オリジナリティのある庭づくりや、ファッショナブルな植物を求める人に近年選ばれているオーストラリア原産の植物グループ「オージープランツ」。なかでも珍品といわれるのが、この変わった花姿のデザート・ピーです。自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てているガーデンプロデューサーの遠藤昭さんに、南オーストラリアの州花で、砂漠に育つマメ科の植物、デザート・ピーの基本情報や性質などを教えていただきます。

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奇怪な花もいつしかカワイイに変わる

オーストラリア大陸に育つオージープランツの花の多くは、独自の進化を遂げているので、変わった様相を呈しているものが多いが、極端に奇怪な花姿といえば、今回ご紹介するデザート・ピーだろう。日本ではあまり知られていないが、1961年に南オーストラリア州の州花にもなったほど、有名な花なのだ。日本でも都道府県の木や花に制定されているものは、いずれもポピュラーな植物ですよね。

デザートピーの切手
オーストラリアでは切手になっているほど、ポピュラーな花だ。ilapinto/shutterstock.com

我々は多分、初めて目にする珍しい植物を、最初は好奇の目で見るものだ。面白い! きれい! と感じることもあるが、逆に奇怪に感じて、恐怖心を抱くことすらある。

デザートピー

私自身、初めてオーストラリアでグレヴィレアやバンクシアに出会ったとき、奇怪に感じたことも思い出す。メルボルンで借りた家の庭に咲くグレヴィレア‘ロビンゴードン’を見て、花に毒があるのではないか? と触ることすらためらったものだ。

しかし、やがて見慣れて親しんでくると、奇怪と思った花を、カワイイと感じるようになるから不思議だ。今では大好きな、大好きなグレヴィレア‘ロビンゴードン’である。

デザート・ピーのプロフィール

デザートピーの実
マメが実る。demamiel62/Shutterstock.com

このデザート・ピーも最初は驚きだった! しかし、育てていると、もう可愛くて仕方がなくなる。名前の通り、砂漠に育つマメ科の植物だ。

■ 学名:Swainsona Formosa
■ 俗名:Sturt’s Desert Pea
■ 和名:デザート・ピー
■ 科名:マメ科
■ 分類:多年草
■ 形態:つる性

学名が以前はClianthusだったが、近年、Swainsonaに変更になった。Swainsonaは英国の園芸家Isaac Swainson(アイザック・スゥェインソン/1746–1812) に因む。

また、俗名のSturt’s Desert Peaは、英国人探検家Charles Sturt(チャールズ・スターツ/1795 – 1869)に因む。

デザートピー
Samantha Haebich/shutterstock.com

原生地では、デザート・ピーは多年生植物で、つる性の茎から生じる絹のような灰緑色の羽状の葉が特徴だ。葉と茎は綿毛で覆われている。花の長さは約9cmで、短くて太い直立した茎に6〜8個の花が固まって咲く。

花びらは通常、赤または緋色で、最上部の花びらの基部に光沢のある黒い目玉のようにも見える塊がある。花の色は、基本は緋色で、黒い塊がない場合もある。サヤは長さ約5cmのマメ科植物の代表的な形で、成熟すると裂けて、いくつかの平らな腎臓形の種子を放出する。

デザート・ピーの種まきに挑戦

デザートピーの種まき

幾度か実生をトライしたが、発芽後に枯れてしまった。発芽はするが、梅雨越しができなかった。日本国内でデザート・ピーを見たのは2004年。オーストラリア大使館で育てていたものだが、その後しばらくはお目にかかることがなかった。2011年に、大手園芸店の店頭で見つけて連れ帰ったことがある。

デザートピー
オーストラリア大使館のネイティブガーデンで、種子から育てられたデザート・ピー。

デザート・ピーを育てたオーストラリア大使館のガーデナーさんに聞いた話では、砂で育てて、施肥は油かすだけだということだ。砂漠に育つ植物なので、日当たりがよく乾燥した環境を好み、土壌は痩せていたほうがよいのは想像がつく。

未知の植物と出会う喜び

デザートピー
連れ帰った開花株。

また、デザート・ピーが州花になっている南オーストラリア州は、ワイナリーが沢山あることでも有名で、夏に乾燥し冬は温暖湿潤な地中海式気候である。デザート・ピーが原生するのは、内陸部の砂漠であるが、他のオージープランツ同様、日本の蒸し暑い夏に弱いことは明らかである。

また寒さにも弱いので、日本の一般家庭での栽培はハードルが高いかもしれない。それが分かっているだけに、花を咲かせた時の感動はさぞや大きいに違いない。

私は、かれこれ20年以上ガーデニングをやっているが、我が家で育てた奇怪な花ナンバーワンは、間違いなくこのデザート・ピーだ。

バラや一般的な草花の栽培に飽きた方には、おすすめである。

このデザート・ピーを眺めていると、本当に地球上にはさまざまな植物があるものだと思う。まだまだ未知の植物も多く、その多様性に好奇心が刺激され、もっともっと奇怪な植物に出会いたいと夢が膨らむ。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
インスタグラム alex_garden_yokohama

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