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ローダンセマムは花もシルバーリーフも楽しめる! 特徴や綺麗に咲かせるコツをご紹介

ローダンセマムは花もシルバーリーフも楽しめる! 特徴や綺麗に咲かせるコツをご紹介

Ioana Rut/Shutterstock.com

マーガレットのような愛らしい花を咲かせるローダンセマム。キク科らしい可憐な花に加え、美しいシルバーリーフを茂らせるので、開花期以外もカラーリーフプランツとして活躍します。この記事では、ローダンセマムの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方のポイント、人気品種など、多岐にわたって解説します。

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ローダンセマムの基本情報

ローダンセマム
croquette/Shutterstock.com

植物名:ローダンセマム
学名:Rhodanthemum
英名:Moroccan daisy
和名:ローダンセマム
科名:キク科
属名:ローダンセマム属
原産地:北アフリカ、スペイン
分類:宿根草(多年草)

ローダンセマムの学名は、Rhodanthemum。学名がそのまま流通名となっています。キク科ローダンセマム属の常緑性多年草で、冬でもみずみずしい葉姿を保ちます。原産地は北アフリカ、スペインで、耐寒温度はマイナス10℃ほど。寒さに強い一方、夏の高温多湿を苦手とするので、夏越しの管理に注意が必要です。草丈は10〜30cmで、花壇の前方に向いています。マーガレットによく似た可憐な花姿で、より低温に強いため、冬も管理しやすいのが魅力です。ただし、日本では夏越しが難しいため、一年草として扱われる場合もあります。

ローダンセマムの花や葉の特徴

ローダンセマム
iPlantsman/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:3〜6月
草丈:10〜30cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:白、クリーム、ピンク

ローダンセマムの開花期は3〜6月で、花色は白、クリーム、ピンク。花茎を伸ばした頂部に3〜4cmのマーガレットに似た花が1輪ずつ咲きます。葉には細かく切れ込みが入っており、レースのような繊細な表情が魅力です。白い産毛に覆われたシルバーリーフで、開花期以外はカラーリーフとして利用可能。ただし、品種によってはグリーンのものもあるようです。

ローダンセマム
愛らしいピンク花も人気。haldy-01/Shutterstock.com

ローダンセマムの名前の由来や花言葉

ローダンセマム
Bex Pix/Shutterstock.com

ローダンセマムの名前は、ギリシャ語のバラ「Rhodon」と、花「Anthemon」をミックスしたもので、バラのように美しい花という意味になります。花言葉は「永遠の愛」「気丈に」「誠実」など。「永遠の愛」は開花期が長いこと、「気丈に」は花茎をまっすぐ伸ばした先端に、上向きに咲く姿が由来のようです。

ローダンセマムの人気の種類・品種

ローダンセマム
Nahhana/Shutterstock.com

ローダンセマムは多様な種類や品種が出回っています。ここでは、特に人気の高い品種についてご紹介します。

ローダンセマム・ホスマリエンセ

ローダンセマム・ホスマリエンセ
Ibtissam H/Shutterstock.com

ポピュラーに出回っているホスマリエンセ種は、黄色い筒状花と白い舌状花のコンビが美しい、定番ともいえる花姿。ほかの種よりも花が1回り大きく華やかです。切り込みが深く入った繊細なシルバーリーフです。

ローダンセマム‘アフリカンアイズ’

ローダンセマム
LFO62/Shutterstock.com

ホスマリエンセから作出された園芸品種で、中央の茶褐色の筒状花と、周囲を囲む白い舌状花とのコントラストが美しい。花茎が硬く、倒れにくいのも特徴。

ローダンセマム‘リルピンク’

甘やかなパステルピンクの花を咲かせる園芸品種。褐色の筒状花とピンクの舌状花のコントラストも美しく、目を引きます。葉はシルバーリーフです。

ローダンセマム‘アプリコットジャム’

アプリコット色の舌状花は、濃いピンクからだんだんと淡いピンクへ変化していくので、1株で色のグラデーションが楽しめます。筒状花は褐色で、花径は4cmほど。花つきがよく、花茎を長めに伸ばして次々に開花します。葉はシルバーリーフです。

ローダンセマム・カタナンセ

カタナンセはあまり流通していない種です。筒状花は黄色。ごく淡いクリーム色の舌状花の先端には、軽く切れ込みが入ります。

ローダンセマムの栽培12カ月カレンダー

開花時期:3〜6月
植え付け・植え替え:3〜5月、10〜11月
肥料:2〜5月、10〜11月
種まき:5月頃

ローダンセマムの栽培環境

ローダンセマム‘アフリカンアイズ’
Lee ArtPhotos/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなり、ひょろひょろと徒長ぎみに伸びて軟弱な株になるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけのよい環境を好みます。夏の高温多湿は苦手なので、午前のみ日が差す東側などに植え、鉢植えの場合は雨が当たらず、風通しのよい半日陰に移動して夏越しするとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

寒さには強いので、基本的に戸外で冬越しできますが、寒冷地では室内に取り込むほうが無難。寒風に当たると傷むことがあるので注意が必要です。また、夏の高温多湿が苦手なので、土を盛って周囲より高くしたり、レイズドベッドや傾斜地に植え付けたりするなど、水はけよく育てましょう。鉢に植え替え、雨が当たらず風通しのよい半日陰に移動して夏越しするのも一案です。

ローダンセマムの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約1カ月前に、苦土石灰を散布してよく耕しておきます。2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、有機質に富み水はけ・水もちのよい土壌をつくります。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期間中は水を欲しがるので、水切れしないように管理しましょう。また、冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え・鉢植え共に】

2〜5月と10〜11月に、月に1度を目安に緩効性化成肥料を少量施します。

注意する病害虫

アブラムシ
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【病気】

発生しやすい病気は、立ち枯れ病です。

立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染し、だんだん生育が悪くなります。進行すると葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用のある殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。

【害虫】

発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にはスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

ローダンセマムの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、株元の葉が蒸れて枯れ落ちていたり、ヒョロヒョロとして葉が少ないものは避け、葉色がよく、株全体に葉が茂ってつぼみが多いものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

植え付け・植え替えの適期は、3〜5月か、10〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmの間隔を取っておきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土をバークチップなどでマルチングするとよいでしょう。

地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

日常のお手入れ

剪定
mihalec/Shutterstock.com

【花がら摘み】

終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

開花がひと通り終わった6〜7月に、草丈5cmくらいまで深く切り戻すと、高温多湿による蒸れを防いで夏越ししやすくなります。また、9〜10月、夏を乗り切って草姿が乱れていたら、草丈の半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。その後わき芽が出て、こんもりと茂る株姿になります。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

ローダンセマムは、挿し芽で増やします。挿し芽とは、茎葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ローダンセマムは挿し芽で増やすことができます。

挿し芽の適期は、4〜5月か、9月下旬〜10月です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

ローダンセマムの夏越しの注意点

ローダンセマム
InfoFlowersPlants/Shutterstock.com

ローダンセマムは乾燥した山岳地帯を原産とするため、日本の高温多湿の気候が苦手で枯れやすく、一年草として扱われることがあるほど夏越しが難しいのが注意点の1つです。地植えの場合は、風通しをよくし、蒸れを防ぐために地際から5cmほど残して深く切り戻して乗り切るのがおすすめ。または、鉢に植え替えて養生させるのも一案です。鉢栽培の場合は、雨の当たらない涼しい半日陰に移動して、暑い時期を乗り切ります。

蒸れに注意すれば夏越しは可能ですが、高温多湿な日本の夏は傷みやすいため、一年草と割り切るのも一案。初夏までであれば、手間がかからず管理もしやすいです。

ローダンセマムの花が咲かない原因と対処法

ローダンセマム
Graeme L Scott/Shutterstock.com

ローダンセマムの花が咲かないのは、蒸れが原因として考えられます。花や茎葉に水がかかると傷みやすいため、開花期の水やりの際は株元の土を目がけて与えてください。梅雨時は特に注意が必要で、鉢栽培の場合は雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。

ローダンセマムの花とシルバーリーフで庭を彩ろう

ローダンセマム
shins/Shutterstock.com

可憐な花姿が魅力のローダンセマムは、高温多湿に注意さえすれば、毎年開花を楽しませてくれます。フォルムの美しいシルバーリーフはエバーグリーンで、冬もみずみずしい葉姿を楽しめるのも美点です。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。

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