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赤く炎のように燃えるオージープランツ「ダーウィニア」【オージーガーデニングのすすめ】

赤く炎のように燃えるオージープランツ「ダーウィニア」【オージーガーデニングのすすめ】

オリジナリティのある庭づくりや、ファッショナブルな植物を求める人に近年選ばれているオーストラリア原産の植物グループ「オージープランツ」。炎のような赤い花が咲くダーウィニアもオージープランツの一つです。自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てているガーデンプロデューサーの遠藤昭さんに、個性的な株姿のダーウィニアの基本情報や、自生地の環境から知る育て方のポイントなどを教えていただきます。

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未知のオージープランツに何度も驚かされる

ダーウィニア
日本で出会ったオージープランツ、ダーウィニア。

日本に住んでいると、例えば桜とか菊など日本で馴染みの深い花々と初めて出会ったのは何時だったか記憶にはないが、オージープランツに関しては、「はじめての出会い」をはっきり覚えている。多分、大人になってから出会ったからであろう。

ジャカランダ
日本でも栽培され、名所もあるジャカランダ

オージープランツとの出会いの多くは、もう30年も昔になる。メルボルンに5年間駐在し、初めて花屋で見かけたバンクシアや、住んでいた家の庭に咲いていたグレヴィレア、出張でシドニーに行ったときに見たジャカランダなど、どの出会いも衝撃的で、その風景は今も鮮明に覚えている。

エレモフィラニベア
キモッコウバラと共演する紫花のエレモフィラ・ニベア

5年間もオーストラリアに住んでいれば、今、日本で流通しているオージープランツのエレモフィラニベアや初恋草などは、ほとんど現地で見たことがあるのではと思うかもしれないが、意外と現地のナーセリー(園芸店)では見かけたことがなく、日本に帰国後に園芸店で初めて出会って、その個性的な姿に衝撃を受けたということも多い。

ダーウィニア

今回取り上げるダーウィニアも、初めて出会ったのはメルボルンではなく、横浜の園芸店だった。図鑑で見たことがあったが、やはり現物の迫力は違う。炎のように燃えるような色彩を放つダーウィニアは、20年くらい前に初めてエレモフィラ・ニベアを都内の園芸店で見た時と同じ衝撃と感動があった。

見ていると元気が出る鮮やかカラーのダーウィニア

ダーウィニア

オージープランツは、大抵日本での流通初期は、希少価値が高いからなのか、かなり値が張り、なかなか手が出ない。しかし数年も経つと、庶民も手が出る価格に落ち着くようである。我が家も昨年、庶民価格になったダーウィニアを連れ帰った。シルバーグリーンの細かい針のような葉と赤い花とのコントラストがなんとも美しい。この炎のような花を見ていると元気が出てくる。

ダーウィニア
オーストラリアに自生するダーウィニアの一種。EQRoy/Shutterstock.com

コンパクトで育てやすいダーウィニア

ダーウィニア

ダーウィニアは約70種あるといわれているが、多くは西オーストラリア原産。しかし、日本で流通しているのは、東海岸のニューサウスウェールズ州原産のダーウィニア・タクシフォリア(Darwinia taxifolia)という品種で、東海岸の気候は比較的日本の暖地に近いため育てやすい。今から約200年前の1825年に、ニューサウスウェールズ州のブルーマウンテンで発見された品種である。

ユーカリと同じフトモモ科の植物だが、ユーカリのように大きくなることはなく、せいぜい1mほどの低木なので、日本の狭い庭や、鉢植えにしてベランダで育てるのに向いている。匍匐(ほふく)性なのでロックガーデンにもよい。英名はmountain bell。開花期は、横浜の自宅2階のベランダで育てて4~5月である。園芸店での流通は3月頃からだ。また、名前はダーウィンに因んでつけられたとされる。

我が家のダーウィニアのある風景を幾つかご紹介しよう。

ダーウィニア

炎のように見えるようにと、燭台風の白い鉢にシンプルに。背景が白い壁だと映える。

カンガルーポーとダーウィニア

オージープランツ仲間の赤いカンガルーポーと。

フェアリーピンク

そしてオージー仲間のフェアリーピンクと共に、左後方の巨大な羊歯はディクソニア。

ガーデン

バラの開花期と同じ時期に咲く。テーブルに飾れるくらいのサイズ感で、左のバラは、‘クィーンエリザベス’。

ダーウィニア・プロセラ
ダーウィニア・プロセラ。KarenHBlack/Shutterstock.com

最近、もう一品種、同じくニューサウスウェールズ州原産でダーウィニア・プロセラ(Darwinia procera)という品種も日本で入手できるとの情報もある。このプロセラは、やや背が高く、3m程度まで伸びる。

ダーウィニアの育て方

ダーウィニア

【日照条件】日陰でも育つ

まず多くの場合、オージープランツの基本的な育て方は、必ず日当たりがよく、水はけのよい弱酸性の土に植え、夏は風通しのよい場所に置く。冬は霜よけをして、肥料は控えめに。であるが、このダーウィニアの特徴は、オージープランツには珍しく半日陰でも育つところである。逆に夏のピーカン照りや西日に当てると枯れやすい。オージーガーデンの木陰のグラウンドカバーに利用できるのだ。

【栽培のコツ】暑さ・寒さ・乾燥対策にマルチング

オーストラリアの一般家庭の庭は、大抵芝生に覆われていて、周辺の植栽スペースにはウッドチップが敷かれている。マルチングは、夏には乾燥防止と共に、根を涼しく保つ効果があり、また冬は根を温かく保護するからだ。特にダーウィニアには、マルチングをおすすめしたい。なお、耐寒性はマイナス4℃とオーストラリアのウェブサイトに解説があったが、できるだけ霜よけをするなど、霜に当てないほうが無難だと思う。

【施肥】地植えは施肥不要

痩せた土地でも育つので、地植えの場合は不要。鉢植えの場合は春の成長期に発酵油かすの置き肥をする。

【剪定】花後に軽く刈る

5月以降、花が終わったら軽く刈り込むが、比較的自然にコンパクトにまとまる。また、梅雨時には風通しをよくするため、混み合った枝を間引く透かし剪定を。

【増やし方】挿し木が可能

花後の剪定枝を活用するなどして、挿し木で増やせる。

ダーウィニア

まだ日本では珍しいダーウィニアですが、未知の植物を身近に育ててみませんか? 赤い炎のような花が、驚きと元気を与えてくれます。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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