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アルストロメリアはカラフルな花が魅力! 特徴や育て方のポイント、主な品種もご紹介

アルストロメリアはカラフルな花が魅力! 特徴や育て方のポイント、主な品種もご紹介

Jirik V/Shutterstock.com

種類が多く、カラフルで多彩な花を咲かせるアルストロメリア。花色が豊富に揃い、ガーデンに華やぎをもたらす宿根草です。この記事では、アルストロメリアの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、系統や主な品種、育て方などについて幅広くご紹介します。

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アルストロメリアの基本情報

アルストロメリア
Ichirou Tsumori/Shutterstock.com

植物名:アルストロメリア
学名:Alstroemeria
英名:Peruvian lily、lily of the Incas
和名:ユリズイセン(百合水仙)
その他の名前:ユメユリソウ、インカノユリ
科名:ユリズイセン科
属名:ユリズイセン属(アルストロメリア属)
原産地:南アメリカ
形態:宿根草(多年草)

アルストロメリアの学名は、Alstroemeriaで、学名がそのまま流通名になっています。ユリズイセン科ユリズイセン属(アルストロメリア属)の常緑多年草です。原産地はチリの高地からブラジルの森林地帯で、約120種が分布。花色、花姿は種類によってさまざまで、草丈も10〜100cmほどで幅があります。分布が広く、種類も多様なため日本の環境に適したものを選ぶとよいでしょう。交配が進んでおり、育てやすい園芸品種が多数出回っています。花色が豊富で、花もちもよいことから、フラワーアレンジメントでも人気の高い花の一つです。

アルストロメリアの花や葉の特徴

アルストロメリア
patjo/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4〜6月
草丈:10〜100cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:やや弱い
花色:赤、ピンク、淡いピンク、紫、オレンジ、黄色、白、複色など

アルストロメリアの開花期は、4〜6月です。花色は赤、ピンク、淡いピンク、紫、オレンジ、黄色、白、複色など。花弁は6枚で、ベイン(脈)やそばかすが入るものなどが多く見られます。葉はやや肉厚で互生につき、付け根でねじれる特性があります。

アルストロメリアの名前の由来や花言葉

アルストロメリア
Natalia van D/Shutterstock.com

アルストロメリアの名前の由来は、この花を発見した植物学者リンネが、友人の名前からとって名付けたとされています。

花言葉は、「持続」「未来への憧れ」「エキゾチック」など。「持続」は花もちがよいことから。他は花姿をイメージしているようです。

アルストロメリアの主な系統

アルストロメリアにはいくつかの系統があるので、代表的なものを一部ご紹介します。ただし、近年は交配が進んで系統を区別しにくくなっているものもあります。

リグツ系

リグツ系アルストロメリア
Andy Sutherland/Shutterstock.com

チリ原産のリグツを品種改良してできた園芸品種群を指します。草丈が高く、寒さに強いのが特徴です。一季咲きで初夏に開花します。

バタフライ系

春から秋にかけて咲く、四季咲きの性質を持っています。草丈がコンパクトにまとまり、寒さに強いのが特徴です。

ペレグリナ系

ペレグリナ系アルストロメリア
Antoniya Kadiyska/Shutterstock.com

チリ北部原産のペレグリナを品種改良してできた園芸品種群です。草丈は20〜40㎝で、大輪の花を咲かせます。やや寒さに弱いのが特徴です。

ハイブリッド系

アルストロメリア
Shevil/Shutterstock.com

異なる系統を交配した園芸品種を指します。オランダで品種改良されたものが多く、毎年魅力的な新品種が発表されています。

アルストロメリアの主な品種

アルストロメリアは多様に園芸品種が出回っています。ここでは、人気のある品種や種類をいくつかご紹介します。

‘インディアンサマー’

アルストロメリア
Alex Manders/Shutterstock.com

オレンジ色の花弁に黄色がのる花色で、目に鮮やか。比較的暑さに強いほうで、管理しやすいタイプです。夏季常緑性で春と秋に開花し、たくさん咲きます。春先はブロンズがかった葉色を楽しめます。

‘ロックンロール’

花色は赤。注目すべきは斑入りの葉で、白い斑が入る面積が大きく、グリーンは葉を縁取る程度。カラーリーフプランツとしても活躍します。

アルストロメリア・プルケラ(アルストロメリア・プシタキナ)

アルストロメリア・プルケラ
Rose Marinelli/Shutterstock.com

原種の一つで、ブラジル北部原産。筒状の花を咲かせるのが特徴的です。花色はオレンジ、白、ピンク、赤などがあり、野趣的な花姿に魅力があります。アルストロメリアの和名ユリズイセンは、広義ではアルストロメリア属全体を指しますが、狭義ではこのアルストロメリア・プルケラを指します。

アルストロメリア・オーレア

アルストロメリア・オーレア
Kabar/Shutterstock.com

チリとアルゼンチンを原産とし、現在広く栽培されているハイブリッドタイプの親種の一つとしても知られています。花は黄橙色で線状のスポットが入るのが特徴です。

アルストロメリアの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜6月
植え付け・植え替え:3月下旬〜4月中旬、9月中旬〜10月
肥料:4〜5月(一季咲き)
種まき:10月上中旬

アルストロメリアの栽培環境

アルストロメリア
STEVENSON/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。半日陰の場所でも生育しますが、極端に日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉ばかりが茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけのよい環境を好みます。高温多湿の環境を嫌い、根腐れしやすくなるので、水はけのよい土壌づくりをしましょう。地中深くに根茎があるので、深く根が張れるようにしておくのがポイントです。鉢植えの場合、春と秋は日向、夏は日陰、冬は凍らない軒下などに移動しながら管理するとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

厳しい暑さや寒さをやや苦手とし、株が凍結すると枯れてしまうので、地植えでは地温の上昇や凍結を防ぐためにマルチングをしておくとよいでしょう。常緑性の多年草ですが、高温多湿や低温など、生育条件が合わないと地上部が枯れて休眠することがあります。葉が枯れても地下部は生きているので、そのまま休眠させておくことができます。

アルストロメリアの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込み、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、アルストロメリアは多湿を嫌うので、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきます。ぐんぐん生育し始めた頃に1度緩効性肥料を施し、開花期になったらリン酸・カリを多く含む肥料を与えましょう。四季咲きの場合は、10~11月にも追肥を与えるとよいでしょう。地植えの場合はほとんど追肥を与えなくても問題ありません。

注意する病害虫

アブラムシ
nechaevkon/Shutterstock.com

【病気】

アルストロメリアに発生しやすい病気は、灰色かび病です。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

アルストロメリアに発生しやすい害虫は、アブラムシ、アザミウマなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

アザミウマは花や葉につき、吸汁する害虫です。スリップスの別名を持っています。体長は1〜2mmで大変小さく、緑や茶色、黒の姿をした昆虫です。群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに刺し込んで吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がつき、かすり状になるなど異変が見られるので、よく観察してみてください。花がらや枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。土に混ぜるタイプの粒剤を利用して防除してもよいでしょう。

アルストロメリアの詳しい育て方

苗の選び方

アルストロメリアは苗のほか、貯蔵根が球根のように販売されています。苗を購入する際は葉が生き生きとしたものを選ぶとよいでしょう。また、貯蔵根の場合、クラウン(芽)がついていないものは発芽しないため、クラウンが外れないように丁寧に扱います。

植え付け・植え替え

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

アルストロメリアの植え付け適期は一般地で3月下旬〜4月中旬か、9月中旬〜10月です。

【地植え】

苗を植え付ける場合は、土づくりをしておいた場所に一回り大きな穴を掘って、根鉢をくずさずに植え付けます。複数の苗を植える場合は、約30cmの間隔を取っておきましょう。

貯蔵根を植え付ける場合は、土づくりをしておいた場所に穴を掘って、貯蔵根のクラウン(芽)を必ず上にして植え付けます。覆土は10cmくらいを目安にし、複数植え付ける場合は30〜60cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

地植えの場合、環境に合ってよく育っていれば2〜3年は植えたままにして構いません。株が大きくなったら9月中旬〜10月に掘り上げ、肥大して大きな塊になっている貯蔵根を切り分け、植え直します。

【鉢植え】

鉢の大きさは、5〜6号鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。

苗を植える場合は、鉢に仮置きして高さを決めてから、苗をポットから出して根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

貯蔵根を植える場合は、鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安に培養土を入れ、貯蔵根のクラウン(芽)を必ず上にして植え付けます。深さは10〜15cmを目安にし、貯蔵根が長い場合は斜めにするとよいでしょう。覆土は5〜6cmを目安にします。

鉢栽培では、成長とともに根詰まりしてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。適期は9月中旬〜10月で、植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から貯蔵根を取り出し、新しい培養土を使って植え直しましょう。すぐに植えない場合は、雨の当たらない風通しのよい場所で貯蔵根を保管します。

日常のお手入れ

はさみ
Aleksei Golovanov/Shutterstock.com

【支柱の設置】

草丈が高くなる品種は、早めに園芸用支柱を設置し、麻ひもかビニタイで誘引しておき、強風による倒伏を防ぎましょう。

【花がら摘み・枯れ葉の整理】

アルストロメリアは次から次へと花が咲くので、終わった花は園芸用バサミで切り取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

また、枯れ葉があれば取り除いておきます。株周りをきれいにしておくことで、病害虫発生の予防になります。

夏越し・冬越し

アルストロメリアの鉢植え
Paul Maguire/Shutterstock.com

【夏越し】

地植えの場合は地温が高くなるのを防ぐため、バークチップなどでマルチングを施しておきましょう。日差しが強く当たらないように遮光ネットを張るのも一案です。

鉢植えの場合は、休眠したら直射日光が当たらない涼しい場所に移動します。

【冬越し】

地植えの場合、凍結する場所ではバークチップなどでマルチングを施しておきましょう。鉢植えの場合は、軒下など凍結しない場所に移動します。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

アルストロメリアは株分け、種まきで増やすことができます。

【株分け】

アルストロメリアの株分けの適期は10〜11月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて貯蔵根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

【種まき】

アルストロメリアを種まきから増やしたい場合、開花後に種子を採取します。開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟したら種子を採取して密閉容器に入れ、種まき適期まで保管しておきましょう。ただし、交配された園芸品種の場合は、親と同じ性質になるとは限りません。

アルストロメリアの種まき適期は、10月上中旬頃です。

まず、種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種子を数粒ずつまきます。薄く覆土し、浅く水を張った容器に入れてトレイの底から水を給水します。これはジョウロなどで上から水やりすると、水流によって種子が流れ出してしまうことがあるからです。発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しすぎないように適度に底から給水しましょう。

発芽後は日当たりのよい場所に置き、乾燥気味に管理します。勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。本葉が2〜3枚ついたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら花壇や鉢などの植えたい場所に植え付けます。

アルストロメリアのエキゾチックな花を楽しもう

アルストロメリア
Kristina Ismulyani/Shutterstock.com

アルストロメリアは花色が多彩で、ビビッドカラーからパステルカラーまで色幅も広く、選ぶ楽しみがあります。花もちがいいので切り花にしてインテリアに飾ってもいいですね。ぜひ庭やベランダにアルストロメリアを取り入れてみてください。

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