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キンギョソウの育て方 完全ガイド|初心者でも豪華に咲かせるコツ

キンギョソウの育て方 完全ガイド|初心者でも豪華に咲かせるコツ

Winlyrung/Shutterstock.com

ひらひらと舞う金魚のようなユニークな姿が魅力のキンギョソウ。花茎を長く立ち上げ、多数の花を鈴なりに咲かせる様子はとても豪華で、庭を華やかに彩ってくれます。実は丈夫で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめの草花です。この記事では、そんなキンギョソウの基本情報と品種、そして初心者でも豪華に咲かせられるようになる、詳しい育て方のコツまで、知っておきたい情報を完全ガイドします。

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キンギョソウの基本情報

キンギョソウ
Victoria Kurylo/Shutterstock.com

植物名:キンギョソウ
学名:Antirrhinum majus
英名:Common snapdragon
和名:キンギョソウ(金魚草)
その他の名前:スナップドラゴン
科名:オオバコ科
属名:キンギョソウ属(アンティリナム属)
原産地:地中海沿岸地方
形態:多年草(日本では一年草扱い)

キンギョソウは、オオバコ科キンギョソウ属(アンティリナム属)の草花です。原産地は地中海沿岸で、現地では一度植え付ければ、越年して毎年開花する多年草に分類されていますが、日本では高温多湿の夏を乗り切ることは難しいため、一年草として流通しています。一方で、寒さには強いのが特徴です。マイナス5℃まで耐えるので、温暖地なら地植えのままで冬越しできます。環境に合えば、あまり手をかけなくてもよく育ち、ビギナーにもおすすめの草花です。

キンギョソウは草丈が20〜120cmと幅広いのが特徴。品種が多様で、草丈20〜30cmでコンパクトにまとまるミニサイズから、m以上に達する高性種、その中間種があります。花壇の大きさや組み合わせる植物によって、草丈をチェックして購入するとよいでしょう。

蜂を呼ぶキンギョソウの花壇。BlueRingMedia/Shutterstock.com

キンギョソウの花や葉、実の特徴

キンギョソウ
PixHound/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:主に4~6月
草丈:20~120cm
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
花色:ピンク、オレンジ、 白、赤、黄、複色

キンギョソウは、品種によって開花期が異なりますが、春の4〜6月が一番の見頃となります。花色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、白、ワインレッド、複色咲きなどで、その色の濃淡にも幅があります。優しい香りも美点の一つ。人気の高い花だけに品種は多様で、咲き姿もさまざま。基本的には花穂を立ち上げて、下から金魚を連想させるふっくらとした花が咲き上がっていきます。花穂を覆うように鈴なりに花がつき、ダイナミックな花姿が魅力です。1つの株から多くの花茎が立ち上がるので、1株植えるだけでも見応えがありますが、群植させるとより豪華な雰囲気を作り出すことができます。庭植えにも鉢植えにもよく、切り花にしてもインテリアを豊かに彩ってくれます。

キンギョソウの種姿
Nahhana/Shutterstock.com

花の後には、髑髏(どくろ)のような見た目の実を付けます。鈴なりの花がそのまま髑髏が連なっているようなユーモラスな姿になり、美しい花とのギャップに意外性を感じるかもしれません。花が終わった後も、キンギョソウの別の姿を楽しんでみてください。

キンギョソウの名前の由来と花言葉

キンギョソウ
Phollapat.cheechang/Shutterstock.com

キンギョソウは「金魚草」と書き、文字通り金魚がひらひらと尾ひれを優雅に揺らして泳ぐ姿を花姿に重ねて名付けられたものです。英名のスナップドラゴン(Snapdragon)は「かみつきドラゴン」という意味で、竜がかみついたような花姿をしているからとされています。

キンギョソウの花言葉は「おしゃべり」「でしゃばり」「おせっかい」など。金魚が口をパクパクさせて泳いでいる姿から連想されたのかもしれませんね。英語の花言葉には「上品さ」「優雅さ」「ごまかし」などがあります。

キンギョソウの代表的な品種

‘ロイヤルブライド’

キンギョソウ‘ロイヤルブライド’
キンギョソウ‘ロイヤルブライド’ Emma C Gaffney/Shutterstock.com

ロイヤルブライドは高性品種のため、成長すると90cmほどの草丈になります。花色は「ブライド(花嫁)」の名の通り清々しい白色で、葉は緑色の披針形です。高さを生かして寄せ植えにしても映えますし、切り花用としても人気が高い品種です。

‘ブラックプリンス’

花は黒みを帯びた赤い色です。葉は通年深い緑色ですが、気温が低くなると黒味がかってきて光沢を増します。一般的な品種より葉が小さく、草丈も低めです。夏越ししやすい宿根タイプで、耐寒性、耐暑性ともに強い品種です。鉢植え、庭植えともに可能です。

‘ブロンズドラゴン’

花色は清楚で可憐な白とピンクのバイカラー、葉色は黒っぽい銅(ブロンズ)色です。花と葉のコントラストが美しく、葉色をアクセントにした寄せ植えや、切り花用にしても楽しめます。耐寒性、耐暑性ともに強く宿根しやすい品種です。

「F1レジェ」シリーズ

鮮やかな花色、密に詰まった花穂、茎が固くて曲がりにくいという特徴をもつレジェ。ゴージャスな雰囲気と、育てやすさから人気が高い品種です。花色が濃い黄色の「レジェゴールド」、純白の「レジェスノー」、淡いピンクの「レジェピンクソーダ」、ライトイエローの「レジェレモネード」などのほか、多数のシリーズがあります。

「F1カリヨン」シリーズ

大きなベル状の花弁が上向きにつき、ゴージャスで見栄えがよいカリヨン。従来品種より10日程開花が早い極早生品種のため、年に2~3回切っても楽しめます。鮮やかな赤色の「カリヨンアンティーク」、アプリコット色の「カリヨンアプリコット」、赤紫色の「カリヨンパープル」などがあります。

「F1ソルティス」シリーズ

ソルティスシリーズは、草丈が40〜50cmの中矮性で開花が早く、育てやすい品種です。切り花にもおすすめです。

「F1ツィーニー(トゥイニー)」シリーズ

ツィーニー(トゥイニー)は、草丈30~35cm程の中高生品種で、半八重~八重咲きの花形です。エレガントなバタフライ咲きで花もちもよく、さらに分枝性に優れているため株にボリュームが出ます。広めの花壇での寄せ植えなどにおすすめです。

「ソネット」シリーズ

キンギョソウ「ソネット」シリーズ
キンギョソウ「ソネット」シリーズ Khairil Azhar Junos/Shutterstock.com

ソネットは、南ヨーロッパや北アフリカに自生する品種で、草丈が40cm程度の中性種になります。花穂が大きくゴージャスで見栄えがするので、切り花としてもいいですし、寄せ植えにすると立体感を生む演出も楽しめます。

「フローラルシャワー」シリーズ

フローラルシャワーは、色幅が広く、バイカラーのバリエーションも豊富な品種です。矮性四季咲き種であり、草丈は20cmほどと短いため、鉢植えに適しています。

キンギョソウの12カ月栽培カレンダー

キンギョソウ
Nualanong/Shutterstock.com

開花時期:4〜6月
肥料:3〜5月、9~11月
植え付け:3〜5月、9~11月
種まき:4~5月、9~10月

キンギョソウの栽培環境

キンギョソウ
peerayut phuttha/Shutterstock.com

日当たり・置き場所         

【日当たり/屋外】

キンギョソウは日当たりと風通しのよい場所を好みます。ただし、真夏の直射日光には弱いので、日よけを作るなどの対策を講じる必要があります。地植えの場合は半日陰を選ぶなど、植える場所を見極めてから植えるとよいでしょう。

耐寒性は強いものの、マイナス10℃以下になる場合は防寒対策をする必要があります。

【日当たり/屋内】

基本的に屋外で育てますが、屋内で育てる場合も、置き場所は日当たりと風通しのよい場所がおすすめです。日当たりがよすぎて気温が上がってきたら、日が当たりすぎない場所に移動させましょう。

【置き場所】

乾燥には強いものの、蒸れやすい場所は苦手です。地植えの場合は間隔を20cm程度とるようにして、風通しよく、湿気をこもらせないように注意しましょう。

耐寒性・耐暑性      

キンギョソウは比較的、耐寒性と耐暑性ともに強い植物ですが、高温多湿に弱く、夏越しできずに枯れる場合もあります。温暖な地域であれば、屋外で寒さ対策を施すことなく冬越しできますが、霜が降りるほどの気温になる場合は、地植えであればマルチングし、鉢植えであれば室内へ移動させましょう。

キンギョソウの育て方のポイント

キンギョソウ
Dina da/Shutterstock.com

用土

水はけ、水もちのよい、肥沃な土壌を好みます。また、酸性に傾いた土壌を嫌う性質を持っています。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために、茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。

【地植え】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理しますが、多湿を嫌う性質なので、水の与えすぎに注意します。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Singkham/Shutterstock.com

【地植え】

あまり多肥を好まないため、植え付け時に十分な土づくりをしていれば、肥料は不要です。逆に与えすぎると徒長して軟弱になり、倒れやすく病害虫も発生しやすくなります。

【鉢植え】

晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分です。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。

注意する病害虫

アブラ虫
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

キンギョソウは、灰色かび病や立ち枯れ病が発生することがあります。

灰色かび病は花や葉に発生しやすい病気で、はじめは褐色の斑点ができ、次第に灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪かったり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合わないよう、間引いて風通しよく管理しましょう。

立ち枯れ病は、種まきして育苗している期間に発生することがあるので注意。種まきする場合は、古い土を使い回さずに、新しい培養土を使うと回避できます。

【害虫】

キンギョソウにつきやすい害虫はアブラムシで、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじき落としたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

キンギョソウの詳しい育て方

キンギョソウ
pilialoha/Shutterstock.com

苗の選び方

茎や葉が黄色く変色していたり、ひょろひょろしていたりする苗は避け、茎や葉の緑色が濃く、太くしっかりした茎の苗を選びましょう。傷や虫が付いていないかも忘れずにチェックしてください。なお、キンギョソウは種から育てやすいため、欲しい品種の苗が見つからない場合は種から育苗するのもおすすめです。

種まき

キンギョソウのタネ
aniana/Shutterstock.com

キンギョソウは、ビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。

キンギョソウの発芽適温は15〜20℃くらいです。種まきの適期は、温暖な地域では10月頃。寒い地域では、3月頃にタネを播いて、7〜10月頃に開花させるとよいでしょう。

キンギョウソウはタネが小さく、好光性種子(発芽に光を必要とする性質)なので、種まき用のトレイを準備。トレイに市販の草花用の培養土を入れ、タネを播きます。土をかぶせず、涼しい半日陰などに置きましょう。上から水やりするとタネが流れ出すので、水を張った受け皿の上にトレイを置き、下から吸水させます。発芽まではフレームか室内の窓辺などに置き、乾燥させないようにしましょう。発芽したら受け皿に張っていた水を捨て、日当たりのよい場所に移動して乾燥気味に管理します。数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って、間引きながら育成しましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ひょろひょろと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。

本葉が2〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用培養土を入れて、苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。キンギョソウは根が傷みやすいので、丁寧に取り扱うことがポイントです。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。7〜10日に1度を目安に、液肥を与えて生育を促しましょう。本葉が7〜8枚出揃うのを目安に育苗します。

植え付け

植え付け
OlegDoroshin/Shutterstock.com

植え付けは春(3~5月)か秋(9~11月)に行います。植え付ける際は、20cm程度穴を掘り、根を傷つけないように植えましょう。地植えの場合は高植えにすると蒸れにくくなります。なお、品種によっては草丈が高くなるため、必要に応じて支柱を立てるとよいでしょう。

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に、酸性土壌を改善するために苦土石灰をまき、さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。土に土壌改良資材や肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、15〜20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

草花用に配合された培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗の2回りほど大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出して植え付け、水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

日常のお手入れ

開花期間が長いので、終わった花は早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなるので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。

剪定・切り戻し

園芸バサミ
mihalec/Shutterstock.com

茎が増えて過密状態になったり、花姿が乱れたりしている場合は、草丈の半分くらいまで切り戻しましょう。下葉のすぐ上で切ると、新芽が出やすくなり、脇芽も増えます。切り戻したあとに肥料をやると元気になり、より長く花が楽しめるでしょう。

夏越し・冬越し

キンギョソウの育て方
ArliftAtoz2205/Shutterstock.com

キンギョソウは高温多湿に弱いため、一年草扱いの品種の多くは、夏越しができずに枯れてしまいます。ただし、夏に強い品種や、宿根タイプなどは、真夏の直射日光が当たらない場所で管理するか、室内に移動させることで夏越しをすると良いでしょう。

夏には弱いキンギョソウですが、耐寒性は優れているため、寒冷地以外であれば寒さ対策なしで冬越しができます。ただし、マイナス10℃以下の低気温や、強い霜により枯れる場合があります。とくに、苗が小さいうちは霜対策が必須となります。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

キンギョソウは、種まきと挿し芽で増やすことができます。種まきは、前述の項目を参照してください。

キンギョソウは、たくさん出てくるわき芽を挿し芽に利用して増やせます。まず、勢いのある茎葉を切り取り、水を張った容器に1時間ほど挿して吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉(挿し穂)を挿します。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。

キンギョソウを育てて楽しいガーデニングを!

キンギョソウ
Ursula Page/Shutterstock.com

花茎を長く立ち上げて次々と咲き進み、ゴージャスな雰囲気を持つキンギョソウ。この記事では、その魅力から特性、品種、詳しい育て方まで、幅広くご紹介してきました。種まきからでも育てやすいので、育苗後にガーデンへたくさん植え付けて、春にカラフルな花風景をぜひ楽しんでください。

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