夏の大輪花から、冬の枯れ芙蓉まで。庭で四季の移ろいを感じる「フヨウ」の育て方
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夏にハイビスカスのような大輪の美しい花を咲かせる「フヨウ(芙蓉)」。じつは、花が咲き終わった冬に実や枝葉が枯れた姿は「枯れ芙蓉(かれふよう)」と呼ばれ、冬の庭に情緒を添える植物として古くから親しまれています。
日本に自生しているので育てるのは簡単で、放置気味でも毎年花を咲かせてくれますが、少しのコツでさらに美しくたくさんの花を咲かせることができます。今回は、四季の移ろいを庭で感じさせてくれるフヨウの魅力と、上手に育てるための基本を栽培のプロがご紹介します。
目次
フヨウの基本情報

植物名:フヨウ
学名:Hibiscus mutabilis
英名:Confederate rose、Dixie rosemallow、Cotton rosemallow
和名:フヨウ(芙蓉)
科名:アオイ科
属名:フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
原産地:中国
形態:落葉低木
夏を彩る美しく大きな花が咲く、落葉性の低木です。寒さには弱く、関東地方以南の地域で地植えすることができます。温暖な四国や九州、沖縄では自生しますが、以前栽培した株が野生化したものとされます。
ハイビスカスなどと同じ仲間で、花は似ています。アメリカフヨウと交配が可能で、アカバナフヨウなどの交配種があります。
古くから栽培され、寺院などで植えられて名所になっていることがあります。芙蓉布は木の皮の繊維から作られ、衣類などに利用されてきました。
流通する品種は多くありませんが、ピンクや白の花色があり、スイフヨウやシチメンフヨウなど八重咲きの花などもあります。
フヨウの特徴・性質

園芸分類:花木、庭木
樹高:1.5~5m
開花期:7月~10月
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
生育が早く、暖地では4m以上の高さになります。沖縄などでは冬も常緑です。よく枝分かれして横方向にも広がり、植える場所は広いスペースが必要です。
関東地方などでは、冬は寒さで地上部の枝や葉が枯れる場合が多いです。地下部が生きていれば春に新枝が伸び、2m近くの高さに生育して花を咲かせます。霜がほとんど降りない地域では枝が生き残りますが、葉は落葉します。
掌状の大きな葉は10~15cmほどで、密に毛があります。花は直径15㎝ほどの大輪で、朝に咲いた花は夕方にしぼむ一日花です。花の中央部の雌しべの先は、上向きに曲がります。
成長が早く大きく育つため、鉢植えでの栽培には向きません。大きな鉢に植えれば花は咲きますが、多くの花は望めないでしょう。
枯れ芙蓉

花後に実がたくさんができ、強い寒さに当たると地上部は枯れて葉は落葉します。実や枝葉が枯れた姿は「枯れ芙蓉」と呼ばれ、冬の庭の趣のひとつとして親しまれています。
フヨウの仲間
スイフヨウ Hibiscus mutabilis f. versiclor

花は八重咲きで、花色が変化するフヨウの変種です。咲き始めは白色で、だんだんとピンクから濃いピンクへと変化します。花色が変化する様子を「酒に酔う顔色」に例えたことが、名前の由来です。
フヨウの栽培12カ月カレンダー
植え付け適期:3~5月
肥料:1~2月、6~9月
フヨウの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりがよく、有機質の多い肥沃で水はけのよい場所が適します。寒さには弱いので、冬の冷たい北風が当たる場所に植えるのは避けてください。
生育温度
15~30℃が生育に適した温度の目安です。夏は暑さで弱ることはほとんどありませんが、乾燥に注意してください。
冬越し
最低温度の目安はマイナス5℃です。スイフヨウは寒さにさらに弱いので注意してください。霜が降りる地域では北風を防ぎ、防寒対策をよく行うことで越冬できます。
フヨウの育て方・日常の手入れ

水やり
根付けば、水やりはほとんど必要ありません。ただし夏に雨が降らず、土壌が極端に乾いた場合は水やりしてください。
鉢植えで育てている場合は、鉢土が乾いたら水やりします。夏に乾燥が激しい場合は、毎日水やりしてください。
肥料
冬に枝が枯れない温暖な地域では、落葉期の1~2月に堆肥と油かすなどの肥料を株の周囲に施します。
生育中に肥料切れで花付きが悪くなることがあるので、6~7月と9月に3要素が等量の化成肥料や骨粉入り油かすなどを追肥します。肥料切れで葉が黄色くなってきている場合は肥料を規定量与え、問題なく生育している場合は規定量の1/3程度与えればよいでしょう。
鉢植えで育てている場合は、5~10月に3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量施してください。
病害虫
葉を食害するハマキムシやイモムシ類が発生します。薬剤が効きにくいので、ハマキムシは葉ごと切って取り除くか、補殺するなどして退治してください。
アブラムシが枝先の柔らかい部分などに発生することがあります。見つけ次第、薬剤で防除してください。
フヨウの剪定・防寒対策

冬の落葉期に行います。暖地では背が高くなるので、毎年強めに切って全体をコンパクトに整えるとよいでしょう。花は新しく伸びた枝先に咲くので、剪定の失敗で花が咲かなくなることは、ほぼありません。
充実した枝に花が咲きやすいので、細い枝は基部から取り除きます。枝が重なるなどして混みあった部分は間引いて、株全体に日光が当たるようにしてください。太い枝も強めに切り戻すと、樹高を抑えることができます。
寒さで地上部の枝がほぼ枯れる地域では、幹を株元から15~20cmくらいの位置で切り戻します。防寒対策として厚めにワラなどを株の周囲に敷き詰め、土壌の凍結を防ぐとよいでしょう。
フヨウの手入れ作業

花がら摘み
開花後にタネをつけやすいです。咲き終わった花を摘み取るとタネに栄養をとられず、花が長期間咲きやすくなります。
植え付け・植え替え
3~5月が植え付けの適期です。根鉢より1~2回り大きな植え穴を掘り、掘り上げた植え土に腐葉土などの有機物と油かすなどの肥料を混ぜます。深植えを避けてやや高めに植え付け、大きな苗木は支柱を立ててください。
鉢植えの植え替えも同時期に行います。鉢土を1/3程度落とし、新しい用土で植えます。
用土・土壌
弱酸性の肥沃で排水のよい土壌を好みます。排水がよければ、植え付ける場所の土質はあまり選ばず育ちます。
鉢植えに使う用土は、赤玉土小粒7:腐葉土を混ぜた一般的な用土でよいでしょう。
増やし方
4~6月に、さし木で簡単に増やすことができます。
枝を15cmほど切り、先端部の葉を2~3枚残して挿し穂とします。また秋に20cmほど切った枝を土に埋めておき、春になったら切り口を切り戻して、挿し穂とすることができます。
赤玉土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理すれば、1カ月ほどで発根します。
フヨウの栽培ポイント

- 関東地方以南で地植えできる
- 葉を食害する害虫がよく発生する
- 肥料を与えると花付きがよい
日本にも自生する植物なので、育てるのは簡単です。1株で横に大きく広がるので、夏に大きく美しい花をたくさん咲かせます。冬の枯れ芙蓉も、日本ならではの季節の移ろいや風情を感じさせてくれるでしょう。古くから親しまれてきたフヨウを、庭に迎えてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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