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【サンセベリア(サンスベリア)】って観葉植物? 多肉植物? 空気をきれいに!? その謎めいた全貌に迫る!
サンセベリア(サンスベリア)は、かつて「空気清浄効果がある植物」ということで一世を風靡し、現在も観葉植物界ではその地位を不動のものとしています。しかし知られていないことが意外とたくさんあるんです。そこで、今回もお馴染みオザキフラワーパークにご協力いただき、サンセベリアの全貌を解明していきます。
目次
サンセベリアの主な特徴とは
園芸関係者に「おすすめの観葉植物はなんですか?」とたずねると、絶対に選ばれるであろうサンセベリア。
園芸店では基本的に観葉植物として扱われますが、水分を溜め込んだ肉厚の葉を持つことから、多肉植物という顔も持ち合わせているため、その傾向がより顕著な品種は多肉植物として扱われることもあるという、ちょっと変わった植物なんです。
園芸向けの品種改良も盛んで、現在確認できるだけでも80種類はあるといわれています。
その中でもアイコン的存在になっているのが「ローレンチー」という品種。
縞模様のついた剣のような形の葉が束になっている姿は、誰もが少なからず目にしたことがあるのではないかと思います。
ほかにも、まるでヒトデのような形をした「ボンセレンシス」や、多肉植物のアガベに酷似した「シルバーブルー」など、個性あふれる品種が多いので、ついコレクションしてみたくなってしまうのも魅力の一つです。
手頃な価格から高額なものまで種類も豊富で、観葉植物初心者でも育てやすく、さらに中上級者には開花や繁殖で楽しむことができるため、幅広い層にとても人気です。
今回は、そんなサンセベリアをとことん紹介していきます。
サンセベリアの基本情報
- 学名:Dracaena trifasciata(ドラセナ・トリファスキアータ) , syn.Sansevieria trifasciata(異名.サンセベリア・トリファスキアータ)
- 科属:キジカクシ科 ドラセナ属
- 和名:サンセベリア、サンスベリア、虎の尾蘭、厚葉千歳蘭
- 原産地:西アフリカのナイジェリアやコンゴ東部など。
- 大きさ:野生種は2mを超えるが、園芸品種は20〜100cmが一般的。
- 外見的特徴: 茎を地上に出さない地下茎のため、地表から肉厚の葉が立ち上がり、交互に生えていく。葉の色は、大部分を占める濃い緑と、縁を彩る黄色(あるいはクリーム色)のコントラストが鮮烈で、野生味のある縞模様(あるいは斑模様)を有している。
葉と花
【葉】
葉の色や形は品種によって異なります。
原種に最も近似しているのがローレンチーです。葉は上に伸びる剣のような形をし、色は縞模様のある濃い緑で、その周囲を黄色(あるいはクリーム色)で縁取られています。
ローレンチーと同様の色彩ながら、反った葉が上下左右と多方向に成長していくツイスター。
ほかにも、葉が棒状に変化し、ヒトデにも見えるボンセレンシスなど、どの品種もそれぞれ個性的な色と形を持っています。
【花】
サンセベリアの開花時期は春から初夏にかけてです。
その姿は独特で、葉の根本付近から伸びた花茎(かけい)の先の1房1房に、まるで線香花火のような小さな花を無数に咲かせ、同時に甘い芳香を漂わせます。
色は白系が多く、個性が強めな葉とは対照的に、可憐な存在感を放ちます。
しかし野生種とは異なり、観葉植物として育てる園芸品種となると、数年に一度咲くかも・・・というレベルまで開花率は低くなります。
さらに、どの種類も夕刻以降に咲き、翌朝にはしぼんでしまうため一夜限りの特別な開花ショーとなります。
開花率が低い理由は、日本で販売しているサンセベリアの多くは、タイをはじめとした東南アジア諸国の育苗業者が繁殖しているものを輸入しているためです。
気候の異なる場所での栽培は、おのずと開花率も低くなります。
というと、花好きな方は落胆するかもしれませんが、ご安心を。園芸品種にも花を咲かせやすい品種がいくつかあります。
驚くことなかれ、一番目にする機会の多いローレンチー(写真上)もその一つなのです。
しかし、開花を見るためにはいくつかの条件を満たす必要があり、そのためには栽培に慣れていく必要があります。
サンセベリアを専門的に育てているyokoyoko7000さん(写真下)も、写真のタイからの輸入株の開花までには2年を費やしたのだとか。
このため、初心者の方が花を見たい場合は、店頭で開花した(しそうな)株を購入するのをおすすめします。
でも、自ら労して咲かせた花は格別ですので、チャレンジしてみたい方は後述の「開花確率を上げるコツ」を参考にしてみてください。
サンセベリアの名の由来と海外での呼び名
サンセベリアは、現在は詳細な研究に基づいてドラセナ属の植物「Dracaena trifasciata(ドラセナ トリファスキアータ=3つ首の雌ドラゴン)」とされていますが、ここに落ち着くまでは歴史的な紆余曲折がありました。
サンセベリアはまだその名がなかった 18 世紀後半頃に、まずはナポリの植物学者ペターニャによって、彼のパトロン(後援者)のイタリア貴族サンスベリーノ伯爵に因んで「サンセべリニア属」と命名されました。
しかし後年になってスウェーデンの植物学者トゥンベリによって、ペターニャのそれとは別の、これまたイタリア貴族サンセベーロ公爵に因んで「サンセベリア属」と命名されました。
この結果、当然ながらどっちの命名が正しい? という混乱と論争が学術界隈から巻き起こりましたが、最終的に後から命名したトゥンベリが勝ち、「サンセベリア属」が国際的に認められました。
トゥンベリの勝因は、彼が植物分類学の父とも評される生物学者カール・フォン・リンネの愛弟子であったからではないかといわれていますが、結局は科学の力によって後年にドラセナ属となってしまったのは皮肉な話ですよね。
しかし、トゥンベリが命名した旧属名サンセベリアは、日本※やヨーロッパにおける現在の通り名となっているのですから、その名誉は生き続けているということです。
※日本ではサンスベリアと呼ぶことも多い。
しかし英語圏ではサンセベリアのことをSnake plantと呼ぶのが一般的で、これは葉が蛇のような模様をしていることに由来しています。
日本でも昔、葉の縞模様が虎の尻尾に見えることから、虎の尾蘭と呼ばれたことも。
このように、名前の付き方にも、それぞれの国や文化的側面が垣間見えて面白いですよね。
日本では他にも、葉が肉厚で寿命も長いことにあやかり、厚葉千歳蘭という通り名も付いています。
もちろん蘭の仲間ではないのですが、葉が蘭に似ていることや、サンセベリアが日本に持ち込まれた明治時代は、舶来物の高価な植物のことを当時の高級植物「蘭」に例えて「○○蘭」と呼ぶ風潮があったことが、蘭の名が付いた由来とされています。
サンセベリアの花言葉
サンセベリアにはいくつかの花言葉があります。
日本では「永久」や「不滅」という花言葉があり、これは前述の通りかつて名づけられた「厚葉千歳蘭」の“千歳”長い年月を意味することに由来します。
欧米には「Poison and Beauty(毒と美)」=美しさには毒が伴う、という意味を持つ花言葉があります。
これは、サンセベリアが美しい花を持ちながらも、その葉には有毒な成分が含まれていることに由来しています。
サンセベリアの育て方
置き場所と日常のお手入れ
【置き場所】
最適な置き場所は、レースのカーテンやブラインド越しの柔らかい光が当たる風通しのよい場所です。
サンセベリアは基本的に明るい場所が好きですが、直射日光には弱いので、レースのカーテンやブラインドがない場合は窓から離れた明るく風通しのよい場所に置いてあげましょう。
ただし、エアコンの風が直に当たる場所は絶対に避けてください。
不自然に温度調整されたエアコンの風を長時間受け続けると、サンセベリアは代謝不良を起こし高率で枯れてしまいます。
風通しのよさはサンセベリアを健康に育てるうえで重要な要素ですが、日中窓を開けられないなどの場合、サーキュレーターを使用し部屋の空気を循環させると成長が促進されます。
[サーキュレーターについての詳細はこちらの記事で解説しています。]
【日常のお手入れ】
サンセベリアは葉の面積が大きいので、ホコリが溜まりやすいです。
ホコリが溜まりすぎると葉の代謝に影響を与えるため、定期的に少し湿らせた柔らか布などで拭き取ってあげましょう。
夏の温度管理、冬の温度管理
夏場の適温は20~25℃です。基本的にタフなので、不在中に室温が35℃くらいに上がっても大丈夫ですが、お盆期間の旅行などで長期不在にする際は、暑い窓辺から離れたところに移動させておいた方がよいでしょう。
冬場は15℃以上を保ってください。耐寒性が弱いほうではないですが、10℃を切ると休眠スイッチが入り、まったく水を吸わなくなるため、無難に冬を越すためには最低でも15℃はキープするようにしてください。
水やり
成長期の水やり
春から秋の成長期は、用土表面が完全に乾いたら鉢底穴から溢れるくらいたっぷりと水を与えます。
鉢内が蒸れないよう、夕刻以降に与えてください。
成長期の根は蒸れを嫌うため、多湿となる梅雨時は用土の乾き具合に注意してください。
秋〜冬の水やり
晩秋〜冬季は根の吸水力も落ちるため、土が完全に乾いてからさらに2〜3日経ってから、成長期同様にたっぷりと与えてください。
冬は陽が上って空気が温まるお昼前後に与えるのが望ましいですが、日没後に与える場合は室温が15℃以下にならないように注意してください。
サンセベリアはドライな環境を好む多肉植物という顔も持ち合わせているため、水やりは土の乾き具合を季節ごとに見極めることが大切です。慣れればなんてことはないのですが、初心者の方は土の中の乾き具合が見極めにくいと思うので、心配な場合は市販の水分計を使うのもよいでしょう。
【注意!】
水やりをする時は、ロゼット状の中心(葉が左右に分かれたところのスポット部分)に水が溜まらないようにしてください。ここに水が溜まった状態が続くと葉が傷み、成長不良を起こす原因になります。
肥料/活力剤等
成長期の施肥
4〜10月の成長期に、用土表面に置くタイプの観葉植物用錠剤肥料を与えます。
与える際は幹付近ではなく、鉢の縁付近に置いてください。
液体肥料の場合は、定量を月1回与えましょう。
置き肥、液肥ともに、根のコンディションを保ちながら最適な効果を得るため、必ず指定された用量を守りましょう。
冬季の施肥
11月以降翌春までは肥料は不要です。根の活動が緩慢になるこの期間に施肥を行うと、根を傷めてしまうためです。
植え替えと用土
サンセベリアは茎を地下に伸ばす地下茎が特徴。
地下茎を持つ植物は根の成長がとても早いため、定期的な植え替えを行わないと土の中が根で過密状態になり、栄養吸収率が低下します。
このため、購入後は2〜3年に1度のペースで新しい土への植え替えを行ってください。
適期は春~秋です。
土は普通の観葉植物用の培養土でOKです。
このほか「サンセベリア専用土」というものもありますが、質的にも量的にもほかの培養土に比べると比較的高価になる傾向があります。
専用土は排水性を重視した調合をしてありますが、観葉植物用の培養土も十分な排水力保肥力があるので、必ずしもサンセベリア専用土である必要はありません。
花用の培養土も使えますが、その場合は排水性を高めるために土壌改良資材であるピートモス、パーライト、ココヤシを5:3:2の割合で混ぜ込んでください。
植え替えるときは、根をほぐして古い土と古くなった根を十分に落として根を整理してから、1回り大きな鉢に植え替えます。
鉢が大きすぎると水切れが悪くなり根腐れを起こす可能性があるので、1回り大きいを厳守してください。
挿し木
サンセベリアは、カットした葉をさらにカットして(写真上)土に挿しておくと(写真下)自然に根を出すため、挿し木により増やすことができます。
ただし、カットする時は内側の葉は新葉のためカットしないでください。また挿し木を取るのは外側の葉で行ってください。
傷んだ葉を切り取って、健康な葉の一部分を土や水に挿しておいただけでも発根します。
挿す際は上下の向きを逆にしないよう注意してください。
サンセベリアの葉の繊維は、かつてアフリカの部族が狩猟用の弓の弦に使用していたほど強靭なので、切る時には若干の力を要します。
また、葉の先端は硬く鋭いため、刺さると痛いです。
このため、扱いには十分なご注意を。
開花確率を上げるコツ
サンセベリアは、下記の条件さえ合えば開花する確率が高くなります。
全ての条件を満たすのが望ましいです。
【冬も咲くかも!?】
サンセベリアは基本的に春から初夏にかけて花を咲かせますが、室温を管理しながら上記を実践すれば、冬に花が咲くこともあります。
【花後は早めにカット!】
花が萎えたら、速やかに花茎を根元からカットするのを忘れないでください。
残しておくと花茎はどんどん養分を吸い上げて、株本体の生育を鈍化させるからです。
サンセベリアでよくあるトラブルと対処法
病害虫
サンセベリアは病害虫にも比較的強い観葉植物ですが、多湿の状態で空気が止まっていると、湿気を好むカイガラムシが付く可能性があります。
カイガラムシは死後に死骸や糞という形で発見されることが多く、これらは薬剤による駆除ができないため、地道に手作業で除去しなければなりません。
広範囲に及ぶ場合は付着した場所を切除してしまっても大丈夫ですが、当然ながら見栄えが悪くなってしまうので、根元から切ってしまうのも手です。
冬は乾燥を好むハダニ(写真上)が発生することも。
ハダニは定期的な葉水を行うことで防ぐことができます。
もし発生した場合は少数であれば濡れた布で拭き取ることができますが、大量発生した場合は薬剤を散布して駆除してください。
室内で薬剤散布を行うのは危険なので、必ず屋外でマスクをして行ってください。
葉の末端が変色している。
葉の先端が変色している場合は、その部分を切り取って形を整えることで元通りになるので、処置後は経過観察をしてください。
それでも同様の症状が発生した場合、それは根にトラブルが生じたサインである可能性があります。
この場合は一度鉢から根を上げて、その状態を確認しましょう。
もし根が黒く変色していたり、簡単にちぎれ落ちる場合は、根腐れを起こしている可能性があります。
根腐れしている根を放置すると、腐敗が拡大するおそれがあるため、傷んだ根を消毒したハサミで全て切り落とし、そのまま2〜3日置いて根を乾燥させてから新しい土に植え替えます。以降は経過観察をしてください。
葉がシワシワになる
葉がシワシワになる原因は以下の3つが考えられます。
原因①水不足、または日照不足
解決法
前述の正しい管理場所、水やり方法を行うことによって、葉は活力を取り戻すことができます。
最初の水やりの際に活力剤「メネデール」を規定量の半分程度、薄く混ぜてあげるとよいでしょう。
原因②エアコンの風による影響
解決法
管理場所を見直してください。
エアコンの風の影響を受けない場所に移し、霧吹きで葉水を与えてあげれば、葉は元に戻ります。
原因③寒さ
解決法
管理場所を見直してください。
冬は室温が10℃を下回るとそれがスイッチとなって、株は休眠に入るか、コンディションが悪い場合はそのまま枯れてしまう可能性があります。もし室温が原因なら、15℃以上ある環境に切り替えてください。
それでも戻らない場合は、株が休眠に入ってしまった可能性があるので、この場合は春まで一切水をやらずに、週一回霧吹きで用土表面を湿らす程度にとどめておいてください。
ペットのいるご家庭
サンセベリアの葉には、コーヒーの苦味成分でも知られているサポニンという物質が含まれており、サポニンは犬や猫に対して有毒です。
口にすると嘔吐や下痢など、特に胃腸症状を引き起こす場合があるため、万一ペットがサンセベリアの葉を口にした場合は、速やかに獣医師に相談することをおすすめします。
【参照】
アメリカ動物虐待防止協会ANIMAL POISON CONTROL/Toxic and Non-Toxic Plants List (ペットに対する有毒無毒リスト)
ASPCA/Toxic and Non-Toxic Plants List
オザキフラワーパークのおすすめサンセベリア9選
毎回さまざまなおすすめ観葉植物をチョイスしていただいている後藤さんに、今回はおすすめのサンセベリア9品を選んでいただきました。
【オザキフラワーパークのサンセベリア売り場風景】
※下記の商品をお求めの際は、事前に店頭在庫をご確認ください。
ローレンチー
定番のローレンチーです。ローレンティーともいいます。
縞模様は当然ながら同じ模様は一つとしてなく、ものによっては濃かったり、幅が狭かったりとさまざま。
黄色の縁取りも、黄色が薄くクリーム色だったりする場合もあるのですが、オザキフラワーパークが取り扱っているローレンチーはとてもバランスが取れたものばかりです。
価格の面でみても、マイ・ファースト・サンセベリアには特におすすめです!
ゼラニカ
ローレンチーにある黄色い縁取りが取れて緑の縞模様だけになったゼラニカ。
スリランカが主な原産地で、その名は原産地のスリランカが17世紀のオランダ統治時代にゼイランと呼ばれていたことに由来します。
生産量も決して多くはないので、当店のような大型店でなければ直接見る機会の少ない品種だと思います。
耐陰、耐乾燥、ともにローレンチーより強く、ローレンチーにはない大人びた雰囲気があるので、お部屋をシックに決めたい方にはおすすめです。
ゼラニカ(特大タイプ)
前出のゼラニカの大株になります。
写真だと対象物がないので分かりにくいですが、NBAプレイヤーの八村塁選手でさえ203cmなので、210cmはかなりデカいですよ!
その分、存在感はハンパないです。
モトムケニア(ムトモケニア)
極肉厚の葉が扇状に広がりながら成長する姿が美しいモトムケニア。
原産地がケニア共和国のムトモという場所なので、正式にはムトモケニア(Mutomokenya)なのですが、どういう経緯かは不明ながらも日本ではモトムケニアで流通しています(海外ではSansevieria mutomoで流通)。
はっきり言って、流通量もかなり少ないレア品種です。
ほかのサンセベリアに比べて成長がかなり遅いので、ゆっくりとお付き合いいただける方、お待ちしています。
シルバーブルー
見た方の多くが「え、アガベじゃあないの?」と驚かれるシルバーブルー。
正式な名前は、サンセベリア・キルキ‘シルバーブルー’といいます。
原産地はタンザニアで、種名のキルキは、この標本をキューガーデン(英王立植物園)に持ち帰った19世紀英国の探検家ジョン・カーク卿(Sir.John Kirk)に敬意を表して付けられたといわれています。
ロゼッタ状に開く極肉厚の葉は、形といい模様といい、どこか愛嬌を感じさせます。
成長は遅いですが、こちらも超希少種のため売り切れ必至です!
ツイスター
ツイスターは、“鳥の巣サンセベリア”との異名を持つ、小型種「サンセベリア・ハーニー(Sansevieria Hahnii)」の変種です。
色彩はローレンチーに似ていますね。
元の品種サンセベリア・ハーニーは、1939年に米ニューオーリンズのクレセント・ナーサリー・カンパニーというサンセベリア専門の種苗会社で発見され、1941年にペンシルバニアの園芸家ハーンさん(Sylvan F.Hahn)により、その名をとって小種名をハーニーと命名されました。
それが後年、日本に持ち込まれて品種改良され、ツイスターになったようです(詳細は不明)。
このため米国では“Japanese Twister”と呼ばれ、人気品種になっています。
テーブルサイズで楽しめるのが魅力です。
マッソニアナ
鯨のヒレにも見えることから、海外では“ホエール・フィン”と呼ばれるマッソニアナ。
コンゴ民主共和国が原産で、もともとはメイソン・コンゴという品種名でしたが、2000年に園芸家のファン・チャヒニアンによって園芸業界に披露され、彼の名を小種名に添えた「サンセベリア・マッソニアナ‘チャヒン’」が正式な名となります。
写真の商品は全長が32cmほどの大きさですが、とにかく葉が大きくなります!
葉の幅が一般的なサンセベリアよりも広いので、大きくなった時の存在感はなかなかのものですよ!
こちらも滅多に出回らないので、気になった方はお早めにお問い合わせください。
マッソニアナ(斑入りタイプ)
前出のマッソニアナに斑模様が入ったタイプで、かなりの珍種です。
反り返り方が、荒川静香さんが銀盤で披露したイナバウアーのようなので、これを撮影したカメラマンが“イナバウアー”と呼んでいました(笑)。
今はたった1枚の葉ですが、成長とともに増えていきます。
見ていて飽きず、所有感も高く、コレクションアイテムとしては最高の逸品だと思います。
ボンセレンシス(後藤さん’sスタイリング)
ボンセレンシスは、原種のサンセベリアとアンゴラ原産のシリンドリカという品種を交配して作出されたもので、正式な名前はサンセベリア・シリンドリカ‘ボンセル’といいます。海外ではその見た目がヒトデに似ていることから、英語でヒトデを意味する「スターフィッシュ」や「スターフィッシュ・サンセベリア」と呼ばれています。
個人的にもお気に入りのこの品種を、月面のクレーターのような模様が可愛らしい陶製ポットと合わせてみました。
鉢は主張せずおとなし過ぎずのカラーで、ボンセレンシスをいい感じに引き立てています。
はっきり言って、お買い得価格です!
Instagramで楽しもう! サンセベリアとインテリア
インテリアとの親和性も高く、お部屋のイメージを確実にワンランク上げてくれるサンセベリア。
Instagramで#サンセベリアと検索すると4.2万もの投稿があり、これが#sansevieriaとなると、60万件以上に爆増! #sankeplantでも40万件以上あり、いかに世界中でサンセベリアが親しまれているかがうかがえます。
では、巷のプランツラバーたちがどのようにサンセベリアを楽しんでいるのか、ちょっとのぞいてみましょう。
これからご自宅に迎える方は、インテリアコーディネートの参考になるかもです。
当シリーズでお馴染みのayamame_plantsさん邸のサンセベリアは、ご主人がご購入されたというボンセレンシス。
ご主人、なかなかよい趣味をしておられます!
コメントによると、この鉢に入れたことにより“具合悪そうなパイナポーみたいになった”とのことですが、なかなかどうして、色彩的にも質感的にもベストマッチングだと思いますよ!
Kyabetsunosengiriさん邸のサンセベリアはバラエティー豊かですねぇ。
写真右のローレンチーは絶賛発根管理中とのことで、無事に発根したらさらに仲間が増えそうですね。
明るくモダンな雰囲気のお部屋の中で繰り広げられる観葉植物ワールドを、天井の梁が暖かく見守っているようです。なんかこう、やさしい木の息遣いを感じる素敵なお部屋ですね!
最後は情熱の国スペインからmycasajardimことAnaさん。
このサンセベリアの階段技は、一目見て真似したいと思う方も多いのではないでしょうか?
並行して置かれたアンティークランタンに夜になって火が灯ると、サンセベリアはまた違う表情を魅せるのでしょうね。
Anaさんはなかなかの多肉植物愛好家で、この写真は室内ですが、実は、庭には驚きの多肉ワールドが広がっています。一見して日本とは違う空気を感じさせてくれるAnaさんの他の投稿も、一見の価値アリです!
AnaさんGracias!
サンセベリアは空気浄化植物!?
1989年、宇宙ステーションなどの密閉された空間での空気浄化方法を研究するNASAのプロジェクト「NASA Clean Air Study」が、サンセベリアに空気浄化作用があると発表したことにより、サンセベリアは一躍脚光を浴びました。
これは、サンセベリアの葉が行うCAM型光合成(多肉植物などに見られる光合成方法)が、ホルムアルデヒドなどの環境汚染物質を除去する性質があるためとされています。
しかしその範囲はあくまでも実験室の密閉された空間の中での話で、実質的な効果を得るとなると12平米(8畳)の空気浄化効果を得るためにはそこそこの大きさのサンセベリア40鉢が必要となります。
また、サンセベリアが出すマイナスイオンが心身によいという話もありますが、そこに関しては一部の研究でサンセベリアを含む観葉植物が生物学的に極微量のイオンを放出することが示唆されただけで、それが人間に対してどのような効果を及ぼすかは科学的に立証されたものではありません。
つまりは、空気浄化作用や、マイナスイオンに関しては、サンセベリアにまつわる“こぼれ話”ということで受け止めたほうがよいかもしれませんね。
[NASAが1989年に発表した当該実験の最終論文]
[英BBCのコラム]
編集後記
サンセベリアの大特集、いかがでしたか?
初心者の方にはサンセベリアに興味を持っていただけたら嬉しいですし、中上級者の方には新しいサンセベリアの魅力が発見できる一助となれば幸いです。
たまにランチをしに行く編集部の近所の中華料理店(マジ美味い!)にも、店内に降りていく階段に数鉢のローレンチーが飾られており、行くたびに「店長さん、サンセベリアが好きなのかな?」と思っていましたが、まさかそれについての記事をここまで深掘りして書くことになるとは思わなかったです。
それにしても、いろんな種類があって驚きました。個人的に気に入ったのはシルバーブルーかな。
次の取材で訪店した時にまだ在庫があったら、ガチで買ってこようと思います。
さて観葉植物基礎講座、次回はどんな観葉植物に出会えるのか乞うご期待です!
記事協力
『オザキフラワーパーク』
1961年に東京は練馬区石神井で創業以来61年、人気の観葉植物からニッチな珍奇植物まで、全国屈指を誇るその品揃えは「買える植物園」としての異名を持つ。植物や園芸グッズの豊富さもさることながら、アクアリウムや爬虫類の生体販売も行っているため、近隣はもちろん、全国各地からお客様が途絶えることなく来店する話題の超大型園芸店。編集部スタッフもプライベートで足繁く通う。
東京都練馬区石神井台4-6-32
TEL : 03-3929-0544
URL https://ozaki-flowerpark.co.jp
営業時間:9:00~19:00
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / ガーデンストーリー編集部
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