えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-の記事
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宿根草・多年草

明かりを灯したような花と芳香で癒やしをくれる「アマルクリナム」
夏の終わりを告げる花 お盆を過ぎて、朝晩にやや涼しさを感じ始めるころ。まだ日の昇る前の庭に出ると、明かりを灯したように輝いて庭を明るくし、豪華で存在感のある花を咲かせてくれるのがアマルクリナムです。さらには、素敵な芳香をほんのりと漂わせ、暑さとコロナ禍で疲れたココロもカラダも癒やしてくれる花です。 あまり一般に流通していませんが、常緑の光沢のある太い肉厚の剣葉は、冬でもトロピカルリゾート感を演出してくれます。 ホンアマリリス属とは? ヒガンバナ科のホンアマリリス属(Amaryllis)とハマオモト属(Crinum)の交配によるアマルクリナム属ですが、それぞれの属にはたくさんの品種が存在し、極めて複雑な世界です。 まず、アマリリスというと、一般的にはヒッペアストルム属で、多くの品種が花期には葉を展開させるのに対し、ホンアマリリスは開花時にはヒガンバナのように地上部に葉がありません。 上写真が、ホンアマリリスです。開花時は葉がありません。 ホンアマリリスにも、花の大きさや色味などの違いでいろいろな品種があります。 ヒッペアストルム属とは? 一般に流通しているのはヒッペアストルム属のアマリリスです。 ホンアマリリス (Amaryllis belladonna)はあまり流通しておらず、ベラドンナ・リリーなどの名で通販サイトで見かけることがあります。また、一般のアマリリスであるヒッペアストルム属の花は花茎が空洞であるのに対して、ホンアマリリスは空洞ではありません。 下の2枚の写真はヒッペアストルム属です。 多くのヒッペアストルム属の花は、咲き進むと雌しべの先が大きく3つに裂けますが、ホンアマリリスは裂けません。 また、ヒッペアストルム属は中南米原産であるのに対し、ホンアマリリスは南アフリカ原産と生まれ故郷も異なります。 さらにややこしい話になりますが、一般にいうアマリリス(ヒッペアストルム属)にもヒッペアストルム‘ベラドンナ’=Hippeastrum 'Belladonna' という園芸品種が存在し、アマリリス‘ベラドンナ’=Amaryllis 'Belladonna'の名前で販売されているので要注意! ハマオモト属とは? 一方のハマオモト属(Crinum)には、写真上のアフリカハマユウ(Crinum latifolium)や、写真下のクリナム・モーレイ(Crinum Moorei)などがあります。 日本のハマユウ(浜木綿、Crinum asiaticum)もハマオモト属(Crinum)です。 ハマユウは、「スパイダーリリー」とも呼ばれています。なお、ヒガンバナ科 /ヒメノカリス属のヒメノカリス=Hymenocallis(写真下)はハマユウに似ていますが、これもスパイダーリリーと呼ばれており、また混乱させられます。 ヒメノカリスは、朝顔のように花弁がつながっています。 交配親の利点を引き継いだ優良植物 さて、本題のアマルクリナムに話を戻しましょう。 アマルクリナムは品格のある花の美しさとともに、高貴な香りがして、さらに育てやすいと三拍子揃っています。庭に植えても存在感があり、これからのガーデニングにぜひ取り入れてほしい植物です。我が家の株は、育ててかれこれ15年くらい経ちますが、数年前に10号鉢よりやや大きい鉢に植え替えて鉢増しをしただけで、毎年、花を咲かせてくれています。丈夫で長持ちを実感しています。 冒頭で述べた通り、アマルクリナムはホンアマリリス(A. belladonna)とクリナム(ハマオモト=Crinum mooreiなど)の交雑種ですが、大きな艶のある葉、たくさん咲く花、クリナムの素敵な芳香と、両親のよいところを引き継いでいます。さらには、成長力旺盛で乾燥にも強く、開花時期も8~9月と一般に花が途絶える時期に咲いてくれるのが有難いです。 草丈は60~100cmにもなる大型の球根植物なので、花壇の主役としても最適です。 アマルクリナムの育て方 【栽培環境】 アマルクリナムは、肥沃な水はけのよい土壌で、日当たりのよい環境ならば、最高のパフォーマンスを発揮します。ただ、もともと亜熱帯の植物なので耐寒性があまり強くはなく、霜の降りない地域であれば戸外越冬が可能ですが、関東以北では越冬のために防寒を必要とする場合があります。寒い地方ではコンテナ植物として栽培し、冬は鉢を屋内に取り込みます。また、場所としては夏の西日は避けましょう。 【増やし方】 球根植物なので分球で増やすことができます。暖かくなった4~5月に分球します。ただし、球根が小さい場合は開花に2~3年かかることがあります。種から増やすことも可能ですが、開花に数年かかるようです。 【日頃の手入れ】 水やりは鉢植えの場合、夏は毎日、春~秋は土が乾いたらたっぷりと与え、冬は乾かし気味に管理します。地植えの場合は、特に水やりの必要はありません。 施肥は春と秋に緩効性肥料の置き肥をします。鉢植えの場合は、成長期に2週間に1度程度の液肥でも大丈夫です。 病害虫は、あまり見かけませんが、ウイルス病やハマオモトヨトウムシ、ナメクジ、アカダニ、アブラムシなどがつくことがあるようです。見つけ次第、処理しましょう。 アマルクリナムが咲く庭 アマルクリナムはグレヴィレアなどのオージープランツとも相性がよいところも、気に入っている理由です。 アマルクリナムは日本ではまだ、あまり普及していませんが、この見事な美しさと素敵な香りを併せ持つ丈夫で育てやすい植物は、きっと近い将来、人気のガーデンプランツとして注目されるでしょう。
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樹木

かわいそうな名前の美しい花木「牡丹臭木(別名カシミア・ブーケ)」
なぜ人気にならない? 夏の庭木「牡丹臭木」 毎年、梅雨明け頃、アジサイから次のステージを引き継ぐように、また、アジサイに決して見劣りせずに豪華に咲く花が「ボタンクサギ(牡丹臭木)」だ。お洒落に別名で呼ぶなら、カシミア・ブーケまたはグローリー・フラワーともいう。 私は、この素晴らしく美しい花を、将来、有望な品種だと感じていた。しかし、一向に人気が出ないし、ガーデニングの世界でも話題にならず、長年、残念に思ってきた。見た目は美しいのに、何ともかわいそうな名前だ。 確かに、葉を傷つけたり、伸びた株を引き抜くと臭い! こんなに美しいのに、天は二物を与えてはくださらないのだ。花自体には、ほのかな素敵な香りがあるのだが、どうも葉や茎のにおいに負けてしまう。 ボタンクサギのプロフィール 学名:Clerodendrum bungei 和名:牡丹臭木、 別名:ヒマラヤクサギ、ベニバナクサギ、メキシコ紫陽花 英名:Cashmere bouquet、Glory flower 科名 :クマツヅラ(シソ)科 属名:クサギ属 原産地:インド・中国南部 開花期:7~9月 樹高:70~200cm 原産地はインド・中国南部で、ヒマラヤ・インド・台湾などの海抜1,000~2,000mの高地に原生していたものがメキシコでも帰化植物となり、メキシコ紫陽花という名前もある。日本国内でも九州では帰化植物として一部、野生化しているようだ。 粒々のつぼみを次第に膨らませて、6月の末に咲き始める。 花期は一般に7~9月だが、神奈川の我が家では11月頃まで咲き続けることもある。 他国での呼び名に救いを求めて別名を調べる ボタンクサギは、20年位前から我が家に植わっていて、咲くたびにその美しさに感動し、幾度か「他の呼び方はないものか?」と、海外のサイトを含め検索をしたことがあった。 まず、Clerodendrum bungeiの学名からヒットしたのが英名「カシミア・ブーケ(Cashmere bouquet)」だ。おお美しい! お洒落な名前。救われる思いだった。 そして、世界で最も信頼されている園芸サイトの一つ、RHS(The Royal Horticultural Society・英国王立園芸協会)のサイトで、Clerodendrum bungeiの俗名が「glory flower」であることを見つけた。なんだか嬉しい。 Glory flowerというとMorning glory=アサガオも指してしまうようだが、ボタンクサギが「栄光の花」とは、汚名を返上する事ができたようで嬉しい。 Clerodendrum bungeiの他に、同じクマツヅラ科のClerodendrum philippinum(ヤエザキクサギ)もCashmere bouquetと呼ばれており、Cashmere Bouquet Mild Beauty Bar Soapという固形石鹸まで売られているのだ。 ボタンクサギと呼ぶにはかわいそうな、この可憐な花を「カシミア・ブーケ」と呼ぼうではないか。 ボタンクサギの育て方とコツ 最近、NHKニュースで、ボタンクサギが綺麗な滋賀県のお寺「湖南三山 長壽寺」が紹介されていた。テレビで「ボタンクサギ」を見るのは初めてである。「おお、いよいよボタンクサギもテレビで紹介されるようになったか!」と嬉しかったのだが、もう一声、「別名、カシミア・ブーケとも呼ばれています」と付け加えてほしかった。 こんなに美しい花なのに、あまり人気がないのは、やはり葉をむしると独特なにおいがするのと、地下茎でとんでもないところまで伸びて暴れるからだろうか。地下茎は、周りに根止めフェンスを施しておけば暴れるのを防ぐのに効果がある。 しかし、暴れるということは、丈夫で元気な証拠。比較的、放置状態でも育つ。そして、よく観察すると、咲きかけから咲き終わるまでの花姿の変化が面白い。 【植え付け場所】 アジサイと同じ環境で育つといわれているので、ある程度の日照があったほうが花付きはよくなるが、西日は苦手。 原産地がインド・中国南部の高地の亜熱帯植物で、耐寒温度はマイナス5℃程度と比較的寒さには耐えるが、どちらかというと暖かい地域に適している。関東以西では露地植えも可能だが、関東以北では鉢植えにして、冬は屋内で管理する。 なお、繰り返しになるが、地植えの場合、地下茎が思わぬところまで伸びるので、根止めフェンスで囲っておくのを忘れずに。 【水やり・施肥など】 地植えは根が安定した後の水やりは不要。鉢植えは、土の表面が乾いてきたらたっぷりと水を与えよう。 施肥は、春~夏の成長期に緩効性肥料を株元に施すとよい。 病害虫は特になく、肥沃な土壌を好む。 【増やし方】 株分け、または挿し木で増やすことができる。株分けは3月中旬~下旬、挿し木は6~7月が適期。 最近は、斑入りの品種で‘ピンク・ダイヤモンド’(Clerodendrum bungei 'Pink Diamond')なども出回り、ますますお洒落になった姿にうっとりしている。 苗の取り扱いのある「おぎはら植物園」によると、ボタンクサギは色合いが綺麗で、強健でよい植物なので、人気商品になっているのだそう。 欠点は、ひこばえで増えすぎたり、ひこばえでは斑が消えることもあるそうで、極寒冷地では露地で越冬できないので注意が必要とのことだった。 カシミア・ブーケの存在、ご存じだったでしょうか? ブーケに加えても見応えのあるひと束になります。お洒落な庭木として一緒に広めていきましょう!
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ガーデニング

庭が明るくなる! カラーリーフの樹木を植えよう
葉を愛でる庭づくり 多くの日本の家庭の庭では、初春の梅やミモザの開花に始まり、春から初夏にかけては、椿、アメリカハナミズキ、ツツジ、バラ、アジサイと、次々とバトンタッチするように花が咲く花木が植えられています。5〜6月の華やかなバラやアジサイの季節が過ぎると開花は一段落。少し庭の様子も寂しくなるなぁと感じている方がいらっしゃるかもしれません。そんな梅雨以降に活躍するのが「カラーリーフ」の樹木たちです。 25年以上前になりますが、ガーデニングに興味を持ち始めてから、海外の園芸雑誌を購読するようになりました。それは、例えば英国王立園芸協会が発行する『The Garden』や、アメリカの『fine Gardening』です。そうした雑誌に紹介される庭は、日本の園芸雑誌に登場する庭と大きく違うことに、ある時気がつきました。日本の雑誌では「花いっぱい」や「バラいっぱい」の庭が情報の中心でしたが、海外の雑誌の庭は緑がいっぱいで、植物の表情が豊かでお洒落に感じたのです。 イギリスの庭を見て感じたこと 雑誌を見比べて思ったことは、実際にイギリスの庭巡りをした時にも感じました。 訪れたのは6月で、バラが終わりかけていた季節でしたが、「ヒドコート・マナー・ガーデン」のボーダーは、花が少ないのに、とてもお洒落で表情豊かだったのです。 もちろん、それは庭の広さの違いが大きな原因の一つなのは明らかではありますが、海外の庭には、カラーリーフの樹木や、カラーリーフの下草、グラス、羊歯など、いわゆる「葉物」がたくさん使われていることに気づきました。日本でも、ガーデニングブームによって、カラーリーフが庭や寄せ植えに多く使われるようになりましたが、ここで改めて、僕が20年余り育ててきた、おすすめのカラーリーフをご紹介したいと思います。 自宅の庭を彩るカラーリーフ 我が家のカラーリーフは、大きく2つのグループに分けることができます。 【グループ1】イングリッシュガーデンなどに見られる、しっとりお洒落なカラーリーフ 【グループ2】ドライでカッコイイ、オージープランツ系 この2つのグループに分けて具体的にご紹介しましょう。 おすすめのカラーリーフの庭木 【グループ1】しっとりお洒落なカラーリーフ編 ①ネグンドカエデ‘フラミンゴ’ 学名:Acer negundo 'Flamingo' 北アメリカ原産で、カエデ科の落葉樹です。 魅力は何といっても、新緑の季節の美しいピンク色の新芽。そして、斑入りの白い部分が多いことから、茂っても明るく、軽やかな印象です。 日本古来の庭木、例えばモッコクや椿、シラカシなどは、成長すると庭を暗くしてしまいます。和風の古い庭をリニューアルして洋風にするなら、この'フラミンゴ’は、おすすめの樹木です。 暑さ寒さに強く、僕の庭歴20年間で病害虫も発生せず、半日陰でも育っています。「庭が暗いなあ~」と感じたら、この明るいネグンドカエデ‘フラミンゴ’を植えてみましょう。 成長が早いので、夏に木陰や隣家との目隠しが欲しいという方にもぴったりです。ただし、成長が早いということは、剪定もきちんとする必要があります。休眠期の12~2月頃に剪定をします。場合によっては、5~6月頃に軽く剪定すると、もう一度ピンクの新芽が楽しめます。地植えの場合、施肥は必要ありません。 ②斑入りセンダン‘フラッシュ・ダンサー’ 学名:Melia azedarach ‘Flash Dancer’ 斑入りのセンダンですが、本品種の育種者が、「“斑入りセンダン”と呼ばないでほしい! 大きな葉が風になびく姿は、まさにダンシング!」とのことで、フラッシュ・ダンサーと呼んでいます。とても明るく素敵な樹木です。フラッシュ・ダンスって、中高年の方は、青春の映画を思い出して、体を動かしたくなりますね。 センダンは落葉高木ですが、斑入りのこの品種は成長が遅く、狭い庭には最適です。街中であまり見かけることもなく、とてもお洒落感のあるカラーリーフの庭木です。 ③ナンキンハゼ‘メトロ・キャンドル’ 学名:Sapium sebiferum ‘Metoro Candel’ トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木です。 5月の新緑はライムイエローの葉ですが、6~7月には新芽が赤く色づき、まさにキャンドル。驚異的に美しいカラーリーフです。秋には紅葉します。春から秋まで、変化しながら素晴らしい色彩を放つカラーリーフです。 我が家では、6~7月のキャンドル状態が2階のテラスからよく見えるように、3~4mの高さに育てています。 よそではめったに見かけないので、ちょっと自慢できる木です。 ④ネムノキ‘サマー・チョコレート’ 学名:Albizia julibrissin 'Summer Chocolate' えっ? サマー・チョコレートって、夏の冷菓? と思わせるネーミングですが、銅葉のネムノキです。 20年ほど前にブームになった、銅葉植物の代表選手です。当時、インターネットによるガーデニングの世界で話題になった品種で、かなり高価でしたが購入してしまいました。ずっと鉢植えで育てていて、2年前に地植えにしましたが、まだ樹高2m程度です。 「黒い葉=暗い」と思われるかもしれませんが、シルバーリーフとの相性や、他の花を引き立てるには素晴らしい色彩です。 以上が、我が家で20年以上、共に生き、潤いを与えてくれ、また時には癒やしてくれているカラーリーフの庭木です。 おすすめのカラーリーフの庭木 【グループ2】オージープランツ編 さて、我が家にはもう一つ、趣を異にするドライでカッコイイ系のカラーリーフのグループがあります。それは、これまでも多数ご紹介してきたオーストラリア原産の植物「オージープランツ」です。オージープランツは個性的な花が多いですが、葉も個性的でカッコイイのです。 春にオージープランツで寄せ植えを作りましたが、花のみならず、葉にも注目してみてください。特に、エレモフィラ・ニベアや、ピティロディア‘フェアリーピンク’の銀白色の葉は、他にはない魅力的な色合いですね。 我が家の庭から、オージープランツの葉を集めてみました。 比較的小さな葉のオージープランツ 左上から 1.ユーカリ・シデロキシロン・ロゼア 2.ユーカリ・ポポラス 3.ユーカリ・マクロカルパ 4.パールアカシア 5.アカシア・コベニー(ブルーブッシュ) 6.アカシア・ブアマニー 下の段の左から 7.ピティロディア‘フェアリーピンク’ 8.ウエストリンギア 9.エレモフィラ・ニベア 10.ピンクの花をつけた斑入り葉のクロウエア 11.表と裏の葉を並べたコースト・バンクシア 12.レモンマートル 13.実を付けたドドナエア 14.黄緑色の葉、メラレウカ‘レボリューション・ゴールド’ 15.右隣はメラレウカ‘レッドジェム’ 16.斑入りはミントブッシュ それぞれに、とても明るい色合いですね。 ユーカリのシルバーリーフは人気ですが、ポポラスの葉はハート形で可愛いですね。 ユーカリのマクロカルパは巨大な花も有名ですが、ホワイトシルバーの大きな葉もとても魅力的です。 従来、アカシアといえばミモザのことで、ネムノキを思わせる葉でした。しかし最近は、シルバーリーフのパールアカシアや、ブルーがかったブルーブッシュなど、葉を楽しめる品種が人気上昇中です。庭に植えると、とても明るく映えます。 ピティロディア‘フェアリーピンク’の葉も白く、初めて見た時は驚嘆しましたね。 エレモフィラ・ニベアは20年くらい前から日本に出回り始めました。当時の私は、初めてその姿を見て、あまりの美しさに感動し、数分間放心状態になってしまいました。 ウエストリンギアは、斑入り品種が多く流通していて、最近は庭の低木として人気が高まっています。 個性的な葉が魅力のグレヴィレア 次は、グレヴィレア3種です。先にご紹介したように、オージープランツにはシルバー系が多いので、普通の緑がかえって新鮮ですね。グレヴィレアは葉の色よりも個性的な形に注目です。 17.表裏2枚並べたグレヴィレア‘ムーンライト’。太陽が当たるとシルバーに光ります。 18.ギザギザの葉は、グレヴィレア‘ロビンゴードン’。‘ココナッツアイス’や‘ピーチ&クリーム’も、ほぼ同じ葉です。 19.グレヴィレア・ロブスタ ご覧の通り、それぞれ花のない時期でも葉が楽しめます。 バラの花にも負けないほど豪華な花の‘ムーンライト’。最近、人気急上昇です。 ‘ムーンライト’の葉は、太陽に当たるとシルバーに光り、青空に映えます。 人気絶頂のグレヴィレア‘ロビンゴードン’。オージープランツの中でも一番人気で、花とともに、葉も個性的で注目です。 巨大葉ディクソニア・アンタクティカ そして、オージープランツらしい写真の巨大葉は、ディクソニア・アンタクティカです。 太古の昔から悠久の時を経て、磨き抜かれた美しさです。我が家の羊歯は、胞子から育てて25年になります。 小さな庭に葉を広げて存在感を発揮するディクソニア・アンタクティカ(中央)。右手前のブルーブッシュ、ニューサイラン、左奥にこんもり茂るメラレウカ‘レボリューション・ゴールド’などと組み合わせると、ワイルドでカッコイイ庭風景に仕上がります。 1枚の葉の長さは、なんと僕の背丈を超す約2m! こんなに巨大ですから、存在感を発揮するのもご納得いただけるかと思います。 コルディリネとニューサイラン 最後にご紹介するのは、最近人気のコルディリネとニューサイランです。厳密にはほとんどがニュージーランドの原産で、葉は非常に似ていますが、性質の違いで2種を見分けることができます。その違いは、幹が育って樹木になるのがコルディリネで、ニューサイランは幹ができない多年草ということということ。 左から4枚がコルディリネで、右から5枚がニューサイランです。 20.コルディリネ‘トーベイダズラー’ 21.コルディリネ・オーストラリス 22.コルディリネ‘エレクトリックピンク’ 23.コルディリネ‘レッドスター’ 24.ニューサイラン‘レインボークィーン’ 25.ニューサイラン‘ブラックアダー’ 26.ニューサイラン‘ピンクストライプ’ 27.ニューサイラン・バリエガータ。葉の長さが2m以上に成長する大型の品種です。 この葉姿を持つコルディリネやニューサイランは、シャープでスタイリッシュな庭を演出してくれます。 我が家のフロントの花壇スペースは60×250cm程です。 コルディリネやニューサイランは、このような狭いスペースでもカッコイイ植栽ができるのが魅力です。 上写真の花壇には、コルディリネ2種とニューサイランを3種4株植えています。他にアガベ4種を植えたドライガーデン風ですが、日本の四季の変化のよさも意識して、季節感を出すために、ジャカランダやグレヴィレア、リューカデンドロン、そしてカンガルーポー、ヘメロカリスなども植えています。 オージープランツは個性的で、葉の形と色合いもさまざま。それらを組み合わせることで、今までのガーデニングとは趣向の異なる楽しみ方もできます。創造性と可能性に満ちた、オージーガーデニングを始めてみませんか?
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観葉・インドアグリーン

個性的なビカクシダ(コウモリラン)をカッコよく飾ってみよう!
ビカクシダの名前の由来・形状など基本情報 ビカクシダ(学名Platycerium)は、漢字で書くと「麋角羊歯」。つまり鹿の角のようなシダという名称です。英語の俗称では、「Elkhorn Fern」または「Common Staghorn Fern」で、こちらも共通して鹿の角という意味ですね。では、別名のコウモリランはなぜ「ラン」なのでしょう。垂れ下がる姿がコウモリに似ているのは見た目で分かりますが、シダなのに、「コウモリシダ」ではなく「コウモリラン」とはこれ如何に? 余談になりますが、キミガヨラン、リュウゼツラン、クンシラン、マツバラン、オリヅルランなど、蘭ではないのにランと呼ばれる植物はいろいろあります。これは、葉が蘭に似ているからという説と、江戸時代・明治時代に日本に紹介された珍しく高価な植物には「蘭」を付けたという説があります。まあ、コウモリランは、きっと後者ですね。では、本題に戻りましょう。 学名はPlatyceriumで、語源はギリシャ語のplatys (広い)と keras (角)の2語からなる「広い角」を意味し、葉の形がオオシカの角に似ていることに由来します。種類は、世界中に18種あるとされています。 日本で主にビカクシダとして流通している、Platycerium bifurcatumは、オーストラリアのクィーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、そして、ニューギニアやジャワ島の熱帯原始林で樹木の着生植物として原生しています。株は最大で高さ・幅ともに1m程に成長し、鹿の角形の葉裏の先端に胞子嚢(胞子の入った嚢)をつける胞子葉と、上のほうに包み込むように伸びる、やや茶色がかった枯れたような色の貯水葉(外套葉)があります。この2つのタイプの葉を持つのがビカクシダの特徴です。貯水葉は自然環境の中で、雨水を溜め込むとともに、上方から落ちてくる枯れ葉や野鳥などの糞を栄養素として取り込む機能があるとされています。 よく見ると、貯水葉の葉脈も綺麗です。 胞子葉の表面は、すべすべしています。 ビカクシダの育て方と管理 僕が育て方を解説する際、必ず触れているのは“原生地の環境を知る”ということ。のびのびと成長している自然環境に近づけてやれば、よく育つはずだからです。 ビカクシダの原生地は熱帯から亜熱帯地域で、ジャングルに生えている樹木に着生しています。つまり、ある程度の太陽光と気温、そして湿度を保つ必要があります。 日本での育て方の資料によると、冬は10℃程度を保つようにと書かれているものが多いようですが、オーストラリアだと、同じPlatycerium bifurcatumでも、5℃程度という表現が大半です。恐らく5℃というのは、オーストラリアでは比較的寒いメルボルンあたりでも、「外で越冬します」ということでしょう。日本でも都内では、屋外で越冬しているのを見たことがあります。凍らなければ多少傷んでも越冬するようです。しかし、やはり冬は屋内で越冬させるほうが無難でしょう。 【日当たり】 シダなので日陰で育つと思われがちですが、真夏の直射日光は避けつつも、しっかり日光や風に当てたほうが、丈夫に育ちます。ですから、夏は屋外の半日陰になる木の下など、風通しのよい場所で育てましょう。特に冬は屋内でしっかり日に当てます。そして天気のよい暖かい日には、外で日光浴をさせるのもよいでしょう。日光と通風は病害虫の予防にもなります。 【水やり】 春から秋の成長期は、鉢植えならば用土が乾いたらたっぷりと、冬は乾燥気味に管理します。板などに着生している場合は、成長期には乾いたらバケツの水に浸けるとよいでしょう。冬は乾燥気味にします。 【肥料】 成長期に、観葉植物用の液肥を規定通りに希釈し、2週間に1度程度与えます。 【病害虫】 ビカクシダの主な害虫はカイガラムシ、ナメクジ、アブラムシ等で、風通しや日当たりが悪いと発生します。見つけたら駆除してください。 病気には、カイガラムシやアブラムシの糞から発生する灰色カビ病の他に、うどんこ病や立ち枯れ病があります。予防策は、日当たりや風と通しをよくすることを心がけて、病気に負けないよう丈夫な株に育てることです。 【植え替え】 もともと着生植物なので、基本的にあまり植え替えは必要ありませんが、よほど大きくなってきたら植え替えます。植え替えの適期は気温の高くなった5~8月です。 植え替えたあとは、しっかり根付くまで風通しのよいところで水やりを続け、根付いたら水やりペースを通常にもどします。 【増やし方】 貯水葉の下から出ている株を切り取って、株分けします。または、胞子葉にできた胞子を採取して、熱湯で殺菌したバーミキュライトか種まき用土を鉢に入れ、胞子をまきます。そして、開口部を食品用ラップフィルムで覆って、縁を輪ゴムなどで止めてカビなどの雑菌が入らないようにします。乾燥を避けるために鉢はトレイで腰水に浸け、明るい日陰に置いて20~25℃を保つと、約1カ月半で発芽します。これは、かなりマニアックな作業です。 ビカクシダの種類 ビカクシダは、葉の形や大きさの違いでいくつかの種類があります。主な品種3つをご紹介しましょう。 ビフルカツム 英名:Platycerium bifurcatum 日本で主にビカクシダとして園芸店やホームセンターで流通している品種です。Platycerium bifurcatumは、暑さ寒さに強く、室内であればほぼ越冬でき、管理しやすく育てやすくオーストラリアのクィーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、そして、ニューギニアやジャワ島の熱帯原始林で樹木の着生植物として原生しています。 株は最大で高さ・幅ともに1m程に成長し、鹿の角形の葉裏の先端に胞子嚢(胞子の入った嚢)をつける胞子葉と、上のほうに包み込むように伸びる、やや茶色っぽい枯れたような色の貯水葉(外套葉)があります。この2つのタイプの葉を持つのがビカクシダの特徴です。貯水葉は自然環境の中で、雨水を溜め込むとともに、上方から落ちてくる枯れ葉や野鳥などの糞を栄養素として取り込む機能があるとされています。 ビーチー 英名:Platycerium Veitchii オーストラリアのクイーンズランド州に自生し、シルバーエルクホーンシダまたはシルバースタッグホーンシダと呼ばれ、やや白い胞子葉が特徴です。それは胞子葉に星状毛と呼ばれる白っぽい毛が生えているためで、星状毛は触りすぎると剥がれるので注意が必要です。また、胞子葉は上に向かってまっすぐ伸び、貯水葉は深い切れ込みが入っているのが特徴です。観賞用の品種として、英国王立園芸協会のガーデンメリット賞を受賞しています。 コロナリウム 英名:Platycerium coronarium 南アジアとインドシナ半島が原生の大型の品種です。貯水葉が最大で2m、胞子葉は切れ込みが多く、ウェーブしながら細く垂れ下がり、最大4m以上になります。 貯水葉の形が王冠(英:crown,ラテン語:corona)かのような所からコロナリウムの名が付いたとされます。 創造願望を満たす「ビカクシダの壁掛け」作り 【用意するもの】 ビカクシダの小さな苗(数百円) 苗の根元部分が収まる程度のサイズで、厚み1.5cm以上の板切れ(ホームセンターの工作室の横などに並ぶ木材の切れ端でもOK) 水苔 長さ1cm程度の木ネジ10本 麻ひも、またはテグス(釣り糸) 針金 ドライバー キリ(あれば) 鉛筆 定規 【作り方】 定規と鉛筆で、均等に8本の木ネジを立てる位置決めをする。 キリでネジを入れやすいようにしておくと、この後の作業がラク。 8本のネジを印の位置に立てて打つ。後で麻ひもを掛けるので、ネジの頭部は少し浮かせておく。 裏側上部に2本の木ネジを打ち、額を吊り下げる針金を付ける。 2本の木ネジに針金を固定する。 あらかじめ適度に湿らせた水苔を板に敷く。 ビカクシダの苗の根を少しほぐし、余分な土は取り除く。 葉が真上に向くように、水苔の上に苗を置く。 根鉢をやさしくつぶして、少し平たくする。 根鉢の周囲を湿らせた水苔でまんべんなく覆う。 ここからは針金掛けをスタート。まず1カ所の木ネジに針金の端を固定する。 苗を板に固定することをイメージしながら、針金をしっかり対角線の木ネジにかけ、次は1つずつずらして板に対して横、斜め、縦と木ネジにひっかけながら、水苔に包まれた根鉢を板に固定する。 最後の木ネジに針金をかける。 木ネジが露出している場所は、水苔を追加すると見栄えがよい。 適度な日当たりで風通しがよい壁にかけたら完成! 僕とビカクシダ、そしてビカクシダから学んだこと 昨今は、花も咲かないのにビカクシダに熱い視線が集まっているようですが、人々がこのコロナ禍にビカクシダに興味を持ち始めた理由が、僕には何か分かるような気がするのです。僕が初めてビカクシダを「カッコイイ」と感じたのは、もう30年以上も昔、赴任先のメルボルンで、一軒のレンガ造りの邸宅の玄関ポーチに、巨大なビカクシダが着生して育っているのを見つけた時でした。それまで、正直なところ、「コウモリラン」には陰気で不気味なイメージを抱いていたのですが、それを見て「一目惚れ」してしまったのです。 その後、帰国してさまざまなオージープランツを育ててきましたが、ビカクシダが似合うのは「レンガ造りの邸宅」というその印象が刷り込まれていたことと、寒さに弱いので、日本の家屋で育てるには「対象外」と思いこんだままで、長いこと手を出さずにいました。 ところが20年近くの歳月が流れ、定年退職後に相談員として勤務した都市緑化植物園の温室で、巨大なあの「コウモリラン」と再会したのです。そこに育つ株は、推定樹齢は20年以上。ただし、植物園の温室で栽培されているビカクシダは、立派で素晴らしいものの、イマイチ、メルボルンのレンガ造りの邸宅の壁で育っていた、あの「カッコ良さ」が感じられなかったのです。 長年、ガーデニングをやってきて思うのが、大自然の中の植物は美しいけれど、現代人が感じる「カッコ良さ」というのは、植物本来の美しさやエネルギーに、人間の感性や創造性を加味し、人工的にファッション、あるいは芸術として表現したものではないかということです。 そんな思いから、数年前に小さなビカクシダを1株購入し、観葉植物として育てて部屋で飾って楽しんでいます。 今コロナ禍で、人々にビカクシダが人気なのは、「部屋に緑を!」という願望に加え、花も咲かず、ある意味、単調な容姿であるがゆえに、育てる人の感性で自由に個性的な表現がしやすいからではないかと思ったりするのです。コロナ禍の引き籠り生活で、誰もがストレスを感じていることと思いますが、ビカクシダは場所も取らず、壁でもハンギングでも、手軽に主(あるじ)の個性と感性、さらには芸術創造願望への充足欲求すら満たしてくれる植物なのではないでしょうか。 まだまだ、もうしばらく続きそうなコロナ禍の巣籠り生活ですが、コツを覚えればビカクシダを育てるのは難しいことではないのでぜひ挑戦して、ビカクシダと共に豊かに、創造的に楽しんでみませんか?
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イベント・ニュース

日本初のオーストラリア植物の図鑑『はじめてのオージープランツ図鑑』著者インタビュー
ガーデンストーリーにご紹介してきた品種も多数登場 2020年来のコロナ禍で、おうち時間が増えたことにより、いまガーデニングブームが再来しています。特にオージープランツが若い世代を中心に人気で、オージープランツの苗が品不足だといいます。そんな中で、書籍『はじめてのオージープランツ図鑑』が発売されました。 私は、オーストラリアに駐在したことで魅了されたオーストラリア原産の植物を帰国後30年間、栽培し続けてきました。実体験から得た日本での栽培のコツを分かりやすく解説しながら、育てやすい品種や流通する品種を見やすく一冊にまとめたのが本書です。また、オージープランツに似合う南アフリカの植物や、最近流行の「ドライガーデン」に用いられる植物なども解説しています。 ●日本初のオーストラリアの植物図鑑『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版社)のご購入はこちら これまで、日本ではオージープランツに特化した図鑑や育て方を詳しく解説した書籍は無かったところに、私が著者として初めて発行させていただくことは、大変光栄に思います。 当サイト「ガーデンストーリー 」では、4年前の公開スタートから毎月連載としてオージープランツをテーマに記事を書かせていただきました。その3年間の情報整理と蓄積が書籍化の助けとなりました。また、書籍担当者さんも、「ガーデンストーリー」の愛読者となってくれました。 庭木・草花200種を網羅した図鑑作成 図鑑というからには、100種、200種は掲載したいもので、一番苦労したのは写真のセレクトでした。 PCの中には、私がこれまで20年間、撮影し続けてきたオリジナル写真が約20万枚あり、その中から選び出した200種のオージープランツを掲載することができました。これまで、私が撮影の際に意識してきたのは、花のアップではなく、周りの風景の中で、その花があることで如何に庭が美しく見えるかという観点でしたから、図鑑用にセレクトするというのは、少々骨の折れる作業でした。 さまざまな種類の苗を入手し、育てて開花する過程をコツコツと撮りためてきたおかげで、約500枚の写真を使った図鑑となりました。なかには、メルボルンや西オーストラリアに旅行に行った際に撮った、現地の様子などの写真も収録されています。 学名や流通名、育て方などを丁寧に解説 写真が決まったら、次は各植物の基本的な情報として、学名や育て方を含めた文章の作成です。これもまた一つの難関で、その写真の属名+種小名を明らかにするのに細心の注意を払いました。 参考文献はすべてオーストラリアの図鑑などだったため、英語との格闘です。まるで受験勉強でもしているような日々でした。原産地も州ごとの単位まで明らかにし、開花時期、樹高、育て方などを調べるのに、大変な労力と時間を費やしました。 オージーBBQやお菓子づくりなど7つのコラム 間違いの許されない「図鑑づくり」はとても緊張する作業で、途中、幾度も投げ出したい気持ちになったものです。そんな時に救われたのが、出版社との打ち合わせで確認した「学術書ではなく、楽しめる図鑑」であり、「遠藤さんらしさが出る図鑑」という点でした。自分でも、「学者でもなく、30年間オージープランツを楽しんできた趣味の人間なので背伸びはしない」と決めており、コラムでBBQやお菓子づくりに触れたり、巨木ユーカリと環境問題などのコラムを挿入するなど、息抜きができる図鑑を目指しました。 上手に育てるヒントや育て方、実例集と盛り沢山 見本誌が届いたときは、感無量でした。 今振り返ると、コロナ禍だからこそ集中して執筆できたことや、たまたまオーストラリアで5年間を過ごし、その後30年近く、オージープランツを育ててきた自分だからこそ出来たことだと思えてきました。私でも、微力ながら、日本のガーデニング文化の振興に貢献できたなら嬉しく思います。おうち時間に、是非、個性的で明るいオージープランツたちの写真を眺め、親しんでいただき、オージープランツの魅力を身近に感じていただけたらと思います。 本書の紹介ビデオも制作しました。ご覧ください。 BGMはオーストラリアの愛国歌のWaltzing Matilda(ワルチング・マチルダ)です。 https://youtu.be/9dQsF42VZ0I 図鑑と併せて読みたい! Garden Storyに登場した33種! 春夏秋冬一年中咲く! 驚異の花木「グレヴィレア‘ロビンゴードン’」 ファッショナブルな花木、グレヴィレア‘ムーンライト’に注目 美しき異国の花、ジャカランダの魅力とは 長寿の宿根草「アガパンサス」【オージーガーデニングのすすめ】 オーストラリアの木生羊歯【オージーガーデニングのすすめ】 ブラシノキで鳥がさえずる心地の良い庭づくり【オージーガーデニングのすすめ】 日本に向く「ユーカリ」の育て方【オージーガーデニングのすすめ】 「ハーデンベルギア」の魅力と育て方【オージーガーデニングのすすめ】 これからの庭木「バンクシア」に注目! 育て方と種類をオージープランツ栽培の達人が伝授 スタイリッシュな花「ストレリチア」【オージーガーデニングのすすめ】 ダンディーな花が咲く宿根草「カンガルーポー」【オージーガーデニングのすすめ】 【ミモザ】庭に春を呼ぶ!育てやすい種類と挿し木・タネ播き・育て方 日本で上手に育てる「初恋草」【オージーガーデニングのすすめ】 庭木や寄せ植えに活躍する「ドドナエア」【オージーガーデニングのすすめ】 耐寒性もある春の花「ハナカンザシ」【オージーガーデニングのすすめ】 白銀の葉と淡いパープルの花「エレモフィラ・ニベア」【オージーガーデニングのすすめ】 庭木として丈夫に育つ! ウエストリンギア【オージーガーデニングのすすめ】 爽やかカラーの繊細花「ブルーハイビスカス」【オージーガーデニングのすすめ】 青い空と海を映す「ブルーレースフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】 個性的でカッコいい「グラスツリー」【オージーガーデニングのすすめ】 スタイリッシュな庭づくりに必須「コルディリネ・オーストラリス」【オージーガーデニングのすすめ】 奇妙な名前の素敵な花「ピンク・ムラムラ」【オージーガーデニングのすすめ】 青花が美しい「ブルーファンフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】 「ニューサイラン」スタイリッシュな植栽に不可欠な葉物【オージーガーデニングのすすめ】 星形の花が爽やかな「イソトマ」【オージーガーデニングのすすめ】 造形的でアートな花「フランネルフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】 芳香も魅力の庭木「ミントブッシュ」【オージーガーデニングのすすめ】 【デンドロビウム・キンギアナム系】オーストラリア原産のラン 魅力と育て方 レモンマートルの育て方とお茶の楽しみ【オージーガーデニングのすすめ】 冬咲くコンパクトな花木ギョリュウバイ【オージーガーデニングのすすめ】 アロマオイルでもおなじみのティーツリーを育ててみよう【オージーガーデニングのすすめ】 人気上昇の兆し! 注目のオージープランツ「ピメレア/Pimelea」 【クロウエア(サザンクロス)】星形の花と育てやすさが魅力のオージープランツ
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【クロウエア(サザンクロス)】星形の花と育てやすさが魅力のオージープランツ
ミカン科とセリ科2つの「サザンクロス」 春になると毎年、数々のオージープランツが園芸店に並びます。その中でも、比較的、古くからコンスタントに人気を保っているのが、今回ご紹介するクロウエア。 「えっ? クロウエアって?」と聞き慣れない名前でピンとこない方でも、サザンクロスといえば分かるかもしれませんね。 クロウエア(学名:Crowea)は、ミカン科クロウエア属の常緑小低木で、樹高1m程度と低く茂ります。原産地はオーストラリアのクィーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州などオーストラリア大陸、南東部の海岸沿いです。南東部の原産植物は、西オーストラリア州の原産植物に比べて、日本の湿潤な気候でも育てやすい性質です。 また、ミカン科なのでバンクシアなどのヤマモガシ科の植物とは異なり、リン酸肥料に過敏でもなく、オージープランツの中では日本でも育てやすい品種です。とはいえ、やはり多肥や加湿は避けなければいけません。 クロウエアの名前は、イギリスの軍医であり植物学者であるJames Croweによって命名されました。 花弁が5枚で星形に見えることから、南半球を代表する星座=サザンクロスの名前で流通していますが、オーストラリアで「サザンクロス」といえば、輪郭が十字形で、南の星を連想させるセリ科のXanthosia rotundifolia(上写真)を指すのです。これは、インターナショナルな時代に混乱を招くので、私としては、正しく学名の「クロウエア」の名前を使用してご紹介したいと思います。 クロウエアとボロニアの違いは花で見分ける クロウエアに似たオージープランツで、同じ時期に同じミカン科のボロニアが流通します。これもまた混乱を招くのですが、見分け方は、クロウエア(上写真)は花弁が5枚で、ボロニア(下写真)は4枚です。これだけ覚えておけば、間違えることはないでしょう。 クロウエアの原生地から育て方を学ぶ クロウエアが野生で茂っている様子は、明るい林の中で多く見られます。土壌は、やや酸性の痩せた土地です。 こうして原生地の様子を知ることは、その植物を育てるうえで、とてもよいヒントを与えてくれます。日本でも、その原生地に近い環境にしてやると順調に育つことが多いためです。年間降水量を比較してみると、日本の半分から3分の1にあたります。 特に夏は、原生地は乾燥していることを考えると、クロウエアは、日本の蒸し暑さは苦手です。ですから梅雨時は、雨の当たらない場所で育てるとよいでしょう。冬も、現生地では霜が降りることはめったにありません。したがって、クロウエアは、冬は屋内で管理するのが無難です。 クロウエアの品種バリエーション 日本で流通しているクロウエアは、エクサラータ(Crowea exalata)と、サリグナ (Crowea saligna)、およびその交配の園芸品‘マドンナ’などがあります。 クロウエア・エクサラータは、樹高1m程度まで成長し、葉が細いのが特徴。最近人気の斑入り品種も、エクサラータ系です。 クロウエア・サリグナはやや葉が大きく、花形はエクサラータ種に似ています。秋から冬にかけて咲く花は、白からピンク色です。 ‘マドンナ’は、葉が少し幅広く、花が大きな交配種。 クロウエアの楽しみ方 クロウエアは花が可愛いので、オージープランツ同士の寄せ植えにも最適。開花が始まる4月は、ちょうど季節的にムクロジ科の常緑低木のドドナエアの葉が銅色に染まっており、斑入りのクロウエアと枯れたようなシックな葉色のグラス類カレックス、白いフランネルフラワー、シクラメンと合わせると、オージーらしいワイルドな雰囲気の中で、ピンクのクロウエアの花の可愛らしさが目立ちます。 鉢に植え込む手順は、鉢底に軽石を敷き、小粒軽石:調整済ピートモス:鹿沼=5:3:2のオージー用の水はけのよい土をブレンドして使用します。そして、梅雨時には雨に当てないように注意し、夏は風通しのよい半日陰に置きます。冬は霜の当たらない南面の軒下などで育てるとよいでしょう。 クロウエアは、何といっても花期が長いのが魅力です。 そして、クロウエアは、水はけと日当たりのよい場所であれば、低木なので、数年後には1mくらいの大株に育つのも魅力です。クロウエアの大株に挑戦してみませんか?
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樹木

人気上昇の兆し! 注目のオージープランツ「ピメレア/Pimelea」
今年こそオージープランツ栽培に挑戦を 春になると、毎年オージープランツが園芸店の店先に並ぶようになる。 今年は、久々にピメレアを見かけた。確か15~16年ほど前に一時流通していたが、その後あまり見かけなくなっていたのだ。これはもしやピメレア人気到来かとも思い、魅力や育て方についてご紹介したい。 また、後半ではオーストラリアの植物全般の育て方を詳しくご紹介している。ぜひ、今年はオージープランツを迎えて、元気に育ててもらえたら嬉しい。 自生地で出合ったピメレアの花 「ピメレア(Pimelea)」は、オーストラリアを中心に80種ほどあるといわれ、多くの園芸品種が世界中で栽培されている。 僕が初めてピメレアを見かけたのは、もう17年も昔のことで、西オーストラリアのワイルドフラワーツアーに行った時だった。パースから4泊5日のバス旅行で訪れた約200~300km南にある自生地の明るい林の中で、真っ白い花がフワフワと風に揺れて咲いていた。近くに寄ってみると、日本では見たことのない小さな花が集まった、まるで“おとぎの国”に出てくるような不思議さと優しさを感じる花で、周りの西オーストラリアの荒涼たる風景とのコントラストが印象的だったのを覚えている。 その後しばらくして、横浜の大型ガーデンセンターでこのピメレアを見つけ、感動して連れて帰った。 ピメレアの主な品種1 ピメレア・スペクタビリス(Pimelea spectabilis) 原生地では、明るい林の中で10月(南半球では春ですよ!)に花を咲かせる。日本でオージープランツを育てる時に、原生地の環境を知ることは、とても参考になる。 ピメレアは、西オーストラリア南西部の比較的乾燥した地域に自生している。もともと高さ2mほどになるものが多いオージープランツにしては繊細な感じの低木で、白い花もふんわりとしている。開花は日本では3~4月。ジンチョウゲ科の植物なので、ジンチョウゲのように小さい花が集まり、ぼんぼりのような丸い花序を形成する。 小さな花が集まって咲き、中央はややピンクがかっている場合がある。ジンチョウゲ科だと聞くと親しみが湧くのは、やはり日本人だからなのだろうか? ピメレアはジンチョウゲほど香りは強くないが、ほのかに香る。 ピメレアの主な品種2 ピメレア・ロゼア(Pimelea rosea) 今年、園芸店で見かけたのは、ピンクの花が愛らしい、ピメレア・ロゼア(Pimelea rosea)という品種。 先に紹介したピメレア・スペクタビリスに比べると、葉が楕円形で厚みがあり、がっしりした株立ちに見える。花もしっかり密に咲く。やや濃いピンクで、株全体が半球形に自然に整う。 ピメレアの主な品種3 ピメレア・フィソデス(Pimelea physodes) 「クアラップ・ベル(Qualap Bell)」とも呼ばれ、他のピメレアとは見た目がまるで異なるが、正真正銘ピメレアの仲間なのだ。クアラップ・ベルと名が付いている通り、大きな目を見張るような釣り鐘を思わせる花を咲かせる。西オーストラリア原生の植物の中でも最も魅力的な花の一つとされている。 花弁のように見える部分はガクで、臙脂色から先端にかけてクリーム色に変わるグラデーションは見事だ。 ピメレアの主な品種4 ピメレア・フェルギネア(Pimelea ferruginea) 「ピンク・ライスフラワー(Pink Riceflower)」とも呼ばれる、西オーストラリアの原生種。ピメレア・ロゼアと似ているが、高さ1m、幅1〜2mほどで、密な株立ちになる低木だ。葉は深緑色で、長さ12mmほどの楕円形の葉が2対対生し、十字の列に並ぶのが特徴。 小さな丸い花は、枝先に群生していてとても目立つ。花色は一般に明るいピンクだが、いくつか、より濃い色の花が栽培されていて、白い花の種も知られている。春先から夏にかけて開花する。 ピメレアなどオージープランツの育て方 最後に、育て方に触れておこう。 西オーストラリア原産の植物に共通するポイントは4つ。 ポイント1 蒸し暑さに注意 原生地は年間雨量が500mmほど(東京は1,500mm)の乾燥気候なので、特に夏の蒸し暑さが苦手。したがって、その原生地の気候に近づけるために、日当たり、風通しのよい所で育てる。雨に濡れると加湿になりがちなので、鉢植えの場合は、軒下や屋根のあるベランダなどに置くとよい。 ポイント2 水はけのよい用土に植え、水切れに注意 鉢植えは、水はけのよい土を使用する。地植えは、水はけをよくするために、植える場所を畝のように少し高くしたり、根鉢の下に軽石を敷いたりするとよい。 乾燥に強いというものの、苗が小さな間や、鉢植え、移植して1年未満の成木は、特に注意が必要。グレヴィレアなども、鉢植えだと意外と水切れに弱いので注意。 ●オーストラリアで推奨される鉢植え用の水はけのよい土とは ①荒い川砂:ココピートモス(ココヤシ繊維)が3:2 ②荒い川砂:ココピートモス:砂壌土(砂土よりも粘土の多い土壌。粘土の含有量が12.5~25%のもの)が5:4:3 これを日本で手に入れやすい材料に置き換えると。 ①小粒軽石:調整済みピートモスが3:2 ②小粒軽石:調整済みピートモス:鹿沼土が5:4:3 オーストラリアの植物は、Ph5.5~7くらいの弱酸性の土を好むので、日本の鹿沼土は使える。必ずしも、これでなければということはなく、ピートモスの代わりに腐葉土や軽めの園芸用土など、いろいろ試して調整するのも楽しい。 ポイント3 肥料について オーストラリア原産の植物は、概して肥料分は少なめで育つ。特にヤマモガシ科のプロテア、バンクシア、グレヴィレア、初恋草、エレモフィラ・ニベアなどはリン酸を嫌うので、リン酸分の多い、花苗用の液肥は根を傷めることがある。 特に夏は水分の蒸発が早いので、鉢の中のリン酸分が濃くなって枯れることがある。液肥は窒素:リン酸:カリが5:10:5とリン酸分が多い。観葉植物用だと10:5:10ぐらいだ。オーストラリアの上記の植物は3%以下のリン酸分がよいとされているので、観葉植物用の液肥を倍の希釈にして使用するとよい。 リン酸分の少ない肥料としては、菜種の油粕が5:2:1だ。菜種の油粕を10倍の水で薄めて1カ月発酵させ、その上澄みを5~10倍に希釈して使用する方法もある。 オーストラリアでは有機肥料志向が強く、化成肥料は強くて効きすぎるといってネイティブプランツには敬遠されている。 日本の市販品では「創美味4号(8-1-8)有機質率60%」というのがある。主にリン酸分が足りている圃場用に使われている肥料だ。日本の畑も連作によってリン酸分過多の所が多いとか……。 ポイント4 耐寒性について 日本に入ってきている植物のほとんどは、西オーストラリア南部や東オーストラリア南部の原産で、耐寒性はマイナス2~3℃まではある。ただし、鉢植えは冬には屋内に取り込むのが無難。また、庭植えした苗木も小さいうちは寒さに弱い。移植した成木は根付いてしまえば耐寒性も強くなるが、最初の冬は保護が必要な程度の耐寒性である。 特に西オーストラリア原産種は、東オーストラリア原産種よりも、日本での栽培は難しいものが多いように感じる。西オーストラリア系は、雨や高温多湿に弱いと覚えておくとよいだろう。 今回ご紹介した4種のピメレア、お気に入りはありましたか? 園芸店でピメレアと目が合ったら、ぜひ連れて帰ってください。そして、当記事で育て方をもう一度チェックしたら、しっかり育てて可愛いピメレアと豊かなおうち時間を過ごしましょう!
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おすすめ植物(その他)

オージープランツに似てる⁈ 南アフリカの植物たち
オーストラリアでも勘違いされている南アフリカの植物とは 南アフリカは草花の宝庫として知られ、たくさんの草花が日本にも入ってきている。その中のいくつかは、オージープランツに非常に似ていて、実際オーストラリアでもたくさん見かけたし、オーストラリア人でもオーストラリア原産だと思い込んでいるものが多いんだなぁと感じていた。その中には、最近人気のプロテアやピンクッション、リューカデンドロンなどがあるが、これらはバンクシアと同じヤマモガシ科の植物。そして、育て方も共通している。 もともとアフリカ大陸とオーストラリア大陸は繋がっていて、2億年前に分裂したとされている。また、南アフリカとオーストラリアの一部地域は、ともに地中海式気候である。そのためオーストラリアは、プロテア、ピンクッション、リューカデンドロンの切り花の生産地にもなっており、日本にも輸出されている。 今回は、そんな3つの植物をご紹介しようと思う。 大きな花が印象的な「プロテア」 僕が初めて、オーストラリアでキングプロテアの花を見た時は、その存在感に圧倒された。直径が20cmもあり、美しさと共に、力強さをも感じさせてくれる特異なオーラを発する姿に、花というより芸術品に出合ったような感動を受けた。 プロテアの名は、ギリシャ神話のプロテウスに由来するという。自分の意志でその姿を自由自在に変えられる海神プロテウスだ。神レベルの立派さ豪華さに、荘厳な雰囲気まで持ち合わせた花なのだ。 プロテアは南アフリカ共和国の国花に指定されている。切り花での流通が多いが、最近は鉢植えの苗を時々見かける。 僕自身、実生や鉢植えで幾度か栽培に挑戦したが、随分と失敗もした。 正直、育てるのは、かなり難度の高い植物だと思う。冬の寒さだけでなく、日本の梅雨時の蒸し暑さと過肥も苦手な植物だ。のちほど育て方にも触れようと思う。 プロテアというと、どうしてもキングプロテアを連想するが、最近はもう少し小ぶりな園芸品種も出回っている。 一つはプロテア‘ジュリエット’(Protea 'Juliet'/Protea magnifica x pudens)で、もう一つは、プロテア‘ピンク・アイス’(Protea ’Pink ice‘/Protea neriifolia x susannae)だ。 どちらも、プロテアの中では比較的日本で育てやすい。丈夫で水やりも少なく、ローメンテナンス。ローズピンクの花で、ドライフラワーとしても楽しめる。 針山のような姿「ピンクッション」 さて、次にご紹介するのは、ピンクッションだ。正式には、レウコスパルマン(Leucospermum)。 針山のような形をしているので、ピンクッションと呼ばれる。南アフリカ原産の樹木は多くの原種が極めて限られた地域に生育し、絶滅の危機に瀕しているといわれる。しかし、この常緑で華やかな大きな花木は、園芸品種として世界各地で栽培され、切り花としても人気。樹高最大1.5m程度の直立した常緑低木だ。 花は球形で、直径10〜12cm。色は黄色、オレンジ色、紅色などがある。 オーストラリアやニュージーランドでもよく見かけた。 新品種の流通がスタートしている「リューカデンドロン」 3つ目は、リューカデンドロンだ。この植物も、よくオージープランツに間違えられる。オーストラリアで生産されている切り花が日本に入ってきているせいかもしれない。 リューカデンドロンの魅力は、さまざまな葉の色合いだ。特に最近、世界各国の育種家により、じつに多くの園芸品種が作出され、流通も始まっている。これからますます人気が出ること間違いなしの植物だ。 リューカデンドロン‘サファリ・サンセット’(Leucadendron 'Safari Sunset')は秋から春にかけて、華やかなバーガンディの花を咲かせ、特にフラワーアレンジメントに人気だ。しっかりした株立ちの性質を持ち、庭のさまざまな用途に適している。品種によって花期が異なるが、この品種は、花後の春に剪定をして樹形を整える。 リューカデンドロン‘サマー・サンセット(Leucadendron 'Summer Sunset')は、初夏にクリームイエローの花を咲かせる。 用土は、水はけのよい弱酸性を選ぶ。乾燥には強いが、植えて根付くまでの1年目は、土が乾いて水切れを起こさないように、こまめな水やりが必要だ。 上の2枚の写真は、地際から最大2mまで数本の茎を伸ばす常緑の雌雄異株の低木だ。花期が長く、初冬から春まで咲く。花の周りをカラフルな葉と苞葉が囲む、魅力的な庭木だ。 丈夫な根株を持つ株立ちの低木で、山火事の後でも新芽が出る。樹高は75cm~2 mになる。温暖な地域から雪や霜の降りる山岳地帯まで、さまざまな環境下で育つ。グリーンイエローや鮮やかなオレンジ、赤の葉や苞葉など、さまざまなバリエーションがある。 近年は、南アフリカやニュージーランド、オーストラリア、そして、ヤマモガシ科を育てている国々の育種家の手により、さまざまな葉色や花の時期が異なる新品種や交雑種が作出されている。 また、南アフリカの最南端に近いポートエリザベス近くの海岸から標高2,000mの地域にわたって栽培されている。強剪定に強いので、切り花として生産者には魅力的な植物だ。 通常、リューカデンドロンの園芸品種は挿し木で増やす。挿し木の方法は、その年に成長したしっかりした茎から6〜10cmを切り出し、ホルモン液に4秒ほど漬け、25℃に保たれたミスト室で管理する。その成長は早く、1年後には移植できるほどにまでなる。 プロテア、ピンクッション、リューカデンドロンの育て方ポイント プロテア、ピンクッション、リューカデンドロンの育て方は、オーストラリア原産のヤマモガシ科の植物、グレビレアやバンクシアと同じだ。 育て方で最も特徴的なのは、肥料だ。もともとリン酸分の少ない土地で育つため、バンクシアやグレビレア同様に、リン酸成分に対してセンシティブだ。これらの植物は、「プロテオイド・ルーツ(proteoid-roots)」と呼ばれる、毛細状の根が発達し、微量のリン酸分でも生存できるシステムを持つ。従って、リン酸分の多い化成肥料や液肥を与えると根を傷めてしまい、枯らすことになる。 ちなみに、パースのオージープランツ専門のナーサリーで配布していたチラシには、「外来種(つまり豪州以外の原生の植物)と原生種(豪州の植物)を花壇で混ぜて植栽する時の注意点として、肥料の与え方があり、Lechenaultia(初恋草)、Boronia(ボロニア)、Banksia(バンクシア)などはリンに抵抗力がないので、化成肥料は避け、油かすや堆肥など、自然の緩効性の肥料を与えるように」と書かれていた。なお、ユーカリやブラキカムはリン酸に抵抗力があるとされていた。 栽培に失敗しないため気を付けることとは 今回ご紹介した3種は、現地では手間のかからない植物とされている。日本で育てる上での多くの失敗の原因は、「水のやりすぎ」、「肥料(特にリン酸)の与えすぎ」。つまりは過保護にしてしまうことだ。鉢植えの場合は、水はけのよい、養分の少ない用土を使用し、地植えの場合は、根鉢の下に軽石を数センチ敷いて、これらの植物を植えると、かなり改善されるようだ。 日本の気候にはちょっと気難しい植物たちだが、それ故に開花したときの喜びは大きい。 さあ、栽培にチャレンジしてみよう! Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

冬咲くコンパクトな花木ギョリュウバイ【オージーガーデニングのすすめ】
日本で栽培が始まって約20年のギョリュウバイ 今回、ご紹介するオージープランツは、ギョリュウバイ(レプトスペルマム=学名:Leptospermum scoparium)だ。日本では12月頃から初夏まで咲くこの花は、「檉柳梅」と書くことから、原産は中国か日本と思わせるが、じつはオーストラリア南東部とニュージーランドである。同じオーストラリアでも西オーストラリアの乾燥地帯とは異なり、湿潤で日本の気候に近いので日本でも育てやすく、近年すっかり冬咲く植物としてお馴染みになった。日本へは第二次世界大戦直後に渡来し、一般に流通したのは、この20年ほど。そのため日本では、まだあまり大きな木は見かけない。現地では高性種が3~7mほどの高さに育つが、日本で見かけるのは、樹高2~3m程度だ。 常緑で、葉は長さ6mm、幅2mmと、とても小さい。花も直径1~2cmと小ぶりなので、寄せ植えにも使いやすく、狭い日本の住宅の庭木にも向いている。 ギョリュウバイの名の由来 このギョリュウバイは、ニュージーランドでは有名なハチミツのマヌカハニー(マオリ語でManuka)の蜜源としても親しまれ、ティーツリーとも呼ばれている。 日本において、アロマで親しまれているティーツリーはオーストラリア原産のメラレウカ(Melaleuca alternifolia)。 ギョリュウバイは、このメラレウカと同じフトモモ科の植物だが、別の植物であるため、New Zealand tea treeとも呼ばれている。 ●参考記事『アロマオイルでもおなじみのティーツリーを育ててみよう【オージーガーデニングのすすめ】』 そもそも、このギョリュウバイ(檉柳梅)という名前だが、ギョリュウ科のギョリュウ(檉柳、または御柳 学名/Tamarix chinensis 原産/中国)に葉が似ていて、花が梅に似ているところから名付けられたという。 しかし、一部では、「魚柳梅」と表記している書籍やサイトもある。僕自身はレプトスペルマム=Leptospermumを、最初にオーストラリアの書籍で知ったので、後に日本で「魚柳梅」がレプトスペルマムであることを知ったときは、ギョ!ギョ!ギョ!と、さかなクン状態だったのである。10年以上前に、この表記について調べたことを思い出したが、やはり「魚」の字をあてるのは間違いのようだった。だが、日本では「魚柳梅」も定着してしまったようだ。 赤白ピンクのギョリュウバイ 日本ではギョリュウバイというと、八重咲きの赤花、またはピンクや白の花をイメージするし、実際に流通しているのは、ほとんどが八重咲きだ。しかし、原産地のオーストラリアやニュージーランドでは一重の白花が主流だ。 「Manuka」で検索すると、ほぼ白の一重の花が表示されるし、学名もLeptospermum scopariumで一緒だ。「Manuka honey」で検索すると、ハチミツと共に写っている花は完璧に白の一重咲きである。ハチミツ用は、日本で見かける八重咲きのギョリュウバイとは、少々見た目が異なるようだ。 日本のサイトでは、一重のピンク咲きを「さくらギョリュウバイ」と呼んでいたりする。 ギョリュウバイの育て方 ギョリュウバイは寒さ暑さには比較的強いが、どちらかというと蒸し暑さに弱いので、風通しがよく、水はけと日当たりのよい場所が適地。神奈川の我が家では、以前、地植えで数年育った後、9月頃に枯死したことがある。オーストラリア南東部とニュージーランドの気候は、夏は乾期で空気は乾燥し、昼間は温度が上がっても、夜は涼しく冷え込み、日本のような夏の蒸し暑さはない。やはり、植物を育てる時は、できるだけ原産地の気候に近づけるよう工夫しよう。 花後の5~6月に剪定すれば、綺麗な形に整うし、花芽分化が9月なので、翌年も花を楽しめる。枝が細かく生えるため樹形も整えやすいが、その分密集しやすいので、蒸し暑い時期の風通しを考えて、枝抜きをしておくとよい。 ギョリュウバイの増やし方 挿し木で増やせる。5~6月に、花後の剪定枝を15cmほどに切って鹿沼土に挿す。風通しがよく明るい日陰に置いて水切れしないように管理すると、数週間で発根する。9月の彼岸までには鉢上げし、寒くなる前にしっかり根を張らせれば、少しの寒さなら耐える苗ができる。 冬の寄せ植えにおすすめのギョリュウバイ ギョリュウバイは、冬の寄せ植えにも適している。パンジーや葉ボタン、アリッサムなど、どんな花とも相性がよく、長い期間咲き続けてくれるのが魅力だ。 また、現地では盆栽としても人気があり、メルボルンの盆栽協会の展示会で作品を見たことがある。 梅の盆栽ならぬ、檉柳梅の盆栽、素敵ですよ。盆栽好きのお知り合いがいたら、せひ盆栽仕立てをすすめてみてください。 12月頃から、ギョリュウバイは園芸店の店頭で見かけるようになります。価格もリーズナブルなので、この冬から春にかけては、ギョリュウバイを育ててみませんか?
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ライフスタイル

秋晴れを狙ってオーストラリアンBBQをしよう!
歓迎会で知った「BYO」スタイルのBBQ 僕は5年間、メルボルンに駐在していたことがある。オーストラリアは多民族国家なのでイタリアンをはじめ、チャイニーズ、タイ、インドなどなど、さまざまな美味しいレストランで食べ歩きを楽しんだ。それでもやはり、一番の思い出の料理は、週末ごとのオーストラリアンBBQだ。オーストラリア料理といえばBBQなのだ。 メルボルンに赴任してすぐに、現地人のジェネラル・マネジャーが自宅に「歓迎会だ」といって招いてくださり、訪れたら50人以上のスタッフとともに広い芝生の庭で大バーベキュー大会! さぞかしパーティー料理の準備が大変だろうと思いきや、招待状に「BYO」と書かれていた。はじめ僕は意味が分からず、現地スタッフに聞いた。すると、「Bring Your Own」の略で、自分で食べる肉とビールやワインなどの飲み物は持参するというのだ。なかにはケーキを焼いて持参したり、ワンディッシュやフルーツを持参したりする人もいたが、原則、招待された人が自分で食べる肉と飲み物を持参し、勝手に焼いて食べるという。この「BYO」は、お互い気遣いもなく、なかなか合理的なシステムだ。 公園でBBQが気軽にできるオーストラリア オーストラリアでは、住宅街の公園(日本とは比較にならないほどの広さ)にも必ずといってよいほどBBQコーナーがあり、誰でも使用できるのだ。それも場所によっては燃料の薪がタダの所もあった。ガス式のものは当時、1ドルで使用できた。我が家の庭でも、週末には親しい家族を招いたり、あるいは出かけたりして、本当に頻繁にBBQをやったものだ。 BBQコンロは、オーストラリアでは一家に一台の必需品だ。正月に家族旅行をして、泊まったモーテルの近くの海岸の公園では、誰でも使用できるBBQコンロを使って水着姿でBBQ。そう、オーストラリアのお正月は真夏なのです! 子供たちに、お年玉をやるのをすっかり忘れてしまった。 オーストラリアンBBQの特徴とは BBQにはそんな楽しい思い出が山ほどあって、帰国してからも庭で、年に数回は楽しんでいる。 では、オーストラリアンBBQの特徴はというと、オーストラリアの文化と同様に質実剛健で自然志向、本物志向だ。悪くいえば粗野で雑、日本みたいに肉や野菜を切り刻んで串に刺したりはしない。 まずは素材でポピュラーなのは、ラムチョップだ。日本のスーパーでも最近は見かけるようになったが、僕にとってはやはり、ラムチョップはお洒落なフランス料理より、シンプルに塩コショウで味付けし、BBQで油を落とすほうが美味しい。そして次に、当たり前だがオージービーフだ。現地では1枚200~300gはありそうな肉を大胆にそのまま塩コショウして焼く。ビーフは1kg単位でしか購入できなかった。なにしろ価格が日本の10分の1程度だったのだ。 遠藤流BBQレシピを大公開 もう一つ、オーストラリアンBBQの特徴といえば、生ソーセージだ。現地の肉屋ではボイルする前の生ソーセージが安く売っていた。日本でもコストコで見かけたことがある。日本の小さなウィンナソーセージと違って、1本で100gはあるビッグサイズ。僕は、これが日本では入手できないので、自分でソーセージメーカーを使い、オリジナル生ソーセージを作ってBBQをやっている。 僕のオリジナルソーセージの作り方はこちら もちろんボイルしたり燻製したりしたソーセージも作っている。BBQの残り火にチップを加え、密閉して一晩燻製料理をすることもある。BBQの後の燻製料理も楽しい。 サラダは、現地では、よくセロリ、キュウリ、ニンジン、白菜などのスティックが出た。ニンジンでも白菜でも生でかじってしまう。あとはコールスローもポピュラーだった。 日本風BBQにアレンジ そんなメルボルンで覚えたオージーBBQだが、帰国してから我が家でやるときは、オージーBBQをかなりアレンジして、サザエやホタテやハマグリ、イカやエビなどのシーフードを焼いたり、野菜やおにぎりをアルミホイル焼きにしたり……。かなり日本風にしている。 ホイル焼きで美味しいのは、ガーリックブレッドだ。フランスパンにバターと摺り下ろしたニンニクを塗り、アルミホイルで包む。そして、コンロの火力の弱い隅に置いておくと美味しく焼ける。締めに、フライパンで焼きそばを作ったりすることもある。まあ、なんでもアリの僕流だ。 そして、オージーBBQに欠かせないのがオージーワインだ。時によってスパークリングだったり、赤ワインだったりするが、僕は現地にいたときからハーディズのシャルドネ(現地ではシャドネイズと発音していた)の箱に入ったカスクワインを愛用していた。日本でもコストコで入手できるし、最近はネット通販でも入手できる。フルーティな若いワインだが、屋外でオージーBBQをする時には、さっぱり系を豪快に飲むのが似合う。 ユーカリが咲く時期がベストシーズン さて、オージーBBQの雰囲気を盛り上げてくれるのが、ユーカリをはじめとする我が家の庭の植物たちだ。11月にはピンクの花のユーカリが満開になる。我が家ではこのユーカリが咲き始めると、庭に蚊もいなくなり、BBQシーズンの到来なのだ。 この時期のBBQは、ユーカリの花を見ながらのお花見パーティーだ。この時期には、他にストレリチアが咲き始め、ピンクのボトルブラシやバンクシア、グイヴィレア‘ロビンゴードン’なども咲き続けており、一年で最も美しい季節なのだ。25年間かけて育ててきた植物たちが、その美しい姿を見せてくれる。 バンクシアやストレリチアも開花時期だ。この季節、快晴も多く、オージーBBQをし、ワインをたらふく飲んで、青空のユーカリの花を仰ぎ見ると、本当に幸せな気分になれる。ジャカランダは青空に葉を広げ、レモンも色づいてきた。 そして、いつもBBQの時は愛犬が一緒だった。 食事が終わったら残り火でやかんに湯を沸かし、コーヒーを入れる。そして庭のミカンを捥いで、その場で食べる。 コロナ禍の今年は外食にも行けないが、夫婦2人で、コロナの心配もせずに楽しめるBBQが至福の時なのだ。 コーヒーを飲み終わる頃には、西の空は夕日に染まる。 ガーデンストーリークラブでは、この記事内容をテーマに、2020年12月10日(木)にオンラインサロンを開催予定! 会員の方は無料にてご参加いただけます。ご興味のある方はぜひ会員サイトよりお申し込みください。(※終了しました)





















