2021年の中秋の名月は、9月21日です。お彼岸も過ぎ、秋の空気になっている頃ですね。丸い月を愛でつつ、丸いお菓子と初秋の花を楽しみましょう。お月見には秋の七草という伝統もありますが、ちょっと趣向の違う花を選んでアレンジしてみました。お月見団子の代わりに、月餅で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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初秋の花を選んでアレンジ

秋の花でアレンジ

・リコリス

ヒガンバナ科の東アジア原産の花です。彼岸花とよく似ています。リコリスの他、ネリネ、ダイヤモンドリリー など、ヒガンバナ科に属する花があります。

・久留米ケイトウ

赤、ピンク、黄色、オレンジ色、秋らしい花色が揃っています。

・サンドクリ(三度栗)

遠州の七不思議の一つに、一年に3回実をつける栗があるという昔話があります。

菊川市(静岡県)の山沢村に弘法大師がやってきたとき、子供たちが栗を差し上げたことに感激した弘法大師が、一年に3度実るようにしてあげようと言ったことから、山沢村には3度実がなる栗の木があるというお話です。三度栗の伝説は、この他にも日本各地にあるそうです。

・ワレモコウ

麦チョコのような穂が秋らしい花です。よく見ると、この穂は小さな花の集合体になっています。奈良時代から自生していたといわれています。

「ワレモコウ さし出て花の つもりかな」小林一茶

地味なワレモコウに、一茶が腰をかがめてこう話しかけているのかなと想像すると、なんだか可愛らしい句だなと思います。

こんなことを一茶に言われちゃうなんて、ワレモコウらしくて私はとても好きです。

・ビバーナム・コンパクタベリー

クリーム色から薄いオレンジ色へと、紅葉しかかっている色目の実が、今の季節にぴったりです。

アレンジの手順

全体に丸くドーム型のアレンジを2つ作り、手付きの浅型のバスケットに入れます。2つのアレンジは、同じものでもいいですし、大小とサイズに差をつけてもよいと思います。

  1. ここではバターが入っていたカゴを使いました。
    小ぶりな器がおすすめです。
  2. “落とし”を入れます。
    お月見のアレンジの作り方
    中に空き瓶などを入れて水を入れます。吸水性スポンジを使ってもいいです。
  3. ケイトウを器の高さに合わせて入れます。
    花首が一つ分出るくらい。
  4. リコリスを入れます。
  5. ビバーナム・コンパクタベリーを入れます。
    お月見のアレンジの作り方
    ケイトウ、リコリス、ビバーナム・コンパクタベリーは、グループにして入れるといいでしょう(グルーピング)。
  6. ワレモコウを入れます。
    アクセントに、所々に入れていきます。
  7. 完成した2つのアレンジをバスケットに入れます。
    お月見のアレンジの作り方
  8. 三度栗を添えます。
    お月見のアレンジの作り方

数日後は、小さくまとめ直して飾って。

お月見のアレンジ

リコリスもケイトウも、意外と長もちしますが、数日後、枯れてしまった花は取り除き、2つを1つにまとめて、小さなアレンジにして楽しんでください。また、マリーゴールド、キバナコスモスなど、同系色の花を加えてもいいですね。

改めて中秋の名月とは?

お月見のアレンジ

中秋の名月とは、旧暦8月15日の夜に見える月のことで、この十五夜にお月見をする風習があります。

旧暦では7・8・9月を秋として、その真ん中の8月15日を「中秋」と呼んでいました。そして、その夜に昇る月が「中秋の月」です。

中秋の名月の別称である「十五夜」も、この旧暦の頃の名残です。

旧暦と新暦には1カ月から2カ月のズレがあるので、現代の中秋の名月は、その年によって違ってきます。2021年は9月21日です。

初秋は徐々に空気も冷たくなってきて、秋晴れが続きます。空も高くなり、月がきれいに見えるので、中秋の名月と呼ばれるようになったそうです。

平安時代、中国から遣唐使によってもたらされた月を見る催しが貴族に広がり、観月の宴が催されるようになりました。それが次第に、農村で行われていた作物の収穫祭と結びつき、庶民の間でも豊かな実りの象徴として十五夜を観賞し、お供えものをして感謝や祈りを捧げるようになっていきました。

シンガポールの中秋節とカラフル月餅ムーンケーキ

月餅

私が以前住んでいたシンガポールは、総人口の7割強が中華系民族で占められています。中秋節「Mid-Autumn Festival」は、旧正月「Chinese New Year」に次ぐ大きなお祭りでした。チャイナタウンをはじめ、街中に中秋節のシンボルである大きなランタンが飾られ、盛大にお祝いをします。日本では、「中秋の名月」「十五夜」だからといってもここまで盛り上がらないのに、中華系の方々はなぜ? と、ちょっとびっくりしました。

中秋節には家族が集まり、月を愛でながら、秋の収穫に感謝するのが習わしです。そう、日本の8月のお盆のようですね。遠くに暮らす家族も家に帰り、一緒に食事をするのだそうです。中秋節は、団円節とも呼ばれています。円卓を囲みながら食事をすることは、幸福を運んでくると信じられています。

なるほど、それでここまで大いに盛り上がる、盛り上げる年中行事なのだと分かりました。

そして、中秋節に欠かせないのが月餅、ムーンケーキです。

シンガポールの中秋節と月餅ムーンケーキ

シンガポールでは、ベイクドタイプと、生タイプ(スノースキン)のムーンケーキがありました。このスノースキンタイプのほうは、とてもカラフルで、日本の和菓子のような、マカロンのような、可愛らしい外見。味も、チョコレート味やチーズ味、マンゴーやドリアンといったトロピカルフルーツの味などバラエティー豊かでした。私は少々凝りすぎ? にも感じましたが、皆さんとても楽しみにしていたようでした。

ムーンケーキ

ムーンケーキは、日頃お世話になっている方々への贈答品としても使われ、菓子店、レストラン、ホテル、デパートなどが、毎年競って新しいムーンケーキを発売していました。あのスターバックスも、オリジナルのムーンケーキを出していたんです。中秋節の数週間前になると、デパートの特設会場いっぱいにムーンケーキが並び、飛ぶように売れていました。街では、スーツ姿のビジネスマンが、化粧箱に入ったムーンケーキの紙袋を両手にたくさん下げているのをよく見かけたものでした。

シンガポールのムーンケーキ

スノースキンタイプの新感覚ムーンケーキも楽しかったですが、やはり月餅といえば、あのどっしりとした茶色のベイクドタイプのほうが私は好きでした。老舗菓子店の「大中國餅家」のこしあんRed Bean Paste Mooncake は、期待通りのお味でとてもおいしかったことをよく覚えています。またいつか大中の月餅を家族で食べたいなぁ。

Credit

アレンジ作成・写真・文/海野美規(Unno Miki
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
http://www.annegarden.jp

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