えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『最新版 はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『最新版 はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-の記事
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樹木

今、見直したいつる性植物!「ツルハナナス」がおしゃれ
丈夫なツルハナナスとの出会いはオーストラリア ツルハナナスという植物をご存じでしょうか? あまりメジャーではないかもしれませんが、つる性で丈夫で花期が長く、トレリスなどに絡めて咲かせてもお洒落。壁面緑化などにも向く植物です。私が初めてツルハナナスに出会ったのはオーストラリアのメルボルンに住んでいた時のこと。お隣さんの広い芝生の庭で、ウッドデッキのフェンスに絡み、白と紫の花が咲いていて、とても洒落た植物に見えました。 それがツルハナナスだったということを知ったのは、帰国して数年経って、園芸店で見つけた時でした。メルボルンでは、とてもお洒落な植物の印象だったので、「ツルハナナス」という和名には正直、ちょっとガッカリした記憶が。なんで、茄子なの? と思いました。 とは言うものの早速購入して、我が家のフェンスと擁護壁を緑化しようと植え付けました。すると、成長が早く、凄い勢いでフェンスと擁護壁を覆うようになりました。今では、すっかり擁護壁に蔓延って壁面緑化をしてくれています。 冬でも咲くことがあるほど年中咲いてくれるし、丈夫で長もち。コンクリートの擁護壁を緑で隠してくれているので、ありがたい存在です。 私は「名前は花がナスに似ているから、ツルハナナスというのだろう」くらいにしか思っていなかったのですが、ツルハナナスの学名がSolanum jasminoidesで、野菜のナスの学名がSolanum melongenaと、同じナス科の植物であることを知ったのは、少々、驚きでした。そしてSolanumには何と世界に1,700種もあり、それらには草本、低木、高木、つる性があって全世界に分布する一大グループであることも分かったのです。 ツルハナナスの基本情報 学名:Solanum jasminoides 和名:ツルハナナス(蔓花茄子) 科名 / 属名:ナス科 / ナス属(ソラナム属) 原産地:南米のブラジル、エクアドル、パラグアイ 形態:つる性木本 花は集散状に付き、紫がかった水色と白があり、白から水色に変化するものもあります。我が家の斑入り品種Solanum jasminoides 'Variegata'の花は白のみで、変化はしません。 これが、斑入り品種Solanum jasminoides 'Variegata'です。 ツルハナナス=ヤマホロシではない! じつは、今回この記事を書くにあたっていろいろ調べていると、国内ではツルハナナスとヤマホロシが同一視され、ネット上でも苗の流通でも、実態はツルハナナス=ヤマホロシとして扱われていることが分かりました。 本来のヤマホロシの基本情報は以下です。 学名:Solanum japonense 和名:ヤマホロシ 別名、ホソバノホロシ 原生地:中国、朝鮮半島、日本 ヤマホロシの花は淡紫色で5つに深く分裂し、花径1cm程度で、はじめは平たく開花しますが、のちに各裂片は強く反り返ります。裂片の中央には黄緑色の腺体があります。 ということで、ツルハナナスとヤマホロシは別の品種なのです。 ツルハナナスの魅力 【魅力1】さまざまな花との相性がよくてお洒落 我が家のツルハナナスは、育て続けてかれこれ20年以上になりますが、さまざまな植物とコラボする写真が残っています。 まずは、つるバラの‘ピエール・ドゥ・ロンサール’とコンボルブルスとの競演です。 青いコンボルブルスの花と入り乱れて咲き、‘ピエール・ドゥ・ロンサール’の華やかさを引き立てています。 つる性のナニワイバラもツルハナナスもどちらも成長が早く、やや暴れますが、両方とも丈夫で白花同士で清楚に競演してくれました。 半つる性のルリマツリも垂れ下がるので、白と水色の花が爽やかでもあり、量感もたっぷりで見た目もゴージャスです。 【魅力2】立体的に育てられる つる性なので、トレリスや行燈仕立て、さらには擁護壁などの壁面緑化に最適。花壇や植え込みのアクセントとしてトレリスに仕立てるのもお洒落です。 我が家は公道より住宅が高い位置に建っていて、歩道に面してコンクリートがむき出しの擁護壁が見苦しかったのですが、敷地の縁沿いに植えたツルハナナスは、数年で壁面を覆い隠してくれました。こんな緑化が低コストで自分でできて、花もきれいなので道行く人にも好評です。 ツルハナナスの育て方 最後に、ツルハナナスの育て方と手入れについて解説します。 育てる場所 原産地がブラジル、エクアドル、パラグアイで熱帯~亜熱帯の植物なのですが、耐寒性があり、私が住む神奈川・横浜でも冬に葉が散ることがありません。耐寒温度はマイナス5℃とされています。関東以西地域ならば、鉢植えでも冬に屋内に取り込む必要はありません。日当たりのよい所で育てます。日照不足になると他の植物同様に花数が少なくなります。我が家は、西日の当たるコンクリートの擁護壁を隠すように上部から垂らしていますが、西日にも耐えています。 栽培用土 庭に植える場合は、一般的な植木や草花のように腐葉土を漉き込んで植えこみます。鉢植えの場合は、通常の赤玉土:腐葉土=3:2または、市販の園芸用土でOKです。 日頃の水やり 地植えで成長すれば不要ですが、鉢植えは通常の植物同様に表土が乾いたらしっかり与えます。 施肥 地植えは、発酵油粕を寒肥として与えるとよいでしょう。鉢植えは、液肥、または置き肥を成長期に施します。 剪定 生育旺盛でかなり暴れるので、地植えの場合は花後の秋にバッサリ剪定しておくとよいでしょう。成長期にはつるがあちこちに伸びてくるので、随時誘引して、よけいな枝を剪定します。 増やし方 挿し木で比較的簡単に増やせます。他の挿し木と同様に、長さ10cm弱の枝を穂木とし、葉を減らして鹿沼土などの清潔な土に挿します。熱帯植物で発根には温度が必要なので、6~7月が適期です。 病害虫の心配 まずありません。20年間でゼロでした! ツルハナナスの仲間をご紹介 付録的情報として、ツルハナナスの仲間、Solanumをご紹介しましょう。 まずはナスから(学名:Solanum melongena) ツルハナナスは本当にこのナス(茄子)の仲間なのです。ナスは、ナス科ナス属の灌木性多年草です。ナスの原産地はインドの東北地方で、中国から8世紀以前に日本へ伝わったとされています。 ツノナス(学名:Solanum mammosum) よく花材に使用されますが、これも原産はブラジルです。ツノナスもツルハナナスの仲間だったとは驚きです。 ルリヤナギ(学名:Solanum melanoxylon=Solanum glaucophyllum) 我が家の庭にある常緑で小低木のルリヤナギ(琉球柳)もツルハナナスと同じ仲間とは……。確かに花は似ていますね。 このように一つの植物を深く調べると、派生した情報までたどり着きます。植物って、知れば知るほど面白いですね。秋ナスの美味しい季節ですが、食卓で秋ナスに出会ったら、ツルハナナスなど仲間のことも思い出すと、もっと美味しく召し上がれるのでは?
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樹木

トロピカルで優美な植物「デュランタ」 庭木としての魅力と育て方
夏が似合う植物と温暖化の関係 夏はトロピカルなハイビスカスやプルメリア、ブーゲンビリアなどの熱帯花木が人気だが、残念ながらこれらの熱帯花木は、比較的温暖な地域である東京近辺でも外では冬越しができず、屋内に取り込まなければならない。しかし、近年の温暖化のせいか、20年ほど前は、多くの園芸書が「冬は屋内で……」と注意していた熱帯・亜熱帯花木が、庭木として定着し始めている。 私が今まで解説してきたオージープランツや南アフリカ原産の花木もこれに該当するのだが、南アメリカ原産のジャカランダやデュランタも同様だ。今回は、デュランタについて解説しよう。 秋まで開花するデュランタのプロフィール 学名:Duranta erecta またはDuranta repens 和名:タイワンレンギョウ、ハリマツリ 英名:. Golden dew drop、Sky flower 科名・属名:クマツヅラ科 デュランタ属 原産地:アメリカ・フロリダからブラジルにかけての熱帯アメリカ 分類:半耐寒性常緑低木(半つる性)*寒いと冬に落葉する場合がある 開花時期:7〜11月 私が20年以上育てているデュランタ 我が家のデュランタは、育ててかれこれ20年以上になる。入手当時は、デュランタ‘ライム’が観葉植物として人気だった。開花しやすいデュランタ‘タカラヅカ’はあまり流通していなかったと思う。じつは当時、私は観葉植物のデュランタ‘ライム’と花のきれいなデュランタとが品種が異なることを知らなかった。 知人からデュランタの苗をもらったが、当時主流だった観葉植物のデュランタ‘ライム’の苗だと思い込んでいたのだ。2〜3年鉢植えにして冬は屋内で育てていたが、ある日、都内の住宅街でデュランタが冬に庭で育っているのを発見したのをきっかけに、我が家でも翌年から庭に地植えにしてしまった。 すると冬は寒さで枯れたように見えたが、初夏に復活。9月には花を咲かせた。今でこそデュランタの花は知られているが、当時は見たことがなく、開花に感動したものだった。この時初めて、今育てているのはデュランタ‘ライム’ではなく、デュランタであったのだと気がついたのだ。 まさか、こんなに優美な色彩の花が咲くとは思っていなかった。そして花の咲くデュランタは、観葉植物のように室内で育てたのでは開花せず、開花には太陽が必要であることも学んだ。 デュランタの仲間3種 あれから20年が経ち、最近は住宅街の庭で咲いている姿を見かけるようになった。沖縄などでは、以前から生け垣に利用されていたようだ。デユランタの生け垣なんて、とても素敵だと思うが、残念ながら東京近辺では年中常緑とはいかないようである。 ここで、デュランタには主に下記3種があることを確認しておこう。 品種バリエ1 デュランタ(Duranta erecta またはDuranta repens) 花が濃青紫色で、花弁に白い覆輪が入るDuranta erecta ‘Takarazuka’が有名。樹高は2〜6m。 品種バリエ2 白花デュランタ(Duranta erecta ‘Alba’) 純白の花を咲かせる白花のデュランタは、「ホワイトラブ」という名前で見かけることがある。 品種バリエ3 デュランタ‘ライム’(Duranta ‘Lime’) 観葉植物扱いで葉がライム色。開花はしにくい。 デュランタが秋に開花のピークを迎える理由 ハイビスカスやプルメリアなどの熱帯花木を加温設備のない一般家庭で育てると、冬は屋内に入れても葉が落ちてしまう場合が多い。そしてハイビスカスやプルメリアは、夏になっても、ある程度葉が付いて枝が充実しないと開花しないようである。したがって、我が家での栽培経験では、これらの熱帯花木は、お盆過ぎから初秋にかけてようやく開花することが多かった。 デュランタも屋外で育てると、冬は葉を落としてしまう。初夏に葉が復活して、開花するのは9月頃の場合が多い。横浜にある我が家の場合、育てて20年以上になるが、幾度か寒さで枯れそうになった。しかし、初夏には根元から新芽が出て復活するたくましさがある。暖かい年は常緑の時もあった。近年は、暖冬のせいか、あるいは株が太くなったからか、冬も葉が落ちないことが多い。冬に葉が落ちなければ、8月頃から開花が見られる。 園芸店では初夏から開花株のデュランタが販売されているが、おそらく温室栽培のものだと思われる。 長い枝は2m以上あり、枝先につぼみをつける。半つる性の低木なので、たわわに咲く姿が美しい。開花が9月頃からのせいか、暖かい年は霜が降り始める12月上旬まで咲き続ける。我が家は西日もカンカンに射す所だが、負けじと咲いている。 長年、ガーデニングをやっていると、「丈夫で長もち」の植物が、やはり楽でよい。今年もデュランタが咲き始めた。これから11月頃まで咲き続けるだろう。 日本では実がなりにくいが、原産地では花後にたわわに実る。 デュランタの育て方 地植えの場合 神奈川・横浜にある我が家では地植えで育てているが、関東以西地域の太平洋側では、日当たりがよく、北風が当たらない場所なら地植えが可能だと思う。数年経って大きな株になれば、もし冬に葉が落ちたり、小枝が寒さで枯れたりすることがあっても、春には復活して秋には開花する。地植えの場合、ほとんど手がかからず、作業は、花後の剪定と寒肥を施す程度。なんて丈夫で長もちの優等生なんだろう。 鉢植えの場合 【置き場】屋外では日当たりのよい場所に置き、関東以北では冬は室内で管理を。霜の心配のない時期は屋外で日に当てて育てる。例えば、東京近郊の南向きのマンションのベランダなら、よほどの寒波が来ない限り、屋内に取り込まなくても大丈夫。真夏のピーカンの日は、鉢に直射日光が当たらない半日陰程度がよいだろう。 【肥料】成長期に10日に1回程度液肥を与える。置き肥でもOK。 【水やり】成長期には表面が乾いたらたっぷり。冬は控えめに。 【用土】赤玉土と腐葉土を7:3の割合で。一般的な植物と同様、市販の園芸培養土を使ってもよい。 【その他】病害虫は、ほぼ見かけない。鉢増しは、2年に1回程度を目安に、春に行う。株が乱れたり大きくなりすぎていたら、花後に屋内に取り込む前に剪定しよう。 デュランタの増やし方 挿し木で簡単に増やせる。方法は、春から初夏にかけて、一般的な挿し木同様に、15cm程度の挿し穂を鹿沼土などの清潔な土に挿し、明るい日陰に置く。乾燥しないよう水やりを忘れずに管理すると、1カ月程度で根が出て新芽が出始める。 寒さに気を付ければ、丈夫で優雅な花を咲かせるデュランタ。ベランダやテラスなどの都会的な場所にもマッチすることでしょう。冬も室温を保てば観葉植物としても活躍しますので、ぜひ育ててみてください。
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宿根草・多年草

奇怪だけどカワイイ⁉︎ オージープランツ「デザート・ピー」【オージーガーデニングのすすめ】
奇怪な花もいつしかカワイイに変わる オーストラリア大陸に育つオージープランツの花の多くは、独自の進化を遂げているので、変わった様相を呈しているものが多いが、極端に奇怪な花姿といえば、今回ご紹介するデザート・ピーだろう。日本ではあまり知られていないが、1961年に南オーストラリア州の州花にもなったほど、有名な花なのだ。日本でも都道府県の木や花に制定されているものは、いずれもポピュラーな植物ですよね。 我々は多分、初めて目にする珍しい植物を、最初は好奇の目で見るものだ。面白い! きれい! と感じることもあるが、逆に奇怪に感じて、恐怖心を抱くことすらある。 私自身、初めてオーストラリアでグレヴィレアやバンクシアに出会ったとき、奇怪に感じたことも思い出す。メルボルンで借りた家の庭に咲くグレヴィレア‘ロビンゴードン’を見て、花に毒があるのではないか? と触ることすらためらったものだ。 しかし、やがて見慣れて親しんでくると、奇怪と思った花を、カワイイと感じるようになるから不思議だ。今では大好きな、大好きなグレヴィレア‘ロビンゴードン’である。 デザート・ピーのプロフィール このデザート・ピーも最初は驚きだった! しかし、育てていると、もう可愛くて仕方がなくなる。名前の通り、砂漠に育つマメ科の植物だ。 ■ 学名:Swainsona Formosa ■ 俗名:Sturt's Desert Pea ■ 和名:デザート・ピー ■ 科名:マメ科 ■ 分類:多年草 ■ 形態:つる性 学名が以前はClianthusだったが、近年、Swainsonaに変更になった。Swainsonaは英国の園芸家Isaac Swainson(アイザック・スゥェインソン/1746–1812) に因む。 また、俗名のSturt's Desert Peaは、英国人探検家Charles Sturt(チャールズ・スターツ/1795 – 1869)に因む。 原生地では、デザート・ピーは多年生植物で、つる性の茎から生じる絹のような灰緑色の羽状の葉が特徴だ。葉と茎は綿毛で覆われている。花の長さは約9cmで、短くて太い直立した茎に6〜8個の花が固まって咲く。 花びらは通常、赤または緋色で、最上部の花びらの基部に光沢のある黒い目玉のようにも見える塊がある。花の色は、基本は緋色で、黒い塊がない場合もある。サヤは長さ約5cmのマメ科植物の代表的な形で、成熟すると裂けて、いくつかの平らな腎臓形の種子を放出する。 デザート・ピーの種まきに挑戦 幾度か実生をトライしたが、発芽後に枯れてしまった。発芽はするが、梅雨越しができなかった。日本国内でデザート・ピーを見たのは2004年。オーストラリア大使館で育てていたものだが、その後しばらくはお目にかかることがなかった。2011年に、大手園芸店の店頭で見つけて連れ帰ったことがある。 デザート・ピーを育てたオーストラリア大使館のガーデナーさんに聞いた話では、砂で育てて、施肥は油かすだけだということだ。砂漠に育つ植物なので、日当たりがよく乾燥した環境を好み、土壌は痩せていたほうがよいのは想像がつく。 未知の植物と出会う喜び また、デザート・ピーが州花になっている南オーストラリア州は、ワイナリーが沢山あることでも有名で、夏に乾燥し冬は温暖湿潤な地中海式気候である。デザート・ピーが原生するのは、内陸部の砂漠であるが、他のオージープランツ同様、日本の蒸し暑い夏に弱いことは明らかである。 また寒さにも弱いので、日本の一般家庭での栽培はハードルが高いかもしれない。それが分かっているだけに、花を咲かせた時の感動はさぞや大きいに違いない。 私は、かれこれ20年以上ガーデニングをやっているが、我が家で育てた奇怪な花ナンバーワンは、間違いなくこのデザート・ピーだ。 バラや一般的な草花の栽培に飽きた方には、おすすめである。 このデザート・ピーを眺めていると、本当に地球上にはさまざまな植物があるものだと思う。まだまだ未知の植物も多く、その多様性に好奇心が刺激され、もっともっと奇怪な植物に出会いたいと夢が膨らむ。
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宿根草・多年草

人気品種を解説! シャープな葉がクールかっこいいユッカの魅力発見
見直したい魅力たっぷり「イトユッカ」 僕自身が最近注目していて、まずおすすめしたいのが斑入りイトユッカ(Yucca filamentosa var.smalliana)だ。葉を縁取る白斑が見た目に明るく、お洒落な姿。狭い庭にも使いやすく、他の植物と組み合わせがしやすいので、「ツンツンの植物は苦手」と思い込んでいる人たちにもおすすめしたい。 葉の縁に糸のような繊維が出ることから「イトユッカ」と呼ばれるようだが、この糸がなんとも可愛い。 イトユッカの魅力① 花がゴージャスで魅力的 まず最大の魅力は、たとえ株が小さくても見事な花を咲かせることだ。イトユッカは、別名イトランとも呼ばれているが、まるで洋ランのような華やかな花だ。 「キミガヨラン(君が代蘭/Yucca recurvifolia)」と呼ばれるユッカも花は咲くが、株が大型で小さな庭では存在感がありすぎる。また、その花は下向きに咲くのに対し、このイトユッカは横を向いて咲くので、まるで洋ランのように見えるのだ。 じつは、私もイトユッカが、こんな小さな株で開花するとは知らなかった。今年の4月に、なんとなく8号鉢のイトユッカを"葉を楽しむつもり”で、園芸店で購入。開花するとは思わなかったのだが、5月末にいきなり花芽が伸びて開花したのだ。イトユッカは10年くらい経たないと開花しないとされていたが、この株はせいぜい3~4年の若い株だと思う。なんとも感動の開花である。 こんな花が咲くと、毎朝、庭に出るのが楽しみだし、庭は一気に明るくなった気がする。なかなかパワーのある花だ。 イトユッカの魅力② まるで「グラス」のように扱いやすい 多くのユッカの葉は硬く尖っていて、触れると痛い。ところが、イトユッカは尖ってはいるが比較的やわらかく、刺さることはない。そして、他のユッカのように幹になって背が高くなることがないので、花壇にも「グラス」のような扱いで利用できるのが魅力でもある。小型のニューサイラン程度に考えたらよいと思う。 海外の雑誌では、花壇にグラスのように植えられている写真をよく目にする。庭が狭い我が家には花壇はないが、他の鉢植えと“寄せ置き”すると、シャープな葉が雰囲気を引き締めてくれる。 どうですか? イトユッカというと、なんとなくメキシコ原産だと思いがちだが、じつはアメリカ合衆国のノースカロライナやフロリダ州といった南部の湿潤気候の地域原産だ。したがって、本来、ドライガーデンではなく、普通の庭に向く植物なのだ。 人気絶頂の「ユッカ・ロストラータ」 さて次にご紹介したいのは、人気絶頂のユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)。 今、最も「カッコイイ」とされている植物かもしれない。確かに初めて目にしたときは、その卓越した風貌に圧倒された。そしてお値段を見て、また圧倒されたのだ。 まあ、ドライガーデンの代表選手みたいな植物だ。 多くは土のない状態で輸入し、国内で養生してから販売されているようだ。こちらはメキシコ原産で、寒さ暑さ、乾燥にも強く丈夫で育てやすいとされているが、2株育てた僕自身の経験では、年々、葉が小さく痩せ細ってしまった。 鉢植えで乾燥気味にして、太陽にも十分当てたつもりなのだが……。本当に丈夫で育てやすいか否かは、僕自身の中では未知数。でもカッコイイね。 その他のユッカたち5選 ユッカは正直なところ、分類がとても難しく、残念ながらネット上の写真と品種名は、まずあてにならない。学名も変更されたりする場合もあるため、何が本当の情報であるか、なかなか判断が付きにくい。 ここでは、国内で流通している品種をご紹介しよう。 ①ユッカ・グロリオーサ 元祖ユッカともいうべき、学校の校庭や公共施設にある「キミガヨラン(君が代蘭=Yucca recurvifolia / 旧学名Yucca gloriosa)」。イトユッカとの花の比較でも登場した、花が下向きに咲くユッカだ。アメリカ・メキシコ原産で樹高は4~6m、葉は長さ40cmほどで先端が針のように尖り、縁に細かい鋸歯がある。 明治時代に国内に入ってきたようだ。誰もが知っているキミガヨランの仲間で、特に葉が尖って硬いアツバキミガヨランは防犯植物として利用されているように、うっかり触ると痛くて危険で扱いにくい。 ② ユッカ・グロリオーサ・バエリガータ(Yucca gloriosa vaerigata) こちらは、グロリオーサの斑入り品種。 ③ ユッカ・グロリオーサ‘ブライトスター’(Yucca gloriosa ‘Bright star') ユッカの園芸品種で、とても明るい色をしている。 ④ ユッカ・アロイフォリア・バエリガータ(Yucca aloifolia vaerigata) ⑤ ユッカ・フィリフェラ(Yucca filifera) ユッカの基本的な育て方 ●栽培環境や水やり 原産地の多くは、メキシコなど乾燥地帯なので、日当たりがよく、水はけのよい場所で育てる。暑さには強く、耐寒性はおおよそマイナス5℃とされている。経験上、アガベ類よりはユッカのほうが耐寒性があるように感じる。冬は水やりを控える。春~秋は表土が乾いてから2〜3日してからたっぷりと与える。施肥は、成長期に2回程度。成長期は気温が約20℃以上とされている。 ●株の増やし方 実生は各品種共通だが、幹ができないイトユッカなどは、周りから子株が出るので、株分けで切り取って増やす。また、幹ができる品種は、逆に子株が出にくいので、幹を20cmほどに切って挿し木すると増やせる。 ●挿し木の例 巨大挿し木の手順 昨年6月に剪定作業で伺った庭で、大きなユッカを整理した際、剪定ゴミの中に、ユッカを発見。ふとゴミで捨てるのにはもったいないと思い、持ち帰って「挿し木」に挑戦した。何と成功したのだ。凄い生命力だ。 2021年6月19日に剪定枝の葉を落としてから、一晩、メネデール液に浸ける。そして、あくる日に、鹿沼土の鉢に挿し木をした。 2カ月後の姿。頂点に新芽が伸び出ている。 挿し木を開始して1年後の2022年6月16日。見事復活。 2021年11月4日には、幹を挿し木にしたユッカも芽を出した。 2022年6月16日、順調に成長しているのを確認。 人気絶頂のユッカ・ロストラータや、見た目ほど硬くないイトユッカに加え、元祖ユッカのキミガヨランやその仲間たちをご紹介しました。 街中で見かけて身近なようで、意外と知られていない一面があるユッカ。これまでいくつかの仲間を育ててきた結果、ご覧の通り、特にイトユッカはバラや草花とも相性がよいことがお分かりいただけたのではないでしょうか。ぜひ、ちょっとタイプの違う植物にチャレンジしたいときには、ユッカを思い出してほしいと思います。
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樹木

赤く炎のように燃えるオージープランツ「ダーウィニア」【オージーガーデニングのすすめ】
未知のオージープランツに何度も驚かされる 日本に住んでいると、例えば桜とか菊など日本で馴染みの深い花々と初めて出会ったのは何時だったか記憶にはないが、オージープランツに関しては、「はじめての出会い」をはっきり覚えている。多分、大人になってから出会ったからであろう。 オージープランツとの出会いの多くは、もう30年も昔になる。メルボルンに5年間駐在し、初めて花屋で見かけたバンクシアや、住んでいた家の庭に咲いていたグレヴィレア、出張でシドニーに行ったときに見たジャカランダなど、どの出会いも衝撃的で、その風景は今も鮮明に覚えている。 5年間もオーストラリアに住んでいれば、今、日本で流通しているオージープランツのエレモフィラニベアや初恋草などは、ほとんど現地で見たことがあるのではと思うかもしれないが、意外と現地のナーセリー(園芸店)では見かけたことがなく、日本に帰国後に園芸店で初めて出会って、その個性的な姿に衝撃を受けたということも多い。 今回取り上げるダーウィニアも、初めて出会ったのはメルボルンではなく、横浜の園芸店だった。図鑑で見たことがあったが、やはり現物の迫力は違う。炎のように燃えるような色彩を放つダーウィニアは、20年くらい前に初めてエレモフィラ・ニベアを都内の園芸店で見た時と同じ衝撃と感動があった。 見ていると元気が出る鮮やかカラーのダーウィニア オージープランツは、大抵日本での流通初期は、希少価値が高いからなのか、かなり値が張り、なかなか手が出ない。しかし数年も経つと、庶民も手が出る価格に落ち着くようである。我が家も昨年、庶民価格になったダーウィニアを連れ帰った。シルバーグリーンの細かい針のような葉と赤い花とのコントラストがなんとも美しい。この炎のような花を見ていると元気が出てくる。 コンパクトで育てやすいダーウィニア ダーウィニアは約70種あるといわれているが、多くは西オーストラリア原産。しかし、日本で流通しているのは、東海岸のニューサウスウェールズ州原産のダーウィニア・タクシフォリア(Darwinia taxifolia)という品種で、東海岸の気候は比較的日本の暖地に近いため育てやすい。今から約200年前の1825年に、ニューサウスウェールズ州のブルーマウンテンで発見された品種である。 ユーカリと同じフトモモ科の植物だが、ユーカリのように大きくなることはなく、せいぜい1mほどの低木なので、日本の狭い庭や、鉢植えにしてベランダで育てるのに向いている。匍匐(ほふく)性なのでロックガーデンにもよい。英名はmountain bell。開花期は、横浜の自宅2階のベランダで育てて4~5月である。園芸店での流通は3月頃からだ。また、名前はダーウィンに因んでつけられたとされる。 我が家のダーウィニアのある風景を幾つかご紹介しよう。 炎のように見えるようにと、燭台風の白い鉢にシンプルに。背景が白い壁だと映える。 オージープランツ仲間の赤いカンガルーポーと。 そしてオージー仲間のフェアリーピンクと共に、左後方の巨大な羊歯はディクソニア。 バラの開花期と同じ時期に咲く。テーブルに飾れるくらいのサイズ感で、左のバラは、‘クィーンエリザベス’。 最近、もう一品種、同じくニューサウスウェールズ州原産でダーウィニア・プロセラ(Darwinia procera)という品種も日本で入手できるとの情報もある。このプロセラは、やや背が高く、3m程度まで伸びる。 ダーウィニアの育て方 【日照条件】日陰でも育つ まず多くの場合、オージープランツの基本的な育て方は、必ず日当たりがよく、水はけのよい弱酸性の土に植え、夏は風通しのよい場所に置く。冬は霜よけをして、肥料は控えめに。であるが、このダーウィニアの特徴は、オージープランツには珍しく半日陰でも育つところである。逆に夏のピーカン照りや西日に当てると枯れやすい。オージーガーデンの木陰のグラウンドカバーに利用できるのだ。 【栽培のコツ】暑さ・寒さ・乾燥対策にマルチング オーストラリアの一般家庭の庭は、大抵芝生に覆われていて、周辺の植栽スペースにはウッドチップが敷かれている。マルチングは、夏には乾燥防止と共に、根を涼しく保つ効果があり、また冬は根を温かく保護するからだ。特にダーウィニアには、マルチングをおすすめしたい。なお、耐寒性はマイナス4℃とオーストラリアのウェブサイトに解説があったが、できるだけ霜よけをするなど、霜に当てないほうが無難だと思う。 【施肥】地植えは施肥不要 痩せた土地でも育つので、地植えの場合は不要。鉢植えの場合は春の成長期に発酵油かすの置き肥をする。 【剪定】花後に軽く刈る 5月以降、花が終わったら軽く刈り込むが、比較的自然にコンパクトにまとまる。また、梅雨時には風通しをよくするため、混み合った枝を間引く透かし剪定を。 【増やし方】挿し木が可能 花後の剪定枝を活用するなどして、挿し木で増やせる。 まだ日本では珍しいダーウィニアですが、未知の植物を身近に育ててみませんか? 赤い炎のような花が、驚きと元気を与えてくれます。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

究極の美しさに輝く大輪花 ピオニー
牡丹とピオニー 牡丹という言葉のイメージは、私の中では、花札を連想してしまい、ボタンッ! という濁音の響きと共に、何となく古くさい、あまりよいイメージがなかった。きっと私の育ちがヨロシクないからだと思う。 ところが、ある時、海外の園芸雑誌でピオニーを見た時に、あまりの美しさに衝撃が走った。あの牡丹が、西洋の建物を背景に英語の説明文を見ると、まるで別物に見えたのだった。…これが牡丹? 日本人として恥ずかしいことだが、ピオニーと英語でいわれると別物のようで、新鮮なイメージになる。潜在的な西洋コンプレックスを持っているからだろうか? 一昔前は、園芸よりもガーデニングといったほうがカッコよくお洒落に感じた人も多かったと思う。ちなみに、英語のピオニーには、牡丹とともに芍薬も含まれる。 そんな、カルチャーショックのような経験の後に、「ピオニー」を育て始めた。この牡丹、いやピオニーは、欧米では高貴で美しい「高嶺の花」のようである。 ピオニーと花々の組み合わせ 以前にオーストラリアのGlobal Gardenというガーデニングサイトのレポ-トで、庭のオージーのハーデンベルギアを背景に牡丹を写した写真をアップしたら、とても好評で、数通のメールをいただいた。The peonies are beautiful - especially combined with the hardenbergia.…と、やはりハーデンベルギアとの組み合わせは意外だったのだろう。まあ、オーストラリアのバンクシアなどとは対照的な花姿である。その時の品種は、‘花王’という豪華なピオニーだった。 このピオニーであるが、本当の魅力はまだ知られていないと思う。直径が23cmほどもあるこの‘花王’というピオニーは、ご覧の通り、横のストレリチア(極楽鳥花)でさえ小さく見えてしまうほどの迫力と豪華さなのだ。極楽を超える花…。このくすんだピンクもとても高貴な色だと思う。 そして何よりもピオニーの魅力は、このどこまでも薄い花びらの美しさ。 その後、調子に乗って、普通はピオニーと一緒に写真に収める人はいないであろう、オージープランツのエレモフィラ・ニベアやグレヴィレア‘ロビンゴードン’、羊歯のディクソニアとも撮ってみた。とっても新鮮! もう一つ、ニューサイランと共に撮ってみよう。ニューサイランを引き立て役に、ピオニーを浮き上がらせてみた。 そして、もう一つの主役級の花、バラとも組み合わせてみた。 モッコウバラとも。 この‘花王’の実物を見たら、きっとロザリアンたちもピオニーに魅せられてしまうに違いない。バラが大人気の日本のガーデニングだが、流行にとらわれずにさまざまな植物に目を向けると、自分らしいガーデニングが楽しめるようになると思う。鉢の置き場を変えるだけで、雰囲気も大分変わる。 こんなことをやって遊んでいるうちに、ふと、これがガーデニングの醍醐味だな! と真面目に感じた。 花や植物を組み合わせ、より美しい世界を創り上げるガーデニング。オージープランツとピオニーを組み合わせることで誕生する、今までに見たことのない新しい風景。自分の個性や創造性で作るガーデニングの世界。海外の園芸雑誌に掲載された「牡丹」=「ピオニー」をきっかけに、確実に自分のガーデニングの楽しみ方の世界が広がったことを実感した。 ピオニーの育て方 さて、最後に、ピオニーの育て方に触れておこう。 バラの育て方をご存じの方は多いと思うが、植え付け・植え替え時期と、剪定時期以外は、ほぼ同じと考えていい。植え付け・植え替えは9月の彼岸過ぎから11月頃が適期、そして剪定は9月に行う。 バラ同様に水はけのよい土で、日当たりのよい場所で育てる。ただし、真夏の西日や真冬の寒風は寒冷紗などで防いだほうがよい。植え付ける際は、50cm程度の穴を掘り、腐葉土・堆肥などのほか、元肥も入れる。肥料食いなのもバラと同じなので、芽出し肥、花後のお礼肥、そして9月に追肥をする。 発生しやすい病害虫もバラと似ていて、うどん粉病、黒斑病、そしてカイガラムシがつくため、適宜殺菌剤を散布し、カイガラムシは歯ブラシなどでの処理をしよう。 育て方の難易度はバラ程度だと思うので、気軽に「究極の美しさを放つピオニー」を育ててみませんか?
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樹木

愛らしい花咲くワックスフラワー【オージーガーデニングのすすめ】
ワックスフラワーのプロフィール 今回ご紹介するオージープランツは、ワックスフラワーです。春の園芸店に並ぶオージープランツの中でも、愛らしく、華やかな雰囲気があるのがワックスフラワーです。針状の柔らかな細葉が茂る低木で、花は4月から咲き始めます。 科名:フトモモ科 常緑低木 学名:Chamelaucium uncinatum 俗名:ジェラルトンワックスフラワー、ジェラルトンワックス 原産地:西オーストラリア州 樹高:1~4m 開花期:4~6月 花色:白またはピンク 蜜を含む花とハーブのように香る葉 植物名にもあるように、ロウのような光沢のある花が密集して華やかに咲き、花が比較的長もちするので、切り花として人気があります。蜜が多く、芳香性がある花は小鳥やミツバチを魅了します。 葉は柑橘系の香りがして、ローズマリーのように料理にも使用できます。 ワックスフラワーの故郷 俗名に、ジェラルトンワックスフラワーとありますが、ジェラルトン(Geraldton)とは都市の名称で、西オーストラリア州の州都パースから、北に420kmの地点に位置します。 私の記事でも度々お伝えしてきましたが、オージープランツと一口に言っても、オーストラリアは広大な国土で、地域によって気候や環境はさまざまに異なります。例えば、西オーストラリア州だけでも、日本の国土の6倍以上もあるのです。上記で説明したジェラルトンを示す「北に420km」とは、東京からの距離で例えれば、岩手県盛岡市にあたります。オーストラリアの場合は南半球なので、北に行くほど暖かくなりますが、東京と盛岡では気候がかなり異なりますよね。 ジェラルトンの夏は暑く、12~3月までは最高気温の平均が30℃を超えますが、夜温は20℃以下。そしてほとんど雨が降りません。この4カ月間の降雨量は、ひと月に10~20mm程度です。砂漠に似た気候ですから、随分と日本とは異なります。ワックスフラワーは、そんな環境に原生する植物なのです。 ワックスフラワーの栽培のヒント 現地の園芸書によると「ジェラルトンワックスフラワーは比較的丈夫で、水はけのよい砂質土壌と日当たりのよい地中海性気候で育ちます。東海岸のシドニーやメルボルンなどの湿度の高い地域でも栽培できますが、短命になる傾向があります」と解説されています。 ということは、高温多湿の日本の梅雨越しは難しいというのが実際です。半面、冬の霜や雨不足の干ばつには強いので、ほかの西オーストラリア原産の植物同様に、“雨に当てず、風通しのよい場所で乾かし気味”にすれば、日本の夏越しも可能です。雨に当てないという条件をクリアするためには地植えは厳しく、鉢植えで育てます。 ワックスフラワーの育て方ポイント 【置き場所】 秋または冬の間は、周囲が湿っていないような環境で、太陽の当たる明るい場所に置きます。初夏から夏は、半日陰の風通しのよいところで育てます。 【施肥】 春に、緩効性肥料を与えますが、もともと肥料分の少ない土地で育っているので、少なめにします。 【水やり】 過湿を嫌うので、鉢土の表面がよく乾いていることを確認してから水やりします。 【剪定】 剪定には強く、花が終わったら樹形を整えるとよいでしょう。現地では生け垣に仕立てられているワックスフラワーも見られますが、日本では難しいですね。 【増やし方】 挿し木で増やすのが一般的です。一般の挿し木と同じ方法で大丈夫です。花後の剪定で出た剪定枝を10cm程度の長さで切り、植物活力剤のメネデールなどに1時間ほど浸けます。挿す前に、枝の切り口に、発根促進剤のルートンを付けると、より成功率が上がります。挿し木の用土は、鹿沼土や川砂を使用します。 オージープランツを育てる楽しみ 育てるにはちょっとコツがいるオージープランツの一つ、ワックスフラワー。ですが、気難しいからこそ、大株に育って開花したときの喜びもひとしおです。ぜひ、花が咲く苗も手に入りやすいこの時期に、ワックスフラワーを育ててみましょう。
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ガーデニング

異彩を放つオージープランツの寄せ植え講座
春咲く草花とオージープランツの相性は? 春になると、一斉にさまざまな個性的なオージープランツが園芸店の店頭に並びますね。 寄せ植えの一部にオージープランツを使用することは、一般にはよく見かけますが、例えば、寄せ植え素材として人気のエレモフィラ・ニベアや初恋草は、寒さにはある程度強く、秋から春までは一般の草花と一緒に寄せ植えしても比較的もちますが、蒸し暑い梅雨時期を迎えて雨に濡れると、ほぼ100%枯れてしまいます。 なぜなら、もともとエレモフィラ・ニベアや初恋草は西オーストラリアの乾燥地帯に自生する植物で、過湿やリン酸肥料に弱いのです。ですから、パンジーなどの一般の草花と同様に、リン酸が多い液肥をたっぷり与えたり、雨の当たる場所に置いてしまうと、まず枯れてしまいます。今この記事をお読みの方の中にも、エレモフィラ・ニベアや初恋草を枯らした経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。 オージープランツだけで作る寄せ植え 寄せ植えは、同じ環境下で育つもの同士を組み合わせる必要があります。そして、隣り合う植物の調和をできるだけ長く楽しみたいものですよね。そこで、私がおすすめするのは、オージープランツだけの寄せ植えです。水はけのよい土に植え、肥料は控えめにし、日当たりのよい雨の当たらないところで管理します。 オージープランツだけの寄せ植えは、見た目にもエキゾチックで新鮮な印象。異彩を放つので、一般住宅の玄関などにはもちろん、お洒落な商業スペースにも最適です。 それでは、今回使用したオージープランツをご紹介しましょう。 <オージープランツの寄せ植え花材1> ライスフラワー まず、中央の後方でピンクの米粒のような花が房状に咲くのは、ライスフラワー。 学名はOzothamnus diosmifolius。キク科の植物です。 東オーストラリア原産なので、比較的日本でも育てやすいです。米粒のようなつぼみがお米によく似ているので、ライスフラワーという名前がついたようです。 比較的寒さにも強く、暖地では庭植えも可能で、約2mまでになる低木です。背が高いので後方に配置しました。花色には白もありますが、今回は華やかなピンクをセレクト。 <オージープランツの寄せ植え花材2> カンガルーポー 後方左側で一段と鮮やかな色彩の花を咲かせているのは、オージープランツの代表的な植物、カンガルーポー(Kangaroo paw/カンガルーの足という意味)です。学名は Anigozanthos。 「カンガルーの足」のようなユニークな花の形が、寄せ植えのオリジナリティーをいっそう高めてくれています。花の色は、赤のほかに黄、ピンクなどがありますが、寄せ植えの雰囲気を赤系でまとめるために赤花を使用しました。 寄せ植えを制作するときは、同系色の花色を集めるとテクニックいらずで、落ち着きますね。カンガルーポーは、西オーストラリアの原野の痩せた土壌に自生するので、一般の寄せ植えに使う肥沃な用土は避けましょう。 日本では一年草扱いされがちですが、本来は宿根草で、我が家では実生25年ほどの大株も育っています。花茎が伸びて2mくらいになります。 カンガルーポーの詳しい記事はこちら。 <オージープランツの寄せ植え花材3> ピメレア 次は中央左側の白い花、名称はピメレアです。学名はPimelea spectabilis、ジンチョウゲ科の植物です。言われてみれば、沈丁花と花の付き方が似ていますね。 エレガントで清楚な雰囲気があり、寄せ植えの中で白い花は、ほかの花との色彩や形状のぶつかり合いを緩衝する役割を果たしてくれます。オージープランツは全般的に派手な色や形の花が多いので、このピメレアの白花を入れることで、雰囲気を落ち着かせる効果があります。原産地は、乾燥している西オーストラリアなので、他の植物同様に過湿を嫌います。 ピメレアの詳しい記事はこちら。 <オージープランツの寄せ植え花材4> ミントブッシュ 次に、寄せ植えの左側で紫の小さな花を咲かせている植物、ミントブッシュをご紹介しましょう。 第一次オージープランツブームが到来した20年ほど前に、初恋草やエレモフィラ・ニベアなどと同時に流行った、個人的には懐かしい花木です。 名前の通り、葉はミントのようなスゥーッと爽やかな香りがするシソ科の植物で、学名はProstanthera です。「プロスタンセラ」として売られていることもあります。 意外なのが花の香りで、妖艶なクチナシに似た香りがするのです。見た目には、紫の小さな花で、どちらかというと葉の緑が多く、地味に見えますが、この香りのために寄せ植えに使用したといっても過言ではないほど、香り効果を狙っています。五感で感じる寄せ植えも素敵ですよね。 ミントブッシュの詳しい記事はこちら。 <オージープランツの寄せ植え花材5> フェアリーピンク 次に中央に広がるシルバーリーフとピンクの花は、フェアリーピンクです。フェアリーピンクは流通名で、正式には英名がAustralian foxglove(オーストラリアン・ジギタリス)。学名はDasymalla terminalis。確かに花は、ジギタリスに似たフォルムですね。 シルバーホワイトの葉と濃いピンクの花とのコントラストにインパクトがあるので、中央に配置しました。寄せ植えの場合、存在感のあるものを中央にすえると、全体の存在感がアップする効果があります。 フェアリーピンクの詳しい記事はこちら。 <オージープランツの寄せ植え花材6> エレモフィラ・ニベア 隣にあるフェアリーピンクにやや圧倒されていますが、シルバーホワイトの葉と、パープルの小さな花をつけているのが、寄せ植え花材でお馴染みのエレモフィラ・ニベアです。学名はEremophila nivea、俗名はSilky Eremophila。この時期はまだ花数が少なくて残念ですが、花盛りになると淡いパープルに彩られて、とてもきれいです。また、羽毛で覆われたような細く小さな葉は、触るととても快い感触。 エレモフィラ・ニベアは、乾燥を好む西オーストラリアの典型的な植物で、雨や過湿、そしてリン酸にも弱く、他の一般の草花と寄せ植えにして維持するのは難しいでしょう。オージープランツだけの寄せ植えだからこそ使いたい花木です。 エレモフィラ・ニベアの詳しい記事はこちら。 <オージープランツの寄せ植え花材7> ワックス・フラワー 次にご紹介するのは、前方右に植わるワックス・フラワーです。 花は、まるでロウ細工のようで繊細な雰囲気。フトモモ科の植物で西オーストラリア原産です。学名はChamelaucium uncinatum。たくさんの花が密集して咲くので、華やかさを演出してくれます。低木で、原産地では2mほどに成長します。今回は小さな苗木を使用して、寄せ植えの低い位置を明るくしました。ワックス・フラワーは、大株を単独で鉢植えにしても豪華です。 <オージープランツの寄せ植え花材8> その他の葉物 オージープランツは以上の7種ですが、寄せ植え全体のバランスを取るために、ニュージーランド原産のニューサイランを2種(ピンクストライプとブラックアダー)、そして、根元に同じニュージーランド原産のアステリア、特別参加のエアープランツを使用しています。 ニューサイランの剣葉はシャープな印象を与え、雰囲気をスタイリッシュに引き締めてくれると同時に、伸びやかなラインが広がり感を与えてくれます。アステリアはニューサイランに似ていますが、光沢のある葉が渋く、芸術的な独特の佇まいを見せてくれます。 根元には特別参加のエアプランツです。洗練されたワイルド感がありますね。 ニューサイランの詳しい記事はこちら。 春を迎える玄関に、ちょっと豪華に異彩を放つ、オージープランツの寄せ植えを作ってみてはいかがですか? コロナ禍の憂鬱な気分を吹き飛ばし、明るいオーストラリアの開放的な気分になれますよ。愛犬ココちゃんも、ご機嫌です!
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樹木

エキゾチックで愛らしいオージープランツ「フェアリーピンク」
鮮やかなピンクの花が愛らしいフェアリーピンク 春先になると、園芸店の店頭にはさまざまなオージープランツが並ぶ。なかでもこの2~3年人気なのが、フェアリーピンクと呼ばれるオーストラリアン・フォックスグローブ(Australian Foxglove)、つまり、オーストラリアのジギタリス(Foxglove)だ。オーストラリアではネイティブフォックスグローブとも呼ばれている。ジギタリスはゴマノハグサ科の多年草だが、このフェアリーピンクはシソ科の常緑低木の園芸品種である。花の形は、確かにジギタリスに似ている。 日本では、学名がPityrodia terminalisと表記されていたり、ピティロディア・ターミナリスの名前で店頭に出回っていることが多い。しかし、じつは近年、Dasymalla属に分類が変更され、Dasymalla terminalisが現在の学名となっている。 西オーストラリアが原生地で、白い綿毛で覆われた葉と茎を持ち、春に白やピンクの花をつける、とても魅力的な植物だ。オージープランツのうち、白い綿毛に覆われた葉を持つものは、まず西オーストラリアの乾燥地帯が原生地。見るからに雨に弱そうな姿だ。本来は、常緑低木で1mほどの株立ちになるが、日本の蒸し暑い夏を越すのが難しく、一年草として扱われている。 エキゾチックな雰囲気を演出 フェアリーピンクは見た目のインパクトも強く、ストレリチアやハーデンベルギアと並べると、とてもエキゾチックな庭風景が出来上がる。 庭のテーブルに一鉢置くだけでも、存在感がある。この白銀色の葉と鮮やかなピンクの花の取り合わせが、独特のオーラを発しているのかもしれない。背景のオーストラリアの木生シダともよく似合う。 原産地の気候 フェアリーピンクという名前で流通しているが、もともと‘フェアリーピンク’は園芸種の品種名。野生のDasymallaは、乾燥した過酷な気象条件の原野に育つ。 上2枚の写真は、西オーストラリアで撮影した原生種だ。 そして、これは原生種が生息している西オーストラリアの原野。こんな荒涼とした乾燥地帯が原産地なのだ。 これまで度々、一口にオージープランツといっても、東オーストラリア原産の品種は日本でも育てやすいが、西オーストラリア原産は夏越しが難しいと書いてきた。今回、その気候の違いについて少し触れておこう。東京、東オーストラリアのメルボルン、西オーストラリアのパースの気候について、夏と冬の気温及び降水量を比較してみよう(データは拙書『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版社)より引用)。 年間降水量 東京 約1,600mm メルボルン 約680mm バース 約775mm 東京の降水量は倍以上ある。 夏 都市 最高気温 最低気温 降雨量 東京(8月) 30.8℃ 23.0℃ 168.2mm メルボルン(2月) 25.8℃ 14.6℃ 48mm パース(2月) 31.9℃ 17.5℃ 15mm 夏の西オーストアリアがいかに乾燥しているかが想像できると思う。西オーストラリア原産植物の日本での夏越しのコツは、絶対に雨に当てずに、極力水を控えることだ。 冬 都市 最高気温 最低気温 降雨量 東京(2月) 10.4℃ 1.7℃ 56.1mm メルボルン(8月) 15℃ 6.7℃ 50mm パース(8月) 18.4℃ 8.0℃ 117mm 西オーストラリアのパースは、冬は温暖で、雨も降る地中海性気候。 気候の違いをご理解いただけただろうか? 今回は、以下に述べる育て方の参考になるよう気候の違いを示したが、植物の育て方の基本は、原産地の気候・土壌と育つ環境に近づけること。植物を栽培する際は、ぜひ原産地の気候を確認してほしい。 フェアリーピンクの育て方 【植え付け】 ビニールポットに植わった苗を購入した場合は、根を崩さないようにして一回り大きな鉢(スリット鉢・テラコッタなど通気性のよい鉢)に植え替える。地植えは夏越し・冬越しが難しいため、鉢植えで育てるとよい。 【用土】 水はけのよい土を使用する。例えば赤玉土4:小粒軽石2:鹿沼土1:腐葉土3など。 【水やり】 表面が乾いて1日後、特に夏・冬は控え目に。 【置き場】 日当たりのよい雨の当たらない場所。夏は風通しのよい半日陰の涼しい場所に置く。冬は屋内に取り込む。 【施肥】 リン酸の少ない肥料を使用。 【剪定】 花後に切り詰め、混雑した枝を透かし風通しのよい状態にして夏越しに備える。 【病害虫】 特になし。 ポイントは夏に涼しい場所で乾燥気味に管理すること。うまくいくと夏越しできる。冬越しは窓辺の日当たりのよい場所で、水を控えめにして育てると比較的成功しやすい。 ちょっと夏越しが難しいフェアリーピンクですが、2年目に大きな豪華な株が開花したときの喜びはひとしおです。一度、挑戦してみませんか?
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クラフト

クリスマス&お正月に! 1度作れば3回飾れるモダンなスワッグを手作りしよう
クリスマススワッグの由来とお正月由来の植物 インテリアや玄関扉に飾るだけで、クリスマスやお正月の雰囲気をプラスできるスワッグ。最近はフラワーショップでも、各店それぞれに個性豊かなデザインのものを売り出していますよね。 スワッグは、海外では伝統的な装飾アイテムとして古くから親しまれてきました。16世紀にスカンジナビアからイギリスに伝わったとされ、もともとはドイツ語で「壁飾り」や「揺れるもの」という意味があります。季節の花や枝などを一つに束ねて、壁面やドアに吊して飾るのが一般的で、ヨーロッパでは魔除けの意味もあるようです。 スワッグの作り方は、花材を束ねて結ぶだけという手軽さで、日本でもリースに続き、作る人が増えています。これまではクリスマス用スワッグが先行して人気でしたが、近年、お正月用スワッグも増えています。 日本のお正月を飾る松飾りは、年神様を迎える依代 (よりしろ) の一種とされています。松は冬でも葉が落ちない常緑樹なので、古くは中国でも生命力や長寿の象徴で神が宿る木とされていました。また、松は「祀る(まつる)」に通じることから、門飾りなどに使われています。一方、南天が正月飾りに使用されるのは、「難を転じる」に通じ、日本では古くから縁起のよい木とされてきたことから。南天を植えると家が栄える、お金持ちになれる、災難から逃れられる、などの意味があるのです。 ということで、ヨーロッパの風習と日本由来の縁起のよい植物、さらには華やかさとボリュームがプラスできるオージープランツを花材として加え、2度も3度も飾れる、年末年始に大活躍のスワッグの作り方をご紹介します。 スワッグ作りに準備したい花材 上写真左から、 ユーカリ 南天 ミカン 根引き五葉松 バンクシア 綿の枝 稲穂 今回、メインとなるのは、堂々とした風格の根引き五葉松です。 京都の由緒ある寺社や旧家などでは、「根引き松」と呼ばれる門松が飾られます。「根引き松」は根がついたままの若い松で、枝に和紙を巻き水引きが掛けられています。この“根を付けたまま”にしているのは意味があり、「地に足のついた生活ができるように」「成長し続けていけるように」という願いが込められています。 五葉松は「御用を待つ」という意味合いもあり、商家では昔から大変人気のある植物です。見た目には、シルバーがかった葉の色も魅力で、クリスマスツリーのドイツトウヒに近く、クリスマス用スワッグにも意外とマッチします。 オージープランツのバンクシア・フーケリアナです。 ドライフラワーを使用しますが、バンクシアの中でも最も美しく魅力的な花です。 続いて、つぼみ付きのユーカリです。 ポプラスベリーという名で流通していますが、先端にぷつぷつと付いているものは、実ではなく、つぼみ。実は、ガムナッツと呼ばれる茶色いものです。 ミカンと稲穂が付いたしめ縄飾りです。 稲穂が正月飾りに使用されるのは、「実り多き年でありますように」という願いが込められています。 次はお正月の定番植物、南天です。 「難を転じる」南天ですが、この赤い実は、クリスマス用スワッグに使うとクリスマスホーリーのように見えます。 次は、綿の実がついた枝です。雪のイメージとして使います。 その他、クリスマス用スワッグのみに、ユーカリの枝を使用しています。 スワッグらしい形にバランスをとるのに活躍してくれます。お正月用に加えない理由は、正月らしい五葉松の美しい樹形をクリアに引き立てたいからです。 まずは、クリスマススワッグ作り ポイントは、クリスマスが終わったらお正月用に作り替えるということ。それを前提に、スワッグの花材や飾りものを別々のパーツとして制作し、組み合わせを楽に変えられるようにしておくのです。 【クリスマス用スワッグ 材料】 クリスマス用は、赤いリボンと松ぼっくりがアクセントになってくれます。ラッピングペーパーやラフィアなども用意しておきましょう。 【お正月用スワッグ 材料】 麻紐、麻布、しめ縄、ラフィア、水引飾り、ワイヤー(長いもの・短いもの各6本)、輪ゴム、花切り鋏を用意します。 【手順1】スワッグのパーツを作る しめ縄に、稲穂とミカンをワイヤーで括りつけておきましょう(お正月用)。 【手順2】本体を作る 順番としては、先にお正月用の花材を束ね、後からクリスマス用の花材を合わせるイメージです。まずはお正月用の花材を準備して、束ねる前に、バランスを見るためにラフに並べてみるとよいでしょう。 【手順3】根元を縛って切りそろえる 使用するのは、根引き五葉松、バンクシア、つぼみ付きのユーカリの枝、南天、綿の枝です。お正月用には五葉松の樹形を強調するために、つぼみのないユーカリの枝は使用しません。 バランスが取れたら、麻紐でしっかり縛ります。 各花材の長さを切り揃えますが、根引き松はあえて根を残しておきます。 【手順4】本体となるお正月用の束の根元全体を麻布で巻く 束ねたお正月用の花材の根元付近をしっかり固定するため、さらに麻布で巻いて輪ゴムなどで固定します。 【手順5】お正月用の束に、クリスマスの花材を加える 【手順4】の束にユーカリの枝を加えると、クリスマス用になります。ユーカリの枝はクリスマスの後に簡単に取り外せるよう、別に束ねます。 【手順6】クリスマスの雰囲気をアップする飾り付け 【手順5】の束にクリスマス用のラッピングを巻きつけて(上写真左)、その上にリボンを結んだら、松ぼっくりをワイヤーで留めつけて、クリスマス用は出来上がりです(上写真右)。 異なるリボンも試してみました。やはり、ちょっとしたことで、随分と雰囲気が変わるものですね。 クリスマス用スワッグをお正月仕様にお色直し さて、クリスマスが終わったら、クリスマス用に取り付けた飾りとラッピングを取り外し、さらにユーカリの枝を取り除き、【手順1】のお正月用の飾りに付け替えます。これでお正月用スワッグにヘ~ンシン! です。 お正月が終わったら、しめ縄を外して再び五葉松とユーカリの枝を取り換えると、普通のスワッグになりますね。庭で切ったアカシアなど、ドライになりそうな枝を足してあげると、より魅力的なスワッグが出来上がります。 忙しい時期だからこそ、3通りにも楽しめるスワッグを作ってみませんか? リボンやラフィアなど、少しパーツをアレンジするだけで随分と印象が変わります。お手持ちのもので、いろいろ試してみると楽しいですね。 では、Merry Christmas & Happy New Year 2023! 別デザインのスワッグの作り方も併せてご覧ください。 ●オリジナルのお正月飾り! 素敵な「スワッグ」の作り方




















