えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
遠藤 昭 -「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー-の記事
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ガーデン

ベテランガーデナーが解説するイギリスの街景観とハンギングバスケット
ハンギングバスケットが街並み景観をレベルアップ 2018年6月にコッツウォルズを中心に庭巡りの旅に出かけた。ウイズリーやヒドコートなど、多数の庭園を巡って、改めてイギリスの園芸文化の伝統のすごさと、人々の園芸に対する造詣の深さに敬服し、多くの感動を経験すると同時に、ガーデニングのアイデアをいくつも膨らませることができた。そもそも庭巡りの旅なので、庭を見て感動するのは「想定内」のことだが、実は「想定外」の感動があった。それはハンギングバスケットのある美しい街並み景観であった。 日本でもハンギングバスケットづくりは行われているが、ガーデニングコンテストのような場面やネット上ではお目にかかるものの、街中で見かけるのは極めて稀である。そして僕のイメージでは、ハンギングバスケットといえば、コンテストで見かける“かなり力んだ作品”で、珍しい高価な花苗をふんだんに使用しているように感じられて、つい「花苗代はいくらになるのだろう?」と想像してしまい、少々、遠い存在だった。 今回の旅で見かけた、ありふれた花を上手に使用したハンギングバスケットと街並み景観に対する感動は、少々カルチャーショック的なものであった。 ストラトフォード・アポン・エイボンにて そのカルチャーショックの第一波は、2日目に訪れたシェイクスピアの生誕の街、ストラトフォード・アポン・エイボン。エイボン川の畔の静かな街だ。この日は、ウィズリーガーデンとモティスフォント・アビーガーデンで、たっぷりと美しい庭を堪能し、すっかり満ち足りた気分だった。夕方に着いて、シェイクスピア生誕の家などを見て回ったが、陽が西に傾きかけた頃、はっと視界に飛び込んできたのが、街角の絵になるハンギングバスケットのある風景だったのだ。 美しいハンギングバスケットが、横文字のお洒落な看板と共に。まさに「外国の風景」そのもので、その美しさに惹かれてシャターを押した。庭巡りの旅で出合った想定外の景色だった。日本でも、他の海外旅行でも見たことのない、街並みとハンギングバスケットの織り成す美しさにカルチャーショックを覚えたのだ。 立派なハンギングがこれほど生き生きとしているのは、気候のせいもあるだろうが、やはり人々の花に対する愛情、そして街景観に対する思いなのだろう。花で観光客をもてなす英国人気質のような、伝統に育まれた文化を感じた。 チッピングカムデンはハンギングバスケットの街 そして、いよいよコッツウォルズの街、チッピングカムデンへ。この街で、ハンギングバスケットと街並み景観に本格的なカルチャーショックを受けたのだ。チッピングカムデンはコッツウォルドストーンの名で知られる、この地方特産のハチミツ色の石造りの建物との調和が素晴らしい。 ハンギングバスケットがこれほど街並みを美しくしているのを見たのは初めてである。窓辺や玄関脇に飾られたハンギングバスケットが、街の美しさに文字通り花を添えている。その景色からは、コッツウォルドストーンで統一された建物がただきれいに並んでいるという表面的なものではなく、歴史と伝統を重んじ、自分たちで美しい街並み文化をつくり上げていくという、人々の熱い思いすら伝わってきた。 日本のよくある「これでもか!」と珍しい植物を詰め込んだ感のあるハンギングには抵抗があるが、ごく平凡な親しみのある花々を使用して、これほどの景観効果をプロデュースするハンギングの力に脱帽だ。さすがイギリスですね。 帰国後、この記事の執筆をするにあたって写真を整理していても、その時の感動が呼び戻されるほど本当に美しい街並みだ。街角の鉢物やハンギングも洗練されていて、景観を一層美しくしていた。 ハンギングに使われている植物の変化を眺めて散策 日本の街並みと何が違うのか? そうだ、電線が一本もない! 立て看板や宣伝ののぼり旗だってない。美観より経済優先できたこの数十年の日本との違いに気がついてしまったのだ。 ブラキカム、ブルーファンフラワーと青系統で爽やかなハンギング。グレコマなども見えます。 これまた赤一色で、なかなかのインパクト。見事な咲き姿のぺラルゴニウムでした。日本の気候では無理かも。 最近の日本にも見られるカラーリーフを中心にしたハンギング例。イギリスでもカラーリーフの組み合わせが流行なのだろうか? 使われているのは、ムラサキゴテン、ディコンドラ、イレシネ・ファイヤーワーク、ヒポエステスだろうか。 ちょっと乱れ気味ですが、やはりゼラニウムは強健ですね。 こうしていくつも観察していたら、ひとつの法則に気がついた。上に比較的大輪の花を置き、下にいくにつれ小輪の花を配置する。さらに、つる植物を垂らす。街並み同様に、ハンギングにも統一感が感じられるのは、そんな「掟」があるのかも。 チッピングカムデンの街は、美しいハンギングの数々と街並み風景がどこまでも続く。 バートン・オン・ザ・ウォーターのハンギング 可愛らしい街だ。そして目に飛び込むのがハンギングの花たち。平凡な花を使用しているのに、おしゃれで素敵なのだ。 明るい色づかいが石づくりの壁に映える。 通りに面した家々のフロントガーデンを美しく飾ってオープンにし、道行く人々に楽しんでもらうイギリスの庭づくりと、塀で囲んで敷地の中が見えないようにする日本の庭づくりの違いは、住宅事情等で仕方ないとしても、ハンギングバスケットによって街並みを美しく飾り、訪れる人々や観光客をおもてなしする園芸文化は羨ましくもあり、カルチャーショックでもあった。日本の観光地や街中にあふれる派手な看板やのぼり旗、そしてクモの巣のような電線を見るにつけ、街並み景観とガーデニングの今後の課題を感じさせられた。 あわせて読みたい ・庭をつくろう! イギリスで見つけた、7つの小さな庭のアイデア ・槇谷桜子のMY Botanical Life 1 見栄え抜群のハンギンググリーン ・夏のガーデニングのお手本にも! 花いっぱいのロンドン・パブ
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宿根草・多年草

造形的でアートな花「フランネルフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】
時代の先端を行く魅力的な多年草 最近、寄せ植えに人気のフランネルフラワー(英名:Flannel flower 学名:Actinotus helianthi)をご紹介しよう。オーストラリア原産で、セリ科アクチノータス属の多年草だ。花弁に細かい産毛が密生しフランネルのような優しい感触で、厚みのある乳白色の花びらを持ち、銀白色の葉が織りなすモダンアートな雰囲気。いかにも“時代の先端を行く花”というオーラを放って、園芸ファンを魅了している。 栽培成功の秘訣は、原産地のチェック 日本で出回り始めて10年以上経つと思うが、意外とオーストラリア原産であることや、その生育環境に関しては知られていない。上手に草花を育てるには、必ず原産地をチェックし、その気候風土を知っておくことが不可欠だ。見た目だけで草花を選んで寄せ植えをつくっても、生育環境が異なれば、美しく保つのは難しい。 よくプロの人でも、オージープランツをパンジーなど生育環境の異なる植物と寄せ植えにしているのを見かけるが、結果は当然、雨を嫌い乾燥地帯で育つオージープランツは枯れることが多い。 以前の記事でも触れたことがあるが、オーストラリアは東西に広い国なので、東海岸と西海岸では気候が大きく異なる。日本に紹介されているオーストラリア原産の草花の多くは、西オーストラリアに分布するが、このフランネルフラワーは、東海岸のニューサウスウェールズからクイーンズランドの涼しい内陸部に自生し、さらに一部が南のビクトリア州の南海岸沿いの砂質土壌の地域で帰化している。 これは何を意味するのかというと、東オーストラリアの気候のほうが、日本の温暖湿潤気候に近く、日本では、乾燥地帯に育つ西オーストラリア原産の植物よりも、東オーストラリア原産の植物のほうが育てやすいということだ。砂質土壌の地域で帰化しているというのも育てる上ではヒントになる。それゆえに、フランネルフラワーが日本でも品種改良されて比較的育てやすく、人気なのだ。僕の長年のオーストラリアの植物の栽培経験でも、東南部のメルボルン近辺やタスマニア地域原産の植物は神奈川・横浜近辺でも育つが、乾燥を好む初恋草=Lechenaultiaなどの西オーストラリア原産の植物はかなり難しいという感覚を持っている。 フランネルフラワーを育てる用土と置き場所 日本に出回っているフランネルフラワーは、シドニーのあるニューサウスウェールズで園芸品種として育種された品種や、国内で改良された品種のようである。西オーストラリアの植物に比べれば比較的日本でも育てやすいが、やはり雨は嫌う。 僕の育て方は、一般の園芸用土50%に鹿沼土25%と細かい軽石(またはパーライト)25%をブレンドした用土に植えている。弱酸性の土を好むので、鹿沼土はオージープランツには便利だ。置き場所は日当たりのよい所で雨に当てないこと。雨に濡れないベランダなどが適している。真夏の直射日光や西日は鉢が熱くなり根が傷み枯れる原因となるので、遮光し、鉢を二重にするなど、熱くならないような工夫が必要だ。なにしろ高温多湿を嫌う。水やりは、表面が乾いたらたっぷりやるのだが、冬は控えめに。肥料は控えめでよいが、化成肥料は避け、発酵油かすの置き肥を春と秋に施すのが無難。液肥の場合、夏は乾燥して鉢の中での濃度が濃くなるので注意しよう。 花は、春から秋まで咲き続けるが、夏には花数が少なくなる。この時期に、茎の先を数㎝切り詰めて風通しをよくし、秋の開花に向けて花が咲く新芽を出させるとよい。なお開花の時期に花を咲かせ続ける秘訣は、パンジーやペチュニアと同様に、花がら摘みをマメに行うこと。草花は子孫を残そうとして花を咲かせてタネをつくる。そしてタネをつくるには大変エネルギー(養分)を消耗する。花がらを摘むと、草花は再び子孫を残そうと花を咲かせようとするのだ。この繰り返しが、花がら摘みをマメに行う理由だ。当然、養分である肥料は補給してやる必要がある。 生育環境が異なる植物同士は寄せ置きがオススメ さてここからは、オージープランツを生育環境の異なる草花と寄せ植え風に見せる手法をご紹介しよう。1年がかりで大きく育ったフランネルフラワーをもっと素敵に表現する方法に挑戦してみた。園芸には育てる楽しさと、芸術として表現する楽しさがある。 寄せ植えではなくて、鉢ごと大きな鉢に入れる寄せ置きだ。植物によって用土も水やりも異なるが、これなら生育環境の異なるオージープランツと日本古来の植物とのコラボも可能だ。高さが異なるものは、レンガなどで上げ底をして調整するとよい。 寄せ植えでは枯れてしまうために実現できない、フランネルフラワーと日本のシダとの寄せ置きで、独創的な表現ができるのだ。 まず、直径の大きな和の陶器の中央に鉢植えのまま置く。モダンで夏らしく涼しげな表情になった。 レンガなどで高さを調整しながら、フランネルフラワーの周りにニシキシダなどの鉢を並べる。こんな寄せ植え風の寄せ鉢が、ひと工夫で完成してしまう。 この手法なら1~2週間程度のローテーションで、さまざまな鉢の組み合わせを楽しめるのだ。ア イビーなど、挿し木できる植物の小鉢を多数つくっておくと便利だ。 もう一つの寄せ置きアイデアは、単純に植木鉢を寄せて置くだけなのだ。こんな手法を使うと、オージープランツと、その他の日本の草花との寄せ植え風コラボ風景が簡単にできるのだ。寄せ植えとは異なり、自由に組み替えができるので、いろいろ置き換えてみると、センスを磨くトレーニングにもなるのでオススメする。 最後に、生育環境が同じオージープランツのエレモフィラニベア、ニュージーランドのコロキアなどを寄せ植えした例をご紹介しよう。 いくつかの草花を組み合わせる相乗効果によって、より美しいものを創造する楽しみは、寄せ植えだけではない。寄せ置きだと生育環境の異なる植物も楽しめるので、オージープランツには絶好の手法だ。この秋の園芸シーズンは、オージープランツの寄せ置きで楽しんでみませんか? 併せて読みたい ・オージーガーデニングのすすめ 白銀の葉と淡いパープルの花に魅了「エレモフィラ・ニベア」 ・オージーガーデニングのすすめ「オーストラリアの木生羊歯」 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

人気の木生羊歯「ディクソニア」イギリスでの使われ方
日本であまり定着しない羊歯 日本でイングリッシュガーデンがブームになって久しい。おそらく20年近く経つのではないだろうか? この約20年間にイングリッシュローズをはじめ、コニファー類やクレマチス、そして、さまざまな宿根草や一年草が日本のイングリッシュガーデン愛好家に紹介され、園芸雑誌や種苗会社も普及に力を入れ、すっかり定着した。 この20年ほど購読している英国王立園芸協会の会報誌『The Garden』では、イギリスの庭の写真で頻繁に登場しているのに、日本ではあまり注目されず、人気も一向に上がらない植物があることに気がついた。それはシダだ。特に常緑で木立性の木生羊歯、ディクソニア。オーストラリア原産で、僕がメルボルンに駐在中に初めてディクソニアに遭遇してから、そのカッコいい植物を忘れられず、帰国後、日本でぜひ育てたいと、胞子をオーストラリアから輸入した。そして発芽に成功し、今では、横浜の狭い庭で巨大化して元気に育っている。 このディクソニアに関しては、『オージーガーデニングのすすめ「オーストラリアの木生羊歯」』のレポートに詳しく紹介している。 イギリスでディクソニアの人気を探る さて、今年2018年6月に、コッツウォルズを中心に英国庭園巡りの旅に行ってきたが、関心事の一つは、イギリスにおける木生羊歯、ディクソニアの人気の実態だった。 まず訪問したのは、英国王立園芸協会運営のウィズリーガーデンだ。あった、あった! 立派なディクソニアが! イングリッシュガーデンに使われている感動のディクソニアだ。やはり、イギリスでは木生羊歯がポピュラーなのだ。 では、ロンドンの街中ではどうかというと、地下鉄キュー・ガーデンズ駅で降りて、英国王立植物園「キュー・ガーデン」に向かう住宅街の一角に発見。一般の家庭の庭でも育てられていた。高い塀の上から葉が覗いていて、かなりの高さだ。 そして、植物園なので栽培されているのは当たり前だが、キュー・ガーデンの温室のオーストラリアコーナー。 まあ、温室で育つ羊歯にはあまり驚きはなかったが、ちょっと嬉しかったのが、キュー・ガーデンの土産物売り場のショッピングバッグが、羊歯の葉のデザイン! 粋ですね! さらに、コッツウォルズの北部にある名園「ヒドコート」では、池の前の一角にオージープランツを中心にトロピカルなコーナーがあり、鎮座していた。観葉植物的扱いかな。 そして、リーズ城ではお城の下の敷地にジャングルのように数本が群生していた。木生羊歯ではないが、日本のニシキシダの鉢も発見。ニシキシダは海外で人気だ。 羊歯人気は話題のガーデニングショップにも 最後に、イギリスでの羊歯人気に“太鼓判”を押してくれたのが、イギリスで最もおしゃれでロンドンセレブたちのご用達というガーデニングショップ「ピーターシャム・ナーサリー」。店内のいたるところに、ディクソニアの鉢植えがあったのだ! そしてFern(羊歯)のコーナーもあり、巨大なディクソニアが販売されていた。 僕は、このイギリス最高峰のガーデニングショップ「ピーターシャム・ナーサリー」で、記念に羊歯柄の鉢カバーを土産に買った。 日本ではまだ馴染みのない木生羊歯だが、やがてイギリスのように羊歯が都会のトレンドスポットでも人気の植物となる日は近い! と、イギリスの庭巡りで確信したのだった。 併せて読みたい ・オージーガーデニングのすすめ スタイリッシュな庭づくりに欠かせない「コルディリネ・オーストラリス」 ・ オージーガーデニングのすすめ 「ドドナエア」 ・オージーガーデニングのすすめ 個性的でカッコいい「グラスツリー」
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宿根草・多年草

星形の花が爽やかな「イソトマ」【オージーガーデニングのすすめ】
オーストラリアの5大ブルーの花 日本では春先から園芸店に並ぶ、比較的ポピュラーな花「イソトマ」は、ロレンティアと呼ばれることもある(写真右端)。これも僕が好きなオーストラリアの青い花の一つ。オーストラリアの草花は青い空を映すのか、ブルーが多い。 これまでに紹介してきたオージープランツの中にも、ブルーの花は、 ・ブルーファンフラワー ・初恋草 ・ブルーハイビスカス ・ブルーレースフラワー などがある。どれも季節の寄せ植えにオススメの花たちだ。 オーストラリアの原産地から栽培環境を知る イソトマにも数種があるが、日本で出回っているのはIsotoma axillaris という品種だ。オーストラリア原産の植物だが、オーストラリアは国土が広く、東部と西部、南部と北部では気候が大きく異なる。どの地域の原産であるかによって生育環境も異なるので、原産地を確かめる必要がある。Isotoma axillarisは、ビクトリア州からニューサウスウェールズ州、及びクイーンズランド州南部と、広範囲に分布している。 つまり、乾燥地帯の西オーストラリアではなく、比較的湿潤な日本の気候に近い東海岸の原産なので、西オーストラリア原産の初恋草やカンガルーポーなどよりは、日本では育てやすく、地植えの花壇でも楽しめる。原産地では岩の多いエリアの湿った裂け目などに生育していることからも、もともと強健な植物だと分かる。 イソトマの栽培ポイント 最近は、日本でもタネが販売されていて、秋播きで翌年の初夏には開花する。ただし、耐寒性があまり強くないので、室温を5℃度以上に保てる場所で越冬させる必要がある。順調に育てば5~7月頃に開花期を迎える。高温多湿を嫌うので、梅雨明けの頃に切り戻し、風通しのよいところで夏越しをすることで、再び10月頃まで楽しめる、開花期が長い多年草だ。冬は切り戻して、室内で越冬させることも可能。また挿し芽でもふやせる。 栽培用土は水はけのよい土(市販の園芸用土やブレンドする場合は、赤玉土:腐葉土:軽石=6:3:1)を使って、緩効性化成肥料を元肥に入れるとよい。真夏を避けた成長期に2週間に1度程度、2,000倍の液肥を施す。花弁が細いので、花がいっぱい咲いた雰囲気を出すためには、苗を複数株植えつけると見応えがある。 同じオーストラリア原産のブルーハイビスカスを中心に、周囲にぐるりとイソトマをたくさん植えた大鉢の栽培例。 イギリスのリーズ城のガーデンでは、大鉢にイソトマのみが植えられていたが、花をたくさん咲かせて爽やかな美しさだった。 寄せ植えにかわいい雰囲気をプラスするイソトマ。タネの播きどきは、この秋です。 併せて読みたい ・オージーガーデニングのすすめ ブーム復活を願うブルーの花「初恋草」 ・オージーガーデニングのすすめ 「ブルーファンフラワー」 ・オージーガーデニングのすすめ「造形的でアートな花フランネルフラワー」 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

「ニューサイラン」スタイリッシュな植栽に不可欠な葉物【オージーガーデニングのすすめ】
剣葉植物コルディリネとニューサイランの違い 前回ご紹介したコルディリネと並んで、最近、新築住宅の庭の植栽に人気の剣葉植物が、ニューサイランだ。コルディリネと間違えやすい姿だが、コルディリネは木(木本)で年々背が高くなるのに対し、ニューサイランは草(草本)なので、花壇や寄せ植えにも使いやすく重宝である。ともに主な原産地はニュージーランドだ。 ニューサイランを育て始めた頃 このニューサイラン、日本で出回り始めたのは比較的新しい。もう30年近く前だが、メルボルン駐在中には、公園や個人宅でもカッコいいこのニューサイランをよく見かけた。1992年に帰国して、ニューサイランを育てたいと思っていたが、当時は園芸店では見かけることがなかった。僕が初めて通販でニューサイランを入手したのは1998年頃だったと記憶している。 記録に残っている一番古い写真は、2000年に地元の園芸店の寄せ植えコンテストに応募した時のものだ。まだデジカメも出始めで、こんな小さなサイズの写真しか残っていない。確かタイトルを「ニュージーランドの思い出」とし、めでたくグランプリを頂いた。今、見るとお恥ずかしいが、当時のレベルはこんな感じだったのだ。 やがて、このニューサイランを地植えにしたところ、すくすくと成長した。記録に残る18年間にさまざまな庭風景を演出してくれた。 印象に残るのが2007年頃。ちょうど、背景を飾るスクリーンのように扇を広げ、ピンク花のボタンや、デンドロビウム・キンギアナムを引き立ててくれた。こんな使い方もあるのだ。 そして、この原稿を書いている2018年7月の姿が上写真だ。庭がすっかりジャングル状態の“ジャングリッシュガーデン”になった。木生羊歯のディクソニアやソテツなどと、所狭しと生存競争をして、現在の背の高さは3m近い。 ニューサイランの種類 ニューサイランでは、ここまでご紹介してきた、葉にストライプの入った、Phormium tenax 'Variegata'がポピュラーだが、ほかにもいろいろな品種が出回っている。 ニューサイランの性質と育て方 ニュージーランド原産なので、比較的耐寒性も強い。品種により差はあるが、大体-10℃近くまで耐えられるようだ。日のよく当たるところを好む。 ふやし方は、株分けだ。4月頃が適期。根が切れやすいので注意して堀り上げ、葉を短く切ると根がつきやすい。用土は水はけをよくするために、赤玉土6、腐葉土3、軽石1とする。 ニューサイランは地植えでも鉢植えでも姿がよく、絵になる。 寄せ植えの主役にもぴったりだし、宿根草花壇に入れても景色が引き締まる。 また、僕は植栽デザインを頼まれると、大体ニューサイランを入れる。今風のスタイリッシュなガーデンづくりにはぴったりだ。 旅で見つけたニューサイラン ところで、ニュージーランドを旅行した時には、巨大な株に遭遇した。現地では夏に花をつける。日本ではあまり見かけない。 最近、イギリスのコッツウォルズを旅したら、ストラットフォード・アポン・エイボンにこんな素敵なニューサイランの花壇があった。日本でも、公共花壇などに使用すると、素敵な都市景観に活躍しそうだと実感したニューサイランだ。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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一年草

青花が美しい「ブルーファンフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】
日本でも育てやすいオーストラリア原産のブルーの花 オーストラリアの花はブルーが多い。青い空を映し出しているのだろうか? 今回、ご紹介するクサトベラ科のブルーファンフラワー(学名: Scaevola aemula)の原産地は、西オーストラリアではなく、メルボルンがある南東部。つまり、比較的温暖湿潤な気候で、他の多くのオージー草花の原産地である西オーストラリアほど乾燥していない。比較的日本の気候に近いので、育てやすいはずだ。 本来多年草で大きく広がるが、日本では一年草扱いとなっている。しかし、神奈川の横浜あたりだと霜除けすれば越冬し、多年草として楽しめる。4月頃から10月頃まで、扇形の青紫の花が咲き続ける。乾燥に比較的強く、ハンギングなどにも適している。 ブルーファンフラワーの性質と育て方 育て方は、他のオージープランツ同様に、日当たりのよいところで、やや乾燥気味に管理するとよい。苦手なのは、梅雨時の過湿と、雨上がりのピーカンの天気。土が濡れている時に西日などの強い太陽に当たり、鉢の温度が上がるのがよくないようだ。真夏は鉢の温度が上がらない工夫をするとよい。 用土は赤玉6、鹿沼土1、腐葉土3のブレンドが、適度に保湿効果もあってよいようだ。西オーストラリアの植物ほどリン酸を嫌うことはないが、液体肥料を施すより、発酵油粕の置き肥のほうが、根に優しくて調子がよい。 ブルーファンフラワーの生かし方 このブルーファンフラワー、オーストラリア南東部が原産地とされているが、西オーストラリアでも原生しているスポットに遭遇した。葉も大きくやや大型だが、花は確かにブルーファンフラワーだ。ガイドさんもそう解説していた。 ブルーファンフラワーは成長が進むと、こんもりと垂れ下がってくれるので、縦に扇状に広がるコルディリネ・オーストラリスと好相性だ。剣葉が放射状に天に伸び、ブルーファンフラワーが柔らかく根元を引き締めてくれる。 また、ドライなイメージの花だが、和の雰囲気も持っているので、和の器に入れて、石灯籠とヤツデの前に置いてみると、意外とマッチしてくれた。 暑い夏にブルーの花は涼しげで嬉しい。この花を眺めていると、乾いたオーストラリアの風が吹いてきて、日本の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれる。そんな気分になれる、ブルーファンフラワーだ。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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宿根草・多年草

奇妙な名前の素敵な花「ピンク・ムラムラ」【オージーガーデニングのすすめ】
「猫ちゃんのシッポ」と英語名がついた植物 この20年くらいの間に、元々はオーストラリアのワイルドフラワー(野生種)だったものが品種改良されて、園芸品種として日本でも流通するようになった草花は多い。その一つであるプチロータス‘ジョーイ’=Ptilotus exaltatus ‘Joey’を今回はご紹介しよう。別名を、ピンク・ムラムラという。 英語名は「Pussytails」で、猫ちゃんのシッポという可愛らしい名前。この花の形そのものを表していてとても分かりやすいし、覚えやすい。原住民のアボリジニは、ムラムラ=Mulla-mullaと呼んでおり、カンガルーネズミという有袋動物のことで、「役に立たないもの」という意味があるようだ。 以前、西オーストラリアのワイルドフラワーの旅に出かけた時に、この野生の原生種を見つけることができた。原生種はイエロー系なのだろうか、あまり美しくないがPussytailsが可愛い。 またパースの植物園では、こんなクリーム色のプチロータスを見かけた。ホワイト・ムラムラと呼ばれている。 西オーストラリアの花は、このように、花が羽毛のようになっているものが多く、俗にfeatherheads flowerと呼んでいる。このプチロータスの特徴は、花期が非常に長いことだ。エバーラスティングフラワーのようにカサカサになって、やがて色あせてゆく。 ピンク・ムラムラの育て方 育て方は、他のオーストラリアの草花と同様に、鉢植えで日当たりのよい場所に置き、水はけのよい土で育てる。鉢はプラスチック製の鉢ではなく、通気性のよいテラコッタがオススメだ。また、できるだけ雨には当てない方がよく、ベランダやテラスなどで育てるのに最適だ。 近年は、大手種苗会社からタネが売られていて、比較的簡単に育てられる。雨の当たらない温室で育てると、草丈1mほどの大きな株に育てることができる。 鉢植えで育てると、ホスタなどのしっとりとした緑の中でも、不思議と調和して、日本の庭ならではの素敵な庭風景が演出できる。 ふわふわと膨らむそのシッポに思わず触りたくなる、一味変わった庭風景の演出にオススメのプチロータスだ。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

スタイリッシュな庭づくりに必須「コルディリネ・オーストラリス」【オージーガーデニングのすすめ】
コルディリネの葉色のバリエーション 最近、庭木に大人気の植物といえばコルディリネ・オーストラリス‘プルプレア’=Cordyline australis 'Purpurea'だ。 和名をニオイシュロランと言い、緑の葉の品種はかなり以前から日本でもモダンな庭木として使用されていた。しかし最近は銅葉やピンク、赤色、斑入りとバリエーションもあり、選べる楽しさもある。 原産国はニュージーランド コルディリネ・オーストラリス=Cordyline australisというと、オーストラリア原産だと勘違いされる方が多いが、学名のオーストラリス=australisは、ラテン語で「南の」という意味で、原産は南半球のニュージーランドだ。確かにニュージーランドでは巨大な株を見かけた。 もちろんオーストラリアでもポピュラーな庭木で、メルボルンのフラワーショーでは、写真の鉢が49ドルと日本とほぼ同じ価格で売られていた。 コルディリネには耐寒性がある コルディリネというと、寒さに弱い熱帯観葉植物のアイチアカ(C. fruticosa ‘Aichiaka')などを連想するかもしれないが、ここで紹介しているコルディリネ・オーストラリスの仲間は、ニュージーランドが原産ということでも分かるように、比較的耐寒性があり、地植えにして少々の雪や霜に当たっても越冬できるのも魅力だ。 庭で活躍するコルディリネ・オーストラリス カラフルな剣状の葉は庭のアクセントとなりシャープな印象を与え、庭の雰囲気を引き締めてくれる。 あまり見かける機会はないかもしれないが、5月に白い花が咲き芳香を放つ。 ニオイシュロランと呼ばれたのも、その理由かもしれない。ちなみに我が家のこの写真のコルディリネは、20年ほど前にタネを輸入して育てたもの。 コルディリネの剪定とゴザ編み 地植えにしておくと数年でかなり大きくなるため、ある程度の所で幹を切ると、脇芽が出てくる。寒い時期は避け、暖かくなる4~5月が適期で、好みの高さで切っても心配無用だ。 ニュージーランドの原住民のマオリ族は、コルディリネの葉でゴザを編んだり、ロープをつくったりしたと聞く。カットした頭頂部に残った葉を捨ててしまうのは惜しいので、ゴザを編むのも一案だ。我が家でも葉を編んで、愛犬のマットをつくってみた。夏はヒンヤリと気持ちよさそうだ。 また、コルディリネは、寄せ植えの主木にも人気だ。周りに少し草花をあしらうだけで、オーナメンタルなコンテナのでき上がり。 今までの庭風景に飽きたら、コルディリネを一本植えると、きっと庭の雰囲気がキリリと引き締まること、間違いなしだ。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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樹木

個性的でカッコいい「グラスツリー」【オージーガーデニングのすすめ】
日本では「ススキの木」とも呼ばれるグラスツリー 今回は、グラスツリーにスポットを当てて、ご紹介したい。グラスツリーとはXanthorrhoea(クサントロエア属)とKingia(キンギア属)の2属を総称した呼び名で、日本では「ススキの木」ともいわれている。日本で見かけるのは、前者のXanthorrhoeaだ。独自の生物進化を遂げた不思議大陸オーストラリアらしい、なかなかに個性的でカッコいい植物である。 日本ではかつては、浜名湖の花博など、特別な場所でしかお目にかかれなかった植物だ。我が家のグラスツリーは、15年ほど前に、マニアックな植物を扱う知人のコレクションを譲っていただいたもの。最近は、通販でも入手できるようだ。 玄関アプローチに置いても、庭に置いても個性的な雄姿は、独創的な雰囲気を醸し出してくれる。一味違った庭づくりには最適だ。 山火事を経験して再生する不思議な性質 このグラスツリーという植物は、1年間に幹が1㎝しか伸びず、山火事を経験した後にスパイク(穂)を出して花を咲かせるという不思議な性質がある。オーストラリアの樹木は、山火事を経験して、実がはじけ雨が降って発芽するものが多いが、このグラスツリーも焼け焦げた幹の先から、針のような長い葉を再生するという変わった植物である。以前、西オーストラリアを旅行して、幾度か山火事の後の焼け焦げた原野に遭遇したが、なんとグラスツリーだけは緑の葉をてっぺんから放射状に生やして生き残っているのであった。 グラスツリーの故郷のワイルドな生態 やはり、グラスツリーのある風景は印象的で思い出に残る。これは、西オーストラリアの原野に生えていたもの。手前の白い花はスモークブッシュ(Conospermum crassinervium)と呼ばれる。 この雄大な風景の中で、佇むのはグラスツリーの一種、Kingia australisだ。Xanthorrhoeaに比べてやや小型。葉の色はシルバーがかっている。Xanthorrhoeaは穂が上に1本伸びるが、Kingiaは太鼓のバチのような穂が複数生えるのが特色だ。写真はスターリングレンジという山で撮影。 パース近郊のジョン・フォレスト国立公園には、林の中に無数のグラスツリーが生えている。 ところで、このグラスツリーは現地のオーストラリアでも高価だが、背丈以上に育ち、幹が十分太ったビッグサイズが約500ドル(約4万円強)で販売されていた。鉢植えだと100ドルくらい。きっと日本では10倍の価格になるだろう。持ち帰れるものなら……と、思ってしまう。 タネから育てて10年が経過 オーストラリアの土産物屋でタネが販売されていたので、実生で生やしたことがある。比較的、簡単に発芽はしたが、その後はかれこれ10年ほど経つが、いまだに幹の姿が見えない。 1年に1㎝伸びると聞いていたのに10年経っても幹は1㎝にもならない。写真左の鉢植えは、この原稿執筆の休憩に撮った現在のグラスツリーだ。生きているうちに幹が見えるのだろうか? まあ、オーストラリアらしい大らかでノンビリした植物だ。 育て方は、日当たりのよいところに置いて、長雨には当てないようにし、乾燥気味にすること。冬は軒下に避難させればいい。丈夫な植物だ。 日本では珍しいグラスツリーだが、現地のキルト展でこんな作品に出合った。オーストラリア人にとってのユーカリが、日本人にとっての松や桜のような存在で、オーストラリア人にとってのグラスツリーは、さしずめ日本人にとってのソテツのようなものかもしれないと、ふと思った。 併せて読みたい ・草取りで心が折れそうな人へ。除草剤の効果的な使い方 ・アガベ奇跡の開花! ニュースでも話題になった貴重な2種の花を公開 ・人気の木生羊歯「ディクソニア」イギリスでの使われ方 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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一年草

青い空と海を映す「ブルーレースフラワー」【オージーガーデニングのすすめ】
「ブルー」の名が似合う好きな花 オーストラリアの草花はブルーと名のつくものが多い。これまでこのサイトで紹介をしてきた、レケナウルティア(初恋草)やブルーハイビスカスと並んで、僕の最も好きな花の一つであるブルーレースフラワー=Blue Lace Flower(ロットネスト・アイランド・デージー:Rottnest island daisy、学名:Trachymene coerulea)をご紹介しよう。 西オーストラリアのパースの沖、インド洋に浮かぶ宝石のような島、ロットネストアイランドに自生する植物だ。最近は、ディディスカスとか、ブルーレースフラワーとして日本でも出回っているが、僕は20年くらい前にオーストラリアにいる友人にタネを送ってもらい、入手したことがある。 西オーストラリアのワイルドフラワーのツアーに参加した時に、独り日程を延長して憧れのロットネストアイランドに行った。もちろん目的はブルーレースフラワー(Rottnest island daisy)を見るためである。何とも美しい島である。 インド洋と紺碧の空が、この世と思えぬ程の澄み切った世界を醸し出していた。そして、そこには憧れのブルーレースフラワーが野生の姿で咲いていたのである。バスツアーで写真撮影には失敗したが、あのインド洋を臨み群生するブルーレースフラワーはしっかりボクの思い出に刻まれたのだ。 先日、世界一幸せな動物、パースの沖合に浮かぶロットネスト島にだけ生息している有袋動物のクオッカ(クアッカワラビー(Setonix brachyurus))がテレビで紹介されていた。クオッカと一緒に写真を撮ってSNSにアップするのが流行っているとか。ブルーレースフラワーとクオッカに合いに、もう一度、行ってみたいロットネストアイランドである。 ブルーレースフラワーの育て方と活用例 最近は国内でもタネが出回っており、通販や大きな園芸店で購入できる。寒さにやや弱いので、暖地では秋播き、寒冷地では春播きをする。 他のオーストラリアの植物同様に、過湿を嫌うので、水はけのよい土を使用する。市販の園芸用土に3割程度の軽石を加えると、肥料分も薄まり水はけのよいオージープランツ用の用土になる。3号ポットにタネを播き、日当たりのよい、できるだけ雨に濡れないところで育てる。 一度、摘芯して3本程度の脇芽を育て、6号鉢に根を崩さないように移植する。支柱を立てて乾燥気味に育てるとよい。開花は6月頃。花壇に植える場合は、この開花株を植える。施肥は、他のオージープランツ同様に控えめでよい。液肥は薄めに2,000倍程度を週1回程度でよい。 なお、オージープランツを一般の草花との寄せ植えに使う場合は、生育環境や用土や肥料、水やりなどの育て方が他の植物と異なるので、数個の鉢植え植物を鉢ごと、大きな鉢に入れて個々に管理する「寄せ鉢」がオススメ。この方法であれば、シダなど環境の異なる植物の鉢と一緒に調和を楽しめる。 明るいブルーの花は、庭を明るくする。また、切り花にしても可愛らしく重宝だ。青い花火のような優しい花が、初夏のそよ風に揺れ、庭にはオーストラリアの風が吹いているような気分になれるブルーレースラワーなのだ。 Credit 写真&文/遠藤 昭 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。 30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。 ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/




















