ジメジメが続く梅雨の季節。なんだか植物の元気がない…? 気づけばカビや虫が発生していた! そんな“梅雨ならではの困った”を防ぐために、ガーデナーが今すぐやるべき対策を10個にまとめました。根腐れ、病害虫、雑草の増加…大切な庭を守るために、毎年の梅雨を乗り越える知恵をこの機会にしっかり身につけましょう。
目次
① 過湿による根腐れに注意! 移動できる鉢は軒下へ

長雨で土の中が常に湿っていると、根腐れやカビの原因になります。鉢植えは軒下やベランダの内側など、直接雨が当たらない場所に避難させましょう。
一方、地植えの庭では植物は移動できませんが、長雨や強い雨が続くと、地植えの植物でも土の表面が固まって根が窒息気味になります。この窒息気味の状態が、根腐れの原因となります。

植物にとってよい土は、大小さまざまな粒(砂、シルト、粘土)が団粒構造(イラスト①)を作り、そこに空気や水の通り道を持っている状態です。
ところが雨が続くと、雨粒が激しく当たり、土の団粒構造が壊れて土がバラけてしまいます(イラスト②)。
すると微細なが土の粒が表土近くに浮き上がって集まり、地表付近が「水が抜けない泥パック」状態になります(イラスト③)。
結果として、水はけが悪くなり、表面が乾くとガチガチに硬くなって、植物の根が呼吸しにくくなり(=酸欠)、根腐れを引き起こしてしまいます。
梅雨どきの土壌改善対策

- 地植えの庭の場合は表面を軽く耕す(深く掘らずに3〜5cmをふわっと)。
- 完熟堆肥などの有機物を混ぜ込んで、団粒構造を再生させる。
- マルチングで雨粒の直撃を防ぐ。
② プランターや鉢の「水はけチェック」

土がずっと濡れていたり、鉢底から水が出にくい場合は要注意。上記と同様の団粒構造が壊れている状態にある可能性が高いです。鉢底石の追加や古い土の入れ替え、鉢替えによって通気性を改善しましょう。また、鉢の下に台やトレー、スタンドを置くのも排水性や通気性を改善するのに有効です。
③ 風通しの悪い場所の植物は「剪定」で蒸れ対策

混み合った枝葉は湿気がこもりやすく、病気の発生源に。枝を間引いて風の通り道を作ることで、蒸れを防ぎ、病気のリスクを減らします。
④ 多湿で発生しやすい「ベト病・黒星病」に注意

梅雨どきは病害が多く発生する時期。葉に黒い斑点、茶色のシミ、黄変などが出たら要注意。雨が続く梅雨の間は、予防薬の散布は雨で流れて非効率的なので、落葉に備えて株の回復にシフトしたほうが現実的。病気で弱った株には液肥や肥料を与えるより、「活力剤」のほうが適しています。
⑤ 病気になった葉や花がらはこまめに取り除く

落ちた花や古い葉、病気で落葉した葉をそのままにしておくと、湿気で菌が繁殖しやすくなります。雨の合間に軽く掃除する習慣を。
⑥ ナメクジ被害を早期発見&対処

ジメジメした環境になりがちなこの季節、ナメクジに注意が必要です。忌避剤を用いる際は、全体的にまくより、ナメクジが好む植物の周りにまくのが効率的。ナメクジにも食の好みがあり、水分を多く含んだ柔らかい葉が好物です。ペチュニアやレタスなどは特にナメクジの大好物なので、これらの周辺で対策を。
⑦ 雑草は早めに除草。蒸れや病害虫の温床に
梅雨に入ると雑草の成長が一気に加速します。雑草が繁茂していると通気が悪くなり、病気の発生を誘発したり、害虫のすみかにもなります。雨の合間にこまめな除草が効果的です。
⑧ 肥料は控えめに or 活力剤に切り替える

雨で肥料が溶けやすくなる梅雨どきは、固形肥料の与えすぎに注意。根が湿気で呼吸しにくいこの時期は、肥料成分も吸いにくい状態にあります。梅雨どきは無理に育てようとせずに“整える”ことを優先。
特に葉が黄色くなっているときなどは肥料ではなく「活力剤」を与えましょう。活力剤は根の修復や活性化に特化しており、回復をサポートする役割の資材です。新葉が展開し始め、株が復活し始めたら、生育をサポートしてくれる「液肥」に切り替えを。
⑨ 多湿に強い植物を“前景”に活用

花壇や植栽帯では、「背面(奥)=高い、前面=低い」という構造になっていることが多いため、水が前に集まりやすくなります(特に壁沿いの花壇など)。そのため、水はけを好むサルビアやラベンダーなどは奥(高い場所)へ、前面にはアジュガやヒューケラなど比較的湿度に強いものを配置するのがおすすめです。
⑩ 雨の日も庭を見る習慣を

梅雨どきは庭に出にくくなりますが、室内からの観察でも十分効果があります。葉の色、姿、虫の有無などをチェックする癖をつけましょう。窓から眺められる場所にアジサイを植えておくと、梅雨時期にも庭へ目をやる楽しみと習慣ができますよ。
あなたの庭も、梅雨のダメージを防いで元気に乗り切りましょう!
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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