない場合は、蛍光灯や植物育成用のLEDライトといった人工照明でも構いませんが、日中と同じくらいの時間(6~8時間)は光合成できる環境が必要です。 屋外で管理できないのか、という質問もよくいただきますが、春先から屋外に置いて慣らせば、ある程度強い光線にも耐えられる強い葉が出てくるので、決して不可能ではありません。しかし、フィカス・ウンベラータは寒さに弱く、屋外での越冬は枯れるリスクが高くなるので、基本的におすすめはしていません。 【フィカス・ウンベラータと風水】 フィカス・ウンベラータは風水でもよく取り上げられる観葉植物として知られています。これはハート形の葉=愛、また、フィカス・ウンベラータの花言葉「永遠の幸せ」「夫婦愛」に由来するもので、置き場所によっては運気をもたらすといわれています。詳細を知りたい方は風水師の方に聞いてください。 夏の管理温度、冬の管理温度 【夏の管理】 フィカス・ウンベラータは、暑さには強いですが、高温で無風の状態が続くと葉が蒸れて傷んでしまいます。在宅中は窓を少し開けたり、外出時にはサーキュレーターなどで部屋の空気を循環させるとよいでしょう。 【冬の管理】 冬場の管理には注意が必要です。フィカス・ウンベラータは低温に弱いため、他のフィカスが耐えられる温度でも、寒がって落葉してしまう場合があります。朝晩の気温差にも注意が必要です。特に冬の窓辺は昼夜の温度差が激しいため、夜間は部屋の中心に置くなどして可能な限り寒さを避けましょう。屋外管理の場合、冬の間はヒーター設置の温室に入れるなどして寒気を遮断しましょう。 【エアコンの風に注意!】 夏も冬も、エアコンの利用は特に問題ありませんが、風が植物に直接当たると、根から吸い上げた水分を葉から蒸発させる「蒸散作用」に影響を及ぼすため、風が直接当たらないように十分注意しましょう。 水やり 生育が旺盛な5~10月頃はしっかりと水を与えます。表面の土が乾いてからが次の水やりのタイミングです。土の乾き具合を考えずに毎日定量の水やりを行うと根が腐ってしまうので、必ず「表面の土が乾いてから」を心がけてください。そして水やりのときは、溜まった老廃物を押し流し、土の中をリフレッシュさせるために、鉢底からジャバジャバと水が流れ出すまでしっかりと与えましょう。 フィカス・ウンベラータは秋から冬にかけて、根の吸水率が徐々に落ちていきます。このため、生育が鈍る冬の間は水やりの頻度を少なくするのがポイントです。表面の土が乾いてから2〜3日経過した頃があげ時です。また、秋から冬場の水やりは、暖かい昼間に行ってください。寒い季節の夜間は根の吸水率が下がるため、土中に水分が残りがちで根腐れの原因にもなります。 肥料 / 活力剤等 肥料は水やり同様、旺盛に成長する時期に与えます。春は4~7月、秋は9~11月が施肥のタイミングです。緩効性の置き肥など、肥料にもいくつか種類がありますが、ハイポネックスなどの液体肥料を適宜希釈して1週間から10日に1回与えるのが、即効性もありおすすめです。夏場、あるいは植え替え後に葉が落ちるなど、調子を落としたなと思った時は、肥料は控えて活力剤を与えましょう。平均気温が25℃を上回るなど、気温がある程度高い時期なら効果が期待できます。ただし、活力剤は人間でいう栄養ドリンクに相当するものなので、肥料代わりにはなりません。 葉水の方法など、日常のお手入れ 外で生きている植物は、葉にたまったほこりや付着した虫の幼虫などは雨が洗い流してくれてリフレッシュできます。しかし室内栽培ではそうもいかないため、霧吹きで葉に潤いを与える「葉水」を行いましょう。葉水は、物理的な汚れを洗い流せるのはもちろん、葉の湿度が高まることにより、乾燥による傷みが出にくくなったり、ハダニやカイガラムシといった病害虫の予防にもなるなど、さまざまな効果が期待できます。葉水は年中行うことができます。特に乾燥する冬場はおすすめですが、必ず温度が高い日中に行うようにしてください。 葉の汚れがひどい場合は、一度葉水を行ったあと、柔らかい布で汚れを拭き取り、再び葉水を行ってください。霧吹きに入れる水は水道水でOKですが、週1回、霧吹き満量に対し小さじ半分程度の植物活力剤『メネデール』を混ぜて葉水してあげると、葉の活力アップが期待できます。 また、当店で人気の『リーフクリン』という葉面洗浄剤を使うのも効果的です。『リーフクリン』は、クリーニング効果のほか、葉面に光沢を与える効果もあるため、葉本来の生き生きとした輝きが増し、また、ホコリも付きにくくなります。 【ポイント】 観葉植物は「観葉」というように、生き生きとした葉を眺めて楽しむのが醍醐味。しかもフィカス・ウンベラータはハートの形をした大ぶりの葉が売りなので、ぜひお手入れは怠らずに、いつまでも美しい葉を楽しんでください。 剪定 樹形が大きくなりすぎた時などに行う、形を整える目的の剪定は、春から秋までの生育が活発な時期に行いましょう。健康な株であれば 剪定後2~3週間程度で新芽が複数出てきます。バランスを見ながら定期的に剪定を行うと、ボリュームのあるキレイな形を保てます。 【剪定時の注意】 前述のとおり、フィカス・ウンベラータをはじめとしたゴムノキの仲間は、葉や幹を傷付けると、傷口から白い樹液(ラテックス)が垂れてきます。このため、剪定の時は床が汚れてもよい場所を選ぶか、あるいは新聞紙などで養生して、霧吹きで切断箇所を洗い流しながら行うと、後々のお掃除が楽になります。また、この白い樹液に触れるとかぶれる人もいますので、素手で触らないように手袋をしましょう。 植え替え フィカス・ウンベラータは、2~3年に1回は植え替えをしましょう。用土は市販の観葉植物用の培養土で構いません。なぜ2~3年に1回かというと、肥料分には入っていない微量な要素が水やりで流失してしまい、生育が悪くなってくるのがこのタイミングなのです。また、古い土は目詰まりを起こすため、根が呼吸しづらくなったり、伸びすぎた根が行く場を失い、成長が止まってしまう「根詰まり」という現象が起きる可能性もあります。 植え替えは、剪定と同様に春から秋までの間が適期で、旺盛に活動が始まる5月頃がおすすめです。ただし、植え替えの際に全ての土を落とすのは避けてください。水を吸い上げている細い根も一緒に落としてしまい、あっと言う間に枯れてしまうことがあるからです。このため、もともと植わっていた土は2/3程度残し、新しい土を“補充する”という感覚で植え替えを行ってください。 病害虫 フィカス・ウンベラータを室内で管理していて発生しやすい害虫は、カイガラムシとハダニ。フィカス・ウンベラータは葉の可愛らしさが売りなので、その葉を台無しにするハダニには要注意です。ハダニは初夏以降の比較的温度が高い時期に、室内が乾燥した状態で発生しやすくなり、発生すると葉の養分が吸われ、やがて葉は黄色くなり落葉していきます。ハダニは、葉や枝にクモの巣のような細かい糸を張り生息しています。ライフサイクルが非常に短く、いったん発生すると爆発的に増えるので、葉の状態は常にチェックしておきましょう。 ハダニもカイガラムシも乾燥を好むため、霧吹きで定期的に葉水を行い、土の中が完全に乾ききってしまう水切れに注意しながら管理を行えば、ある程度は防ぐことができます。なぜ“ある程度”かというと、室内で栽培するということは、植物にとっては不自然なことなので、自生しているものに比べてどうしても病害虫のリスクは高くなります。このリスクを低減するために役立つのがサーキュレーター(送風機)。室内の空気を循環させ、より自然に近い環境に近づけるだけでも病害虫のリスクは低減できるので、サーキュレーターの使用をおすすめします。 【ポイント】 病害虫は、日頃の観察が最大の防御となります。簡単でも構わないので、毎日チェックすることを習慣づけるとよいと思います。 ペットを飼っている人は覚えておこう 同居している犬や猫がフィカス・ウンベラータの葉や幹の傷口から出る樹液を口にした場合、よだれが過剰に出る、口内を過度に痒がるなどの症状を発することがあります。また、重度の場合は痙攣などの神経症状を起こすこともあります。これらの症状が出た場合は、速やかに動物病院を受診してください。最初は軽度の症状でも、時間と共に痙攣を起こし重症化することも考えられるため、夜間であっても、夜間診療を行っている動物病院を受診することをおすすめします。 このように言うと、フィカス・ウンベラータとペットの共存は難しいのでは、と考えてしまうかもしれませんが、飼い主さんが工夫さえすれば基本的には共存は可能です。ただし、注意しなければいけないのは、好奇心が最も旺盛な仔犬期と仔猫期で、この時期は確実に触れることのできない場所に置いておいたほうがよいでしょう。 フィカス・ウンベラータをおしゃれに魅せる技 枝の作り込んである仕立てのものは、チランジア(エアプランツ)や着生植物などを引っかけて立体的に飾ることもできます。 また、チランジアはピンク色の綺麗な花を咲かせるので、まるでフィカス・ウンベラータに花が咲いたような摩訶不思議な感覚も楽しめます。 オザキフラワーパークでフィカス・ウンベラータにおすすめの映える鉢&鉢カバー7選 ファイバークレイ角鉢 見た目より軽い白いセメント調の角鉢は、どんな部屋にも合わせることができるので便利! スクエアなフォルムがフィカス・ウンベラータをとても上品に魅せます。 大人の身長くらいの植物用 サイズ:45cm角 価格:15,400円(税込) 樹脂製プランター1 コンクリートカラーにクリームイエローで一筆入れたような柄がスタイリッシュな樹脂製プランター。主張しすぎない絶妙なさじ加減が、いい感じで植物を映えさせてくれます。ご家庭はもちろん、オフィスや店舗に置くのもGoodです。 大人の身長くらいの植物用 サイズ:Φ38cm H39.5cm 価格:9,800円(税込) 樹脂製プランター2(ストーン調) ストーン調に表面加工を施し、高級感をUPしている樹脂製プランターは、どんな植物とも相性抜群! 特に、丸みを帯びたデザインが、フィカス・ウンベラータの葉の可愛らしさを引き立てます。 大人の身長くらいの植物用 価格:7,590円(税込) 樹脂製プランター3(ブラック) どんな植物も引き立てるオールマイティーな黒の樹脂製プランターは、フィカス・ウンベラータにもピッタリ! 主張が控えめな分、フィカス・ウンベラータの樹形そのものが引き立ちます。 大人の身長くらいの植物用 サイズ:Φ38cm H39.5cm 価格:9,800円(税込) セメント系のシンプルデザインの鉢 フィカス・ウンベラータの持つ味わいをさらに深めてくれるセメント系のシンプルデザインの鉢。鉢底にかけての美しいカーブが、フィカス・ウンベラータの秘める優しさと上品さを自然に引き出します。 大人の身長の植物用 価格:9,900円(税込) カゴテイスト鉢カバー1(ナチュラル&ダークグレー) 爽やかなアイランドイメージを演出するカゴテイスト鉢カバーは、亜熱帯地方出身のフィカス・ウンベラータとの相性が抜群! どんな部屋にもマッチするナチュラルカラーと、シックに決まるダークグレーの2種類をご用意しています。 ※カゴの繊維を保護するために中に受け皿を入れて使用してください。 大人の身長くらいの植物用 価格:左(ナチュラル)5,940円(税込) 右(ダークグレー)6,050円(税込) カゴテイスト鉢カバー2(クレイ:編み込み&クレイ:巻き) 落ち着いた感じのクレイカラーが上品な大人の魅力を醸し出すカゴテイスト鉢カバー。フィカス・ウンベラータと合わせることで、南国の高級リゾートを彷彿とさせます。 ※カゴの繊維を保護するために中に受け皿を入れて使用してください。 大人の身長くらいの植物用 価格:左(クレイ:編み込み)7号鉢用 2,750円(税込) 右(クレイ:巻き)5号鉢用 1,540円(税込) おわりに いかがでしたか? フィカス・ウンベラータ。ふとお邪魔した家や、オフィス、店舗などで、比較的目にする機会も多いため、観葉植物としてはメジャーな印象ですが、お話を伺っていると魅力も増し、取材者の私も育ててみたくなってしまいました。葉が大きくて存在感があるため、置く場所を選ぶように思えますが、紹介していただいた鉢カバーを合わせると、どこに飾っても部屋の見栄えがよくなりそう。そういう万能なところも、さすが人気No.1は伊達ではないですね。フィカス・ウンベラータ、迷っている人は近くの園芸店にチェックしに行きましょう! 衝動買いが待っていますよ〜(笑)。 オザキフラワーパークでは、どんな些細な質問でも常時受け付けてくれます。スタッフの皆さんがお客様一人ひとりの、今日の「分からない」を、明日の「楽しみ」に変えるお手伝いをしてくれるので、この機会にぜひ観葉植物の世界に足を踏み入れてみませんか? お話を伺ったのは…オザキフラワーパーク観葉植物担当 百瀬さん 「フィカス・ウンベラータのことならなんでも聞いてください!」と、今回お世話になったオザキフラワーパーク観葉植物担当の百瀬さん。 観葉植物全般のエキスパート百瀬さんには、今後もいろんな観葉植物を紹介していただくので、乞うご期待!





















