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「ハーデンベルギア」の魅力と育て方【オージーガーデニングのすすめ】

「ハーデンベルギア」の魅力と育て方【オージーガーデニングのすすめ】

各国の花には固有の“色”がある。異国の花の持つ色彩や造形は、インパクトにあふれて鮮烈だ。オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てている遠藤 昭さんに、美しく神秘的なオーストラリアの思い出の花、ハーデンベルギアの魅力と栽培ポイントを教えていただきます。

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今回注目するハーデンベルギア(Hardenbergia)は、俗名Purple coral pea。日本では、コマチフジと呼ばれ、1990年代に導入された比較的新しいつる植物である。ハーデンベルギアは大きく3種あるが、日本で出回っているハーデンベルギア(Hardenbergia violacea)は、東海岸のクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州、そして南オーストラリア州に広く分布する。

オーストラリア東海岸が原生地のつる植物

オーストラリア原産のハーデンベルギアであるが、オーストラリア原産といっても、東西南北で気候が大きく異なり(日本の20倍の広さがある)、植生もすべて一緒というわけではないので注意が必要だ。では、ハーデンベルギアの原産地はどこかというと、オーストラリアの東海岸。比較的湿潤な気候で、乾燥気味の西オーストラリア原産の植物に比べると日本では育てやすい場所。日本でいうなら鹿児島から関東南部くらいの太平洋沿岸の気候の区分に近いが、日本の夏の蒸し暑さや、冬の冷え込みがない場所で自生している植物だと覚えておきたい。

日本の暖地で育つハーデンベルギア

最近、日本でも東京都内や神奈川・横浜などの暖地では庭木として、フェンスに絡ませているのを見かけるようになった。つる植物で、地植えにすると2~3mは伸びる。紫色の花のフェンスはとても新鮮で、季節的にボタンやストレリチアの鉢を前に置いて、ハーデンベルギアを背景にすると斬新な風景が出現する。常緑なので、放置しておくと近くの木に巻きついて覆いかぶさり、木にダメージを与えることがあるので、誘引場所をきちんと確保するといいだろう。

花は早春に咲き、葉は常緑性のハーデンベルギア

一般的には、鉢植えにして立体的な行燈(あんどん)仕立てで販売されていることが多い。葉は濃い緑色の常緑で、顕著な静脈があり、つるの長さは75〜100㎝である。花は早春の頃。花の色は、紫が多く、ピンク、白、および他の花色も時折見られる。

花は4枚の花びらからなる典型的な “マメ科”の花である。 近づいて見ると、白花はコチョウランのようで可愛い。

住宅街での栽培のポイント

ハーデンベルギア(Hardenbergia violacea)はオーストラリアで丈夫な庭園樹として広く栽培されている。あまり土壌を選ばないが、水はけのよい土地が適している。日本で育てる場合は、夏と冬は注意が必要だ。夏は梅雨から9月にかけて、長雨の後に強烈な好天が続くと枯れることがある。基本的には日光が好きだが、雨後の強烈な日差しは苦手なようなので、水はけのよい栽培環境をつくることが大切だ。

今回ご紹介しているハーデンベルギアに限らず、私がこれまでオススメしてきたオージープランツを庭に植える時は、根鉢の下に軽石を敷いて水はけをよくし、寒冷紗で強い日差しから保護する工夫も有効だ。また、冬は氷点下まで気温が下がったり、強い霜に当ててしまうと枯れるので、家の南側の霜の当たりにくいところに植えて、寒い日には不織布で巻くなどの防寒も時には必要になる。

鉢植えでも育てられる

鉢植えの場合は、加湿を嫌うので、軒下など雨の当たらない場所での管理がよいだろう。冬は屋内に取り込むとよい。東オーストラリアが原産のせいか、乾燥にも意外と弱く、日本に出回っている西オーストラリア原産の乾燥の好きな草花とは異なるので注意が必要だ。

ハーデンベルギアをタネから育てる

タネから育てる場合は、オーストラリアのほかのマメ科植物と同様に、タネの物理的な休眠を破るために、前日からプレトリートメントとして、スモークウォーターに浸けておいたり、熱湯に浸したり、タネの皮をヤスリで擦ったりする処理が必要だ(『オージーガーデニングのすすめ「発芽させる6つの方法」』参照)。タネは、長年の生存能力があり、山火事を体験して発芽するといわれている。つまり播種は、人工的に山火事を体験することによって、発芽率がよくなるのである。写真は、前夜に熱湯に浸しておいたハーデンベルギアのタネ。

挿し木の適期は花後の5〜6月

苗を増やすには、一般的には、タネから育てる播種よりも、挿し木によるほうが確実であり、翌年からの開花が見込まれる。挿し木の適期は花後の5~6月。10㎝の枝を挿せば、翌年には花をつける。増やすにも楽しい植物だ。写真は、前年の6月に挿し芽をし、翌年の2月には開花。

Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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