えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-の記事
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樹木

爽やかカラーの繊細花「ブルーハイビスカス」【オージーガーデニングのすすめ】
オーストラリア原産のブルーハイビスカス “ハイビスカス”というと、ハワイや沖縄で咲く、原色の赤やオレンジの花を想像するが、ここでご紹介するハイビスカスは、ご覧のように淡いブルーだ。 実は、この青いハイビスカスは、オーストラリア原産のブルーハイビスカス=Alyogyne huegeliiで、ハワイや沖縄のハイビスカスとは異なる。いわゆるハイビスカスはアオイ科フヨウ属で、このブルーハイビスカスはアオイ科アリオギネ属である。 僕が初めて、この花をメルボルンで見たときの感動が忘れられない。オーストラリアの花は、概して派手な色が多いが、この花はブルーともパープルともいえる上品な淡い色彩。花びらはシルクのような光沢があり、こんな繊細な花がオーストラリアにもあるのだと感心した。 儚いブルーの花は神秘的 日本では20年くらい前に一度流行ったことがある。僕も帰国後、ひと鉢買って、それから挿し木を繰り返し、今でも子孫が健在だ。花は開花後2~3日でしぼんでしまうが、その儚さがブルーの花をより神秘的にしているのかもしれない。 花色的には、同じオーストラリア原産のエレモフィラ・ニベアに近い色である。開花時期もほぼ同じ。左側の銀葉を伸ばしているのがエレモフィラ・ニベアで、右にふわりと咲くのがブルーハイビスカスだ。 「エレモフィラ・ニベア」の記事はこちら 風通しをよくして夏越しを ハワイ系の赤いハイビスカスとブルーハイビスカスを並べて写真を撮ってみた。花の違いは明らかだし、葉の違いにも注目してほしい。 ブルーハイビスカスは、数枚の小葉が放射状につく掌状(しょうじょう)で深く切れ込みが入る特徴的な形で、細長いつぼ形のつぼみがほころんで咲く過程もまた眺めて楽しい。 いわゆるハイビスカスよりも耐寒性があるようだ。横浜の我が家で越冬したこともある。一方、オーストラリアの植物なので、夏の高温多湿には弱い。夏は風通しのよい、西日が当たらないところで育ててほしい。 ブルーハイビスカスは低木で、1.5~2mくらいになる。同じオーストラリア原産のイソトマとの寄せ植えも好相性。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

庭木として丈夫に育つ! ウエストリンギア【オージーガーデニングのすすめ】
丈夫なオーストラリアン・マリーローズ ウエストリンギアは、一般的には「オーストラリアン・ローズマリー」と呼ばれている。葉も花も実にローズマリーに似ているが、残念ながら葉に香りはない。白花と薄紫の花があり、葉は白または黄色の斑入りもある。 僕がこのウエストリンギアに出会ったのは、約20年前。オージープランツのマニア仲間が、斑入りの珍しい品種が手に入ったと、苗を譲ってくれたのが栽培の始まりだ。当時は、斑入りのウエストリンギアは極めて珍しかった。だいたい珍しい品種というのは、育てにくく枯れやすい。ところが、このウエストリンギアは丈夫で、庭植えで越冬し、かれこれ20年以上も育っている。 やがて、日本では、斑入りが特徴的な品種Westringia fruticosa variegata(ウェストリンギア・フルティコサ・バリエガータ)の方がポピュラーになったようだ。 オーストラリアの園芸サイトでも、この低木のウエストリンギアは丈夫で育てやすく、生け垣やグラウンドカバー、鉢植えのスタンダード仕立て、観葉植物としてなど、あらゆる用途に使いやすいと記されている。 日本で育つオージープランツの多くは、西オーストラリア原産ではなく、オーストラリア東海岸のものが多いが、このウエストリンギアもcoastal rosemary や coastal westringiaと呼ばれ、シドニーのあるニューサウスウエールズ州の海岸沿いに原生し、海岸の崖に生えているようだ。それで、我が家でも擁壁の上に植えてみたら、枝垂れてよく育った。 ウエストリンギアの「バリエガータ」の他、「イエローフォーム」「シーミスト」「フルティコサ」などさまざまな品種がある。 植えっぱなしで重宝する銀葉の茂み 近年、日本でも庭植えできる樹木として人気のウエストリンギアは、地植えにすると植えっぱなしで2mほどに育ち、庭木としてもおしゃれだ。花壇に植え込むと一味違う風景が楽しめる。また、大きさはコンパクトで、刈り込みにも強く自由な形に仕立てられるし、花もきれいなので生け垣にも最適だ。また、成長が遅いので、扱いやすいのも嬉しい。 樹形が美しく年中花が咲くウエストリンギアの育て方 このウエストリンギアの魅力は何といっても、冬も葉が残る常緑性のシルバーリーフや、斑入りの美しい葉である。そして、ローズマリーは樹形が乱れやすいが、このウエストリンギアは枝がまっすぐ伸びるので、樹形が美しい。そして花が一年中開花していて花期が長いのもよい。花色は淡い紫色。そして何よりも、庭木として魅力的なのは、病害虫がまず発生しないということである。また、オージープランツの中では耐寒性も抜群である。 鉢植えは2〜3年に一度植え替えをするとよい。寒冷地では冬は室内でインドアプランツとしても重宝する。 育て方は、日陰よりも日当たりが良い場所が適地。用土は水はけのよいものを使うこと。鉢植えは、表土が乾いたらたっぷりと水やりをするが、乾燥した土壌を好むので、水をやりすぎると根腐れを起こすので注意すること。肥料は、控えめに(オーストラリアの植物は肥料は控えめでよい)。植え付けの時期は春の彼岸頃が適期。 増やし方は、挿し木で簡単にできるのも嬉しいところ。庭木は、種類によっては剪定や病害虫に意外と悩まされやすいが、ウエストリンギアなら庭やベランダで、名脇役として活躍してくれるだろう。 併せて読みたい ・芳香も魅力の庭木ミントブッシュ【オージーガーデニングのすすめ】 ・草取りで心が折れそうな人へ。除草剤の効果的な使い方 ・ガーデンデザイナー マーク・チャップマンさんオススメ! 今年植えたい花10選 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

白銀の葉と淡いパープルの花「エレモフィラ・ニベア」【オージーガーデニングのすすめ】
はじめての出合いは20年前 3月になると、エレモフィラ・ニベア(学名:Eremophila nivea 俗名:Silky Eremophila、Emu bush)が園芸店の店頭に出始める。最初に、この植物に出合ったのは20年近く前だ。都内の園芸店で見つけて、その目を見張る美しさに魅了された。白銀の葉と淡いパープルの花。初めて見る不思議な植物に驚かされた。そして、それがオーストラリア原産の植物だと分かると、なおさら欲しくなった。ところがお値段が15,000円もして諦めた。通常、新しい植物は流通し始めの頃は高い。その後、普及して安くなるのを待った。 はじめてエレモフィラ・ニベアに出合ってから2~3年が経ち、小さな開花株を1,500円程度で購入した。が、それから数年間は楽しむことができたが、梅雨時期につい外に出しっぱなしにしてしまい、枯らしてしまった。 雨に当てないよう鉢植えで栽培しよう エレモフィラ・ニベアは西オーストラリア原産なので、高温多湿に弱い。特に葉がエアープランツに見られるビロードのように起毛した表面なので、一度雨に濡れると乾燥しにくい。おそらく乾燥地では、空気中の水分を吸収するのに適した葉なのだ。したがって、雨は極力避けたほうがよい。雨を避けるためには日本では地植えは難しく、鉢植えで育てるしかない。東海岸のメルボルンでも露地植えはムリだと、現地の植物園のスタッフから聞いたことがある。 春から秋は軒下で育て、冬は屋内の明るいところで育てる。鉢植えは夏の太陽で鉢の温度が上がるので、鉢には直接、日が当たらないように鉢を二重にするなどの工夫をするとよい。使用する鉢も蒸れやすいプラスチック製より、テラコッタのほうがよい。また、西日は当たらない場所がよいようだ。 最近は白い葉が人気で、エレモフィラ・ニベアも寄せ植えに使用されているが、生育環境が異なる植物との組み合わせはかなり難しい。寄せ植えに使用するなら、一緒に植える植物も乾燥に強い植物を選び、まず排水性がよい用土を使用し、雨に濡らさずに育てることだ。 病害虫ではカイガラムシがついてしまったことがあるので注意。簡単に挿し木で増やすことができる。方法は、花後の剪定枝を鹿沼土に挿しておくだけだ。翌年には花が咲く。 栽培環境に少し工夫が必要で、ちょっと育て方が難しいと感じるエレモフィラ・ニベアだが、ご紹介のポイントを把握していれば大株にするのも夢ではない。春の開花の喜びはひとしおなので、挑戦してみて欲しい。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

耐寒性もある春の花「ハナカンザシ」
春の花として定着した「ハナカンザシ」 近年、オーストラリア原産のハナカンザシ=Rhodanthe anthemoidesが、日本でも春の花として園芸店の店頭に並び、人気が定着しつつあるようだ。ハナカンザシは株の高さが15~30㎝とコンパクト。花は多花性で、寄せ植えなどにも使いやすく重宝する。そして何より、流通の和名が「花かんざし」と日本人に受け入れやすいネーミングで、親しまれるようになったのだろう。 これまでに、日本に紹介されたオーストラリア原産の草花の多くは、西オーストラリアに分布するが、このハナカンザシは、東オーストラリアからタスマニアに分布する。これは何を意味するのかというと、東オーストラリアの気候の方が、日本の温暖湿潤気候に近く、日本では、乾燥地帯に育つ西オーストラリア原産の植物よりも、東オーストラリア原産の植物のほうが育てやすいということだ。それゆえに、ハナカンザシが日本でも普及し定着しているのだ。 乾燥を好む西オーストラリア原産の初恋草。Photo/ alybaba /shutterstock.com 僕の長年のオーストラリアの植物の栽培経験でも、東南部のメルボルン近辺やタスマニア地域原産の植物は、神奈川・横浜近辺でも育つが、乾燥を好む初恋草=Lechenaultiaなどの西オーストラリア原産の植物はかなり難しいという感覚を持っている。 「初恋草」の記事はこちら→『オージーガーデニングのすすめ ブーム復活を願うブルーの花「初恋草」』 日本でも育てやすい耐寒性も魅力 タスマニアは、「アップルアイランド」と呼ばれるリンゴの産地でもあり、オーストラリアの中では冷涼な気候だ。それゆえ、ハナカンザシも意外と寒さや雪にも強く、日本でも育てやすい優等生なのだ。雪の日に、あえてハナカンザシの鉢を外に置いて耐寒性を調べてみた。こんな雪にもメゲズ、生き残って花を咲かせたのだ。ハナカンザシの耐寒は、約マイナス5℃といわれている。 その反面、やや高温多湿には弱いが、多年草なので無事に夏越しができれば大株にも育つ。花後の梅雨前に3分の1程度に刈込み、風通しをよくし、硫酸カリを与えて根や茎を充実させると夏越しがしやすくなる。 まん丸のつぼみの頃も可愛い。 ところで、このハナカンザシの花弁は触ってみるとカサカサとし、まるでドライフラワーのようだ。オーストラリアの花には、このように咲いた時からカサカサとした花弁の花が多い。 エバーラスティングフラワー テイオウカイザイクのドライフラワー。Photo/ tratong /shutterstock.com 日本でも古くは、明治時代に渡来したテイオウカイザイク(帝王貝細工/別名ムギワラギク/学名:Helichrysum bracteatum)が有名だが、このような花がオーストラリアにはたくさんあり、一昔前に日本でドライフィラワーが流行った時代に、オーストラリアの花き栽培農家は、盛んに栽培して日本に輸出したらしい。 このように花が散らずにいつまでもドライフラワーのように咲き続ける花は「エバーラスティングフラワー」と呼ばれ、オーストラリアのワイルドフラワーの特徴でもあり、花のカーペットのような景観をつくり出す。その景観は西オーストラリアのワイルドフラワーツアーの一つの魅力ともなっている。 西オーストラリアのワイルドフラワー。 エバーラスティングデイジーは、ムギワラギクの英名の一つ。 エバーラスティングフラワーのカーペット。 オーストラリア「キングスパーク植物園」のエバーラスティングフラワー。Photo/ Darkydoors/shutterstock.com ハナカンザシを寄せ植えにプラス 寄せ植えに使用するハナカンザシのポット苗。 このハナカンザシ、なんといっても寄せ植え素材に使いやすい。価格も手頃だし、白い花なので他の花とも合わせやすい。僕は年に数回、初心者向けの「寄せ植え講習会」の講師をしているが、春の講習会ではよく使用している。ハナカンザシで、春の寄せ植えをつくってみませんか? 寄せ植えには、同時期に手に入るエレモフィラ・ニベアもオススメ。『オージーガーデニングのすすめ 白銀の葉と淡いパープルの花に魅了「エレモフィラ・ニベア」』 楽しい寄せ植えづくり。 ハナカンザシを使った寄せ植えが完成。
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樹木

庭木や寄せ植えに活躍する「ドドナエア」【オージーガーデニングのすすめ】
最近、日本でも急速に普及したオーストラリア原産のドドナエア(学名:Dodonaea viscosa、俗名:ホップ・ブッシュ Hop Bush)は、ムクロジ科の常緑低木である(Dodonaea viscosa 'Purpurea'はニュージーランドで発見されたとされる)。夏の葉は明るいグリーンだが、冬には葉の色が赤から黒に染まり、カッコイイ庭木だ。葉の感触もカサカサしてドライな感じで、スタイリッシュな庭が演出できる。 庭木や寄せ植えに活躍するドドナエア ドドナエアと一緒に、同じオーストラリア原産のメラレウカや、ニュージーランド原産のニューサイランなど、カラーリーフの樹木を庭に植えると、モダンでおしゃれな雰囲気になる。 最近は安価で入手しやすいので、寄せ植えに人気のようである。都会的な寄せ植えには最適な素材だ。 日本で育てやすいオージープランツの一つ オージープランツの中では日本の気候に適応した植物の一つで、我が家ではもう10年以上、地植えで越冬、および夏越ししている。オージープランツは蒸し暑い日本の夏で突然枯れることが多いが、ドドナエアは蒸し暑さにも比較的強く、寒さもマイナス5℃程度まで耐えるようなので、関東以西では庭植えも可能だ。 5~6月に挿し木することで簡単に増やすことが出来る。他のオーストラリアの植物と同様に、日向を好み、水はけのよい場所が適する。 ドドナエア=Dodonaeaは、医師であり植物学者のRembert Dodoens氏にちなんで名づけられたとのこと。バラなどでも欧米の植物には人名から命名されることが多い。 5月頃は、冬に銅葉になった葉と新緑の葉とが混ざり合って、なかなか面白い。そしてクレマチスの‘プチ・ファーコン’のブルーと、日本のサクラの幹、オーストラリアのドドナエアの競演で、なかなかに味があるではないか! 花に見えるが、じつはこれは実だ。ドドナエアの俗名の「ホップ・ブッシュ」"Hop Bushes"は、ビールの醸造に使用されるカラフルなホップの実と似ているので、このように呼ばれているが、ビールに使用される"Hops" (Humulus lupulus)とは植物学的には関連はないようである。 写真は、6月頃に実がピンクになった状態。花は4月頃に咲くが、非常に地味で目立たない。他のオーストラリアの樹木と同様に成長が早く、強風や雪には弱いので、こまめに剪定することをオススメする。 ドドナエアを寄せ植えにプラスする <寄せ植えの材料> ・ドドナエア=Dodonaea viscosa ‘Purpurea’ ・ローダンセマム‘アフリカンアイズ’=Rhodanthemum 'African Eyes' シルバーグリーンのフォリッジの耐寒性のある多年草だ。夏の蒸し暑さに要注意。 ・春の香りで親しみやすいストック。 ・耐寒プリムラ・マラコイデス=Primula malacoides ・アイビーゼラニウム‘エレガンテ’ 一見、アイビーに見えるがゼラニウム。花も咲く。寒さに当てるとピンクの斑が入りきれい。ただし耐寒性がないので注意。 1.鉢底ネットを置き鉢底石を敷く。植える植物に一年草が多い場合は、赤玉土で代用。鉢底石を使用する場合はネットに入れておくと再利用に便利。 2.次に、一番根鉢が大きい苗を置いて高さを見ながら園芸用土を入れる。ポットの肩の高さが、鉢の縁より2~3㎝低くなり、ウォータースペースが確保できるようにする。 3.ポットから株を外して鉢の中に並べる。この時、必ずそれぞれの苗の表情のきれいな方向を前に向ける。オージープランツは根を崩さないほうが無難。根詰まりで固まっているその他の花苗ポットは少々崩す。そして、つき棒(割りばしなど)で株と株の間を突いて、隙間がなくなるように園芸用土をしっかりすき込む。 4.苗の傾きなどを微調整して完成! 水は表面が乾いたらたっぷりと与え、鉢の中の空気の入れ替えをする。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

日本で上手に育てる「初恋草」【オージーガーデニングのすすめ】
日本でオーストラリア原産の「初恋草=Lechenaultia(レケナウルティア)」が出回り始めたのは、恐らく20年くらい前だったと思う。毎年、春先には園芸店で見かけるが、当初は、初恋草といえばブルーの花だったのが、この10年で、さまざまな色の品種が紹介され、最近は、その豊富さに驚く。 そして、この鮮やかなブルーの初恋草がブームになり、ピークを迎えたのは、2004~2005年だったと記憶している。 初恋草の第1次ブームを振り返る 当時が、どれほどのブームであったかを知る記録が小生のブログに残っていた。 『Googleで検索すると、ヒット数は、パンジー76万2千に対し、初恋草38万9千である。ペチュニアでさえ15万7千であるから、その普及ぶりは凄い! 検索ヒット数で見る限り、あの国民的大衆花のパンジーの半分に迫っている』。 さらに当時、日本だけでなくweb全体(全世界)で調べると、Leschenaultia2万1,000と、Lechenaultiaが9,900の計3万900しかないのだ(Lechenaltiaのようにuぬけのスペルも一般化している)。それなのに、日本で初恋草38万9,000もの数がヒットするのは異常な数字である。かつてメルボルンに住んだことがある私も現地の園芸店で苗を見た事はなかった。 「失恋草」ではなく「初恋草」の人気 写真は2005年に我が家で育てていた鉢植え。日本では一年草扱いだが、本来は常緑の低木だ。 初恋草を育てた経験がある人のうち、きっと、99%以上の人が夏を越すこともなく枯らしていると推測する。毎年、枯らしてしまうのになぜ、日本人はコレほどまでに初恋草が好きなのだろう? 初恋のように儚く枯れて消えてしまうからだろうか。 それとも、やはりブルーの可愛らしい花に惹かれるのだろうか? しかし、ブルーの小さな花で、育てやすい花は他にもいくらでもある。 とすると、やっぱり、ズバリ! 「初恋草」というネーミングなのだろう。「初恋」という響きには、それぞれに甘酸っぱい思い出があり「初恋草298円」なんていう札を見ると、可憐なブルーの花に手を伸ばして連れ帰ってしまうのではないだろうか? もし、「失恋草」だったら、あれほどのブームにはならなかったと思う。どなたがレケナウルティアを「初恋草」とネーミングしたのかは存じ上げないが、平成の草花のネーミングの大ヒット作だと思う。 私のようなオジサンは恥ずかしくて「初恋草」を育てています、なんて実は言いづらい! では何を育てているかって? それは、オージープランツのLechenaultiaを育てているのです(写真は4月の我が家のLechenaultia。花が大きくなり、株も幅40~50㎝にまでなった)。 日本人は、どうもブランドやイメージに弱く、ブームやムードに流されやすい。草花の流行もしかりである。購入の動機がどうであれ、オージープランツが普及するのは嬉しいのだが、購入したからには枯らさずに、大切に大きく育てて本当の魅力を知ってほしいと常々思うのである。 西オーストラリアの原野に群れ咲く「初恋草」 ところで、草花を上手に育てるには、その草花の原産地の気候風土を知ることが重要である。 何年か前に、西オーストラリア ワイルドフラワーの旅に参加して、実際に西オーストラリアの厳しい強風と乾燥の気候の中に咲く野生の「初恋草」=Lechenaultiaを見たことがある。パースからバスで数時間、その原生地は森林というより、アフリカのサバンナに近い光景であった。 多くの園芸書では、レケナウルティアの育て方は、「日当たりのよい場所で、水はけのよい土に植え、表面が乾いたら水をたっぷりやる。月に一度程度液肥を施す」というのが一般的だが、これを実践しても多くの場合はうまく育てられず、夏には枯らしてしまう。 初恋草を日本で上手に育てるコツ 日本で枯らしてしまう原因について、西オーストラリアの自生する環境を見て、「なるほど!」と納得した。 【栽培のコツ1】 湿気:初恋草が自生する地域は、年間降水量が300㎜程度で、土壌も砂地でほとんど砂漠状態である。 日本の高い湿度や水のやり過ぎは、この植物にとって大敵だ。できるだけ雨にも当てないほうがよい。用土は、砂や軽石が多く水はけのよい、養分が少ないものが適する。 【栽培のコツ2】 リン酸肥料:一般的には、花つきをよくするには「リン酸を与えるべし」といわれているが、西オーストラリアの土壌は、もともとリン酸分が少ない。ワイルドフラワー専門のナーセリーでは、リン酸を与えてはいけない植物のリストを配布しているほどだ。 肥料は液肥ではなく、比較的リン酸が少ない油かすの置き肥がオススメだと、オーストラリアのガーデナーからアドバイスされたことがある。現地のナーセリーで配布していたチラシには、「外来種(つまり豪州以外の原生の植物)と自生種(豪州の植物)を花壇で混植する時の注意点として、 初恋草=レケナウルティア、ボロニア(Boronia)、 バンクシア(Banksia)等はリン酸に抵抗力がないので、化成肥料は与えずに、油かすや堆肥などの緩効性有機肥料を与えるように」と書かれていた。なお、ユーカリやブラキカムはリン酸に抵抗力がある。 *液肥の成分はチッソ-リン酸-カリの割合が5-10-5とリン酸が多い(H社の場合)。 【栽培のコツ3】 土壌:オーストラリアの土壌は弱酸性。したがって、培養土は鹿沼土やピートモスを配合した、弱酸性かつ水はけのよいものが好ましい。 パース郊外で見かけた野生のレケナウルティアは、初恋草というネームングが似合わない、逞しさを感じる野草だった。 原生地を見ると、大体、その植物の育て方が分かる。初恋草の育て方は、絶対に雨に当てないことである。初恋草は、大株に育てると素敵な植物なので、一年草だと諦めないで、ぜひ、原生地に近い環境で大株に育ててほしい。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

三大ガーデンプランツの一つ、クリスマスローズの魅力を探る
平成時代のガーデニングで欠かせない「平成園芸の三種の神器」といえば、イングリッシュローズ、クリスマスローズ、クレマチスだろう。今回は、花の少ない冬から春にかけて、ちょうど見頃を迎えるクリスマスローズを自身の体験とともにご紹介しよう。 日本で人気が高まった理由 クリスマスの頃に咲くのでクリスマスローズと呼ばれているが、そもそも、クリスマスローズといってもバラ科の植物ではない。ヘレボルス属の中のヘレボルス・ニゲル種(Helleborus niger)というクリスマスの季節に咲くヘレボルスの早咲き品種を指すものだった。しかし、日本ではヘレボルス属全体を呼ぶ総称となっている。 近年では、最も育ててみたい草花のトップがクリスマスローズだという。これほど人気になった一つの理由は、「クリスマスローズ」という名前だろう。「クリスマス」も「ローズ」も、日本人にとっては豊かさや憧れ感のある言葉だ。しかし、そんな名前だけでは人気は持続しない。 では何故、これほどまでの人気なのだろうか? その理由として、僕自身の体験から探り、「クリスマスローズ」の魅力をつづってみたいと思う。 20年前に栽培スタート そもそも僕の興味の分野は「オーストラリアン・ガーデニング」なので、正直「平成園芸三種の神器」には興味があまりなかった。ところが、我が家が庭づくりをスタートした平成時代の初期から、妻が「平成三種の神器」に熱心だった。幸いクリスマスローズは、背が比較的高くなるオージープランツの足元を彩るグラウンドカバー的な植物として相性がよく、狭い庭でも共存できたのだ。 何よりも常緑だし、花の少ない冬から春にかけて、さまざまな色や形の花が庭を華やかにしてくれたのが魅力だった。育て始めてかれこれ20年以上になるが、小さかった苗が、やがて大株になり、株分けや、こぼれダネでたくさんの苗が育ち、知人・友人にプレゼントして喜ばれるのもクリスマスローズだ。 クリローファンを裏切らない魅力 では、僕がクリスマスローズに引き込まれた魅力は何だったのだろうか? まずは、人気のバラやクレマチスと同様に、じつに品種の数が多く、多様な花が楽しめるところだろう。毎年、春には全国で、「クリスマスローズ展」が開かれるが、毎回、見事な品種が誕生し発表され、クリローファンを裏切らない。 写真は左上から時計回りに、チャンピオン2、ピンクドット、黄色スポット、アトルルーベンス、ジョーカー、黒花。 進化がとまらないクリスマスローズ クリスマスローズは品種の交配が比較的ラクにできるので、進化に限界が見えない。春に園芸店の店頭に並ぶさまざまなクリスマスローズの花を見ると、つい連れ帰ってしまう。こんなことを20年以上続けさせるほど、じつに多様な魅力があるのだ。 最近では、特に八重咲き系で、バラにも負けないほどの豪華で艶やかな品種も誕生している。もともとヘレボルスは、茶花にしていた地味な山野草的な存在だったが、交配で品種改良され、現代の人々が求める華やかさを備えてきたこともクリスマスローズの人気継続の理由だろう。 育てがいのある丈夫な性質 さらには、比較的育てやすく丈夫なので、誰もが手軽に長年にわたって「育てる楽しさ」という園芸の醍醐味を味わえるところも人気を後押ししていると思う。庭が狭い我が家でも、半日陰でも育つし、鉢植えでも2~3年に一度、鉢増しや株分けをすれば20年以上も咲き続けてくれる。 夏は半日陰、冬は日当たりのよい落葉樹の下が最適な栽培環境だ。大株に育てると、なかなか立派になる。こぼれダネも簡単に発芽して成長し、たくさん増える。また、2〜4月に小さな開花苗を購入し、数年かけて大株に仕立てたり、タネを採取して育てていくのも楽しい。 花が終わりかけたら根元から切り、生け花にしても楽しい。 クリスマスローズのタネの採取は、4月頃、花の中心の種房がサヤのように膨らんできたら、お茶パックをかけて、タネが飛び散らないようにホッチキスでとめておくと、5月下旬までには自然と袋の中にタネが落ちて採取できる(最短で花を咲かせる栽培法を解説した『Let’s チャレンジ! クリスマスローズを実生1年で開花させる方法』参照)。 購入時は少々値が張るクリスマスローズだが、長年楽しめることを考えると、コストパフォーマンスは優れているかもしれない。 オススメの苔玉づくり 実に可愛いクリスマスローズの苔玉づくりをご紹介したい。花の期間だけ楽しむ、簡易版のクリスマスローズの苔玉は、栽培に苦労がなく、初心者でも楽しめるのでチャレンジしてほしい。花後は苔玉を解体して根をほぐし、ひと回り大きな鉢に植え戻す。2月中には植え戻したいので、早咲きのニゲル種ならクリスマスシーズンから2月いっぱい楽しめる。 1.材料は、できるだけ小さなポット植え(3.5号)の開花株。ミズゴケ、ハイゴケ、細い針金やテグスやナイロン糸。マグアンプ、根腐れ防止剤。 2.ポット苗の上の余分な土を取り、根鉢はそのままにして、マグアンプと根腐れ防止剤を混ぜたミズゴケにくるみ、糸でぐるぐる巻いてとめる。次に、ハイゴケを裏にして、苔玉を乗せて手でくるみ、糸でとめる。 後々の管理は、苔が乾いたら霧吹きで湿らせ、1週間に1度程度、苔玉部分をバケツの水に浸けて湿らせるだけだ。 苔玉は一般的に、ケト土、赤玉土などを練って団子にするが、クロスマスローズは根張りが早く、また水はけのよい環境を好むので、苔玉の状態で長期間育てて楽しむには管理に手間暇がかかり、難易度も高いことが分かった。紹介した方法で、クリスマスやお正月にテーブル飾りとして花を身近に楽しんでほしい。 楽しみが多いクリスマスローズ。ぜひお気に入りの一株から栽培の楽しみを体験してほしい。 併せて読みたい ・つまずきポイント克服のクリスマスローズお手入れ術 ・早春の主役花、クリスマスローズをきれいに咲かせる。秋冬のお手入れをチェック! ・「私の庭・私の暮らし」クリスマスローズのオープンガーデン 東京・菊池邸 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

ダンディーな花が咲く宿根草「カンガルーポー」【オージーガーデニングのすすめ】
名前の由来はカンガルー足!? 今回のオススメ植物は、カンガルーポー(Kangaroo paw 学名Anigozanthos)である。なんともユニークな花の形で、オーストラリアらしい花だ。優雅とか可憐さはないが、野性味があり、カッコよく男らしい。そう、ダンディーという言葉が似合う花だと思う。 最近は、品種改良でさまざまな品種が販売されているが、大きくは8種類とされている。その変化が面白い。カンガルーポーのポー(Paw)とは、動物の爪のある足のことである。カンガルーの足に似ていることから名がついた。カンガルーのPawを見ると、なるほどと思うはずだ。花の周りが短い毛で覆われた可愛い花だ。 日本では鉢植え一年草として春先に販売されることが多いが、品種によっては、庭に植えて宿根草として楽しむこともできる。鉢植えで販売されている株は矮化処理されている場合が多く、小さいが、地植えにすると花茎の長さは2mほどに成長することもある。花後は、ドライフラワーとしても人気だ。 横浜の庭で越冬するカンガルーポー 我が家の庭では、タネから育てて15年ほどになる株があり、冬越しをしている。宿根草なので、株分けで増やすこともできる。その場合、株分けは4~5月頃に行う。また、タネから育てることも比較的簡単だ。 カンガルーポーのタネ播き 3月の彼岸過ぎにタネを播くと、5月のゴールデンウィークには写真左のような芽が出揃う。そして、1年後には10㎝ほどになって、2年後には開花する。以後、毎年毎年、花が咲き続ける宿根草だ。写真のカンガルーポーは10年以上前に西オーストラリア旅行でタネを入手したもの。 他のオージープランツと植栽すると、とてもモダンでスタイリッシュな庭ができる。 見た目もユニークなので、多肉植物などとの相性がとてもよい。 もともとは西オーストラリアに自生する植物で、西オーストラリアの原野では、あちらこちらで見かける。原生のカンガルーポーは野性味があり、伸びやかだ。 オーストラリアでは庭に植える草花としても人気で、パースの園芸店には、カンガルーポーだけで一つの売り場ができていた。 カンガルーポーの育て方 最近は、品種改良の園芸品種が多くなり、必ずしもすべてが当てはまるわけではないが、まず、海外原産の植物を育てる時に大切なことは、原産地の気候風土を知ることである。カンガルーポーが原生する西オーストラリアの原野は、パース周辺の地中海式気候から内陸部は半乾燥地帯である。このカンガルーポーは、そんな夏はもちろん、年中、日本に比べたら日照が長く、乾燥した気候で育つ。また、西オーストラリアの原野の土は痩せていて、特にリン酸をあまり含まない土壌だ。 したがって、一番嫌うのは日本の夏の蒸し暑さと雨。そして、水はけの悪い肥沃な土地は適さない。つまり気をつけたいのは以下だ。 1) 日当たり、風通しをよくする。 2) 水はけをよくし、乾燥気味にする。 3) 雨に当てない(水やりも葉にはかけない)。 4) 肥料は控えめに。特にリン酸には注意。 5) 氷点下を避け、霜に当てない。 以上の条件は、鉢植えでなら管理しやすいが、地植えで育てる場合は、私がこれまでオススメしてきたオージープランツと同様な工夫が必要である。庭へ植えつける時は、根鉢の下に軽石を敷いて水はけをよくする。 冬は氷点下まで気温が下がったり、強い霜に当ててしまうと枯れるので、家の南側の霜の当たりにくい場所に植えて、寒い日には不織布で巻くなどの防寒も時には必要になる。 雪が降っても数日なら枯れることはない。積雪後は、かぶった雪を落としたり周囲の雪をどかしたりする必要があることは気をつけておこう。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

スタイリッシュな花「ストレリチア」【オージーガーデニングのすすめ】
庭に鳥が飛ぶような花姿が爽快 今回ご紹介するのは、極楽鳥花(Bird of Paradise /Strelitzia reginae)である。なんとも凄い名前である。かつて、プランツハンターがヨーロッパに持ち込んだ時は大変な人気だったらしい。確かに、この世のモノとは思えない卓越した美しい造形美である。 熱帯植物のイメージが強いが、南アフリカ原産で、実際には、かなりの耐寒性がある。庭に植えられているストレリチアを初めて見たのは、メルボルンの住宅街だった。日本では生け花に使う熱帯の花というイメージだったので、庭に咲くストレリチアは凄く衝撃的だった。オーストラリアでは公園などでも多く見かけた。 花が少ない10〜4月に開花する貴重な花 帰国後、メルボルンで育つのなら、横浜でも育つのではないかと、20年ほど前に鉢植えを購入して育て始めた。毎年、10月頃から、極楽鳥が我が家の庭を飛び始める。横浜だと、10月頃に咲き出し、寒さの厳しい年は真冬にいったん休むこともあるが、4月頃まで、ほぼ咲き続ける。 多くの園芸書が花期を5月から10月と書いてあるが、それは、冬に温かい温室で育てた場合で、年中屋外で育てた場合は、秋から春にかけてが開花時期だ。花の少ない時期に、なんともありがたい花だ。花の咲き方も面白く、さやのような蕾から、扇を広げるように次々と4~5個の花が続いて開花する。 氷点下にならない場所なら庭植えにチャレンジ 我が家では冬は、霜の当たらない屋外の玄関ポーチで越冬している。最近、温暖化のせいか、都内や横浜では、路地植えしているのをよく見かけるようになった。日当りがよい南面で、強い霜にあたらず、氷点下にならなければ越冬できるようだ。 スペインでも2月に咲いていた。横浜だと10月頃に咲き出し、真冬はいったん休み、4月頃に咲き終わる。 草丈がほぼ大人の背の高さほどあるので、庭の低木などの中に鉢を置くと、素敵な庭景色が演出できる。 生育が旺盛なストレリチアの育て方 ストレリチアは、他の植物と寄せ植えにしても、インパクトのあるコンテナガーデンができ上がる。そして、花壇に植えても斬新な花壇ができる。冬はこもを被せて霜除けをすると、東京辺りだと越冬できる。寒さが心配な地方ならば、鉢のまま夏花壇に使用して、冬は屋内に避難させてもよい。 非常に生育旺盛な植物で、2~3年で鉢が根でいっぱいになり、プラ鉢を破壊するほどなので、プラ鉢は避けた方が良い。5~9月頃の温度の高い時期に株分けをすると良い。用土は、あまり選ばないので、市販の一般的な培養土で充分である。成長期に2カ月に一度程度、発酵油粕などを与える。液肥の場合は、千倍の溶液を2週間に1度程度与える。 切り花のイメージの強かったストレリチアだが、実際には丈夫な育てやすい植物で、庭や花壇のアクセントや、寄せ植え等にも様々な楽しみ方ができるので、もっと、ストレリチアを身近なものにして楽しもう。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

これからの庭木「バンクシア」に注目! 育て方と種類をオージープランツ栽培の達人が伝授
日本でも育てられるバンクシアとは? オーストラリア固有の植物で、ヤマモガシ科(Proteaceae)バンクシア属 (Banksia)に分類されるバンクシアは、南アフリカ原産のプロテアの仲間である。これは、かつてアフリカ大陸とオーストラリア大陸が陸続きであった証拠で、その後、オーストラリア大陸は分離し、植生が独自の進化を遂げるのである。 バンクシアという名前は、1770年にジェームズ・クックの最初の航海中に、この植物を採集した、イギリスの植物学者ジョゼフ・バンクス卿 (Sir Joseph Banks) にちなんでいる。 バンクシアは、約70種がオーストラリアに分布するといわれ、そのうち60種が南西オーストラリア(比較的乾燥する気候)に分布する。したがって、多くの種類は乾燥気味の水はけのよい酸性土壌を好む。つまり、梅雨のある日本の高温多湿な気候には向かない植物ということになる。しかし、幸いなことに、オーストラリアの南東部(メルボルンのあるビクトリア州)にも数種のバンクシアが分布し、南東部の気候は比較的、関東以西の太平洋側の気候に近く、日本でも鉢植えや地植えでも育てることができるのだ。 ユニークな筒状の花は、なんとも個性的な表情を持ち、スパイクと呼ばれる。小さなたくさんの花で花序をつくり、全体の形は球形や円錐、円筒状となる。蕾ができてから開花するまでに数カ月くらいかかるので、その過程が楽しみな花だ。 開花時は花柱が長く伸び、ブラシ状のスパイクとなる。葉の形もユニークで、品種によって針状のものから鋸歯のような形状のものまである。 横浜の庭で育てているオススメ2種のバンクシア 秋から開花する「ヒースバンクシア」 それでは、横浜の我が家で越冬する、育てやすいバンクシアを2種、ご紹介しよう。 まず、ヒースバンクシア(Banksia ericifolia)。水はけのよい酸性土壌を好むが、オーストラリアでも東南部原産なので、高温多湿な日本の気候にも適応する。花は大きく、オレンジ系で10月頃から開花が始まり、花の少ない冬から春には貴重な存在だ。樹形はブッシュ状、ヒース(エリカ属やカルーナ属)のようにも見える葉形も独特で、庭木としてもおしゃれだ。 ユニークな葉形の「ウォールムバンクシア」 あまり花には見えないウォールムバンクシア(Banksia aemula)。淡いグリーンで地味な花だが、フォルムが、いかにもオーストラリアの雰囲気いっぱいの品種だ。葉もユニークで、光沢のある大きなギザギザは、観葉植物としても使えそうだ。オーストラリア東南部原産で、高温多湿な日本の気候にも適応し耐寒性も比較的強く、関東以南なら育つ。最近、生け花の展示会などでもよく見かける。 地植え&鉢植えの育て方ポイント 【地植えの場合】日当たり、風通し、水はけがよく、冬に北風が当たらない建物の南側がよい。植えつけの時に根鉢の下へ軽石をしっかり入れ、水はけをよくするのがポイント。風に弱いので支柱を必ず立てよう。 【鉢植えの場合】酸性用土を好むので、赤玉土、鹿沼土などを使い、水はけがよく乾燥気味に管理するが、意外と水切れにも弱いので注意が必要。雨や霜の当たらない、日当たりのよい場所が適する。 なお、バンクシアはプロテオイド根(proteoid root)と呼ばれる根毛が密に発生した特殊な根を持ち、オーストラリアのようにリン酸の少ない土地でも、リン酸の吸収能力が高いという特殊な形態の植物なので、リン酸分の多い肥料を与えると、かえって根を傷めることがあるのを覚えておいてほしい。挿し木で増やすことができるので、切り花のバンクシアを入手して、挿し木で育てるのにチャレンジするのも一つの方法。 花後はスパイクに種子ができるが、非常に固く、山火事に遭って初めて種子が飛び、雨が降って発芽をする。したがって、タネ播きの時は、この山火事を経験させるために、タネを軽くフライパンで煎ったり、熱湯に浸したり、スモークウォーター(Smoke water)と呼ばれる溶液に種子を浸しておくと発芽率がよくなる。 個性的な庭づくりには、ワイルドでかつおしゃれなオージープランツの代表、バンクシアがオススメだ。





















