コスパのよさから選ばれているガーデンプランツ、宿根草(しゅっこんそう)。植えっぱなしで手入れが楽で、毎年新しい品種も登場して目が離せない宿根草の中から、2022年度に人気が高かった品種をご紹介します。選者は、4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。ユニークな草姿や進化したニューフェイスも登場する2022年版、人気の宿根草5種から、あなたのお気に入りを見つけましょう!

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植えっぱなしで丈夫に育ち
選ばれている人気の宿根草

長野県上田市で宿根草と山野草を扱っている「おぎはら植物園」では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデン植物を取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物や目当ての植物を求めて注文が入る「おぎはら植物園」で、2022年に人気が急上昇した宿根草を5種ピックアップ。人気の理由と育て方、特徴を解説していただきます。

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セレクト1
八重の小花が株いっぱいに咲く
シレネ ‘ファイヤーフライ’

シレネ ‘ファイヤーフライ’

濃いピンクのシレネ、‘レッドキャンピオン’の八重咲き品種で、花は小さいながらも花弁が多く、ミニバラを思わせる可愛い花が株いっぱいに咲きます。

一重種の‘レッドキャンピオン’と同様に性質が強健で、放任でも育ち丈夫。ガーデンの彩りのほか、花茎が長いので切り花にも重宝します。花と葉はハーブとして食用できるので、エディブルフラワーとしてスイーツのトッピングにもおすすめ。

シレネ ‘ファイヤーフライ’

珍しい八重咲きの‘ファイヤーフライ’は、一重種のようにこぼれ種でどんどん増えることはありませんが、耐寒・耐暑性に優れ、株がみるみる大きく育ちます。

大株になれば、数え切れないほどの花が咲き、この花だけで立派なブーケがつくれるほど。ちょうどバラの最盛期に旺盛に咲くので、ローズガーデンにもおすすめです。

シレネ ‘ファイヤーフライ’

【人気の理由】

・丈夫な性質
・成長が早く、植えて翌年には庭で見事に咲くことからリピーターが多数

【Data】
シレネ ‘ファイヤーフライ’
■ ナデシコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種
■ 学 名 : Silene dioica ‘Firefly’
■ 花 期 : 春~初夏
■ 草 丈 : 40~ 60cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 40~ 60cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境により差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

セレクト2
コンパクトに茂るおしゃれな草姿
宿根キンギョソウ ‘アール・グレイ’

宿根キンギョソウ ‘アール・グレイ’

這って広がるキンギョソウで、夏も冬も越す宿根タイプです。綿毛に覆われたシルバーの葉と白系の花の色合いが美しく、地植えはもちろん、寄せ植えにも重宝すると選ばれています。性質も丈夫で育てやすく、開花が春から秋まで長期間楽しめるのも魅力。柔らかい綿毛に覆われたシルバーリーフも観賞価値が高く、カラーリーフとしても充分に楽しめます。

ピレネー山脈中部~スペイン東部に自生するキンギョソウの原種である、センペルビレンスに由来する品種で、よりコンパクトで株姿がまとまりやすい性質からも、選抜種と思われます。詳しい来歴は不明ですが、海外では‘アールグレイ’という品種は存在しないため、国内での育種、命名ではないかと推測されます。

宿根キンギョソウ ‘アール・グレイ’

比較的寒さにも強い多年草で、暑さにも耐えます。柔らかい葉を持つものの、蒸れにも耐え、丈夫な性質が特徴です。また、花期が長く春~夏によく咲き、秋にも返り咲きます。コンパクトで横に広がる這性タイプなので、庭植えで小さく茂らせたり、寄せ植えやハンギングにも使いやすいです。

【人気の理由】
・地植えや寄せ植えまで、マルチに使える
・葉も花も両方楽しめる
・見た目以上に丈夫で育てやすい

【Data】
宿根キンギョソウ ‘アール・グレイ’
■オオバコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種
■ 学 名 : Antirrhinum sempervirens ‘Earl Grey’
■ 花 期 : 春~秋
■ 草 丈 : 10~20cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 30~40cm前後(生育後・環境により差がある)
■ 耐寒性 : やや強い(-8℃~-12℃ ※環境により差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

セレクト3
花も葉も存在感がある人気の銅葉種
ペンステモン ‘ダーク・タワーズ’

ペンステモン ‘ダーク・タワーズ’

ペンステモンの中でも人気が高い‘ハスカーレッド’によく似ていますが、銅色の葉は濃くなり、花はピンクに色づく品種です。葉も花も美しく楽しめて、性質がとても強健なおすすめ品種。

ペンステモン ‘ダーク・タワーズ’

‘ハスカーレッド’よりも葉色が濃く、退色しにくいので、引き締まった株であれば真夏でも濃い銅葉が楽しめます。ピンクがより強く出る花が鮮やかな印象を与えます。

もちろん、性質も‘ハスカーレッド’と同様に強健で、よりコンパクトなうえ花立ちもよく、咲いている姿のまとまり感がとてもきれいです。

ペンステモン ‘ダーク・タワーズ’

【人気の理由】

・とにかく丈夫で日向ならどこでも育つ
・花も楽しめるうえ葉色がよく、常緑で通年庭のアクセントに最適
・夏も葉色が褪せない

【Data】
ペンステモン ‘ダーク タワーズ’
■ オオバコ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種
■ 学 名 : Penstemon digitalis ‘Dark Towers’
■ 花 期 : 初夏
■ 草 丈 : 60~80cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 40~60cm前後(生育後・環境により差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境により差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

セレクト4
コンパクトな株姿のニューフェイス
キャットミント ‘キャッツ・パジャマ’

キャットミント ‘キャッツ・パジャマ’

キャットミントの人気種‘ウォーカーズロウ’や‘ジュニアウォーカー’よりも、さらに小型の‘キャッツ・パジャマ’は、2021年に販売を開始した新しい品種です。草丈20~30cm前後とコンパクトなので、狭い場所や花壇の前方、エッジングにも使用できるなど、用途が広いのも注目のポイントです。

キャットミント ‘キャッツ・パジャマ’
開花前の‘キャッツ・パジャマ’。

キャットミントの中でロングセラーとなっている‘ウォーカーズロウ’は花が大きく、花期の姿が美しいうえ、草姿がまとまりやすいという点も優れていることからも、海外で数々の賞を獲得しています。2019年には、‘ウォーカーズロウ’よりも小型の‘ジュニアウォーカー’が登場したことに続き、さらに小型の本種‘キャッツ・パジャマ’が2021年に仲間に加わり、用途に合わせて品種を選べるようになりました。

キャットミント ‘キャッツ・パジャマ’

‘キャッツ・パジャマ’は、“ミニサイズの可愛いキャットミント”として、寄せ植えにもおすすめです。性質は‘ウォーカーズロウ’と同様に丈夫で、暑さ、寒さに耐えます。

唯一苦手なのは多湿です。水分が多く、肥沃な土地で育てた場合、葉や茎が伸びるものの花が咲きにくいという傾向があります。また、梅雨や夏の長雨で蒸れることがあるので、水はけ、風通し、日当たりのよい場所を選んで定植するとよいでしょう。

ある程度、痩せていて乾きやすい土地のほうが、花つきがよく、草姿もよりコンパクトになり、本来のパフォーマンスを見せてくれます。植え付け場所だけ慎重に決めれば、あとは放任で年々株も大きくなり、場所に馴染むことで花つきも格段によくなります。

初夏頃から咲き始めて、満開を過ぎたら短く切り戻してください。花後は蒸れやすいので花後の剪定は必須です。秋になると再び伸びて花を咲かせてくれます。

【人気の理由】
・草姿が乱れない
・花色がとてもきれい
・パステル調で合わせやすい(バラにも似合う)

【Data】
キャットミント ‘キャッツ・パジャマ’
■ シソ科  宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名 : Nepeta x faassenii ‘Cat’s Pajamas’
■ 花 期 : 初夏~秋
■ 草 丈 : 20~30cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 20~40cm前後(生育後・環境により差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境により差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

セレクト5
渋カッコイイ! 超個性派花
宿根フロックス ‘ブラインド・ライオン’

宿根フロックス ‘ブラインド・ライオン’

本来の花弁は小さくほとんど見えませんが、弁化したガクの部分が色付いて、まるで花のようになるユニークな姿のフロックスです。種子をつけない性質なので、変わった形の花を長く楽しめます。もともと、切り花用に作出された品種なので、花茎がしっかり立ち上がり、草姿がよく、株姿が乱れにくい点も優秀です。

宿根フロックス ‘ブラインド・ライオン’

暑さ、寒さに強く、特に手がかからないローメンテナンスができるのも魅力。派手さはありませんが、渋くてお洒落な変わり者なので、華やかな草花と合わせて対比を楽しんだり、色を抑えたシックなガーデンに加えても馴染みます。

【人気の理由】

・花が終わってもガクが残り夏〜冬の4カ月間長く楽しめる
・シックでお洒落な色合い
・暑さも寒さもどちらも強い

【Data】
宿根フロックス ‘ブラインド・ライオン’
■ ハナシノブ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名 : Phlox paniculata ‘Blind Lion’
■ 花 期 : 夏
■ 草 丈 : 40~60cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り : 30~50cm前後(生育後・環境により差がある)
■ 耐寒性 : 強い(-15℃~-25℃ ※環境により差がある)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

2022年に人気だった宿根草セレクト5選はいかがでしたか? まずは多くの人が育てている植物を植えることからガーデニングをスタートすることも一つの方法です。植物は、本当に種類が多くて、何を選んでいいか困ってしまうと聞きますが、何年もガーデニングを続けている人にとって、「まだ知らない植物に出合える」ことは喜びです。ぜひ、これから育ててみよう! と思えるお気に入りの植物との出会いがたくさんありますように。2023年もガーデニングを楽しみましょう!

Credit


写真&文/「おぎはら植物園」荻原範雄
長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。

「おぎはら植物園」https://www.rakuten.co.jp/ogis/

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