ガーデニング、家庭菜園、インドアグリーンなど、花・緑・庭・エクステリアに関する幅広いテーマにまつわる情報を配信している「ガーデンストーリー」編集部です。旬の植物情報やイベントの紹介、お庭の取材、植物の楽しみ方などをガーデニング知識に精通する専門家の監修のもと配信しています。
ガーデンストーリー編集部
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ガーデンストーリー編集部の記事
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園芸用品

花のプロお墨付き! 庭仕事が快適になる注目のガーデニングツール
「あったらいいな」の声から生まれたガーデニングトレイ 今回お話を伺ったのは、東京都文京区にある園芸店「グリーンショップ 音ノ葉」で寄せ植えの講師を務める、芳野敬子さん。草月流師範で、海外における生け花の普及活動を長きにわたり牽引したのち、近年では講談社グループの「グリーンショップ 音ノ葉」をはじめ都内各所で、寄せ植えを通して植物を育てる楽しさを広める活動を行っています。そんな芳野さんが寄せ植えを生徒さんに教える中でアイデアが浮かび、生み出したガーデニングツールがあります。 芳野敬子さん 「今、私が講師を務める寄せ植えサークルでは、お借りした会議室を利用しているのですが、テーブルの上に新聞紙などを敷いて寄せ植え作りをしていただくと、土がこぼれたり床が汚れてしまうことがよくあります。寄せ植えをするたびに新聞紙を使い捨てなくてはいけないことや、水に弱く、花が引き立たない新聞紙を使うことに違和感がありました。そこで、持ち運びがしやすくてトレイ状になるいいアイテムがないか考えている中で、オリジナルで作ろうと思いつきました」 「このガーデニングトレイ、特徴はスナップボタンを留めれば四隅が立体的に立ち上がることと、表面に防水加工を施している点です。これなら土はこぼれにくく、お子さんにも、この中で作ってねと伝えれば分かりやすいですし。また、スナップボタンを外せば汚れを拭き取るのが簡単なうえ、畳めばかさばらず運搬がラクです。このトレイのおかげで、片付けもしやすくなりました」と、芳野さん。 広げた状態で約72cm四方のシートは、スナップボタンを留めると周囲が11cmほど立ち上がった52cm四方のトレイになります。多くのテーブルに収まるサイズで、トレイの中で作業もしやすい寸法です。 もともとは芳野さんにとって使い勝手がいいように、サークルの活動内容などに合わせて作ったガーデニングトレイですが、「私も欲しい!」という声が多く聞かれるようになりました。そして、寄せ植え教室の生徒さんにとどまらず、観葉植物をメンテナンスする会社からも購入希望が来るなど、思いがけず多方面に活用できる製品だと気づかされたと言います。 ガーデニング以外でも活躍する便利なアイテム このガーデニングトレイには、四隅に取っ手がついています。これはキャンプ好きな友人の「取っ手があれば、大きなものを包んで持ち運んだり、アウトドアシーンでも活躍しそう」という発案から取り入れられたもの。トレイでもあり袋でもある、変幻自在な風呂敷のような使い勝手のよさが生まれました。実際に芳野さんの周囲では、ガーデニングだけでなく、生け花の稽古や、キャンプで薪を集めるときなど、使う人によって自由な発想で活用されています。また、この取っ手のおかげで、どこにでも引っ掛けて干せるのも、後から気づいた利点です。 上写真のように、シートに苗を乗せたら四隅の取っ手を持つだけで運搬できるので、袋に物を出し入れするような手間もなく使えるのも魅力です。また、大きさがバラバラで袋に収めにくい物も、シートを2つ折りにすればストレスなく運ぶことができます。素材は丈夫でしなやかなキャンバス地で、縫製も日本国内。耐久性の高さはメイドインジャパンの折り紙付きです。 お手入れ簡単! サッと片付けられてキレイが続く シートには、丈夫で耐久性のあるオーガニックコットンのキャンバス生地に撥水加工を施したオリジナル素材を使用。生地に厚みがあるためしっかりとトレイ状になるのも、使いやすさのポイントです。土などの汚れはサッと拭き取るだけでOK! 清潔感があり、花や緑が映える白色を選んだのも芳野さんのこだわりです。 日々花や緑と共に過ごす芳野さん考案のガーデニングトレイを、ガーデンストーリーウェブショップで限定販売します。初回数量限定ですので、ぜひお早めにチェックしてみてくださいね。 ガーデニングトレイの商品ページはこちらhttps://www.gardenstory.shop/shopdetail/000000000177 花と手指に寄り添う、老舗メーカーの花バサミ 花の手入れやフラワーアレンジをするときに必須の道具の一つ、花バサミ。自分に合う花バサミを選ぶには、何を決め手にすればいいのか迷いますよね。海外で生け花の普及活動をし、花との付き合いも長い芳野さん。2023年秋冬に発売された創業100余年の老舗花鋏メーカーによる人気シリーズの新色監修をした芳野さんに、花バサミ「ハンドクリエーション F170」の魅力を教えていただきました。 「ハンドクリエーション F170」は、刃物や洋食器の製造が盛んな新潟県三条市で1903年の創業以来、主に生け花や盆栽用のハサミにおいて優れた製品を世に送り出してきた「坂源」のベストセラー商品です。そのクオリティは業界から高く評価され、全国の生花店や華道家、フラワーデザイナーからも厚い支持を得ています。 「なんといっても使いやすい。切れ味がよいのはもちろん、軽量で、人差し指をかけられるくぼみがあるので手にフィットし、持ちやすく、手が疲れにくいのが特徴です。太さ1cmほどの枝から茎の細い切り花まで、そして庭で育つ草花の手入れや剪定にも活用できますよ。刃はフッ素樹脂加工されていて錆びにくく、ハンドルの末端まで鋏の素材が入っているため丈夫さも抜群です。華道家である私は花バサミの使い勝手にはこだわりがありますが、ハンドクリエーション F170は愛用品のひとつです」と、芳野さん。 写真下段の左から、アトモスグリーン、ウォームグレー、アイスランドブルー、スモーキーアクア。 芳野さんが監修した新色は、秋冬をイメージしたくすみカラーの4色。「ハンドクリエーション F170」の新色登場は11年ぶりで、従来のパキッとした鮮やかな色展開とはガラリと雰囲気が変わった新鮮なナチュラルカラーが仲間入りしました。 ハンドル部分の色違いに加え、白刃と黒刃の2タイプがあり、白刃はカジュアルな印象、黒刃はスタイリッシュな雰囲気。長く飽きのこない色調のハサミは、庭仕事の相棒として活躍してくれるでしょう。また、刃当てケースが付いているので、保管や持ち運びにも安心です。 これまで多くのファンに長く愛されてきた「ハンドクリエーション F170」。ご紹介の白刃、黒刃の各新色を、ガーデンストーリーウェブショップでお求めいただけます。切れ味がよく、手が疲れない、プロに選ばれている花バサミ。ガーデニングシーズン到来の今、自分へのご褒美にハサミを新調したり、花仲間へのプレゼントにもおすすめです。 花バサミ【ハンドクリエーション F170】の商品ページはこちらhttps://www.gardenstory.shop/shopdetail/000000000178 旬の花を見つけにガーデンショップへ出かけよう 今回2つのイチオシアイテムを教えてくださった芳野さんが、毎月寄せ植え教室を開いている園芸店「グリーンショップ 音ノ葉」。桜の頃には海外からの観光客も多い、ホテル椿山荘の隣という立地で、『緑から四季の移り変わりを感じる』をコンセプトに、季節の花や宿根草、ハーブなどこだわりの苗セレクションのほか、樹木や観葉植物、花鉢、ガーデニング資材など、ガーデニングに欠かせない商品が揃う、都内でも貴重なガーデンショップです。 クリスマスローズやバラに精通したスタッフも在籍しているので、購入時にアドバイスをもらったり、育て方やお手入れ方法などの相談も可能。また、朝食からディナーまで楽しめるカフェが隣接しているので、お買い物だけでなく、緑豊かな景観の中でゆっくりひと息もおすすめです。
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イベント・ニュース

「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2023」最優秀賞発表、花と緑がかなえるウェルビーイングなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
ピックアップ:「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2023」2023年度最高の花、決まる! 今号のピックアップは、「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2023」。 日本で唯一の花き新品種認定事業であるジャパンフラワーセレクション(JFS)。そのJFSが毎年、「いい花の新基準。」を合言葉に、消費者へ自信をもって推奨できる新品種を公正な立場で審査選定し、JFS受賞品種として発表しているのが「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー」です。 2023年度は、61品種をJFS受賞品種に選定。さらに、その中から中央審査委員会での厳正な選考の結果、ガーデニング部門、鉢物部門、切花部門の3部門ごとに2023年の「フラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)」が決定しました。 ここでは、各部門で最優秀賞に選ばれた品種をご紹介します。 ガーデニング部門のフラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)2023 フロックス ‘オープニングアクト ピンクアドット’(株式会社ハクサン) 品目名:フロックス品種名:オープニングアクト ピンクアドット受賞者:株式会社ハクサン(愛知県)育成者:Walters Gardens育成者権者:株式会社ハクサン 【審査講評】淡ピンクの花弁と中心に濃いピンクの星形のアイの組み合わせが季節を問わず、誰にでも好まれる。耐暑性が強く分枝性にすぐれ、連続開花性に富む。切り戻し後の草姿が格別に美しく、花数も減らない。うどんこ病に強いことも特筆に値する。 ブッドレア ‘パグスター アメジスト’(株式会社ハクサン) 品目名:ブッドレア品種名:パグスター アメジスト受賞者:株式会社ハクサン(愛知県)育成者:Spring Meadow Nursery育成者権者:株式会社ハクサン 【審査講評】樹高、株幅ともに約60cmとコンパクトで、コンテナでも楽しめる。アメジスト色の花穂はボリュームがある。新枝咲きで繰り返し花を楽しめるが、株のまとまりをくずさないのは大きな利点だろう。ステムが強く、枝折れしにくい。 ペチュニア ‘サフィニアプチ さくらもこもこ’(サントリーフラワーズ株式会社) 品目名:ペチュニア品種名:サフィニアプチ さくらもこもこ受賞者:サントリーフラワーズ株式会社(東京都)育成者:松原晋、諏訪理恵子育成者権者:京成バラ園芸株式会社 【審査講評】花色、花形、サイズが小さなサクラの花弁のようなペチュニア。名前のごとくモコモコとドーム状にまとまる草姿は新規性がある。メンテナンスの簡単さも評価できる。花が小さくかわいらしいので、近くで観賞するコンテナ植えにおすすめ。 鉢物部門のフラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)2023 シクラメン ‘イリュージア ピンクラテ’(ハクサン株式会社) 品目名:シクラメン品種名:イリュージア ピンクラテ受賞者:株式会社ハクサン(愛知県)育成者:Schoneveld Breeding 育成者権者:株式会社ハクサン 【審査講評】従来のシクラメンとは一味違う上向きで咲く花は、まるでサクラの花のよう。内側の花弁の突起など独創性にあふれ、豪華で新規性に富んでいる。連続開花性にすぐれ、花もちもよい。コンパクトな草姿だからこそ、上向き咲きが生きているのだろう。気持ちを明るくしてくれるような魅力がある。そろいがよく生産効率が高い。 切花部門のフラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)2023 トルコギキョウ ‘エグゼアンティークピンク’(カネコ種苗株式会社) 品目名:トルコギキョウ品種名:エグゼアンティークピンク受賞者:カネコ種苗株式会社(群馬県)育成者:北爪伸英 育成者権者:カネコ種苗株式会社 【審査講評】赤みの強いアンティークカラーの中大輪で、花弁数が多く強いフリンジが豪華。人気のベージュ系従来品種「ウェーブクラシカ」よりも赤みが強く、シックでありながら華やかさもあり、時流にマッチした雰囲気が見事。色目に微妙な揺らぎがある点もよい。買参人と市場関係者の人気投票でも第1位となった。 本誌では、各受賞者のコメントや、2024年度開催予定なども掲載しています。 特集:花と緑がかなえるウェルビーイング〜SDGsをどう捉え直すか 昨今では一般的になったSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)という言葉。日本では、細分化されたSDGsの目標の中で、環境に関連する項目が注目されており、特に園芸やガーデン業界ではその傾向が強く見られます。 環境への配慮は業界にとって当然必要ですが、SDGs全体像を捉えるとき、もう一つの言葉として意識したいのが「ウェルビーイング(well-being)」。これは、WHO(世界保健機関)が健康の定義に使った言葉で、個人や社会にとって「良好な状態」「幸福感のある状態」を指します。 花と緑がかなえるウェルビーイングにはどのようなものがあるか。本特集では、生産現場、種苗メーカー、資材メーカー、ガーデンセンターの各業態から代表的な企業の取り組みをご紹介しています。 生産現場の取り組み〜オチャノキプロジェクト 掛川市のチャノキのサンシェード。 東京都世田谷区の株式会社グリーンディスプレイ・大塚淳一さんの発案で始まった「オチャノキプロジェクト」。生産者の後継者不足などで手がかけられず、休耕地になってしまった茶畑のチャノキを、「プランツスケーピング(室内外の植物を用いた環境演出)」で再生する取り組みです。 大塚さんが休耕地となった茶畑から、使っていない木を地主の許可を得て引き取る交渉をし、造園的な美を感じさせる木を選抜し、溝掘式根回しという手法で2年かけて掘り出します。 ①休耕した茶畑→②根回し前、樹形選抜→③根回し養生2年後→④搬出作業 再生したチャノキは、京都の建仁寺や東京都心の商業施設、イベントなどを飾っています。チャノキがどういうものなのかを紹介し、日本のお茶の文化を改めて伝える植栽です。 「環境配慮のきっかけは、里山と都市が、互いを尊重しあうこと。都市部の人たちが忘れている里山へのアクションを、新しいかたちで投げかけ続ける必要があると思います。それに呼応してくれる農家さんはいます。オチャノキプロジェクトは、スタートはチャノキであっても、ゴールは、植物の命と文化を守ってきた『農家さんを応援する』ことです」 大塚さんは力を込めてそう話しました。 グリーンディスプレイ事業推進室リーダー・大塚淳一さん。 生産現場の取り組み〜麻野間園芸 生産者を取り巻くあらゆるコストが上昇する中、地の不利を利に変えて持続可能な生産にチャレンジしているのが、愛知県設楽町の麻野間園芸です。 麻野間園芸のある設楽町駒ヶ原は、標高900mの高地にあり、冬場の外気温はマイナス15℃以下にまで下がります。そのため生産に重油を使ったボイラー加温が不可欠で、その燃料代は年間300万円にのぼります。 3代目の麻野間達矢さんは、こうした地域の環境に無理に合わせた加温栽培は、今の時代に即さない、と自身の代になって生産品目と作付の見直しを行いました。 夏の間に秋と翌春に出荷する植物を生産しておき、冬場は夏に生産した植物を養生する最低限の暖房で済む方法に変えたのです。 花苗やカラーリーフ、落葉樹類など、マーケットニーズにマッチした品目に絞り、ポット苗生産を行う麻野間園芸の麻野間達矢さん。土に還るバイオマスプラスチックの鉢で出荷するシクラメンを手に。 また、2023年1月からテスト導入しているのが、井戸水の熱を利用するハウス栽培用の熱交換器および空調システム「ナチュラルエコ371」(販売:兼弥産業)。銅管で吸い上げた井戸水に風を当ててハウスに送風することで、井戸水の温度と外気温の差によって冷房にも暖房にもなる空調システムです。 左の機械が「ナチュラルエコ371」。大型のファンヒーターのようなつくり。麻野間さんがフタを開けているハウス用の井戸水を利用している。 麻野間さんの井戸水は浅井戸で、水温は10℃ほど。この井戸水を吸い上げた銅管に風を当てて送風することで、ハウス内の温度を5〜6℃にキープできるといいます。 「ナチュラルエコを稼働させることで、春の植物が早く芽吹いて出荷でき、余分な肥料や生産コストを節約できました」と麻野間さん。 麻野間園芸では、2022年に子どもやペットを連れて気軽に遊びに行けるカフェ&ショップ「遊べる花屋」をオープンしました。また、2024年春には、隣接地に、生産植物によるモデルガーデンと、ガーデンに植栽されている植物が買えるガーデンショップをオープン予定。 「設楽町駒ヶ原地区は、住民22人の小さな集落。それでもここで働きたい、お店に遊びに来たいと思ってくれる人が少しずつ増えてきています。花を起点に、関わる人みんなが笑顔になれるウェルビーイングにつながれば嬉しいですね」 カフェ&ショップ「遊べる花屋」。 種苗メーカーの取り組み〜デュメンオレンジジャパン 花き育種の世界的なリーダーであるデュメンオレンジ社(本社オランダ)は、ITデータを活用し、植物の力を最大限に生かした育種プログラムを開発しました。 世界最大の花き育種研究所である、オランダ本社の育種テクノロジーセンターでは、科学者や育種家、専門家たちが集い、最新のデータを用いた予測型育種の研究が行われています。 ここで開発した品種の商標を「INTRINSA®️(イントリンサ)」とし、世界中の花き生産者に供給しています。 「花き生産では、天候の影響や病害虫の被害により圃場内のすべての花を廃棄せざるを得ない状況に追い込まれるケースは珍しくありません。私たちは、耐病性のあるイントリンサ品種の栽培が、廃棄リスクを最小限に抑えることができ、また生産過程で利用される農薬の削減へつながると考えています」とマーケティングマネジャーの水戸真由子さん。 イントリンサの育種プログラムは、生産者にとってコスト削減になり、環境面にも配慮した、持続可能な植物栽培をもたらすと言います。 耐病性遺伝子の開発によるイントリンサ品種の栽培が、廃棄リスクを最小限に抑え、また生産過程で利用される農薬の削減へつながる。 日本では現在、TMV(タバコモザイクウイルス)耐性ペチュニアと、白さび病耐性マムの2品目を発表しています。 植物の特性に関するビッグデータと最先端のITインフラ・育種技術を用いたテクノロジー主導型の育種は、今後も先駆的なブリーダーとして、花き産業をより持続可能なものへと発展させていくでしょう。 種苗メーカーの取り組み〜横浜植木 横浜植木は、「植える」「育てる」「はぐくむ」をテーマに、SDGs・CSRの活動を続けてきました。社員の自宅で使われていない日用品や食べきれない食料品を集めて社会福祉協議会に寄付したり、地域の清掃に参加したり、その活動は多岐にわたリます。 2021年5月には「夢を植える。未来を育む。Well future together」をビジョンに、SDGsプロジェクトチームを発足。 エネルギー問題へのチャレンジ(社内設備等の省エネルギーに取り組む)みどり豊かなまちづくり(まちのみどりを増やす)新しい品種の育成による農業への貢献(気候変動に合わせた取り組み)みんなとつながる・未来へつなげる(共同開発や教室開催)みんなが生き生きと働ける環境づくり(社員の働きやすさに着目) の5つを柱としました。 また、2023年には、「④みんなとつながる・未来へつなげる」の一つとして、花育をスタート。生産現場で発生してしまう予備の苗を、花やみどりの学びのための「花育教材」と考え、CSR活動の中でつながりのあった施設や、社員の子どもが通う学校など、約10施設に横浜植木オリジナルビオラ「神戸ビオラ」を提供しました。 2023年からスタートした花育の様子。約10施設に神戸ビオラの苗を届けた。 「SDGs活動をボランティアにしてしまうのではなく、会社としての成長とリンクさせていかなければいけません」とSDGsプロジェクトチームメンバーの平佐美寧さん。 花育の体験の中で花を好きになってもらえれば、将来的に商品が普及し、社員が豊かになり、世の中も緑でいっぱいになり、さらなるSDGsにつながっていくと考えています。 横浜植木は、まずは国際園芸博覧会が開催される2027年を目標に、「花とみどりで人々を幸せにする」取り組みの実現を目指していきます。 資材メーカーの取り組み〜住友化学園芸 住友化学園芸は、花と緑を通じて子どもたちの豊かな経験と学びの機会をつくるため、創立40周年記念事業として2009年から「学校花壇&菜園応援プロジェクト」をスタート。毎年春に開催し、2023年で15年目となりました。また、「病気とたたかう子どもたちのための自然体験施設」を実現する(公財)そらぷちキッズキャンプへの活動支援や、国内外の遺児を支援する(一財)あしなが育英会、農業を通じた国づくりを目指す(公財)オイスカへの寄付など、住友化学園芸の取り組みは多岐にわたります。楽天イーグルスのサステナブルサポーターとして、植樹活動にも参加しています。 「学校花壇&菜園応援プロジェクト」。児童の花育活動や地域との取り組みの様子がウェブサイトで公開されている。 一方で商品開発では、原料やパッケージにも気を配ります。住友化学グループでは、「世の中に、天然のPOWERを。」のスローガンのもと、グループの知見に基づき、農業・家庭の衛生管理・家庭園芸分野の商品において、天然物由来成分のポテンシャルを生かした商品開発や普及活動に積極的に取り組んでいます。 「私どもは多くの方々に弊社の商品を通じて家庭園芸をもっと楽しく、より身近に感じていただけるような魅力的な商品づくりに努めています。魅力的な商品を提供し、園芸ファンを増やすことで緑が増え、やがて健全な地球環境の維持につながる。弊社商品を通じて緑を増やすお手伝いができればと思います」とマーケティング部広告宣伝チームの上田史さん。今後もさまざまな媒体を通じた認知活動と普及に努めていきます。 つぶしやすいエコボトル。環境負荷低減と家庭でのゴミの削減に貢献。 資材メーカーの取り組み〜スリークロス アース製薬およびハイポネックスジャパン、プロトリーフで構成されるスリークロスでは、3社協働で販売している「ボタナイスシリーズ」でプラスチック量を削減したボトルを積極採用するなど、SDGsにつながる活動を強化しています。 ボタナイスシリーズ。右:BotaNice 植物の虫・病気対策 左上:BotaNice 元気を育てる濃縮液 左下:BotaNice インドアグリーンの土 さらには、新たにBotaNice植物シリーズとして観葉・サボテン・多肉植物の「BotaNice Sleep」も2024年に発売予定です。これは、特定の植物が持つ「夜間にCO2を吸収する能力」により、寝室内によどむCO2の降下が期待できるもの。 また、3社共通の「#サステナぶる園芸」のキャッチコピーとマークも設定し、ボタナイスパッケージや販促で活用していく予定です。 ガーデンセンターの取り組み〜園芸専門店アカツカFFCパビリオン(赤塚植物園) 三重県津市内の小学校・支援学校・児童養護施設にチューリップの球根を寄贈する「レインボープレゼント」や、「レッドヒル ヒーサーの森」をはじめとする観光ガーデンの整備など、持続可能な社会の実現に向けて長年取り組んでいる赤塚植物園グループ。園芸専門店アカツカFFCパビリオンでも、店舗独自で園芸教室・講習会を年30回以上開催しています。 園芸教室や講習会は定員を超える応募があるほど人気で、常連の参加者や県外から来る人もいるといいます。 ローズスタイリスト・大野耕生さんの「バラの講習会」。レッドヒルのローズガーデンで剪定の実演をした。 「園芸に興味を持ってもらうだけでなく、正しい知識を身につけてもらうことが目的です」と店長の坂下徹さん。 「正しく育てられれば、家庭での廃棄が減ります。小さなことですが、積み重ねが大切だと思います」と語ります。 本誌では、各社のより細かい取り組みや、(一財)公園財団・町田誠さんに聞く「花と緑がかなえるウェルビーイング」のインタビューも掲載されています。 特集:東京パークガーデンアワードが求めたロングライフ・ローメンテナンスの庭づくり ガーデンストーリーでも、季節ごとの植栽の様子から審査結果までをレポートしてきた「東京パークガーデンアワード(TPGA)」。代々木公園にて、2022年8月の募集から始まり、12月に植栽、2023年4月、7月、11月と3回の審査を経て1年。ついに第1回東京パークガーデンアワードのグランプリが「Garden Sensuous」に決まりました。 評価が高かったのは、公園の中の風景との一体感や緻密な計画、安定したパフォーマンスなど。 「Garden Sensuous」を手がけたGreen Place 高橋三和子さん(左)と山越健造デザインスタジオの山越健造さん。 本誌では、グランプリに輝いた「Garden Sensuous」の高橋三和子さん(Green Place)と山越健造さん(山越健造デザインスタジオ)のお二人への取材内容や、授賞式と審査員講評の紹介、受賞者のガーデンの1年の移り変わりの様子を写真でご紹介。さらに、TPGAを企画した東京都公園協会公園事業部長・久間亜紀さんと、企画から携わり審査員としても1年間を見てきた正木覚さんとの対談を掲載しています。 5つのガーデンの受賞者の皆さん。 対談をした(左から)正木覚さん、久間亜紀さん、司会の矢野信行さん(グリーン情報編集顧問)。 第2回東京パークガーデンアワード神代植物公園(東京都調布市)も始まり、2023年12月4〜8日には、入賞者が第1回の植栽に入りました。 ガーデンストーリーの記事とあわせて、ぜひ本誌をチェックしてみてください。 12月6日の植栽の様子(神代植物公園)。現時点ではグラス類、低木類が目立つ。春には球根類の花、夏は宿根草の花、秋はグラスが美しい景色を作るよう、考え抜かれている。 ガーデンストーリーの記事はこちら↓https://gardenstory.jp/tag/東京パークガーデンアワード 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』2024年1月号には、園芸店や生産地紹介、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓ショップページはこちら。https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
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観葉・インドアグリーン

【サンセベリア(サンスベリア)】って観葉植物? 多肉植物? 空気をきれいに!? その謎めいた全貌に迫る!
サンセベリアの主な特徴とは 園芸関係者に「おすすめの観葉植物はなんですか?」とたずねると、絶対に選ばれるであろうサンセベリア。園芸店では基本的に観葉植物として扱われますが、水分を溜め込んだ肉厚の葉を持つことから、多肉植物という顔も持ち合わせているため、その傾向がより顕著な品種は多肉植物として扱われることもあるという、ちょっと変わった植物なんです。園芸向けの品種改良も盛んで、現在確認できるだけでも80種類はあるといわれています。その中でもアイコン的存在になっているのが「ローレンチー」という品種。縞模様のついた剣のような形の葉が束になっている姿は、誰もが少なからず目にしたことがあるのではないかと思います。 ほかにも、まるでヒトデのような形をした「ボンセレンシス」や、多肉植物のアガベに酷似した「シルバーブルー」など、個性あふれる品種が多いので、ついコレクションしてみたくなってしまうのも魅力の一つです。手頃な価格から高額なものまで種類も豊富で、観葉植物初心者でも育てやすく、さらに中上級者には開花や繁殖で楽しむことができるため、幅広い層にとても人気です。今回は、そんなサンセベリアをとことん紹介していきます。 サンセベリアの基本情報 学名:Dracaena trifasciata(ドラセナ・トリファスキアータ) , syn.Sansevieria trifasciata(異名.サンセベリア・トリファスキアータ)科属:キジカクシ科 ドラセナ属和名:サンセベリア、サンスベリア、虎の尾蘭、厚葉千歳蘭原産地:西アフリカのナイジェリアやコンゴ東部など。大きさ:野生種は2mを超えるが、園芸品種は20〜100cmが一般的。外見的特徴: 茎を地上に出さない地下茎のため、地表から肉厚の葉が立ち上がり、交互に生えていく。葉の色は、大部分を占める濃い緑と、縁を彩る黄色(あるいはクリーム色)のコントラストが鮮烈で、野生味のある縞模様(あるいは斑模様)を有している。 葉と花 【葉】 葉の色や形は品種によって異なります。原種に最も近似しているのがローレンチーです。葉は上に伸びる剣のような形をし、色は縞模様のある濃い緑で、その周囲を黄色(あるいはクリーム色)で縁取られています。 左から、ローレンチー、ツイスター、ボンセレンシス。 ローレンチーと同様の色彩ながら、反った葉が上下左右と多方向に成長していくツイスター。ほかにも、葉が棒状に変化し、ヒトデにも見えるボンセレンシスなど、どの品種もそれぞれ個性的な色と形を持っています。 【花】 Pix:KelaVi/shutterstock.com サンセベリアの開花時期は春から初夏にかけてです。その姿は独特で、葉の根本付近から伸びた花茎(かけい)の先の1房1房に、まるで線香花火のような小さな花を無数に咲かせ、同時に甘い芳香を漂わせます。色は白系が多く、個性が強めな葉とは対照的に、可憐な存在感を放ちます。しかし野生種とは異なり、観葉植物として育てる園芸品種となると、数年に一度咲くかも・・・というレベルまで開花率は低くなります。さらに、どの種類も夕刻以降に咲き、翌朝にはしぼんでしまうため一夜限りの特別な開花ショーとなります。 開花率が低い理由は、日本で販売しているサンセベリアの多くは、タイをはじめとした東南アジア諸国の育苗業者が繁殖しているものを輸入しているためです。気候の異なる場所での栽培は、おのずと開花率も低くなります。というと、花好きな方は落胆するかもしれませんが、ご安心を。園芸品種にも花を咲かせやすい品種がいくつかあります。驚くことなかれ、一番目にする機会の多いローレンチー(写真上)もその一つなのです。 しかし、開花を見るためにはいくつかの条件を満たす必要があり、そのためには栽培に慣れていく必要があります。サンセベリアを専門的に育てているyokoyoko7000さん(写真下)も、写真のタイからの輸入株の開花までには2年を費やしたのだとか。 ブラックバイソンという品種の花。写真を提供してくれたyokoyoko7000さんは数え切れないくらいの株を育て上げて来たサンセベリアのエキスパート。夢は「日本産ハイブリッド株の作出」という。 このため、初心者の方が花を見たい場合は、店頭で開花した(しそうな)株を購入するのをおすすめします。でも、自ら労して咲かせた花は格別ですので、チャレンジしてみたい方は後述の「開花確率を上げるコツ」を参考にしてみてください。 サンセベリアの名の由来と海外での呼び名 サンセベリアは、現在は詳細な研究に基づいてドラセナ属の植物「Dracaena trifasciata(ドラセナ トリファスキアータ=3つ首の雌ドラゴン)」とされていますが、ここに落ち着くまでは歴史的な紆余曲折がありました。サンセベリアはまだその名がなかった 18 世紀後半頃に、まずはナポリの植物学者ペターニャによって、彼のパトロン(後援者)のイタリア貴族サンスベリーノ伯爵に因んで「サンセべリニア属」と命名されました。しかし後年になってスウェーデンの植物学者トゥンベリによって、ペターニャのそれとは別の、これまたイタリア貴族サンセベーロ公爵に因んで「サンセベリア属」と命名されました。 この結果、当然ながらどっちの命名が正しい? という混乱と論争が学術界隈から巻き起こりましたが、最終的に後から命名したトゥンベリが勝ち、「サンセベリア属」が国際的に認められました。 勝ったトゥンベリは母国スウェーデンの切手にもなった。江戸時代中期に彼は長崎に滞在しその見識が日本の園芸文化向上に貢献したため、切手には日本の情景が描かれている。 Pix:rook76/shutterstock.com トゥンベリの勝因は、彼が植物分類学の父とも評される生物学者カール・フォン・リンネの愛弟子であったからではないかといわれていますが、結局は科学の力によって後年にドラセナ属となってしまったのは皮肉な話ですよね。しかし、トゥンベリが命名した旧属名サンセベリアは、日本※やヨーロッパにおける現在の通り名となっているのですから、その名誉は生き続けているということです。※日本ではサンスベリアと呼ぶことも多い。しかし英語圏ではサンセベリアのことをSnake plantと呼ぶのが一般的で、これは葉が蛇のような模様をしていることに由来しています。日本でも昔、葉の縞模様が虎の尻尾に見えることから、虎の尾蘭と呼ばれたことも。 このように、名前の付き方にも、それぞれの国や文化的側面が垣間見えて面白いですよね。 日本では他にも、葉が肉厚で寿命も長いことにあやかり、厚葉千歳蘭という通り名も付いています。もちろん蘭の仲間ではないのですが、葉が蘭に似ていることや、サンセベリアが日本に持ち込まれた明治時代は、舶来物の高価な植物のことを当時の高級植物「蘭」に例えて「○○蘭」と呼ぶ風潮があったことが、蘭の名が付いた由来とされています。 サンセベリアの花言葉 サンセベリアにはいくつかの花言葉があります。日本では「永久」や「不滅」という花言葉があり、これは前述の通りかつて名づけられた「厚葉千歳蘭」の“千歳”長い年月を意味することに由来します。欧米には「Poison and Beauty(毒と美)」=美しさには毒が伴う、という意味を持つ花言葉があります。これは、サンセベリアが美しい花を持ちながらも、その葉には有毒な成分が含まれていることに由来しています。 サンセベリアの育て方 置き場所と日常のお手入れ Pix:photoac.com 【置き場所】 最適な置き場所は、レースのカーテンやブラインド越しの柔らかい光が当たる風通しのよい場所です。サンセベリアは基本的に明るい場所が好きですが、直射日光には弱いので、レースのカーテンやブラインドがない場合は窓から離れた明るく風通しのよい場所に置いてあげましょう。ただし、エアコンの風が直に当たる場所は絶対に避けてください。不自然に温度調整されたエアコンの風を長時間受け続けると、サンセベリアは代謝不良を起こし高率で枯れてしまいます。風通しのよさはサンセベリアを健康に育てるうえで重要な要素ですが、日中窓を開けられないなどの場合、サーキュレーターを使用し部屋の空気を循環させると成長が促進されます。[サーキュレーターについての詳細はこちらの記事で解説しています。] 【日常のお手入れ】 サンセベリアは葉の面積が大きいので、ホコリが溜まりやすいです。ホコリが溜まりすぎると葉の代謝に影響を与えるため、定期的に少し湿らせた柔らか布などで拭き取ってあげましょう。 夏の温度管理、冬の温度管理 夏場の適温は20~25℃です。基本的にタフなので、不在中に室温が35℃くらいに上がっても大丈夫ですが、お盆期間の旅行などで長期不在にする際は、暑い窓辺から離れたところに移動させておいた方がよいでしょう。冬場は15℃以上を保ってください。耐寒性が弱いほうではないですが、10℃を切ると休眠スイッチが入り、まったく水を吸わなくなるため、無難に冬を越すためには最低でも15℃はキープするようにしてください。 水やり 成長期の水やり 春から秋の成長期は、用土表面が完全に乾いたら鉢底穴から溢れるくらいたっぷりと水を与えます。鉢内が蒸れないよう、夕刻以降に与えてください。成長期の根は蒸れを嫌うため、多湿となる梅雨時は用土の乾き具合に注意してください。 秋〜冬の水やり 晩秋〜冬季は根の吸水力も落ちるため、土が完全に乾いてからさらに2〜3日経ってから、成長期同様にたっぷりと与えてください。冬は陽が上って空気が温まるお昼前後に与えるのが望ましいですが、日没後に与える場合は室温が15℃以下にならないように注意してください。サンセベリアはドライな環境を好む多肉植物という顔も持ち合わせているため、水やりは土の乾き具合を季節ごとに見極めることが大切です。慣れればなんてことはないのですが、初心者の方は土の中の乾き具合が見極めにくいと思うので、心配な場合は市販の水分計を使うのもよいでしょう。 写真の商品はオザキフラワーパークでも人気の水やりチェッカー(水分計)『サスティー』。 【注意!】 水やりをする時は、ロゼット状の中心(葉が左右に分かれたところのスポット部分)に水が溜まらないようにしてください。ここに水が溜まった状態が続くと葉が傷み、成長不良を起こす原因になります。 肥料/活力剤等 成長期の施肥 4〜10月の成長期に、用土表面に置くタイプの観葉植物用錠剤肥料を与えます。与える際は幹付近ではなく、鉢の縁付近に置いてください。液体肥料の場合は、定量を月1回与えましょう。置き肥、液肥ともに、根のコンディションを保ちながら最適な効果を得るため、必ず指定された用量を守りましょう。 冬季の施肥 11月以降翌春までは肥料は不要です。根の活動が緩慢になるこの期間に施肥を行うと、根を傷めてしまうためです。 植え替えと用土 サンセベリアは茎を地下に伸ばす地下茎が特徴。地下茎を持つ植物は根の成長がとても早いため、定期的な植え替えを行わないと土の中が根で過密状態になり、栄養吸収率が低下します。このため、購入後は2〜3年に1度のペースで新しい土への植え替えを行ってください。適期は春~秋です。 Pix:Radovan1/shutterstock.com 土は普通の観葉植物用の培養土でOKです。 このほか「サンセベリア専用土」というものもありますが、質的にも量的にもほかの培養土に比べると比較的高価になる傾向があります。専用土は排水性を重視した調合をしてありますが、観葉植物用の培養土も十分な排水力保肥力があるので、必ずしもサンセベリア専用土である必要はありません。 オザキフラワーパークで販売しているサンセベリア専用土(5L入りで税込825円) 花用の培養土も使えますが、その場合は排水性を高めるために土壌改良資材であるピートモス、パーライト、ココヤシを5:3:2の割合で混ぜ込んでください。植え替えるときは、根をほぐして古い土と古くなった根を十分に落として根を整理してから、1回り大きな鉢に植え替えます。鉢が大きすぎると水切れが悪くなり根腐れを起こす可能性があるので、1回り大きいを厳守してください。 挿し木 Pix:Aziz Makka/Shutterstock.com サンセベリアは、カットした葉をさらにカットして(写真上)土に挿しておくと(写真下)自然に根を出すため、挿し木により増やすことができます。ただし、カットする時は内側の葉は新葉のためカットしないでください。また挿し木を取るのは外側の葉で行ってください。 Pix:GreenThumbShots/Shutterstock.com 傷んだ葉を切り取って、健康な葉の一部分を土や水に挿しておいただけでも発根します。挿す際は上下の向きを逆にしないよう注意してください。 Pix:TippyTortue/Shutterstock.com サンセベリアの葉の繊維は、かつてアフリカの部族が狩猟用の弓の弦に使用していたほど強靭なので、切る時には若干の力を要します。また、葉の先端は硬く鋭いため、刺さると痛いです。このため、扱いには十分なご注意を。 開花確率を上げるコツ サンセベリアは、下記の条件さえ合えば開花する確率が高くなります。全ての条件を満たすのが望ましいです。 【冬も咲くかも!?】 サンセベリアは基本的に春から初夏にかけて花を咲かせますが、室温を管理しながら上記を実践すれば、冬に花が咲くこともあります。 【花後は早めにカット!】 花が萎えたら、速やかに花茎を根元からカットするのを忘れないでください。残しておくと花茎はどんどん養分を吸い上げて、株本体の生育を鈍化させるからです。 サンセベリアでよくあるトラブルと対処法 病害虫 Pix:finchfocus/Shutterstock.com サンセベリアは病害虫にも比較的強い観葉植物ですが、多湿の状態で空気が止まっていると、湿気を好むカイガラムシが付く可能性があります。カイガラムシは死後に死骸や糞という形で発見されることが多く、これらは薬剤による駆除ができないため、地道に手作業で除去しなければなりません。広範囲に及ぶ場合は付着した場所を切除してしまっても大丈夫ですが、当然ながら見栄えが悪くなってしまうので、根元から切ってしまうのも手です。 Pix:Rainbow_dazzle/Shutterstock.com 冬は乾燥を好むハダニ(写真上)が発生することも。ハダニは定期的な葉水を行うことで防ぐことができます。もし発生した場合は少数であれば濡れた布で拭き取ることができますが、大量発生した場合は薬剤を散布して駆除してください。室内で薬剤散布を行うのは危険なので、必ず屋外でマスクをして行ってください。 葉の末端が変色している。 Pix:Simol1407/Shutterstock.com 葉の先端が変色している場合は、その部分を切り取って形を整えることで元通りになるので、処置後は経過観察をしてください。 それでも同様の症状が発生した場合、それは根にトラブルが生じたサインである可能性があります。この場合は一度鉢から根を上げて、その状態を確認しましょう。もし根が黒く変色していたり、簡単にちぎれ落ちる場合は、根腐れを起こしている可能性があります。根腐れしている根を放置すると、腐敗が拡大するおそれがあるため、傷んだ根を消毒したハサミで全て切り落とし、そのまま2〜3日置いて根を乾燥させてから新しい土に植え替えます。以降は経過観察をしてください。 葉がシワシワになる Pix:Pixel-Shot/Shutterstock.com 葉がシワシワになる原因は以下の3つが考えられます。 原因①水不足、または日照不足 解決法 前述の正しい管理場所、水やり方法を行うことによって、葉は活力を取り戻すことができます。最初の水やりの際に活力剤「メネデール」を規定量の半分程度、薄く混ぜてあげるとよいでしょう。 原因②エアコンの風による影響 解決法 管理場所を見直してください。エアコンの風の影響を受けない場所に移し、霧吹きで葉水を与えてあげれば、葉は元に戻ります。 原因③寒さ 解決法 管理場所を見直してください。冬は室温が10℃を下回るとそれがスイッチとなって、株は休眠に入るか、コンディションが悪い場合はそのまま枯れてしまう可能性があります。もし室温が原因なら、15℃以上ある環境に切り替えてください。それでも戻らない場合は、株が休眠に入ってしまった可能性があるので、この場合は春まで一切水をやらずに、週一回霧吹きで用土表面を湿らす程度にとどめておいてください。 ペットのいるご家庭 サンセベリアの葉には、コーヒーの苦味成分でも知られているサポニンという物質が含まれており、サポニンは犬や猫に対して有毒です。口にすると嘔吐や下痢など、特に胃腸症状を引き起こす場合があるため、万一ペットがサンセベリアの葉を口にした場合は、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。 【参照】アメリカ動物虐待防止協会ANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)ASPCA/Toxic and Non-Toxic Plants List オザキフラワーパークのおすすめサンセベリア9選 「今回のサンセベリアは、僕自身が買いたいものばかり集めました!」と、後藤さん。これは期待大ですね。 毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのサンセベリア9品を選んでいただきました。 【オザキフラワーパークのサンセベリア売り場風景】 ※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。 ローレンチー 縦45cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)25cm 価格980円(税込) 定番のローレンチーです。ローレンティーともいいます。縞模様は当然ながら同じ模様は一つとしてなく、ものによっては濃かったり、幅が狭かったりとさまざま。黄色の縁取りも、黄色が薄くクリーム色だったりする場合もあるのですが、オザキフラワーパークが取り扱っているローレンチーはとてもバランスが取れたものばかりです。価格の面でみても、マイ・ファースト・サンセベリアには特におすすめです! ゼラニカ 縦155cm 横40cm 価格12,000円(税込) ローレンチーもそうだが、葉の先が包まって鋭角になっているため、刺さると痛い。取り扱いには注意が必要だ。 ローレンチーにある黄色い縁取りが取れて緑の縞模様だけになったゼラニカ。スリランカが主な原産地で、その名は原産地のスリランカが17世紀のオランダ統治時代にゼイランと呼ばれていたことに由来します。生産量も決して多くはないので、当店のような大型店でなければ直接見る機会の少ない品種だと思います。耐陰、耐乾燥、ともにローレンチーより強く、ローレンチーにはない大人びた雰囲気があるので、お部屋をシックに決めたい方にはおすすめです。 ゼラニカ(特大タイプ) 縦210cm 横85cm 価格98,000円(税込) 前出のゼラニカの大株になります。写真だと対象物がないので分かりにくいですが、NBAプレイヤーの八村塁選手でさえ203cmなので、210cmはかなりデカいですよ!その分、存在感はハンパないです。 モトムケニア(ムトモケニア) 縦30cm 横20cm 価格1,980円(税込) 極肉厚の葉が扇状に広がりながら成長する姿が美しいモトムケニア。原産地がケニア共和国のムトモという場所なので、正式にはムトモケニア(Mutomokenya)なのですが、どういう経緯かは不明ながらも日本ではモトムケニアで流通しています(海外ではSansevieria mutomoで流通)。はっきり言って、流通量もかなり少ないレア品種です。ほかのサンセベリアに比べて成長がかなり遅いので、ゆっくりとお付き合いいただける方、お待ちしています。 シルバーブルー 縦15cm 横15cm 価格1,980円(税込) 見た方の多くが「え、アガベじゃあないの?」と驚かれるシルバーブルー。正式な名前は、サンセベリア・キルキ‘シルバーブルー’といいます。原産地はタンザニアで、種名のキルキは、この標本をキューガーデン(英王立植物園)に持ち帰った19世紀英国の探検家ジョン・カーク卿(Sir.John Kirk)に敬意を表して付けられたといわれています。ロゼッタ状に開く極肉厚の葉は、形といい模様といい、どこか愛嬌を感じさせます。成長は遅いですが、こちらも超希少種のため売り切れ必至です! ツイスター 縦22cm 横17cm 価格1,980円(税込) ツイスターは、“鳥の巣サンセベリア”との異名を持つ、小型種「サンセベリア・ハーニー(Sansevieria Hahnii)」の変種です。色彩はローレンチーに似ていますね。元の品種サンセベリア・ハーニーは、1939年に米ニューオーリンズのクレセント・ナーサリー・カンパニーというサンセベリア専門の種苗会社で発見され、1941年にペンシルバニアの園芸家ハーンさん(Sylvan F.Hahn)により、その名をとって小種名をハーニーと命名されました。それが後年、日本に持ち込まれて品種改良され、ツイスターになったようです(詳細は不明)。このため米国では“Japanese Twister”と呼ばれ、人気品種になっています。テーブルサイズで楽しめるのが魅力です。 マッソニアナ 縦32cm 横12cm 価格1,980円(税込) 鯨のヒレにも見えることから、海外では“ホエール・フィン”と呼ばれるマッソニアナ。コンゴ民主共和国が原産で、もともとはメイソン・コンゴという品種名でしたが、2000年に園芸家のファン・チャヒニアンによって園芸業界に披露され、彼の名を小種名に添えた「サンセベリア・マッソニアナ‘チャヒン’」が正式な名となります。写真の商品は全長が32cmほどの大きさですが、とにかく葉が大きくなります!葉の幅が一般的なサンセベリアよりも広いので、大きくなった時の存在感はなかなかのものですよ!こちらも滅多に出回らないので、気になった方はお早めにお問い合わせください。 マッソニアナ(斑入りタイプ) 縦40cm 横25cm 価格4,980円(税込) 前出のマッソニアナに斑模様が入ったタイプで、かなりの珍種です。反り返り方が、荒川静香さんが銀盤で披露したイナバウアーのようなので、これを撮影したカメラマンが“イナバウアー”と呼んでいました(笑)。今はたった1枚の葉ですが、成長とともに増えていきます。見ていて飽きず、所有感も高く、コレクションアイテムとしては最高の逸品だと思います。 ボンセレンシス(後藤さん’sスタイリング) 縦35cm 横26cm 陶器鉢(受け皿込み)価格4,980円(税込) ボンセレンシスは、原種のサンセベリアとアンゴラ原産のシリンドリカという品種を交配して作出されたもので、正式な名前はサンセベリア・シリンドリカ‘ボンセル’といいます。海外ではその見た目がヒトデに似ていることから、英語でヒトデを意味する「スターフィッシュ」や「スターフィッシュ・サンセベリア」と呼ばれています。個人的にもお気に入りのこの品種を、月面のクレーターのような模様が可愛らしい陶製ポットと合わせてみました。鉢は主張せずおとなし過ぎずのカラーで、ボンセレンシスをいい感じに引き立てています。はっきり言って、お買い得価格です! Instagramで楽しもう! サンセベリアとインテリア インテリアとの親和性も高く、お部屋のイメージを確実にワンランク上げてくれるサンセベリア。Instagramで#サンセベリアと検索すると4.2万もの投稿があり、これが#sansevieriaとなると、60万件以上に爆増! #sankeplantでも40万件以上あり、いかに世界中でサンセベリアが親しまれているかがうかがえます。 では、巷のプランツラバーたちがどのようにサンセベリアを楽しんでいるのか、ちょっとのぞいてみましょう。これからご自宅に迎える方は、インテリアコーディネートの参考になるかもです。 当シリーズでお馴染みのayamame_plantsさん邸のサンセベリアは、ご主人がご購入されたというボンセレンシス。ご主人、なかなかよい趣味をしておられます!コメントによると、この鉢に入れたことにより“具合悪そうなパイナポーみたいになった”とのことですが、なかなかどうして、色彩的にも質感的にもベストマッチングだと思いますよ! Kyabetsunosengiriさん邸のサンセベリアはバラエティー豊かですねぇ。写真右のローレンチーは絶賛発根管理中とのことで、無事に発根したらさらに仲間が増えそうですね。明るくモダンな雰囲気のお部屋の中で繰り広げられる観葉植物ワールドを、天井の梁が暖かく見守っているようです。なんかこう、やさしい木の息遣いを感じる素敵なお部屋ですね! 最後は情熱の国スペインからmycasajardimことAnaさん。このサンセベリアの階段技は、一目見て真似したいと思う方も多いのではないでしょうか?並行して置かれたアンティークランタンに夜になって火が灯ると、サンセベリアはまた違う表情を魅せるのでしょうね。Anaさんはなかなかの多肉植物愛好家で、この写真は室内ですが、実は、庭には驚きの多肉ワールドが広がっています。一見して日本とは違う空気を感じさせてくれるAnaさんの他の投稿も、一見の価値アリです! AnaさんGracias! サンセベリアは空気浄化植物!? 1989年、宇宙ステーションなどの密閉された空間での空気浄化方法を研究するNASAのプロジェクト「NASA Clean Air Study」が、サンセベリアに空気浄化作用があると発表したことにより、サンセベリアは一躍脚光を浴びました。これは、サンセベリアの葉が行うCAM型光合成(多肉植物などに見られる光合成方法)が、ホルムアルデヒドなどの環境汚染物質を除去する性質があるためとされています。しかしその範囲はあくまでも実験室の密閉された空間の中での話で、実質的な効果を得るとなると12平米(8畳)の空気浄化効果を得るためにはそこそこの大きさのサンセベリア40鉢が必要となります。また、サンセベリアが出すマイナスイオンが心身によいという話もありますが、そこに関しては一部の研究でサンセベリアを含む観葉植物が生物学的に極微量のイオンを放出することが示唆されただけで、それが人間に対してどのような効果を及ぼすかは科学的に立証されたものではありません。つまりは、空気浄化作用や、マイナスイオンに関しては、サンセベリアにまつわる“こぼれ話”ということで受け止めたほうがよいかもしれませんね。 [NASAが1989年に発表した当該実験の最終論文][英BBCのコラム] 編集後記 サンセベリアの大特集、いかがでしたか?初心者の方にはサンセベリアに興味を持っていただけたら嬉しいですし、中上級者の方には新しいサンセベリアの魅力が発見できる一助となれば幸いです。たまにランチをしに行く編集部の近所の中華料理店(マジ美味い!)にも、店内に降りていく階段に数鉢のローレンチーが飾られており、行くたびに「店長さん、サンセベリアが好きなのかな?」と思っていましたが、まさかそれについての記事をここまで深掘りして書くことになるとは思わなかったです。それにしても、いろんな種類があって驚きました。個人的に気に入ったのはシルバーブルーかな。次の取材で訪店した時にまだ在庫があったら、ガチで買ってこようと思います。さて観葉植物基礎講座、次回はどんな観葉植物に出会えるのか乞うご期待です!
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観葉・インドアグリーン

謎の就眠運動で、眠る!? 観葉植物【エバーフレッシュ】を育ててみよう!
エバーフレッシュの基本情報・主な特徴とは 植物名:エバーフレッシュ学名:Cojoba arborea var. angustifolia英名:Pithecellobium confertum和名:赤莢合歓木(アカサヤネムノキ)科名:マメ科属名:コホバ属原産地:熱帯アメリカ分類:常緑高木 エバーフレッシュは、マメ科コホバ属の常緑高木です。コホバ属は熱帯アメリカに15種ほど存在し、そのうちエバーフレッシュはコホバ・アルボレアの変種で、原種のコホバ・アルボレアより葉が細めなのが特徴です。変種として世に出たのは、19世紀から20世紀初頭に活動していたニューヨークの植物学者ブリトン卿とジョセフ・ネルソン・ローズによって、Cojoba arborea var. angustifolia(コホバ・アルボレア・バリエーション.アングスティフォリア)として登記されてから。日本では昔からエバーフレッシュの名で流通し、観葉植物としてのみでなく、温暖な地域では庭木としても親しまれてきました。属名のコホバが高木を意味するとおり、野生のものは30m近くまで成長します。観葉植物のエバーフレッシュも簡単に2〜3mまで成長するため、小型〜中型株を購入して初期投資を抑え、大株になる過程を楽しむということもできます。オザキフラワーパークでは、1,480円のポットサイズから19,000円のビッグサイズまで幅広く取り揃えており、老若男女問わずさまざまなお客様に大人気です!耐陰性も強く栽培しやすいため、観葉植物初心者でも手軽にインテリアグリーンとして楽しむことができます。 ユニークな習性を持つ葉と花 園芸分類:観葉植物開花時期:4〜10月中旬樹高:10〜300cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:白、黄色エバーフレッシュの葉は、近くで見ると可愛らしい小さな葉が連なっているのに、遠くで見るとその連なりが大きな一枚葉のように見えます。ちょっと「だまし絵」にも似たところがあり、それはまるで自然が作り出すアートのよう。そんなインテリア映えするこの葉に魅せられて買い求める方も多いです。そして何よりもユニークなのは、夜になるとその葉が閉じてしまうこと。 夜になると、葉がまるで蝶番のように閉じているのがよく分かる。 Photo by ayamame_plants この現象はマメ科の一部の植物に見られる「就眠運動(しゅうみんうんどう)」といい、蓄えた水分が夜間に葉から蒸発する「葉の蒸散作用」を防ぎ、水分の備蓄を図っているものと考えられています。ただ、ある実験で光を完全に遮断して24時間観察したところ、一定の周期で葉の開閉を行ったため、夜になったら閉じるということではなく、マメ科植物由来の体内時計に依存するものだという学説も唱えられています。マメ科植物特有のこの現象の解明には、なんと紀元前324年、アレキサンダー大王の時代から名だたる学者たちが挑んできたのですが、科学技術が発達した現在も、就眠運動の謎は未だ解明には至っていません。ちなみに、進化論でお馴染みのチャールズ・ダーウィンもこの現象を熱心に研究していたそうです。そんな歴史的、科学的にもロマンを秘めた植物が部屋にあるなんて、ちょっと素敵ですよね。 写真上の葉は、茶色く変色しているため、何かトラブルが発生しているのかと思うでしょ? しかし、これがエバーフレッシュの新芽なのです。初めて買った方が、これを病気か何かだと心配されることありますが、茶色く柔らかい新芽は株が元気に成長している証拠で、成長していくにつれ緑色に変化し、徐々にコシも強くなっていきます。 エバーフレッシュの新芽。確かに茶色い。 と、葉のほうに意識が集中しがちですが、エバーフレッシュは、ちゃんと花も咲かせます。 Pix:photoac.com 春〜初秋に、白や黄色の花を咲かせ、その花が綿毛をまとったタンポポのような形状に変化していき、花後に実が入ったサヤが現れ、最初緑色だったサヤはやがて赤く熟し、中から黒いタネが露出してきます。 赤く熟したサヤと露出したタネ。赤いインゲンみたいだ。 このようにエバーフレッシュは、樹形がおしゃれなだけではなく、眠るように閉じる葉、そして花の変化と、独特な見どころのある観葉植物なんです。 エバーフレッシュの名前の由来と海外での呼び名 エバーフレッシュという名前は日本での呼び名で、命名された経緯は不明ですが、おそらくその爽やかな見た目から、Everfresh(=いつまでも瑞々しい)という名がついたものと察します。海外での呼び名は、欧米では表記上は学名のPithecellobium confertum(ピテセロビウム カンファタム)と表記することが多いですが、園芸店では原種名のCojoba arborea(コホバ・アルボレア)や、サヤの感じが珊瑚ヘビに似ているためCoral snake tree(コーラル・スネイク・ツリー)という名で販売されているケースが多いですね。しかし、シンガポールなどのアジア圏では、多くの園芸店でEverfresh Treeとして販売されているそうです。ちなみに、米国ではJapanese Everfresh Treeという商品名で販売しているお店もあるそうなので、もしかしたら日本産の観葉植物と思って買っていく方もいるのかな・・・?エバーフレッシュにはどことなくオリエンタルな雰囲気も漂うので、分からなくもないですが、前述したとおり、原産国は熱帯アメリカです。 確かに昔の日本では、赤莢合歓木(アカサヤネムノキ)と呼ぶ人もいて、この別名は花後に真っ赤なサヤができることに由来しています。しかし名前に“ネムノキ”と付いていても、極東アジア原産で落葉樹のネムノキと、熱帯アメリカ原産の常緑樹エバーフレッシュは異なる品種です。両者の見た目が似ているため混同し、昔の園芸店ではエバーフレッシュをネムノキとして販売するなど、その線引きも曖昧だった、という話も聞きます。もちろん、今はそんなことはないですけどね。 エバーフレッシュの育て方 置き場所と日常のお手入れ Pix:photoac.com エバーフレッシュは光が大好きな観葉植物です。しかし直射日光が苦手なため、置き場所としてはレースのカーテン越しや、ブラインド越しのような、柔らかい光が当たる場所がよいです。レースのカーテンがない場合は、直射日光が当たらないように窓から離れた明るい場所に置いてください。ただし注意してほしいのは、温度差や湿度差など、環境が極端に変化すると、株がストレスを感じて葉を落としたり成長が鈍化すること。できれば頻繁な移動は避け、ここと決めた1カ所で育ててください。買ったばかりのときは、販売店舗と自宅との環境差がストレスとなり葉を落とすことがありますが、それは一時的で、新しい環境に慣れれば新芽を次々と出し、元の元気な姿を取り戻すので心配いりません。また、エアコンの風が直接当たる場所は絶対に避けてください。人工的に温度調節された不自然な風がエバーフレッシュの生体バランスを崩し、高率で枯れてしまいます。 日々のお手入れとしては、葉の乾燥予防のために、葉水を毎日与えましょう。 エバーフレッシュを育てる上で注意したいのは、急に場所を変えたり、急に水の量を変えるなど、なにごとにも「急激」は避けて育てるということ。エバーフレッシュって、意外と繊細なんです。 ペットのいるご家庭 エバーフレッシュが米国ではあまりメジャーな観葉植物ではないため、当連載で指針にしている米国動物虐待防止協会のANIMAL POISON CONTROL (ペットに対する有毒無毒リスト)では、エバーフレッシュのペットに対する毒性有無のエビデンスは記載されていませんが、一般論としてエバーフレッシュはペットには無害な観葉植物とされています。しかし南米の植物分類研究によると、原種のコホバ・アルボレアには種子と落葉した葉に幻覚作用があるとの報告もあるため、ペットがそれらを口にしないよう注意が必要ですね。万一ペットに異変が生じた場合は、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。 【参照】・アメリカ動物虐待防止協会ANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)・Flora de Costa Rica(コスタ・リカ植物分類情報) 夏の管理温度、冬の管理温度 夏場の適温は20~25℃です。エバーフレッシュは根が繊細なため、あまり高温になると土中の水分が高温になり、根にダメージを与えることがあるので、特に夏場は注意してください。冬場は10℃以上が望ましいです。エバーフレッシュは耐寒性がさほど強くはないため、0℃以下の環境に置かないようにしてください。 水やり 生育期の春から秋は、用土表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいたくさんあげてください。鉢底から流れ出る水が鉢内の余分な老廃物を流し出してくれるため、水やりのたびに鉢内をリフレッシュできます。エバーフレッシュは、観葉植物の中では水が好きな種類になるため、水切れに注意してください。冬は日照時間の変化により、株は季節の変化に対応するスイッチが入り、根が吸水力を落とすため、生育期と同じ水やりを行うと根腐れが発生する可能性があります。このため、11〜12月上旬は土の表面が乾いた2〜3日後に、1〜2月の厳冬期は週1回程度でも問題ないでしょう。 肥料/活力剤等 Pix:Amazon.co.jp 成長期に観葉植物用の錠剤肥料を与えます。あげ方は、幹に近い場所には置かずに、基本的に鉢の縁付近に置いてください。用法に定められた量以上の施肥を行ったり、幹に近い場所に置いたりすると、根が「肥料焼け」というダメージを受けてしまう可能性があるため「置き肥は鉢の縁」を覚えておいてください。逆に、少なすぎても最適な効果を得られないため、必ず定められた用量を守ってください。 剪定 エバーフレッシュは葉が密に茂るため、湿度が高かったり、日照条件の悪い場所に長期間置くと、成長不良を起こし、また病害虫が繁殖する原因にもなります。このため、適切な置き場所で管理しつつ、成長するに従い適宜剪定し、通気をよくしてあげることも大切です。剪定の時期ですが、株は切られた分、新たな芽を出そうとパワーを消費するため、成長力が鈍化に向かう秋冬は避け、必ず3月から7月の間に行ってください。 植え替え 2〜3年に1回は土のリフレッシュのため、春~秋の間に新しい用土に植え替えを行いましょう。土は観葉植物用の培養土で大丈夫です。マメ科の植物は根をいじられるのを苦手とするので、植え替える際は根を切りすぎないよう注意してください。 挿し木 エバーフレッシュは挿し木で増やすことができます。ただし、亜熱帯原産の植物なので、成長期にあたる4〜9月の間に挿し木を行ってください。方法は簡単なので、観葉植物初心者の方もチャレンジしてみてはいかがでしょうか? エバーフレッシュでよくあるトラブルと対処法 病害虫 葉に群がるアブラムシ Pix:Henry Burrows/flickr.com 葉が旺盛に生い茂るエバーフレッシュは、枝葉が密になると通気が悪くなり、アブラムシやハダニ、カイガラムシが発生しやすくなります。アブラムシは新芽を好むため、新芽付近にツブツブしたものが付着していたら、それはアブラムシの可能性が高いです。ハダニもクモの糸のようなものを出し、そこに潜んでいるため見つけやすいです。ハダニは湿気を嫌うため、頻繁に葉水をしていれば予防することができます。 英名「スパイダー・マイト」といわれるように、クモのような糸を張って繁殖するハダニ。 Pix:Kuttelvaserova Stuchelova/shutterstock.com アブラムシもハダニも、共に市販の殺虫剤で簡単に駆除できますが、薬剤の使用に抵抗がある場合は、お風呂場や屋外で強めの水を流しながら指で葉を洗えば、簡単に落とすことができます。カイガラムシは生きているときは見つけにくく、見つけたときは糞や死骸という場合が多いのが特徴で、こうなると自力で剥がし落とすしかないので、とても厄介。カイガラムシは蒸れた環境を好むため、密にならないように適宜剪定して通気を確保し、サーキュレーターなどを使い室内の空気を循環させることにより防ぐことができます。 付着したカイガラムシ。生きているこの状態で見つけることができたら駆除も簡単なのでラッキーだ。 Pix:photoac.com 日中に葉が閉じている Pix:photoac.com 本来は光合成のために葉が開いていなければならない日中に葉が閉じてしまっている場合、葉から水が蒸発するのを防ぐための防衛本能が働いています。つまり水不足。この場合は、水をたっぷりとあげることで解決します。株が水を吸えばそう時間を置かずに葉が開いてきますが、それでも葉が開かない場合は、管理場所の日照が不足していたり、鉢内の根が過密になる根詰まりを起こし、根がちゃんと水を吸収できていないかもしれません。その場合は、一度鉢から上げて根の状態を調べましょう。根が過密の場合は、ちぎれないようにやさしくほぐし、古い根を落としてから、1回り大きな鉢に植え替えます。 葉が黄色く変色し枯れかけている、葉が落ちる 葉が変色し枯れかけているのは、エバーフレッシュ自身が光合成効率を高めるために古くなった葉を落とす「葉の入れ替え(リフレッシュ)」をしている場合もありますが、あまり頻繁に変色が見られる場合は、前述の「日中に葉が閉じている」項目同様、一度株を鉢から上げて根のチェックを行い、同様の措置を行ってください。ただし、水のあげすぎによる根腐れが原因で変色している場合は、根本的に水をあげるサイクルが早すぎるため。土が完全に乾いてから水をあげるなど、水やり方法を改善すれば、変色や落葉もなくなると思います。 葉がパリパリに乾燥している 葉が極端に乾燥している場合、2つのケースが考えられます。①水不足②エアコンの風による影響①の場合、「水やり」の項目でも述べたように、エバーフレッシュは水が大好きなので、土が乾いた状態が長く続くと、葉の艶や潤いが失われていくかもしれません。葉が本来の美しさを保つためにも「土が乾燥したらたっぷり!」のサイクルを守り、水やりを行いましょう。土の中の水分状態を可視的に知りたい場合は、水分計を使うとよいでしょう。 写真の商品はオザキフラワーパークでも人気の水やりチェッカー(水分計)『サスティー』。 ②の場合、エアコンが作り出す不自然な温風や冷風に長時間ダイレクトに当たっていると、葉が乾燥するだけでなく、成長にも著しく悪影響を与えます。この場合は、できるだけ早いうちに置き場所を変えましょう。 オザキフラワーパークのおすすめエバーフレッシュ5選+1 「エバーフレッシュをお世話していると、年を取らない気がします。」と、後藤さん。マジか・・・。 毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのエバーフレッシュ5品を選んでいただきました。※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。 大型“密枝”タイプ 縦190cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)105cm 価格16,000円(税込) タネが飛び出し赤く熟したサヤが付いている。 株の下部には熟す前のサヤが付いているので、色が変わっていく過程も楽しめる。 この大きめの株は、1つの株から複数の幹が出ている「株立ち」が特徴で、それにより、かなり枝数や葉数も多く、全体的にゴージャスな雰囲気。おまけにサヤまで付いているので、エバーフレッシュをとことん楽しむことができるおすすめの株です。けっこう生い茂っているので、梅雨前に剪定し、通気をよくしてあげてください。つまり、剪定も楽しめます。 大型“曲がり幹”タイプ 縦190cm 横100cm 価格19,000円(税込) この株は「曲がり」といって、人の手によって幹を湾曲させた、見た目がとても味わい深い株です。いわゆる“おしゃれ樹形”なので、インテリア映えは間違いないですね。 大型“極太幹”タイプ 縦190cm 横80cm 価格38,000円(税込) 人工的に曲げたものだが、どことなく盆栽のようなテイストもあり、粋だ。 これはねぇ、僕も個人的に買いたい株ですね。幹の太さたるや、ほかのエバーフレッシュを圧倒して、売り場でも一際目立っています。この太く湾曲した幹が、どことなく盆栽的で、和空間に置いたら悶絶級ではないでしょうか。高価な商品ですが、所有欲を十分に満たしてくれると思うので、その価値も十分にあると思います。 中型タイプ 縦150cm 横100cm 価格12,000円(税込) 写真は花後の花芽だが、これから咲く花芽もいくつか確認できた。 花芽をいくつかつけた中型株は、花を楽しみたい方におすすめです。花はまだこれからも咲くので、花後にサヤの生成される過程も見て楽しむことができますよ。大きさ的に、ソファーの横に置くとマッチしそうですね。 小型タイプ 縦28cm 横25cm 価格1,480円(税込) 見てください、小さくても十分にエバーフレッシュしてるんです(笑)。小さいものは小さいなりに、コンパクトに楽しむことができるので、僕は好きですね。あっという間に成長するので、地面置きになる前に、しばらくはテーブルに置いて楽しんでみてはいかがでしょうか? 後藤さん’sスタイリング 大型“曲がり幹”タイプ 縦190cm 横100cm 価格19,000円(税込)+鉢カバー 外径39cm 内径34.5cm 高さ40.5cm価格11,088円(税込)+受け皿直径30.5cm 高さ5.5cm価格325円(税込)= 合計価格30,413円(税込)ダークグレーの大型鉢カバーは、一見すると重そうですが、軽量素材なので片手で楽々持つことができます。また写真では鉢カバーとして使っていますが、底穴があるので、そのまま直植えすることもできます。ただ、そうなると受け皿が必要になるので、この美しいシルエットを殺さないためにも、中に受け皿を入れて、鉢カバーとしての使用をおすすめします。 Instagramで楽しもう! エバーフレッシュとインテリア インテリアとの親和性も高く、お部屋のイメージを確実にワンランク上げてくれるエバーフレッシュ。Instagramで#エバーフレッシュと検索すると7.2万もの投稿が! 巷のプランツラバーたちがどのようにエバーフレッシュを楽しんでいるのか、ちょっとのぞいてみましょう。これからご自宅に迎える方は、インテリアコーディネートの参考になるかも。 ayamame_plantsさん邸のエバーフレッシュは、鉢を麻袋で包んで網カゴでデコレーションするという、なんとも上級編のおしゃれテク!エバーフレッシュの葉の可愛さがかなりブラッシュアップされて、ちょっとマネしたくなっちゃいますよね。ちなみに、最近部屋の模様替えをしてこの配置になったそうで、お気に入りの映画の中に出てくるホテルのロビーをモチーフにしたのだとか。どんなおしゃれ映画か気になりますね〜! ritsuko_ieことリツコさん邸では、階段直下に置かれた背が高めのエバーフレッシュが、お部屋の立体感に一役買っています。階段の昇降で異なる角度から眺められるエバーフレッシュは、ウッディー基調のお部屋のシンボルツリーとして、とても存在感を放っていますね!ソファーに座って、トイプードルのあんこちゃんをお膝に乗せて、ゆったりとエバーフレッシュを眺めていると、時間が止まるのではないでしょうか。羨ましいです! yu_shibamikekoさん邸の窓辺のエバーフレッシュは、猫ちゃんたちに憩いの場を提供しているようですねぇ(笑)。ミントグリーンの壁とエバーフレッシュの可愛さがマッチしていて、また猫ちゃんたちの存在がお部屋のオシャレ度を超絶に高めていて、この写真を見る誰もが“このお部屋でお茶したい〜”、と願うのではないでしょうか。ちなみに猫ちゃんの名前は、奥から、窓辺が「ふくちゃん」、テーブルの上が「きびちゃん」、椅子の上が「もなかちゃん」です。 編集後記 いかがでしたでか、エバーフレッシュ特集。葉の形が、昔うちの近所のお宅の庭に植えられていた、指で突くとしな垂れる「お辞儀草」にそっくりだったため、最初見たときは、どこか懐かしさを感じました。最近、樹形にインパクトのある観葉植物を見る機会が多かったので、エバーフレッシュの可愛らしい葉には、ちょっとした癒やしをもらいました。インテリアグリーンを買い求める際の指針というのは、圧倒的な存在感を求めるか、空間に溶け込む癒やし感を求めるかの二手に分かれるのではないでしょうか。エバーフレッシュはその両者をバランスよく納得させる、万能型の観葉植物ではないかと思います。 しかも、夜になると眠っちゃうなんてギミックもついてくるわけですから、人気なのも頷けますね。さて、次回はどんな観葉植物に出会えるのか、乞うご期待です!
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話題の「グリーンインフラ」って? スーパーゼネコンの緑化への取り組みなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
特集:「スーパーゼネコンの緑化最前線」 今号の第一特集のテーマは、「スーパーゼネコンの緑化最前線」。グリーンインフラとは、「自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能である国土・都市・地域づくりを進める取り組み」のこと。さらに、街というハードをつくって終わりではなく、街がどのように人の営みに関わっていくか、その後の運用が大切です。 その実現のためには、施工技術や資材の開発に加え、周辺環境の植生や生物の生態など、さまざまなデータの集積と解析が欠かせません。 今日まで日本の建築・土木を牽引してきたゼネコン各社はそれぞれに研究所を持ち、研究・技術開発に余念がありません。本特集では、グリーンインフラの研究にも熱心に取り組んでいるスーパーゼネコン3社を取材し、その一端をご紹介しています。 株式会社大林組の取り組み 大林組の技術研究所(東京都清瀬市)は、1965年に開設されました。敷地面積約7万㎡。開設当時の社長・大林芳郎氏の「できる限り緑を残す」という想いを受け、敷地内には1.8万㎡ほどの雑木林があり、研究の場としても活用されています。 記事では研究員の相澤章仁氏(技術研究所自然環境技術研究部副主任)に、この緑豊かな研究所の植物を利用したグリーンインフラの研究、開発について取材。「ゼネコンの研究所で雑木林を有しているのは大林組だけと聞いています」(相澤氏)。 技術研究所の雑木林。近隣の市民グループを招いて、観察会の場としても利用されている。 敷地内には目的が異なる3つのビオトープがあり、トンボやカルガモなど昆虫類や鳥類の生息環境となっている。 清水建設株式会社の取り組み 清水建設の研究開発組織は、1944年9月に設計研究課として創設され、1984年に技術研究所と改称、現在まで、時代が必要とする研究・実験施設が次々に新設、整備されてきました。 技術研究所のビオトープ「再生の杜」は地球規模の環境問題など多様化した課題解決に向けた研究開発の一環として2006年につくられたものです。 記事では、環境経営推進室グリーンインフラ推進部担当部長・小松裕幸氏と、技術研究カーボンニュートラル技術センター自然共生グループ主任研究員・渡部陽介氏に、清水建設のこれまでのグリーンインフラに対する取り組み、そして今後の展望についてお話を伺っています。 研究所のビオトープ「再生の杜」。青少年向けの公開講座シミズ・オープン・アカデミーなどを通じて、環境教育の場として積極的に活用されている。 ビオトープの約1/3を池が占める。池の中の生態系を見ることができる施設は、見学に来た子どもたちに人気。 株式会社竹中工務店の取り組み 竹中工務店の技術研究所は、1959年に竹中建築技術研究所として開設され、その後、竹中技術研究所と改称し、1993年に現在の千葉県印西市に移転しました。 地上4階建ての低層建築は、白を基調とした洗練された外観が印象的です。 記事では、竹中工務店が取り組む技術開発や、技術研究所での研究・実証取組みについてご紹介しています。 竹中技術研究所俯瞰。建物が円を描供養につながっている。総面積65,000㎡、地上4階・地下1階。 多様な植栽が可能な樹木対応型壁面緑化。 毎年恒例! 八ヶ岳で開催の「フラワートライアルジャパン2023秋」レポート 2023年9月26日(火)〜28日(木)に、八ヶ岳山麓の長野県と山梨県6会場で開催された「フラワートライアルジャパン2023秋」。毎年恒例のBtoB(Business to Business:企業から企業へ)展示会で、2023年は80近い企業・法人が出展。1978人が来場しました。 八ヶ岳という大自然のもとに点在する6つの会場(茅野市民館会場、H&Lプランテーション会場、ハクサングループ会場、M&B FLORA会場、カゴメ・プロトリーフ会場、ゲブラナガトヨ会場)では、各企業、それぞれ渾身の最新品種や、時代のニーズに応えた耐暑性に優れた商品などを展示。生産者とガーデナー、生産者と卸業者など、業界内での交流が図られる機会となりました。 記事では、賑わっている会場の様子をレポートしています。一般向けにはなかなか公開される機会のない展示会の現場や新品種情報など、ぜひチェックしてみてください。 初出展の東京パークガーデンアワードをはじめ、畑や かとうふぁーむ、カネコ種苗など57社が出展した茅野市民館会場。 タキイ種苗、サントリーフラワーズなど10社が出展したH&Lプランテーション会場。 プルーブンウィナーズ(PW)のほか、ハクサンオリジナル品種、取り扱い品種を多数紹介したハクサングループ会場。 ポットマムを中心に、バラ「ゼプティ」のインドア提案など、新たな提案を押し出したM&B FLORA会場。 カゴメ製品、S&B製品の展示のほか、アース製薬、ハイポネックスジャパン、プロトリーフなどが出展したカゴメ・プロトリーフ会場。 注目の新品種、雨に強いペチュニアRRP「凛花子」の展示や、業者向けオンライン発注システム「G-NET」の紹介をしたゲブラナガトヨ会場。 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』11月号では、特集「みんなで創る新しい花き流通のかたち」として、園芸業界から見る「物流2024年問題」や、園芸業界で生産・卸・運送に携わる3名による座談会などを掲載しています。 また、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓ショップページはこちら。https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
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樹木

園芸のプロも激推し、【レモンの木】と【オージープランツ】を育ててみよう!
成長の喜びを味わえる果樹と花木 Pix:Orest lyzhechka/shutterstock.com 小さな草花も綺麗ですが、空に向かってグングン伸びる果樹や花木を楽しんでみませんか?買ったときは膝丈くらいだったものが、どんどん成長して自分の背丈に並ぶほどになったときの嬉しさは、子どもの成長を喜ぶ気持ちにも似ています。まして花や果実という恵みまで与えてくれたら、こんなに嬉しいことはないですよね! そこで今回、園芸のプロに、おすすめの果樹と花木を教えていただきました。 今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺) このシリーズでお馴染み『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、あらゆる植物の管理に精通した園芸のエキスパート。お店には日々、園芸に関するアドバイスを求めて、大変多くのお客様が来店されます。 「BiSHの解散は今年一番のニュースです」と、推しのガールズグループの解散を惜しむ関ヨシカズさん。 おすすめ①「レモン」 どんな果樹・花木なのですか? Pix:Spech/Shutterstock.com 常緑の中低木で、皆さんご存じの、あのスッパさ100%の実がなります。あんなにもスッパいのに、ミカン科ミカン属という、じつは甘い果物の仲間なんです。レモンといえばシチリアレモンが有名なため、イタリアが原産と思っている方も多いですが、じつは極東アジア、特にヒマラヤあたりが原産ではないかともいわれています。つまり、正確なことは分かっていないんです。果実にはビタミンCやクエン酸がたっぷり含まれていて、私たちの健康的な食生活にも役に立ってくれています。果実ばかりにフォーカスされがちですが、レモンの木は花も香るし、木を育てるという園芸的な意味でも人気が高いんですよ。 おすすめの理由を教えてください。 実が収穫できて、育てやすいというのが一番の理由です。実を収穫して酎ハイに果汁を絞ってよし、炭酸水に入れてレモンスカッシュにするもよし、揚げ物とかに絞り汁をかければオイリーな感じが中和されてサッパリと食べられてよしと、1鉢あればご家庭で重宝する果物ではないかと思います。ちなみに僕は、揚げ物にはレモンをかけずにソースをかける派ですね。レモンといえば用途は酒に限られます。 四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか? Pix:Olga Savoskula/shutterstock.com 春先から5月くらいにかけて花が咲き、その後結実して盛夏から初秋にかけて緑色の実がなって、10月くらいに黄色く熟す、という感じですね。色味としては、葉や熟す前の実の緑、花の白、熟した実の黄色といった、決して派手ではないですが、レモンのイメージ通りの爽やかな色彩を楽しませてくれます。 果樹初心者でも育てることは可能ですか? とても育てやすく病気にも強いため、初心者でも簡単に結実させて、収穫を楽しむことができます。しかし、高い確率で、というか、これはもうレモンの木の宿命とでもいいましょうか、初夏にアゲハチョウの幼虫が必ずつき、葉を食べ尽くします! なので、虫と戦う勇気が求められます。 レモンの木の葉を食べるアゲハチョウの幼虫 Pix:THIRASAK CHUCHOET/Shutterstock.com あまりにもアゲハの幼虫が付くため、レモン目的ではなく、アゲハチョウを羽化させることが目的でレモンの木を買われる方もたくさんいるんです。アゲハチョウは美しいですからね。実際うちにレモンの木を買いに来るお客様の中にも、それ目的の方が多くおられます。びっくりでしょ? 実の収穫よりも、葉を食べさせるほうが大切だなんて。当然葉を食べ尽くされたレモンの木は樹勢が弱まり、結実どころか開花もしませんよ。まぁ、蝶が超好きな方には必需の“エサ”なのでしょうね。でも園芸に携わる身としては、葉を食わせるだけ食わせたら捨てちゃうんだろうな、ということを考えると、ちょっとやるせない気持ちになりますけどね。 育て方のコツを教えてください。 ちょうどアゲハの幼虫の話になったので、まず害虫対策から説明しますが、アゲハの幼虫は黄緑色のデカいイモ虫で、ムシャムシャと貪りつくすように葉を食べているため、すぐに見つけられます。見つけた時点でつまんで捨てればよいだけですが、なにぶんデカいので、こういうのが不得手な方は、割り箸を使えば簡単に駆除できます。そうは言っても気持ち悪い、という方には薬剤散布による駆除という手もありますが、後々実を収穫して口にするため、そこは判断が分かれるところです。結実に関しては、受粉作業などをしなくても勝手に受粉して結実してくれるので、とてもラクです。ただ、実の数は木の大きさに比例するので、テーブルサイズのものだと1〜2個つけばGood Jobな感じです。水やりですが、夏も冬も水切れで乾燥しないように、土の表層が乾いたらたっぷりと、という感じで行ってください。乾燥しきってしまうと実付きに影響してくるので要注意です。肥料は置き肥を2カ月に1度くらいを目安に、定期的にあげるとよいです。 何かまつわるエピソードがあれば教えてください。 Pix:ykokamoto/Shutterstock.com レモンに限らず、柑橘系は焼酎との相性が抜群なので、僕はいろんな柑橘系をサワーで試して楽しんでいます。例えばキンカンなんかも、完熟してオレンジ色になるまで待ってから収穫し、それを半分に割って3〜4個をサワーで割った焼酎に入れると、それはもう美味至極ですね。すだちサワーも美味いですよ。すだちは青いうちに収穫し、その酸味を料理で楽しむものですが、収穫せずに放置するとだんだん黄色くなって完熟します。完熟すだちは酸味が引いて甘味が強くなるんです。それを同様にサワーに入れて飲むと格別です。 おすすめ②「グレビレア」 どんな果樹・花木なのですか? Pix:NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com オーストラリアをはじめとしたオセアニア地域が原産の、いわゆるオージー系の花木(オージープランツ)です。このカテゴリーはネイティブプランツとも呼ばれますね。種類がものすごくあるので、集めているコレクターもけっこういるんじゃないかな。どの種類も花の形状が一貫して蜘蛛を連想させることから、海外ではスパイダーフラワーとも呼ばれています。半耐寒性の常緑で、低木のタイプから、大きいものだと2mくらいのものもあるので、好みの大きさから選ぶことができます。とてもエキゾチックな花を咲かせ、その色や形状は同じグレビレアなのかと疑ってしまうほど多種多様。その多くが耐暑性・耐寒性に富み、気候への順応性も高く、基本的には育てやすい花木です。 おすすめの理由を教えてください。 おすすめの理由は、グレビレアの醸し出す「スペシャル感」というか、「ちょっと他とは違う特別な木」の雰囲気ですね。オリーブとかミモザのような、比較的どこの家でも気軽に見ることができる一般的な花木と違って、グレビレアは扱っている園芸店も決して多くはなく、地方だと大手の園芸店に行かなければ入手できないかもしれません。また、オージープランツはブームというよりはここ何年も人気が定着しているため、大手園芸店などでは特設コーナーを設けています。実際、太田市場に行ってもほとんど競りにかからずに、某大手3社がガバッと予約で囲っちゃってる感じですからね(笑)。他とはちょっと違うテイストで、お庭やバルコニーにインパクトを効かせたい方にはおすすめです。 Pix:Fernando Calmon/Shutterstock.com 最近この近辺(祐天寺、学芸大界隈)でも、グレビレアやバンクシアなど、オージー系の花木でお庭をスタイリングしているお宅をたまに見かけますが、開花の時期に通りかかると、花の形、色彩と、なかなか記憶に焼きつく鮮烈さがありますね。うちのお客様にはグレビレアをシンボルツリーにしている方もおられます。価格は、普通の苗木に比べると3割くらい高くなりますが、数千円から数万円と値段の幅も広いので、まずは実際に店舗に行って見ていただくのがよいと思います。 四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか? 品種によりますが、多くのタイプが夏に花を咲かせます。花の形も色もさまざまですが、一様に言えるのは、可憐というイメージではなく、むしろ派手で存在感のある花を咲かせ、極彩色の花火のような魅力があるということです。 グレビレア‘モリー’ Pix:HANAVI/Shutterstock.com グレビレア‘ハニージェム’ Pix:Paskaran.T/Shutterstock.com グレビレア・ロブスタ Pix:aquatarkus/Shutterstock.com グレビレア・ロブスタなど、一部の品種は秋になると紅葉を見ることもできます。しかし、落葉樹ではないので紅葉しても冬季に落葉はせず、春になると青々とした新芽が出てきて入れ替わるように古い葉を落としていきます。ただまぁ、何度も言うようですが、ホントに種類が多いんですよ。基本的に葉の形が種類によってまったく違うし。なので、四季の移ろいの中で見せる表情も、種類によってぜんぜん違う場合もあるんです。どれだけ違うかは、映像を見てもらったほうが早いかな。 花木初心者でも育てることは可能ですか? グレビレアは基本的にドライな環境を好むため、まずは水やりのコツを習得しなければなりません。なので、これから園芸を始めるという本当の意味の初心者の方にはおすすめできません。多かれ少なかれ、植物の栽培経験がある方におすすめします。控えめの水やりが基本なので、同様の水やりを行う多肉植物経験者には容易に育てることができると思います。 育て方のコツを教えてください。 まず、日当たりと風通し、これは必須です。土も普通の培養土で構いません。太陽は直射日光をたっぷりと浴びさせてください。水やりは、地植えの場合は完全に雨任せでよいのですが、鉢植えの場合は控えめが基本です。ただし、水を控えすぎてカラカラになると枯れてしまいます。しかも、一般的な植物は葉や茎が垂れ下がることで、まず渇水状態を知らせてくれるのですが、グレビレアは水が枯渇すると、何の前触れもなく、急に枯れます。怖いですよね。逆に、水が多すぎても一撃で枯れるんです。怖すぎますよね。なので、週のうち何回あげる、とかではなく、ちゃんと気候ごとに土の状態をこまめに観察しながら水やりをしないといけません。 Pix:Karen McFarland/Shutterstock.com 特に夏場は一気に水を吸ってグングン伸び、午前中にたっぷりとあげても午後にはカラカラになるので、確実に日に2度はあげる感じです。また、日照や湿度の変化で土の乾き方も変わってくるので、天気予報をこまめにチェックし、土の状態、茎や節が瑞々しいかなど、毎日の観察が大切です。気温が低くなるこれからの季節は、グレビレアも越冬に備えて根のパフォーマンスを落としていくため、乾燥への警戒よりも、土の湿った状態が長く続かないように気をつけてください。気温が低いと完全に乾くまで時間がかかりますが、乾いたらすぐにあげられるように、鉢に水分計などを挿しておくのもおすすめです。ちなみに、僕ら園芸業者は鉢の重みで中の水分量を判断したりもします。満水時と渇水時の鉢の重みを手の感触で覚えておくと水やりも上達しますよ。 耐寒性が強いため0℃あたりまで耐えられますが、念のため5℃を切ったら屋内に取り込むようにしてください。また、グレビレアはオーストラリアの痩せた土地に自生しており、栄養が少ない土壌から、細胞膜を生成するためには欠かせないリン酸を優先的に摂取できるよう根が進化しているため、肥料過多になると枯れる傾向があります。このため、購入した市販の土に元肥が混ぜ込んである場合、肥料はむしろあげなくてもよいくらいです。どうしてもあげたいという場合は、リン酸がほぼない油カスなどをあげるとよいでしょう。 クックタウン(豪州)の痩せた大地に咲く野生のグレビレア。 Pix:Howlandsnap/Shutterstock.com 植え替えのときに元肥として土に混ぜ込んで使用する「マグアンプK」などは、リン酸を多く含んでいるため、絶対に混ぜ込まないでください。植え替えのときは、元肥のあまり入っていない安価な土のほうが逆によかったりします。まぁ・・・こうやって説明してみると、グレビレアは園芸中級者に適した植物、ですかね。 何かまつわるエピソードがあれば教えてください。 昔の話ですが、まだグレビレアの流通が少ない時代に仕入れたことがあって、そのとき入れたグレビレア・ロブスタの2本のうちの1本を、植え替え後に迂闊にも水のあげすぎで枯らしてしまったことがあるんですよ。気づいたらあっという間に茶色くなって全体がしな垂れていたんで、これが噂の一発撃沈かと。まさかの経験でした。 おすすめ③「リューカデンドロン」 どんな果樹・花木なのですか? Pix:Totokzww/Shutterstock.com リューカデンドロンも樹形が綺麗ですよ。常緑樹なので、四季を通じてスタイリッシュな葉と樹形を楽しむことができます。色鮮やかに花が咲いているように見える部分は花ではなく、花びらみたいな色彩と形状に変化した苞葉(ほうよう)で、この苞葉の中に、決して存在感があるとはいえない果実のような花が咲きます。花よりも、花を包み込むそっち(苞葉)のほうが目立つという、ちょっと変わった花木です。 赤い大輪の花びらのようなものが開いた苞葉で、中心の黄色い球状のものが花だ。Pix:Phan/Shutterstock.com 80種以上の品種があり、野生のものでは10mを超える高木もあります。そんなリューカデンドロンは、園芸界的にはオージープランツとして扱っているところが多いのですが、実際の原産地は南アフリカなんです。でも、オーストラリアにもたくさん自生していて、それは遥か昔、アフリカ大陸とオーストラリア大陸が地続きで繋がっていたことに由来するという説が有力ですが、ほかにも諸説あるようです。しかし実際に日本に入ってくるのは、そのほとんどがオーストラリアからの輸入です。安価な品種でも3,000〜4,000円で、2〜3万円するものも多いので、とても高級な花木です。 おすすめの理由を教えてください。 苞葉が黄色く色づき、花が濃橙色のタイプ。 Pix : Iv-olga/Shutterstock.com 苞葉がグラデーションのある紫に色づき、花が緑色のタイプ。 Pix : Zachary Aronowitz/Shutterstock.com おすすめ理由は、グレビレアと同じですね。ちょっと変わったプランツで個性をアピールしたいという方には、とてもマッチしたものではないかと思います。花を楽しむグレビレアと違い、苞の色彩を愛でるというのも一味違っていて面白いですよね。苞の色づき方も品種によって異なるため、コレクションする楽しみもあります。また、ドライフラワーとしても人気の品種なので、そういった楽しみ方もできます。 リューカデンドロンのドライフラワー。写真のもので300円。店舗スタッフ曰く、特別な処理なども行わず、3週間程度室内にただ干しておくだけで簡単に作れるとのこと。 四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか? 苞の色彩は、春から初秋までは緑で、その緑色も品種ごとに落ち着いた緑だったり、光の加減によってシルバーがかったシャープな緑だったりと、さまざまなバリエーションがあります。そしてどの品種も中秋を過ぎた頃につぼみを出し、葉がそのつぼみを包み込むように苞葉と化し、同時に色づき始めます。春にかけて色味は増し、‘レッドデビル’や‘ストロベリーフェア’という品種は赤く、‘イエローデビル’はヒマワリのような黄色に、ほかにも紫色やグラデーションがついた色彩を放つものもあり、これからの季節にそんな色彩を楽しむことができます。 リューカデンドロン‘レッドデビル’ Pix : Maria Art/Shutterstock.com 樹木初心者でも育てることは可能ですか? グレビレアと同じで、水やりのタイミングに慣れる必要があるため、完全な園芸初心者にはおすすめはしません。ある程度園芸の心得のある方におすすめです。ただし、地植えにする場合は雨任せの水やりで問題なく、冬も氷点下にならなければ大丈夫なので、関東以南の方なら園芸初心者でも大丈夫だと思います。 育て方のコツを教えてください。 育て方は基本的にグレビレアと同じなので、前述のグレビレアの育て方を参照していただければよいです。とにかくオージー系のものは肥料を極端に控えることですね。 何かまつわるエピソードがあれば教えてください。 5〜6年前、近隣住宅の庭にリューカデンドロンの地植えの仕事をさせていただいたんですが、植えた当時は僕の胸に届くか届かないかくらいだった株が、今では3mを超えるところまで成長しているので、たまにその家の前を通ると、やはり感慨深いものがありますね。と同時に、やはり地植えは大きくなるな、と思いました。まぁこれはどんな植物にも言えることですが。ただ、リューカデンドロンは地植えに適したものと適さないもの、鉢植えのほうが楽に栽培できるものと、さまざまなので、その品種を購入する園芸店に「地植えしたいんですが」と、アドバイスを求めるのが一番だと思います。 おすすめ④「サンカクバ(三角葉)アカシア」 どんな果樹・花木なのですか? 三角形のナイフのような葉が特徴的なサンカクバアカシア。Pix : BearFotos/Shutterstock.com アカシアは一部の品種がミモザの名称でも知られていますが、いくつもの小ぶりな黄色い花がたわわに咲く姿が可愛らしくて、庭木としても人気のオーストラリア原産の花木です。豪州産が続きますが(笑)。今回はアカシアの中でも樹形がおしゃれな、サンカクバ(三角葉)アカシアをご紹介しようと思います。小ぶりの連なった葉が特徴的な一般的なアカシアに比べ、大きめで三角形のシルバーがかった葉が特徴。ちょっと離れて全体像を見ると観葉植物のような趣もあって、とてもおしゃれなんです。葉がナイフみたいなので、海外ではナイフリーフ・ワトルとも呼ばれています。 確かにナイフのような葉が鋭角的なイメージを醸し出しているが、同時に美しさが際立つ。 これは普通のアカシア(ゴールデンワトル)。葉の違いが一目瞭然だ。 Pix : Raksan36studio/Shutterstock.com ちなみにワトルというのは、簡潔にいえば日本でいうミモザ(=フサアカシア)で、もともとはオーストラリアの固有種なんです。確かオーストラリアの国花なんじゃなかったかな。ただややこしいことに、アカシア=ワトルというわけではなく、一説には1,000種以上あるといわれるアカシアの中で、多くの種類がアカシアではなく遺伝的にはワトルか、っていう分類学上の論争も起きていると聞きます。いずれにしても僕はこのサンカクバアカシアが個人的には一番好きかな。花は一般的なアカシアと同じ黄色の房状ですが、房がやや大きい印象ですね。夏についたつぼみが冬に咲くので、これからの時期に花を楽しめます。夏から秋にかけて花芽がついていないものを店頭で買うと、そのシーズンは花が咲かないのが確定しているので、今の時期(11月)に買う方は、花芽の有無を確かめてから購入してください。耐寒性も耐暑性も強く、とても育てやすいですよ。アカシアはシンボルツリーにしている方も多く、本来は庭木として地植えするほうが向いているのですが、鉢植えにしてコンパクトに楽しむのも洒落ています。 ブラジルのさるお宅のアカシアの木。シンボルツリーの名に恥じない見事なものだ。Pix:Paulo Rennes Marçal Ribeiro/flickr.com おすすめの理由を教えてください。 まぁ、前述のオージープランツと同じ理由ですが、普遍こそ全て、という人たちに対し「まぁ奥さん、お宅は普通のミモザなのね、うちのは三角葉なのよ、おしゃれで困っちゃうわ(笑)」と、差をつけたいという意識が高い方にはおすすめです。意識が高いというか・・・この言い方だと嫌味な奥さんですね(爆)。 冗談はさておき、開花が極寒の1〜2月という、園芸的に花が最も少ない時期に咲くので、まさにこれから楽しめる、というところもおすすめです。しかも、虫がつきにくく、病気も少なく、とにかく強い! 四季の移ろいの中でどのような表情を見せるのですか? 常緑なので紅葉などはしませんが、早くて1月あたりから房状の黄色い花がいくつも咲き始め、まさに厳冬期に可愛らしい黄色い花で楽しませてくれます。 Pix:Guillermo Guerao Serra/Shutterstock.com 花木初心者でも育てることは可能ですか? 水やりの面では、前出の2つのオージープランツほど難しくはありませんが、水切れを嫌うため、水を絶やさず、かつ多湿にせず、というところを注意していただければ大丈夫です。水よりも剪定かな。サンカクバアカシアはとにかく急速に伸びるので、伸びたら剪定が必須です。つまり剪定経験が必要となるので、初心者というよりは、樹木、とくに花木の栽培経験が1〜2度はあったほうがよいと思います。地植えの場合は放置で構わないので、その限りではありませんが。でも僕は個人的には、このサンカクバアカシアが花木の最初の一歩でもよいと思います。基本がタフだし、剪定はこれをきっかけに勉強すればよいと思いますよ。 育て方のコツを教えてください。 管理は太陽がバッチリと当たるところで、風通しも確保してください。水やりですが、グレビレアのようにあげすぎで一発枯れということもないので、夏も冬も基本的に水を切らさないようにすれば大丈夫です。特に夏は土表面をこまめにチェックして、表面が乾いていたら間髪入れずたっぷりと、な感じで大丈夫です。わりと重要なのは剪定ですね。とにかく旺盛に伸びるので、デカくなったら容赦なく切る、でよいと思います。深めに切っても枯れることはありません。ただし、夏を過ぎて剪定すると花芽を落としてしまう可能性があるため、花期が終わる4月くらいの剪定が理想的ですね。肥料は他のオージープランツ同様、リン酸少なめか、ほぼない状態のものをあげてください。 何かまつわるエピソードがあれば教えてください。 僕にまつわる話ではないのですが、確か3月のどこかで※、女性にミモザを贈って感謝を伝える「ミモザの日」というのがあるんですよ。アカシアのことをミモザと呼ぶのはイタリアが発祥なので、そのイベントもイタリア発祥のはずです。そんな伊達なこと、僕がやったことあるかって? それは秘密ですね。ただ、いつかはやるかもです(笑)。 【ミモザの日とは】「ミモザの日」はイタリアで制定され、女性に日頃の感謝を込めて愛と幸福を呼ぶミモザ(フサアカシア)の花を贈るものとされる。3/8と制定されたのは1975年に国連が3/8と定めた「国際女性デー(International Women's Day)」に因む。 写真の女性の持つのは普通葉のミモザだが、これが三角葉だと存在感もアップする。 Pix:Gustova Svetlana/Shutterstock.com 関さんから愛のメッセージ Pix:Wavebreakmedia/Shutterstock.com 果樹に花木、どちらも鉢でお世話するとなると、何かと手間をかけなければ、果実や花、という成果を得ることができません。なので、成果を求めるには、相応のお世話を、手間を惜しまずにしてあげてください。よく、花が咲かないから、実がならないからという理由で、植物を放置する方がおられますが、以前も言ったかもしれませんが、植物が花を咲かせたり実を付けるのは、子孫を残すという本能的な行動であり、何も人間を喜ばせるエンターテインメントとして行っていることではないのです。もちろん皆さん、開花や収穫を楽しむために購入されると思いますが、それらは植物たちのあるべき自然のローテーションなので、咲かないから、実がならないからと諦めずに、そこをちゃんと目指していただきたいと思います。今はこのガーデンストーリーも含め、ネットで情報が容易に入手できる時代。しかしそれだけを鵜呑みにせず、「ネットではこう説明されているんですけど」と園芸店にも相談し、文字情報と生の声という、2つの情報を突き合わせてみると、自ずと最適な栽培方法が見えてきて、園芸の手腕も上がるのではないかと思います。果樹も花木も、それぞれのあるべき姿を人の手で実現させてあげるのも、「戦い」なんだよね。 編集後記 いかがでしたか? 果樹&花木の特集。個人的には、関さんのお店に意外にもオージープランツが充実していたことに驚きましたが、ブーム前に既に着目し取り扱ってきたあたり、さすが関さんです。街の園芸店主にしておくには惜しい(笑)。というより、酒場の大将も似合うのではないかと、毎回話をするたびに思います。関さんがやる園芸と酒の店、楽しいだろうなぁ。さて、これから本格的な冬突入ですが、皆さん十分にご自愛ください。次回の関さんのお話も楽しみにしていてください!
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観葉・インドアグリーン

インテリアの格を上げたいなら観葉植物【オーガスタ】が超おすすめ! 育て方と魅力を徹底解説
オーガスタってどんな植物? 今回ご紹介するのは、ストレリチア・ニコライ(Strelitzia Nicolai)。日本ではオーガスタの名で知られていますが、海外では一般に学名のストレリチア・ニコライで流通しています。原産地は南アフリカやマダガスカルですが、持ち込まれて帰化したものがメキシコ東部やオーストラリアにも自生しています。上に向かって交互に伸びる硬く長い茎の先には、船のスクリュープロペラのような形の大きな葉があり、その重みで茎がしなだれる姿はとても優雅。空間をリッチに昇華させるエキゾチックプランツは数多くありますが、気品という点に関してはオーガスタの右に出るものはないのではないでしょうか。 新芽が外側から止めどなく生えてくる様子が分かる。この新芽がやがて雄々しく成長し、部屋に彩りを添える。 海外では直立した木質茎がバナナの木に似ていることからWild banana(野生のバナナ)や、特徴的な花にちなんでGiant white bird of paradise(楽園の巨大な白い鳥)とも呼ばれています。 自生地のオーガスタ。確かにバナナの木にも似ているし、巨大な鳥にも見える。尖った苞(ほう)の上に咲く白い花も南国チックなたたずまいだ。 Pix:Olga S photography/Shutterstock.com オーガスタの属するストレリチア属は、比較的短期間で大きくなるのも特徴で、原産国のマダガスカルおよび南アフリカで自生する野生種には、高さ12m・幅4mを超えるものもあります。そうした株は、まるでパプアニューギニアの国鳥「極楽鳥(ゴクラクチョウ)」が羽ばたく姿に似た美しい花を咲かせることから、ストレリチア属には「ゴクラクチョウカ:極楽鳥花」という和名がついています。 ストレリチア属の中でも、純白な花と、美しい瑠璃色のブラクト(花苞:かほう)が特徴的なオーガスタには「ルリゴクラクチョウカ:瑠璃極楽鳥花」という、なんとも華麗な和名が付いています。ちなみに花苞とは、開花に至るまでつぼみを保護する、いわば殻のような役割を果たす部分を指します。 Pix:Perry Correll/Shutterstock.com しかし、家庭用の観葉植物として農園で育苗されたストレリチア属の開花はごく稀。10m以上の巨大株に育った場合に、ごく稀に美しい花を咲かせることがあります。観葉植物として市場に出ているオーガスタを10m以上に育てるのも簡単ではありませんし、大きく育ったからといって花が咲くとも限りません。正直なところ、植物園でもない限り、開花は稀です。しかしなんと! オザキフラワーパークの店頭でオーガスタが開花したことがあるんです。10mには及ばないものの、比較的大きい株が突然開花し、超稀少な開花株にお客様はもちろん、スタッフもびっくり! 買われたお客様はラッキーでした。ちなみに、オーガスタは観葉植物を扱っている園芸店なら比較的容易に手に入ります。また、インテリアとの親和性がとても高いため、セレクトファニチャーのショップなどで販売していることも。巨大株は数万円しますが、大人の身長ほどの大きさの株だと1万数千円ほどでお買い求めいただけます。オザキフラワーパークでは、ポットサイズ(880円)から販売していますので、小さいうちから育てて成長の早さを実感するのもアリですね! オーガスタは、通常だと動物に見られる黄色い色素「ビリルビン」を含むことが確認された数少ない植物の一つです。ビリルビンは、役割を果たした赤血球が分解される際に生じる色素。つまり、血液が流れていない植物に存在するのは非常に稀なことなのです。なぜオーガスタにビリルビンがあるのかは、2010年にこれを発見したFDA(アメリカ食品医薬品局)のキャリー・ピローネ博士もまだ研究途中で、解明には至っていません。ただ、オーガスタとビリルビンの関係を研究することが、がんや糖尿病の治療薬に進化をもたらすのではないかと期待されており、私たちにも遠からず恩恵をもたらすかもしれません。すごいですね、オーガスタ! 名前の由来 名前の由来は、簡単にいえば上図のとおり。 まずは、学名の「ストレリチア・ニコライ」の由来について解説します。属名の「ストレリチア」は18世紀英国の国王ジョージ3世の妻のシャーロット(シュトレリッツ)妃に敬意を表して付けられました。シャーロット妃は芸術分野のパトロンとしても知られ、また英キューガーデン(王立植物園)の拡大に貢献したアマチュア植物学者でした。小種名の「ニコライ」は19世紀ロシアの皇帝ニコライ1世の三男で、ロシア帝国植物園(現ロシア科学アカデミー植物園)を管理していた大公ニコライ・ニコライエヴィチへのオマージュを込めて、後年になりロシアの植物学者レーゲルにより付けられたとされています。また、ストレリチアの名前の由来でもあるシャーロット王妃が、ドイツのメクレンブルク=シュトレリッツ大公家出身であり、大公家の世嗣カール・ミヒャエル公がロシア出身であったことも、ストレリチア・ニコライの誕生に大きく影響しているともいわれています。和名のオーガスタの由来は諸説あり、正確なところは分かっていません。ただ、学名を命名したレーゲルのフルネームがエドゥアルト・アウグスト・フォン・レーゲルであり、そのミドルネームのアウグストが由来であるという説が濃厚です。ちなみにアウグストはラテン語で、アウグストゥス=尊厳あるもの、巨大なものを意味しているため、その生涯で3,000以上の植物を発見し命名したレーゲルの偉業と、ストレリチア・ニコライのダイナミックな樹形にインスパイアされて、いつの間にかオーガスタと呼ばれるようになったのかも、などと勝手ながら想像します。 野生のオーガスタ。葉1枚あたり小柄な大人くらいの大きさがあるというのだから、圧巻である。Pix:Jimenezar/Shutterstock.com オーガスタの種類 オザキフラワーパークでも人気のストレリチア・レギネ ストレリチア属にはオーガスタのほかにも、レギネ(レジーネ)や、希少種のアルバ(和名:白極楽鳥花)、ユンケア(別名:アフリカの砂漠バナナ)など、少ないながらもいくつかの種類があります。 ちなみに、植物学的にはオーガスタといえばアルバのことを指すのですが、アルバは絶滅危惧種のため流通しておらず、このため市場ではストレリチア・ニコライがオーガスタとして流通しています。 野生のストレリチア・アルバ。 Pix:David Jalda/Shutterstock.com オーガスタの育て方 置き場所と日常のお手入れ Pix:Olenaduygu /Shutterstock.com オーガスタはレースのカーテン越しの柔らかい光が当たる場所での管理がおすすめです。ほかの多くの観葉植物同様、オーガスタも亜熱帯出身のため、太陽は大好きなのですが直射日光は苦手です。昨今の暑夏の陽射しは異常なほど強く、わずか数分レースのカーテンが開いていたために葉焼けしてしまうこともあリます。直射日光には十分注意してください。耐陰性が強いため、外光が届かない室内でも栽培は可能ですが、間のびして葉が開かなかったりする可能性があります。せっかくの大きく美しい葉を楽しむためにも、お日様の恵みだけはしっかりと与えてあげましょう。また、お日様の恵みだけでなく、風の恵みも与えてあげましょう。植物が健康に育つためには風も必須で、この場合の風は、植物が揺れるような風ではなく、風によって植物を取り巻く空気が流れることが重要。エアコンを使用していないときは窓を開けておけばよいのですが、そうもいかないときに役に立つのがサーキュレーター。サーキュレーターが室内の空気を循環させることにより、オーガスタも自然界にいるような気持ちで、日々を過ごすことができます。ただし、エアコンやサーキュレーターの風を直接当てるのはNGです。詳細はこちらの記事で解説しています。【観葉植物などの栽培に役立つサーキュレーターの使い方をプロが徹底解説!】 葉水も、日常のお手入れでは欠かせません。オーガスタは葉が大きいので、ホコリが溜まりやすく、放置しておくと生育不良や病気の原因にもなるため、予防措置として葉水は毎日あげることをおすすめします。加えて、葉水のたびに葉を拭いてあげましょう。すると、美しい葉をいつまでも維持することができます。その際、葉面洗浄剤を使用すると、葉の色艶も増し、オーガスタの魅力が倍増するので、さらにおすすめです。【オザキフラワーパークでも爆売れの商品、住友化学園芸の葉面洗浄剤「MY PLANTS」をオーガスタで試す!】 ストレリチア属には、成功、自由、不死、忠誠心、愛、思慮深さ、楽観主義など、多くの花言葉があり、オーガスタは風水的には人と人との良好な関係を築き、大きな葉は金運を招くともいわれています。ゆえに、リビングや、オフィス、施設など、人が集う場所に置く方もとても多いです。 ペットのいるご家庭では置き場所に要注意! オーガスタには葉にも茎にも、動物にとって血糖異常をもたらす成分が含まれているため、猫や犬などのペットの手の届かない場所で管理してください。成分に含有する消化管刺激物は嘔吐や下痢、腹痛を引き起こすことがあるため、万一ペットがオーガスタを口にした場合は速やかに動物病院を受診してください。本記事おける観葉植物のペットに対する安全性は、下記「アメリカ動物虐待防止協会」のANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)を引用しています。ASPCA/Toxic and Non-Toxic Plants List 夏の管理温度、冬の管理温度 夏は人間が過ごしやすい25~30℃くらいが適温です。室温が40℃近くまで上がると根が傷むことがあるため、不在時の室温には気をつけてください。冬は管理環境が5℃以下にならないよう注意してください。5℃近くまで気温が低下するようになったら、ココヤシファイバー(椰子の繊維)やバークチップ(赤松の樹皮片)で土表面を覆う「マルチング」がおすすめです。マルチングは保温効果があるため、冬場の土中の根の保護に有効ですが、見た目もオシャレになるため一石二鳥ですよ。 ココヤシファイバーによるマルチング。 水やり Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 生育期の春~秋は、土の表面が乾いたら、鉢底から余分な水が流れ出るくらい、たっぷりと与えます。この余分な水が、土の中の老廃物などを押し流してくれます。冬が近づくにつれ生育が緩慢になるため、株の耐寒性を高めるために水やりの頻度を調節します。夜間、外気の最低気温が10℃を下回る11月から12月頃は、土の表面が乾いたことを確認してから2〜3日後に水やりをします。あげ方は生育期同様に、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えます。厳冬の1〜2月は週1回程度でも問題ないでしょう。室温が暖房と加湿器で常に快温適湿な場合であっても、日照時間により株は季節の変化に対応するスイッチが入り、根が吸水パフォーマンスを落とすため、冬季に生育期同様の水やりを行うと根腐れを起こす場合があります。水のあげすぎにはくれぐれも注意してください。 肥料/活力剤等 春~秋には観葉植物用の錠剤肥料を与えます。錠剤肥料を置き肥する際、錠剤が幹に触れていたり、幹に近い場所に置くと、正しい効果が得られなかったり、根が肥料焼けを起こす場合があります。必ず鉢の縁に近い場所に、用法に定められた量を施肥してください。 剪定 Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 古い葉や傷んだ葉は根元付近で剪定します。ただし、剪定した場所から新たに新芽が出てくる植物ではありません。オーガスタは左右対称に芽を出して葉を展開していく植物なので、剪定する場合は外側の古い葉を切り、中央の葉は病気などの場合を除き、基本的に残しておきます。株は葉を切られた分、新たな芽を出そうとパワーを消費するため、成長力が鈍化に向かう秋〜冬は避け、必ず3月から7月の間に行ってください。 増やし方 オーガスタは根が丈夫なため、容易に株分けで増やすことができます株分けに適した時期は、根が成長に向かう春から梅雨前です。根のパフォーマンスが衰える秋〜冬に株分けを行うと、子株はもちろん、親株も枯れるリスクがあるため避けてください。また株分けは、子株が瑞々しく、健康である場合のみ可能です。 株分けの方法は、いったん株を鉢から引き抜きます。 Pix:Amverlly/Shutterstock.com 親株を残し、外側の子株だけを丁寧に分離するのですが、分離しやすいように、抜いた株から余計な土をシャワー等で落としてください。 Pix:Zhuravlev Andrey/Shutterstock.com 前述のようにオーガスタは根が強く、分離の際、多少なら根を切っても、またすぐに再生するため問題はありません。ただし、ハサミに雑菌がついていると切り口から感染してしまう可能性があるので、ハサミは事前に刃を消毒してからご使用ください。※コンロの火で刃をあぶり殺菌する方法もありますが、高価な園芸鋏は刃が赤くなるまであぶると切れ味が落ちるので注意してください。 分離したら親株を元の鉢に戻し、子株を新たな鉢に植えます。植えたら、すぐに水やりはせず、48時間程度置いてから水やりをします。その際、発根を促すために「メネデール」を規定量希釈してあげると、成長が促進されます。 植え替え Pix:Simol1407/Shutterstock.com 2〜3年に1回は土のリフレッシュのため、新しい用土に植え替えを行いましょう。土は観葉植物用の培養土で大丈夫です。オーガスタは根の発育がよいため、2〜3年すると鉢内が根でいっぱいになります。そのように鉢内が過密になると、酸欠と栄養不良に陥ってしまいます。このため、2〜3年に1回植え替えをし、その際に手揉みで古い根をふるい落とすことにより、根と土の両方をリフレッシュし、株をさらに成長させることができます。 病害虫 Pix:olpo/Shutterstock.com 室内の空気循環が悪いとカイガラムシが発生する場合があります。カイガラムシは樹液を吸って成長し、その結果植物を枯らしてしまう害虫です。活動期は発見しにくく、十分に養分を吸って死骸となった状態で発見されることが多いため、とても厄介。そうなると葉についた死骸を歯ブラシやピンセットで取り除く必要があります。しかし、これがまた取れにくいのです。しかし、取りにくいからといって放置してしまうと、他の病気を誘発する恐れがあります。厄介なカイガラムシがつかないよう、春先や晩秋に予防策を講じましょう。薬剤を使う方法としては、「クロチアニジン」という成分が入っている薬剤を株全体に散布します。当該成分が葉の内部に浸透し作用するため、予防効果は絶大です。【注意】薬剤の使用は屋内では行わず、ゴム手袋、マスクをして屋外で行ってください。カイガラムシは前述のように、空気循環が悪いと発生しやすい害虫です。薬剤散布に抵抗がある方は、サーキュレーターを使用して部屋の空気を循環させることで、カイガラムシの発生を防ぐことができます。 オザキフラワーパークのおすすめオーガスタ4選+1 「うちのオーガスタは良型が多いので、まずは見に来てください!」と、ガチでオーガスタ推しの後藤さん。 毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのオーガスタを4品と、オーガスタ以外のストレリチア1品を選んでいただきました。オーガスタは広めのリビングや店舗での見栄えがよいため、オザキフラワーパークでは大型で高価格の商品から飛ぶように売れていくそうです。※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。 大型タイプ 縦185cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)125cm価格13,000円(税込) 大型タイプは、高さが185cmほどで、管理場所の環境さえよければ(日照と風が理想的な状況)、どんどん伸びていきます。このぐらいの大きさの商品が一番売れゆきがいいですね。オーガスタらしいオーガスタ感を味わえる、まさにオーガスタ好きにおすすめのオーガスタです。何回でも連呼しますよ(笑)。それぐらいおすすめの株です。 中型タイプ 縦100cm 横65cm 価格6,800円(税込) 高さ1mの中型の株は、場所を選ばずに置けるのが魅力ですね。葉の大きさ、密度、色、すべての面において優秀な株で、大株に成長したときの姿が楽しみです。こちらの商品も、オーガスタらしさがギュっと詰まった、とてもよい株です。 小型タイプ 縦60cm 横50cm価格1,980円(税込) 高さ60cmの小型タイプは、室内でちょっとした棚や、陽当たりのよい玄関などに置くと、とても見栄えがしますよ。お値段も手頃で、このサイズだと合わせる鉢もたくさんあるので、鉢もコーディネートして買われるお客様が多いですね。 小型タイプ(手乗りサイズ) 縦40cm 横35cm 価格880円(税込) まさにミニチュアオーガスタといった趣のある、とても可愛らしい手乗りサイズです。とはいっても、ちゃんとオーガスタの“映え”を心得た、とても美しい姿をしています。1,000円でお釣りがくるという価格も魅力的で、一人暮らしの方や、これからオーガスタを始める方のマイ・ファースト・オーガスタとしても大人気です。 ストレリチア・レギネ 縦80cm 横40cm 価格2,980円(税込) オーガスタではありませんが、同じストレリチア属の親戚にあたるレギネもご紹介します。レギネはオーガスタに比べ、葉が若干シャープで、色はややシルバーがかったコーティングがあり、スタイリッシュな印象です。育て方は前述の基本どおりで大丈夫ですが、オーガスタよりは耐寒性が劣るため、冬場の夜間は室温が高くても冷気が滞留する窓辺からは離して管理したほうがよいです。 後藤さん’sスタイリング 縦185cm(鉢含む:以下同) 横 (最大広がり幅)125cm価格13,000円(税込)+鉢カバー 直径38cm 高さ38cm価格11,000円(税込)+受け皿 直径34.5cm 価格1,100円(税込)=合計価格25,100円(税込)樹形が格好いいオーガスタを活かすために、鉢カバーにはシンプルさを求め、色合いも温もりと落ち着きの中に洗練された主張が垣間見えるオレンジイエローのFRPという特殊プラスチック製のものをチョイスしました。今回は鉢カバーとして使用しましたが、鉢底穴があるため、そのまま鉢として植え込むこともできます。 Instagramで楽しもう! オーガスタとインテリア インテリアとの親和性も高く、お部屋のイメージを確実にワンランク上げてくれるオーガスタ。Instagramで#オーガスタと検索すると2.3万もの投稿が! 巷のプランツラバーたちがどのようにオーガスタを楽しんでいるのか、ちょっとのぞいてみましょう。これからご自宅に迎える方は、インテリアコーディネートの参考になるかも。 (写真左)ayamame_plantsさん邸のオーガスタは、このときお迎えしたばかりとのこと。おしゃれにディスプレイされたウンベラータやゴムの木などの先住プランツたちも、喜んで新しい家族を出迎えてくれているようですね!今はテーブルに乗る中型サイズのオーガスタですが、1〜2年もしたら、きっと圧倒的な存在感を誇るのでしょうね。とにかく、植物たちがみんな楽しそう!(写真右)tiare_homeさん邸のオーガスタはなかなかの株立ち。陶製とおぼしきスクエア鉢のソイルカラーがオーガスタのグリーンを絶妙に引き立てていますね。背後で存在感を放つバイクとのコラボレーションがこれまたオシャレですねぇ! ここでお酒飲みたいです(笑)。 (写真上)g_____k.a.rさん邸のオーガスタは、高い天井に向かって、これでもか! というくらいに伸びていますね。天井高にこれだけ余裕があると、まだまだ大きくなって、ゆくゆくは開花が期待できそう!大型のシーリングファンがお部屋の空気を撹拌してくれるので、オーガスタもさぞ居心地がよいでしょうね。伸びていく先の天井がウッドというのも、家主さんのこだわりを感じさせます。う〜ん、このうちの子になりたい(笑)。 編集後記 いかがでしたか、オーガスタ特集。昔ゴルフを嗜んでいた私的には、オーガスタというとゴルフトーナメントの聖地、米ジョージア州の「オーガスタ・ナショナルゴルフクラブ」が一番はじめに思い浮かびました。ゴルフコースのオーガスタはグリーンの難度が悶絶級なんですが(もちろん回ったことはない)、グリーンはグリーンでもインドアグリーンのオーガスタは誰でも気軽に育てることができて、しかもそのおしゃれな樹形は、タイガーウッズや石川遼をも虜にしたとかしないとか。私的には今回、オザキフラワーパークの後藤さんにオーガスタの魅力を解説していただいたことにより、ゴルフ場のオーガスタよりも、ストレリチア・オーガスタが「オーガスタ」の第一イメージになりました。読者の皆さんの心に、ストレリチア・オーガスタがホールインワンすると嬉しいです。
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世界バラ会議福山大会まであと2年! バラで盛り上がる福山市レポートなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
特集:「世界バラ会議福山大会まであと2年 バラで盛り上がる福山市」 今号の第1特集のテーマは、世界バラ会議福山大会。「第20回世界バラ会議福山大会2025」は、2025年5月18日〜24日まで、広島県福山市で開催されます。テーマは、「Roses for the Future〜福山からはじまる、新しい未来〜」、コンセプトは「みんなで創る みんなで盛り上げる みんなで輝く」。 福山市は日本のバラの魅力と、福山市のバラのまちづくりを世界に発信すべく、市全体で大会づくりに取り組んでいます。 福山市世界バラ会議推進プロジェクトマネージャー・上田善弘さんに本大会についてご紹介いただきました。 世界バラ会議とは 世界バラ会議は世界バラ会連合が、3年ごとに各地で開催する世界大会です。 世界バラ会連合には39カ国のバラ団体が加盟し、日本からは(公財)日本ばら会が加わっています。 世界大会の間の2年間には地域大会および国際ヘリテージローズ(遺産バラ、後世に残すべき貴重な遺伝資源としての古い品種や野生バラ)会議が開催されます。 これらの大会(会議)では、加盟国を中心として世界中のバラ愛好家が集まり、バラについての最新の知識の啓発と普及、バラの分類やコンテスト審査基準の標準化などについて議論し、愛好家の相互親睦、情報交換が行われます。そのために、講義、連合の各種委員会会議、現地視察および交流会が開催され、大会の前後にはバラ園視察を主とするツアーが企画されます。 日本では2006年に大阪市で初めて世界大会が開催され、日本を含め世界27カ国から約700名が集いました。それ以来、約20年ぶりの日本での開催になるのが福山大会です。 注目は、世界大会ごとに決定される栄誉の殿堂入りバラと、世界バラ会連合が認定する優秀庭園賞。2022年にオーストラリア・アデレードで開催された世界大会では、グラウンドカバータイプのバラ ‘フラワー・カーペット®️・ローズ・ピンク’が殿堂入りのバラに選ばれました。殿堂入りのバラは、世界中で愛され、バラの発展に貢献した品種が選ばれ、時のバラ品種の潮流を象徴するものとなります。 2022年オーストラリア・アデレードでの世界バラ大会の様子。 なぜ福山なのか 福山のバラの歴史を辿ると、戦後復興と深い関わりがあることが分かります。福山市は終戦間際の1945年8月8日の空襲により、街の約80%が焼け野原となりました。この荒廃した街の中心部に市民が約1,000本のバラを植栽したことから始まっています。現在、ここはバラ公園として市民に親しまれ、花の季節には美しい景色を展開しています。 その後、行政と市民が一体となってバラ植栽を進め、2016年には累計100万本のバラが配布・植栽され、「100万本のばらのまち福山」が実現します。この間、バラが市の花に制定され、市内に植栽されたバラを管理する地域リーダーの養成のため、福山ばら大学が開講されました(2010年に開講。2022年までに584名が修了)。 これらの長年にわたる活動と、バラが戦後復興のシンボルとなってきたこと、さらにはバラから育まれた利他の心(ローズマインド)などが世界バラ会連合に評価され、福山で世界大会が開催される運びとなりました。 連合旗の引き継ぎの様子。いよいよ福山市に世界バラ会議がやってきます。 「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025(福山ばら博覧会2025)」 福山市での大会期間中は、街をあげて市内全域を使ったばらの祭典「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025(福山ばら博覧会2025)」が開催されます。 福山市では、1968年から毎年5月第3週末の2日間、福山ばら祭が開催されてきました。コロナ禍で中断されましたが、再開された2023年のばら祭には41万人もの人々がバラを目当てに福山を訪れました。 「ローズ・エキスポ・フクヤマ2025」も福山ばら祭と同時開催になり、よりにぎやかな祭典となることでしょう。 約41万8千人が来場した2023年の福山ばら祭。 福山市の未来に向けたまちづくりや市民活動をご紹介 本特集ではそのほか、福山市の未来に向けたバラのまちづくりについて、福山市のまちづくりに深く関わる神戸国際大学教授/株式会社ARTFUSION代表取締役・白砂伸夫さんに、そして、「100万本のばらのまち」を支えるローズマインドを持った市民活動について、福山ばら会会長・石井稔さんにお話を伺っています。 福山市のバラや、バラを扱う生産者7社に聞いた各社イチオシの品種10種も必見。ぜひ、誌面をお手に取ってご覧ください。 リニューアルが予定されている福山のシンボル、ばら公園のエントランスの完成イメージ。 満開のばら公園。バラのアーチは撮影スポットとしても人気。 特集:「ドライガーデンから考える環境に適したガーデン」 「乾燥に強い植物」という限られた条件ながらも、美しいベス・チャトーガーデン。 特集「ドライガーデンから考える環境に適したガーデン」では、チェルシーフラワーショーでも金賞に輝き、イギリスにおいて関心が高まっているドライガーデンについて取り上げています。 干ばつ問題から火が付いたイギリスのドライガーデン まず、「ドライガーデンの本質を考える」をテーマに、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんにお話を伺いました。 ドライガーデンへの関心の高まりは、環境問題に起因しています。 イギリスでは90年代半ばから干ばつが問題になり、水道水の利用について制限が設けられています。そうした背景から、乾燥に強い植物で構成したガーデンの需要が高まり、ドライガーデンが注目されるようになりました。 2017年のチェルシーフラワーショーでは、マルタ島の乾燥した環境を模したモダンガーデン「The M&G Garden」がグランプリを受賞。今年は、砂漠を想起させるベージュ色のアイリスが印象的なドライガーデン「The Nurture Landscapes Garden」が金賞を受賞しました。 2017年のチェルシーフラワーショーでグランプリを受賞した「The M&G Garden」(デザイナーはJames Basson)。使われなくなった石灰岩の採石場を利用してつくられた庭園というイメージ。 2023年のチェルシーフラワーショーで金賞を受賞した「The Nurture Landscapes Garden」。乾燥した砂地にベージュ色のアイリスが馴染んでいる。(写真:白井達也) さらに現在は、水不足だけでなく、さまざまな自然災害に耐えうるガーデンに注目が集まり、ナチュラリスティックガーデンのブームにつながっています。 日本の気象災害というと、夏の猛暑と豪雨が代表的ですが、昨今は干ばつの心配もあります。例えば前述の「The M&G Garden」のような庭は、水が溜まりやすい構造をしているため、多湿の日本には向いていません。 そこで吉谷さんは、盛り土やレイズドベッドで水はけをよくするなど、日本で植物が生きていける環境をデザインに落とし込んだ庭を考案しています。東京パークガーデンアワードのモデルガーデン「クラウド」が、そのよい例といえます。 東京パークガーデンアワードのメンテナンスフレンドリーな宿根草メインのモデルガーデン「クラウド」。日本の厳しい夏の日差しに耐えられる植物として、アガパンサスを植えている。 ドライガーデンは、水不足の中でいかに庭を存続させるか、という環境問題から始まりましたが、その本質は「厳しい環境に適した植物で、いかに美しい庭をつくるか」という点にあるのかもしれません。 2社によるドライガーデンの事例をご紹介 そのほか、本特集では、日本庭園の世界観を取り入れた“NEO DRY GARDEN”を追求する「BOHEMIANS」(株式会社BOB/g.d.o)の菊地亮さんに、和風テイストにドライガーデンを加えた独自の外構・植栽の解説を、そして、ユッカロストラータやアガベを中心に、ドライガーデンに使われる植物を扱うRYU PLANTS NETWORK代表の桧野竜治さんに、日本のドライガーデンを楽しむために必要な要素について、お話を伺っています。 BOB/g.d.oが手がけた東京都武蔵野市吉祥寺の物件。 RYU PLANTS NETWORKの植物園のようなハウス内(埼玉県川口市)。 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』9月号では、特集「遊べる・学べる 都市の緑地」として6月に開幕した都市緑化仙台フェアから見るこれからの都市緑化の在り方、園芸店紹介として栃木県宇都宮市の「とちぎ園芸」、生産者紹介として愛知県春日井市の「H&Lプランテーション春日井農場」をご紹介しています。また、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます。ショップページはこちら↓↓https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/
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ガーデンセラピーを学ぶ! 「ガーデンストーリークラブ」オフ会レポート
ガーデンセラピーを実践する教室「花音の森」 写真/堀久恵 オフ会の会場は、埼玉県熊谷市にある「花音の森」。代表の堀久恵さんは、地元熊谷市の気温が年々高くなっていることを実感する中、エアコンの効いた場所や自然とかけ離れた空間に身を置く生活は自身の体に合わないのでは? と感じるようになりました。そして『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』という革新的なテーマを掲げ、ここ、「花音の森」を立ち上げました。ナチュラルな空間で快適に暮らすために、建物の設計や素材選びにこだわることに加え、庭の植物の選び方や配置によって、自然の持つ力を上手に利用しています。 ガーデンセラピーとは? ガーデンセラピーとは、園芸療法・食事療法・森林療法・芸術療法・芳香療法からなる自然療法の総称。さまざまな植物を暮らしの中に取り入れ、ストレスをケアして健康寿命を延ばそうという取り組みです。 例えば、庭でハーブを育てて収穫し(園芸療法)、食べて(食事療法)、使う(芳香療法)、といったように、植物を通してさまざまな療法を掛け合わせて実践できるのがガーデンセラピーの特徴です。 そんなガーデンセラピーをトータルで体験できる場所として作られた「花音の森」では、寄せ植え作りや庭の植物をインテリアとして楽しむ方法を学んだり、ハーブを使った料理や飲み物作り、精油を使った香りのアイテム作りなど、植物のある暮らしの楽しみ方を学習することができます。 自然の力を生かした住まい方 「花音の森」代表の堀久恵さん オフ会の前半は、「花音の森」の取り組みや、堀さんが実践するガーデンセラピーを取り入れたライフスタイルなどについての講義。「花音の森」ができたきっかけに始まり、エアコンに頼らない暮らしを実現するために実行した家づくりの仕組みについてお話しいただきました。 エアコンなどの機械をできるだけ使わず、太陽の熱・風・水・庭の植物といった自然エネルギーを最大限に活用・コントロールして、快適な住まいをつくる手法を「パッシブデザイン」と呼びます。家と庭のプランにこのパッシブデザインを取り入れ、四季のある日本の気候変化に対応できるよう建築士や造園技能士と相談を重ねて家づくりを進めました。 例えば、南向きの掃き出し窓の前はウッドデッキを広めに作り、周りにはコナラを中心とした植栽とパーゴラを設置してブドウを植えています。夏は葉が茂ってデッキ周りを覆い、室内に日差しが入ってくるのを防ぐ一方で、冬は落葉するため日差しが確保できる、という仕組み。 また窓については、夏は風がよく通り、冬は北風を入れないために大きさや位置、開閉の向きを工夫しています。そして、壁の素材には漆喰を採用。漆喰は、夏は湿気を吸い、冬には放出して、壁自体が湿度調節をしてくれるのです。 ※より詳しい「花音の森」の庭づくりや暮らしの様子については、下記の連載をご覧ください。「花音の森」レポ 五感を刺激する、植物のある暮らし 続いての話題は、ガーデンセラピーと密接に関係する「五感」について。人は5つの感覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を通じて外界の状態を認識します。五感でキャッチした情報は脳へ送られ、次に起こす行動や思考などが生まれており、五感と脳には深い関係があります。五感が刺激されることで脳が活性化し、豊かな感性や発想力が養われたり、心身の健康につながるのです。 ガーデンセラピーを暮らしの中で実践する堀さんの一日を、少しのぞいてみましょう。 6:00/起床。庭に出て植物に触れ、木々の中で新鮮な空気を吸い、朝日を浴びる。草花の手入れをしたり、ハーブを摘む。→森林療法・園芸療法・芳香療法【視覚・聴覚・嗅覚・触覚】 8:30/仕事スタート。精油で芳香浴をしたり、庭で摘んだローズマリーを傍らに置いて香りを漂わせ、集中力アップ。→芳香療法【嗅覚】 12:30/ウッドデッキで昼食。庭で摘んだハーブを使ったガパオライスと、フレッシュハーブティーをいただく。→森林療法・食事療法【視覚・聴覚・嗅覚・味覚】 14:00/息抜きの間食。パーゴラになるブドウの手入れをしつつ、食べごろの果実を摘んでおやつに。→園芸療法・食事療法【視覚・味覚・触覚】 17:00/仕事が一段落。部屋に飾るフラワーアレンジメントや、スワッグを作る。→芸術療法・園芸療法【視覚・触覚】 このように、暮らしに植物を取り入れるガーデンセラピーには、五感を刺激するアクションが多数含まれているのです。 「花音の森」の庭散策 講義の後は庭散策へ。庭づくりスタートから4年半が経った「花音の森」では、家屋を取り囲むコナラの木が成長し、夏場は家の壁面の大部分が隠れるほどに葉が繁っています。木々に覆われたことにより、たっぷりと日陰ができ、庭や室内を通る風が心地よく爽やかに感じられます。樹木には柿などの果樹も交じり、ベジトラグにはまんまると美味しそうなナスなど、あちこちに実りが。 一面に広がる青々とした芝は、ロボット芝刈り機がせっせと手入れをしていました。「雑草を抜かずに表面だけ刈って根を生かすことで、雨が降っても土が流れないようになっています」と堀さん。庭を見学しながら、会員さまからは手入れのテクニックについてアドバイスを求められたり、見慣れない木々を見つけて「あの木はなんですか?」と質問が飛ぶなど、皆さま興味津々の様子でした。 オフ会には、堀さんの愛犬ノアくんとリンちゃんも参加。2匹は庭に飛び出すと、芝の上をゴロゴロと転がったり、かけっこをしたりと、気持ちよさそうにのびのびと遊んでいました。その様子から、人間だけでなく犬にとっても庭が心地よい空間になっていることが伝わってきました。 ハーブを摘んでフレッシュハーブティーを楽しむ 庭散策の後は、庭で育つレモングラスを会員さま自らの手で収穫。レモングラスの葉は縁が鋭く、手を切らないように注意しながらハサミでカットします。レモングラスはその名のとおり、レモンのような柑橘の香りをもつイネ科の多年草。香りがよいので料理やお茶の材料として使われるほか、石鹸や化粧品の香料としても用いられています。 収穫を終えたら、いよいよフレッシュハーブティー作りです。先ほど摘んだレモングラスに、アップルミントとスペアミントを加えてブレンドティーに。ハーブティー自体は馴染みがあるものの、摘んだばかりのフレッシュハーブで淹れたハーブティーは非常に香り豊かで、「美味しい!」「うちでもやります!」とフレッシュハーブならではの新鮮な味わいに皆さま感動された様子でした。 写真左:倉重編集長/写真右:鶴岡副編集長 テーブルを囲んでのティータイムは、ガーデンストーリーの倉重編集長、鶴岡副編集長も交えて。ハーブを使用したパウンドケーキとクッキーをお供にハーブティーを楽しみながら、「うちの庭ではね…」とガーデニングトークで盛り上がり、皆さまの笑顔があふれる中、会はお開きとなりました。 オンラインコミュニティで、日々コメントなどを通して交流する会員さま。他県で暮らす庭友達と直接会ってコミュニケーションを取ることで、より一層親睦を深めることができました。そして、自然や植物の力を生かした住まい方やガーデンセラピーを取り入れたライフスタイルについて学び、それぞれの暮らしにどう活用できるかを考えるきっかけとなったのではないでしょうか。講師を務めていただいた堀さん、参加者の皆さま、ありがとうございました! オンラインコミュニティ「ガーデンストーリークラブ」とは? ガーデンストーリークラブは、 ガーデニングを通じて全国の花好き・ガーデニング好きな方々と交流を深めるオンラインコミュニティです。ご入会いただくと、下記のようなさまざまな機能や特典をお楽しみいただけます。 ・オンラインサロンへの参加(過去に開催された55本以上のサロン動画も会員専用サイトにて24時間視聴可能)・レッスン参加費の会員特別優待・毎月開催のプレゼント企画への参加・会員専用サイトの投稿機能で栽培レポートや情報交換による会員さま同士の交流・植物に関するお悩み相談へガーデンストーリーの執筆陣をはじめとする園芸のプロが回答・ガーデンストーリーウェブショップでの購入割引・スターターキットとしてオリジナルグッズのプレゼント・会員限定記事の配信(不定期)※オンラインサロンまたはレッスンは月1回以上開催 新規入会時には、「スターターキット」として、上写真のようなオリジナルバッグ、ミニブック0号、年間卓上カレンダー、クリアファイル、ポストカードをセットでお贈りします。また、ご入会中は毎月グリーティングカードを、5月はミニブックを、11月は卓上カレンダーをお贈りいたします。 「ガーデンストーリークラブ」の詳細・ご入会はこちら ガーデンストーリークラブへのご入会や、入会するとできること、会員さまの声、入会までの流れ、皆さまから寄せられるよくあるご質問などをご紹介しています。以下バナーをクリックしてご覧ください。ご入会お待ちしております! ※ご入会のお申し込み画面で、クーポンコード「gscfree30」をご入力いただくと1カ月分の会費が無料になります
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イベント・ニュース

話題の「植物用LED」6選、イベントレポートなど園芸・ガーデニング業界最新情報をお届け
特集:「LED新時代」 今号の特集のテーマは、「LED新時代」。植物用LEDはここ数年で飛躍的に進化してきました。生産の現場では生産効率を上げ、売り場では植物の見せ方の幅が広がり、消費者の手元では室内で育てられる植物が増えるなど、LEDの活躍の場は着実に広がっています。 本特集では、LEDが使われている2つの現場、生産者とホームセンターを訪れ、それぞれの視点からのLED活用による効果などを取材。さらに、植物LEDメーカー6社の商品、そして生産者7社に聞いた室内におすすめの植物をご紹介しています。 花の産地で使われるLED照明〜花匠〜 台湾やインドネシアの提携農場で育った苗を購入し、花芽を出すところから東近江市のハウスで育成。ハウスの天井にはずらりとLEDが並び、コチョウランの成長を助けている。 花匠(滋賀県東近江市)は、約1,000坪のハウスで年間10万株のコチョウランを生産しています。同社では、冬の日照不足を補うため、昨年から植物育成用のLED照明(以下LED)を導入しました。 花匠が取り入れたのは、花芽を出す効果のあるLED「NEXLIGHT TUBE(ネクスライトチューブ)」合計1,600本。メーカーの豊川温室では、生産者各々に合うLEDの使い方、レシピを作っており、花匠へのLED導入時にも光の測定器を使い、一棟一棟に合うLEDの使い方をサポート。 その結果、冬場もコチョウランの成長が遅れることなく、出荷ができたといいます。輪数の調整も可能になって、高品質な花を安定して生産できるようになりました。 施設環境維持を電気に頼っているため、停電が長引いた時などに太陽光発電や蓄電池など予備の電気を動かせるようにしなければならないという課題はあるものの、コチョウランの生産はLEDにより変わりつつあります。 この流れがさまざまな花の生産地に波及すれば、LEDによって新しい花の提案が生まれる時代が来るかもしれません。 観葉植物売り場に植物用LEDを設置〜コーナン吹田インター青葉丘店〜 LED付き什器。一番下に水のタンクがあり、底面給水の要領で水やりができる。タイマーでON/OFFを制御する。 コーナン吹田インター青葉丘店(大阪府吹田市)では、2019年6月のリニューアルを機に観葉植物売り場に植物用LEDを設置して4年。都市型店が多く、外売り場を広く取ることが難しい中で、店内にも植物売り場をつくる必要があったことからLEDを取り入れました。 当時は家庭向けの植物LEDはまだまだ普及していなかったため、導入したのは生産農家向けのLEDを応用した照明器具。観葉植物売り場約100坪に対し、LED付き棚型什器12台と、天井から下げるスポットライト型のLED16本を設置しました。 天井から下げているLEDは補光用で、ピンク色の光を照射します。店を閉めた夜中に点灯し、その短い時間だけで十分に植物の鮮度を保っています。特に奥まった場所にある、高さ3mにもなるウンベラータは、リニューアル時の4年前から順調に成長し、そろそろ植え替えが必要になるほど元気だといいます。 一方、LED付き棚型什器には、アジサイやマーガレット、ケイトウなど、外の売り場に並べられるような植物も陳列されています。底面給水で自動で水やりもでき、1段ごとに光と水やりの設定を変えられるため、1台でさまざまな植物に対応できるのもこの什器の長所です。 また、植物用LEDの太陽光に近い光は、植物を生き生きと見栄えよく演出するのにも効果的。こうした工夫の甲斐があってか、近年は若いファミリー層の来店も増えています。 植物の育成や補光はもちろん、観葉植物を魅力的に見せる展示にも使える植物用LED。売り場ごとの短所を補い、魅力に変える活用方法がまだまだ眠っているのではないでしょうか。 東京都八王子市にあるぐりーんうぉーく多摩店。LEDで補光している。 各メーカーの植物用LED 続いて、各メーカーイチオシの植物用LEDをご紹介します。 豊川温室『PLANTS NEXLIGHT』 PLANTS NEXLIGHTシリーズの「PAR30」。口金E26に対応しており、本体はブラックとホワイトの2色。消費電力は10.5Wで、光は白色。スポットライトのようにして植物に照射できる。 ミニサイズの「PAR16」。テーブルに置くミニ観葉植物に適したサイズ感。 蛍光灯型の「TUBE」。ハウス照射にもおすすめ。 施設園芸用ハウスの設計施工から始まった豊川温室が、農業用LED開発に着手したのは2006年。公共研究機関や地域の農家などと共同で研究・試験を繰り返し、確かな効果が証明できたこともあり、全国のJAや市場、コチョウラン、バラ、キク、カーネーションなどの有名生産地、さらには海外の花の生産現場でも取り入れられています。 生産の現場で使われている技術を家庭向けにカスタマイズして作られたのが、『PLANTS NEXLIGHT』。高島屋植物園と共同開発された商品です。スタンダードな電球型の「PAR30」と、テーブルに置けるミニサイズの「PAR16」、近接照射の蛍光灯タイプの「TUBE」などを展開しています。 BARREL『HADES PLANTSLIGHT』 3500K(暖色)と5000K(白色)の2種に、それぞれ本体カラーをブラック、ホワイトの2色展開。取り付けにはダクトレールが必要。 「AMATERAS」でおなじみのBARRELは、8月に新商品「HADES PLANTSLIGHT(以下HADES)」の発売を予定しています。 「AMATERAS」や「TSUKUYOMI」といった既存の製品は、消費電力20Wと家庭で使いやすい反面、その分植物に近づける必要がありました。 そこでHADESは消費電力を最大45Wに。天井にセットして、スポットライトのように植物を照らしても光が十分に届くようになりました。 HADESが本領を発揮するのは、広い空間。例えば、大型施設の壁面緑化や、商業施設に設置した観葉植物、園芸店などですが、さらには一般家庭でも、建築デザイン時に植物ありきでHADESを設計に組み込んでもらう、というのもBARRELはビジョンとして描いています。 CONTEST『vegepod kitchengarden』 インテリアとしても楽しめる高いデザイン性を持つ「vegepod kitchengarden」。室内の雰囲気に合わせて選べるホワイト、ブラックの2色展開。 「ベジポッドキッチンガーデン(以下ベジポッド)」は、オーストラリアのvegepod社の製品。LEDライトと底面灌水システムにより、室内で手軽にキッチンガーデンを楽しむことができます。パソコンの周辺機器を連想させるデザインは、食卓用テーブルに置いても違和感がなく、室内インテリアとしてもしっくりきます。 植物に応じてLEDの高さ調節が可能で、備え付けの水位計により給水のタイミングが目視で確認できるなど、手軽に栽培ができる工夫がなされています。 BRID『PLANTS LIGHT』 消費電力5Wの「PLANTS LIGHT40」(直径6.5cm、高さ9.5cm)と、消費電力9Wの「PLANTS LIGHT60」(直径7.5cm、高さ10.5cm)の2種類に、電球色と昼白色の各2パターンをラインアップ。 食品や繊維の原材料、インテリア商品販売など幅広いビジネスを展開するメルクロス株式会社のオリジナルブランド、BRIDが企画した植物用LEDが「PLANTS LIGHT」。シンプルな電球タイプで、好みの照明器具との組み合わせが可能。インテリア性を高めた一方、植物の生育にも効果を発揮するよう、共同企画した照明メーカーとともに、植物の光合成に必要とされる有効な光の色の強弱に合わせた色構成を実現しました。 横浜植木『LEDプラントマグネット棚バー』 長さ55cmのLEDプラントマグネット棚バー。植物工場や研究施設で使用されてきた植物育成用LEDの性能を再現。家庭でも使用しやすい白色LEDで植物をより鮮やかに演出する。 当初、暗くなりがちな園芸店の棚下の有効活用に対応する製品として開発された「LEDプラントマグネット棚バー」。昨今、多肉植物や観葉植物を楽しむ人が増えていることも背景にあり、ECサイトを中心に個人需要も順調に伸びています。開発でこだわったのは、太陽光と照明との色の差異を表す演色性。共同開発者のフューチャーライト株式会社と共に研究を重ね、屋内であっても自然光の下で見る植物本来の色と瑞々しさを再現し、同時に植物を育てる楽しさも体感できる現在のLEDチップの配色と配置を導き出しました。そのほか、マグネットによる取り付け方法や、最大60度の範囲で照射角度が調整できる機能、また、一つのコンセントで4本まで同時接続できる点など、使い勝手を十分に考慮した仕様になっています。 カクト・ロコ『多肉植物の小さな庭』 LED本体とスタンドの組み合わせによる使用例。光が分散せず植物を際立たせるのが特徴。 「多肉植物の小さな庭」を販売する株式会社カクト・ロコは、多肉植物やサボテンを扱う専門ナーサリー。多肉植物を知り尽くした同社のLEDライトは、曇天時の光量に設定されており、その波長は多肉植物以外の植物にも適しています。 製品はスタンドとLEDライトが取り付けられた天板の別売りで、設置環境に応じて選択ができます。天板に取り付けられたLEDライトは、バータイプのものを縦方向に10本配置。スタンドの高さは40cmの固定で、背丈が高い植物にも対応可能です。 LEDと合わせたい、室内におすすめの植物6選 特集最後には、生産者7社に聞いた植物用LEDを使いながら楽しみたい植物をご紹介しています。室内の半日陰でも育ちますが、LEDを使うとさらに元気に育ち、育てる楽しみをより実感できるでしょう。 フィカス・ウンベラータ 株式会社エコグリーンヒガシおすすめ セントポーリア オグリ/農事組合法人ロイヤルグリーンおすすめ フィカス・アルテシマ 有限会社田原迫ヤシ園おすすめ モンステラ・デリシオサ 有限会社三浦園芸おすすめ ベゴニア「流れ星」 花郷園おすすめ アデニウム・アラビカム 株式会社カクト・ロコおすすめ 業界の最新情報が盛りだくさんの『グリーン情報』 このほか、『グリーン情報』7月号では、園芸店紹介として愛知県名古屋市の「YOKONI PLANTS」、生産者紹介として千葉県東庄町の「飯田グリーン」をご紹介しています。また、エクステリアガーデンの現場で働く専門家によるハウツー・事例紹介、業界最新ニュース、学べるクイズコーナーなど、園芸・ガーデニング業界の幅広く深い情報が満載。ぜひお手にとってご覧ください。 『グリーン情報』のお求めはガーデンストーリーウェブショップへ 『グリーン情報』はガーデンストーリーウェブショップからご購入いただけます↓↓ショップページはこちら。https://www.gardenstory.shop/shopbrand/ct8/



















