オーストラリア固有の植物で、ヤマモガシ科(Proteaceae)バンクシア属 (Banksia)に分類されるバンクシア。オーストラリアの南東部に分布するバンクシア は、日本でも鉢植えや地植えでも育てることができます。神奈川県の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験がある遠藤昭さんに、バンクシア の魅力から育て方、育てやすい種類を教えていただきます。

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日本でも育てられるバンクシアとは?

メルボルン王立植物園クランボンのバンクシア
写真/メルボルン王立植物園クランボン

オーストラリア固有の植物で、ヤマモガシ科Proteaceaeバンクシア属 (Banksia)に分類されるバンクシアは、南アフリカ原産のプロテアの仲間である。これは、かつてアフリカ大陸とオーストラリア大陸が陸続きであった証拠で、その後、オーストラリア大陸は分離し、植生が独自の進化を遂げるのである。

バンクシアという名前は、1770年にジェームズ・クックの最初の航海中に、この植物を採集した、イギリスの植物学者ジョゼフ・バンクス卿 (Sir Joseph Banks) にちなんでいる。

黄花が咲くバンクシア

バンクシアは、約70種がオーストラリアに分布するといわれ、そのうち60種が南西オーストラリア(比較的乾燥する気候)に分布する。したがって、多くの種類は乾燥気味の水はけのよい酸性土壌を好む。つまり、梅雨のある日本の高温多湿な気候には向かない植物ということになる。しかし、幸いなことに、オーストラリアの南東部(メルボルンのあるビクトリア州)にも数種のバンクシアが分布し、南東部の気候は比較的、関東以西の太平洋側の気候に近く、日本でも鉢植えや地植えでも育てることができるのだ。

バンクシア の蕾

ユニークな筒状の花は、なんとも個性的な表情を持ち、スパイクと呼ばれる。小さなたくさんの花で花序をつくり、全体の形は球形や円錐、円筒状となる。蕾ができてから開花するまでに数カ月くらいかかるので、その過程が楽しみな花だ。

バンクシア の蕾花柱が長く伸びるバンクシア

開花時は花柱が長く伸び、ブラシ状のスパイクとなる。葉の形もユニークで、品種によって針状のものから鋸歯のような形状のものまである。

横浜の庭で育てているオススメ2種のバンクシア

秋から開花する「ヒースバンクシア」

ヒースバンクシア

それでは、横浜の我が家で越冬する、育てやすいバンクシアを2種、ご紹介しよう。

まず、ヒースバンクシア(Banksia ericifolia)。水はけのよい酸性土壌を好むが、オーストラリアでも東南部原産なので、高温多湿な日本の気候にも適応する。花は大きく、オレンジ系で10月頃から開花が始まり、花の少ない冬から春には貴重な存在だ。樹形はブッシュ状、ヒース(エリカ属やカルーナ属)のようにも見える葉形も独特で、庭木としてもおしゃれだ。

ユニークな葉形の「ウォールムバンクシア」

ウォールムバンクシア

あまり花には見えないウォールムバンクシア(Banksia aemula)。淡いグリーンで地味な花だが、フォルムが、いかにもオーストラリアの雰囲気いっぱいの品種だ。葉もユニークで、光沢のある大きなギザギザは、観葉植物としても使えそうだ。オーストラリア東南部原産で、高温多湿な日本の気候にも適応し耐寒性も比較的強く、関東以南なら育つ。最近、生け花の展示会などでもよく見かける。

地植え&鉢植えの育て方ポイント

神奈川の庭で育つバンクシア

【地植えの場合】日当たり、風通し、水はけがよく、冬に北風が当たらない建物の南側がよい。植えつけの時に根鉢の下へ軽石をしっかり入れ、水はけをよくするのがポイント。風に弱いので支柱を必ず立てよう。

【鉢植えの場合】酸性用土を好むので、赤玉土、鹿沼土などを使い、水はけがよく乾燥気味に管理するが、意外と水切れにも弱いので注意が必要。雨や霜の当たらない、日当たりのよい場所が適する。

なお、バンクシアはプロテオイド根(proteoid root)と呼ばれる根毛が密に発生した特殊な根を持ち、オーストラリアのようにリン酸の少ない土地でも、リン酸の吸収能力が高いという特殊な形態の植物なので、リン酸分の多い肥料を与えると、かえって根を傷めることがあるのを覚えておいてほしい。挿し木で増やすことができるので、切り花のバンクシアを入手して、挿し木で育てるのにチャレンジするのも一つの方法。
花後はスパイクに種子ができるが、非常に固く、山火事に遭って初めて種子が飛び、雨が降って発芽をする。したがって、タネ播きの時は、この山火事を経験させるために、タネを軽くフライパンで煎ったり、熱湯に浸したり、スモークウォーター(Smoke water)と呼ばれる溶液に種子を浸しておくと発芽率がよくなる。

バンクシア の花

個性的な庭づくりには、ワイルドでかつおしゃれなオージープランツの代表、バンクシアがオススメだ。

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Credit


写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/

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