小さな花壇で育てる一年の花サイクル【初めてのガーデニング】
キープするにはお手入れが大変そうとか、枯らさずに育てられるかしらなど、初めてのガーデニングには不安がいっぱい。いつも花が咲いている、憧れのきれいな花壇を目指したいところ。ここでは、小さな花壇づくりで押さえておきたい植物選びの3つのポイントと、一年の植え替え回数、そして5種類のオススメ草花をピックアップしてご紹介! 花壇作りのアドバイザーは、愛知・豊田市で一年中、花が絶えないガーデンをつくる「花遊庭」のガーデナー、天野麻里絵さんです。
目次
まずは花壇の場所選びと毎日のお手入れ
植物が好む場所を選び、石やレンガで敷地を仕切った花壇を設け、土づくりをして整えたら、組み合わせる植物の選択と植え込むタイミングを逃さないこと。植え終わったら、水やりと花がら摘みなどの日常のお手入れを続けることで、きれいな花壇を長く楽しむことができます。小さな花壇の場合は、限られたスペースを有効に使うために、草花選びには3つのポイントがあります。
選ぶポイント1「株まとまりのいい植物が簡単維持への近道」
スペースが限られているので、サイズオーバーにならないことが大切。株が暴れず、草丈が高すぎないコンパクトなものを選びます。高さがなく、よく枝分かれしてまとまるものは、ピンチ(摘心)の回数が少なくても、美しい姿を楽しめます。
上写真は、淡いピンク花「キンギョソウ」が主役の春花壇。手前には、ビオラ、デージー、奥に見えるブロンズ色の葉はヒューケラ。撮影は4月中旬。
選ぶポイント2「長期間育つ=開花期が長い、葉も美しい植物」
いつも眺めていたい花壇づくりには、花のある期間が長くて、花つきがよい植物を選ぶことが大切。また、葉も美しい植物なら、カラーリーフとして花の咲く前後も楽しめます。
写真は、冬花壇に欠かせないパンジー&ビオラと一緒に咲く、シレネ。4月中旬撮影。草丈が高くならず、こんもりとした姿で横に広がって、葉も美しい植物です。
選ぶポイント3「丈夫な植物をベストなタイミングで植える」
常にきれいな状態を楽しむには、暑さ寒さに強い丈夫な植物を選ぶことが大切です。また、夏や冬の厳しいシーズンに耐えて、よりよい状態を保つために、植えつけは春や秋の穏やかな気候のころに行い、夏や冬がくる前に株を充実させておくことも大切です。
上写真の木製の鉢に寄せ植えた、色鮮やかな濃いピンクの花「セロシア」が主役の秋花壇。左右にはピンクのジニア・プロフュージョンに、メタリックなリーフが美しいヘミグラフィス・アルテルナータを。撮影は9月下旬。
植え込み、植え替えのガーデン作業は年2回
長く楽しむためには、冬花壇を彩る草花のグループ(主に秋~春、10~4月に開花)と、夏花壇を彩る草花のグループ(主に初夏~秋、5~11月に開花)の2グループを組み合わせます。関東以西の温暖地の植え替え時期は、冬花壇は10月中旬~11月、夏花壇は5~6月に行うことで、植物をよい状態で長く楽しむことができます。この年2回の植え替えで花は長く楽しめますが、3月や9月など、季節の変わり目に寒さや暑さに強い草花を部分的に加えると、季節変化をプラスできます。
上写真は、初夏から秋に休まず赤い花が咲くペンタスが彩りを添える階段。ステップの間に茂るダークリーフはアジュガ。門へ向かう小道やステップのサイド、芝生と小道の間などに植え付けると景色が華やかになりますね。撮影は10月上旬。
季節ごとの花壇にオススメの草花5種類
ここからは、各季節に見頃になる、花壇にオススメの5種類をご紹介。どれも見ごたえのある花や葉が魅力です。ぜひ、育ててみてください。
<春の花壇>キンギョソウ‘トゥイニー’
【チャームポイント】広がった半八重の花びらがボリューム感あるキンギョソウ。ピンク~アプリコット~ブロンズと柔らかな色合いが充実して花形と相まってとても美しい。キンギョソウの中では草丈30~40㎝の中性。高さがほどよい草丈で、ビオラなどの草花とも組み合わせやすい。小さいスペースでは主役にもなります。数株合わせて植え込むと、柔らかな色合いの自然なグラデーションが楽しめるうえ、ボリューム感もアップして見ごたえが増します。
【植え込み時期】秋の10~11月に植え込むと株が充実して春には見事な花つきに。パンジーやビオラが咲き終わる頃の5~6月が抜きどき。
<初夏の花壇>ペンタス‘サマースター’
【チャームポイント】夏の暑さにも強く、初夏から晩秋にかけて、休まず咲き続けてくれるペンタスはサマーガーデンに欠かせない花。‘サマースター’は明るいグリーンにランダムに入る斑も美しく、カラーリーフとしても楽しめるほど。隣に異なるリーフを合わせると、より葉の印象がアップします。真っ赤な花が咲くとリーフとのコントラストでいっそう華やかに。思いきり夏らしくしたい場所に鮮やかさを演出してくれます。
【植え込み時期】ベゴニアやトレニアなどの夏花壇を彩る草花と合わせて5月に植え込みます。パンジー、ビオラを植え込む11月が抜きどき。
<夏の花壇>トレニア‘カタリーナ・ブルーリバー’
【チャームポイント】夏スミレと呼ばれるトレニア。すっきりとした花形とブルーの花色が涼を感じさせ、石材や木材で縁取られた花壇の景色を和らげてくれます。‘カタリーナ・ブルーリバー’は栄養系のトレニアで、よく分枝して、節々にびっしりと花を咲かせる花つきのよさも魅力。地面を覆うように旺盛に広がり、立ち上がった花壇なら、枝垂れる姿も楽しめます。レンガなどで囲まれた花壇に枝垂れる草花を部分的に入れると、固い印象の植えマスが柔らかく、ナチュラルな景色になります。明るい半日陰でも耐えるので、幅広い環境で楽しめます。
【植え込み時期】夏花壇を彩る草花と合わせて5月に植え込みます。夏も花を休めず、初夏~晩秋まで長く楽しめます。11月が抜きどき。
<秋の花壇>セロシア‘ホットトピック’
【チャームポイント】鶏冠の花形が目を引くセロシアですが、矮性タイプで草丈だけでなく、花も小ぶりなのが特徴です。ほどよいサイズで花壇にも加えやすいのが魅力。スプレー咲きで花つきもよく、ピンクやオレンジ、レッドなど、ハッと目を引く鮮やかな色合いで、夏の花壇を秋らしく印象づけるのに効果的。他の草花にはない花形なので、ポイントとなる場所に加えて。花にインパクトがあるのでリーフと合わせるとすっきりと見えます。
【植え込み時期】夏花壇に秋らしさをプラスする9月に植え込みます。アルテルナンテラやアキランサスなどのカラーリーフとも相性がいいので組み合わせて、秋らしいシーンを楽しんでみて。冬花壇へ植え替える11月が抜きどき。
<冬の花壇>シレネ‘ドレッツバリエガータ’
【チャームポイント】秋にパンジー、ビオラの植え込みと合わせて植えてほしいのが、シレネ‘ドレッツバリエガータ’。クリーム色の外斑の小葉は、一株加えるだけで、周りの草花を明るく見せてくれます。そして、どんな草花や花色とも合わせやすいのも魅力。高さはあまり出ず、こんもりとした姿で横に広がります。花壇の縁取りに使うと、こぼれるような愛らしい姿に。
【植え込み時期】冬花壇の草花と合わせて11月に植え込みます。春にはぷっくりと膨らんだガクがユニークな白い花も咲き、秋~早春まではリーフ、春には花と、変化が楽しめるのも魅力。秋植えして株を育てると、春の花つきがよくなります。ちょっとした隙間に植え込むと、こぼれ咲いたようなシーンが出来上がります。夏花壇に植え替える6月が抜きどき。
芝生をくり抜いた花壇や石材で縁取った花壇を華やかにしよう
一年の植え替えのタイミングや植物の種類の選び方のポイントを押さえておけば、花壇の維持は簡単にできるようになります。ここでは、花が多く、長く咲く種類を中心にご紹介しましたが、花壇づくりの基本が抑えられれば、一年草に限らず、宿根草やハーブなどのセレクトにも応用でき、自分好みの花壇づくりができるようになります。ぜひ、チャレンジしてみてください。
草花選びのポイントを押さえたら、レンガや木材、石材などを使った花壇の縁取りにもこだわるとガーデニングはグンと楽しくなりますよ。芝生をくり抜いた花壇づくくりもオススメです。花壇のデザインの記事はこちら。
Information
「ガーデニングミュージアム 花遊庭」
所在地:愛知県豊田市大林町1丁目3番地3
☎0565-24-7600 http://www.kayutei.co.jp
アクセス:名鉄三河線「土橋駅」から車で3分
Open:10:00〜17:00(3~6月・9~12月無休/1・2・7・8月は火曜定休)
入園料:4~6月、10月 400円
11~3月、7~9月 300円
Credit
写真&文 / 天野麻里絵 - 「ガーデニングミュージアム 花遊庭」ヘッドガーデナー -
あまの・まりえ/1,300坪の敷地に28のテーマガーデンが一度に巡れる「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、庭づくり、植栽メンテナンスを手がける。NHK『趣味の園芸』の講師や各地のガーデンでの講演会などでも活躍。『NHK趣味の園芸 4つの役割が決め手! 宿根草でつくる自分好みの庭』(NHK出版)など著書も多数。
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