庭の植物たちも冬の休暇に向けて、落ち葉のふとんを厚く重ねる季節。街もすっかりクリスマスの雰囲気ですね。家族と一緒に過ごすおうち時間のクリスマスに向けて、冬ならではの自然素材を使った手作りデコレーションに挑戦してみませんか? 今回は、自宅に咲いたバラや常緑樹などのクリスマス・プランツを使って雰囲気作りを楽しんでいる「日本ローズライフコーディネーター協会」代表の元木はるみさんに、演出のコツや作り方について、3タイプ教えていただきます。
目次
「バラのXmasテーブルリース」の作り方
クリスマスのティータイムや食事の時など、テーブルの中央にリースがあるだけで普段とは違う華やいだ雰囲気をプラスすることができます。
リースは、もともと紀元前の古代からあったといわれ、「輪」の形には、「永遠」の意味が込められました。冬でも葉を落とさず、緑を茂らせる常緑樹は、「永遠」や「豊穣」「繁栄」の象徴として崇められ、常緑樹を使用したリースは、冬至や新年などのお祝い事に使用されるようになっていったとのことです。
<用意するもの>
- サークル形の吸水スポンジ
- 吸水スポンジが収まる皿やプレート
- 常緑中低木のシルバープリベットの枝
- 秋咲きのバラ(大輪から小輪15輪ほど)
- 白いポインセチア‘プリンセチア’
- ランタナの実
<作り方>
- 水を含ませた吸水スポンジに、枝を短くカットしたシルバープリベットを側面と内側にぐるりと一周、まんべんなく挿していきます。
- 花茎を短く切ったバラを間に挿していきます。3輪ずつを1つのグループとして3カ所に分けて挿すとバランスよく仕上がります。ここでは、大輪のバラを使ったので3カ所に分けましたが、花の大きさによって、4~6カ所に分けてもよいでしょう。
1つのグループの中央に使う花は、3輪のなかで一番大きな花にするとバランスがよくなります。3輪のうち、中央と左は‘ナディーヌ・エクセラリッシ’(F)、右は‘クロッカスローズ’(S)です。この時期、庭に咲くバラの数には限りがありますので、同じ品種で3輪揃わない場合は、同系色のバラを組み合わせるとまとまりがよくなります。 - バラのグループの間に、白い葉が美しいポインセチア‘プリンセチア’を挿します。クリスマス・プランツのポインセチアを入れることで、一気にXmasリースに早変わりです。
- ‘プリンセチア’の中央に、アクセントとして青黒く艶のあるランタナの実を乗せました。このようにテーブルを彩るアレンジメントには、なるべくナチュラルな素材を使用するといいですね(ランタナの実は食べることができませんのでご注意ください)。
- 隙間を埋めるように、小輪のバラ‘スノー・グース’(S)を挿して完成です。
中央にキャンドルを置いて、温かいクリスマスの雰囲気を演出。クリスマスのティータイムにいかがですか。
テーブルリースのバラが枯れ始めたら、土台の常緑樹の部分はそのままにして、新しいバラと交換し、クリスマスシーズンを長く楽しみましょう。
「バラのXmasキャンドルナイト」の作り方
バラの花を小さなグラスに浮かべて並べただけでも心がときめくほど綺麗ですが、クリスマス・プランツとキャンドルをプラスして、クリスマスの雰囲気を演出します。
<用意するもの>
- 常緑樹のコニファーの枝葉
- ピラカンサの赤い実
- 小ぶりのグラス
- 大小のキャンドル
- ケーキスタンドなど
<作り方>
コニファーの葉を敷き、ピラカンサの赤い実をプラスし、バラのグラスの間に、小さなキャンドル(ティーキャンドルやアロマキャンドル)を配置しました。
キャンドルの灯りに照らされたバラの花は、ロマンチックなクリスマスの雰囲気作りにぴったりです。
「バラとローズマリーのXmasアレンジメント」の作り方
常緑で強い独特な香りと、さまざまな効能や効果が神秘性と結び付き、古代から魔除けや守護に利用されてきた聖なるハーブ、ローズマリー。聖母マリアやキリストとの関係も深く、クリスマスのハーブと伝えられています。
そのローズマリーとバラ、ローズヒップなどを使うアレンジメントです。
<用意するもの>
- 吸水スポンジ
- キャンドルスタンド
- キャンドル
- 這性ローズマリー
- ローズヒップ
- バラ(赤色など)
- ランタナの実
- 常緑小低木のハクチョウゲの枝葉
- 赤いリボン
<作り方>
- キャンドルスタンドに水を含ませた吸水スポンジをセットし、中央にキャンドルを挿します。
花材は、前列左がローズマリー(這性)、右は斑入りのハクチョウゲ、後列左は‘バレリーナ’(HMsk)のローズヒップ、右はランタナの実。そして、仕上げ用の赤いリボン。それぞれ挿しやすいように短めにカットしておきます。
- 這性の枝の特徴を生かしながら、ローズマリーをキャンドルの足元に挿していきます。
- 間にローズヒップの枝を挿していきます。
- 赤いバラ‘オデュッセイア’(S)を間に挿し、ランタナの実と斑入りのハクチョウゲを隙間に挿していきます。キャンドルスタンドの脚に赤いリボンを結んで完成です。
部屋中にローズマリーの香りが広がり、オレンジポマンダーなどのスパイスの香りとミックスされて、このクリスマスの時期を目と鼻で楽しませてくれます。
ご紹介した3つのクリスマスアレンジに使用した花材は、鉢苗のポインセチアを除いて、樹木もバラもすべて自宅の庭から調達しました。このように、アレンジメントにも利用できる樹木を庭に取り入れると、庭のある暮らしが豊かになります。ぜひ来年の庭づくりに、バラ以外の植物をプラスすることを計画に入れてみてはいかがでしょうか?
今年もあと残り少なくなった日々を庭からの恵みに感謝し、植物たちと共に過ごしていきたいですね。
皆様も、どうぞよいクリスマスシーズンをお過ごしください。
Credit
写真&文 / 元木はるみ - 「日本ローズライフコーディネーター協会」代表 -
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
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