クリスマス&お正月に! 1度作れば3回飾れるモダンなスワッグを手作りしよう
日本はクリスマスとお正月が短期間にやってきて、年末年始は何かと忙しいですね。そんななか、和洋それぞれの飾りを作るのは大変! そこで、クリスマス用スワッグ(壁飾り)が、お正月用スワッグにヘ〜ンシン! の術をご紹介。クリスマス飾りにお正月の定番植物を使い、お正月飾りにオージープランツを使うという想定外の組み合わせですが、これが意外と馴染むのです。提案するのは、ガーデンプロデューサーの遠藤昭さん。ワークショップでも人気のスワッグ作りに加え、スワッグの由来とお正月飾りに選ばれている植物の由来をご紹介します。
目次
クリスマススワッグの由来とお正月由来の植物
インテリアや玄関扉に飾るだけで、クリスマスやお正月の雰囲気をプラスできるスワッグ。最近はフラワーショップでも、各店それぞれに個性豊かなデザインのものを売り出していますよね。
スワッグは、海外では伝統的な装飾アイテムとして古くから親しまれてきました。16世紀にスカンジナビアからイギリスに伝わったとされ、もともとはドイツ語で「壁飾り」や「揺れるもの」という意味があります。季節の花や枝などを一つに束ねて、壁面やドアに吊して飾るのが一般的で、ヨーロッパでは魔除けの意味もあるようです。
スワッグの作り方は、花材を束ねて結ぶだけという手軽さで、日本でもリースに続き、作る人が増えています。これまではクリスマス用スワッグが先行して人気でしたが、近年、お正月用スワッグも増えています。
日本のお正月を飾る松飾りは、年神様を迎える依代 (よりしろ) の一種とされています。松は冬でも葉が落ちない常緑樹なので、古くは中国でも生命力や長寿の象徴で神が宿る木とされていました。また、松は「祀る(まつる)」に通じることから、門飾りなどに使われています。一方、南天が正月飾りに使用されるのは、「難を転じる」に通じ、日本では古くから縁起のよい木とされてきたことから。南天を植えると家が栄える、お金持ちになれる、災難から逃れられる、などの意味があるのです。
ということで、ヨーロッパの風習と日本由来の縁起のよい植物、さらには華やかさとボリュームがプラスできるオージープランツを花材として加え、2度も3度も飾れる、年末年始に大活躍のスワッグの作り方をご紹介します。
スワッグ作りに準備したい花材
上写真左から、
- ユーカリ
- 南天
- ミカン
- 根引き五葉松
- バンクシア
- 綿の枝
- 稲穂
今回、メインとなるのは、堂々とした風格の根引き五葉松です。
京都の由緒ある寺社や旧家などでは、「根引き松」と呼ばれる門松が飾られます。「根引き松」は根がついたままの若い松で、枝に和紙を巻き水引きが掛けられています。この“根を付けたまま”にしているのは意味があり、「地に足のついた生活ができるように」「成長し続けていけるように」という願いが込められています。
五葉松は「御用を待つ」という意味合いもあり、商家では昔から大変人気のある植物です。見た目には、シルバーがかった葉の色も魅力で、クリスマスツリーのドイツトウヒに近く、クリスマス用スワッグにも意外とマッチします。
オージープランツのバンクシア・フーケリアナです。
ドライフラワーを使用しますが、バンクシアの中でも最も美しく魅力的な花です。
続いて、つぼみ付きのユーカリです。
ポプラスベリーという名で流通していますが、先端にぷつぷつと付いているものは、実ではなく、つぼみ。実は、ガムナッツと呼ばれる茶色いものです。
ミカンと稲穂が付いたしめ縄飾りです。
稲穂が正月飾りに使用されるのは、「実り多き年でありますように」という願いが込められています。
次はお正月の定番植物、南天です。
「難を転じる」南天ですが、この赤い実は、クリスマス用スワッグに使うとクリスマスホーリーのように見えます。
次は、綿の実がついた枝です。雪のイメージとして使います。
その他、クリスマス用スワッグのみに、ユーカリの枝を使用しています。
スワッグらしい形にバランスをとるのに活躍してくれます。お正月用に加えない理由は、正月らしい五葉松の美しい樹形をクリアに引き立てたいからです。
まずは、クリスマススワッグ作り
ポイントは、クリスマスが終わったらお正月用に作り替えるということ。それを前提に、スワッグの花材や飾りものを別々のパーツとして制作し、組み合わせを楽に変えられるようにしておくのです。
【クリスマス用スワッグ 材料】
クリスマス用は、赤いリボンと松ぼっくりがアクセントになってくれます。ラッピングペーパーやラフィアなども用意しておきましょう。
【お正月用スワッグ 材料】
麻紐、麻布、しめ縄、ラフィア、水引飾り、ワイヤー(長いもの・短いもの各6本)、輪ゴム、花切り鋏を用意します。
【手順1】スワッグのパーツを作る
しめ縄に、稲穂とミカンをワイヤーで括りつけておきましょう(お正月用)。
【手順2】本体を作る
順番としては、先にお正月用の花材を束ね、後からクリスマス用の花材を合わせるイメージです。まずはお正月用の花材を準備して、束ねる前に、バランスを見るためにラフに並べてみるとよいでしょう。
【手順3】根元を縛って切りそろえる
使用するのは、根引き五葉松、バンクシア、つぼみ付きのユーカリの枝、南天、綿の枝です。お正月用には五葉松の樹形を強調するために、つぼみのないユーカリの枝は使用しません。
バランスが取れたら、麻紐でしっかり縛ります。
各花材の長さを切り揃えますが、根引き松はあえて根を残しておきます。
【手順4】本体となるお正月用の束の根元全体を麻布で巻く
束ねたお正月用の花材の根元付近をしっかり固定するため、さらに麻布で巻いて輪ゴムなどで固定します。
【手順5】お正月用の束に、クリスマスの花材を加える
【手順4】の束にユーカリの枝を加えると、クリスマス用になります。ユーカリの枝はクリスマスの後に簡単に取り外せるよう、別に束ねます。
【手順6】クリスマスの雰囲気をアップする飾り付け
【手順5】の束にクリスマス用のラッピングを巻きつけて(上写真左)、その上にリボンを結んだら、松ぼっくりをワイヤーで留めつけて、クリスマス用は出来上がりです(上写真右)。
異なるリボンも試してみました。やはり、ちょっとしたことで、随分と雰囲気が変わるものですね。
クリスマス用スワッグをお正月仕様にお色直し
さて、クリスマスが終わったら、クリスマス用に取り付けた飾りとラッピングを取り外し、さらにユーカリの枝を取り除き、【手順1】のお正月用の飾りに付け替えます。これでお正月用スワッグにヘ~ンシン! です。
お正月が終わったら、しめ縄を外して再び五葉松とユーカリの枝を取り換えると、普通のスワッグになりますね。庭で切ったアカシアなど、ドライになりそうな枝を足してあげると、より魅力的なスワッグが出来上がります。
忙しい時期だからこそ、3通りにも楽しめるスワッグを作ってみませんか?
リボンやラフィアなど、少しパーツをアレンジするだけで随分と印象が変わります。お手持ちのもので、いろいろ試してみると楽しいですね。
では、Merry Christmas & Happy New Year 2023!
別デザインのスワッグの作り方も併せてご覧ください。
Credit
写真&文 / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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