30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は25年になるという遠藤さんに、庭で育てがいのあるオススメプランツを解説していただきます。
庭に鳥が飛ぶような花姿が爽快
今回ご紹介するのは、極楽鳥花(Bird of Paradise /Strelitzia reginae)である。なんとも凄い名前である。かつて、プランツハンターがヨーロッパに持ち込んだ時は大変な人気だったらしい。確かに、この世のモノとは思えない卓越した美しい造形美である。
熱帯植物のイメージが強いが、南アフリカ原産で、実際には、かなりの耐寒性がある。庭に植えられているストレリチアを初めて見たのは、メルボルンの住宅街だった。日本では生け花に使う熱帯の花というイメージだったので、庭に咲くストレリチアは凄く衝撃的だった。オーストラリアでは公園などでも多く見かけた。
花が少ない10〜4月に開花する貴重な花
帰国後、メルボルンで育つのなら、横浜でも育つのではないかと、20年ほど前に鉢植えを購入して育て始めた。毎年、10月頃から、極楽鳥が我が家の庭を飛び始める。横浜だと、10月頃に咲き出し、寒さの厳しい年は真冬にいったん休むこともあるが、4月頃まで、ほぼ咲き続ける。
多くの園芸書が花期を5月から10月と書いてあるが、それは、冬に温かい温室で育てた場合で、年中屋外で育てた場合は、秋から春にかけてが開花時期だ。花の少ない時期に、なんともありがたい花だ。花の咲き方も面白く、さやのような蕾から、扇を広げるように次々と4~5個の花が続いて開花する。
氷点下にならない場所なら庭植えにチャレンジ
我が家では冬は、霜の当たらない屋外の玄関ポーチで越冬している。最近、温暖化のせいか、都内や横浜では、路地植えしているのをよく見かけるようになった。日当りがよい南面で、強い霜にあたらず、氷点下にならなければ越冬できるようだ。
スペインでも2月に咲いていた。横浜だと10月頃に咲き出し、真冬はいったん休み、4月頃に咲き終わる。
草丈がほぼ大人の背の高さほどあるので、庭の低木などの中に鉢を置くと、素敵な庭景色が演出できる。
生育が旺盛なストレリチアの育て方
ストレリチアは、他の植物と寄せ植えにしても、インパクトのあるコンテナガーデンができ上がる。そして、花壇に植えても斬新な花壇ができる。冬はこもを被せて霜除けをすると、東京辺りだと越冬できる。寒さが心配な地方ならば、鉢のまま夏花壇に使用して、冬は屋内に避難させてもよい。
非常に生育旺盛な植物で、2~3年で鉢が根でいっぱいになり、プラ鉢を破壊するほどなので、プラ鉢は避けた方が良い。5~9月頃の温度の高い時期に株分けをすると良い。用土は、あまり選ばないので、市販の一般的な培養土で充分である。成長期に2カ月に一度程度、発酵油粕などを与える。液肥の場合は、千倍の溶液を2週間に1度程度与える。
切り花のイメージの強かったストレリチアだが、実際には丈夫な育てやすい植物で、庭や花壇のアクセントや、寄せ植え等にも様々な楽しみ方ができるので、もっと、ストレリチアを身近なものにして楽しもう。
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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