園芸のプロも激推し、【レモンの木】と【オージープランツ】を育ててみよう!
果樹や花木を育ててみたいとは思いませんか? 樹木の花や姿には小さな草花にはないダイナミックな魅力があり、果樹は上手に育てれば実が収穫できるというご褒美も!
毎回、園芸のさまざまなことを街の園芸店に教えてもらうこのシリーズ、第9弾の今回は、お馴染み関さんに、おすすめの果樹・花木について伺いました!
目次
成長の喜びを味わえる果樹と花木
小さな草花も綺麗ですが、空に向かってグングン伸びる果樹や花木を楽しんでみませんか?
買ったときは膝丈くらいだったものが、どんどん成長して自分の背丈に並ぶほどになったときの嬉しさは、子どもの成長を喜ぶ気持ちにも似ています。
まして花や果実という恵みまで与えてくれたら、こんなに嬉しいことはないですよね! そこで今回、園芸のプロに、おすすめの果樹と花木を教えていただきました。
今回も答えてくれる街の園芸店「フラワーガーデン・セキ」(目黒区祐天寺)
このシリーズでお馴染み『フラワーガーデン・セキ』の関さん。東京は目黒区祐天寺に古くからお店を構え、近隣住民から愛される地域に根ざした園芸ショップです。2代目の関ヨシカズさんは、あらゆる植物の管理に精通した園芸のエキスパート。お店には日々、園芸に関するアドバイスを求めて、大変多くのお客様が来店されます。
おすすめ①「レモン」
どんな果樹・花木なのですか?
常緑の中低木で、皆さんご存じの、あのスッパさ100%の実がなります。
あんなにもスッパいのに、ミカン科ミカン属という、じつは甘い果物の仲間なんです。
レモンといえばシチリアレモンが有名なため、イタリアが原産と思っている方も多いですが、じつは極東アジア、特にヒマラヤあたりが原産ではないかともいわれています。つまり、正確なことは分かっていないんです。
果実にはビタミンCやクエン酸がたっぷり含まれていて、私たちの健康的な食生活にも役に立ってくれています。
果実ばかりにフォーカスされがちですが、レモンの木は花も香るし、木を育てるという園芸的な意味でも人気が高いんですよ。
おすすめの理由を教えてください。
実が収穫できて、育てやすいというのが一番の理由です。
実を収穫して酎ハイに果汁を絞ってよし、炭酸水に入れてレモンスカッシュにするもよし、揚げ物とかに絞り汁をかければオイリーな感じが中和されてサッパリと食べられてよしと、1鉢あればご家庭で重宝する果物ではないかと思います。
ちなみに僕は、揚げ物にはレモンをかけずにソースをかける派ですね。レモンといえば用途は酒に限られます。
四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか?
春先から5月くらいにかけて花が咲き、その後結実して盛夏から初秋にかけて緑色の実がなって、10月くらいに黄色く熟す、という感じですね。
色味としては、葉や熟す前の実の緑、花の白、熟した実の黄色といった、決して派手ではないですが、レモンのイメージ通りの爽やかな色彩を楽しませてくれます。
果樹初心者でも育てることは可能ですか?
とても育てやすく病気にも強いため、初心者でも簡単に結実させて、収穫を楽しむことができます。
しかし、高い確率で、というか、これはもうレモンの木の宿命とでもいいましょうか、初夏にアゲハチョウの幼虫が必ずつき、葉を食べ尽くします! なので、虫と戦う勇気が求められます。
あまりにもアゲハの幼虫が付くため、レモン目的ではなく、アゲハチョウを羽化させることが目的でレモンの木を買われる方もたくさんいるんです。アゲハチョウは美しいですからね。
実際うちにレモンの木を買いに来るお客様の中にも、それ目的の方が多くおられます。
びっくりでしょ? 実の収穫よりも、葉を食べさせるほうが大切だなんて。当然葉を食べ尽くされたレモンの木は樹勢が弱まり、結実どころか開花もしませんよ。まぁ、蝶が超好きな方には必需の“エサ”なのでしょうね。
でも園芸に携わる身としては、葉を食わせるだけ食わせたら捨てちゃうんだろうな、ということを考えると、ちょっとやるせない気持ちになりますけどね。
育て方のコツを教えてください。
ちょうどアゲハの幼虫の話になったので、まず害虫対策から説明しますが、アゲハの幼虫は黄緑色のデカいイモ虫で、ムシャムシャと貪りつくすように葉を食べているため、すぐに見つけられます。
見つけた時点でつまんで捨てればよいだけですが、なにぶんデカいので、こういうのが不得手な方は、割り箸を使えば簡単に駆除できます。
そうは言っても気持ち悪い、という方には薬剤散布による駆除という手もありますが、後々実を収穫して口にするため、そこは判断が分かれるところです。
結実に関しては、受粉作業などをしなくても勝手に受粉して結実してくれるので、とてもラクです。
ただ、実の数は木の大きさに比例するので、テーブルサイズのものだと1〜2個つけばGood Jobな感じです。
水やりですが、夏も冬も水切れで乾燥しないように、土の表層が乾いたらたっぷりと、という感じで行ってください。乾燥しきってしまうと実付きに影響してくるので要注意です。
肥料は置き肥を2カ月に1度くらいを目安に、定期的にあげるとよいです。
何かまつわるエピソードがあれば教えてください。
レモンに限らず、柑橘系は焼酎との相性が抜群なので、僕はいろんな柑橘系をサワーで試して楽しんでいます。
例えばキンカンなんかも、完熟してオレンジ色になるまで待ってから収穫し、それを半分に割って3〜4個をサワーで割った焼酎に入れると、それはもう美味至極ですね。
すだちサワーも美味いですよ。
すだちは青いうちに収穫し、その酸味を料理で楽しむものですが、収穫せずに放置するとだんだん黄色くなって完熟します。完熟すだちは酸味が引いて甘味が強くなるんです。それを同様にサワーに入れて飲むと格別です。
おすすめ②「グレビレア」
どんな果樹・花木なのですか?
オーストラリアをはじめとしたオセアニア地域が原産の、いわゆるオージー系の花木(オージープランツ)です。
このカテゴリーはネイティブプランツとも呼ばれますね。
種類がものすごくあるので、集めているコレクターもけっこういるんじゃないかな。
どの種類も花の形状が一貫して蜘蛛を連想させることから、海外ではスパイダーフラワーとも呼ばれています。
半耐寒性の常緑で、低木のタイプから、大きいものだと2mくらいのものもあるので、好みの大きさから選ぶことができます。
とてもエキゾチックな花を咲かせ、その色や形状は同じグレビレアなのかと疑ってしまうほど多種多様。その多くが耐暑性・耐寒性に富み、気候への順応性も高く、基本的には育てやすい花木です。
おすすめの理由を教えてください。
おすすめの理由は、グレビレアの醸し出す「スペシャル感」というか、「ちょっと他とは違う特別な木」の雰囲気ですね。
オリーブとかミモザのような、比較的どこの家でも気軽に見ることができる一般的な花木と違って、グレビレアは扱っている園芸店も決して多くはなく、地方だと大手の園芸店に行かなければ入手できないかもしれません。
また、オージープランツはブームというよりはここ何年も人気が定着しているため、大手園芸店などでは特設コーナーを設けています。
実際、太田市場に行ってもほとんど競りにかからずに、某大手3社がガバッと予約で囲っちゃってる感じですからね(笑)。
他とはちょっと違うテイストで、お庭やバルコニーにインパクトを効かせたい方にはおすすめです。
最近この近辺(祐天寺、学芸大界隈)でも、グレビレアやバンクシアなど、オージー系の花木でお庭をスタイリングしているお宅をたまに見かけますが、開花の時期に通りかかると、花の形、色彩と、なかなか記憶に焼きつく鮮烈さがありますね。
うちのお客様にはグレビレアをシンボルツリーにしている方もおられます。
価格は、普通の苗木に比べると3割くらい高くなりますが、数千円から数万円と値段の幅も広いので、まずは実際に店舗に行って見ていただくのがよいと思います。
四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか?
品種によりますが、多くのタイプが夏に花を咲かせます。花の形も色もさまざまですが、一様に言えるのは、可憐というイメージではなく、むしろ派手で存在感のある花を咲かせ、極彩色の花火のような魅力があるということです。
グレビレア・ロブスタなど、一部の品種は秋になると紅葉を見ることもできます。
しかし、落葉樹ではないので紅葉しても冬季に落葉はせず、春になると青々とした新芽が出てきて入れ替わるように古い葉を落としていきます。
ただまぁ、何度も言うようですが、ホントに種類が多いんですよ。基本的に葉の形が種類によってまったく違うし。
なので、四季の移ろいの中で見せる表情も、種類によってぜんぜん違う場合もあるんです。
どれだけ違うかは、映像を見てもらったほうが早いかな。
花木初心者でも育てることは可能ですか?
グレビレアは基本的にドライな環境を好むため、まずは水やりのコツを習得しなければなりません。
なので、これから園芸を始めるという本当の意味の初心者の方にはおすすめできません。
多かれ少なかれ、植物の栽培経験がある方におすすめします。控えめの水やりが基本なので、同様の水やりを行う多肉植物経験者には容易に育てることができると思います。
育て方のコツを教えてください。
まず、日当たりと風通し、これは必須です。
土も普通の培養土で構いません。太陽は直射日光をたっぷりと浴びさせてください。
水やりは、地植えの場合は完全に雨任せでよいのですが、鉢植えの場合は控えめが基本です。
ただし、水を控えすぎてカラカラになると枯れてしまいます。
しかも、一般的な植物は葉や茎が垂れ下がることで、まず渇水状態を知らせてくれるのですが、グレビレアは水が枯渇すると、何の前触れもなく、急に枯れます。怖いですよね。
逆に、水が多すぎても一撃で枯れるんです。怖すぎますよね。
なので、週のうち何回あげる、とかではなく、ちゃんと気候ごとに土の状態をこまめに観察しながら水やりをしないといけません。
特に夏場は一気に水を吸ってグングン伸び、午前中にたっぷりとあげても午後にはカラカラになるので、確実に日に2度はあげる感じです。
また、日照や湿度の変化で土の乾き方も変わってくるので、天気予報をこまめにチェックし、土の状態、茎や節が瑞々しいかなど、毎日の観察が大切です。
気温が低くなるこれからの季節は、グレビレアも越冬に備えて根のパフォーマンスを落としていくため、乾燥への警戒よりも、土の湿った状態が長く続かないように気をつけてください。
気温が低いと完全に乾くまで時間がかかりますが、乾いたらすぐにあげられるように、鉢に水分計などを挿しておくのもおすすめです。
ちなみに、僕ら園芸業者は鉢の重みで中の水分量を判断したりもします。
満水時と渇水時の鉢の重みを手の感触で覚えておくと水やりも上達しますよ。
耐寒性が強いため0℃あたりまで耐えられますが、念のため5℃を切ったら屋内に取り込むようにしてください。
また、グレビレアはオーストラリアの痩せた土地に自生しており、栄養が少ない土壌から、細胞膜を生成するためには欠かせないリン酸を優先的に摂取できるよう根が進化しているため、肥料過多になると枯れる傾向があります。
このため、購入した市販の土に元肥が混ぜ込んである場合、肥料はむしろあげなくてもよいくらいです。
どうしてもあげたいという場合は、リン酸がほぼない油カスなどをあげるとよいでしょう。
植え替えのときに元肥として土に混ぜ込んで使用する「マグアンプK」などは、リン酸を多く含んでいるため、絶対に混ぜ込まないでください。
植え替えのときは、元肥のあまり入っていない安価な土のほうが逆によかったりします。
まぁ・・・こうやって説明してみると、グレビレアは園芸中級者に適した植物、ですかね。
何かまつわるエピソードがあれば教えてください。
昔の話ですが、まだグレビレアの流通が少ない時代に仕入れたことがあって、そのとき入れたグレビレア・ロブスタの2本のうちの1本を、植え替え後に迂闊にも水のあげすぎで枯らしてしまったことがあるんですよ。
気づいたらあっという間に茶色くなって全体がしな垂れていたんで、これが噂の一発撃沈かと。まさかの経験でした。
おすすめ③「リューカデンドロン」
どんな果樹・花木なのですか?
リューカデンドロンも樹形が綺麗ですよ。
常緑樹なので、四季を通じてスタイリッシュな葉と樹形を楽しむことができます。
色鮮やかに花が咲いているように見える部分は花ではなく、花びらみたいな色彩と形状に変化した苞葉(ほうよう)で、この苞葉の中に、決して存在感があるとはいえない果実のような花が咲きます。
花よりも、花を包み込むそっち(苞葉)のほうが目立つという、ちょっと変わった花木です。
80種以上の品種があり、野生のものでは10mを超える高木もあります。
そんなリューカデンドロンは、園芸界的にはオージープランツとして扱っているところが多いのですが、実際の原産地は南アフリカなんです。
でも、オーストラリアにもたくさん自生していて、それは遥か昔、アフリカ大陸とオーストラリア大陸が地続きで繋がっていたことに由来するという説が有力ですが、ほかにも諸説あるようです。
しかし実際に日本に入ってくるのは、そのほとんどがオーストラリアからの輸入です。安価な品種でも3,000〜4,000円で、2〜3万円するものも多いので、とても高級な花木です。
おすすめの理由を教えてください。
おすすめ理由は、グレビレアと同じですね。ちょっと変わったプランツで個性をアピールしたいという方には、とてもマッチしたものではないかと思います。
花を楽しむグレビレアと違い、苞の色彩を愛でるというのも一味違っていて面白いですよね。
苞の色づき方も品種によって異なるため、コレクションする楽しみもあります。
また、ドライフラワーとしても人気の品種なので、そういった楽しみ方もできます。
四季の移ろいの中で、どのような表情を見せるのですか?
苞の色彩は、春から初秋までは緑で、その緑色も品種ごとに落ち着いた緑だったり、光の加減によってシルバーがかったシャープな緑だったりと、さまざまなバリエーションがあります。
そしてどの品種も中秋を過ぎた頃につぼみを出し、葉がそのつぼみを包み込むように苞葉と化し、同時に色づき始めます。
春にかけて色味は増し、‘レッドデビル’や‘ストロベリーフェア’という品種は赤く、‘イエローデビル’はヒマワリのような黄色に、ほかにも紫色やグラデーションがついた色彩を放つものもあり、これからの季節にそんな色彩を楽しむことができます。
樹木初心者でも育てることは可能ですか?
グレビレアと同じで、水やりのタイミングに慣れる必要があるため、完全な園芸初心者にはおすすめはしません。
ある程度園芸の心得のある方におすすめです。
ただし、地植えにする場合は雨任せの水やりで問題なく、冬も氷点下にならなければ大丈夫なので、関東以南の方なら園芸初心者でも大丈夫だと思います。
育て方のコツを教えてください。
育て方は基本的にグレビレアと同じなので、前述のグレビレアの育て方を参照していただければよいです。
とにかくオージー系のものは肥料を極端に控えることですね。
何かまつわるエピソードがあれば教えてください。
5〜6年前、近隣住宅の庭にリューカデンドロンの地植えの仕事をさせていただいたんですが、植えた当時は僕の胸に届くか届かないかくらいだった株が、今では3mを超えるところまで成長しているので、たまにその家の前を通ると、やはり感慨深いものがありますね。
と同時に、やはり地植えは大きくなるな、と思いました。
まぁこれはどんな植物にも言えることですが。
ただ、リューカデンドロンは地植えに適したものと適さないもの、鉢植えのほうが楽に栽培できるものと、さまざまなので、その品種を購入する園芸店に「地植えしたいんですが」と、アドバイスを求めるのが一番だと思います。
おすすめ④「サンカクバ(三角葉)アカシア」
どんな果樹・花木なのですか?
アカシアは一部の品種がミモザの名称でも知られていますが、いくつもの小ぶりな黄色い花がたわわに咲く姿が可愛らしくて、庭木としても人気のオーストラリア原産の花木です。豪州産が続きますが(笑)。
今回はアカシアの中でも樹形がおしゃれな、サンカクバ(三角葉)アカシアをご紹介しようと思います。
小ぶりの連なった葉が特徴的な一般的なアカシアに比べ、大きめで三角形のシルバーがかった葉が特徴。
ちょっと離れて全体像を見ると観葉植物のような趣もあって、とてもおしゃれなんです。
葉がナイフみたいなので、海外ではナイフリーフ・ワトルとも呼ばれています。
ちなみにワトルというのは、簡潔にいえば日本でいうミモザ(=フサアカシア)で、もともとはオーストラリアの固有種なんです。確かオーストラリアの国花なんじゃなかったかな。
ただややこしいことに、アカシア=ワトルというわけではなく、一説には1,000種以上あるといわれるアカシアの中で、多くの種類がアカシアではなく遺伝的にはワトルか、っていう分類学上の論争も起きていると聞きます。
いずれにしても僕はこのサンカクバアカシアが個人的には一番好きかな。
花は一般的なアカシアと同じ黄色の房状ですが、房がやや大きい印象ですね。
夏についたつぼみが冬に咲くので、これからの時期に花を楽しめます。
夏から秋にかけて花芽がついていないものを店頭で買うと、そのシーズンは花が咲かないのが確定しているので、今の時期(11月)に買う方は、花芽の有無を確かめてから購入してください。
耐寒性も耐暑性も強く、とても育てやすいですよ。
アカシアはシンボルツリーにしている方も多く、本来は庭木として地植えするほうが向いているのですが、鉢植えにしてコンパクトに楽しむのも洒落ています。
おすすめの理由を教えてください。
まぁ、前述のオージープランツと同じ理由ですが、普遍こそ全て、という人たちに対し「まぁ奥さん、お宅は普通のミモザなのね、うちのは三角葉なのよ、おしゃれで困っちゃうわ(笑)」と、差をつけたいという意識が高い方にはおすすめです。
意識が高いというか・・・この言い方だと嫌味な奥さんですね(爆)。
冗談はさておき、開花が極寒の1〜2月という、園芸的に花が最も少ない時期に咲くので、まさにこれから楽しめる、というところもおすすめです。
しかも、虫がつきにくく、病気も少なく、とにかく強い!
四季の移ろいの中でどのような表情を見せるのですか?
常緑なので紅葉などはしませんが、早くて1月あたりから房状の黄色い花がいくつも咲き始め、まさに厳冬期に可愛らしい黄色い花で楽しませてくれます。
花木初心者でも育てることは可能ですか?
水やりの面では、前出の2つのオージープランツほど難しくはありませんが、水切れを嫌うため、水を絶やさず、かつ多湿にせず、というところを注意していただければ大丈夫です。
水よりも剪定かな。
サンカクバアカシアはとにかく急速に伸びるので、伸びたら剪定が必須です。
つまり剪定経験が必要となるので、初心者というよりは、樹木、とくに花木の栽培経験が1〜2度はあったほうがよいと思います。地植えの場合は放置で構わないので、その限りではありませんが。
でも僕は個人的には、このサンカクバアカシアが花木の最初の一歩でもよいと思います。基本がタフだし、剪定はこれをきっかけに勉強すればよいと思いますよ。
育て方のコツを教えてください。
管理は太陽がバッチリと当たるところで、風通しも確保してください。
水やりですが、グレビレアのようにあげすぎで一発枯れということもないので、夏も冬も基本的に水を切らさないようにすれば大丈夫です。
特に夏は土表面をこまめにチェックして、表面が乾いていたら間髪入れずたっぷりと、な感じで大丈夫です。
わりと重要なのは剪定ですね。
とにかく旺盛に伸びるので、デカくなったら容赦なく切る、でよいと思います。深めに切っても枯れることはありません。
ただし、夏を過ぎて剪定すると花芽を落としてしまう可能性があるため、花期が終わる4月くらいの剪定が理想的ですね。
肥料は他のオージープランツ同様、リン酸少なめか、ほぼない状態のものをあげてください。
何かまつわるエピソードがあれば教えてください。
僕にまつわる話ではないのですが、確か3月のどこかで※、女性にミモザを贈って感謝を伝える「ミモザの日」というのがあるんですよ。
アカシアのことをミモザと呼ぶのはイタリアが発祥なので、そのイベントもイタリア発祥のはずです。
そんな伊達なこと、僕がやったことあるかって? それは秘密ですね。
ただ、いつかはやるかもです(笑)。
【ミモザの日とは】
「ミモザの日」はイタリアで制定され、女性に日頃の感謝を込めて愛と幸福を呼ぶミモザ(フサアカシア)の花を贈るものとされる。
3/8と制定されたのは1975年に国連が3/8と定めた「国際女性デー(International Women’s Day)」に因む。
関さんから愛のメッセージ
果樹に花木、どちらも鉢でお世話するとなると、何かと手間をかけなければ、果実や花、という成果を得ることができません。
なので、成果を求めるには、相応のお世話を、手間を惜しまずにしてあげてください。
よく、花が咲かないから、実がならないからという理由で、植物を放置する方がおられますが、以前も言ったかもしれませんが、植物が花を咲かせたり実を付けるのは、子孫を残すという本能的な行動であり、何も人間を喜ばせるエンターテインメントとして行っていることではないのです。
もちろん皆さん、開花や収穫を楽しむために購入されると思いますが、それらは植物たちのあるべき自然のローテーションなので、咲かないから、実がならないからと諦めずに、そこをちゃんと目指していただきたいと思います。
今はこのガーデンストーリーも含め、ネットで情報が容易に入手できる時代。
しかしそれだけを鵜呑みにせず、「ネットではこう説明されているんですけど」と園芸店にも相談し、文字情報と生の声という、2つの情報を突き合わせてみると、自ずと最適な栽培方法が見えてきて、園芸の手腕も上がるのではないかと思います。
果樹も花木も、それぞれのあるべき姿を人の手で実現させてあげるのも、「戦い」なんだよね。
編集後記
いかがでしたか? 果樹&花木の特集。
個人的には、関さんのお店に意外にもオージープランツが充実していたことに驚きましたが、ブーム前に既に着目し取り扱ってきたあたり、さすが関さんです。
街の園芸店主にしておくには惜しい(笑)。
というより、酒場の大将も似合うのではないかと、毎回話をするたびに思います。
関さんがやる園芸と酒の店、楽しいだろうなぁ。
さて、これから本格的な冬突入ですが、皆さん十分にご自愛ください。次回の関さんのお話も楽しみにしていてください!
記事協力
フラワーガーデン セキ 東京都目黒区中町2-39-15 電話:03-3712-3230
※現在(2024年5月)一時休業中。新店舗にて再開次第お知らせいたします。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / ガーデンストーリー編集部
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