イギリスのクリスマスに「絶対になくてはならないお菓子」、それがミンスパイです。クリスマスグッズが店頭に並び始めると同時に、イギリスではミンスパイもたくさん売られますが、自家製が絶対に一番美味しい! 仕込みはクリスマスよりずっと前に始まり、作っている最中は家中クリスマスの香りで満たされて、とっても幸せな気分になりますよ。イギリス菓子研究家でパティシエのTomoさんが、10年以上欠かさず作り続けている魅惑のミンスパイの作り方を伝授します。
目次
イギリスのクリスマスに欠かせない伝統菓子「ミンスパイ」

イギリスの「ミンスパイ(Mince Pie)」は、クリスマス時期に欠かせない伝統菓子です。名前に“ミンス(挽き肉)”とありますが、近年はお肉は入らず、スパイスが香るドライフルーツが詰まったパイです。
中に入っている「ミンスミート(mincemeat)」は、レーズンやカランツ、リンゴ、オレンジピール、シナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイスをブランデーやラムで漬け込んだ、ジャムのようなフィリングです。

かつて中世では、本当に牛や羊のひき肉+ドライフルーツ+スパイスを混ぜた甘塩っぱいパイでしたが、18〜19世紀を境に肉が抜け、現在の甘いお菓子に変化しました。
お茶の時間に出てきたり、ホームパーティーでお皿に山盛り置いてあったり、スーパーにも大量に並びます。また、サンタクロースのために用意する「おやつ」でもあります。
サイズは一口大や手のひら大が一般的で、家庭ごとに味が違う“おふくろの味”のようなお菓子です。

クリスマスプディングもそうでしたが、ミンスパイもクリスマスよりずっと前に仕込みが始まります。
私の場合は、クリスマスプディングと同じ日に作って熟成させるのが恒例です。作るといってもパイではなく、まずはパイの中身に入れるミンスミートというものを作ります。
この料理をする日は、家中クリスマスの香りで満たされて、とっても幸せな気分になります。
イギリスでパティシエとして働いて帰国してから、もう10年以上。ずっとクリスマスには欠かさず作っているので、私や家族にとって、このクリスマスプディングやミンスパイのスパイスの香りは、クリスマスが近いと知らせる香りなのです。

現在のミンスミートは、以前ご紹介したクリスマスプディングの中身とほとんど同じですが、昔はミートと呼ばれるとおり、お肉が入ったものだったようです。ちなみにクリスマスプディングも、その昔はお肉が使われていました。
さまざまな種類のドライフルーツとブラムリーアップル(イブズ・プディングの回で詳しく説明しています)、お砂糖、ブランデー、スパイスもたっぷり入れます。クリスマスプディングの回で詳しく書きましたが、本来はバターではなく、スエットという脂を使います。ですが、なかなか日本では手に入れにくいので、バターを使用したレシピをご紹介します。
材料は多いのですが、混ぜるだけなので、とっても簡単。そのミンスミートを熟成させておいて、クリスマス前にショートクラストペイストリー(ジャムタルトの回でご紹介しています)を作り、ミンスパイにします。ちなみに、熟成期間は人それぞれ。
最近私はクリスマスの1カ月前くらいにしか作れませんが、1年熟成させたこともありました。理想は3カ月くらいだと思います。
1年熟成させてしまうと、香りがだいぶ飛んでいて、あまり美味しくなかったです。それもいろいろ試してみると、自分好みの熟成度合いが分かると思いますよ! 実験のようで面白いです。ちなみに、知人は継ぎ足し、継ぎ足し、何十年……と話していました。今年からは、その方法でやってみようかしら。

ミンスパイは、パイ生地で完全に上部を覆うタイプのものと、星や雪の結晶などの形にくりぬいた生地を乗せたものがあります。これは好みですが、完全に覆うタイプのほうがレトロな雰囲気です。

このミンスパイには逸話があって、クリスマスの日から年明けまで1つずつ食べると健康に過ごせるといわれています。
我が家では家族みんながこのミンスパイが大好きですし、友人知人に配ったりもするので、クリスマスまで残っているかがいつも危うく、クリスマス以降残っていることがほぼありません。なので、この逸話が正しいかは証明できないのが残念。


我が家ではクリスマスイブの寝る前に、子供たちがサンタクロースにビスケットやミンスパイと紅茶またはミルクを用意して、クリスマスツリーの横に置いておくので、パイを焼いたらサンタさん用に必ず1つは隠しておきます。隠しておかないとサンタさんの分までなくなってしまう、それくらい大人気のミンスパイです。
ミンスパイの作り方【20〜25個分】

【ミンスミートの材料】

- 無塩バター 100g
- カランツ 100g
- レーズン 100g
- サルタナ 100g
- ブラムリーアップル 100g
- アーモンド 20g
- モスコバド糖(きび砂糖でもよい) 70g
- シナモン 小さじ1/2
- ミックススパイス 小さじ1
- レモンの皮 1/4個分
- レモン汁 1/4個分
- オレンジピール 50g
- ラム酒 大さじ1
- ブランデー 大さじ1
- Disaronno 大さじ1
*バターを最初に計量し、冷凍庫に入れておく。
【シナモン風味のショートクラストペイストリーの材料】

- 薄力粉 300g
- 塩 少々
- バター 150g
- 水 大さじ6
- シナモン 少々
【ミンスパイの作り方 手順】

1. まずはミンスミートを作る。
クリスマスの1カ月前くらいに材料全てを刻んでボウルに入れる。
冷凍庫で少し冷やし固めたバターはチーズ削り器で削る。そして材料全てを混ぜ合わせ、ラップをして冷蔵庫で一晩休ませる。


2. 一晩休ませたら、もう一度さっくりと全体を混ぜ、用意しておいた瓶に詰める。瓶に入れたらクッキングペーパーを瓶の大きさに合わせて切り、空気を抜くように押さえてから蓋をする。


3. この状態で冷蔵庫に入れ、熟成させる(イギリスでは常温保存ですが、湿気の多い日本では念のため冷蔵庫で保存しています)。


4. 焼く日になったら、ショートクラストペイストリーを作る。
粉類と角切りにしたバターをボウルに入れ、全体がサラサラになるまで手ですり合わせる(この作業はフードプロセッサーでもできます)。



5. 水を入れ、ナイフで切るようにして、ひとまとめになるまで混ぜる(もしまとまらないようなら、水を大さじ1足して混ぜてみる)。まとまったらラップをして、最低30分冷蔵庫で休ませる。


6. 休ませた生地に打ち粉をして、厚さ2mmくらいになるまで伸ばし、型で抜く。

7. ミンスミートは一度全体を混ぜておく。オーブンは180℃に予熱する。

8. 6の型で抜いた生地をマフィン型に入れていく。そしてミンスミートを適量入れていく(私はたくさん入っているほうが好みなので、ギュギュッとスプーンで押さえながら入れています)。

9. 好きな形に抜いた生地を上にのせ、予熱したオーブンで20分ほど焼く。
焼けたら粗熱を取って粉糖(分量外)を振ると、雪が降ったように可愛らしく仕上がります。



冷めたら出来上がり!
密閉容器に入れて保存しましょう。
ちなみに、ミンスミートはもしも余ったら、普通のバターケーキに混ぜて焼いたりしても美味しいですよ。
お皿のデザインによってミンスパイの雰囲気が変わるので、盛り付けでクリスマスらしさを演出してみましょう。
素敵なクリスマスになりますように!
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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