神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみ -「日本ローズライフコーディネーター協会」代表-

神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
元木はるみ -「日本ローズライフコーディネーター協会」代表-の記事
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育て方
バラを立体的に演出する構造物を見に出かけよう! 横浜のバラスポットへ
誘引見学スポット1「港の見える丘公園 イングリッシュローズの庭」 横浜市イギリス館前に広がる「イングリッシュローズの庭」には、約150品種1,000株が植栽され、多くのイングリッシュローズを楽しむことができます。 花の咲いていない時期は、5月の華やいだ雰囲気とは違って、ひっそりと落ち着いた趣があります。 門を入ってすぐの位置にあるオベリスクには、頂点に横浜市の花である「バラ」を象ったオブジェがついています。 アーチの柱の部分は、先程通ってきた門のレンガとお揃いの仕上げになっています。 構造物の材質や色を統一することによって、まとまりのあるガーデンになっていることがよく分かります。 また、上部には「エバーグリーン色」といわれる深緑に塗られたステンレス製のバーが、地面と平行に2列設けられ、それぞれにつるを誘引し、バラの花が高い位置で咲くように立体的に演出されています。 枝を斜め上に巻きながら数カ所留め、上部に持っていく誘引の方法もよく見ることができました。 6連のアーチの構造物が、花のない時期でも、ガーデンに美しい風景を作っています。 こちらの大型のパーゴラは、上部のアーチ部分はステンレス製です。 よく見ると、枝をアーチに沿わせて伸ばし、均等をあけて紐で間隔に固定しています。 こちらのパーゴラは、すべてステンレス製で華奢な印象です。 細いフレームが組み合わさった柱なので通気性があり、枝の固定など誘引作業もしやすそうに思えました。 誘引見学スポット2「港の見える丘公園 バラとカスケードの庭&香りの庭」 こちらは、「イングリッシュローズの庭」の奥、山手111番館前の「バラとカスケードの庭」にあるガゼボの春の姿です。 ガゼボの円柱には、‘ピエール・ド・ロンサール’(Cl)などが誘引されています。 こちらは、奥に横浜市生まれの作家・大佛次郎の記念館を望む「香りの庭」です。 整然と美しく整えられた花咲く前のローズガーデン。香りが低くたちこめるように、沈床花壇となっています。 約100品種500株の香りのバラが集められた「香りの庭」は、それぞれの香りの特徴ごとに分けて植栽されています。 噴水を中心にバラのアーチが連なり、季節の花々が彩りを添えています。 では、冬の誘引の様子を見てみましょう。「香りの庭」に設置されているアーチはエバーグリーン色で、すべてステンレス製です。 小道の先には、誰もが腰掛けたて香りを楽しみたくなるように配置されています。 ベンチの背景になる場所には、ラウンドしたフェンスが設けられていて、誘引が丁寧に施されていました。 誘引見学スポット3「山下公園内 未来のバラ園」 こちらは、係留されている氷川丸を背景にした山下公園の一部にある「未来のバラ園」です。 「未来のバラ園」は、海に向かって、山下公園の中央噴水の右側(元町側)にある沈床花壇で、約160種1,900株のバラが植栽されています。横浜の玄関口である港のすぐそばにあるバラ園として、歴史あるバラから新しいバラまで幅広い品種を植栽。自然環境を考えた未来のモデルガーデンを目指していることから、「未来のバラ園」と命名されました。 「未来のバラ園」は、シンメトリー(左右対称)にデザインされ、中央にはスタンダード仕立てのバラが植わり、その両サイドにつるバラを誘引したアーチが連なっています。間口が広いローズゲートのため、広い空間で立体的にバラを楽しむことができます。 ローズゲートを進むと、鉢植えに仕立てられた‘ル・ポール・ロマンティーク’(CL)があります。 中央付近の四隅には、オブジェのように仕立てられたバラもあり、誘引方法をじっくりと見ることができました。 裏に回ってみると、株元が腰高な花壇に植えられていて、枝を横に倒しながら柱を覆っている誘引の様子がよく分かりました。 中央にはスタンダード仕立てのバラが奥へと整列し、左右に白バラが咲く春の「未来のバラ園」の圧巻の風景です。 ローズゲートのアーチに植栽されている6種のバラです。中央のスタンダード仕立てのバラは‘アイスバーグ’です。 ステンレス製の一基のアーチには、白を基調とした3種類のバラが誘引されていました。 こちらは、低い壁面に仕立てたれたつるバラ。ほどよい枝の数です。 「未来のバラ園」から階段を上ると、奥に噴水が見え、手前にバラが絡む大型のパーゴラがあります。柱の部分がレンガ仕上げ、上部は木製になっています。 レンガ部分の柱に施された誘引の様子です。手前にはパネルを設置、サイドにはワイヤーが張られていて、枝を留めつけるようになっています。誘引されているバラは、‘つるノックアウト’や‘アンジェラ’など、強健な品種が選ばれています。 5月の最盛期になると、満開のバラの株元にはさまざまな宿根草などが花開き、多くの人々が集って賑やかです。こちらのガーデンでは、世界的に進められている環境への配慮に着目し、減農薬でも栽培できるバラが集められ、訪れる人々の目と心を楽しませてくれています。 バラの花が咲く時期、そして、花のない時期にも、構造物や誘引を見に、ローズガーデンを訪れてみてはいかがでしょうか。きっと参考にしたいと思えることが、たくさん見つかることでしょう。
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クラフト
[しめ縄お正月飾りを手作り]冬の庭バラを使って新年を迎える準備
バラの冬剪定の時期です 今年は暖冬のせいか、年末になっても、少しずつですがバラが咲き続けてくれています。 しかしながら、1月は、元肥(寒肥)を施す時期でもあるので、その前までには、仮剪定(本剪定は2月下旬頃)や、つる性バラの誘引を終わらせなければならない時期でもあります。 冬剪定はこちらを参考に。 ●冬のバラ仕事第1弾〜誘引・仮剪定 ●冬のバラ仕事第2弾〜元肥・病害虫予防 仮剪定や誘引時に枝を切った際、咲いている花やつぼみがあれば、捨てずに暮らしに活用したいといつも考えています。そこで今回は、この時期に庭で咲き残っているバラを使用した「お正月飾り」をご紹介します。 玄関用バラのしめ縄飾り 「しめ縄飾り」は、古来より日本の神道と結び付き、「しめ縄」には、「結界」の役割があるといわれています。「しめ縄」の内側は神様を祀る神聖な場所であり、悪いものや不浄なものを寄せつけません。お正月の「しめ縄飾り」は、この家は、お正月にみえる年神様をお迎えする準備が整った場所であることを示すものなのです。 その「しめ縄飾り」には、吉祥とされる植物が用いられます。ワラは五穀豊穣を、また、よく「しめ縄飾り」に添えられる松は、冬でも常緑で樹齢が長いことから、不老長寿や健康を祈願する意味が込められています。 ほかにも、日本古来の吉祥とされる植物には、竹、梅、菊、牡丹、桜などがあり、文様としても描かれています。じつは、バラも明治の文明開化と共に西洋から流入した四季咲き性の美しい花々が大人気となり、着物に描かれるなど、吉祥文様の仲間入りを果たしています。しかし、その後の戦争中は、敵国(西洋)の花とみなされた時期もありました。戦後はまた、日本国内での西洋文化の復活と共に、バラの人気も復活しました。 バラのしめ縄飾りの作り方 <用意するもの> しめ縄ベース 水引き(鶴) ワイヤー(直径約1mm) 松の枝 バラ 今回使用したバラは花もちのよい品種‘エメラルド・アイル’(Cl)。トゲは外しておきます。 カシワバアジサイの葉やローズヒップなど(お好みで花材をプラスしてください) *松飾りと同様に、しめ縄に使うバラも飾りながらドライにします。 【手順1】 出来上がりのイメージを思い浮かべながら仮置きします。 【手順2】 しめ縄に沿ってワイヤーで松をとめつけます。 【手順3】 松の上にバランスよく花とつぼみを配置して、ワイヤーでとめます。 【手順4】 庭に残っていたローズヒップをプラス。ワイヤーでとめました。 【手順5】 鶴の水引きを挿します。 【手順6】 カシワバアジサイの紅葉した葉を間に挿して完成。 【完成】 玄関に飾って、年神様をお迎えする準備が整いました。 乾燥する冬だからこそのドライ作り 仮剪定でカットしたバラを使用して、ドライフラワーも作ってみましょう。 ハーブなどの枝と合わせて作っておくと、そのまま壁飾りになったり、カーテンのタッセルにプラスしたりと、庭にバラの花が無くなる時期でも、部屋の中で、バラのある暮らしを楽しむことができます。 各花材が乾きやすいように少量束ね、吊り下げることができるように、ワイヤーの端に輪を作っておくと便利です。 リボンを付けて、そのまま飾りながらドライにします。 2つセットで束ねて……。 カーテンのタッセルにプラスして。 たくさんドライを作っておくと、冬の間もバラ咲く春が楽しみになります。ぜひ、お試しください。
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ライフスタイル
自宅で咲かせたバラで作る聖夜のテーブル飾り
「バラのXmasテーブルリース」の作り方 クリスマスのティータイムや食事の時など、テーブルの中央にリースがあるだけで普段とは違う華やいだ雰囲気をプラスすることができます。 リースは、もともと紀元前の古代からあったといわれ、「輪」の形には、「永遠」の意味が込められました。冬でも葉を落とさず、緑を茂らせる常緑樹は、「永遠」や「豊穣」「繁栄」の象徴として崇められ、常緑樹を使用したリースは、冬至や新年などのお祝い事に使用されるようになっていったとのことです。 <用意するもの> サークル形の吸水スポンジ 吸水スポンジが収まる皿やプレート 常緑中低木のシルバープリベットの枝 秋咲きのバラ(大輪から小輪15輪ほど) 白いポインセチア‘プリンセチア’ ランタナの実 <作り方> 水を含ませた吸水スポンジに、枝を短くカットしたシルバープリベットを側面と内側にぐるりと一周、まんべんなく挿していきます。 花茎を短く切ったバラを間に挿していきます。3輪ずつを1つのグループとして3カ所に分けて挿すとバランスよく仕上がります。ここでは、大輪のバラを使ったので3カ所に分けましたが、花の大きさによって、4~6カ所に分けてもよいでしょう。 1つのグループの中央に使う花は、3輪のなかで一番大きな花にするとバランスがよくなります。3輪のうち、中央と左は‘ナディーヌ・エクセラリッシ’(F)、右は‘クロッカスローズ’(S)です。この時期、庭に咲くバラの数には限りがありますので、同じ品種で3輪揃わない場合は、同系色のバラを組み合わせるとまとまりがよくなります。 バラのグループの間に、白い葉が美しいポインセチア‘プリンセチア’を挿します。クリスマス・プランツのポインセチアを入れることで、一気にXmasリースに早変わりです。 ‘プリンセチア’の中央に、アクセントとして青黒く艶のあるランタナの実を乗せました。このようにテーブルを彩るアレンジメントには、なるべくナチュラルな素材を使用するといいですね(ランタナの実は食べることができませんのでご注意ください)。 隙間を埋めるように、小輪のバラ‘スノー・グース’(S)を挿して完成です。 中央にキャンドルを置いて、温かいクリスマスの雰囲気を演出。クリスマスのティータイムにいかがですか。 テーブルリースのバラが枯れ始めたら、土台の常緑樹の部分はそのままにして、新しいバラと交換し、クリスマスシーズンを長く楽しみましょう。 「バラのXmasキャンドルナイト」の作り方 バラの花を小さなグラスに浮かべて並べただけでも心がときめくほど綺麗ですが、クリスマス・プランツとキャンドルをプラスして、クリスマスの雰囲気を演出します。 <用意するもの> 常緑樹のコニファーの枝葉 ピラカンサの赤い実 小ぶりのグラス 大小のキャンドル ケーキスタンドなど <作り方> コニファーの葉を敷き、ピラカンサの赤い実をプラスし、バラのグラスの間に、小さなキャンドル(ティーキャンドルやアロマキャンドル)を配置しました。 キャンドルの灯りに照らされたバラの花は、ロマンチックなクリスマスの雰囲気作りにぴったりです。 「バラとローズマリーのXmasアレンジメント」の作り方 常緑で強い独特な香りと、さまざまな効能や効果が神秘性と結び付き、古代から魔除けや守護に利用されてきた聖なるハーブ、ローズマリー。聖母マリアやキリストとの関係も深く、クリスマスのハーブと伝えられています。 そのローズマリーとバラ、ローズヒップなどを使うアレンジメントです。 <用意するもの> 吸水スポンジ キャンドルスタンド キャンドル 這性ローズマリー ローズヒップ バラ(赤色など) ランタナの実 常緑小低木のハクチョウゲの枝葉 赤いリボン <作り方> キャンドルスタンドに水を含ませた吸水スポンジをセットし、中央にキャンドルを挿します。 花材は、前列左がローズマリー(這性)、右は斑入りのハクチョウゲ、後列左は‘バレリーナ’(HMsk)のローズヒップ、右はランタナの実。そして、仕上げ用の赤いリボン。それぞれ挿しやすいように短めにカットしておきます。 這性の枝の特徴を生かしながら、ローズマリーをキャンドルの足元に挿していきます。 間にローズヒップの枝を挿していきます。 赤いバラ‘オデュッセイア’(S)を間に挿し、ランタナの実と斑入りのハクチョウゲを隙間に挿していきます。キャンドルスタンドの脚に赤いリボンを結んで完成です。 部屋中にローズマリーの香りが広がり、オレンジポマンダーなどのスパイスの香りとミックスされて、このクリスマスの時期を目と鼻で楽しませてくれます。 ご紹介した3つのクリスマスアレンジに使用した花材は、鉢苗のポインセチアを除いて、樹木もバラもすべて自宅の庭から調達しました。このように、アレンジメントにも利用できる樹木を庭に取り入れると、庭のある暮らしが豊かになります。ぜひ来年の庭づくりに、バラ以外の植物をプラスすることを計画に入れてみてはいかがでしょうか? 今年もあと残り少なくなった日々を庭からの恵みに感謝し、植物たちと共に過ごしていきたいですね。 皆様も、どうぞよいクリスマスシーズンをお過ごしください。
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ライフスタイル
バラの花びらを味わう~簡単おもてなしレシピ
バラの花びらを味わうおもてなしゼリー 摘みたての花弁をゼリー液にあとから加えて、寒天プリンとの2層を楽しむおもてなしゼリーです。自宅で育てているからこそ作れるレシピなので、ぜひ、バラが咲いたら挑戦してみてください。 今回花びらを使った主な品種 'ザ・ダークレディ’(S) イギリス、デビッド・オースチン社が1991年に作出したイングリッシュローズです。ソフトなダマスク香が漂う、大輪ロゼット咲きの美しい花を咲かせます。 'ワイフ・オブ・バース’(S) イギリス、デビッド・オースチン社が1969年に作出したイングリッシュローズです。四季咲き性で花付きがよく、中央が色濃く優しいピンクのロゼット咲きの花をたくさん咲かせます。香りはミルラ香。 'アジュール’(F) 日本の河本バラ園が2020年に作出したこの品種は、四季咲き性があり樹形はコンパクト。中央に尖った鳥の羽根のような花弁がたくさん詰まっている、優しいソフトピンクの花を咲かせます。ダマスク香にフルーティー香が混ざり合う強香品種です。 '唐華(とうか)’ 2020年秋、中国平陰県のバラの村から日本へ初めて導入された'唐華’は、先に日本へ紹介された‘豊華(ほうか)’、'紫枝(ずず)’と共に、「食香バラ」として現在人気を博しています。スパイシー香が混ざったダマスク香が強く香ります。 おもてなしゼリーの材料(直径18.5㎝、高さ約5.5㎝のドーナツ型容器 1個分) <1層目 ゼリーの部分> バラの花弁 大輪ロゼット咲き3輪分(中輪や花弁が少ない品種は4~5輪分) 水洗いし、外側の硬くなった花弁や傷んだ花弁、虫食いの花弁は取り除きます。無農薬で栽培したバラ、または、食べても安全な方法で育てられたバラの花弁に限ります。また、分厚くゴワゴワしたものより、なるべくしなやかで香りのよいものを選びましょう。 おすすめの品種は、‘イングランズ・ローズ’(S)、‘ウィリアム・シェイクスピア2000’(S)、‘ハーロウ・カー’(S)、‘エグランタイン(マサコ)’(S)、‘ガートルード・ジェキル’(S)、‘コンテ・ド・シャンボール’(P)、‘ジャック・カルティエ’(P)、食香バラの'紫枝’。 春の一季咲き種なら、‘エンプレス・ジョゼフィーヌ’(G)、‘カザンリク’(D)、‘セルシアーナ’(D)、‘ブラッシュ・ダマスク’(D)、‘ローズ・ド・メイ’(C)、‘ファンタン・ラ・トゥール(C)’、ロサ・マイカイ(Ch)、食香バラの‘豊華’など。 粉ゼラチン 10g 水 500ml 砂糖 大さじ5 レモン汁 小さじ1 <2層目 プリンの部分> プリンの素 ここでは「とみざわ寒天シリーズ プリンの素」(富澤商店)1袋(65g) 90℃以上の熱湯 300ml おもてなしゼリーの作り方 <1層目 ゼリーの部分> 鍋に分量の水と砂糖を入れ、中火にかけ、透明になるまで砂糖を溶かす。 80℃以上になったら、粉ゼラチンを入れ、よく溶かす。 レモン汁を加えてよく混ぜる。 ドーナツ型容器に、3を流し込む。 バラの花弁をまんべんなく入れて、冷蔵庫や冷凍庫で冷やし固める。 <2層目 プリンの部分> 「とみざわ寒天シリーズ プリンの素」をボールに入れ、分量の熱湯を入れ、泡立て器で1分間ほど攪拌してよく溶かす。 先に作って冷やしておいた1層目のゼリーが固まったことを確認し、その上に、粗熱を取った1を注ぐ。 冷蔵庫や冷凍庫で冷やし固める。 しっかり固まったら、3を熱湯を入れたボールに型ごと10秒間つけて、中身を皿に取り出す。そのまま冷蔵庫で冷やし落ち着かせて出来上がり。 シャインマスカットとバラのマリアージュ・ムース もう一品、ローズカラーが引き立つ、季節のシャインマスカットとバラの花弁をムースにあしらった簡単おもてなしレシピもご紹介します。 シャインマスカットとバラのマリアージュ・ムースの材料(フルート型ワイングラス 5個分) <ミルクムースの部分> ムースの素 ここでは「とみざわ寒天シリーズ ムースの素 ミルク」(富澤商店)1袋(75g) 冷たい牛乳 300ml <クラッシュゼリーの部分> 粉ゼラチン 5g 水 250ml 砂糖 大さじ2と1/2 レモン汁 小さじ1/2 シャインマスカットとバラのマリアージュ・ムースの作り方 <ミルクムースの部分> ボールに、分量の冷たい牛乳とムースの素を入れて、泡立器でとろみが付くまでよく混ぜ合わせる。 グラスに分け入れ、冷蔵庫で冷やし固める。 <クラッシュゼリーの部分> 鍋に分量の水と砂糖を入れ、中火にかけて透明になるまで砂糖を溶かす。 80℃以上になったら、粉ゼラチンを入れ、よく溶かす。 レモン汁を加えてよく混ぜる。 タッパーなどに薄く広げるように3を入れ、冷蔵庫や冷凍庫で冷やし固める。 固まったら、フォークでクラッシュする。 固まったミルクムースの上に、クラッシュゼリーと半分にカットしたシャインマスカットを乗せ、仕上げにバラの花弁(材料外)を散らして出来上がり。 クラッシュゼリーがキラキラと秋の陽に輝く、秋の味覚シャインマスカットと秋バラ‘ウィリアム・シェイクスピア2000’のマリアージュはいかがでしょうか。 目で楽しみ、香りや味も楽しめるバラの花弁のスイーツ。心まで潤してくれる、まるで魔法のようなお菓子です。ぜひ、秋のバラを眺めながらのティータイムにお試しください。
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育て方
秋バラが綺麗に咲くように~今から行う鉢植えバラの手入れ方法
庭のバラは今、どんな状態ですか? 今年の夏は、猛暑の日もありましたが、まるで梅雨時のように雨天が続いたり、幾度か台風による大雨があったせいか、我が家のバラは例年より葉が落ちずに、次々と小さなつぼみを上げるものが多いように思います。皆さまが育てているバラはいかがでしたか? もし現在、バラの葉がほとんど無い状態だとしたら、考えられる大きな理由は4つです。 雨天時以外の日の水やりの回数や量が少なかったために水分不足になってしまった。 鉢植えの底から根が出て土中に根を張っていたのに気がつかず、鉢の置き換えをして、根を切って傷めてしまった。 ハダニや黒点病(黒星病)などの病害虫によりダメージを受けた。 暑さに弱い品種のため。 ●「夏に弱ったバラの回復法」も併せてご覧ください。 8月下旬~9月上旬に行う作業 【剪定】 冬に強剪定や誘引で整えた株も、春を過ぎ、そして夏を越し、現在だいぶ枝が暴れているのではないかと思います。8月下旬~9月上旬に行う剪定は、不要な枝を取り除き、剪定や整枝を行いますが、冬とは違い、光合成を妨げないため葉の量はあまり減らさないようにすることが大切で、冬のような強剪定ではなく、弱剪定とします。ただし、お隣の敷地に入り込んでしまったり、あまりにも枝が伸びて手に負えない場合は、臨機応変に各家庭に合った剪定を行ってください。 【施肥】 鉢植えのバラへの施肥は、市販の固形肥料(根に触れても安心な肥料)が便利です。パッケージに記載されている容量、使用方法などを守ってご使用ください。 コンパクトな樹形の鉢植えバラ 剪定・施肥・盛り土・水やり 見本の品種は、四季咲き性のフロリバンダ、‘アジュール’(2020年 河本バラ園作出)。写真右が夏の終わりの頃の状態です。 まずは、花やつぼみ、枯れ枝や細い枝、内側に向かって伸びている「ふところ枝」などの不要な枝をカットします。 「ふところ枝」が無くなり、通気性がよくなりました。 全ての枝にハサミを入れます。目安として剪定前の枝の約1/3(オレンジ箇所)をカットしたのが写真の状態です。 今回のカットでは、上写真程度の枝葉の量を切りました。 鉢のすぐ内側にシャベルで少し溝を作り、根に触れても安心な固形肥料をすき込みます(パラパラと撒くだけでも)。 鉢植え株は、水やりなどで用土が減っている場合が多いので、バラ専用の用土を盛り土します。 ここで盛り土に使う用土は、一度バラに使ったものは避け、新しい用土を準備してください。写真のような市販のバラ専用用土が便利です。 盛り土をしたら、すぐにたっぷりの水を与えましょう。その後、秋まで水やりに気を配りながら、2週間に1回、活力剤(活性液)を使用して、バラの元気を回復させます。 オベリスクに誘引した鉢植えバラ 剪定・施肥・盛り土・水やり 見本の品種は、返り咲き性の‘ブリーズ’(S)(2009年 仏 デルバール作出)。 すっと上に長く伸びた茎の先に中輪カップ型のコロンとした可憐な花を上向きに咲かせます。このような樹形のバラは、枝を真横に寝かせるのではなく、軽く斜めにする程度に誘引します。オベリスクに誘引することで半日陰や狭い場所でも、すっきりとまとまりのある姿になります。我が家では通路の脇に鉢植えで置いていますが、ベランダや玄関ポーチに置いてもとても似合います。 冬に誘引した枝は、いったんオベリスクから外し、不要な枝を取り除きます。 剪定・誘引後の状態。花茎が伸びて、秋に咲く位置を想定しながら、すべての枝にハサミを入れます。そして、枝を軽く斜めにしながら、同じ方向を向かせてオベリスクに留めつけて誘引します。 前出と同様に、鉢のすぐ内側にシャベルで少し溝を作り、根に触れても安心な固形肥料をすき込みます(パラパラと撒くだけでも)。 鉢植え株は、水やりなどで用土が減っている場合が多いので、バラ専用の用土を盛り土します。 ここで盛り土に使う用土は、一度バラに使ったものは避け、新しい用土を準備してください。市販のバラ専用用土が便利です。 盛り土をしたら、すぐにたっぷりの水を与えましょう。その後、秋まで水やりに気を配りながら、2週間に1回、活力剤(活性液)を使用して、バラの元気を回復させます。 剪定でカットした 小さなつぼみや花たち 剪定でカットしたつぼみや花は、春や秋に比べたらとても小さく、見た目も地味かもしれませんが、暑い中、健気に咲いていてくれたその姿は、とても愛おしく感じます。 捨ててしまうのはもったいないので、ぜひ室内で愛でてください。 剪定と施肥を終えた株は、これから秋に向かって成長します。10月になれば、涼しい気候の中で、また美しい花を咲かせてくれることでしょう。その日を楽しみに、日々、バラの面倒を見ていきましょう。
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ストーリー
生誕60周年〜ダイアナ妃に捧げられた2つのバラ
世界中から今も愛される亡きダイアナ元妃 2021年7月1日は、「イギリスのバラ」といわれたダイアナ元妃が、生誕60周年を迎えた日でした。イギリスのケンジントン宮殿の庭園では、ウィリアム王子、ヘンリー王子が、亡き母の功績を称えるために建立を計画したダイアナ元妃の銅像の除幕式など、生誕60周年記念セレモニーが執り行われました。 今回は、悲劇的な死を遂げながらも、今もなお、世界中から愛され続けるダイアナ元妃の生涯を振り返りながら、彼女に捧げられたバラについてもご紹介します。 ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ(1961.7.1 - 1997.8.31)は、イギリスの第1位王位継承権者・ウェールズ公チャールズ皇太子の最初の妃。 「ダイアナ」は、ギリシャ神話では、月と狩りの女神の名です。 ダイアナ元妃の生い立ち 父は、オールトラップ子爵(第8代スペンサー伯爵)、母は、フェルモイ男爵を父に持つフランシス。ダイアナ元妃は、英国貴族の名門スペンサー家の三女として、サンドリンガムの「パークハウス」に誕生しました。 長女である姉の名は「セーラ」、二女は「ジェーン」、また、ダイアナ元妃の下には「チャールズ」という名の弟(現・第9代スペンサー伯爵)がいます。スペンサー一族は、王室からの信頼も厚く、代々、王室の侍従や女官の職務を任命される家柄でした。 元々、スペンサー家は、15世紀に羊の輸送で財を成した商人が始まりで、1508年には、ジョン・スペンサーが伯爵の爵位を得て、イングランド中東部の都市ノーサンプトン近郊に本邸「オルソープハウス」を建てました。その屋敷内には、ヴァン・ダイクやルーベンス、ゲーンズボロ、ネラー、レノルズなどの絵画が壁に飾られ、荘厳な貴族の邸宅の様相を呈しています。 また、庭園には大きな池があり、現在ダイアナ元妃は、この「オルソープハウス」の敷地内の何処かに眠っているとのことです。 ダイアナ元妃の両親は、1967年から別居を始め、1969年には離婚。子どもたちの親権は、父スペンサー伯爵が持ちました。両親の離婚は、8歳の多感な時期のダイアナ元妃に少なからず影響を与え、「子どもたちに囲まれた、にぎやかで幸せな家庭をつくりたい」という将来への希望を、当時の養育係のメアリー・クラーク氏へ、よく話していたそうです。 生家「パークハウス」では、幼少期を弟のチャールズと過ごし、1970年にはノーフォーク州のリドルズワース・ホール寄宿学校、1973年にはケント州にあるウェスト・ヒース寄宿学校に入学しました。 チャールズ皇太子との出会いと結婚 1977年に、ダイアナ元妃は姉のセーラと交際していたチャールズ皇太子と初めて出会います。1979年に王室のサンドリンガム邸のパーティーで再会したのがきっかけで皇太子と親しい関係になり、1980年に交際が深まりました。 1981年2月に、チャールズ皇太子と婚約し、7月29日には、セント・ポール大聖堂で盛大な結婚式が行われ、その模様は世界中のテレビに配信され、大きな注目の的となりました。 チャールズ皇太子との新しい生活 1982年5月から、チャールズ皇太子と共にケンジントン宮殿での新しい生活が始まり、ウィリアム王子とヘンリー王子が誕生。順風満帆の幸せな暮らしと思われましたが、結婚前から交際が続いていたチャールズ皇太子とカミラ夫人との関係や、結婚生活や公務についての皇太子との考え方の違いなどが深刻化し、ダイアナ元妃は過食症に苦しむようになってしまいます。 皇太子も1980年代半ば以降には、ダイアナ元妃のいるケンジントン宮殿に戻らず、コッツウォルズ南に位置する小さな街テッドバリー近郊にある「ハイグローヴ邸」で暮らすことが増え、そこでカミラ夫人との時間を多く持つようになりました。 1992年12月に、皇太子との別居が正式に発表され、1994年には皇太子自ら、自分の人生にとって、カミラ夫人が中心的人物であることを公表しました。ダイアナ元妃は、1995年11月にBBCのインタビューに、皇太子との結婚生活を「3人の結婚生活だった」と総括し、自身も元騎兵連隊将校ジェームズ・ヒューイット氏と5年に渡って不倫していたことを認め、「自分はイギリス王妃ではなく、人々の心の王妃になりたい」という希望を表明しました。 離婚後のダイアナ元妃の活動 1996年8月に離婚が成立し、2人の王子の親権を皇太子と平等に持つことが認められ、莫大な慰謝料とセント・ジェームズ宮殿の執務室の維持費、ケンジントン宮殿での居住権を獲得しました。但し、HRH(ハー・ロイヤル・ハイネス=妃殿下)の称号は剥奪され、「プリンセス・オブ・ウェールズ」と呼ばれることになりました。 元妃は自らの「人々の心の王妃になりたい」という希望を有言実行するかのように、さまざまな慈善活動への取り組みを本格化させ、国民や世界中から注目と関心、そして人気を集めました。またこの頃からパキスタン人の心臓外科医ハスナット・カーン氏との交際、1997年7月からは、当時高級百貨店ハロッズや、パリのホテルリッツなどの所有者であったエジプト人実業家モハメド・アルファイド氏を父に持つエジプト人映画プロデューサーのドディ・アルファイド氏との交際が始まり、離婚後も更にダイアナ元妃はパパラッチから追われる身となりました。 悲劇的な最後 1997年8月31日の深夜、ドディ・アルファイド氏と共に乗車していた車が、フランス・パリのアルマ橋下のトンネル内の柱に激突し、ダイアナ元妃、ドディ・アルファイド氏、運転手のアンリ・ポール氏が死去したというニュースは、英国民のみならず世界中に衝撃と深い悲しみを与えました。あまりにもショッキングな出来事で、その死の真相は事故か陰謀か、さまざまな憶測が飛び交うこととなりました。 この時ダイアナ元妃は、36歳という若さでした。 死後、イギリス王室がダイアナ元妃の遺体を引き取り、準国葬の「王室国民葬」として葬儀が行われました。英国民の強いダイアナ妃哀悼の機運から、女王エリザベス2世が特別声明を出し、葬儀中にはバッキンガム宮殿に半旗が掲げられるという異例の処遇が取られました。 ダイアナ元妃の功績 ダイアナ元妃は生前、エイズ問題、ハンセン病問題、地雷除去問題など、慈善活動への人道主義的な取り組みが高く評価されていましたが、世界中の人々から永続的な人気を博すこととなりました。 また優雅で気品ある美しい容姿やファッションは、人々の羨望の的でした。 日本への訪問は三度あり、1986(昭和61)年の最初の訪日では、「ダイアナフィーバー」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。 ダイアナ元妃の系図から紐解く ダイアナ元妃の系図の中には、イギリス第61代、及び63代首相ウィンストン・チャーチル(サー・ウィンストン・レナード・スペンサー・チャーチル1874年11月30日 - 1965年1月24日)の名があります。さらにさかのぼると、アン女王(1665年2月6日-1711年8月1日)から与えられたブレナムパレスの城主、初代マールバラ公爵ジョン・チャーチル、その妻でアン女王のお気に入りの女官であったサラ・ジェニングス、ステュアート朝チャールズ2世、ジェームズ2世などの名もあり、イギリスの歴史を物語るかのような人物が多いことに驚きます。 チャールズ2世(1630年5月29日-1685年2月6日、在位:1660年5月29日 - 1685年2月6日)は、ピューリタン革命で処刑に追い込まれた父チャールズ1世の次男として誕生。 紅茶を飲む習慣をイギリスに持ち込んだポルトガルの王女キャサリン・オブ・ブラガンザを妻に迎えましたが、キャサリン妃との間には子は授かりませんでした。チャールズ2世は、13人いたといわれる愛人との間に、14人の子を設けましたが、それぞれの子には王位継承権が与えられず、その後王位は、弟のジェームズ2世に継承されました。 ジェームズ2世(1633年10月14日¬-1701年9月16日、在位:1685年2月6日 - 1688年)は、兄チャールズ2世の死去により王位に就き、姉の侍女アン・ハイドと結婚。 8人の子が誕生しましたが、成人したのはたった2人の姉妹だけでした。その姉妹の内の姉のメアリーは、従兄弟のウィリアムと結婚し、メアリー2世、ウィリアム3世として共同統治を行いました。 2人には子がいなかったため、メアリー2世に続きウィリアム3世がこの世を去ると、メアリーの妹アンが女王に即位しました。アン女王は、1707年、スコットランドをイングランドに併合し、グレートブリテン王国が誕生すると、最初の君主となりました。しかし、17回の妊娠の内、6回の流産や6回の死産、また産まれた子が1人も無事に成長せず、その悲しみを紛らわすために酒に頼り、「ブランディー・アン」というニックネームが付けられました。アン女王は、ステュアート朝最後の君主となりました。 このように、ステュアート朝直系の王位継承者は途絶えてしまったかに思えましたが、チャールズ2世とその愛人3人(ルーシー・ウォルター、ルイーズ・ケロワール、バーバラ・ヴィリアーズ)とのそれぞれの子、ジェームズ2世とその愛人(アラベラ)の子が、ダイアナ元妃の祖先の中に名を連ね、時を超えた現代に、ダイアナ元妃が生んだウィリアム王子が将来王位に就くであろうことを考えると、まるで、ダイアナ元妃は、過去と未来の王位継承の架け橋の役目を果たしたようにも思えてきます。 ダイアナ元妃に捧げられたバラ プリンセス・オブ・ウェールズ 1879年から続く英国ヨークシャーで設立された名門の育種会社ハークネス社が、ダイアナ元妃存命中に捧げたバラです。うっすらとパウダーピンクがのるつぼみは、その少しはにかんだ表情の頬の色と重なり、開花と共に花弁には、まばゆいほどの純白が現れ、清楚で洗練されたエレガントな美しさに満ちたダイアナ元妃と重なるかのようです。コンパクトな樹形に、花を際立たせる艶のある葉を持ちますが、日本の気候では、少々黒点病が出ることもあるようです。ハークネス社は、現在、育種・試作圃場等で、殺菌剤を使わずに新品種の選抜を行い、より健康なバラ、なおかつエレガントな香りのあるバラの育種に力を入れています。 ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ ‘エレガント・レディ’ (旧品種名‘ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ’)は、ダイアナ元妃が亡くなった翌年に作出され、この苗木の売上金の一部を「ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ記念基金」に寄付することを約束して‘ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ’という名が付けられました。現在は「ダイアナ記念基金」との契約が切れたため、‘エレガント・レディ’と改名されました。 高芯剣弁咲きの淡いクリーム色の花弁の先にピンクの覆輪をのせて、時間の経過と共に徐々にグラデーションがかかります。 また、今年2021年は、ちょうどウィリアム王子とキャサリン妃のご成婚10周年になります。 2011年に、ウィリアム王子とキャサリン妃のご成婚を祝して命名されたバラです。 「イギリスのバラ」といわれたダイアナ元妃は、自身が少女時代から望んでいた「愛し愛される」結婚には恵まれませんでした。しかし、母を愛し続ける2人の王子に恵まれ、世界中の人々から永遠に愛される「人々の心の王妃」であり続けていくことでしょう。
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ライフスタイル
バラのある暮らしをより豊かにしてくれる「食香バラ」
食香バラの故郷 「食香バラ」とは、観賞用のバラと異なり、飲食や香りに特化したバラで、その故郷は、中国山東省平陰県のバラの村「玫瑰鎮(めいくいちん)」です。 この村では、約1,300年も前の唐の時代から現在まで、食用、薬用のためにバラが栽培され、栽培面積3,500ヘクタール、バラの花の生産量9,000トン、バラ栽培に従事する農家は、3万戸に上ります。 中国でも特別な平陰県のバラ 中国ではバラを一般に「玫瑰」(メイグイ)といい、たくさんの玫瑰がありますが、「食」に利用する玫瑰として中国政府に認定されているのは、この平陰県の玫瑰だけです。 この特別な、平陰県の玫瑰と出会い、その魅力の虜となった浦辺苳子さん(現、中国平陰県玫瑰推広大使、株式会社Flos Orientalium代表)が、何度も平陰県まで足を運び、現地の方々との信頼関係を築き、やっとのことで、日本国内への平陰玫瑰を「食香バラ・千年のバラ」として、輸入し紹介されるに至ったのは2016年のことでした。 日本で育つ3品種の食香バラ 現在、平陰玫瑰「食香バラ・千年のバラ」は、日本に3品種紹介されています。 豊華(ほうか) 花弁が50枚ほどの重弁で、中輪の美しい花を咲かせます。一枝につぼみを多数付けますが、他のバラより少し早くから咲き始め、一気に咲くのではなく毎日1~2輪ずつ開花するので、春の間中長く楽しむことができます。 ダマスク香にスパイシーな香りと甘さが加わった、大変豊かで心地よい香りがします。 花弁はワックス成分が少ないため、とても柔らかく、美味しくいただけます。 紫枝(ずず) ‘豊華’より一回り大きく、セミダブル咲きとなります。春の一季咲きの‘豊華’とは異なる四季咲き性で、棘の少ない枝は冬には綺麗な紫色になります。 こちらもダマスク香に、スパイシー香が混ざる心地よい香りですが、甘さや強さは、‘豊華’のほうがより際立っています。 唐華(とうか) 昨年2020年の秋、日本に初めて紹介され、今年の春から苗の販売が開始された品種です。 純白の花弁は、爽やかで清楚な印象です。花は一日花で、咲いた翌日には散ってしまいますが、四季咲き性で、咲いた花をその日のうちに収穫すれば、豊かな香りと味わいがバラのある暮らしをより豊かなものにしてくれることでしょう。 食香バラを育てた私の実感 私は、2017年の春から庭で食香バラを育てていますが、このバラが自宅に来てくれたお陰で、さらにバラの用とや可能性が広がり、暮らしが豊かになったと実感しています。 食香バラが来る前は、どのバラが食べた時に苦みやえぐみが強いか、それとも少ないか、食して美味しいバラはどの品種なのか知るために、さまざまなバラの花弁を試食しました。お茶にして美味しい品種、ジャムなど火にかけて美味しい品種、火にかけると苦みやえぐみが強くなる品種、いくら火にかけても柔らかくならない品種、すぐ柔らかくなる品種……というように、その答えを出すための作業に長く時間を要しました。 しかし、食香バラは、ズバリ食べるためのバラ! 香りを楽しむためのバラですから、ワックス成分の少ない花弁は食べて美味しく、香りも豊かです。この食香バラがあることで、さまざまなお料理やお菓子にと、楽しみ方がさらに広がりました。 食香バラの育て方は? 食香バラの育て方については、基本的に他のバラと同じです。 ただ、気を付けたいことがあります。それは、せっかく食べられるバラですから、農薬をかけたり、化学肥料ばかりに頼って育ててしまうことは、避けなければいけないということ。 幸い食香バラは、病害虫の被害がほとんど無く、無農薬で育てることができます。そして、化学肥料ばかりを使用すると、苦みやえぐみが強く感じられるようになってしまいますので、冬に元肥を施す際や、春に追肥を施す際には、可能な限り有機質肥料で育てることをおすすめします。また、春に花が次々咲くことも考慮し、リン酸分も不足しない程度に施すとよいようです。 日本初の食香バラの農場を訪ねて 今年の4月、グランドオープンした群馬県「中之条ガーデンズ」では、食香バラの日本初となる生産農場が誕生しました。 さらに「中之条ガーデンズ」では、バラ好きには見逃せないローズガーデンがあり、約400種、1,000株を超えるバラたちが、7つのセクションに分かれて植栽され、6月には満開を迎えました。 ローズガーデンをデザインされたのは、空間デザイナーの吉谷博光さん、植栽を担当されたのは「横浜イングリッシュガーデン」のスーパーバイザーも務めるバラの専門家、河合伸志さんです。 一歩進む度に、テーマ毎に区切られたセクションのバラやさまざまな植物たちが生き生きと美しく出迎えてくれて、大変見応えがありました。 こちらでは、浦辺苳子さんや小杉波留夫さん(東アジア植物研究家・グリーンアドバイザー)による食香バラについての講演や、実際に農場で食香バラを摘み、蒸留やジャン作りなどのワークショップが開催されていました(2021年5〜6月の開催は終了しました)。 食香バラのジャン作り 中国では、果物と砂糖を混ぜ合わせ、発酵させたものを「ジャン」といいます。果物の代わりに食香バラを使用し、砂糖とよく混ぜ合わせて作るジャンは、ジャムのように火にかけることはしないので、食香バラの香りが揮発せず、ダイレクトに香りや味わいを楽しむことができます。 出来上がったジャンは、ジャムと同様、ヨーグルトに混ぜたり、紅茶に加えたり、またお料理に利用したりと、用途はさまざまです。私は、家の食香バラで、小分けにジャンを作り、そのまま冷凍保存し、バラの無い時期でもバラの香りや味わいがいつでも楽しめるようにしています。 今回参加させていただいたワークショップでは、作ったジャンや残りの摘んだ花をお土産に持ち帰りもできました。 翌日は、自宅に持ち帰った食香バラで、早速ローズシロップを作り、炭酸で割って、ローズドリンクをいただきました。 甘く豊かな香りが口の中に広がり、バラのある暮らしの豊かさを心から嬉しく思いました。 ぜひ、皆様も食香バラを暮らしの中に加えていただきたく思います。 また、バラが咲く季節が再び訪れたら、美しいガーデン散策も楽しみながら目を楽しませ、食香バラの歴史や文化を深く学べる群馬の中之条ガーデンズを訪れてみてはいかがでしょうか。 資料提供/浦辺苳子
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育て方
実録! バラがメインの庭づくり第17話「移植してから15カ月目に満開のバラたち」
過去最高に早く咲いた2021年のバラたち 今年の春のバラの一番花の時期も、そろそろ終わりを迎える頃となりました。皆さんのお庭の春のバラは、いかがでしたでしょうか? 例年より約3~4週間も早く咲き始めた今年のバラたちでしたが、何処も花付きがよく、今年はバラの当たり年でもあったようです。 さて、今回は、以前の庭から移植し、15カ月目を迎えた今年5月の私の庭のバラたちの様子をご報告いたします。移植当時、「植栽計画図」を作成し、おおむねその通りに植栽したバラたちが、2回目の春を迎え、株も大分充実し、花数を増やしてくれました。 移植したバラを枯らさないように育てるということが第1目標だった昨年の庭に、今年は、新たに購入したバラも加わり、バラがメインの小さな庭は、ますます狭くなってしまいました。 【エリア1】門・エントランス周りのバラたち 門の西側のフェンスに誘引したバラや、エントランス付近のバラは、門柱のタイルの色に合うよう、黄色~アプリコット~白の花色のバラを配置しました。 壁面に誘引した‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’(R/1916年/フランス/Eugène Turbat & Compagnie作出)は、大変花付きがよく、スパイシーな香りに、ミツバチたちも集まっていました。 アプリコット色の‘アブラハムダービー’(S/1985年/イギリス/David Austin作出)と、その後ろはクリーム色の‘クロッカスローズ’(S/2000年/イギリス/David Austin作出)。 玄関前には、黄色の‘ゴールデン・ボーダー’(F/1993年/オランダ/Verschuren社作出)と白の‘スノーグース’(S/1996年/イギリス/David Austin作出)の組み合わせ。 【エリア2】中庭のバラたち エントランスから、右側(東側)にあるバラの中庭へのアプローチ。芝の緑と、ジギタリスやオルレアの草花がバラの彩りを引き立ててくれました。 エントランスから中庭へ進むと、ピンクや赤の強い花色が庭の印象を変えてくれています。右手にはアーチのあるディスプレイコーナー。左奥は、サンルームがあります。 バラの花壇の‘マサコ(エグランタイン)’(S/1994年/イギリス/David Austin作出)は、白い小花のオルレアとハーブのヤロウなどが咲き競って、優しい景色にうっとり。 バラの花壇の後方に植栽した‘バレリーナ’(HMsk/1937年/イギリス/Bentall作出)。 【エリア3】サンルームを囲むバラたち 窓を開け放てば、バラの香りを全身で浴びることができます。身近に楽しめるようにと、サンルームを取り囲むようにバラを植栽しました。 サンルームの正面に備えた南側アーチには、‘フランソワ・ジュランヴィル’(R/1906年/フランス/Barbier Fr res & Compagnie作出)を「しめ縄仕立て」に誘引しました。 サンルームの前は、地植えしているバラの前に鉢植えのバラを置き、いつでもサンルームから花咲く姿が見られるように、鉢植えを置き換えながら楽しみました。 【エリア4】公道側の花壇のバラたち 樹木に絡ませた‘ポールズ・ヒマラヤンムスク’(R/1916年/イギリス/George Paul作出)と、その手前下には「バラ摘みコーナー」として植栽した‘マイカイ’(Ch)と食香バラ‘豊華’(Ch)。白と赤のメリハリのあるカラーリングです。 ‘マイカイ’と‘豊華’は、どちらも中国原産のバラで、古くから薬用や食用に栽培されてきました。中央が‘マイカイ’で、左右に‘豊華’を1株ずつ植栽。 朝のバラ摘みは、この季節の楽しい日課となりました。 公道に面した南西の一部のコーナーは、常緑樹の後ろ側になるため、あまり日光が当たらない場所です。そのため、白いテーブルやイス、アーチを置き、移動できる鉢植えのバラのコーナーとしました。赤紫のバラは、‘ミステリューズ’(F/2013年/フランス/ドリュ作出)。 【エリア5】公道に面したフェンスを彩るバラたち 南側の公道に面した白いフェンスには、花がたくさん咲き、うつむいて枝垂れるようなつるバラやランブラーローズを選びました。 手前は、花もちがよく、中輪の花が房咲きになる‘ジャスミーナ’(Cl/2005年/ドイツ/コルデス作出)、奥の白い中輪房咲きのバラは、‘ボルティモア・ベル’(R/1843年/アメリカ /Samuel Feast作出)。 エントランスそばのフェンスの角地には、‘メイ・クイーン’(R/1898年/アメリカ/Dr. Walter Van Fleet作出)が、たくさんのつぼみをつけて、以前の庭にあった頃と変わりない姿で咲き誇りました。 春、我が家で最後に咲き始めるのは、ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ(別名:ツクシイバラ)(Sp)。暖地を好むバラなので、西日が当たる明るく暖かい場所に植栽しました。 バラ開花後の最初の作業「花がら摘みと剪定」 1枝に何輪か咲いたバラも、花がらを徐々に取り除き、最後の1輪もそろそろ取り除く時期となりました。 5枚葉の上で枝を剪定しておけば、四季咲き性のバラは、そこから芽を伸ばし、二番花を咲かせてくれます。 2021年の春を振り返って 今年は、とにかく冬~春にかけて高温の日が多く、バラは、今までで一番早い開花となりました。その現実に、なかなかこちらの頭や体が付いていけず、困惑の中、バラのシーズンを迎えたように思います。 しかしながら、昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で、自由に行動ができない中であっても、バラは花を咲かせ、今年も確実に元気や勇気、癒やしを与えてくれました。 どんな時代、どんな環境でも、気高く咲いて、優しく微笑みかけてくれる存在。改めて、バラという植物の偉大さを見つめ直した今年の春だったかと思います。ちなみに、今年の春の私の庭のバラたちの満開日は、5月12~14日であったように思います。さて来年は、どうなることか、引き続き、バラと共にある暮らしを続けて参ります。 バラの最盛期に開催したバーチャルオープンガーデン 5月12日(水)15時より、神奈川県にある元木はるみさんのバラ咲く庭から中継でオンラインオープンガーデンを開催しました。無農薬~低農薬栽培でバラを育てて、花びらやローズヒップを暮らしに活用している元木さん。仕立て方のテクニックやお気に入りの品種などをご紹介いただきました。また、当日はサンルームにバラのプチパーティーのテーブルセッティングも登場! バラのおもてなしのこだわりも教えていただきました。ぜひ、ご覧ください。 YouTubeライブ配信URLはこちら
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育て方
実録! バラがメインの庭づくり第16話「早咲きのバラと一番花の楽しみ方」
これまでで一番早いバラの開花 3月も4月も高温の日が多く、今年のバラの一番花は、今までで最も早い開花となりました。 関東に住む私の周辺でのバラの開花は、例年、4月下旬~5月上旬頃に早咲きが咲き始め、5月中旬頃にほとんどのバラが満開となり、そして、5月中旬以降は遅咲きのバラが咲き始めるというスケジュールでした。 しかしここ数年は、毎年開花が早くなっているようで、特に今年は、4月中旬頃には関東地方では早咲きのバラが満開となるなど、その傾向が顕著となりました。 今回は、特に早い開花となった早咲きのバラにスポットを当てて、どんな品種があるかを、ご紹介します。 バラの季節の始まりを告げる早咲きのバラたち 1.ロサ・バンクシアエ・ルテア キモッコウバラでお馴染みのこちらの黄色の八重咲き種は、白のモッコウバラより数日早く開花し、あちらこちらで、日本のバラの季節の始まりを告げてくれます。 2.ロサ・バンクシアエ・バンクシアエ 白の八重咲き種のこちらのバラは、1807年に、英国のキュー王立植物園園長ジョセフ・バンクスの下で働くウィリアム・カーが、中国広東省付近で発見し、ヨーロッパに初めて紹介しました。 3.ロサ・バンクシアエ・ルテスケンス 黄色の一重咲き種のこちらのバラは、ロサ・バンクシアエ・ルテアの枝変わり品種といわれています。 4.ロサ・バンクシアエ・ノルマリス 5.ロサ・ラエウィガータ 中国原産で、一説には、難波商人によって日本へ持ち込まれたために「ナニワイバラ」と呼ばれるようになったとのことです。花は大輪の白の一重で、株は大変大きく育ちます。大きな艶のある葉は常緑で、冬には落葉しませんが、春に花が散る同じ頃、古い葉を落とします。 6.ロサ・ラエウィガータ・ロゼア 花は大輪のピンクの一重咲きで、ナニワイバラの変種といわれています。主に、埼玉県鳩ケ谷市で生産販売されたために「ハトヤバラ」と呼ばれます。 7.ロサ・キネンシス・スポンタネア 長い間、「幻のバラ」であったこちらのバラは、日本人植物学者の荻巣樹徳氏によって、1983年、中国四川省で発見され、中国のバラの基本種の一つとして野生種の意味である「スポンタネア」が名前になりました。上写真のような濃い赤橙色のものや、以下の写真のように薄いピンク色のもの、また他にもさまざまな花色があります。 8.ロサ・キネンシス・オールドブラッシュ 18世紀後半から19世紀前半にかけて、中国からヨーロッパに渡った代表的な4品種のうちの一つで、このバラが主に四季咲き性をヨーロッパのバラにもたらしました。英国人のジョン・パーソンズが栽培に成功し、‘パーソンズ・ピンク・チャイナ’と呼ばれ、‘オールド・ブラッシュ’の名で広まりました。 9.‘マイカイ’ 香りの素晴らしい‘マイカイ’の花が咲くと、その花弁を利用したローズティーをいつも楽しんでいます。中国では、「マイカイ」という名称はバラの代名詞としても使われ、古くから観賞だけでなく食用や薬用に利用されてきました。 10.‘サフラノ’ 剣弁のセミダブルの花は、細い枝によくマッチして、優し気な雰囲気です。明治時代、日本で「西王母」という名で流通していました。 11.リージャン・ロード・クライマー 1993年に、イギリス人によって中国雲南省の麗江路 (リージャン・ロード)で発見されました。大株に成長し、開花時期は圧巻の風景です。 12.‘ソンブレイユ’ 中~大輪のアイボリー色のロゼット咲きの花は大変美しく、秋にも返り咲きます。 13.ロサ・ユーゴニス アメリカの絵本作家で挿絵画家、園芸家でもあったターシャ・テューダーが、3歳の時、電話を発明したベルの庭で見かけ、植物に惹かれるきっかけとなったバラです。レモン~クリームイエローの一重の花を、枝に並ぶように咲かせます。1899年、ヒューゴー神父が中国北中部から、イギリスのキュー王立植物園に種子を送ったといわれています。 14.‘カナリーバード’ 謎の起源のバラですが、交配親は、13番に紹介したのロサ・ユーゴニスと、ロサ・クサンティナではないかと推測されています。枝に並ぶように咲く、明るい一重のレモンイエローの花が一際目を引く品種です。 15.ロサ・ムルティフローラ 淡いピンクがかったつぼみから白い小輪の5弁の花を咲かせます。日本各地の山野に自生し、バラの台木として利用されています。 16.ロサ・アシクラリス 花径5cm程の紅紫色の一重咲きで、東アジアの冷涼な場所や高山に自生します。 17.‘スパニッシュ・ビューティー’ 大輪の花を俯き加減に咲かせる姿は、まるでドレスのようでエレガントです。 やや早く咲き出すバラたち 18.‘ベルベティ・トワイライト’ 光沢のある波状弁のワインレッドの美しい花は、ガーデン&プロダクトデザイナーの吉谷桂子さんへ捧げられ、命名されました。豊かなダマスク香も魅力的。 19.‘ローズ・ポンパドール’ ロココ時代のルイ15世の公妾、ポンパドール夫人に捧げられたバラ。豊かなフルーティーな香りで、ボリュームのある花を咲かせます。我が家では、フェンスを支えにして咲かせています。 20.‘ナディーナ・エクセラリッシ’ 花は、アプリコットイエローの中心から外側に向かってアイボリーの花弁が重なり、美しいロゼット咲きに変化します。爽やかなフルーティー香です。 21.‘オリビア・ローズ・オースチン’ 愛らしいピンクの花色に、育てやすい樹形、今の庭では花壇の前側を優しく彩ってくれていますが、鉢植えでもよく咲いてくれました。 22.‘ウィンチェスター・キャシードラル’ ピンクがかるつぼみから、アイボリーの緩やかなロゼット咲きの花を咲かせます。1983年に作出された‘メアリーローズ’の枝変わりです。同じく枝変わりの‘ルドゥーテ’とこちらのバラの3品種とも、他のバラに比べてやや早くに咲き出します。 早く咲いた一番花の楽しみ方 早いとはいえ、待ちに待ったバラの季節の始まりを告げてくれる庭の一番花の開花は、本当に嬉しい気持ちにさせてくれます。 そのまま、咲いている姿を眺めたり、写真を撮ったり、絵を描いたりとさまざまな楽しみ方があるかと思いますが、もし部屋に飾る場合は、これから咲くつぼみを株に残して、咲いた花と花茎部分だけを切り取って飾るようにしたいものです。 飾り方1 水を張ったトレイに、置いて並べるだけの簡単アレンジ 庭で咲いている草花をプラスし、2段重ねにしてみました。写真のバラは、‘ウィンチェスター・キャシードラル’、‘レーヌ・デ・ヴィオレッタ’。 飾り方2 ティーカップに浮かべる カップに持ち手がついているので、バラを顔の近くまで運び、香りや花色を間近で楽しむのにとても便利です。写真のバラは、‘エレン・ウィルモット’。 飾り方3 器に浮かべる 自分の感性に合った器とのマッチングを自由に楽しみましょう。写真は、コデマリとバラ‘レーヌ・デ・ヴィオレッタ’。 飾り方4 リース形のオアシスに挿す バラの一番花と庭の草花を詰め込んで、植物が与えてくれる幸せな一時を味わいましょう。写真のバラと庭の草花は、飾り方1と同じです。 早く始まった今年のバラの季節、心ゆくまで楽しみたいですね。 5月12日(水)15時〜 オンラインオープンガーデン配信! 5月12日(水)15時より、神奈川県にある元木はるみさんのバラ咲く庭から中継でお届けします。無農薬~低農薬栽培でバラを育てて、花びらやローズヒップを暮らしに活用している元木さん。仕立て方のテクニックやお気に入りの品種などをご紹介いただきます。また、当日はサンルームにバラのプチパーティーのテーブルセッティングも登場! バラのおもてなしのこだわりも教えていただきます。 参加をご希望の方は、下記のクラブ会員サイトよりお申し込みください。 ●ガーデンストーリークラブについてのご案内はこちらのページをご覧ください。 また、ガーデンストーリークラブ会員以外の方も、オンラインオープンガーデンの様子をYouTubeの同時ライブ配信でご覧いただけますので、どうぞお楽しみに! YouTubeライブ配信URLはこちら→https://youtu.be/CNwc1siema0
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育て方
実録! バラがメインの庭づくり第15話「美しいバラの新緑の時期と鉢植えギフトローズの管理方法」
3月の庭の様子 写真は、現在の庭の様子です。今年は3月に気温の高い日が多く、昨年に並んで桜が観測史上最も早く開花し、バラの展開も早いように思います。 テラス前の四角いアーチに誘引しているバラ‘フランソワ・ジュランヴィル’(R/仏 1906年/Barbier Frres & Compagnie作出)も、葉が茂り始めました。 今年は、バラが植わる花壇の縁取りに、コンパクトな株で花付きのよいマーガレットの‘スマッシュ’と、斑入り葉のアベリア‘コンフェティ’を交互に植栽しました。 鉢植えのバラの縁取りは、芝地との境界線が馴染むよう昨年から植えているカレックスの間に、バーベナやセダムなどを追加しました。 すでに小さなつぼみを見せてくれているバラもいくつか現れています。 欠かせない毎日の見回り時に、ゾウムシによる被害を発見することもあります。 上写真のように、新芽がカサカサした状態になっていたら、新芽の基部をゾウムシに食害されているサインです。 これが、ゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)です。3mmほどの小さな甲虫ですが、新芽やつぼみに与える被害は甚大です。 ゾウムシは、新芽の基部に潜んでいることが多く、また捕らえようとすると、自ら地面に落ちて逃げてしまいます。捕獲する際は、写真のような箱の蓋などを利用すると逃さず受けやすいです。 バラの新緑が美しい季節! 葉の特徴を見比べましょう ‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’ 白いフェンスに、鮮やかなグリーンの小葉を展開する‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’。 ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ 爽やかな黄緑色の葉を展開する丈夫なバラ。九州に自生し、温暖な気候や日当たりを好みます。 ‘マリー・アントワネット’ 光を受けて輝く、艶のある照り葉の‘マリー・アントワネット’ 。 食香バラ‘豊華’ 中国山東省平陰のバラの村からやってきた食香バラ‘豊華’(日本名)。ロサ・ルゴサの縮んだシワのような特徴の葉を持ちます。こちらのバラは、花を食用に使用しますので、ずっと無農薬で育てていますが、病害虫で特に困ったことはありません。 ‘サフラノ’ ティーローズの多くの品種が、赤茶色の新芽や新緑を見せてくれますが、こちらの‘サフラノ’も、現在とても美しい葉色を見せてくれています。 ‘ヴィウー・ローズ’ 葉色のみでも存在感のある赤茶色の新芽は、艶のある紫を帯びたグリーンへ。その後、花の咲く頃には、特徴的な黒色を帯びた艶のある深いダークな濃緑色へと葉色が変化します。 ‘オデュッセイア’ 鉢植えで管理している ‘オデュッセイア’。赤紫の新芽は、徐々にグレーがかり、モダンな雰囲気を纏いながら美しい新緑を見せてくれます。 ロサ・ルキアエ・ヴァリエガータ ピンク色の新芽は、やがて白い斑入りの美しい小葉に変化します。この新芽の色は、今の時期しか見られない貴重な一瞬です。 人気の鉢植えギフトローズの管理方法 2月、3月のバレンタインデーやホワイトデー、卒業や退職や移転、また、5月の母の日やバースデーなどのギフト、それに加えて、おうち時間の増加による自分へのギフトとしても、鉢植えのギフトローズが最近人気を集めています。 私も、ホームセンターに行った際、お洒落なラッピングに包まれ、花が綺麗に咲いていたコンパクトな鉢植えのギフトローズを、一つ自分用に買って帰りました。 鉢植えギフトローズは、一番きれいな時に販売されていることが多く、生き物ですから、次第に花は枯れて、葉は茶色くなったり落葉します。 今回は、花を楽しんだ後の、鉢植えギフトローズの簡単な管理方法をご紹介します。 バラの品種名は記されておらず、名前が解らないのは残念でしたが、ダークな濃緑色の葉に、オレンジの花色がマッチし、モダンな印象です。 株は小さく、花はミニバラとフロリバンダの中間のパティオローズのような大きさです。このような鉢植えギフトローズが家にやってきたら、まずは、ラッピングを外し、鉢が小さい場合が多いので、毎日水やりをし、なるべく日光が当たる場所に置いてあげましょう。 現在、花はほとんど終わり、葉はまだ茂っている状態です。株元を見ると、1株ではなく挿し木が6本ほど植栽されていることが分かります。 鉢が小さく、このままだと根詰まりを起こしたり、またウォータースペースが少ないため、バラが育ちにくく、弱ってしまうかもしれません。 きっと四季咲き性のバラだと思いますので、一回り大きな鉢に植え替え、肥料や水を与えることで、また次の花を咲かせたいと思います。 *挿し木を1本ずつ鉢に分ける作業は、冬の休眠期に行います。 ギフトローズの植え替えの方法 <用意するもの>バラの用土と肥料(肥料は元肥用で、根に触れても安心なものに限ります)、現在植わっている鉢より一回り大きい鉢、鉢底石、鉢底用ネット 鉢底にネットを敷き、鉢底用の土を入れ、その上にバラの用土とバラの肥料を適量入れます。 用土と肥料を軽く混ぜ合わせておきます。 植え替え時には、咲き残っていた花や枯れ葉を取り除き、枝を少し詰めて整えておきましょう。 根鉢を崩さないように、引っ張って抜くのではなく、鉢を逆さにしてからやさしく抜き取ります。 根鉢を崩さずに、元の鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。 なお、鉢植えの場合は、いきなり大きすぎる鉢に植え付けず、徐々に鉢を大きくしていくほうが生育がよく、花付きもよくなります。 植え付け後、株元にたっぷりと水を与えます。屋外に置き、雨天以外には水を与えましょう。 このように少しの手間で、バラは、また暮らしに癒やしや潤いをもたらしてくれるはずです。