近年、ドライガーデンの人気に伴って育てる人が増えている植物の一つ、ユッカ。常緑性の低木で、ツンツンと葉先が尖ったシャープな姿が、庭のアクセントにも役立つ植物です。観葉植物として認知されているユッカの中でも、「ロストラータ」が特に人気が高く、品種もさまざま。神奈川県横浜市でオージープランツを中心とした庭づくりをし、長年ユッカも育てている遠藤昭さんに、今人気のユッカの注目品種と魅力を教えていただきます。

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見直したい魅力たっぷり「イトユッカ」

イトユッカ

僕自身が最近注目していて、まずおすすめしたいのが斑入りイトユッカ(Yucca filamentosa var.smalliana)だ。葉を縁取る白斑が見た目に明るく、お洒落な姿。狭い庭にも使いやすく、他の植物と組み合わせがしやすいので、「ツンツンの植物は苦手」と思い込んでいる人たちにもおすすめしたい。

イトユッカ

イトユッカは葉の縁に糸のような繊維が出ることから「イトユッカ」と呼ばれるようだが、この糸がなんとも可愛い。

イトユッカの魅力① 花がゴージャスで魅力的

イトユッカの花
雨粒をまとって咲くイトユッカの美しい花。

まず最大の魅力は、たとえ株が小さくても見事な花を咲かせることだ。イトユッカは、別名イトランとも呼ばれているが、まるで洋ランのような見事な花を咲かせる。

キミガヨラン
花が下を向いて咲くキミガヨラン。Alexander Denisenko/Shutterstock.com

「キミガヨラン(君が代蘭/Yucca recurvifolia)」と呼ばれるユッカも、花は咲かせるが株は大型で小さな庭では存在感がありすぎるし、花は下向きに咲いてしまうが、このイトユッカは、横を向いて咲くので、まるで洋ランのように見えるのだ。

イトユッカ

じつは、私もイトユッカが、こんな小さな株で開花するとは知らなかったのだが、今年の4月に、なんとなく8号鉢のイトユッカを”葉を楽しむつもり”で、園芸店で購入。開花するとは思わなかったのだが、5月末にいきなり花芽が伸びて開花したのだ。イトユッカは10年位経たないと開花しないとされていたが、この株はせいぜい3~4年の若い株だと思う。なんとも感動の開花である。

イトユッカ

こんな花が咲くと、毎朝、庭に出るのが楽しみだし、庭は一気に明るくなった気がする。なかなかパワーのある花だ。

イトユッカの魅力② まるで「グラス」のように扱いやすい

イトユッカ
くっきり見える斑入り葉は、アジサイともよく似合う。

多くのユッカの葉は硬く尖っていて触れると痛い。ところが、このイトユッカは尖ってはいるが比較的やわらかく、刺さることはない。そして、他のユッカのように幹になって背が高くなることがないので、花壇にも、「グラス」のような扱いで利用できるのが小型のイトユッカの魅力でもある。小型のニューサイラン程度に考えたらよいと思う。

イトユッカ
イトユッカの隣に咲くバラは‘シャドウ・オブ・ザ・ムーン’、後ろはミントブッシュの紫花。

海外の雑誌に花壇にグラスのように植えられている写真をよく目にする。庭が狭い我が家には花壇は無いが、他の鉢植えと“寄せ置き”すると、シャープな葉が雰囲気を引き締めてくれる。

アガパンサス、ヘメロカリス、ユッカ
アガパンサスやヘメロカリスと一緒にユッカの鉢も寄せ置きにすると、スタイリッシュな感じになる。

どうですか? イトユッカとうと、なんとなくメキシコ原産だと思いがちですが、じつはアメリカ合衆国のノースカロライナやフロリダ州といった南部の湿潤気候の地域なのだ。したがって、本来、ドライガーデンではなく、普通の庭に向く植物なのだ。

人気絶頂の「ユッカ・ロストラータ」

ユッカ・ロストラータ
ユッカ・ロストラータ guentermanaus/Shutterstock.com

さて次に紹介したいのは、人気絶頂のユッカ・ロストラータ(Yucca rostrata)。

今、最も「カッコイイ」とされている植物かも知れない。確かに初めて目にしたときは、その卓越した風貌に圧倒された。そしてお値段をみて、また圧倒されたのだ。

まあ、ドライガーデンの代表選手みたいな植物だ。

ユッカ

多くは土の無い状態で輸入し、国内で養生してから販売されているようだ。こちらはメキシコ原産で寒さ暑さ、乾燥にも強く丈夫で育てやすいとされているが、僕自身の経験では、2株育てたことがあるが、年々、葉が小さく痩せ細ってしまった。

ユッカ

鉢植えで乾燥気味にして太陽には十分当てたつもりなのだが……。本当に丈夫で育てやすいか否かは、僕自身の中では未知数。でもカッコイイね。

その他のユッカたち5選

ユッカは正直なところ、分類がとても難しく、残念ながらネット上の写真と品種名は、まずあてになりません。学名も変更されたりする場合もあり、何が本当の情報であるか、なかなか判断が付きにくいです。

ここでは、国内で流通している品種を紹介しましょう。

①ユッカ・グロリオーサ

ユッカ・グロリオーサ

元祖ユッカともいうべき、学校の校庭や公共施設にある「キミガヨラン(君が代蘭=Yucca recurvifolia / 旧学名Yucca gloriosa)」。イトユッカとの花の比較でも登場した、花が下向きに咲くユッカだ。アメリカ・メキシコ原産で樹高は4~6m、葉は長さ40cmで先端が針のように尖り、縁に細かい鋸歯がある。

明治時代に国内に入ってきたようだ。誰もが知っているキミガヨランの仲間で、特に葉が尖って硬いアツバキミガヨランは防犯植物として利用されているように、葉が尖って痛くて危険で扱いにくい。

② ユッカ・グロリオーサ・バエリガータ(Yucca gloriosa vaerigata

ユッカ・グロリオーサ・バエリガータ

こちらは、グロリオーサの斑入り品種。

③ ユッカ・グロリオーサ‘ブライトスター’(Yucca gloriosa ‘Bright star’)

ユッカ・グロリオーサ‘ブライトスター’

ユッカの園芸品種で、とても明るい色をしている。

④ ユッカ・アロイフォリア・バエリガータ(Yucca aloifolia vaerigata

ユッカ・アロイフォリア・バエリガータ
葉が硬く、樹高0.5~1mになる。

⑤ ユッカ・フェリフィラ(Yucca filifera

ユッカ・フェリフィラ
幹が太いのが特徴で葉は硬い。

ユッカの基本的な育て方

●栽培環境や水やり

原産地の多くはメキシコ等、乾燥地帯なので、日当たりがよく、水はけのよい場所で育てる。暑さには強く、耐寒性はおおよそマイナス5℃とされている。経験上、アガベ類よりはユッカのほうが耐寒性があるように感じる。冬は水やりを控える。春~秋は表土が乾いてから2〜3日してからたっぷりと与える。施肥は、成長期に2回程度。成長期は気温が約20℃以上とされている。

●株の増やし方

実生は各品種共通だが、幹ができないイトユッカなどは、周りから子株が出るので、株分けで切り取って増やす。また、幹ができる品種は、逆に子株が出にくく、幹を20cmに切って挿し木するとふやせる。

●挿し木の例 巨大挿し木の手順

昨年6月に剪定作業でうかがった庭で、大きなユッカを整理した際に剪定ゴミの中に、ユッカを発見。ふとゴミで捨てるのにはもったいないので持ち帰り「挿し木」に挑戦した。何と成功したのだ。凄い生命力だ。

ユッカの挿し木

2021年6月19日に剪定枝の葉を落としてから一晩、メネデール液に浸ける。そして、あくる日に、鹿沼土の鉢に挿し木をした。

ユッカの挿し木

2カ月後の姿。頂点に新芽が伸び出ている。

ユッカの挿し木

挿し木を開始して1年後の2022年6月16日。見事復活。

ユッカの挿し木

2021年11月4日には、幹を刻んで挿し木にしたユッカも芽を出した。

ユッカの挿し木

2022年6月16日、順調に成長しているのを確認。

ユッカ・ロストラータ
ユッカ・ロストラータ。

人気絶頂のユッカ・ロストラータや見た目ほど硬くないイトユッカに加え、元祖ユッカのキミガヨランやその仲間たちをご紹介しました。

ユッカ

街中で見かけて身近なようで、意外と知られていない一面があるユッカ。これまでいくつかの仲間を育ててきた結果、ご紹介の通り、特にイトユッカはバラや草花とも相性がよいことがお分かりいただけたのではないでしょうか。ぜひ、ちょっとタイプの違う植物にチャレンジしたいときには、ユッカを思い出してほしいと思います。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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