【大人レトロ】アンバー色のフラワーベースでしっとり秋のアレンジ
まだ暑い日も続きますが、街の雰囲気や朝晩の空気に季節の進みが感じられるようになってくる頃。そんな季節には、深みのある暖色が秋らしいアンバー(琥珀)色のフラワーベースで、大人シックに花のアレンジを楽しんでみませんか? 意外といろいろな花色に似合うアンバーですが、フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんが今回ご紹介するのは、花数を抑えてシンプルに楽しむ、愛らしいピンクの花アレンジ。3種の花で作る秋のアレンジに挑戦してみましょう!
目次
秋はアンバー色のフラワーベースで
少しずつ季節は秋へ。ガラスのフラワーベースも秋色にしませんか。移ろいゆくこの季節には、アンバー(琥珀)色のフラワーベースがおすすめです。
アンバーの色彩は、しっとりとした大人色でレトロな感じもしたり、夕暮れ時を連想させたり、ノスタルジックな雰囲気を醸し出してくれて、いつものクリアなフラワーベースとはまたひと味違ったアレンジが楽しめます。
アンバー色のフラワーベースはブランドによって、少しグリーンがかったもの、ピンクっぽいものなど、色の濃さや色合いに違いがあります。私は、透明度が高く光に透かしたときにきれいな色のものが、おしゃれ感があって好きです。ぜひお気に入りのアンバー色のベースで、秋のアレンジを楽しんではいかがでしょうか。
今回のアレンジで使ったベースは、ホルムガードの「フローラ」という人気のシリーズで、サイズとデザインがいくつかあります。こちらは12cmの一番小さなサイズ。1本だけでも、また数本の花を入れても、なんとなくスタイリッシュな感じにまとまります。
アンバー色は、意外と花の色を選ばず馴染みがよいように思います。オレンジ色の花と合わせて同系色にまとめてもいいですし、グリーンや白などシンプルな色にも合います。今回は、ピンクの花を選びました。
アレンジに使った花
- オランダセダム(ベンケイソウ)
- アストランティア
- コチョウラン
それぞれ1〜2本ずつ。
少ない本数でも、違うタイプの花の取り合わせで賑やかになります。
オランダセダムは多肉植物の仲間です。肉厚の葉っぱに水分をためているので、切り花としても長もちします。小さな花が丸く密集していて、花色はグリーンからピンク、赤、ブラウンなどがあります。
コチョウランは少しあらたまった雰囲気がありますが、合わせる花によってはカジュアルダウンします。小輪のコチョウランは、アレンジに使いやすく、ピンクは可愛らしさと華やかさを感じさせて人気があります。長もちするのも嬉しいですね。
アストランティアは、セリ科の植物で、そよそよ軽やかな風情がいいですよね。花をよく見てみると、とても複雑な作りになっているなといつも感心してしまいます。
アレンジするときのポイント
選んだ花は、それぞれのスタイルの特徴を生かして活けましょう。
コチョウランは、茎に沿って花が並んでいるので、長くのびのびと使いましょう。アレンジにすーっと動きが出ます。
セダムは小さな花の集合体です。アレンジでは空間を埋めるようなときに便利に使えます。今回は、どしっとアレンジの中心にもってくるようにして、安定感を持たせましょう。
スプレー状に枝分かれしているアストランティアは、アレンジの空間をふわふわと繋ぐような役割です。コチョウランとセダムの間の「ちょっとここにひと枝、ひと花、あるといいな」と感じたところに、アストランティアを入れてください。
本数が少ない投げ入れは、ベースの水替えのたびに、いろいろな活け方を試すことができますから、毎日見せ方を変えて楽しんでください。
水替えのときには、茎を数cmカット(切り戻し)すると、花がシャキッとします。
琥珀の街 ワルシャワ
アンバー(琥珀)は「太古の昔に樹木からでた樹液が固まって樹脂となり、地層に埋もれた後、化石化してできた」もの。主に数億年~数千万年前に形成されたと考えられています。
ヨーロッパからロシアにかけて広がるバルト海は、古代からよく知られた琥珀の産地で、ロシアの地層から琥珀が流れ出し、ポーランドやドイツ、デンマーク、リトアニアなどに漂着するのだそうです。
もう十数年前になりますが、ワルシャワに旅行したことがあります。その際に、街の中で琥珀のショップをたくさん目にしました。高額なジュエリーから、お土産物用の小さな琥珀までいろいろありました。
私もせっかくなので、土産物店でお手頃な小さなバイオリンの形のブローチをひとつ買いました。本物の琥珀とちょっと違うように見えなくもありませんが、まあ、旅の思い出に。
ワルシャワの街並み
ワルシャワは、かつて「北のパリ」といわれた文化・芸術の街。17世紀初頭からポーランドの首都となっています。若き日のショパンが暮らしていた街でもありますね。中世ヨーロッパの美しい街並みが続く旧市街が有名です。私が訪れたのは夏だったので、街中央の広場は夜遅くまで観光客や地元の人で活気がありました。建物は色鮮やかで可愛らしい感じがしました。
この旧市街は、戦争によってほとんど破壊されてしまいましたが、戦後、忠実に復元された街です。以前、その復興のドキュメンタリーをテレビ番組で観ました。3年ほどで復元されたそうですが、それには、市民の熱意と、大量の建物の図面やスケッチが役に立ったということでした。18世記の画家の風景画や、ワルシャワ工科大学建築学科の学生たちのスケッチと図面は、壁の装飾や絵など細かな部分も描き残されていて、寸法なども記録されていたそう。現代のようなデジタル技術はなく、すべて手描きですよね。厳しい情勢下での作業は、どれほど大変だったでしょう。保管するのも命がけだったそうです。その図面とスケッチを手掛かりに、市民が一丸となって見事に復元されました。
ワルシャワ歴史地区は、1980年ユネスコ世界遺産に登録されています。建物自体の歴史的な価値というよりは、首都再建を願ったポーランド国民の情熱がユネスコによって高く評価されたからとのことです。
ワルシャワは、美しく復元された街並みと、ショパンと、名物料理ピエロギと、琥珀を堪能できる感慨深い街でした。
Credit
アレンジ作成・写真・文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -
うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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