家の印象は玄関前で劇的に変わる! 色選び・照明・失敗しない植栽レイヤーでつくるおしゃれなエントランス実践アイデア集
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Meyer-Rebentisch, Dr. Karen
「なんだか玄関まわりがパッとしない」「植物を植えてみたいけれど適したものが分からない」……そんな悩みを抱えていませんか? 玄関は住まいの第一印象を決める“家の顔”。ドアの色、足元を照らすライト、そして高低差を活かした植物選びを意識するだけで、歓迎ムード漂う心地よい空間に生まれ変わります。
この記事では、ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、実際にドアや外壁を塗り替えて雰囲気を一新させたリアルな体験談をはじめ、ライティングの工夫や季節を問わず美しい植栽のポイント、スイスで見つけたユニークなコンテナ実例まで詳しくご紹介します。毎日の帰宅が楽しみになるエントランスづくりを、ここから始めてみませんか?
目次
住宅や暮らしの印象に重要な「玄関」

住宅の玄関は、訪れる人や通りがかる人の目に最初に留まる場所であり、その家の第一印象を決定づける重要な要素です。美しくデザインされた玄関は、外観の魅力を高めるだけでなく、その先に広がる住まいの温かさや個性を想起させる役割も果たします。友人や家族を迎え入れる際、丁寧に整えられた玄関は、おもてなしの心や細やかな気遣いを伝えてくれるものです。美しくデザインされ、手入れが行き届いたエントランスならば、毎日帰宅するたびに自然と笑顔がこぼれ、家に帰るのが楽しみになるに違いありません。
魅力的なエントランススペースをつくるためのポイントは、門扉や玄関扉の選び方、アプローチや階段、プランターの素材の組み合わせ、植栽する植物選び、そして照明など空間のアクセントとなるフォーカルポイント作りなどです。
今回は、これらのポイントごとに、魅力的な玄関づくりのアイデアをご紹介したいと思います。
全体の印象を決める玄関扉

玄関のドアは、単なる出入り口以上の特別な場所。住まい全体の雰囲気を決定づける象徴的な存在で、外構のフォーカルポイントとして視線を集め、第一印象を形作る上で重要な役割を担います。手入れが行き届き、こだわりを持ってしつらえられた玄関扉は、温かさやもてなしの心を感じさせ、訪れる人を自然と室内へと招き入れてくれます。

玄関扉を交換するのは容易なことではありませんが、お気に入りのエントランスをつくるヒントに、好みに合わせてリメイクした私のエピソードをご紹介します。
好みに合わせてリメイクした自宅の玄関
我が家を例にとると、重要だったのは「色」。私が現在暮らす2階建ての家に引っ越してきた当時、住宅の外壁は、少しくすんだマットなラベンダー色をしていました。あまりにも周囲の景観に溶け込んでいたため、通り沿いに並ぶグレーや白っぽい家々の間に紛れてしまい、なかなか見つけられなかったほどです。実際、車での帰り道には通りすぎてしまい、Uターンして探し直した経験も何度もあります。
当時の玄関ドアの色は、濃い茶色。人気の定番カラーかもしれませんが、私にとって「人を温かく迎え入れる玄関」というイメージには、どうもしっくりきませんでした。そこでしばしの検討の後、玄関まわりをより心地よい空間にするための最初のプロジェクトとして、このドアを塗り替えることにしました。
この塗り替え作業は、決して簡単ではなく、何層に分厚く塗り重ねられた茶色の塗料を剥がすだけでも数日を要しました。シンプルな平面のドアではなく、8つのパネルが組み合わさった構造だったのでなおさらです。
数日かけて古い塗料をすべて剥がし終えた後、ドアをホワイトカラーに塗り直しました。選んだ色は、アイボリーがかったナチュラルな白。これによって家全体がパッと明るく見えるようになり、ずいぶん見つけやすくなりました。
イエロー×ホワイトでもっと明るく

それから数年後、住宅全体の外壁塗装を行ったのを機に、ラベンダー色の壁も親しみやすく温かみのある黄色に塗り直すことにしました。今では、どこに自分の家があるのかすぐに分かりますし、その黄色い家と白いドアを目にするたびに、明るい気分になれます。周囲の緑の木々が、黄色と白の色彩と素敵なコントラストを描いてくれるのもお気に入りです。
この色の組み合わせの唯一の難点は、汚れが目立ちやすいこと。ですが、年に一度、拭き掃除や水洗いをすれば、十分に美しい黄色を保つことができます。こうした外壁のメンテナンスをしていると、家のまわりや庭の他の箇所にも目が届くようになり、修繕が必要な場所を見つけて手入れをするきっかけにもなります。
雰囲気を大きく変えるライティング(照明)
屋外のライトも、家の印象を大きく変える要素の一つです。
温かい雰囲気を作るライトの色

電球色の“温かみのある光”(色温度で2700K程度)を取り入れたり、階段やタイル、あるいはコンクリートにライトを埋め込んで玄関への道筋を照らすと、訪れる人を温かく迎え入れるような雰囲気が生まれます。個人的には、クリスマスシーズンになると至る所で目にする青白い照明は、“冷たい光”に思えて少し違和感を覚えます。
近隣にある大学の入り口には、毎年こうしたライティングが設置されるのですが、その前にあるバス停を利用するたびに、何とも言えず寂しい気持ちにさせられます。心地よいクリスマスを演出するには、あまりに冷たすぎる光のように感じてしまうのです。

構造を際立たせるライティングテクニック

印象的なライトの演出に、下から対象を照らす「アップライティング」があります。こうしたライティングは構造や奥行きを際立たせるため、樹木やシンボルツリー、単植された植物の足元に設置するのに適しています。
じつは我が家の庭でも、暗いコーナーの一角をライトアップし、そこにシンボルツリーを植えるという計画が進行中。普段、これから夜が長くなる季節に向けて、ダイニングルームから窓越しに見えるこのライティングが新たなフォーカルポイントとなり、庭をより広く感じさせてくれることを期待しています。

照明を取り入れる際に気を付けたいポイント

ガーデンをライトアップする際は、ライトを一晩中点けっぱなしにするのではなく、数時間程度に留めたいもの。夜の暗闇は、昆虫や庭に生息する夜行性の生き物たちにとっては非常に重要なもので、一晩中明るい環境では生活サイクルの乱れやストレスなどの光害につながってしまいかねないためです。
また、通常、照明を設置するには電気工事が必要となるため、決して気軽に取り入れられるものではありません。そこで代替案として、ソーラーライトを活用する方法があります。工事不要で設置できるソーラーライトは手軽ですし、形状やスタイルもさまざまに揃います。ただし、よく考えて配置すれば素敵なライティングになりますが、使いすぎると魅力が損なわれてしまうこともあるので注意しましょう。
フロントガーデンの植栽のポイント

アプローチや花壇を彩る植物は、美しい玄関に欠かせない要素。植物選びの際に押さえたい、いくつかの基本ポイントを確認しましょう。
常緑の植物を入れる

玄関回りの植栽では、常緑の植物を全体の30〜50%ほど取り入れるのがおすすめ。一年を通して瑞々しい景色を保つことができ、落葉期に玄関前が寂しくなったり、枯れ葉の掃除に追われたりといった問題も少なくできます。
また、秋に植え付けて春に花を咲かせるさまざまな球根類を取り入れるのもいいですね。失敗しにくく、秋に仕込んでおくだけで季節に合わせてドラマチックに表情を変える演出になります。
「レイヤー(層)」構造を考える
高低差をつけた変化のある植栽にするには、高さごとにレイヤーに分けて考えるとよいでしょう。例えば、階段沿いや玄関付近には地面を覆うように茂るグラウンドカバーを第1層として配置し、その背後に宿根草や低木を第2層として植えます。第3層は小高木やつる植物など。視線を上へと誘導する役割を担います。
レイヤーを意識した植栽コンビネーションアイデア
① ハーブで彩る玄関

第1層には背の低いタイム、第2層にコモンセージなどのセージ類を植えて彩りのアクセントにし、奥に低木のローズマリーを配置します。スタンダード仕立てにしたローズマリーの株元に、レモンタイムやセージ類を植えるなど、アレンジしてもいいですね。ほかに、ラベンダー、オレガノ、タイムもおすすめです。
こうしたハーブ類の組み合わせは香りも楽しめ、日当たりと水はけのよい玄関先や、ハーブ花壇、あるいはアイキャッチとして置くプランターなどにぴったり。日々の食卓にも利用できますよ。

② 半日陰の玄関

第1層にアジュガやヤブラン(リリオペ)、第2層にアスチルベやギボウシ(ホスタ)、そして第3層にカラマグロスティスのような中~大型のグラス類を配します。背の高いグラス類は、晩秋は紐で束ねて自然素材の飾りなどを添えれば、季節感を演出できるフォーカルポイントにもなります。
③ 日当たりのよい玄関

第1層にガザニア、第2層にアイリス、第3層につる植物のマンデビラを組み合わせて。鮮明な発色がフロントガーデンを明るく彩ります。
アーキテクチュラル・プランツを植える

建築的な構造美がある植物、例えばアジサイや存在感のあるグラス類、ツゲの刈り込み、あるいはオリーブやフェニックス(カナリーヤシ)の鉢植えなど、単体でも映える植物も印象的なフロントガーデンづくりに向きます。

例えば、アイキャッチとして高さのあるフェニックスを用い(第3層)、その手前にコンパクトに仕立てたバンクシアやグレヴィレア・ジュニペリーナなどを配置(第2層)、株元はプラティアで彩る(第1層)といった構成です。これはオージープランツでまとめた一例。テーマを持って選ぶと、統一感が生まれます。
トレリスやアーチなどの構造物を設置

入り口にアーチやパーゴラを設けると、訪れる人を歓迎する華やかな雰囲気になります。こうした構造物には、つる性の植物を絡ませるのがおすすめ。スイカズラ、バラとクレマチス、スタージャスミン、マンデビラなど、花が咲くものはより華やかでおすすめです。アーチやパーゴラ、トレリスなどは、アイアン製や木製が多いです。
アーチやパーゴラなどを設置する際に重要なのは、人が通れるスペースを確保しておくこと。剪定やメンテナンスがしやすいようスペースを広く取り、手入れが行き届いた状態を保つことが不可欠です。メンテナンスがされていないと、かえって荒れた印象になりかねませんし、安全面でも危険があります。
私自身の失敗談として、庭のゲストルームの前にフジを絡ませたトレリスを設置したことがあります。
フジは地植えにすると非常に生育が旺盛で、年に何度も剪定しなければなりません。特に夏から秋にかけては、つるの伸びるスピードが速く、きれいな状態を維持するのがかなり大変でした。また、開花時期は夢のように美しいのですが、花は1〜2週間と短期間で終わってしまうのも残念なところ。結論として、特に小さな庭やコンパクトな入り口には、あまりおすすめできないことが分かりました。
長年愛されている定番の組み合わせには、つるバラとクレマチスがあります。香りや色が豊かなバラ、そして多種多様なクレマチスの中から、好みのものを選ぶことができますよ。定番の植物にはやはり実証されてきた魅力がありますね。
個性が光る鉢&コンテナ素材
身の回りにあるほとんどのものは、アイデア次第で素敵な植栽のアイテムとして活用することができます。ユニークな鉢植えは、印象的なフォーカルポイントになります。
今回は、先日訪れたスイス旅行の際に見つけたアイデアをいくつかご紹介しましょう。
グリーンの鉢でラインを描く

階段の手すりに沿って1列に並ぶ艶やかな緑の鉢と受け皿。植える花は赤いペラルゴニウムに統一し、まっすぐに並ぶよう特製の木枠に収めることで、小鉢が多くても雑然とせず、美しいリズムが生まれます。木枠には装飾的な彫刻も施された、洗練されたアイデアです。
5段重ねの素焼き鉢タワー

鉢を重ねて作ったタワーに、いろいろな植物を植えて。最上段から白いクフェア、インパチェンス、ラベンダー、ヘデラ、ペラルゴニウムが育ちます。実際には固定されていますが、まるで絶妙なバランスを保っているかのようですね。段によって日当たりや水分量などさまざまな環境に合わせることができる、面白いアイデアです。
クラシックなバルコニーボックス

スイスの伝統的な木造住宅に欠かせない2階バルコニーを彩る、定番のフラワーボックス。ボックスからはピンクや紫のペチュニアや赤いペラルゴニウムが枝垂れるように咲き、ガウラの白花が彩りを添えています。

ハンギングバスケット

黒いアイアンのバーから下がる、赤と白のペラルゴニウムが鮮やかなハンギングバスケット。2人掛けの折りたたみベンチの赤茶色と、ビストロテーブルの白ともそろえた色合わせです。
こちらの写真は花屋の店先ですが、スイスでは家の前に木製のベンチが置かれている光景をよく見かけました。仕事終わりの“ハッピーアワー”にちょっと一杯……なんて時間を過ごすのにぴったりの場所ですね。
湖の傍にボート形の寄せ植え

ブリエンツ湖の湖畔で見つけたのが、ボートの形をした茶色の金属製コンテナに、色とりどりの花々を植えた大きな寄せ植え。背景に広がるブリエンツ湖の青に浮かぶような、設置場所を生かしたアイデアですね。
写真の寄せ植えは、中央に剣状の葉が美しいコルディリネと黄色いマリーゴールド、両脇にはピンクのベゴニアを、そして紫色の小花を咲かせるクフェアを植栽。隣のコンテナには、中央に背の高いエキゾチックなカンナ、足元には黄色や赤の花を咲かせるサンビタリアと白いベゴニアが植えられていました。

土地ならではのアイテムを植栽スペースに

スイスのオロンで見つけたのは、ワイン圧搾機を活用したインパクトのある寄せ植え! ブドウ畑と美味しいワインで有名な小さな村の中心部にあるレストランの近くで見つけたもので、赤いペラルゴニウムがひときわ目を引きます。

これまで紹介したさまざまなコンテナやプランターの実例からも分かるように、植物を植える器には何を使ってもOK! コンクリートで覆われて土がない場所でも、コンテナガーデンなら問題ありません。建物の入り口など玄関前は、たいてい舗装されているので、フロントガーデンの植栽にはコンテナガーデンがぴったりです。
大切なのは、自分がそれを気に入り、きちんとお世話ができるかどうか。鉢植えの植物には定期的な水やりが必要ですし、時には剪定などの手入れも必要になります。建物の雰囲気や育てたい植物に合うよう、素材やサイズ、そして深さについても、よく検討しましょう。
旅行や街歩きの際、気に入った容器やアイデアを見つけたら、写真やメモに残しておくと、後日デザインを考える際に役立ちます。ぜひ自分好みに玄関前を彩る参考にしてくださいね。
Credit
話 / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -

エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。
Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood
まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)発売中!
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