ガーデンストーリー編集部
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観葉・インドアグリーン

インテリアの格を上げたいなら観葉植物【オーガスタ】が超おすすめ! 育て方と魅力を徹底解説
オーガスタってどんな植物? 今回ご紹介するのは、ストレリチア・ニコライ(Strelitzia Nicolai)。日本ではオーガスタの名で知られていますが、海外では一般に学名のストレリチア・ニコライで流通しています。原産地は南アフリカやマダガスカルですが、持ち込まれて帰化したものがメキシコ東部やオーストラリアにも自生しています。上に向かって交互に伸びる硬く長い茎の先には、船のスクリュープロペラのような形の大きな葉があり、その重みで茎がしなだれる姿はとても優雅。空間をリッチに昇華させるエキゾチックプランツは数多くありますが、気品という点に関してはオーガスタの右に出るものはないのではないでしょうか。 新芽が外側から止めどなく生えてくる様子が分かる。この新芽がやがて雄々しく成長し、部屋に彩りを添える。 海外では直立した木質茎がバナナの木に似ていることからWild banana(野生のバナナ)や、特徴的な花にちなんでGiant white bird of paradise(楽園の巨大な白い鳥)とも呼ばれています。 自生地のオーガスタ。確かにバナナの木にも似ているし、巨大な鳥にも見える。尖った苞(ほう)の上に咲く白い花も南国チックなたたずまいだ。 Pix:Olga S photography/Shutterstock.com オーガスタの属するストレリチア属は、比較的短期間で大きくなるのも特徴で、原産国のマダガスカルおよび南アフリカで自生する野生種には、高さ12m・幅4mを超えるものもあります。そうした株は、まるでパプアニューギニアの国鳥「極楽鳥(ゴクラクチョウ)」が羽ばたく姿に似た美しい花を咲かせることから、ストレリチア属には「ゴクラクチョウカ:極楽鳥花」という和名がついています。 ストレリチア属の中でも、純白な花と、美しい瑠璃色のブラクト(花苞:かほう)が特徴的なオーガスタには「ルリゴクラクチョウカ:瑠璃極楽鳥花」という、なんとも華麗な和名が付いています。ちなみに花苞とは、開花に至るまでつぼみを保護する、いわば殻のような役割を果たす部分を指します。 Pix:Perry Correll/Shutterstock.com しかし、家庭用の観葉植物として農園で育苗されたストレリチア属の開花はごく稀。10m以上の巨大株に育った場合に、ごく稀に美しい花を咲かせることがあります。観葉植物として市場に出ているオーガスタを10m以上に育てるのも簡単ではありませんし、大きく育ったからといって花が咲くとも限りません。正直なところ、植物園でもない限り、開花は稀です。しかしなんと! オザキフラワーパークの店頭でオーガスタが開花したことがあるんです。10mには及ばないものの、比較的大きい株が突然開花し、超稀少な開花株にお客様はもちろん、スタッフもびっくり! 買われたお客様はラッキーでした。ちなみに、オーガスタは観葉植物を扱っている園芸店なら比較的容易に手に入ります。また、インテリアとの親和性がとても高いため、セレクトファニチャーのショップなどで販売していることも。巨大株は数万円しますが、大人の身長ほどの大きさの株だと1万数千円ほどでお買い求めいただけます。オザキフラワーパークでは、ポットサイズ(880円)から販売していますので、小さいうちから育てて成長の早さを実感するのもアリですね! オーガスタは、通常だと動物に見られる黄色い色素「ビリルビン」を含むことが確認された数少ない植物の一つです。ビリルビンは、役割を果たした赤血球が分解される際に生じる色素。つまり、血液が流れていない植物に存在するのは非常に稀なことなのです。なぜオーガスタにビリルビンがあるのかは、2010年にこれを発見したFDA(アメリカ食品医薬品局)のキャリー・ピローネ博士もまだ研究途中で、解明には至っていません。ただ、オーガスタとビリルビンの関係を研究することが、がんや糖尿病の治療薬に進化をもたらすのではないかと期待されており、私たちにも遠からず恩恵をもたらすかもしれません。すごいですね、オーガスタ! 名前の由来 名前の由来は、簡単にいえば上図のとおり。 まずは、学名の「ストレリチア・ニコライ」の由来について解説します。属名の「ストレリチア」は18世紀英国の国王ジョージ3世の妻のシャーロット(シュトレリッツ)妃に敬意を表して付けられました。シャーロット妃は芸術分野のパトロンとしても知られ、また英キューガーデン(王立植物園)の拡大に貢献したアマチュア植物学者でした。小種名の「ニコライ」は19世紀ロシアの皇帝ニコライ1世の三男で、ロシア帝国植物園(現ロシア科学アカデミー植物園)を管理していた大公ニコライ・ニコライエヴィチへのオマージュを込めて、後年になりロシアの植物学者レーゲルにより付けられたとされています。また、ストレリチアの名前の由来でもあるシャーロット王妃が、ドイツのメクレンブルク=シュトレリッツ大公家出身であり、大公家の世嗣カール・ミヒャエル公がロシア出身であったことも、ストレリチア・ニコライの誕生に大きく影響しているともいわれています。和名のオーガスタの由来は諸説あり、正確なところは分かっていません。ただ、学名を命名したレーゲルのフルネームがエドゥアルト・アウグスト・フォン・レーゲルであり、そのミドルネームのアウグストが由来であるという説が濃厚です。ちなみにアウグストはラテン語で、アウグストゥス=尊厳あるもの、巨大なものを意味しているため、その生涯で3,000以上の植物を発見し命名したレーゲルの偉業と、ストレリチア・ニコライのダイナミックな樹形にインスパイアされて、いつの間にかオーガスタと呼ばれるようになったのかも、などと勝手ながら想像します。 野生のオーガスタ。葉1枚あたり小柄な大人くらいの大きさがあるというのだから、圧巻である。Pix:Jimenezar/Shutterstock.com オーガスタの種類 オザキフラワーパークでも人気のストレリチア・レギネ ストレリチア属にはオーガスタのほかにも、レギネ(レジーネ)や、希少種のアルバ(和名:白極楽鳥花)、ユンケア(別名:アフリカの砂漠バナナ)など、少ないながらもいくつかの種類があります。 ちなみに、植物学的にはオーガスタといえばアルバのことを指すのですが、アルバは絶滅危惧種のため流通しておらず、このため市場ではストレリチア・ニコライがオーガスタとして流通しています。 野生のストレリチア・アルバ。 Pix:David Jalda/Shutterstock.com オーガスタの育て方 置き場所と日常のお手入れ Pix:Olenaduygu /Shutterstock.com オーガスタはレースのカーテン越しの柔らかい光が当たる場所での管理がおすすめです。ほかの多くの観葉植物同様、オーガスタも亜熱帯出身のため、太陽は大好きなのですが直射日光は苦手です。昨今の暑夏の陽射しは異常なほど強く、わずか数分レースのカーテンが開いていたために葉焼けしてしまうこともあリます。直射日光には十分注意してください。耐陰性が強いため、外光が届かない室内でも栽培は可能ですが、間のびして葉が開かなかったりする可能性があります。せっかくの大きく美しい葉を楽しむためにも、お日様の恵みだけはしっかりと与えてあげましょう。また、お日様の恵みだけでなく、風の恵みも与えてあげましょう。植物が健康に育つためには風も必須で、この場合の風は、植物が揺れるような風ではなく、風によって植物を取り巻く空気が流れることが重要。エアコンを使用していないときは窓を開けておけばよいのですが、そうもいかないときに役に立つのがサーキュレーター。サーキュレーターが室内の空気を循環させることにより、オーガスタも自然界にいるような気持ちで、日々を過ごすことができます。ただし、エアコンやサーキュレーターの風を直接当てるのはNGです。詳細はこちらの記事で解説しています。【観葉植物などの栽培に役立つサーキュレーターの使い方をプロが徹底解説!】 葉水も、日常のお手入れでは欠かせません。オーガスタは葉が大きいので、ホコリが溜まりやすく、放置しておくと生育不良や病気の原因にもなるため、予防措置として葉水は毎日あげることをおすすめします。加えて、葉水のたびに葉を拭いてあげましょう。すると、美しい葉をいつまでも維持することができます。その際、葉面洗浄剤を使用すると、葉の色艶も増し、オーガスタの魅力が倍増するので、さらにおすすめです。【オザキフラワーパークでも爆売れの商品、住友化学園芸の葉面洗浄剤「MY PLANTS」をオーガスタで試す!】 ストレリチア属には、成功、自由、不死、忠誠心、愛、思慮深さ、楽観主義など、多くの花言葉があり、オーガスタは風水的には人と人との良好な関係を築き、大きな葉は金運を招くともいわれています。ゆえに、リビングや、オフィス、施設など、人が集う場所に置く方もとても多いです。 ペットのいるご家庭では置き場所に要注意! オーガスタには葉にも茎にも、動物にとって血糖異常をもたらす成分が含まれているため、猫や犬などのペットの手の届かない場所で管理してください。成分に含有する消化管刺激物は嘔吐や下痢、腹痛を引き起こすことがあるため、万一ペットがオーガスタを口にした場合は速やかに動物病院を受診してください。本記事おける観葉植物のペットに対する安全性は、下記「アメリカ動物虐待防止協会」のANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)を引用しています。ASPCA/Toxic and Non-Toxic Plants List 夏の管理温度、冬の管理温度 夏は人間が過ごしやすい25~30℃くらいが適温です。室温が40℃近くまで上がると根が傷むことがあるため、不在時の室温には気をつけてください。冬は管理環境が5℃以下にならないよう注意してください。5℃近くまで気温が低下するようになったら、ココヤシファイバー(椰子の繊維)やバークチップ(赤松の樹皮片)で土表面を覆う「マルチング」がおすすめです。マルチングは保温効果があるため、冬場の土中の根の保護に有効ですが、見た目もオシャレになるため一石二鳥ですよ。 ココヤシファイバーによるマルチング。 水やり Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 生育期の春~秋は、土の表面が乾いたら、鉢底から余分な水が流れ出るくらい、たっぷりと与えます。この余分な水が、土の中の老廃物などを押し流してくれます。冬が近づくにつれ生育が緩慢になるため、株の耐寒性を高めるために水やりの頻度を調節します。夜間、外気の最低気温が10℃を下回る11月から12月頃は、土の表面が乾いたことを確認してから2〜3日後に水やりをします。あげ方は生育期同様に、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。厳冬の1〜2月は週1回程度でも問題ないでしょう。室温が暖房と加湿器で常に快温適湿な場合であっても、日照時間により株は季節の変化に対応するスイッチが入り、根が吸水パフォーマンスを落とすため、冬季に生育期同様の水やりを行うと根腐れを起こす場合があります。水のあげすぎにはくれぐれも注意してください。 肥料/活力剤等 春~秋には観葉植物用の錠剤肥料を与えます。錠剤肥料を置き肥する際、錠剤が幹に触れていたり、幹に近い場所に置くと、正しい効果が得られなかったり、根が肥料焼けを起こす場合があります。必ず鉢の縁に近い場所に、用法に定められた量を施肥してください。 剪定 Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 古い葉や傷んだ葉は根元付近で剪定します。ただし、剪定した場所から新たに新芽が出てくる植物ではありません。オーガスタは左右対称に芽を出して葉を展開していく植物なので、剪定する場合は外側の古い葉を切り、中央の葉は病気などの場合を除き、基本的に残しておきます。株は葉を切られた分、新たな芽を出そうとパワーを消費するため、成長力が鈍化に向かう秋〜冬は避け、必ず3月から7月の間に行ってください。 増やし方 オーガスタは根が丈夫なため、容易に株分けで増やすことができます株分けに適した時期は、根が成長に向かう春から梅雨前です。根のパフォーマンスが衰える秋〜冬に株分けを行うと、子株はもちろん、親株も枯れるリスクがあるため避けてください。また株分けは、子株が瑞々しく、健康である場合のみ可能です。 株分けの方法は、いったん株を鉢から引き抜きます。 Pix:Amverlly/Shutterstock.com 親株を残し、外側の子株だけを丁寧に分離するのですが、分離しやすいように、抜いた株から余計な土をシャワー等で落としてください。 Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 前述のようにオーガスタは根が強く、分離の際、多少なら根を切っても、またすぐに再生するため問題はありません。ただし、ハサミに雑菌がついていると切り口から感染してしまう可能性があるので、ハサミは事前に刃を消毒してからご使用ください。※コンロの火で刃をあぶり殺菌する方法もありますが、高価な園芸鋏は刃が赤くなるまであぶると切れ味が落ちるので注意してください。 分離したら親株を元の鉢に戻し、子株を新たな鉢に植えます。植えたら、すぐに水やりはせず、48時間程度置いてから水やりをします。その際、発根を促すために「メネデール」を規定量希釈してあげると、成長が促進されます。 植え替え Pix:Simol1407/Shutterstock.com 2〜3年に1回は土のリフレッシュのため、新しい用土に植え替えを行いましょう。土は観葉植物用の培養土で大丈夫です。オーガスタは根の発育がよいため、2〜3年すると鉢内が根でいっぱいになります。そのように鉢内が過密になると、酸欠と栄養不良に陥ってしまいます。このため、2〜3年に1回植え替えをし、その際に手揉みで古い根をふるい落とすことにより、根と土の両方をリフレッシュし、株をさらに成長させることができます。 病害虫 Pix:olpo/Shutterstock.com 室内の空気循環が悪いとカイガラムシが発生する場合があります。カイガラムシは樹液を吸って成長し、その結果植物を枯らしてしまう害虫です。活動期は発見しにくく、十分に養分を吸って死骸となった状態で発見されることが多いため、とても厄介。そうなると葉についた死骸を歯ブラシやピンセットで取り除く必要があります。しかし、これがまた取れにくいのです。しかし、取りにくいからといって放置してしまうと、他の病気を誘発する恐れがあります。厄介なカイガラムシがつかないよう、春先や晩秋に予防策を講じましょう。薬剤を使う方法としては、「クロチアニジン」という成分が入っている薬剤を株全体に散布します。当該成分が葉の内部に浸透し作用するため、予防効果は絶大です。【注意】薬剤の使用は屋内では行わず、ゴム手袋、マスクをして屋外で行ってください。カイガラムシは前述のように、空気循環が悪いと発生しやすい害虫です。薬剤散布に抵抗がある方は、サーキュレーターを使用して部屋の空気を循環させることで、カイガラムシの発生を防ぐことができます。 オザキフラワーパークのおすすめオーガスタ4選+1 「うちのオーガスタは良型が多いので、まずは見に来てください!」と、ガチでオーガスタ推しの後藤さん。 毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのオーガスタを4品と、オーガスタ以外のストレリチア1品を選んでいただきました。オーガスタは広めのリビングや店舗での見栄えがよいため、オザキフラワーパークでは大型で高価格の商品から飛ぶように売れていくそうです。※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。 大型タイプ 縦185cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)125cm価格13,000円(税込) 大型タイプは、高さが185cmほどで、管理場所の環境さえよければ(日照と風が理想的な状況)、どんどん伸びていきます。このぐらいの大きさの商品が一番売れゆきがいいですね。オーガスタらしいオーガスタ感を味わえる、まさにオーガスタ好きにおすすめのオーガスタです。何回でも連呼しますよ(笑)。それぐらいおすすめの株です。 中型タイプ 縦100cm 横65cm 価格6,800円(税込) 高さ1mの中型の株は、場所を選ばずに置けるのが魅力ですね。葉の大きさ、密度、色、すべての面において優秀な株で、大株に成長したときの姿が楽しみです。こちらの商品も、オーガスタらしさがギュっと詰まった、とてもよい株です。 小型タイプ 縦60cm 横50cm価格1,980円(税込) 高さ60cmの小型タイプは、室内でちょっとした棚や、陽当たりのよい玄関などに置くと、とても見栄えがしますよ。お値段も手頃で、このサイズだと合わせる鉢もたくさんあるので、鉢もコーディネートして買われるお客様が多いですね。 小型タイプ(手乗りサイズ) 縦40cm 横35cm 価格880円(税込) まさにミニチュアオーガスタといった趣のある、とても可愛らしい手乗りサイズです。とはいっても、ちゃんとオーガスタの“映え”を心得た、とても美しい姿をしています。1,000円でお釣りがくるという価格も魅力的で、一人暮らしの方や、これからオーガスタを始める方のマイ・ファースト・オーガスタとしても大人気です。 ストレリチア・レギネ 縦80cm 横40cm 価格2,980円(税込) オーガスタではありませんが、同じストレリチア属の親戚にあたるレギネもご紹介します。レギネはオーガスタに比べ、葉が若干シャープで、色はややシルバーがかったコーティングがあり、スタイリッシュな印象です。育て方は前述の基本どおりで大丈夫ですが、オーガスタよりは耐寒性が劣るため、冬場の夜間は室温が高くても冷気が滞留する窓辺からは離して管理したほうがよいです。 後藤さん’sスタイリング 縦185cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)125cm価格13,000円(税込)+鉢カバー 直径38cm 高さ38cm価格11,000円(税込)+受け皿 直径34.5cm 価格1,100円(税込)=合計価格25,100円(税込)樹形が格好いいオーガスタを活かすために、鉢カバーにはシンプルさを求め、色合いも温もりと落ち着きの中に洗練された主張が垣間見えるオレンジイエローのFRPという特殊プラスチック製のものをチョイスしました。今回は鉢カバーとして使用しましたが、鉢底穴があるため、そのまま鉢として植え込むこともできます。 Instagramで楽しもう! オーガスタとインテリア インテリアとの親和性も高く、お部屋のイメージを確実にワンランク上げてくれるオーガスタ。Instagramで#オーガスタと検索すると2.3万もの投稿が! 巷のプランツラバーたちがどのようにオーガスタを楽しんでいるのか、ちょっとのぞいてみましょう。これからご自宅に迎える方は、インテリアコーディネートの参考になるかも。 (写真左)ayamame_plantsさん邸のオーガスタは、このときお迎えしたばかりとのこと。おしゃれにディスプレイされたウンベラータやゴムの木などの先住プランツたちも、喜んで新しい家族を出迎えてくれているようですね!今はテーブルに乗る中型サイズのオーガスタですが、1〜2年もしたら、きっと圧倒的な存在感を誇るのでしょうね。とにかく、植物たちがみんな楽しそう!(写真右)tiare_homeさん邸のオーガスタはなかなかの株立ち。陶製とおぼしきスクエア鉢のソイルカラーがオーガスタのグリーンを絶妙に引き立てていますね。背後で存在感を放つバイクとのコラボレーションがこれまたオシャレですねぇ! ここでお酒飲みたいです(笑)。 (写真上)g_____k.a.rさん邸のオーガスタは、高い天井に向かって、これでもか! というくらいに伸びていますね。天井高にこれだけ余裕があると、まだまだ大きくなって、ゆくゆくは開花が期待できそう!大型のシーリングファンがお部屋の空気を撹拌してくれるので、オーガスタもさぞ居心地がよいでしょうね。伸びていく先の天井がウッドというのも、家主さんのこだわりを感じさせます。う〜ん、このうちの子になりたい(笑)。 編集後記 いかがでしたか、オーガスタ特集。昔ゴルフを嗜んでいた私的には、オーガスタというとゴルフトーナメントの聖地、米ジョージア州の「オーガスタ・ナショナルゴルフクラブ」が一番はじめに思い浮かびました。ゴルフコースのオーガスタはグリーンの難度が悶絶級なんですが(もちろん回ったことはない)、グリーンはグリーンでもインドアグリーンのオーガスタは誰でも気軽に育てることができて、しかもそのおしゃれな樹形は、タイガーウッズや石川遼をも虜にしたとかしないとか。私的には今回、オザキフラワーパークの後藤さんにオーガスタの魅力を解説していただいたことにより、ゴルフ場のオーガスタよりも、ストレリチア・オーガスタが「オーガスタ」の第一イメージになりました。読者の皆さんの心に、ストレリチア・オーガスタがホールインワンすると嬉しいです。
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世界バラ会議福山大会まであと2年! バラで盛り上がる福山市レポートなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
特集:「世界バラ会議福山大会まであと2年 バラで盛り上がる福山市」 今号の第1特集のテーマは、世界バラ会議福山大会。「第20回世界バラ会議福山大会2025」は、2025年5月18日〜24日まで、広島県福山市で開催されます。テーマは、「Roses for the Future〜福山からはじまる、新しい未来〜」、コンセプトは「みんなで創る みんなで盛り上げる みんなで輝く」。 福山市は日本のバラの魅力と、福山市のバラのまちづくりを世界に発信すべく、市全体で大会づくりに取り組んでいます。 福山市世界バラ会議推進プロジェクトマネージャー・上田善弘さんに本大会についてご紹介いただきました。 世界バラ会議とは 世界バラ会議は世界バラ会連合が、3年ごとに各地で開催する世界大会です。 世界バラ会連合には39カ国のバラ団体が加盟し、日本からは(公財)日本ばら会が加わっています。 世界大会の間の2年間には地域大会および国際ヘリテージローズ(遺産バラ、後世に残すべき貴重な遺伝資源としての古い品種や野生バラ)会議が開催されます。 これらの大会(会議)では、加盟国を中心として世界中のバラ愛好家が集まり、バラについての最新の知識の啓発と普及、バラの分類やコンテスト審査基準の標準化などについて議論し、愛好家の相互親睦、情報交換が行われます。そのために、講義、連合の各種委員会会議、現地視察および交流会が開催され、大会の前後にはバラ園視察を主とするツアーが企画されます。 日本では2006年に大阪市で初めて世界大会が開催され、日本を含め世界27カ国から約700名が集いました。それ以来、約20年ぶりの日本での開催になるのが福山大会です。 注目は、世界大会ごとに決定される栄誉の殿堂入りバラと、世界バラ会連合が認定する優秀庭園賞。2022年にオーストラリア・アデレードで開催された世界大会では、グラウンドカバータイプのバラ ‘フラワー・カーペット®️・ローズ・ピンク’が殿堂入りのバラに選ばれました。殿堂入りのバラは、世界中で愛され、バラの発展に貢献した品種が選ばれ、時のバラ品種の潮流を象徴するものとなります。 2022年オーストラリア・アデレードでの世界バラ大会の様子。 なぜ福山なのか 福山のバラの歴史を辿ると、戦後復興と深い関わりがあることが分かります。福山市は終戦間際の1945年8月8日の空襲により、街の約80%が焼け野原となりました。この荒廃した街の中心部に市民が約1,000本のバラを植栽したことから始まっています。現在、ここはバラ公園として市民に親しまれ、花の季節には美しい景色を展開しています。 その後、行政と市民が一体となってバラ植栽を進め、2016年には累計100万本のバラが配布・植栽され、「100万本のばらのまち福山」が実現します。この間、バラが市の花に制定され、市内に植栽されたバラを管理する地域リーダーの養成のため、福山ばら大学が開講されました(2010年に開講。2022年までに584名が修了)。 これらの長年にわたる活動と、バラが戦後復興のシンボルとなってきたこと、さらにはバラから育まれた利他の心(ローズマインド)などが世界バラ会連合に評価され、福山で世界大会が開催される運びとなりました。 連合旗の引き継ぎの様子。いよいよ福山市に世界バラ会議がやってきます。 「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025(福山ばら博覧会2025)」 福山市での大会期間中は、街をあげて市内全域を使ったばらの祭典「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025(福山ばら博覧会2025)」が開催されます。 福山市では、1968年から毎年5月第3週末の2日間、福山ばら祭が開催されてきました。コロナ禍で中断されましたが、再開された2023年のばら祭には41万人もの人々がバラを目当てに福山を訪れました。 「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025」も福山ばら祭と同時開催になり、よりにぎやかな祭典となることでしょう。 約41万8千人が来場した2023年の福山ばら祭。 福山市の未来に向けたまちづくりや市民活動をご紹介 本特集ではそのほか、福山市の未来に向けたバラのまちづくりについて、福山市のまちづくりに深く関わる神戸国際大学教授/株式会社ARTFUSION代表取締役・白砂伸夫さんに、そして、「100万本のばらのまち」を支えるローズマインドを持った市民活動について、福山ばら会会長・石井稔さんにお話を伺っています。 福山市のバラや、バラを扱う生産者7社に聞いた各社イチオシの品種10種も必見。ぜひ、誌面をお手に取ってご覧ください。 リニューアルが予定されている福山のシンボル、ばら公園のエントランスの完成イメージ。 満開のばら公園。バラのアーチは撮影スポットとしても人気。 特集:「ドライガーデンから考える環境に適したガーデン」 「乾燥に強い植物」という限られた条件ながらも、美しいベス・チャトーガーデン。 特集「ドライガーデンから考える環境に適したガーデン」では、チェルシーフラワーショーでも金賞に輝き、イギリスにおいて関心が高まっているドライガーデンについて取り上げています。 干ばつ問題から火が付いたイギリスのドライガーデン まず、「ドライガーデンの本質を考える」をテーマに、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんにお話を伺いました。 ドライガーデンへの関心の高まりは、環境問題に起因しています。 イギリスでは90年代半ばから干ばつが問題になり、水道水の利用について制限が設けられています。そうした背景から、乾燥に強い植物で構成したガーデンの需要が高まり、ドライガーデンが注目されるようになりました。 2017年のチェルシーフラワーショーでは、マルタ島の乾燥した環境を模したモダンガーデン「The M&G Garden」がグランプリを受賞。今年は、砂漠を想起させるベージュ色のアイリスが印象的なドライガーデン「The Nurture Landscapes Garden」が金賞を受賞しました。 2017年のチェルシーフラワーショーでグランプリを受賞した「The M&G Garden」(デザイナーはJames Basson)。使われなくなった石灰岩の採石場を利用してつくられた庭園というイメージ。 2023年のチェルシーフラワーショーで金賞を受賞した「The Nurture Landscapes Garden」。乾燥した砂地にベージュ色のアイリスが馴染んでいる。(写真:白井達也) さらに現在は、水不足だけでなく、さまざまな自然災害に耐えうるガーデンに注目が集まり、ナチュラリスティックガーデンのブームにつながっています。 日本の気象災害というと、夏の猛暑と豪雨が代表的ですが、昨今は干ばつの心配もあります。例えば前述の「The M&G Garden」のような庭は、水が溜まりやすい構造をしているため、多湿の日本には向いていません。 そこで吉谷さんは、盛り土やレイズドベッドで水はけをよくするなど、日本で植物が生きていける環境をデザインに落とし込んだ庭を考案しています。東京パークガーデンアワードのモデルガーデン「クラウド」が、そのよい例といえます。 東京パークガーデンアワードのメンテナンスフレンドリーな宿根草メインのモデルガーデン「クラウド」。日本の厳しい夏の日差しに耐えられる植物として、アガパンサスを植えている。 ドライガーデンは、水不足の中でいかに庭を存続させるか、という環境問題から始まりましたが、その本質は「厳しい環境に適した植物で、いかに美しい庭をつくるか」という点にあるのかもしれません。 2社によるドライガーデンの事例をご紹介 そのほか、本特集では、日本庭園の世界観を取り入れた“NEO DRY GARDEN”を追求する「BOHEMIANS」(株式会社BOB/g.d.o)の菊地亮さんに、和風テイストにドライガーデンを加えた独自の外構・植栽の解説を、そして、ユッカロストラータやアガベを中心に、ドライガーデンに使われる植物を扱うRYU PLANTS NETWORK代表の桧野竜治さんに、日本のドライガーデンを楽しむために必要な要素について、お話を伺っています。 BOB/g.d.oが手がけた東京都武蔵野市吉祥寺の物件。 RYU PLANTS NETWORKの植物園のようなハウス内(埼玉県川口市)。 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』9月号では、特集「遊べる・学べる 都市の緑地」として6月に開幕した都市緑化仙台フェアから見るこれからの都市緑化の在り方、園芸店紹介として栃木県宇都宮市の「とちぎ園芸」、生産者紹介として愛知県春日井市の「H&Lプランテーション春日井農場」をご紹介しています。また、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます。ショップページはこちら↓↓https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
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ガーデンセラピーを学ぶ! 「ガーデンストーリークラブ」オフ会レポート
ガーデンセラピーを実践する教室「花音の森」 写真/堀久恵 オフ会の会場は、埼玉県熊谷市にある「花音の森」。代表の堀久恵さんは、地元熊谷市の気温が年々高くなっていることを実感する中、エアコンの効いた場所や自然とかけ離れた空間に身を置く生活は自身の体に合わないのでは? と感じるようになりました。そして『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』という革新的なテーマを掲げ、ここ、「花音の森」を立ち上げました。ナチュラルな空間で快適に暮らすために、建物の設計や素材選びにこだわることに加え、庭の植物の選び方や配置によって、自然の持つ力を上手に利用しています。 ガーデンセラピーとは? ガーデンセラピーとは、園芸療法・食事療法・森林療法・芸術療法・芳香療法からなる自然療法の総称。さまざまな植物を暮らしの中に取り入れ、ストレスをケアして健康寿命を延ばそうという取り組みです。 例えば、庭でハーブを育てて収穫し(園芸療法)、食べて(食事療法)、使う(芳香療法)、といったように、植物を通してさまざまな療法を掛け合わせて実践できるのがガーデンセラピーの特徴です。 そんなガーデンセラピーをトータルで体験できる場所として作られた「花音の森」では、寄せ植え作りや庭の植物をインテリアとして楽しむ方法を学んだり、ハーブを使った料理や飲み物作り、精油を使った香りのアイテム作りなど、植物のある暮らしの楽しみ方を学習することができます。 自然の力を生かした住まい方 「花音の森」代表の堀久恵さん オフ会の前半は、「花音の森」の取り組みや、堀さんが実践するガーデンセラピーを取り入れたライフスタイルなどについての講義。「花音の森」ができたきっかけに始まり、エアコンに頼らない暮らしを実現するために実行した家づくりの仕組みについてお話しいただきました。 エアコンなどの機械をできるだけ使わず、太陽の熱・風・水・庭の植物といった自然エネルギーを最大限に活用・コントロールして、快適な住まいをつくる手法を「パッシブデザイン」と呼びます。家と庭のプランにこのパッシブデザインを取り入れ、四季のある日本の気候変化に対応できるよう建築士や造園技能士と相談を重ねて家づくりを進めました。 例えば、南向きの掃き出し窓の前はウッドデッキを広めに作り、周りにはコナラを中心とした植栽とパーゴラを設置してブドウを植えています。夏は葉が茂ってデッキ周りを覆い、室内に日差しが入ってくるのを防ぐ一方で、冬は落葉するため日差しが確保できる、という仕組み。 また窓については、夏は風がよく通り、冬は北風を入れないために大きさや位置、開閉の向きを工夫しています。そして、壁の素材には漆喰を採用。漆喰は、夏は湿気を吸い、冬には放出して、壁自体が湿度調節をしてくれるのです。 ※より詳しい「花音の森」の庭づくりや暮らしの様子については、下記の連載をご覧ください。「花音の森」レポ 五感を刺激する、植物のある暮らし 続いての話題は、ガーデンセラピーと密接に関係する「五感」について。人は5つの感覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を通じて外界の状態を認識します。五感でキャッチした情報は脳へ送られ、次に起こす行動や思考などが生まれており、五感と脳には深い関係があります。五感が刺激されることで脳が活性化し、豊かな感性や発想力が養われたり、心身の健康につながるのです。 ガーデンセラピーを暮らしの中で実践する堀さんの一日を、少しのぞいてみましょう。 6:00/起床。庭に出て植物に触れ、木々の中で新鮮な空気を吸い、朝日を浴びる。草花の手入れをしたり、ハーブを摘む。→森林療法・園芸療法・芳香療法【視覚・聴覚・嗅覚・触覚】 8:30/仕事スタート。精油で芳香浴をしたり、庭で摘んだローズマリーを傍らに置いて香りを漂わせ、集中力アップ。→芳香療法【嗅覚】 12:30/ウッドデッキで昼食。庭で摘んだハーブを使ったガパオライスと、フレッシュハーブティーをいただく。→森林療法・食事療法【視覚・聴覚・嗅覚・味覚】 14:00/息抜きの間食。パーゴラになるブドウの手入れをしつつ、食べごろの果実を摘んでおやつに。→園芸療法・食事療法【視覚・味覚・触覚】 17:00/仕事が一段落。部屋に飾るフラワーアレンジメントや、スワッグを作る。→芸術療法・園芸療法【視覚・触覚】 このように、暮らしに植物を取り入れるガーデンセラピーには、五感を刺激するアクションが多数含まれているのです。 「花音の森」の庭散策 講義の後は庭散策へ。庭づくりスタートから4年半が経った「花音の森」では、家屋を取り囲むコナラの木が成長し、夏場は家の壁面の大部分が隠れるほどに葉が繁っています。木々に覆われたことにより、たっぷりと日陰ができ、庭や室内を通る風が心地よく爽やかに感じられます。樹木には柿などの果樹も交じり、ベジトラグにはまんまると美味しそうなナスなど、あちこちに実りが。 一面に広がる青々とした芝は、ロボット芝刈り機がせっせと手入れをしていました。「雑草を抜かずに表面だけ刈って根を生かすことで、雨が降っても土が流れないようになっています」と堀さん。庭を見学しながら、会員さまからは手入れのテクニックについてアドバイスを求められたり、見慣れない木々を見つけて「あの木はなんですか?」と質問が飛ぶなど、皆さま興味津々の様子でした。 オフ会には、堀さんの愛犬ノアくんとリンちゃんも参加。2匹は庭に飛び出すと、芝の上をゴロゴロと転がったり、かけっこをしたりと、気持ちよさそうにのびのびと遊んでいました。その様子から、人間だけでなく犬にとっても庭が心地よい空間になっていることが伝わってきました。 ハーブを摘んでフレッシュハーブティーを楽しむ 庭散策の後は、庭で育つレモングラスを会員さま自らの手で収穫。レモングラスの葉は縁が鋭く、手を切らないように注意しながらハサミでカットします。レモングラスはその名のとおり、レモンのような柑橘の香りをもつイネ科の多年草。香りがよいので料理やお茶の材料として使われるほか、石鹸や化粧品の香料としても用いられています。 収穫を終えたら、いよいよフレッシュハーブティー作りです。先ほど摘んだレモングラスに、アップルミントとスペアミントを加えてブレンドティーに。ハーブティー自体は馴染みがあるものの、摘んだばかりのフレッシュハーブで淹れたハーブティーは非常に香り豊かで、「美味しい!」「うちでもやります!」とフレッシュハーブならではの新鮮な味わいに皆さま感動された様子でした。 写真左:倉重編集長/写真右:鶴岡副編集長 テーブルを囲んでのティータイムは、ガーデンストーリーの倉重編集長、鶴岡副編集長も交えて。ハーブを使用したパウンドケーキとクッキーをお供にハーブティーを楽しみながら、「うちの庭ではね…」とガーデニングトークで盛り上がり、皆さまの笑顔があふれる中、会はお開きとなりました。 オンラインコミュニティで、日々コメントなどを通して交流する会員さま。他県で暮らす庭友達と直接会ってコミュニケーションを取ることで、より一層親睦を深めることができました。そして、自然や植物の力を生かした住まい方やガーデンセラピーを取り入れたライフスタイルについて学び、それぞれの暮らしにどう活用できるかを考えるきっかけとなったのではないでしょうか。講師を務めていただいた堀さん、参加者の皆さま、ありがとうございました! オンラインコミュニティ「ガーデンストーリークラブ」とは? ガーデンストーリークラブは、 ガーデニングを通じて全国の花好き・ガーデニング好きな方々と交流を深めるオンラインコミュニティです。ご入会いただくと、下記のようなさまざまな機能や特典をお楽しみいただけます。 ・オンラインサロンへの参加(過去に開催された55本以上のサロン動画も会員専用サイトにて24時間視聴可能)・レッスン参加費の会員特別優待・毎月開催のプレゼント企画への参加・会員専用サイトの投稿機能で栽培レポートや情報交換による会員さま同士の交流・植物に関するお悩み相談へガーデンストーリーの執筆陣をはじめとする園芸のプロが回答・ガーデンストーリーウェブショップでの購入割引・スターターキットとしてオリジナルグッズのプレゼント・会員限定記事の配信(不定期)※オンラインサロンまたはレッスンは月1回以上開催 新規入会時には、「スターターキット」として、上写真のようなオリジナルバッグ、ミニブック0号、年間卓上カレンダー、クリアファイル、ポストカードをセットでお贈りします。また、ご入会中は毎月グリーティングカードを、5月はミニブックを、11月は卓上カレンダーをお贈りいたします。 「ガーデンストーリークラブ」の詳細・ご入会はこちら ガーデンストーリークラブへのご入会や、入会するとできること、会員さまの声、入会までの流れ、皆さまから寄せられるよくあるご質問などをご紹介しています。以下バナーをクリックしてご覧ください。ご入会お待ちしております! ※ご入会のお申し込み画面で、クーポンコード「gscfree30」をご入力いただくと1カ月分の会費が無料になります
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話題の「植物用LED」6選、イベントレポートなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
特集:「LED新時代」 今号の特集のテーマは、「LED新時代」。植物用LEDはここ数年で飛躍的に進化してきました。生産の現場では生産効率を上げ、売り場では植物の見せ方の幅が広がり、消費者の手元では室内で育てられる植物が増えるなど、LEDの活躍の場は着実に広がっています。 本特集では、LEDが使われている2つの現場、生産者とホームセンターを訪れ、それぞれの視点からのLED活用による効果などを取材。さらに、植物LEDメーカー6社の商品、そして生産者7社に聞いた室内におすすめの植物をご紹介しています。 花の産地で使われるLED照明〜花匠〜 台湾やインドネシアの提携農場で育った苗を購入し、花芽を出すところから東近江市のハウスで育成。ハウスの天井にはずらりとLEDが並び、コチョウランの成長を助けている。 花匠(滋賀県東近江市)は、約1,000坪のハウスで年間10万株のコチョウランを生産しています。同社では、冬の日照不足を補うため、昨年から植物育成用のLED照明(以下LED)を導入しました。 花匠が取り入れたのは、花芽を出す効果のあるLED「NEXLIGHT TUBE(ネクスライトチューブ)」合計1,600本。メーカーの豊川温室では、生産者各々に合うLEDの使い方、レシピを作っており、花匠へのLED導入時にも光の測定器を使い、一棟一棟に合うLEDの使い方をサポート。 その結果、冬場もコチョウランの成長が遅れることなく、出荷ができたといいます。輪数の調整も可能になって、高品質な花を安定して生産できるようになりました。 施設環境維持を電気に頼っているため、停電が長引いた時などに太陽光発電や蓄電池など予備の電気を動かせるようにしなければならないという課題はあるものの、コチョウランの生産はLEDにより変わりつつあります。 この流れがさまざまな花の生産地に波及すれば、LEDによって新しい花の提案が生まれる時代が来るかもしれません。 観葉植物売り場に植物用LEDを設置〜コーナン吹田インター青葉丘店〜 LED付き什器。一番下に水のタンクがあり、底面給水の要領で水やりができる。タイマーでON/OFFを制御する。 コーナン吹田インター青葉丘店(大阪府吹田市)では、2019年6月のリニューアルを機に観葉植物売り場に植物用LEDを設置して4年。都市型店が多く、外売り場を広く取ることが難しい中で、店内にも植物売り場をつくる必要があったことからLEDを取り入れました。 当時は家庭向けの植物LEDはまだまだ普及していなかったため、導入したのは生産農家向けのLEDを応用した照明器具。観葉植物売り場約100坪に対し、LED付き棚型什器12台と、天井から下げるスポットライト型のLED16本を設置しました。 天井から下げているLEDは補光用で、ピンク色の光を照射します。店を閉めた夜中に点灯し、その短い時間だけで十分に植物の鮮度を保っています。特に奥まった場所にある、高さ3mにもなるウンベラータは、リニューアル時の4年前から順調に成長し、そろそろ植え替えが必要になるほど元気だといいます。 一方、LED付き棚型什器には、アジサイやマーガレット、ケイトウなど、外の売り場に並べられるような植物も陳列されています。底面給水で自動で水やりもでき、1段ごとに光と水やりの設定を変えられるため、1台でさまざまな植物に対応できるのもこの什器の長所です。 また、植物用LEDの太陽光に近い光は、植物を生き生きと見栄えよく演出するのにも効果的。こうした工夫の甲斐があってか、近年は若いファミリー層の来店も増えています。 植物の育成や補光はもちろん、観葉植物を魅力的に見せる展示にも使える植物用LED。売り場ごとの短所を補い、魅力に変える活用方法がまだまだ眠っているのではないでしょうか。 東京都八王子市にあるぐりーんうぉーく多摩店。LEDで補光している。 各メーカーの植物用LED 続いて、各メーカーイチオシの植物用LEDをご紹介します。 豊川温室『PLANTS NEXLIGHT』 PLANTS NEXLIGHTシリーズの「PAR30」。口金E26に対応しており、本体はブラックとホワイトの2色。消費電力は10.5Wで、光は白色。スポットライトのようにして植物に照射できる。 ミニサイズの「PAR16」。テーブルに置くミニ観葉植物に適したサイズ感。 蛍光灯型の「TUBE」。ハウス照射にもおすすめ。 施設園芸用ハウスの設計施工から始まった豊川温室が、農業用LED開発に着手したのは2006年。公共研究機関や地域の農家などと共同で研究・試験を繰り返し、確かな効果が証明できたこともあり、全国のJAや市場、コチョウラン、バラ、キク、カーネーションなどの有名生産地、さらには海外の花の生産現場でも取り入れられています。 生産の現場で使われている技術を家庭向けにカスタマイズして作られたのが、『PLANTS NEXLIGHT』。高島屋植物園と共同開発された商品です。スタンダードな電球型の「PAR30」と、テーブルに置けるミニサイズの「PAR16」、近接照射の蛍光灯タイプの「TUBE」などを展開しています。 BARREL『HADES PLANTSLIGHT』 3500K(暖色)と5000K(白色)の2種に、それぞれ本体カラーをブラック、ホワイトの2色展開。取り付けにはダクトレールが必要。 「AMATERAS」でおなじみのBARRELは、8月に新商品「HADES PLANTSLIGHT(以下HADES)」の発売を予定しています。 「AMATERAS」や「TSUKUYOMI」といった既存の製品は、消費電力20Wと家庭で使いやすい反面、その分植物に近づける必要がありました。 そこでHADESは消費電力を最大45Wに。天井にセットして、スポットライトのように植物を照らしても光が十分に届くようになりました。 HADESが本領を発揮するのは、広い空間。例えば、大型施設の壁面緑化や、商業施設に設置した観葉植物、園芸店などですが、さらには一般家庭でも、建築デザイン時に植物ありきでHADESを設計に組み込んでもらう、というのもBARRELはビジョンとして描いています。 CONTEST『vegepod kitchengarden』 インテリアとしても楽しめる高いデザイン性を持つ「vegepod kitchengarden」。室内の雰囲気に合わせて選べるホワイト、ブラックの2色展開。 「ベジポッドキッチンガーデン(以下ベジポッド)」は、オーストラリアのvegepod社の製品。LEDライトと底面灌水システムにより、室内で手軽にキッチンガーデンを楽しむことができます。パソコンの周辺機器を連想させるデザインは、食卓用テーブルに置いても違和感がなく、室内インテリアとしてもしっくりきます。 植物に応じてLEDの高さ調節が可能で、備え付けの水位計により給水のタイミングが目視で確認できるなど、手軽に栽培ができる工夫がなされています。 BRID『PLANTS LIGHT』 消費電力5Wの「PLANTS LIGHT40」(直径6.5cm、高さ9.5cm)と、消費電力9Wの「PLANTS LIGHT60」(直径7.5cm、高さ10.5cm)の2種類に、電球色と昼白色の各2パターンをラインアップ。 食品や繊維の原材料、インテリア商品販売など幅広いビジネスを展開するメルクロス株式会社のオリジナルブランド、BRIDが企画した植物用LEDが「PLANTS LIGHT」。シンプルな電球タイプで、好みの照明器具との組み合わせが可能。インテリア性を高めた一方、植物の生育にも効果を発揮するよう、共同企画した照明メーカーとともに、植物の光合成に必要とされる有効な光の色の強弱に合わせた色構成を実現しました。 横浜植木『LEDプラントマグネット棚バー』 長さ55cmのLEDプラントマグネット棚バー。植物工場や研究施設で使用されてきた植物育成用LEDの性能を再現。家庭でも使用しやすい白色LEDで植物をより鮮やかに演出する。 当初、暗くなりがちな園芸店の棚下の有効活用に対応する製品として開発された「LEDプラントマグネット棚バー」。昨今、多肉植物や観葉植物を楽しむ人が増えていることも背景にあり、ECサイトを中心に個人需要も順調に伸びています。開発でこだわったのは、太陽光と照明との色の差異を表す演色性。共同開発者のフューチャーライト株式会社と共に研究を重ね、屋内であっても自然光の下で見る植物本来の色と瑞々しさを再現し、同時に植物を育てる楽しさも体感できる現在のLEDチップの配色と配置を導き出しました。そのほか、マグネットによる取り付け方法や、最大60度の範囲で照射角度が調整できる機能、また、一つのコンセントで4本まで同時接続できる点など、使い勝手を十分に考慮した仕様になっています。 カクト・ロコ『多肉植物の小さな庭』 LED本体とスタンドの組み合わせによる使用例。光が分散せず植物を際立たせるのが特徴。 「多肉植物の小さな庭」を販売する株式会社カクト・ロコは、多肉植物やサボテンを扱う専門ナーサリー。多肉植物を知り尽くした同社のLEDライトは、曇天時の光量に設定されており、その波長は多肉植物以外の植物にも適しています。 製品はスタンドとLEDライトが取り付けられた天板の別売りで、設置環境に応じて選択ができます。天板に取り付けられたLEDライトは、バータイプのものを縦方向に10本配置。スタンドの高さは40cmの固定で、背丈が高い植物にも対応可能です。 LEDと合わせたい、室内におすすめの植物6選 特集最後には、生産者7社に聞いた植物用LEDを使いながら楽しみたい植物をご紹介しています。室内の半日陰でも育ちますが、LEDを使うとさらに元気に育ち、育てる楽しみをより実感できるでしょう。 フィカス・ウンベラータ 株式会社エコグリーンヒガシおすすめ セントポーリア オグリ/農事組合法人ロイヤルグリーンおすすめ フィカス・アルテシマ 有限会社田原迫ヤシ園おすすめ モンステラ・デリシオサ 有限会社三浦園芸おすすめ ベゴニア「流れ星」 花郷園おすすめ アデニウム・アラビカム 株式会社カクト・ロコおすすめ 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』7月号では、園芸店紹介として愛知県名古屋市の「YOKONI PLANTS」、生産者紹介として千葉県東庄町の「飯田グリーン」をご紹介しています。また、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓ショップページはこちら。https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
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観葉・インドアグリーン

育て方が超簡単な【ゴムの木】は初心者にピッタリの観葉植物! 種類も豊富なおすすめ11選付き
ゴムの木ってどんな木? ゴムの木は、ゴムの原料となるラテックスという樹液が出る植物の総称で、さまざまな種類があります。そして、どの品種もとても強靭な生命力を誇ります。原産地の東南アジア諸国や南アフリカ、ラテンアメリカ以外でも、寒冷地を除く世界各地で帰化した自生種を見ることができます。多くの種類の中で、私たちが観葉植物として目にするゴムの木は、主にクワ科のフィカス属に分類されるものです。フィカスは常緑・落葉樹合わせて世界中で800種類以上あるといわれ、現在記載されている顕花植物(花を咲かせ結実し、種により繁殖する植物)の中で最大の種属の 1 つです。属名のフィカスとはラテン語のイチジクを指し、その名のとおりイチジクの実がなります。しかし、観葉植物のフィカスは改良された園芸品種のため、イチジクがなることはありません。実はならずとも、人々を魅了してやまないのは、美しく神々しさを感じさせる葉と、いかにも亜熱帯の植物らしいエキゾチックな容姿。ゴムの木は葉の出方もかなり特徴的。葉は頂端分裂組織のサヤの中で発育し、新しい葉が発育するにつれてサヤも大きくなります。 そして成熟するにつれてサヤを脱いでゆき、サヤはやがて脱落します。 成熟した葉がまるで蝶が脱皮するようにサヤから出てくる。写真は「フランスゴムの木」という種類のゴムの木。 脱ぎ捨てられ脱落したサヤ。この新葉誕生のプロセスにも面白みを感じる。 どの品種も自生地の環境が過酷なため、その遺伝子を受け継ぎ、耐乾燥・耐陰性が高く、数ある観葉植物の中でも屈指の育てやすさ。初心者の方に、特におすすめです。値段の幅は広く、マニアが好むような希少種は数万円しますが、オザキフラワーパークでは398円のミニサイズから買うことができます。また、テーブルに置くようなサイズも1,000~4,000円の間で数種類あります。 【ゴムの木と人類の文化】ゴムの木は、聖書(旧約・新約共に)の中にもエピソードが描かれており、また自生する亜熱帯地域では信仰の対象としている部族も数多く、宗教的伝統を通じて人類の文化に多大な影響を与えてきました。ちなみに、植えられた日付が分かっている中で最も古い現存するゴムの木は、紀元前 288 年にスリランカのティッサ王によってアヌラーダプラの寺院に植えられた「スリ・マハ菩提樹」(下写真)で、これが人類最古の植樹とされています。Boyloso/Shutterstock.com ゴムの木の種類 ゴムの木にはとても多くの種類があります。単に観葉植物の「ゴムの木」として販売されているものの多くは、インドゴムの木(学名:フィカス・エラスティカ)です。街の園芸店では「ゴムの木」という名称のほかにも、フィカス・ウンベラータのように「フィカス・○○」と学名を商品名にして販売されているケースもあり、小規模なお花屋さんでは前者、オザキフラワーパークのような専門店では後者のケースが多いです。ただ、フィカスが付かなくても観葉植物でゴムの木の仲間はとても多く、インドアプランツの定番ベンジャミンも、学名はフィカス・ベンジャミナといい、ゴムの木の仲間です。また、一見して塊根植物に見えるガジュマルや、コアラの主食として有名なユーカリも、じつはゴムの木の仲間です。 ゴムの木は同じ品種でも、店頭ではまるで異なる品種のように販売されているものがあります。その代表的な例は「ノーマル樹形」と「ねじれ(曲がり)樹形」。ノーマル樹形は自然のままの樹形を指し、ねじれ樹形は人の手によって幹に力を加え、長い時間をかけてスパイラル状(螺旋状)や編み込みなど、独特の樹形に作られたものです。ねじれ樹形はノーマル樹形よりも価格が割高になりますが、アーティスティックな樹形を楽しみたい方に人気です。 いったいどうすればこのような幹を作ることができるのだろうか・・・。 Pix:ombra7/Shutterstock.com ねじれ樹形の商品は、幹の要所要所をロープで引っ張った状態で長期にわたり生育させたり、ワイヤーで幹の成長を誘導するなど、人の手によってある意味無理やり不自然な樹形に作り上げられていますが、これにより株の寿命が短くなったり、お手入れが煩雑になったりすることはなく、後述する通常の育て方で大丈夫です。 ゴムの木の育て方 置き場所と日常のお手入れ Pix:Ground Picture/Shutterstock.com 熱帯地域原産で太陽光が大好きなゴムの木ですが、観葉植物として購入したものは、直射日光に長時間あたると葉が日焼けをおこしてしまうため、レースのカーテン越しにやわらかい陽射しが入る場所で管理してください。基本的にどの品種も耐陰性がとても高いため、直射日光にさえ気をつければ、置き場所はそこまで気にしなくても大丈夫です。ただし、冷暖房の風が直にあたる場所は厳禁です。エアコンの人工的な風に長時間あたり続けることにより、植物が本来持つ代謝機能が阻害されてしまうためです。とはいえ、植物が健康に育つためには、光・水・風が必要不可欠。前者2つに対し、風は室内栽培では不足しがちですが、空気の循環を促してくれる重要な要素です。これを室内で補うには、サーキュレーターの使用をおすすめします。 ゴムの木の葉は、葉水が大好きです。葉水は葉の代謝を高め、病害虫の予防にもなるため、四季を通して葉水を毎日行うと色艶のよい健康的な葉が育ちます。 Pix:JOHN CHEESEBURGER/johncheeseburger.com ちなみに、葉水後、葉についた水滴が乾くと水道水に含まれるカルシウムなどの成分が白い跡となって残ります。白い跡は葉に害を及ぼすことはありませんが、ホコリが溜まりやすくなるため、目立ってきた場合は霧吹きで水を吹きかけて、キッチンペーパーやタオルなどで優しく拭いてあげてください。 【屋外で育てるとみるみるうちに・・・】昨今の日本の気候は亜熱帯化が顕著なため、屋外での鉢植え栽培も可能ですが、真夏の直射日光下では葉が焼け、焼けた葉はしばらくすると落ちてしまいます。しかし、ゴムの木は高い環境適応力を持つため、落葉するたびに徐々に日焼け耐性の強い葉に生え変わっていきます。と同時に樹勢も増していき、集合住宅のベランダで栽培している場合は、あっという間に上の階のベランダに達してしまうため、こまめに剪定する必要があります。ちなみに剪定を怠ると、写真下のようになります(品種はフランスゴムの木)。ただし、このように屋外で栽培できるのは関東以南の太平洋側に限った話で、降雪量の多い地域では冬場の夕刻以降は屋内に取り込むようにしてください。 幼児およびペットのいるご家庭では置き場所に要注意! ゴムの木は、幼児および犬や猫などペットのいるご家庭では、確実に触れることのできない場所で管理してください。万一、幼児やペットが誤って樹液を口にした場合は速やかに医療機関を受診してください。樹液成分のラテックスは付着したり口にすることによりアレルギー症状が出ることがあり、重度の場合は痙攣などの神経症状を起こすこともあります。最初は軽度の症状でも時間と共に重篤化する可能性もあり、夜間の場合であっても救急診療を受診することをおすすめします。 夏の管理温度、冬の管理温度 夏は20~30℃といった人間が過ごしやすい温度が理想的です。冬は10℃以上を保つようにしてください。頻繁に10度以下になると防御のために葉を落としますが、また生えてくるので心配はいりません。しかし、ゴムの木は基本的に四季を通して温暖な亜熱帯出身の植物のため、防寒対策を行うことをおすすめします。防寒対策としておすすめしたいのがマルチング。マルチングはココファイバー(椰子の繊維)や、バークチップ(松の樹皮を細かく砕いたもの)を土の表面に敷き詰めることにより鉢内の温度を保つ手法で、見た目もリッチな感じになり、インテリアとしてもグレードアップします。 ココファイバーによるマルチングの様子。 Pix:JOHN CHEESEBURGER/johncheeseburger.com 水やり 成長期にあたる春〜秋(3〜11月)は、土の表面がしっかり乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。休眠期の冬(12〜2月)は成長も緩慢になるため、土の表面がしっかり乾いた状態から3日ほどしてから、同様に鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。おおよそですが、週1程度のサイクルで水やりをする感じです。ただ、元来乾燥に強いため、2週間程度なら水を与えなくても枯れることはありません。成長期、休眠期共に注意してほしいのは、受け皿にたまった水を放置しないこと。これを放置すると根腐れの原因となるため、水やり後30分ほどしたら、受け皿にたまった水は全部捨て、受け皿は常に乾いた状態を保つようにしてください。 肥料/活力剤等 成長期には土の上に置くだけでOKの「置き肥」を株元から離れた鉢の縁あたりに置いてあげるとよいでしょう。または、「ハイポネックス」などの液体肥料を2週間に1回与えるのもよいでしょう。活力剤は「メネデール」を2週間に1回与えると、より丈夫な株に育つことが期待できます。ゴムの木は、どの種類も多肥を好むものではありません。与えすぎると枝が無駄に伸びる「徒長」につながり、また根を傷める原因にもなるため、必ずパッケージに記載の規定量を守ってください。特に、斑(ふ=斑点のような模様)のある品種は、肥料を与えすぎると、模様が消えてしまう「先祖返り」という現象を引き起こす原因となるため、むしろ規定量より少なめに与えるとよいでしょう。 剪定 ゴムの木は原種が高木のものが多く、好環境で育てるとかなりの速度で成長するため、気づいてみたら天井に到達していたということも。このため、ある程度大きくなったら剪定を行ったほうがよいです。高さ調整の剪定は、ちょうどよい高さのところで、そこから上をバッサリと切る摘心(てきしん)というカットを行います。摘心は成長点を切るため、ゴムの木の上へ上へと伸びようとする力が横へ分散します。そのためわき芽がどんどん出て、横方向に広がるボリューミーな樹形を作ることができます。ただし、ゴムの木の剪定には注意が必要です!ゴムの木はどこを切っても白い乳液状の樹液が出てきます。下の映像を見ていただければ分かるように、飛び出すというよりは滲み出てきます。この樹液はラテックスと呼ばれる物質で、ゴム製品の原料となるものです。これが皮膚に付着すると、樹液が含有するタンパク質に体がアレルギー反応を起こし、かぶれや湿疹を発症することがあります。肌の弱い強いにかかわらず、剪定は樹液が付着しないように十分気をつけるか、ゴム手袋などを装着して行ってください。万一樹液が付着した場合は、すみやかに石鹸などで洗い流してください。 [ゴムの木から滲み出るラテックス] 【コロンブスのおかげで開けた白い液体の未来】なぜゴムの樹液は水分でなく白い液体ラテックスなのでしょう? じつは、ゴムの木も基本は他の植物同様、幹や茎、枝の中を通る維管束(植物の血管みたいなもの)に流れているのは水分なんです。ただ、水分の中に天然ゴムの粒子が分散して漂っているためにあのように白く見えるのです。なぜゴム粒子が含まれているのかはまだ解明されていません。しかし、遠い昔にコロンブスがハイチ島でこの白い液体に出会い、欧州に持ち帰ったことにより、今日の私たちの生活が豊かになったことは確かです。ちなみに、樹液のラテックスから作られるゴム製品は、工場や農園でその道のプロにより製造されています。安全のため、ご自宅で観葉植物のゴムの木から“自家製ゴム”を作るのはお控えください。 増やし方 Pix:platycerium_n_green/Instagram.com ゴムの木は、挿し木や取り木で簡単に増やすことができます。増やす方法は主に、カットした部分に発根剤を塗ってそのまま土に挿しておく方法と、水を入れた容器に挿しておく方法の2通りがあります。写真は後者の水耕栽培で、写真を提供していただいたplatycerium_n_greenさんが、カットしたゴムの木(フィカス・バーガンディー)の葉を水を入れたボトルに挿し、1年が経過した状態です。ご覧のように、しっかりと発根しているのが確認できます。 植え替え 2~3年に1回は植え替えを行いましょう。ゴムの木は生育旺盛なため、比較的早いペースで鉢内は根でギッシリと埋め尽くされてしまいます。そして根詰まりを起こしたゴムの木は、根で水分を吸収するのに限界を感じ、幹や枝の途中から気根といわれる根をいくつも出すようになります。 太い幹から無数に気根が出ている様子。 ただ、それはそれでワイルドで面白いと、気根が出た姿を好む方もいますが、ゴムの木にしてみたら、根が満遍なく水や養分を吸える状態のほうが好ましいはず。ですから、植え替えのたびに2回りほど大きな鉢に替えてあげてください。ちなみに、植え替えは真夏と真冬を除き、気温が23〜25℃くらいの時期に行い、使用する鉢土は市販の観葉植物用土で大丈夫です。 病害虫 ゴムの木の葉に付着したカイガラムシ。 Pix:olpo/Shutterstock.com ゴムの木に発生しやすい害虫は、カイガラムシとハダニ。かかりやすい病気は、カビの一種である炭疽病です。これらの病害虫予防に最も効果があるのは、風通しのよい場所での管理と日々のお手入れ(=葉水)です。万一発生、あるいは罹患した場合は、薬剤を用いて退治あるいは治療を行ってください。管理場所で風通しが確保できない場合は、前述のようにサーキュレーターを用いて室内の空気を循環させてあげると、病害虫予防に効果があります。 オザキフラワーパークのおすすめゴムの木11選 「僕もいくつかのゴムの木を育てています」と、ゴムの木LOVEの後藤さん。 毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのゴムの木を11本選んでいただきました。先月ゴムの木が100本以上入荷したというオザキフラワーパークですが、ゴムの木は店頭に並べば瞬く間に売れていく超人気商品。ここでしか買えない高品質なゴムの木を求め、近隣のみならず、遠くから車で3時間かけてくるお客様もいらっしゃるのだとか。まずは、そんなオザキフラワーパークのゴムの木の売り場風景を、ちょっとのぞいてみましょう。【オザキフラワーパークのゴムの木売り場】 ※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。 おすすめ1:「フィカス・アルテシマ(大)」 高さ191cm(鉢含む:以下同) 横87cm 価格24,000円(税込) 鉢カバー:外径41cm 内径35.5cm 深さ41cm 価格22,000円(税込) インドや東南アジアが原産のフィカス・アルテシマは、黄色い斑が入った存在感のある葉が魅力。樹高がかなり高くなるため、ラテン語で最も背が高いことを意味する「アルテシマ」と名付けられました。写真の株は樹高191cmとかなり大きく、また、太い幹がゆるやかな螺旋を描いているため、お部屋で亜熱帯感を存分に楽しみたい方におすすめです。鉢カバーは、どことなく月面を彷彿させる模様。この2つを合わせることにより、有機質と無機質が融合したような独特の印象を醸し出してくれます。もちろん、鉢カバー無しの本体のみでもお買い求めいただけます。乾燥に強いため、前述の基本に則って育てていただければ、初心者の方でも簡単に育てられます。 おすすめ2:「フィカス・アルテシマ(小)鉢付き」 高さ56cm 横28cm 価格7,450円(税込) 小ぶりのアルテシマで、オレンジ色の陶製の鉢とのセット。ヒビが入ったような模様に釉薬で光沢を与えることにより、ノスタルジックな中にもモダンさを感じさせる鉢が、螺旋状の幹のアルテシマを引き立てます。アルテシマの迷彩模様のようなこの色彩は眺めるたびに元気をくれるので、部屋に活気が欲しい方におすすめです!写真のものは高さ56cmですが、どんどん伸びていくので成長がとても楽しみな株です。 おすすめ3:「フィカス・ベンガレンシス(大)」 高さ102cm 横68cm 価格9,800円(税込) くっきりした葉脈のある美しい葉のフォルムとユニークな樹形が人気のフィカス・ベンガレンシスは、インドのベンガル地方が原産のためこの名がつきました。現地では菩提樹(霊樹)を意味するバニヤンツリーとも呼ばれ、宗教的に神聖な木として崇められています。そんな神秘的な魅力と、独特の樹形もあいまって、ゴムの木の中でも1、2を争う人気品種です。前述の基本に則って育てていただければ、初心者の方でも簡単に育てられます。 おすすめ4:「フィカス・ベンガレンシス(小)」 高さ53cm 横29cm 価格3,480円(税込) ベンガレンシスの小さい株です。大きいものよりも樹形はシンプルですが、小株ながらも螺旋状の幹はやはり存在感がありますね。葉の色彩がシンプルな分、よけいに幹の存在感が目立ちます。成長も早いので、今のこの価格はお買い得です。 おすすめ5:「フィカス・ティネケ」 高さ48cm 横27cm 価格3,480円(税込) アイボリー、オリーブ、グリーンの迷彩模様の地色に茜色の葉脈が走る、とても美しい葉が魅力のフィカス・ティネケ。インドや東南アジアが原産で、現地では20mに達する株もある、とても大きく成長するゴムの木です。といっても、鉢物はそこまで大きくはなりませんが、写真の48cmほどの株も、大切に育てていただければ2〜3年で大人の身長くらいまでには余裕で成長します。特に注意してほしいのは置き場所。耐陰性に富むゴムの木とはいえ、この美しい葉模様は日照が乏しい場所で管理すると、ここまでくっきりとは出ません。かといって直射日光は厳禁なので、とにかくレースのカーテンなどで遮光した明るい場所で管理することが肝となります。あとは前述の育て方に則っていただければOKです。 おすすめ6:「フィカス・ウンベラータ」 高さ46cm 横32cm 価格3,480円(税込) アフリカ熱帯地域が原産のフィカス・ウンベラータ。葉が大きな品種のアイコン的存在で、こちらも街中でよく見かけると思います。全体的に主張が強めの樹形が多い他のフィカスの仲間に比べると、葉が可愛らしいハート形をしているためか、優雅な印象があります。ウンベラータの名前は、ラテン語の日傘(ウンベラ)に由来します。この大きな葉を日傘に見立てるなんて、名付けた人はなかなか洒落たセンスをしていますよね。フィカス・ウンベラータは風水の世界でも名の通ったゴムの木で、ハート形の葉は愛の象徴であり、また「永遠の幸せ」「夫婦愛」という花言葉も持つため、運気をもたらすゴムの木とされています。そのあたりを詳しく知りたい方は風水師を訪ねてください。育て方は前述の基本に則っていただければOKです。 おすすめ7:「フィカス・ジン(メリクロン苗)」 高さ32cm 横21cm 価格1,980円(税込) 蒸留酒みたいな名前ですが、このフィカス・ジンは、なかなか希少なゴムの木で、置いてある店も少ないと思います。僕も育てていますが、モザイクアートのような、アーティスティックな葉がとても印象的です。新芽は赤みがかっているのですが、徐々にアイボリーとグリーンに変化していくため、その過程もとても美しいです。ちなみに、メリクロンとは、昨今のバイオテクノロジーにより生み出された育苗方法で、植物の成長点組織を完全無菌環境の下で培養して育苗する手法を指します。この方法の利点は、ウイルスなどの感染を完全に遮断し、形の整った苗を大量に生産できることです。つまり、通常売り場では形のよいものから売れていきますが、メリクロン苗はどれもが均一に形が整っているため、当たりハズレがなく、しかも健康な苗、ということです。数量限定なので、興味を持たれた方はお早めに。 おすすめ8:「フィカス・ルビー」 高さ48cm 横32cm 価格1,480円(税込) フィカス・ルビーは、インドおよびマレーシア原産。3色の斑が入った葉の美しさに、つい時間が経つのを忘れて見とれてしまいます。葉の裏面は小種名のごとくルビーのような深い赤色で、表裏それぞれが異なる表情で楽しませてくれます。育て方は前述の基本に則っていただければOK。とにかく、この美しい葉の色彩を保つためには明るい場所での管理がマストです。もちろん直射日光は厳禁で。ルビーは光量が足りないとすぐに葉を落としますが、明るい場所に移動すれば元の美しい葉を出してくれます。 おすすめ9:「フィカス・バンビーノ」 高さ51cm 横28cm 価格3,480円(税込) 西アフリカのカメルーン西部からシエラレオネあたりが原産のフィカス・バンビーノは、フィカス・リラタという種類に属しており、正式にはフィカス・リラタ・バンビーノといいます。園芸品種としては、英国王立園芸協会の庭園功労賞も受賞している由緒あるゴムの木です。くっきりとした葉脈が美しい葉は皮革のようで、出始めのうちは先端がシャープなのですが、しばらくすると丸みを帯びた可愛らしい形になります。他の品種に比べて成長が遅いので、あまり大きくしたくない方にはおすすめです。写真の商品は幹が綺麗に螺旋を描いており、かなりおしゃれですよね。育て方は前述の基本に則っていただければOKですが、バンビーノはとにかく葉水が大好きなので、頻繁にしてあげてください。バンビーノもなかなか手に入れることのできないレアな品種なので、ぜひこの機会に。 おすすめ10:「ガジュマル」 高さ22cm 横14cm 価格398円(税込) このラインナップにガジュマルがあって、「え?」と驚く方も多いのではないでしょうか。ガジュマルはその見た目から「塊根植物(コーデックス)」と思っている方が多いのですが、じつは学名を「フィカス・マイクロカルパ」といって、れっきとしたゴムの木の仲間なんです。原産は熱帯アジアやハワイやオーストラリアなどの西太平洋で、近いところでは沖縄にも自生しています。ガジュマルの名前の由来はいくつかあるのですが、茶色い幹の部分から出る何本もの気根(根の一種)が絡まる感じが、沖縄の方言も混じり、からまる→ガジュマル、になったという説が有力視されています。ちなみに、この気根はコンクリートも突き破って成長するほどの強さがあります。見た目の可愛さに反して、生命力はかなり攻め気味なんです。樹形の可愛らしさもさることながら、この丈夫さも人気の理由で、観葉植物初めの一歩をガジュマルで迎える方も大勢います。成長も早く、写真のガジュマルも前述の基本通りに育てていただければ瞬く間に大きくなりますよ。 おすすめ11:「フィカス・バーガンディ」 高さ170cm 横80cm 価格19,000円(税込) ラグジュアリーな品格を感じさせる葉の色が魅力のフィカス・バーガンディ。別名「黒ゴム」とも呼ばれ、葉が漆黒に近い赤紫色=バーガンディのため、この名がつきました。でも、出始めの葉はどちらかというとルビーレッドのような色をしているため、黒と赤の2色のコントラストを楽しむことができます。このカラーテイストは、どこか大人の色気を感じさせますね。写真の株は、幹の螺旋が主張しすぎない絶妙な巻き具合のため、シックな葉色も相まって、どんな空間にもマッチします。この1鉢を置くだけで、お部屋の格調を高めてくれるでしょう。あまり成長が早い品種ではないのですが、高さが170cmあるので存在感もバッチリ!育て方は基本通りでOKです。 後藤さんのおしゃれ技フィカス・バーガンディ 高さ170cm 横80cm 価格19,000円(税込)+ティランジア・ストリクタビックス(エアプランツ) 直径30cm 価格3,980円(税込)+鉢カバー 外径41cm 内径35.5cm 深さ41cm 価格22,000円(税込)= 合計価格44,980円(税込) 僕はゴムの木に、エアプランツ(ティランジア)を合わせるのが好きです。今回は、大人の魅力漂うフィカス・バーガンディに、ティランジア・ストリクタビックスを吊して遊び心を加えてみました。アダルトな品格が漂う中にも、尖った少年のような冒険心が垣間見える、そんなプランツに昇華したんじゃないかなと思います。仕事も遊びも妥協しない大人の方、いかがでしょう?(笑) 編集後記 いかがでしたでしょうか、ゴムの木特集。こうやって記事を作っていると、いろんな発見があったり、その植物に対する見方が変わったり、また愛着が湧いたりするのですが、じつは、かかりつけのクリニックにもグネグネした幹のゴムの木が待合室に置いてあり、ちょうど記事を作っているタイミングだったこともあって、まじまじと見ながら葉を触ったりしていたんです。そしたら、隣にいた年配の方に「あなた、この木がお好きなのね」と言われ、つい「いやぁ、不思議な木ですねぇ」と知らない体で返答したため「これはゴムの木と言ってね・・・」と私が診察室に呼ばれるまでの間、10分間にわたり熱烈講義を受講させていただきました。ご老体は増やすのがお好きで、増やしてはお友達にあげているのだそうです。とまぁ、ゴムの木は人の輪も広げる「輪ゴム」、なのでしょう。お後がよろしいようで。この記事を読んで育ててみようと思った方は、お気に入りのゴムの木に出会えるといいですね!
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イベント・ニュース

癒やしの空間で大人の集中時間を満喫! ガーデンストーリー主催対面レッスン「カリグラフィーで書くプランツタグ」レポート
花好き同士で距離が縮まる参加者さま 晴天の8月19日、窓外に深い緑を望む東京・西麻布にあるガーデンストーリー編集部にて行われたレッスン。2019年以来見合わせが続いていた対面レッスンは、オンラインコミュニティ「ガーデンストーリークラブ」会員さまからも開催のご要望が多く、待望の実現となりました。レッスンの内容は、植物の名前を記す“プランツタグ”(園芸ラベル、プランツネーム、ネームプレートともいう)に、カリグラフィーで文字入れを行うというもの。 植物の名前は、意外と植えた本人でも時間が経つと忘れてしまうもの。というのも、例えばバラには何万という種類があり、‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンドゥ’とか‘ブラン・ドゥブル・ドゥ・クベール’のような複雑な名前がたくさんあるのです。また、宿根草などは冬に地上部がなくなってしまうので、そこに植物が植わっているということが分かるプランツタグの存在は、結構大事。そんな実用的なプランツタグですが、書き入れる文字がおしゃれなら、タグ自体が庭の素敵なオブジェになる! ということで、このレッスンを企画。カリグラフィーとは西欧の文字を絵画的に美しく見せる技法で、アルファベットを流れるような曲線で描くのが特徴です。 講師を務めていただいたのは、『癒しのリラックスカリグラフィー教室』の町田真澄先生。丁寧で分かりやすいレッスンが好評でファンの多い町田先生は、2児の母。家庭を大切にしながら、日々講習活動を行っています。 アロマの香りと癒やしの音楽に包まれる空間で大人の集中時間を体験 会場には町田先生のカリグラフィー作品が展示され、季節に合わせた可愛い小物のディスプレイ、ラベンダーとローズマリーがふんわり香るアロマ、さらに、心安らぐ音楽が流れ、五感を通じてリラックスできる空間が演出されました。これらは『癒しのリラックスカリグラフィー教室』という名を冠したレッスンを行う町田先生が大切にしていること。また、今回はレッスン参加への感謝の気持ちを込めたサンクスカードや、参加者さまの名前を書き入れたおしゃれなネームタグ入りミニボトルのプレゼントが用意され、随所に先生の温かい心配りが感じられました。 参加者のみなさまはカリグラフィーがほぼ初体験。「カリグラフィーに興味を持っていたけど、なかなかチャレンジする機会がなく、このレッスンを楽しみにしていた」という方も多くいらっしゃいました。初体験のみなさまに向け、カリグラフィーの歴史や使用する道具、書体のバリエーション、さらに今回使用するプランツタグに書くためのおすすめのインクや塗料についてなど、詳しく先生が解説してくれました。 写真中央は、レッスンに集中する倉重編集長。 座学の後は、いよいよ実践へ。まずは筆文字サインペンを使って、お手本をなぞりながら、基本ストロークや強弱の付け方を学びました。ガーデンストーリー編集部からは倉重編集長も参加。みなさま、まだまだ余裕の表情に見えます。 続いて、カリグラフィーペンを使ってAからZまでの小文字と大文字の書き方を練習。大文字に比べ小文字のほうが使用頻度が高いため、小文字の書き方と文字の繋ぎ方を重点的に学びました。カリグラフィーペンの使用は慣れるまでになかなか時間がかかる様子で、「インクが少なくてかすれちゃった」「力の入れ具合が難しい…」など、あちこちから声が上がりました。集中して丁寧に文字を書いているので、ついつい息をするのを忘れてしまう方も! これはカリグラフィーあるあるのようで、「息、してくださいね〜」と先生の優しい声かけで笑いが起こります。町田先生がテーブルを回りながら一人ひとりにレクチャーを行い、みなさまどんどんステップアップされていました。 最後はいよいよプランツタグへの清書です。今回は、馴染みのある植物の代表である「Viola」「Daisy」「Tulip」の3種類をプランツタグへ清書しました。紙に書くこととの勝手の違いや、いざプランツタグに書くとなると“本番感”が出るようで、「緊張する〜!」とあちらこちらから呟きが…。あまり緊張を助長しないよう、編集部はちょっぴり遠くから見守らせていただきました。 プランツタグへの清書が終わり、記念すべき初のカリグラフィーのオリジナルプランツタグが完成です! 今回は、初めての方でも書きやすいように文字数の少ない花名でレッスンを行いましたが、練習を重ねてカリグラフィーに慣れれば、花の品種名など、自身のガーデンに合わせて好きな文字が書けます。素敵なプランツタグを増やして、ガーデニングをもっと楽しんでいただけたら嬉しいですね。 編集長のイギリス土産でティータイム レッスンの後は、今年イギリスへ庭巡りの取材に行った編集長が現地でセレクトした紅茶とお菓子でティータイム。レッスンの感想や、共通項であるガーデニングの話題で盛り上がりました。約3年半ぶりに開催した今回の対面レッスン。直接みなさまと親交を深めることができ、リアルならではの温かさを体感する貴重な機会となりました。 “花好き・ガーデニング好き”という共通点もあり、みなさますぐに打ち解けて、終始和やかなムードで運んだレッスン。町田先生、参加者のみなさま、ありがとうございました! 講師紹介 9月開催レッスンのお知らせ 2023年9月30日(土)には、鮮やかなガーデン用のマムを主役にした華やかな寄せ植えづくりのオンラインレッスンを開催します。講師は、八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」の難波良憲さん。連載『1鉢で華やか!寄せ植えブーケ』の寄せ植え寄稿が大好評の難波さんがセレクトするおすすめの花苗と、鉢、土など、材料一式をご自宅にお送りいたします。 レッスン当日の様子の録画は後日視聴アドレスをメールでお知らせいたしますので、復習が可能なだけでなく、ご都合により当日参加ができない方もお好きな時間に動画を視聴して作成できるレッスンとなっております。また、ガーデンストーリークラブにご入会の方は会員特別価格でご参加いただけます。(価格は下記商品ページに明記、ガーデンストーリークラブの詳細は次項を参照)秋を華やかに演出するロングライフな寄せ植えづくりを、ぜひご一緒に楽しみませんか? ▼レッスンの詳細・お申し込みは下記商品ページからhttps://www.gardenstory.shop/shopdetail/000000000123/ レッスン費の優待など特典いろいろ! 「ガーデンストーリークラブ」 ガーデンストーリークラブは、 ガーデニングを通じて全国の花好き・ガーデニング好きな方々と交流を深めるオンラインコミュニティです。会員専用サイトでは、下記のようなさまざまな機能や特典をお楽しみいただけます。 ・オンラインサロンへの参加(過去に開催された55本以上のサロンも24時間視聴可能)・レッスン参加費の会員特別優待・毎月開催のプレゼント企画への参加・投稿機能で栽培レポートや情報交換による会員さま同士の交流・植物に関するお悩み相談へガーデンストーリーの執筆陣をはじめとする園芸のプロが回答・ガーデンストーリーウェブショップでの購入割引・スターターキットとしてオリジナルグッズのプレゼント・会員限定記事の配信(不定期)※オンラインサロンまたはレッスンは月1回以上開催 新規入会時には、「スターターキット」として、上写真のようなオリジナルバッグ、ミニブック0号、年間卓上カレンダー、クリアファイル、ポストカードをセットでお贈りします。また、ご入会中は毎月グリーティングカードを、5月はミニブックを、11月は卓上カレンダーをお贈りいたします。 「ガーデンストーリークラブ」の詳細・ご入会はこちら ガーデンストーリークラブへのご入会や、入会するとできること、会員さまの声、入会までの流れ、よくあるご質問などをご紹介しています。以下バナーをクリックしてご覧ください。ご入会お待ちしております! ※ご入会のお申し込み画面で、クーポンコード「gscfree30」をご入力いただくと1カ月分の会員費が無料になります
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【2025年最新版】観葉植物に最適なサーキュレーターの使い方と選び方|プロ厳選2機種も紹介
インドアグリーンにサーキュレーターが必須な理由とは 風が植物の成長に与える影響とは 観葉植物や多肉植物などのインドアグリーンは、インテリアとして癒しを提供してくれます。しかし本来、植物は自然環境で育つため、室内で育てるとストレスを感じやすくなります。植物の成長には「光(太陽光)」、「水」、「風」が重要ですが、室内では特に「風」が不足しがちです。そこで、サーキュレーターを使うことで、室内でも風を作り出し、自然環境に近い状態を再現できます。これにより、植物のストレスが減り、病害虫予防にもつながり、成長が促進されます。 ウチワサボテンの幹肌についてしまったカイガラムシ。表面のカサブタのようなものはカイガラムシの排泄物が硬化したもの。こうなるとせっかくの美しい緑色が台無しだ。 どんな風が植物にとってはよい風なのか 植物にとっては、常に葉を揺らすような風が吹いているよりも、目に見えずとも植物の周囲の空気が流れている(循環している)ことが重要。家電でこれを再現するには、風を直接あびる目的のリビング扇風機よりも、風を室内の広範囲に送り出すことで空気循環を促すサーキュレーターのほうが適しています。 サーキュレーターなどの家電を取り扱う「山善」に聞いてきました! ではいったい、サーキュレーターのどのような働きが、植物にとってよい効果をもたらすのか?そのためには、サーキュレーターのことを詳しく知る人物に聞くのが一番! ということで今回、季節家電製品を数多く手がける株式会社山善の村上さんに、サーキュレーターの選び方や、正しい使い方について聞いてきました。 「サーキュレーターのことならお任せください!」と村上さん。 サーキュレーターと扇風機の違い まずは「サーキュレーター」と、ご家庭でよく使う扇風機(リビング扇風機)の違いについて解説します。ちなみに、両者は用途がそれぞれ異なるため、本来は使い分けることが前提で設計されています。 【リビング扇風機】 Pix:antoniodiaz/Shutterstock.com <用途> 近くにいる人2〜3人が涼感を得る目的で体に風を受けるためのもの。 <特徴> 羽根が大きい分、筐体が大きい。 風が広範囲に拡散するため、人体の広範囲で風を受けることができる。 風が拡散されるため遠くまでは届かないが、風質がマイルド。 【サーキュレーター】 <用途> 部屋の空気を撹拌し、循環を促すためのもの。 風に瞬発力があるため、顔だけ風を浴びたいなど、体の一部分に限定して風を受ける使い方なら、涼感を得る目的としても使用できる。 <特徴> 直進性のある風を出すことに特化しているため、遠くまで風が届く。 近い距離の風力が強い。 風の量が少ない(量は少ないが、瞬発力のある風が束になり次から次へと空気を押し出し、室内の空気を循環させることができる)。 人体に直接向けると、向けた箇所にピンポイントで風が当たる。 最近では、サーキュレーターとリビング扇風機の垣根がなくなりつつあります。リビング扇風機は大型で存在感があり、部屋の間取りによっては、よりコンパクトに収まるサーキュレーターが選ばれることが増えています。この結果、サーキュレーター市場が拡大し、リビング扇風機市場が縮小している現象が見られます。さらに、サーキュレーターを使うことでエアコンの効率が向上し、設定温度を控えめにできるため、電気代の節約にもつながります。特に電気代が高騰している今、経済的な効果を重視し、サーキュレーターを導入する人が増えています。 植物にとっては直接的な風よりも、室内の空気が動いていることが重要。つまり室内の植物のために空気を循環させるという目的の場合、リビング扇風機では効果が低く、サーキュレーターでなければ目的に合致しないということですね。 しかも省エネにもなるのなら、植物にも人にもメリットがあって、まさに一石二鳥! サーキュレーター選びのポイント サーキュレーターを選ぶ際は、優先したい機能をもとに選ぶことが大切です。製品の機能をしっかり確認し、何を重視するかで優先順位を決めましょう。ここでは、現在市場で人気のサーキュレーターを選ぶためのポイントをご紹介します。 ポイント① 静音性能(DCモーター vs. ACモーター) サーキュレーターは、DCモーターとACモーターの2種類に大別されます。それぞれに特徴があり、用途に応じて選ぶことが大切です。 【DCモーターは静音性に優れていて省エネだが、本体価格が高い】 DCモーターは電気の供給が一定の直流方式のため、安定した弱風を提供でき、静音性に優れています。例えば、風量が中程度でも40dB(図書館の静けさ)のため、静かな環境で使えます。さらに、省エネ性能にも優れており、広めの畳数をカバーできる高出力モデルでも、日中9時間の使用で年間約2,000円程度の電気代に抑えることができます。加えて、DCモーターは風量を最小〜最大の間で細かく調節できるため、好みの風量が選びやすいのもポイントです。ただし、DCモーター製品は価格がやや高め(1万円前後から)ですが、その分寿命が長く、長期的に見てコスパが良いと言えます。 DCモーターは細かく風量が設定できるため、得意とする安定した微弱風でゆっくりと部屋の空気を循環させれば、自然界の空気のゆらぎに近い状態を作ることができ、室内の植物にとってはうれしいかぎり! 寝室に植物がある場合は、静音性の高さは魅力ですね。 予算が許すのであればDCモーターの製品を選んで間違いはないでしょう。 【ACモーターは本体価格は安いが、駆動音が大きく、電気代も高め】 ACモーターは電気供給が安定しない交流方式のため、DCモーターよりも駆動音が大きくなる傾向があります。しかし、最近のACモーターは静音設計や静音モードを採用しており、音の面でも改善が見られ、DCモーターに近い静音性能を実現しています。ACモーターの最大の魅力は、購入時のコストが低いことです。静音モード搭載のACモーターは寝室でも気にならない場合が多く、初期投資を抑えたい方にはおすすめです。また風量調節が、弱・中・強など、ざっくりとした段階調節のため、シンプルに使いたい方にも向いています。ただし、ACモーターはDCモーターより消費電力が高く、長時間使用すると光熱費が増加する可能性があります。例えば、高出力(30W)モデルを1日9時間使用した場合、1ヶ月で約260円、年間で約3,120円の電気代がかかります。24時間使用すると、年間で約8,140円になります。※DCモーター、ACモーター共に、電気料金目安単価31円/kWh(税込)で算出 多肉植物を良い形で育てるために長時間使用するなど、長期的なコスパを重視するのであれば、DCモーターが有利です。しかし、初期費用を抑えたい方も多いはず。特に、ACモータータイプはDCモーターの半額程度で手に入るため、初めてのサーキュレーターとしてはお手頃です。 リビングに置く植物のために使用する場合、1DKなど、寝室が別室なのであれば、静音性能は必ずしも重視する必要なないと思うので、ACモータータイプを選ぶのも良い選択です。初期投資を抑えたい方には、ACモータータイプも十分にアリだと思います。 ポイント② 適応畳数(出力と風量) サーキュレーターの「適応畳数」は、出力(消費電力)に基づいて決まります。例えば、弊社製品を例に取ると、17Wの消費電力を持つモデルは18畳まで、26Wのモデルは30畳までの広さに対応しています。この適応畳数は、その製品が空気を効果的に循環させることができる範囲を示します。 サーキュレーターの繰り出す風は、風量の大小に関わらず、適応畳数内であれば空気の循環が可能です。ただし、風量が小さくなれば、その分だけ循環速度が遅くなるため、循環効率は落ちます。サーキュレーターは、エアコンのように人体に直接風を感じさせることを目的としていません。空気を循環させることが主な目的なので、小さな風量で循環速度が遅くても、空気が全体に行き渡ることが重要です。人体に例えると、エアコンが心臓、空気が血液、サーキュレーターが血液を循環させる血管だとイメージすると分かりやすいと思います。さらに、サーキュレーターから送られる空気は、家具や障害物にぶつかることで風向きが変わります。そのため、空気の循環効率を高めるには、風の進行方向に障害物がないほうが理想的です。高出力の製品は、弱風量でもしっかりと空気を回せるため、広い空間や複数の部屋をカバーしたい場合には、高出力タイプを選ぶと後々の活用にも便利です。 室内の植物を適切に育てるには、サーキュレーターの出力が重要です。特に、空気の循環をしっかりと促すには、高出力のサーキュレーターを使ったほうが効率的です。そのため、植物のために室内の空気を循環させる場合には、実際の部屋の広さよりも“広めの畳数”に対応したモデルを選ぶのがおすすめです。出力に余裕があることで、適切な風量で空気をムラなく循環させることができ、植物にとって快適な環境づくりにつながります。 ポイント③ 自動首振りの有無と角度(上下左右、360°首振り) サーキュレーターの風を広範囲に届けるには、自動首振りが有効です。上下左右自動のものや、左右自動で上下が手動のもの、中には360度自動で首を振る製品もあるため、お部屋の広さや用途に応じてお選びいただけます。サーキュレーターの目的は、人や観葉植物など、対象物に直接的に風を感じさせるためのものではなく、室内の空気を風によって動かして回す(循環させる)ものなので、首振り機能が充実していれば、それだけお部屋の空気の流れも広く満遍なく循環させることができて、エアコンの効きもよくなります。 自然界における空気の流れは常に一定パターンというわけではなく、不規則な風のゆらぎの中で植物たちは成長していきます。 自動首振り機能は広範囲に風を循環させ、空気の流れを自然のゆらぎに近い状態にするため、この機能を活用するとお部屋の植物が喜びそうですね! ポイント④ お手入れのしやすさ(分解洗浄) 昨今、各社とも目玉機能としているのが「分解洗浄」。空気を背面から吸い前面から排出するサーキュレーターは、日常の使用で前面と背面のカバーと羽根(ブレード)が汚れがちです。今までのクリーニング方法は、ドライバーを使ってネジを外し、前面カバーのみを外してあとは手探りでお手入れ、というのが主流でしたが、それだと手の届かないモーター付近や背面カバーの汚れを除去することができませんでした。しかしここ最近は、工具を使わずに簡単に前後カバーと羽根を外せる「分解洗浄可能モデル」が増えてきました。 たかが汚れと侮ってはいけません。背面や前面に溜まったホコリを放置すると、サーキュレーターが下図のような、ホコリを含んだ風を循環させることにより、健康にも影響を及ぼす可能性もあります。 あくまでもイメージです。 写真提供:山善 このため、定期的なお掃除を心がけてください。分解方法は各社異なりますが、ほとんどの製品が、とても簡単に分解&組み立てができるようになっています。弊社の製品で洗浄を実演してみましたので動画をご覧ください。 サーキュレーターのお手入れを怠ると、室内の植物の葉にもホコリが溜まりやすくなります。特に、美しい葉が魅力の観葉植物にホコリが溜まると見た目にもよくはないですし、光合成の効率も落ちて成長にも影響が出てきます。このため、サーキュレーターのお手入れは定期的に行いたいですね。そういう意味でも、工具不要で全分解できるのは、とても便利ですね! ポイント⑤ その他便利機能 【リモコン】 サーキュレーターもリモコンがあるとやはり便利です。リモコンでは主に、ON/OFF、風量切り替え、自動首振りの設定、タイマーセットなどが行えますが、エアコンのリモコンと異なり、とても薄くて小さいので管理に気をつけましょう。 【タイマー】 就寝時などに重宝します。自由に時間を設定できるものもありますが、大体1時間刻みで、最大8時間でOFF、といったものが多いです。 多肉植物や観葉植物にはコレクション性の高い品種も多く、愛好家たちの中には“24時間回しっぱなし”という使い方をされる方も多いようです。しかしモーターにも寿命があるため、タイマー機能を活用し、過度の連続使用を行わないことが機器の長持ちにつながります。 室内の置き場所により、空気はどう流れていくのか? “サーキュレーターを効果的に使用するにはどこに置くのが最適か”というところを、図とともに解説いたします。以下のお部屋を模した図はあくまでも、エアコンを稼働させた場合の置き場所のモデルケースです。下図を参考に、可能な限り平坦で遮蔽物の無い場所に設置してください。 【冷房時の置き場所】 空気循環のイメージ図(実際は家具などがあるため、図のように植物が直接的に冷気を浴びるわけではない) 冷たい空気は重く、エアコンから出た冷風は自然と下に降りていきます。そのため冷房運転時、エアコンのルーバー(羽板)は自動的に上を向く設計になっています。この下降する冷気を、エアコン近くの床に置いたサーキュレーターで背面から吸い込み、前方から送り出す風に乗せて部屋中に這わせることで、冷気を効果的に循環させることができます。壁に当たった風は向きを変えながら、サーキュレーターの風で連続的に押し出されるため、対応畳数の範囲であれば、部屋の中を冷気がグルグルと循環します。ちなみに、この循環のスピードを決めるのが風量です。普段は「弱〜中」で十分ですが、換気したいときは最大風量にするとより効果的。また、家具の配置で空気の流れが遮られないよう、自動首振り機能なども活用すると、ムラなく空気を動かせます。 空気の跳ね返りのイメージ図 植物の成長に欠かせない光合成。その効率を高めるために、葉では根から吸い上げた水分を蒸発させる「蒸散」が行われています。ただし、常に風が当たっている状態だと、この蒸散作用がうまく行われず、生育不良につながることがあります。このため、サーキュレーターは植物に直接風が当たらない位置に設置しましょう。これは暖房時や、エアコンを使用しない季節でも同じです。ちなみに、葉を持たないサボテンは、あのぷっくりとしたボディで、夜間にごくわずかな量だけ蒸散を行っています(だからあんなに水分をためられるんですね)。そのため、サボテンを育てている方は、夜間にやさしく弱風でサーキュレーターを回してあげると、生育にも良い影響を与えてくれます。 【暖房時の置き場所】 空気循環のイメージ図(実際は家具などがあるため、図のように植物が直接的に暖気を浴びるわけではない) 暖かい空気は軽いため、上にたまりやすい性質があります(そのため、暖房機器のルーバーは起動時に下を向く設計になっています)。この特性を利用して、サーキュレーターは部屋の中央あたりに設置し、風を天井に向けて送るのが効果的です。天井に届いた暖気は壁を伝って下に降り、床付近にたまった空気をサーキュレーターの背面から吸い上げることで、部屋全体に暖気を循環させることができます。このとき、首振りモードを使って風向きを左右に広げると、より均一に暖かさを届けられるでしょう。 観葉植物は亜熱帯地域原産のものが多いため、部屋の空気がただ暖かいだけでなく、流動していることにより、自然環境に近い状態で冬を越すことができます。そうすることで、翌年の芽吹きがよくなることが期待できます。 【2部屋を循環させる場合の置き場所】 空気循環のイメージ図(実際は家具などがあるため、図のように植物が直接的に冷気や暖気を浴びるわけではない) 2部屋を循環させる場合は、サーキュレーターを、2部屋をまたぐ位置の平坦な場所で、エアコンに対して背を向けた状態で設置します。エアコンにより冷却、または加温された空気を、サーキュレーターが背面から吸い込み、前面から押し出すことにより、矢印の方向に空気の流れを作ります。この場合も、自動首振りモードを使用することで風の動きが複雑になり、家具などの影響を最小限に抑え、効率良く広範囲の空気循環が行えます。ただし、2部屋の合計畳数が、製品の適応畳数以下である必要があります。 「冷房」「暖房」「2部屋循環」はそれぞれ、エアコンを稼働した前提で解説していますが、エアコンをOFFにした状態でも、同様の空気の流れを作ることができるため、春や秋など、外の気温が最適なときは、窓を開けて新鮮な空気を取り込みつつサーキュレーターを回して換気してあげると、室内の空気もリフレッシュされ、植物たちも喜ぶでしょう。 編集部のおすすめ①:山善2025年新型サーキュレーター「RCRP-BZX015」 山善2025年新型洗えるサーキュレーター「RCRP-BZX015」は、部屋全体の空気循環に最適!DCモーターを搭載した注目モデルで、最大の特徴はなんといってもコードレスでも使用可能!USB Type-Cによる給電に対応し、本体にバッテリーを内蔵。モバイルバッテリーからの給電も可能なため、屋外での使用にもぴったり。特にウォークインサイズの温室では、風量1(風向き固定)で最長40時間も連続稼働できるため、頼もしい存在です。また、災害時の停電の際に、大切な植物が蒸れなどで弱ってしまうリスクを軽減できるのも大きなポイント。 同梱のケーブルとアダプター。規格に合ったアダプターが同梱されているのは国内メーカーならではの気遣いだ。 DCモーターならではの静音性と省エネ性能で、最大24畳の空間をカバー。風量は10段階で細かく調整でき、使い勝手も抜群。工具不要で、前面ガード、背面ガード、羽根、スピンナー、ガード止めナットを簡単に取り外して水洗いができるため、清潔に保ちやすく、長く安心して使えます。 ●お買い求めは、「山善ビズコム」からご購入いただけます。(スペック詳細も確認できます。)山善ビズコムで購入の場合:価格14,800円(税込)送料無料(沖縄・離島除く) 編集部のおすすめ②:BARRELサーキュレーター「Aechmea move(エクメア ムーブ)」 「AMATERAS」や「TSUKUYOMI」でおなじみの植物育成LEDライトのパイオニア、BARREL社が手がけるサーキュレーター「Aechmea move(エクメア ムーブ)」は栽培エリアの空気撹拌に最適! BARRELといえば植物育成LEDライトですが、その開発を通じて培ってきた豊富な植物育成ノウハウを活かし、サーキュレーターも展開しています。このモデルは、ライティングレール(E26ソケット対応)に簡単に取り付けられる仕様になっており、また色はブラックとホワイトの2色から選べるため、植物育成空間での自由なレイアウトとコーディネートを可能にします。 ブラックモデルの使用例。同社の植物育成用照明太陽スポットライト「HADES」(黒)との組み合わせ。 ホワイトモデルの使用例。同社の植物育成用照明太陽スポットライト「HADES」(白)との組み合わせ。 風量は強風・中風・弱風・リズム風の4段階で調整でき、さらに左右30度の首振り機能を備えているため、栽培エリア内の空気をムラなく撹拌することができます。またリモコンによる遠隔操作やタイマー設定にも対応しており、日々の管理をよりスマートに。育成ライトと組み合わせて使用することで、植物にとって理想的な環境づくりを強力にサポートします。もちろん、前面ガードが外れるため羽根のお掃除もラクラク。常に清潔な風を植物たちに送り届けます。●お買い求めは、こちらの同社商品紹介ページからご購入いただけます。(スペック詳細も確認できます。)上記で購入の場合:価格7,990円(税込)+送料770円(税込) ※北海道、沖縄、離島は1,210円(税込) まとめ ①自動首振り機能を活用し、弱風で部屋の空気を広範囲にマイルドに循環。②サーキュレーターは「DCモータータイプ」と「ACモータータイプ」の2種類。 長時間使用や静音性重視ならDCモーター 初期投資を抑えたいならACモーター ③定期的な清掃が必要で、工具不要で分解洗浄できるタイプが便利。④サーキュレーターは平坦な場所に置き、風が植物に直接当たらないように配置。エアコン使用時は、冷房時は近くに、暖房時は中央に置くことで経済的。⑤本記事ではおすすめ2機種を紹介 山善「RCRP-BZX015」はコードレス対応で全体の空気循環に最適 BARREL「Aechmea move」は首振り機能があり、植物栽培エリアの空気撹拌に最適 おわりに 今回、村上さん(山善)からお話をうかがい、私たちのように植物栽培用途で考えると、モーターの性能もさることながら、部屋の空気の流れをいかに自然環境に近づけるかという観点では、満遍なく風を送ることができる首振り機能の有無も重要かな、と思いました。その点では、山善の新型機「RCRP-BZX015」の風のモードボタンに備わっているリズム風モードを合わせることで、ニーズにとても合うように感じました。BARRELの「Aechmea move(エクメア ムーブ)」は、さすが植物栽培をよく研究されている、の一言に尽きます。同社の植物育成ライトを使用している方にとっては、栽培エリアが抜群のコーディネートに仕上がります。どちらを選ぶにせよ、室内で植物を栽培する方は、ぜひこの機会にサーキュレーター導入の検討をおすすめします。
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【牧野植物園広報部インタビュー】愛されキャラの牧野富太郎と博士の思いをつなぐ牧野植物園の未来
牧野植物園について 牧野植物園には、県内のほとんどの人が、子どもの頃に遠足で来たとおっしゃるんですよ ガーデンストーリー編集部(以下GS):植物園のある五台山は、牧野富太郎博士が何度か植物採集に訪れていたそうですが、そうしたことからこの地が選ばれたのでしょうか? 橋本:そうですね 牧野博士はここに限らず、高知全体をフィールドとして調査に行っています。もちろん、この植物園のある五台山にも何度か植物調査に訪れています。しかし、ここに植物園の設立が決まったのは、その調査からもっと後の話になります。 園の設立に関しては、明確に博士からの希望があったわけではなく、県民はじめ有志の働きかけによるものだと聞いていますが、牧野博士自身も「植物園」というものの建設の必要性はかねがね明言されていたことが書籍などで確認できます。計画が具体的になったのは昭和29年で、まず「牧野博士記念植物園設立準備会」ができ、昭和31年に設立が決定しました。 これは推測ですが、おそらくその準備会の中で、いくつか候補地が挙がったのではないでしょうか。地形の調査も行ったようですし。でも結局は、博士に「どこがいいですか?」と伺ったところ、「それなら五台山がいい!」という鶴の一声で、ここにつくられることが決まりました。 当時のここ五台山は、いくつかの私有地が混在していて、最終的に竹林寺の当時のご住職からご厚意をいただき、お寺の一角であった宿坊(寺院の宿泊施設)と呼ばれるエリアにつくることになったと聞いています。 北園の山頂付近に広がる「こんこん山広場」に横たわる2本のスモモの木は私有地時代の名残で、当時は無数のスモモの木が花を咲かせ、山肌を白く染めたそうだ。 GS:植物園の存在は、地元にどのような影響を与えてきたと思いますか? 橋本:当園は地元の方々に親しんでいただいており、来園のお客さま、特に県内の方に「過去に園に来たことありますか?」と尋ねると、多くの方が「子どもの頃に遠足で来た」っておっしゃるんですよ。 今でも小中高と、遠足や課外授業で来られる方も多いのですが、県民の多くの方が幼少期から学生時代に、少なくとも一度は訪れているように思います。 私どももさまざまなイベントを催していますので、大人になってからはそういった催事の話題をきっかけに再訪しようかな、という流れもあるようです。 GS:それは素敵な話ですね。幼少期にこんな素敵な植物園の思い出があるなんて、うらやましいですよ。 橋本:特に高知市内にお住まいの方は、そういった思いが深いのではないでしょうか。また、今回NHKの連続テレビ小説の題材になったことで「我が地元に牧野植物園在り!」と再認識され、再訪される方も多いですね。 GS:地元の方にとっては、今回連続テレビ小説の題材になったことは、これ以上ない誇りでしょうね。 橋本:そう思います。 牧野植物園がきっかけで、さらに植物愛が増してもらえるのは嬉しい GS:植物園が日本の園芸文化にもたらした影響についてはいかがでしょうか? 橋本:地元に対してはこのように大きな影響を持つ牧野植物園ですが、日本の園芸文化への影響というところでは、私自身の考えとしては、当園の在り方が、園芸のそれとはちょっと方向性が異なるかなと思います。しかし牧野博士の研究は、その垣根をまたいでいたものもあるため、人の手によって愛でられ栄えてきた日本の園芸文化と、自然界の植物を分類していく博士の研究とは、少なからず交わる部分もあるとは思います。GS:確かに、日本の園芸文化というと、例えば変化朝顔とか江戸菊のように、人の手によって改良を重ねられ、美術工芸品のような位置付けで楽しまれる植物が代表的ですね。 橋本:そうですね。もちろん、植物を愛する畏敬の念に隔たりはないのですが、ただ、牧野植物園に来園される方は、どちらかというと園芸植物よりも、山野草や高山植物のような人の手によるものでない野生の植物、ありのままの自然が好きな方が多い印象です。 しかし最近では、蘭が好きな方や多肉植物が好きな方が来園されたりと、割とボーダーレスでお客さまがいらっしゃるようになったと思います。 私たちとしては、きっかけはなんでもいいんです。研究としては線引きがあっても、植物を愛でる気持ちに線引きなどあろうはずもなく、お散歩がてら来ていただくのも嬉しいですし、博士のことを伝記などで読んだり、今回の連続テレビ小説を通じて興味を持たれたり、さまざまなきっかけで牧野植物園に遊びに来ていただければ嬉しいんです。 こうして、今まで植物に興味があった方も、なかったけど持ち始めたという方も、園芸というよりは、もっと大きなところで植物への興味の足掛かりに牧野植物園を使っていただければ嬉しいですね。それにより日本の園芸文化にも、植物を愛する方を一人でも多く生み出す、というフィードバックができるのではないかと思います。 GS:園を散策してみて、植物一つひとつにじつに細かくプレートが立てられていて、いかに博士が植物分類学に心血を注いでいたかがうかがえました。来園者はこのプレートからより深い植物の知識を得ることができ、関心も高まりますよね。そういった意味でも博士の研究と現在の園芸文化とのクロスオーバー的な役割を、この植物園が果たしているのだな、と思います。 私たちの生活とも関わりの深い植物などが多数植えられた薬用植物区の一部。植えられている全ての植物の側には、その植物の詳細が記されているプレートが立つ。 橋本:当園は自然風植栽を意識しているため、例えばご自身が鉢植えとして楽しまれているものが、自然の中でどのように息づいているかを見ると、よりその植物への愛も増すと思いますし、栽培のヒントにもなったりするのではないでしょうか。 博士自身も園芸文化を決して否定せず、むしろ植物を愛する気持ちに対しては心は一つ、という考えの方だったので、牧野植物園がきっかけで来園者の植物愛がさらに増すというのは嬉しい限りではないかと思います。 GS:ここは場所柄、山に吹き抜ける強風が植物の幹を太くし、強くしていると伺いましたが、言ってみればそれが自然の創り出す造形美であり、植物が健康に育つためには、いかに風が重要かも分かりました。 牧野富太郎博士について <写真提供:高知県立牧野植物園> 研究って一方通行では決して醸成されないもの GS:牧野富太郎博士は植物について並々ならぬ関心と情熱を持ち、研究や教育普及活動に生涯を捧げた方ですが、同じ道を歩まれている後進の方々から見るとどんな方ですか。 橋本:やはり植物学や植物分類学というものについて、まだ当時(明治〜昭和期)は欧米に遅れをとっていた日本のレベルを世界レベルまで引き上げたのは牧野博士なので、そのレガシーを継承し、同様の研究を進めている専門家たちから見れば、牧野博士はまさに先駆け的な存在です。 また、牧野博士は採集した植物を描いた植物図の分野でも日本では先駆者であり、そのディテールの再現性と息を呑むような美しさには、先進的だったはずの海外の植物学者も驚嘆したといわれています。 明治11年、牧野富太郎が16歳の時に描いたもの。少年の頃にすでにここまで緻密な植物図を描いていた。 GS:牧野博士は植物分類学の研究を世界水準まで高めたということですが、そもそも当時、日本の植物学は海外から注目はされていたのでしょうか? それとも、謎めいた極東の小国から、牧野博士が積極的に海外に向け情報を発信していて、それが功を奏して海外からも注目を浴びるようになったのですか? 橋本:すでに世界から注目されていたとは思いますが、当時は、文明的、歴史的な背景もあり、情報流通は極端に少なかったと思います。おっしゃるように、未知なことが多い極東の小国から、博士のほうから積極的に発信したのだと思います。そもそも研究って一方通行では決して醸成されないものなので、徐々に情報のネットワークが作られ、レベルも上がり、評価を得た、ということだと思います。 GS:一方通行だった研究を双方通行にして、日本の学術レベルを底上げした博士の功績は偉大ですね。 そもそも、牧野博士が一般常識人であったら植物分類学者牧野富太郎は生まれていなかった GS:そんなフロンティア精神溢れる博士には、ユニークなエピソードもたくさんありそうですね。 橋本:牧野博士はとにかく、どんなことにも探究心が旺盛で、凝り性だったようですね。幼少期には、実家の番頭が持つ懐中時計を借りた博士は、その仕組みが知りたくて、借り物にもかかわらず、バラバラに分解してしまったそうなんです。 GS:貸した方はさぞびっくりしたでしょうね・・・。連続テレビ小説でもそのようなシーンが盛り込まれると面白いですね!(実際に放映では、子供時代に番頭さんの懐中時計を分解しちゃったという形で再現された) 橋本:そうですね(笑)、あとは、博士は海外から大量のシリーズ物の書籍を取り寄せたりもしていたんですが、それらも抜け落ちることなく、ちゃんと全巻揃えてコンプリートしていたそうです。とにかく凝り性だったようですね。凝り性がゆえに、家計が傾いたのですが・・・。GS:家計を傾ける凝り性のことを「Rock ‘n’ Roller」というんですよ(笑)。独り身ならいざ知らず、妻君のご苦労は察して余りあります。 橋本:全財産を研究に注ぎ込んでしまうわけですから、確かに妻の壽衛さんは大変だったと思います。でも壽衛さんは、お子さんには「お父さんは世界的な研究をしている人だから、我が家は決して裕福ではないけれど、決して恥ずべきことではないんだよ」と言って、最大限の理解を示して家庭を支えていたんです。 そもそも論ですが、牧野博士が一般常識人であったら、植物分類学者牧野富太郎は生まれていなかったのではないかと思います。 若き日の牧野富太郎と妻壽衛。<写真提供:高知県立牧野植物園> GS:ある分野で突出した人は、一般常識が通じない部分が必ずどこかにあると聞きます。まさにそれですね。私の経験則では、そういう人は自己陶酔型が多いですが、牧野博士にはそれが感じられない。 橋本:そうなんです! 博士は大人、子供、老若男女の分け隔てなく、誰にでも同じように接して植物の知識を広めていった方なので、そんなところが多くの人に愛され、愛されるから支援者が現れ、親しみを持たれるからこそ、日本全国から標本が集まり、博士も知識を集積することができたんです。その結果、現在語り継がれている偉業の数々を成し遂げることができたんです。 GS:細い1本の糸が束になって、太い1本になった、ということですね。 橋本:はい。博士のお人柄のなせる業ではないかと思いますね。 出生の地、佐川町の風土も大きな影響を与えた GS:14歳のときに小学校を自主退学し、早くも植物研究の道を歩み始めている博士ですが、牧野富太郎博士が若くして植物に強く関心を持つに至ったのはなぜなんでしょうか? 橋本:牧野博士は幼少の頃に両親と祖父を亡くされて、祖母に育てられました。そんな少年時代に、肉親の愛に代わって心を満たしてくれるものが植物だったと自らも語っています。つまり、何か1つきっかけがあったというより、常に植物に寄り添い、共に日々を送っていたわけです。加えて、日本の野生植物の種類の約4割が自生しているともいわれている地元高知の自然の豊かさも大きな影響を与えたのではないでしょうか。10代〜20代前半の頃は、博士はすでに高知県の植物をくまなく調査していました。ですから影響というか、高知の自然こそ、博士の研究の源になったのだと思います。 GS:植物王国土佐の大地を駆け巡るフットワークの軽さもさることながら、そもそも学習意欲も旺盛だったのですね。 橋本:それは間違いないですね。地元でも有数のレベルの高い私塾に通い、そこで読書、天文学や物理学、英語の読み書きを学んでいました。教育に熱心に取り組み、多くの識者を輩出しているこの佐川町の風土も大きな影響を与えたのではないでしょうか。 高知は山を越えるごとに地域の特色も変わるのですが、佐川町は「佐川山分学者あり」(佐川は山も多いが学者も多いという意味)という言葉ができるほど、学問が盛んな町だったため、そのあたりも後年の富太郎を形成する苗床になったはずです。 GS:学問で肥えた土から、まさに黄金の苗が芽生えたわけですね。 橋本:いろんな要素はあると思いますが、やはり牧野富太郎を突き動かしたのは、ひとえに植物への愛ではなかったのかなと思います。 GS:歴史の必然というかなんというか、どれか1つでも欠けていたら、もしかしたら牧野富太郎は生まれなかったのかもしれませんね。 橋本:そうですね、もし両親といわずとも、どちらかの親が存命だったり、他の子どもみたいにちゃんと学校に通っていたり、場所が高知でなかったり、このどこかが異なるだけで、牧野富太郎の人生は私たちが知っているものとは違う歩みになっていたのかもしれません。 今回のドラマをフックにして、牧野富太郎の存在を広く周知したい GS:ところで、その牧野博士は昨年生誕160年を迎えましたが、博士の存在がクローズアップされている今年2023年、牧野植物園としては博士が日本の園芸に残した足跡、功績をどのように伝えていきたいですか? 橋本:牧野富太郎は、まだ全国的に知名度は低いと思うんですよ。確かにドラマのおかげで知った方も多いとは思いますが、それでもいまだに高知のパブリックイメージは、高知=坂本龍馬、だと思うんです。 我々としては、今回のドラマをフックにして、牧野富太郎という世界レベルの植物分類学者がいたんだという事実、そしてそれを生んだのが高知であるということを発信し、その結果植物に興味をもってもらい、牧野富太郎のエッセンスを当園で感じてもらう。いわば、「情報」を「体感」へと繋げていければ、と考えています。 なので、私たちとしてはひたすら牧野富太郎という人の偉業と人間性を発信していき、今までの高知=坂本龍馬が、高知=牧野富太郎というように瞬時にイコールで結びつく、そんなところを目指しています。 園内に植えられていた高知の特産品「ブンタン」。マーマレードにすると絶品! 高知は果物も豊富なのだ。 NHKの連続テレビ小説「らんまん」について ドラマ化を推進する会が結成され、署名活動が行われた経緯もあります GS:NHKの連続テレビ小説「らんまん」について、地元の方、そして植物園の皆さまはどんな風に受け止めていらっしゃるのでしょうか? 橋本:じつは以前から、ぜひドラマの題材に、というリクエストは県内の複数の箇所から出ていました。また、それを推進する会が結成され、署名活動が行われた経緯もあります。署名活動が直接的にNHK側の選考判断材料になったかは分かりかねますが、県民を挙げて牧野博士の周知を願っていたわけですから、これはあくまでも私の想像ですが、そういった活動が少なからず選考に影響を与えた部分もあるのかな、とは思います。 GS:橋本さんご自身は、テレビ化の決定を聞いたとき、どう思いました? 橋本:それは嬉しかったですよ! ここ(牧野植物園)に携わっている全ての人が、牧野博士のことを愛し、敬意を払っているので、博士の偉業と魅力が世間に、しかも全国ネットで周知されることを名誉に感じています。 GS:実際に署名活動に携わった方たちにとっては、まさに思いが報われた瞬間だったのですから、これはもうシャンパンファイトでもしたい気分だったでしょうね。こうして、ドラマの題材になったことによって、牧野植物園はどう変化すると思いますか? 橋本:そうですね、まぁ忙しくはなるでしょうね(笑)。 でも先ほども言ったように、それがきっかけで牧野富太郎に興味を持ち、植物に興味を持ってもらうことは、私たちにとっては嬉しい相乗効果です。お客さまに今後どのようなアプローチで植物に興味を持ち続けていただくのかを考えながら、牧野植物園もコンテンツをブラッシュアップしていかなければなりません。このたび、正面入り口と南門の間に植物研究交流センターという建物を新たにオープンしました。 そこでは、さまざまなワークショップやイベントを行っています。また、リニューアルしたレストランやミュージアムショップもお楽しみいただけるのではないかと思います。 牧野博士は“植物は楽しいものだ”ということを世界中の人に知らせたかったし、実際に知らせたわけですから、変化するというよりは、変わらずにその思いを継承していきたいですね。 建設中(2022年12月当時)の植物研究交流センター。 牧野植物園のこれから 牧野植物園を通じて、植物に関する正しい情報を発信していくことが私たちの使命 GS:Webマガジン「ガーデンストーリー」の読者は園芸を愛好する人たちで、さまざまな形で園芸を楽しんでいます。読者の皆さまに、牧野富太郎博士のどんな部分を知ってほしいですか? また、牧野植物園のこれからの取り組みなどを教えてください。 橋本:博士の行っていた植物研究は、基本的に人の手が加わっていない自然そのものの植物が対象であったため、人の手が加えられる園芸文化と必ずしも合致する部分ばかりではないのですが、ベースにある植物愛というところでは大きく共通していると思います。 ただ牧野博士の場合は(想いが)突き抜けてしまっていたために、研究者として偉大な功績を遺すことができたのですが、その突き抜けていた部分を、連続テレビ小説や当園を通じて、感じて、そしてファンになっていただければ嬉しいですね。なにしろ牧野富太郎は生前、自身のことを「草木の(妖)精」と言ってはばからなかったそうですから。 GS:植物への興味の有無にかかわらず、牧野富太郎という人の生き様に対して、連続テレビ小説を通じて興味を持つ方は多いと思います。 橋本:牧野博士の時代と違い、現代は情報が氾濫しているため、一つの分野を追求するのって難しいと思うんです。それがいばらの道になったら、楽な道も簡単に探せるわけですから。だからある意味、博士みたいなブレない生き方に憧れを覚える視聴者の方も多いのではないでしょうか。 そうして興味を持っていただいた方に、植物の種を本来あるべき姿で保存していくということの大切さ、そして高知県の自然の豊かさを、私たちも牧野博士のそれにならい、ブレずに積極的に発信していかなければなりません。発信する上で、この牧野植物園は重要な拠点となっているので、今後ますますその価値を高めていきたいと思います。 近年は植物の情報をネットで簡単に検索できますが、誤った情報も非常に多く見受けられます。私たちは、この牧野植物園を通じて、植物に関する正しい情報を発信していくことを使命としています。 GS:粛々と、牧野博士の偉業を紡いでいくと。 橋本:そうですね、そんなところです。すいません、答えになっているかな(笑)。 GS:いや、情報の信頼性を追求するのは、私たち園芸メディアにとってもそれは使命であるので、正しい情報を元に植物愛好者を増やしていくという形で、牧野博士を見習い、その想いを紡いでいけたら嬉しいです。今回は、いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。南園に牧野博士の立派な銅像がありましたが、博士にくれぐれもよろしくお伝えください。 橋本:伝えておきます(笑)。 南園にある牧野富太郎博士像 取材後記 35年ぶりの高知。35年も経つと、初めて来た土地のような感覚でしたが、以前のことで鮮明に覚えているのは、高知市民の親しみやすさ。すごくソウルフルで、今回の取材でお世話になった広報の橋本さんも、そんな方でした。 好青年で、時にクールに、またある時は熱っぽく語る、植物愛に溢れる橋本さんですが、牧野富太郎という人物をリスペクトしまくっているその姿を見ていて、この方は牧野富太郎と同時代に生を受けていたら、きっと牧野博士に可愛がられたのだろうな、と思いながら、お話を伺っていました。 ちなみに、この記事を作っている今(6月)、予見したとおり、連続テレビ小説効果で園内はだいぶ混み合い、忙しいらしいです。忙しいけれど、ホスピタリティー溢れる橋本さんのことだから、きっと手を抜かないのだろうな…。 話に聞く牧野博士も、それはホスピタリティー溢れる方だったそうです。今回は、そんな土佐っ子の心意気を肌で感じる取材となりました。
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ガーデン&ショップ

高知県立牧野植物園は見どころ満載! 牧野富太郎の想いが詰まった園内おすすめスポットを一挙ご紹介!
牧野植物園の見所をもっと知る! 日本の植物分類学に偉大な足跡を残した牧野富太郎。その生涯をモチーフに描かれたNHKの連続テレビ小説「らんまん」が絶賛放映中です。 ガーデンストーリー編集部では放映に先立ち、2022年初冬、牧野富太郎の業績を顕彰してつくられた、高知県立牧野植物園を訪れ、一足先にその足跡をたどってきました。そして牧野博士と牧野植物園の関係を解説した第1回目に引き続き、今回は、その広さゆえに一度ではお伝えしきれなかった牧野植物園をクローズアップし、見どころやおすすめスポットを映像と共にご紹介したいと思います。 おすすめスポット① エントランスまでの道のり 日本最後の清流とも称される美しい四万十川をはじめ、日本一の消費量を誇る鰹料理など、見どころ食いどころ満載の観光王国高知県。さらに、牧野富太郎博士がクローズアップされたことにより、植物王国としての顔に注目が集まっています。 日本で確認されている植物のうち約40%が生育しているといわれる高知県の自然を体感できるのが、牧野植物園正面玄関からエントランスまでの約100mのアプローチ「土佐の植物生態園」。このエリアでは、高知県の豊かな植物生態を、山→川→海辺と、段階的に体感することができます。 山野草が好きな方の中には、この場所で半日過ごす方もいるのだとか。まだエントランス前ですよ! こんなところにも、牧野植物園の「自然のままの植物の生態を知ってほしい」という本気度が伝わってきます。 おすすめスポット② エントランスと本館建屋 エントランスを抜けるとすぐ、右側にボタニカルショップ nonoca(野の花)と、レストラン「アルブル」(現在は新店舗C.L.GARDENとして南園に移転し、ここではカフェ・アルブルとして営業中)があります。 ボタニカルショップ nonocaでは、季節の花の鉢植えや、牧野博士の植物図をあしらった牧野植物園オリジナルグッズ、高知産の土産物などを購入することができます。 私のイチ推しは、スコットランド沖合のアイラ島に自生する22種の希少な野生のボタニカルを手摘みで採取してつくられた蒸留酒(ジン)「THE BOTANIST」。 一般的なジンの持つハーブ感というよりは、いくつもの花の香りが複雑に交わるような、フローラルアロマが特徴。お酒の強い方は、ロックで心地よいアロマをダイレクトに味わってほしいですが、弱い方はトニックウォーターで割ってジントニックにして楽しんでください。 ちなみに、商品名のBOTANISTとは植物学者のこと。牧野博士を顕彰した牧野植物園のお土産としてはもってこいですね。 BOTANISTをはじめアルコール等の飲料類は、取材時の nonocaから植物研究交流センター 3Fの牧野ミュージアムショップ「サクラ」に販売場所が移っているためご注意ください。 おみやげ類は売り切れるものもあるため、先に購入して散策中は園内のコインロッカーに入れておくのがおすすめです。コインロッカーは本館nonoca、植物研究交流センター 3Fサクラ、共に入り口付近に設置されています。 さて、本館建屋を中央に進むと、空に向かって存在感を示しているのはタイワンマダケ。 ある意味、エントランスを抜けてきたお客様を最初にお出迎えするのがタイワンマダケだ。 タイワンマダケは1896年に牧野博士が東京帝国大学(現在の東京大学)の依頼で台湾を調査した際に発見した台湾固有種で、1916年に「台湾植物図譜」の著者、早田文蔵博士が発見者の牧野博士にちなんで、学名の種小名をmakinoiとして発表しました。原産地の台湾では工芸品の材料としても使用されています。 建築家内藤廣の意匠が反映された独特の傾斜の屋根、タイワンマダケ、土佐の空、この3つが揃うとじつに美しい。 おすすめスポット③ 植物研究交流センター3Fレストラン「C.L.GARDEN」 C.L.GARDENは「子どもの頃に憧れた木の上の小屋のようなレストラン」をコンセプトに、ココット(鋳物ホーロー鍋)のハンバーグランチや、ふもとの市場で仕入れたお魚ランチなど、旬の野菜をふんだんに使ったシェフ自慢の地産地消の洋食メニューが魅力。そんなC.L.GARDENから、夏限定のメニューの情報が届きましたのでご紹介します。 窓の向こうのガラス張りの建物は温室棟。 夏季限定ドリンク ベリースカッシュ ブルーベリーやストロベリーなど数種類のベリーが味わえるスカッシュ(炭酸ジュース)です。 管理栄養士曰く、ベリーに多く含まれるポリフェノールには、暑さによる疲労の回復効果がある「抗酸化作用」、血管を拡張し熱中症の症状を改善する「血流改善作用」、熱中症に起因する炎症の予防と罹患後の緩和に効果のある「炎症抑制作用」という3つの効能があり、熱中症への対策として有効であるとされています。 夏の園内は無理して歩くと大変なことになるので、こまめな休憩を心がけ、美味しく体にもよいベリースカッシュを熱中症対策にお役立てください。 ブルーレモネードスカッシュ 定番のレモネードスカッシュにブルーシロップが加わり、見た目にも涼しげな夏らしいドリンクです。土佐の空に溶け込む南国のような色彩は、映えること間違いなしです! ティーソーダ アイスティーシロップを炭酸で割ったドリンク。レモンを添えた、さわやかな味わいが暑い日にぴったりです。 余談ですが、牧野博士が育った佐川町は日本産の紅茶「土佐和紅茶」の産地でもあるんです。残念ながらこちらのティーシロップには使用されていませんが、渋みが少なくマイルドな味わいの土佐和紅茶、お土産にいかがですか? 夏季限定フードメニュー シェフ特製ハンバーグのココットランチ 玉ねぎの旨みたっぷりの自家製ハンバーグメニューは幅広いお客様に愛されているメニューです。メイン(スープ・サラダ・ハンバーグ)にライスが付きます。 鶏ひき肉と野菜のカレー 人気のカレーは、これ目当てに五台山を登ってくるお客さまもいるほどファンが多い逸品です。 キッズプレート 小学生までのお子様が注文できるお子様ランチ。思わず大人も頼みたくなる、美味しいがつまったプレートです(ふりかけごはん・ミニスープ・フライドポテト・鶏のから揚げ・ミニハンバーグ・フルーツ)。 <レストラン内外観写真提供:高知県立牧野植物園 メニュー写真提供:C.L.GARDEN> 「C.L.GARDEN」【場所】植物研究交流センター 3F【営業時間】9:00~17:00モーニング 9:00~11:00(オーダーストップ 10:30)ランチ 11:00~15:00 (オーダーストップ 15:00)カフェタイム 15:00~17:00(オーダーストップ 16:30)【座席数】約60席【TEL】088-802-6951メニュー詳細はこちらから おすすめスポット④ 回廊 本館と展示館を結ぶ170mの回廊は、周辺を四季折々の草花が彩り、遠くに高知市街が望めるため、映え必至のフォトスポットとしても大人気です。 冬季の回廊は晴れた午前中に歩くと、乾いた空気が景色をより一層美しく魅せる。 初夏の回廊は生命力溢れる緑に満ちている。 <写真提供:高知県立牧野植物園> 取材時(12月)は園を彩る花が少ないながらも、ツワブキの黄色い花が回廊に彩りを添えていました。冬季にしか出会えない花の中で、最も見たかったもののひとつがバイカオウレン。牧野博士ゆかりの花で、その葉が牧野植物園のシンボルにもなっています。 バイカオウレンを見たい方は、ぜひ冬の牧野植物園を訪れてみてください。この回廊の途中、展示館への曲がり角の直前右側の石垣の上に目をやると、可愛らしいバイカオウレンがあなたを待っています。 <写真提供:高知県立牧野植物園> 「まきのQRガイド」を使おう! 園内の植物の多くは、解説が記載されたプレートが立っているため、その植物の情報を知ることができます。特に牧野博士にゆかりの深い植物には、プレートによる説明プラス、お手持ちのスマホでプレートに表示されているQRコードを読み込むことで「まきのQRガイド」につながり、より詳しい情報を得ることができます。積極的に使えば「まきの通」になれるかも。 おすすめスポット⑤ ふむふむ広場 ふむふむ広場は植物を五感で感じるエリア。今回は、展示館近くにあるハーブ園エリアを散策しましたが、ちょうどお手入れをしていた園の管理スタッフ渡辺さんに出会い、ここでの楽しみ方を伝授していただきました。 その極意はなんと、ここに植えられているハーブは、遠慮せずに葉をちぎったり花を摘んだりしてください! とのこと。園内の植物の葉や花をむしり取るなんて、ちょっと気が引けますが、実際に植物に触れ、香りや手触りを楽しみながら植物と触れ合うことができます。特にお子さんの情操教育に役立ててほしいと、高知の植物をこよなく愛する渡辺さんは語っていました。 ただし、この楽しみ方はハーブ園に限ってのこと。他のエリアで植物の葉をちぎることは、固く禁じられています。 こんなにも綺麗な花を咲かせていると、葉をむしるのも少々気が引けるが・・・。 おすすめスポット⑥ 展示館とスエコザサ 回廊の終点、展示館では、さまざまな企画展が催されています。取材時は、牧野博士の生誕160年の特別企画展「牧野博士と図鑑展」という、博士の研究の歩みを紹介するブースが設けられており、そこには博士直筆の植物図などが展示されていました。中でも感銘を受けたのは、博士直筆の「植物随記」。いわゆるメモ書きと察しますが、160年以上前に植物のことをこんなにも克明に記した博士直筆のノートを間近に見ることができたのは大変貴重な体験でした。 ちなみに、展示館では現在、写真家菅原一剛「MAKINO 植物の肖像」展が行われています(2023年10月1日まで)。牧野博士の標本となった植物一点一点の、写真家菅原一剛氏による「肖像写真(ポートレイト)」が展示されているので、また違った視点から牧野博士の偉業を堪能することができると思います。これから牧野植物園に行かれる方は、ぜひ展示館に足を運んでみてはいかがでしょうか。【詳細はこちらから】展示館では期間限定の催しが行われているため、事前にスケジュールをチェックして行かれることをおすすめします。【イベントカレンダーはこちらから】※「企画展」の部分が展示館の催事情報です。展示館中庭には水盤が設置されていて、夏場は水面を吹き抜ける風が冷気をもたらしてくれます。 自宅にお庭がある(もしくはこれから作る)方はデザインの参考にもなるのでは。 一歩下がって眺めると、鏡のような水面に映る木々や空が、周囲の景色と相まって、まるで絵画を眺めているような気分にさせてくれます。フォトスポットとしてもおすすめです。この水盤の水は雨水を循環させたもので、昨今、資源循環型社会が声高に唱えられていますが、20年以上も前に環境保全とデザイン性を融合させた建物を設計した建築家内藤廣氏の先見性には感嘆を禁じ得ません。展示館手前の回廊脇には、牧野博士が、前年他界した妻の名にちなんで命名したスエコザサを見ることができます。 スエコザサは昭和2年(1927年)に牧野博士が仙台市内で発見しました。博士が名付けた数ある植物のうち、愛妻の名を付けたのがなぜこのササだったのかは諸説ありますが、仙台市野草園の元園長でスエコザサ研究の第一人者でもある上野雄規氏によると、実は牧野博士はササの研究にもかなり注力しており、ササの葉のしなやかでありながらも凛とした力強い姿(実際ササは冬にマイナス10〜マイナス20℃になっても芽を残して生き残る)に、妻壽衛さんの姿を重ね合わせたことが大きな理由ではないかとされています。そして、研究に理解を示し、身を挺してサポートしてくれた妻の分まで、今後より一層研究に力を注ぐという強い意志を、妻の名を命名することで自他に示したかったのではないか、と語っています。まぁ、実際のところは、博士のみぞ知る…ですが。 いずれにせよ、愛妻を失ったときの博士の喪失感は、察するに余りあります。風にそよぐスエコザサの乾いたざわめきは、まるで博士の悲しみが音になったようでした。このような背景を持つこのスエコザサ、来園されたらぜひご覧になってください。そして在りし日の牧野夫妻の姿に想いを馳せてみてください。といっても、NHKの連続テレビ小説を視聴されている方は、あの二人の姿で想像してしまうでしょうね(笑)。ドラマではそのあたりがどう描かれるのかも楽しみですね。 おすすめスポット⑦ 板根 板根(ばんこん)という根をご存じですか? 板根とは、巨木の横走する根の背面全体が肥大化して、まるで屏風のようになる現象を指します。熱帯多雨林※でよく見られ、表土が浅く、土中の酸素や栄養が乏しい環境で、呼吸や栄養吸収を補い、また自らを支えるためにこのように根を発達させると考えられています。ここ牧野植物園でも、北園と南園をつなぐ通路を横切る「お遍路道(四国霊場を巡るための道)」を下ると、ツブラジイという四国や九州で見られるブナ科の樹木の板根を見ることができます。上り下りそれぞれ1分ほどの所要時間ですが、映像でも分かるように、ここを歩くのは正直運動靴でないとキツいですね。園内を散策していても大きな看板があるわけではないので、意外と見逃されがちなこの板根。こんな奇怪な根っこ、多分見たことないと思うので一見の価値アリです! 【POINT】 ※熱帯多雨林とは、年間の平均気温が25℃以上で年間降水量が2,000mmを超える多雨な森林を指します。高知県は日本でも有数の多雨地帯で、年間の降水量が山間部だと3,000mmを超え、東部では4,000mmを超える場所もあります。 おすすめスポット⑧ 温室 温室の中はまさに南国! 異国情緒漂う棟内は、人気の観葉植物のほか、サボテン、蒐集家が多いことでも話題の塊根植物、童話に出てきそうな水生植物などなど、非日常を感じさせてくれる植物たちがひしめき合う空間。ちょっとしたジャングル探訪気分にさせてくれます。 特におすすめなのは、温室に入ってすぐのドームと高い壁の間を抜けていく通路。映像の中でも触れていますが、宮崎駿氏のアニメ作品『天空の城ラピュタ』をご存じの方は、まるでラピュタの城内に入り込んだかのような錯覚を覚えます。もちろんスタジオジブリと温室は関係ありませんが、劇中で重要な役どころを担う「ロボット兵」がどこかから現れそうな鬱蒼とした雰囲気は、同作品が好きな方なら思わずニヤリとしてしまうのではないでしょうか。 取材後記 私の今回の牧野植物園初来園は、取材(仕事)ということもあり、牧野博士のゆかりに絡めて物を見がちでしたが、牧野博士に対する予備知識ゼロで来園しても、見る人が決して飽きないルート設定がなされています。植物が、自然が好き、という動機だけでも十分に広大な植物園を楽しむことができると思いました。でも結局はね、歩き回っていると牧野富太郎のことをもっと知りたくなるのですよ。 私の場合は広報課の担当者が付きっきりで案内してくださったため、そういう胸中に至りましたが、植物と牧野博士の学び、というところでは単独で回るのには限界があると思うので、そう頻繁に行けない方は、同行ガイドが園内を案内してくれる有料の「園内ガイド」を申し込むことをおすすめします。 【園内ガイドの詳細はこちらから】 ただ、ガイドのアテンドは10名以上からとなっているので、お友達を集めて行くのが一番ですが、SNSで当日の同行者を募るのもアリかもですね。 高知県立牧野植物園、私が近くに住んでいたら、おそらく毎週末通うことでしょう。植物の知識も増え、とにかく起伏の多い園内を歩くことでよいダイエットにもなるという、一石二鳥ですからね。またぜひ訪れたい、そしてこんな植物園が地元にある近隣住民が羨ましい、そんな取材でした。
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おすすめ植物(その他)

【プロが推す】香りのいい花と育て方のポイント(盛夏編)
花の香りは、季節の香り Pix:Pheelings media/shutterstock.com 日本には春夏秋冬、それぞれの季節の到来を告げる花があります。これらの花は、色彩だけでなく、香りによっても人々の心を癒やしてくれます。そこで、園芸のプロに、香りの面でおすすめの花を季節ごとにピックアップし、育て方のコツも教えていただきます。今回は、今の季節(7〜8月)に園芸店で買える花編です。 今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺) このシリーズでお馴染み『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される、地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、あらゆる植物の管理に精通した園芸のエキスパート。そんな関さんにお花に関するアドバイスを求め、大変多くのお客様が日々来店されます。今回、関さんはどんな花を私たちに推してくれるのか、楽しみですね! 「園芸は七転び八起き」と読者を叱咤激励する関ヨシカズさん 香りで選んだ花① ニオイバンマツリ(ブルンフェルシア) どんな花なのですか? Pix:Emagnetic/Shutterstock.com 香りで夏を告げる花として、まず思い浮かぶのがニオイバンマツリ。ナス科バンマツリ科の半常緑低木です。花は5月頃から咲き始め、6〜7月に最盛期を迎えます。咲き始めは紫色の花が、だんだん白くなっていくので、最初の濃い紫→淡い紫→白と、移り変わっていく過程で3種の花色を楽しむことができます。一斉に色が変わるわけではないので、この3色が入り混じって乱れ咲きのような感じになり、全体的に清涼感のある色彩を放ってくれます。 おすすめの理由を教えてください 理由って、それは当然よい香りだからですよ(笑)。あとは、夏にけっこうな量を入荷するので、手に入れやすいのもおすすめの点です。冬越しもしやすいですし、病害虫も少ないですし、鉢でコンパクトに仕立てるのも簡単だし、とても育てやすい品種です。 どんな香りがするのですか? Pix:youyuenyong budsawongkod/Shutterstock.com なんていうのかな、綺麗な匂いとでもいうか、キツすぎず弱すぎず、万人受けする感じで、僕も好きな香りです。近いのは、ジャスミンかな。ジャスミンの香りをもっとエレガントにした感じです。ジャスミンの香りって、わりと好き嫌いが分かれますが、ニオイバンマツリの花の香りを嫌う人は、おそらくいないんじゃないですかね。 その芳香は人をどのような気分にさせますか? 気分!? う〜ん、ニオイバンマツリは、半常緑なので、関東以南では冬でも葉を付けているため、垣根として植えている方も多いんです。なので、実家で植えている人は、どこか郷愁を感じさせるだろうし、近所に植えているお宅がある場合は、その前を通った時に、あぁ、今年も春が終わり夏が来るな、って感じさせてくれるだろうし。母校に植えられていた場合は、淡い恋の思い出も蘇るだろうし、先生との闘争劇を思い出すかもしれないし(笑)。ニオイバンマツリは、わりと多くの方が身近にその香りを嗅いでいると思うので、鮮烈ではないかもしれないけれど、おぼろげな思い出を掘り起こしてくれる香り、という感じではないでしょうか。 育て方を簡単に教えてください 垣根にも利用されるくらいなので、とにかく伸びます。地植えだと、トータルで2mくらいはいくのかな。苗でだいたい4号鉢(直径12cm)、5号鉢(直径15cm)くらいで出荷されるので。ただ、大きくなるまでに時間がかかるので、垣根に利用したい方は、最初から大きな株を買う必要があります。そういった大きめの株を地植えする場合は、基本は放置でも大丈夫ですが、鉢植えの場合は、春から晩秋にかけては、日当たりのよい場所で管理し、鉢の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらい、たっぷりと水をやってください。それくらいですかね。 盆栽仕立てにするのも粋でいい。 Pix : Quang nguyen vinh/Shutterstock.com 花にまつわるエピソードがあれば教えてください。 エピソードっていうほどのものではないですが、よく売れます(笑)。うちのお客様というのは圧倒的にご近所の方が多いのですが、季節を告げる花木などは遠方からわざわざ車で来店されるお客様もおられます。そんな方が、つい香りに誘われて、当初予定していたものに加え、ニオイバンマツリも買っていかれる、ということもありましたね。そういうのって嬉しいですね。 香りで選んだ花② クチナシ どんな花なのですか? Pix:Pieyu Art/shutterstock.com クチナシは常緑の低木で、花は今の時期(6〜8月上旬)が見頃。真っ白の、やや大きめな八重の花が咲きます。60代以上の方は、昭和・平成の大スター渡哲也さんの代名詞的な曲「くちなしの花」がまず思い出されるのではないでしょうか。昭和のヒット曲にもなるくらいですから、昔はよく垣根として使われていて、どこを歩いてもクチナシの木が植えてある家があったものですが、最近は昔ながらの垣根自体が減ってきたため、目にする機会も少なくなったように思います。でも、日本人には馴染みの深い花だと思います。オオヤエクチナシやコクチナシ、マルバクチナシなどいくつかの種類がありますが、園芸店で販売されているのは、八重の花を咲かせるオオヤエクチナシが多いですね。 おすすめの理由を教えてください 強めの甘い芳香がとても魅力的なので、選びました。また、秋になると赤い実をつけるため、それがまた季節を告げる風情として、楽しむことができます。ただし、オオヤエクチナシは結実することはないので、実も楽しみたい場合は、コクチナシ、マルバクチナシを入手してください。 クチナシの赤い実。 Pix:AnnaNel/Shutterstock.com どんな香りがするのですか? やや強めの甘い香りなので、これは正直好みが分かれますね。ジャスミンの香りを強くした感じとでもいいましょうか。キンモクセイにも似ているかな。ご年配の方は好きな香りで、うちのお客様でもお年を召した方は好んで買っていかれます。あ、でもこないだ若いカップルも購入されましたね。季節を告げる花として、昔ながらの住宅の垣根などに植えられているケースが多いので、香りを嗅いだら「ああ、この匂いか!」と、皆さん意外と記憶にあるかもしれませんね。強い芳香は往々にして賛否が分かれますが、クチナシの香りを嫌う方は、今までお客様にはいらっしゃらないですね。 その芳香は人をどのような気分にさせますか? こういう昔ながらの香りはね、郷愁を誘うんですよ。かくいう僕も、クチナシというと子どもの頃を思い出しますね。垣根に使用される花木というのは、その家の住人だけでなく、ご近所さんや、たまたま通りかかった方など、多くの方の印象に残ります。香りが紡ぐ一期一会がそこにはあるので、どこか懐かしく、今は疎遠になってしまったけど、過去に頻繁に会っていた人に再会してみたい、という気分にさせてくれるのではないでしょうか。 Pix:Chuchawan/Shutterstock.com 育て方を簡単に教えてください 常緑なのでタフですよ。とにかく、根付いてしまえば大変強い木で、管理が楽な花木です。決して難しいということはないのですが、ただ一つ害虫がつきやすいというのが難点です。特に毛虫がつきやすいので、薬剤を撒くなどして対策をちゃんと講じてあげましょう。水やりに関しては、庭木の場合は基本放置で大丈夫です。鉢植えで育てる場合は、クチナシは乾燥が苦手なため、水切れに注意してください。夏場は朝と日が落ちてからの2回ぐらい水をあげたほうがいいかな。 花にまつわるエピソードがあれば教えてください。 僕は子どもの頃、この匂いが苦手だったんですが、大人になっていい匂いに感じるようになりました。まぁ、オトナになった証の香り、とも言えるのかな(笑)。 香りで選んだ花③ ヨルガオ(ユウガオ) Pix:Young Swee Ming/Shutterstock.com ヨルガオは、つる性の一年草で、純白で大ぶりの花を夜に咲かせるため、その花姿を月に見立てた「ムーンフラワー」という異名を持ちます。同じつる性で朝に花が咲くアサガオに対して、夕刻に花が咲くためこの名がつきました。夜に花咲くその姿は可憐で、一度咲いたら夜が明ける頃には萎んでしまうため、美しさと儚さが紙一重であるということを教えてくれる、まぁなんというか、どこか文学的でもあり、日本の古き良き価値観が垣間見える花でもありますね。開花期が7〜10月なので、花を比較的長く楽しむことができます。この花を「ユウガオ」として販売しているケースもありますが、ヨルガオとユウガオは別の植物です。ユウガオは、ウリ科ユウガオ属、ここで紹介するヨルガオはヒルガオ科。サツマイモ属なので、まったくの別物なんです。ちなみに、正式なユウガオのほうは、実が干瓢(海苔巻き寿司の具でお馴染み)になることでも知られていて、日本では平安時代の書物にも登場するくらい歴史の古い植物なんです。対してヨルガオが観賞用植物として日本に入って来たのは明治時代といわれています。凄くややこしいですけどね、実がなるのはユウガオ、ならないのはヨルガオと覚えてください。園芸業界では明確に分類されていますが、世間ではユウガオとヨルガオの違いがじつに曖昧でして、ヨルガオの園芸品種に「白花夕顔」や「赤花夕顔」があるのも混乱する原因になっています。「赤花夕顔」なんか、茎にトゲがあることから別名「ハリアサガオ」ですからね、もう何が何やら…。ただ、そのどれにも共通するのが、とても味わい深く、香り高い花を咲かせるということです。 おすすめの理由を教えてください 香りはもちろんですが、可憐で品のある白い花が夜に開花する様子は、初めて見る方には忘れ得ぬ光景になるでしょう。そんなヨルガオを行燈仕立てにして庭やベランダに置いてみてください。古き良き日本の夏の風情を感じさせてくれます。また、ヨルガオのつるはアサガオのつるに比べてコシが強く、多少強引に誘引したところで折れるものではないので、グリーンカーテンにすればお部屋の冷房効率も高まり、省エネにもつながります。暑さがハンパない昨今の夏にはおすすめです。 どんな香りがするのですか? 夕刻に花が咲き始め、夜が更けるほどに甘い芳香が増していきます。甘いといっても、とても柔らかな甘さで、どこかマスクメロンを彷彿させるような、気品を感じさせます。この香りを苦手という方はいないように思います。もちろん僕もヨルガオの芳香は好きですね。 その芳香は人をどのような気分にさせますか? 夜空に浮かぶ月の如く咲き誇るヨルガオは、夏の夜をロマンチックな気分にしてくれるでしょう。行燈仕立てにしたヨルガオを挟んで、二人で線香花火でもしてみてください。遠き日の思い出を語る二人を、ヨルガオの香りが優しく包み込んでくれるはずです。いや、煙の臭いに消されるか…(笑)。 Pix:Glowonconcept/Shutterstock.com 育て方を簡単に教えてください グリーンカーテンにするなら、地植えや横長プランターに植え、丈を伸ばして育ててください。ただし、ヨルガオの花や香りを楽しみたい場合には、あまり丈を伸ばさないほうがいいです。花の芳香を堪能したいのであれば、鉢植えにしてで支柱を立てるか、ワイヤーを巻いて行燈仕立てにして、質のよい花を咲かせて楽しむほうがいいと思います。簡単に行燈仕立てにできるキットが100円ショップにもあるので、おすすめです。水やりは夕刻に1日1回、鉢底から流れ出るくらいたっぷりとあげてください。つるをどのように仕立てるかという以外は難しいことはないので、気軽に育てられますよ。余談ですが、アサガオを作る職人も、丈を詰めて、あえて1〜2輪くらいしか開花させないんです。余分なつるを切って、養分を溜めて溜めて、その一撃を1〜2輪のために使い、開花期間中は形よく、香りも鮮烈で、巨大な花が落ちては咲き、落ちては咲き、というようにコントロールするんです。 花にまつわるエピソードがあれば教えてください 小学生の頃、アサガオを学校の校庭や教室のバルコニーに植えるじゃないですか。そのとき先生に「アサガオがあるんならヨルガオもあるの?」と聞いたんです。僕としてはからかったつもりで、先生の「関くん、そんなのあるわけないじゃない!」という答えを想定していたんですが、思いのほか「関くん、よく気づいたね〜!」と褒められたんですよ。そのとき、人生がままならないということをヨルガオに教えてもらいましたね。 香りで選んだ花④ イングリッシュラベンダー どんな花なのですか? Pix:Studio Barcelona/Shutterstock.com まぁ、もうこの季節は終盤なのですが、まだ手に入る店も多いため、あえて挙げさせてもらいます。ラベンダーにもさまざまな種類がありますが、イングリッシュラベンダーは半耐寒性の多年草です。ラベンダーというと、スクッと伸びた茎の先に、青紫のモシャモシャというイメージがありますが、イングリッシュラベンダーの花穂は、粒々した見た目が特徴で、小さなぶどうの房のような姿はとても可愛らしく、一鉢置くだけでお庭におしゃれなアクセントが加わります。 おすすめの理由を教えてください ラベンダーといえば、その香りはリフレッシュハーブといわれるように、心をリラックスさせてくれるため、疲れた現代人の心を癒やしてほしいという願いを込めておすすめします。ラベンダーもたくさん種類がありますが、イングリッシュラベンダーは、他のラベンダーに比べて香りも強めなので選びました。 どんな香りがするのですか? 爽やかと表現することもできるし、エレガントな香りと表現することもできるし、う〜ん、難しいな。ただ、ラベンダーの香りは人をリラックスへと導く作用があるといわれているため、穏やかで心安らぐ香り、という表現が一番合うのかな。ラベンダーの香りを嫌いだという方はいないでしょう。 その芳香は人をどのような気分にさせますか? Pix:Ludmila Talmazan/Shutterstock.com ラベンダーといえばリラックス、リラックスできる花といえばラベンダーですから、やはりそこには人を安息へと導く何かがあるんですよ。実際に、どこかの大学※に、ラベンダーの香りが人間の脳のα波を多く出させて、リラックスに導くという実証実験結果もあると聞きますので。 【POINT】※関さんのいう大学とは関西医療大学。同大学院の2012年の論文に、実験の結果、ラベンダーの香りは人の副交感神経を刺激し、血漿グリセロル値と体温、血圧を低下させ、摂食量と体重を増加させ、自発脳波に於いてはα波が増加し、これによりリラクゼーション効果が高まったと記されている。また、抗けいれん、鎮静、抗不安などの薬理作用があることも記されている。 育て方を簡単に教えてください 基本は、日当たりのよい屋外管理で、地植えができると理想的ですね。耐寒性はあるほうですが、暑さと蒸れには弱いです。大株になって生い茂ると、内側のほうが蒸れて枯れてしまうということがよくあるため、風通しのよいところで管理するよう心がけてください。耐寒性はあると言いましたが、北海道では雪が零度を保つので、雪の下で越冬します。逆に、雪で覆われずに零度を下回った状態で寒風にさらされると枯死します。関東以北、あるいは日本海側で育てる場合、地植えは寒風によるリスクが高いので、鉢植えにして、零度を下回るような場合は屋内に取り込んでください。関東以南の太平洋側の方は、冬場に上部が枯れても根はちゃんと生きているので、問題なく冬越しは可能だと思います。水やりは控えめに、土が乾いたらあげる程度でよいでしょう。 Pix:Elena Zajchikova/Shutterstock.com 土に関してですが、市販のハーブ用の土で大丈夫ですか? と、よく訊かれます。一概にハーブといってもたくさん種類があり、例えばローズマリーとシソのように、科も違えば性質も違うものを専用用土で一括りにするのは、個人的にはよいとは思わないですね。専用を謳った用土は値段も高いので、費用対効果を考えれば、専用でなくても市販の一般的な培養土で十分なんです。ただし、100円ショップで販売しているようなものでなく、少なくとも園芸店で販売しているような培養土を選んでください。蒸れに弱いイングリッシュラベンダーには、赤玉土を3割ほど混ぜ込んであげれば、通気性もよくなります。 花にまつわるエピソードがあれば教えてください う〜ん、まぁ僕に関するエピソードというよりは、ラベンダーのこぼれ話的なところですが、ラベンダーって、その精油がアロマセラピーなどで重用されているのはご存じのとおりですが、ラベンダーの茎にある精油腺から出る油って、ガソリンみたく揮発性なんです。このため、暑さで自然発火し、山火事を誘発することがあるんです。だから、まとまって入荷した時には「店を燃やすなよ」と内なる声が囁きます(笑)。 Pix:Madeleine Steinbach/Shutterstock.com 関さんから愛のメッセージ いや、香りというアプローチはね、ムズいっすねぇ。香りというのは、人それぞれ好き嫌いがあるので、どれを選べばよいのか、正直迷いました。でも人って、結局のところ誰しもが花の香りに関するエピソードを持っているものなんです。その花の香りに、よい思い出がある人もいれば、悪い思い出がある人もいるでしょう。そんな人間の価値観をよそに、花がなぜ香りを出すかご存じですか?花は香りを出すことによって、虫を引き寄せ、虫を介して受粉し、子孫を残します。いわば香りは植物が世代を紡いでいくための手段であり、自己主張であり、個性なんです。 Pix:Paul Maguire/Shutterstock.com 花からしてみれば、よい匂いとか悪い臭いとか、人間たちは勝手に判別してますが、はっきり言って余計なお世話なんですよ。まぁ、花からしてみたらね、香りって武器であり、香るということは1株でも多く子孫を残すための戦いの渦中にあるという証なんだよね。香りには好き嫌いもありますが、そこには「生」があるわけです。まぁ、人間の営みをよそに植物は生きるのに必死なので、労わってあげる気持ちで接することができたら素晴らしいことですよね。同様に我々人間も、肌の色や性別に関係なく、皆懸命に生きているのですから、異なる個性を排斥せず、多様性というものに寄り添える生き方ができたら、人生は咲き誇れるんだということを、植物は教えてくれている気がします。 編集後記 まさかの「香り=戦いの証」でしたが、花の香りから人生観に話を持っていくあたり、まさにヨルガオのつるの如き関さんの話術で見事に誘引されました。しかし、ヨルガオの香りは私は記憶にないため、実際にその香りを嗅いでみたいですね。ちなみに花の香りといえば、私は入浴剤でも愛用の香り、ラベンダーが思い浮かびましたが、そのラベンダーが山火事の原因にもなるとは知りませんでした。しかし、ラベンダー以外にも油を含む植物はあり、豪州ではコアラの好物として有名なユーカリが、葉から出る引火性の物質によりしばしば山火事を引き起こすことも知られています。植物がもたらす香りの恵みは、人間にとってはアメとムチなのですね。もちろん一部の花に限られてのことですが。ただ、山火事も鎮火後はそこに新たな生命を育む土壌が生まれ、命の循環が起こっているわけですから、植物にとってもそれは同じなのかな。まぁそんな深くは考えず、関さんが選んでくれた4つのよき香りの花を、酷暑の中の一服の清涼剤として楽しみたいものです。さて、次回も関さんに、園芸のいろんなこと、聞いちゃいますので、乞うご期待です!




















