フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。多肉植物関係の記事を中心に、精力的に取材&執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
編集部員K -ライター・エディター-
フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。多肉植物関係の記事を中心に、精力的に取材&執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
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多肉・サボテン

冬に輝く塊根植物|冬型コーデックスの魅力と代表種、育て方をプロが徹底ガイド!
冬型塊根とは?|夏に眠り、冬に目覚める不思議な植物たち 昨今、園芸マニアを熱狂の渦に巻き込んでいる多肉植物。その中でも、イカツいボディが魅力の塊根植物(コーデックス)が特に注目を浴びています。今回は、寒い冬に彩りを添える冬型塊根植物(以下冬型塊根)について、おなじみ世田谷区・九品仏で多肉・観葉植物専門店「gadintzki plants (ガディンツキープランツ)」を営む園芸家・関ヨシカズさん(以下、関さん)に解説していただきました。 「冬型塊根? 大好きです。おまかせください!」 冬型塊根(コーデックス)の特徴と生態 Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 冬型塊根の多くは、南アフリカやナミビアなどの乾燥地帯を原産としています。“冬型”とは、原産地の冬が成長期であるという意味で、日本の冬に強いということではありません。代表的な種類にはペラルゴニウム、オトンナ、チレコドンなどがあり、どれも地中や地表近くに塊根(かいこん)と呼ばれる貯蔵器官を持ち、その中に水分や養分を蓄えて生きています。 気温が下がり空気が乾燥するこの時期に新芽を伸ばし、多種多様な葉を広げたり、可愛らしい花を咲かせたりと、静かな季節にこそ存在感を放ちます。活動期は冬から春にかけてで、気温が上がり始めると次第に葉を落とし、塊根だけを残して休眠に入ります。このように、「寒い時期に育ち、暑い時期に眠る」という逆転したサイクルが、冬型塊根の最大の特徴です。 夏型との違いを知ろう 塊根植物には、主に「夏型」と「冬型」の2タイプがあります。名前のとおり、夏型は夏に成長し、冬に休眠します。対して、冬型は冬に成長し、夏に休眠するのが大きな違いです。夏型塊根(例:パキポディウム、アデニウム、アデニアなど)は、マダガスカルなどの熱帯・亜熱帯の乾燥地帯を原産とし、強い日差しと高温を好みます。気温の高い時期に枝葉を一気に伸ばし、秋以降に気温が下がると休眠に入ります。一方、冬型塊根(例:オトンナ、チレコドン、ペラルゴニウムなど)は、南アフリカなどの「冬に雨が降る地域」に適応したタイプ。これらの植物は、日本では気温の低い冬から春にかけて成長期を迎え、夏の高温期には葉を落として休眠します。つまり、原産地の気候によって生活リズムが正反対となるわけです。 見た目にも違いがあり、夏型は塊根が太く力強い印象なのに対し、冬型は造形的なものが多いのが特徴。また、栽培環境も異なり、夏型は屋外での強光と高温下での管理、冬型は暖かい室内でのLED管理が基本となります。 原産地と気候から見る“冬に育つ理由” 冬型塊根が冬に成長する理由は、原産地の気候と密接に関係しています。まずは、原産地である南アフリカ周辺の地理的な位置を確認してみましょう。 上の衛生写真はアフリカ大陸南部を拡大したものですが、矢印で示した赤く塗ったエリアが冬型塊根の主な原産地です。同じ縮尺で日本列島を重ねてみると、この地域がいかに広大であるかが分かります。また、この辺りは南緯30度前後に位置しており、気候帯としてはオーストラリア西部のパース周辺と同じ緯度帯に属します。さらに衛生写真右端には夏型塊根の原産地であるマダガスカルがあり、南アフリカ、日本、マダガスカルのサイズ感を比べることで、それぞれがまったく異なる気候環境にあり、植物の成長時期が大きく違うことが視覚的にも理解できます。冬型塊根植物の故郷であるこの赤いエリア、南アフリカのケープ地方やナミビア南部は、独特の「冬雨型気候」に属します。ここでは冬に雨が降り、夏は乾季のため極端に乾燥するという、日本(特に太平洋側)とはまったく逆の季節パターンとなっています。 冬の日中は暑く夜間は冷え込み、降水が適度にありつつ、強い日差しにも恵まれるという、日本とは異なる冬の環境が続きます。しかし、これこそが冬型塊根にとって理想的な生育条件であり、この気候に適応する過程で特徴的な塊根の姿へと進化してきたのです。一方で夏は風も強く、降水量も激減するため、植物たちは葉を落とし、塊根に貯えた水分と栄養だけで耐える休眠モードに入ります。これが、冬型塊根植物が持つ“生きるための戦略”です。 自生地で休眠状態に入ったチレコドン・ワリチー Photo courtesy of Dennis Van-Hettenn/Botanisch Onderzoeksinstituut Leiden つまり彼らにとっての冬は“生きるための活動期”であり、夏は“命を守るための静寂の時間”なのです。日本では季節が真逆になるため、日本の冬=原産地の雨季という関係になります。そのため、日本でも冬から春にかけて活発に成長し、夏は自然に葉を落として休眠するわけです。では、実際にどんな種類がこの“冬成長サイクル”を持っているのでしょうか。ここからは、個性豊かで魅力あふれる代表的な冬型塊根たちをご紹介していきます。 冬型塊根の代表的園芸品種10種をご紹介|造形美と個性が際立つ名品たち ⚠️:ボタンのある項目は、クリックするとポップアップ画面が開きます。 ディオスコレア属/Dioscorea エレファンティペス/Elephantipes Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Dioscorea elephantipes (L'Hér.) Engl. 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Elephant's foot yam(象の足のヤム芋)/亀甲竜(きっこうりゅう)🪴【特徴】 : 南アフリカ北東部〜モザンビーク原産。亀の甲羅のような巨大な塊根と、冬に伸びるツルとハート形の葉が強い印象を残す冬型塊根の代表種。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆冬型塊根としては比較的容易に育てられますが、夏の管理を誤ると以降の成長に影響します。特に日本の夏の強い直射日光を塊根部に当てると焼けてしまい、それが原因で枯れる恐れがあるため注意が必要です。🤑【市場価格帯】:2,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)大きなものは見た目もかなりスパルタンで、価格も10万円くらいするものもありますが、gadintzki plantsによると3.5寸くらいの手乗りサイズ(7,480円)が価格的にも人気。 🤖【その他】 オトンナ属/Othonna ヘレー/ herrei Pillans Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Othonna herrei Pillans 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Richtersveld Othonna(リヒターズフェルトのオトンナ)/蛮鬼塔(ばんきとう)🪴【特徴】:南アフリカ・リヒターズフェルト山脈原産。鬼の顔のような奇怪な塊根から放射状に多肉質の葉を広げ、秋には小さな黄色い花を咲かせる人気種。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★☆☆☆☆塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ。🤑【市場価格帯】:2,000〜20,000円(個体の大きさや状態により変動)オトンナ属としては最も手に入れやすい。 🤖【その他】 ユーフォルビオイデス/Euphorbioides Photo by Sándor Horváth/llifle.com 🏛️【学名】:Othonna euphorbioides Hutch. 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:spiny othonna(トゲトゲオトンナ)/黒鬼城(くろおにじょう)🪴【特徴】:南アフリカ北ケープ州原産。生姜のように剥ける塊根からトゲと多肉質の葉を伸ばし、黄色い小花を咲かせる独特な姿が印象的。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆ 塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ🤑【市場価格帯】:2,000〜30,000円(個体の大きさや状態により変動) 🤖【その他】 チレコドン属/Tylecodon レティキュラーツス/Reticulatus 🏛️【学名】: Tylecodon reticulatus (L.f.) Toelken 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Butterbush/万物想(ばんぶつそう)🪴【特徴】:南アフリカ〜ナミビア原産。剥けた塊根と、花後に残る網目状の花柄が絡み合う独特のフォルムで、冬型塊根を象徴する存在。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆ やや中級者向け。🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の状態により変動) 🤖【その他】 ペアルソニー/Pearsonii Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Tylecodon pearsonii (Schönland) Toelken 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:白象(はくぞう)🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。低重心でどっしりとした塊根と、落葉後に際立つ無骨な造形美が魅力のチレコドン。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆レティキュラーツスよりは難易度が高いため経験者向け。決して難物というわけではないが、レティキュラーツスで慣らしてからがおすすめ。🤑【市場価格帯】:6,000〜60,000円(個体の大きさや状態により変動) ペラルゴニウム属/Pelargonium トリステ/Triste 🏛️【学名】: Pelargonium triste (L.) L'Hér 🔍【学名詳細】 ちなみに、「ペラルゴニウム」を検索すると、フウロソウ科の一般的な花が多くヒットします。その中で、太い根(塊根)を持つタイプが、本種をはじめとする“塊根性ペラルゴニウム”と呼ばれるグループです。🌏【通称/和名】:Night-scented Pelargonium(夜香のペラルゴニウム)🪴【特徴】:南アフリカ・ケープ地方原産。古木のようなコルク質の塊根と銀白色の葉、夜に甘く香る可憐な花を併せ持つ名品。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからがおすすめ。🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動) 🤖【その他】 ミラビレ/Mirabile Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Pelargonium mirabile Dinter 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Admirable Stork’s-bill(イケてるコウノトリのくちばし)🪴【特徴】:南アフリカ・ナミブ砂漠地域原産。サンゴのように分岐する硬質な枝を広げ、小さな葉と可憐な花を添える独特の樹形が魅力。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆🤑【市場価格帯】:8,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)流通しているものの多くは現地球で、上の写真のようなものだと数万円。数千円で流通しているものの多くは、下の写真のような、現地球の大株から輸送途中で枝折れしたものを挿し木し発根させたもの。 モンソニア属/Monsonia ムルチフィダ/Multifida Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Sarcocaulon multifidum E.Mey. ex R.Knuth 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:月界(げっかい)🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。横に広がる低木状の樹形と銀白色の裂け葉、淡いピンクの花が盆栽的な趣を感じさせる小型塊根。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからのほうがおすすめ。🤑【市場価格帯】:10,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動) 🤖【その他】 パキポディウム属/Pachypodium ナマクアナム/Namaquanum(光堂) Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Pachypodium namaquanum (Wyley ex Harv.) Welw. 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Elephant's Trunk(象のトランク)、Halfmens(半人間)/光堂("こうどう"、または、“ひかりどう")🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。巨大に肥大する幹と神々しいボトル型の樹形を持ち、原産地では「Halfmens(半人間)」の名でも知られる異色のパキポディウム。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★★★昨今の日本の気候ではかなり繊細な管理が求められる。塊根上級の手腕を以てしても、夏に上部から腐敗させる例が多く、かなりの難物。関さん曰く「栽培方法の答えが見つかっていない植物。ゆえに最もチャレンジし甲斐がある」。🤑【市場価格帯】:9,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動) 🤖【その他】 ケラリア属/Ceraria ピグマエア/Pygmaea Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 🏛️【学名】: Ceraria pygmaea (Pillans) G.D.Rowley 🔍【学名詳細】 🌏【通称/和名】:Portulacaria pygmaea(旧分類の名称), Pygmy Porkbush🪴【特徴】:南部アフリカ原産。異形の塊根と可憐な葉が同居する、静かで神秘的な存在感を放つ小型塊根。 🔎【特徴をもっと詳しく】 💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆見た目に反して育てやすいが、とても日光を好むため、成長期は直射日光、あるいは近距離でのLED照射を推奨。🤑【市場価格帯】:15,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動)流通しているのはほぼ現地球。塊根部が丸みを帯びるほど高価になる傾向がある。 🤖【その他】 関さんおすすめ!ガディンツキープランツの冬型塊根セレクション ⚠️掲載商品は取材当時のものです。在庫は直接店舗にDMにてお問い合わせください。 ディオスコレア・エレファンティペス(亀甲竜) 塊根径:5cm 樹高(塊根+茎高):14cm 価格:7,480(税込) 扱いやすいサイズ感ながら、亀甲模様の隆起が非常に美しく、まさに“THE 亀甲竜”と呼びたくなる端正な1株です。手に収まるコンパクトさも魅力で、環境が整えば将来的にはぐっと風格のある美株へと育っていく高い可能性を秘めています。 ペラルゴニウム・トリステ 塊根径:4cm 樹高(塊根高):8cm 価格:19,800(税込) コンパクトサイズながら、塊根の膨らみとフォルムのバランスが非常によい1株です。トリステは極度に成長速度が遅いため、購入時の株選びが重要とされますが、その点においても、この株は初めて挑戦する方にとって理想的なスタートになるでしょう。 ペラルゴニウム・ロバツム 塊根径:3.5cm 樹高(塊根高):6cm 価格:6,820(税込) このロバツムは、塊根部がきれいな卵形にまとまった美しい株です。そこから伸びるロバツム特有の大きめの葉も愛らしさを引き立てています。美形株を探している方にも自信をもっておすすめできる、バランスのよいロバツムです。 チレコドン・レティキュラーツス(万物想) 枝幅(花柄含む):19cm 塊根幹幅:4.7cm 樹高(花柄含む):15cm 価格:22,000円(税込) 今年入った万物想の中でも、特にフォルムが整った1株を選びました。詰まり気味に展開する分枝や、しっかりと残る太めの花柄が存在感を際立たせています。メリハリのあるシルエットで、良型の万物想を探している方にはぜひ手に取っていただきたい株です。 オトンナ・へレー 塊根幅:8cm 樹高(塊根+花茎):16cm 価格:9,350円(税込) 冬型塊根の中で特に育てやすいことで知られるへレーの中でも、本株は幹にしっかりと厚みがあり、どっしりとした安定感が魅力です。花付きもよく、開花期には交配親としてもGoodなパフォーマンスを見せてくれます。初めての冬型塊根にもおすすめできる、扱いやすさと存在感を兼ね備えた1株です。 オトンナ・ユーフォルビオイデス 塊根幅:11cm 樹高(塊根+花柄):9cm 価格:7,920円(税込) 冬型オトンナの入門株として人気の高いユーフォルビオイデスですが、その中でもこの株は全体のバランスがよく、まとまりのあるシルエットが魅力です。花柄(トゲ)の付き方もしっかりしており、見応えのある姿に仕上がっています。初めて冬型を育てる方にも安心しておすすめできる1株です。 オトンナ・カカリオイデス 塊根幅:5cm 樹高(塊根+花):7cm 価格:5,940円(税込) 当店でも冬型塊根の中で特に人気の高いカカリオイデスは、その愛らしい姿から女性のファンも多い種類です。この株は手に取りやすい価格帯で、初めての冬型にもぴったり。コンパクトながら存在感があり、冬の棚にちょっとした彩りと癒やしを添えてくれる1株です。 オトンナレ・レトロルサ 塊根幅:6cm 樹高(塊根高):4cm 価格:4,400円(税込) レトロルサは当店でも人気の高い種類で、もさもさとした白い綿毛が雪をまとったように見える、この季節ならではの魅力があります。この綿毛は古くなった葉が変化したものですが、株全体の雰囲気を柔らかくしてくれる存在です。ほどなく可愛らしい葉が展開するので、クリスマスオーナメントと並べて飾ると冬の棚が一気に華やぐ楽しいアクセントになります。 ケラリア・ピグマエア 塊根径:8cm 樹高(塊根+葉):6cm 価格:27,000円(税込) 今年入荷したピグマエアは全体のまとまりがよく、中でもこの株は珍しいまん丸のフォルムが魅力です。葉に隠れていますが枝ぶりも整っていて、探している方にはぜひ手に取っていただきたい仕上がりです。良型のケラピグをお探しの方に、一見の価値がある1株です。 モンソニア・ムルチフィダ 塊根幅:15cm 樹高(塊根+葉):7cm 価格:17,600円(税込) 別角度から。 花が美しいM.ムルチフィダは、毎年「今年は入らないの?」というお問い合わせを多くいただく人気種です。取材当時は葉が成長途中でしたが、現在はモシャモシャとパセリのような葉が茂っており、幹のフォルムも非常によいため、全体としてかなり美しい樹形に仕上がっています。 関さんが語る「冬型塊根を育てる楽しみと奥深さ」 冬型塊根の魅力は、園芸的に物寂しくなりがちな冬の時期に、独創的な姿を見せてくれたり、時にはその外観からは想像もつかないような可憐な花を咲かせたりと、一般的な草花とはまったく異なる世界観を楽しめる点にあります。さらにLEDライトを用いた完全室内栽培が可能で、環境を管理しやすい分、むしろ初心者にとっては育てやすいのも嬉しいポイントです。塊根植物としては、比較的花が咲きやすい品種が多いため、交配にも向いています。同一品種が複数株あれば、交配を行い、自分が生み出した実生株を育てる楽しみも広がります。「見てよし、育ててよし、増やしてよし」と3拍子揃った冬型塊根は、塊根植物ビギナーにこそ楽しんでいただきたい世界です。 冬型塊根の育て方|水やり・日照・温湿度管理のポイント 日照(成長期の管理) 冬型塊根植物を育てるうえで、最も重要なポイントとなるのが☀️日照です。夏型は多くの品種が屋外放置でも問題なく成長しますが、冬型はそうはいきません。日中に日差しがあっても、夜間にそのまま屋外へ置いておくと低温で枯死するリスクがあります。冬型塊根の多くは日光を好むため、理想的な管理方法は、日中に3〜4時間ほど直射日光と自然の風に当て、夕方までに屋内へ取り込み、18時頃までLEDを照射し、その後消灯するというリズムです。ただ、これは生活スタイル的に実行が難しい方も多いので、基本はLED下で管理し、晴天の日中で時間があるときだけ直射日光に当てるという栽培方法でも十分です。 ⚠️【LEDライト使用時の注意点】 風(成長期の管理) 植物が健康に成長するためには、風による適度な空気循環が欠かせません。自然界では常に風が吹いているため問題ありませんが、室内管理の場合は、サーキュレーターを使って同じ環境を人工的に作ってあげる必要があります。サーキュレーターは株に直接風を当てるのではなく、室内全体の空気をゆるやかに循環させる目的で運用します。 空気が停滞すると、蒸れやカビ、病害のリスクが高まるため、軽く空気が動いている状態を作るだけでも十分に効果があります。 🤔【エアコンじゃあダメなの?】 温湿度管理(成長期の管理) 🌡️【温度管理】 冬型塊根は夜間に気孔を開いてCO₂を取り込み、日中に光合成へ利用する CAM型光合成を行う植物です。この代謝が正常に働くには、☀️光量・🌡️温度・💧湿度の3要素が揃うことが必須です。特に🌡️温度は代謝の鍵を握っており、・10℃を大きく下回る環境が長時間続く・急激な冷え込みが繰り返されるといった状況では、夜間の代謝がうまく作動せず、体内でのエネルギー処理が滞ります。それにより、根の吸収力低下や葉のダメージ、成長の停滞などが起きやすくなります。そのため冬型塊根植物は、基本的に5℃以下の環境に長く晒さないことが重要です。冬でも晴れた日は日中の気温が18℃くらいまで上がることがあるので、そんな時は迷わず屋外に出して、直射日光 × 十分な温度 × 自然の空気という、“冬型が最も喜ぶ条件” を与えてあげましょう。 💧【湿度管理】 代謝のリズムを支えるため、適切な湿度も大切です。湿度が高すぎると根への酸素供給が妨げられ、逆に乾燥しすぎると夜間に気孔を開くCAM植物特有の活動に負荷がかかります。室内管理では、湿度40〜50%程度を目安に、乾きすぎず蒸れすぎない環境を意識すると、日中・夜間の代謝が安定しやすく、株もストレスを受けにくくなります。 水やり(成長期の管理) 成長期である秋(10月下旬)〜翌春(4月上旬)までは、用土表面が乾いたタイミングで、鉢底穴から勢いよく水が流れ出るまでしっかりと与えます。この“勢いよく流れる”ことがとても重要で、底穴から水が抜ける際に根の代謝で生じた有機酸などの老廃物を洗い流す「リーチング効果」が期待でき、鉢内環境を清潔に保ち、根腐れの防止にもつながります。用土の乾き具合は、慣れれば目視や触った感覚で判断できるようになりますが、初心者の方は鉢の縁に竹串を挿し、30秒ほど置いてから抜いたときの土の付着具合で状態を判断すると失敗しにくいでしょう。湿った土がしっかり付いていれば水やりはまだ不要で、乾いた土がうっすら付く程度であれば水を与えるタイミングです。 4月中旬を過ぎた頃からは株の様子をこまめに観察し、落葉が目立ち始めたら徐々に水やりの間隔を空けて、夏季休眠へと誘導します。ただし、休眠に入るタイミングは環境や個体によって差があります。さらに近年は異常気象の影響もあるため、季節の変わり目は気温と株の状態をしっかり観察しながら水やりの量と頻度を調整することが大切です。 施肥(成長期の管理) 冬型塊根には、『微粉ハイポネックス』を薄めて使う方法がおすすめです。微粉タイプは液体タイプと比べてカリ(K)の含有量が非常に高く、株をしっかり締めながら健康的に育てるのに向いています。カリは細胞を強くし、幹や塊根が締まって太りやすくなるほか、徒長を抑え、根のストレス耐性を高める働きがあります。そのため、形を崩さずに育てたい冬型塊根との相性は抜群です。微粉はわずかな量で十分に効くため、溶かす量は、市販の500mlペットボトルに対して、ハイポネックス微粉を0.2g(約0.2ml)ほど。これで塊根系にとって安全な2500倍の希釈濃度になります。これは0.1ccの計量スプーンだとすり切り2杯。写真にある商品に付属の緑色の計量スプーンを使用する場合は、小さい1g計量のほうで、かさ高3mmくらいです。これを成長期に月1〜2回ほどあげるとよいでしょう。 休眠期(夏)の管理(断水のコツ) 休眠期である7〜9月は基本的に断水で管理しますが、完全断水すると細根が枯れ、秋の立ち上がりが遅れて冬にずれ込む場合があります。さらに、根が乾燥しすぎることで根ジラミが発生し、最悪は枯死に至ることもあります。これを避けるために、休眠中も月に1回は用土表面が軽く湿る程度の水を与えておくと安心です。 動画のオトンナ・カカリオイデスは2.5号鉢。ノズルを付けたペットボトルで3周しているが、鉢の大きさによって調整するとよい。塊根にはできるだけかからないように。 休眠中の管理場所は、直射日光を避けた室内の涼しい環境が基本。暑さで株が傷むリスクが高いため、真夏はLEDのみで十分です。ちなみに最もストレスが少ない環境は以下のとおりです。 室温:22〜28℃ 湿度:40〜60% 弱い空気循環(サーキュレーターで室内の空気が緩やかに動く程度) 冬型塊根にとって近年の日本の夏は原産地よりも過酷といわれます。真夏の直射日光下では、組織のタンパク質変性が起こり、根が完全に活動をストップし、一気に枯死する危険さえあります。このため、株の防御力の弱まる休眠中は、屋内で丁寧に“眠っている我が子”を見守るように管理するのがベストですこうして夏を無事乗り切ったら、10月に入った頃に徐々に芽吹きはじめるので、緩やかなペースで灌水量を増やしていきます。 ペラルゴニウム・ミラビレの休眠明け。“かりんとう”みたいな物体から、産毛をまとったミントグリーンの可愛らしい葉が次々に展開されていく様子には心底感動させられる🥹。 よくあるトラブルと対処法 葉が急に落ちる(落葉) 冬型塊根は休眠前後に自然と葉を落としますが、秋〜冬のオンシーズン中に、温度低下(特に10℃以下)や光量不足、過湿が原因で落葉する場合もあります。初春〜初夏の時期で、ほかに異常がなく落葉した場合は休眠と判断して問題ありませんが、それ以外で落葉が著しい場合は、用土が濡れているならしっかり乾かし、気温は15〜20℃を保つようにします。秋〜冬はLED補光で光量を確保し、夜間の冷え込みに注意しながら水やりの頻度も控えめにしましょう。 塊根(幹)がシワシワになる 休眠中の水分不足や、断水しすぎによって細根が枯れると、塊根が“シワ寄り”することがあります。前述したように、休眠期でも完全断水は避け、月1回は表面が湿る程度で軽く水を与えると回復しやすくなります。夏は高温で細根が傷むこともあるため、真夏は涼しい室内(23〜28℃)で管理し、乾燥のしすぎも避けるようにしましょう。 塊根(幹)が黒く変色する/柔らかくなる 過湿や低温下での水分滞留が原因で根腐れが起きると、塊根が黒くなったり柔らかくなる症状が出ます。また、真夏の高温によるタンパク質変性や病原菌がこの原因になることもあります。軽度なら黒い部分を削って、『STダコニール1000』など殺菌剤を用いて殺菌し、根腐れが疑わしい場合は抜き上げて傷んだ根を除去し、乾燥させてから植え直します。冬の“濡れた用土&10℃以下”や、夏の“直射日光”はガチで避けましょう。 夏にぐったりする(夏バテ・高温障害) 冬型塊根は高温に極端に弱く、真夏の直射日光下では鉢内温度が40〜50℃に達して瞬時にダメージを受けることがあります。ぐったりとしているようであれば、すぐに涼しい場所(23〜28℃)に移し、用土が濡れていれば完全に乾かします。葉が焼けても塊根さえ硬ければ、復活する可能性は十分にあります。6〜10月は基本的に直射日光を避け、LEDライトのみで管理し、前述のように月1回の軽い水やりで細根を維持するとよいでしょう。 冬型塊根を楽しむ人たち|SNSから広がり、暮らしへと根付く育成スタイル ここでは、SNSをきっかけに出会った俳優・岩男海史さんと、筆者の身近な地域でオリジナルジュエリーショップを営む久我雅俊さんという、異なるフィールドに身を置きながらも冬型塊根に魅せられたお二人をご紹介します。 岩男海史 Love’s ケラリア・ピグマエア まずご紹介するのは、俳優の岩男海史さん。2022年の「鎌倉殿の13人」(平知盛役)と、現在放送中の「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(仙太役)と、NHK大河ドラマの話題作に出演されている今注目の若手俳優でもあり、自ら「MONSTROUSA」という服飾ブランドも手がけるなど、マルチな才能を発揮しています。写真は、岩男さんが念願だったケラリア・ピグマエアを大阪で迎え入れた時のもの。長い間、さまざまなショップでチェックしながら、ようやく巡り会えた株なのだとか。極太の塊根、バランスよく伸びる枝ぶり、そして株全体に密に茂る多肉質の葉。その姿は、まるで「岩男さんの子になれてうれしい!」と語りかけているようにも感じられます。植物との出会いを喜びとともに語る岩男さんの言葉から、ピグマエアへの強い愛情が伝わってきます。 Kaishi Iwao Official Web 久我雅俊 Love’s 亀甲竜 次に紹介するのは久我雅俊さん。世田谷公園近くでジュエリーブランド「GAJU」を展開するオーナーデザイナー。三宿通り沿いにある工房兼ショップは、入口に多肉や観葉植物が溢れているのは近隣でも有名な話。看板がなければ園芸店と見間違えるほどの“プランツアトリエ”となっています。ジュエリーデザイナーであると同時に、久我さんがビザールプランツという底なし沼の住人であることが、写真の中の満面の笑みからも伺えます。そんな久我さんが唯一大切に育てている冬型塊根が、手にされている亀甲竜。塊根の亀甲模様(凹凸)がとても美しく、造形としての完成度が高い一株を大事にされています。日頃から“形”や“質感”を扱うジュエリー制作に携わる久我さんが亀甲竜に魅了されるのも、どこか必然のように感じられます。GAJUへのアクセス まとめ|冬にこそ出会いたい、塊根植物の静かな生命力 冬型塊根植物は、気温が下がる季節にそっと動き始め、静かに力を蓄えながら成長していきます。冬の棚に並ぶ彼らを眺めていると、落ち着いた“癒やし”の時間が流れ、翌朝ふと芽が伸びているだけで心が“ワクワク”するような、小さな喜びが積み重なっていきます。趣深い姿がゆっくりと変化していく時間に寄り添うことで、冬ならではの魅力を深く味わうことができます。さらに、塊根植物の中には、原産地の野生個体が絶滅危惧種に指定され、国際的に取引が禁止・規制されているものも多く存在します。そのため、国内で合法的に流通している園芸用の種苗を大切に育てていくことは、貴重な植物を次世代につなぐ大切な行為でもあります。冬の成長期をゆったり見守りながら、“癒やし”と“ワクワク”を感じられる日々を、この小さな命とともに楽しんでいきたいものです。 × (L'Hér.) Engl.は、1789年にこの種を初めて発表・記載したフランスの植物学者Charles Louis L’Héritier de Brutelleと、1908年に記載を改訂したドイツの植物学者Adolf Englerに由来。 × 冬型塊根のアイコン的存在、ディオスコレア・エレファンティペスは、日本では「亀甲竜」という名でおなじみです。 巨大でゴツゴツとした塊根が特徴で、まるで亀の甲羅のような模様をしていることから、日本ではこの名が付けられました。 海外では、この塊根が“象の足”に見えるとされ、Elephant’s foot や elephant’s foot yam(象の足のヤム芋)と呼ばれます。 学名の elephantipes もラテン語で「象の足」を意味しています。 確かに象の足にも見えますが、亀の方が私たち日本人にはめでたい印象がありますよね。 塊根には水分と養分がたっぷり蓄えられており、冬になると成長点から芽を伸ばします。 その芽はやがてツル状に伸び、ところどころに可愛らしいハート形の葉を広げます。 このハート形の葉は、下の写真のように塊根径3cmにも満たない幼苗でも現れるため、小さな株でも可愛らしさを堪能できるのも魅力です。 そしてこの長く伸びたツルをどのように仕立てるかも、亀甲竜を楽しむ醍醐味の1つ。 SNS映えも抜群で、Instagramでは多くの方が独自の仕立てを披露しています。 大きく育つと存在感も増し、インテリアグリーンとしても、コレクションとしても人気です。 原産地は南アフリカ北東部のリムポポ州やエスワティニ周辺、モザンビークの乾燥地帯。 これらの地域は冬雨型気候であるため、亀甲竜はこの環境に適応して進化してきました。 意外にも現地では、塊根部が地中に埋まっている個体が多いといわれています。 × Pillansは、この品種を1934年に初めて発表・記載した南アフリカの植物学者Neville Stuart Pillansに由来。 × オトンナ・ヘレーは南アフリカ、リヒターズフェルト山脈原産の冬型塊根植物です。 属名の「Othonna」はギリシャ語で「小さなもの」を意味し、種小名の「herrei」は発見者であるヘンリー・ヘア氏に由来します。 和名「蛮鬼塔」は、塊根のゴツゴツとした形状が鬼の顔や塔のように見えることから名付けられたと考えられています。 この奇怪な塊根から放射状に伸びるヘラ状で多肉質の葉は、触ってみるとスベスベとした感触で、グレーグリーンの色彩もとても綺麗。 また秋〜晩秋にかけて小さな黄色い花を咲かせます。 花序は、上の写真ようなカピトゥラ(capitula)と呼ばれる形状をしており、これは多数の小さな花が短い軸の先端に密集していて、一つの花に見えるような構造を指します。 成長とともに塊根や葉の姿が奇怪に変化する様子は観賞価値が高く、でも可憐な花を咲かせるという、このギャップ萌えにやみつきになる方が多く、とても人気の品種です。 オトンナ属の多くがそうですが、開花のタイミングさえ合えば交配もしやすいので、増やす楽しみも味わえます。 × Hutchはこの品種を1917年に初めて発表・記載した英国の植物学者John Hutchinsonに由来。 × オトンナ・ユーフォルビオイデスは、南アフリカ北ケープ州原産で、乾燥した花崗岩で形成された岩場に自生しており、太く膨らんだ塊根は成長と共に表皮が剥け、どこか生姜にも似た独特の姿をしています。 最も特徴的なのは、その塊根から伸びるトゲと葉と、小さく黄色い花のコンビネーション。 トゲは花後の花柄が残ったもので、ユーフォルビアの一部の品種(バリダやステリスピナ)がこのような特性があるため、ユーフォルビオイデス(ユーフォルビアみたいな、の意味)の名の由来の1つとして考えられています。 放射状に伸びるヘラ状で多肉質の葉も可愛らしく、その間を縫うようにカピトゥラ状の黄色い花を咲かせる様子は、まるで鬼が花を携えているよう。 ゆえに、黒鬼城なんて和名が付いたのでしょうね。 × ※(L.f.) Toelkenは、1782年にスウェーデンの植物学者リンネ(息子のほう)が最初にこの種を発表・記載し、1978年にTylecodon 属を設立した南アフリカの植物分類学者Helmut R. ToelkenによってTylecodon属へ再分類されたことを意味しています。 × チレコドン・レティキュラーツスは、南アフリカからナミビアの乾燥地帯に自生する冬型の塊根植物で、独特なフォルムに魅了されるファンが多い“冬型塊根の代表的存在”です。 表皮がところどころ剥けた力強い塊根から複数の枝が伸び、枝先には青緑色で厚みのある多肉質の葉が密生します。 秋から冬にかけては、小さなベルのような花を咲かせ、その後に残る枝分かれしたトゲ状の花柄が複雑に絡み合い、独特の網目模様を作り出します。 学名はこの網目模様(=reticulata)に由来したラテン語です。 こうして残った網目状の花柄こそ、チレコドンのトレードマークともいえる特徴で、網目の密度が高く、なおかつ枝が短く全体的に締まった姿のものは「良型」とされ、高値で取り引きされます。 価格はさておき、この摩訶不思議なフォルムは、いつまでも眺めていたくなります。 和名の「万物想」とは、よく名付けたものです。 写真は海外の所有者の株だが、こうなると日本では4〜5万円はする。 Photo by Valentino Vallicelli/llifle.com 成長はとても遅く、枝を徒長させずに塊根部を太らせるには、灌水をかなり辛めにおこない、休眠期に十分に光を当てるなど、栽培手腕と、花柄が味わいを増すだけの長い年月が必要ですが、基本的には後述の「育て方」のポイントを押さえれば、初心者でも無難に育てることは可能です。 × (Schönland) Toelkenは、1730年に南アフリカの植物学者Selmar Schönlandが最初にこの種を発表・記載し、1978年にTylecodon 属を設立した南アフリカの植物分類学者Helmut R. ToelkenによってTylecodon属へ再分類されたことを意味しています。 Pearsoniiという種名は南アフリカの植物分類学に貢献したピアソン(HW.Pearson)氏に由来。 × チレコドン・ペアルソニーは、南アフリカのノーザンケープ州やウエスタンケープ州、そして南西ナミビアの乾燥地帯に分布しています。 標高300〜1100mほどの岩場や砂礫地に自生しています。 地際には肥大した塊根を持ち、同種のレティキュラーツスよりはどっしりと低重心な印象で、同様に成長はとてもゆるやかです。 野生種は最大のものとなると地上部は高さ30cm、塊根直径は12cm前後まで肥大しますが、園芸品種として流通しているものは、塊根の直径が3〜4cm、枝幅が10cm程度のものが主流。 細長い多肉質の葉はレティキュラーツスよりも明るい灰緑色で、落葉後に淡いクリーム色の花を咲かせますが、レティキュラーツスのように花柄は残りません。 ゆえに、“さっぱりとしたレティキュラーツス”、という印象ですが、夏の落葉後の花崗岩のような無骨な造形美こそがペアルソニーの醍醐味であり、愛好家の心を惹きつける理由といえるでしょう。 × (L.) L'Hérは、1753年にスウェーデンの植物学者Carl Linnaeus(カール・リンネ)がこの種を正式に記載し、1789年にフランスの植物学者Charles Louis L’Héritier de Brutelle(ルイ・レリティエ・ド・ブルテーユ)によりPelargonium属へ再分類されたことを意味しています。 × ペラルゴニウム・トリステは、南アフリカのノーザンケープ州やウエスタンケープ州の岩や石の多い乾燥地帯に自生しており、1632年に英国で発表されました。自生地以外の地で紹介された最初のペラルゴニウム種とされています。 古木のようなコルク質の塊根を持ち、塊根の上部から生える茎にはニンジンの葉のような細かい葉をつけています。葉の表面は銀白色の微毛で覆われ、光を反射するような独特の質感を持っています。 花は小さな星形で、傘状に集まった花序を形成し、淡い黄色や薄いピンク色の花弁に暗赤色の斑点が入ることもあります。 夜間に甘い芳香を放つことから「Night-scented Pelargonium (夜香のペラルゴニウム)」とも呼ばれており、丁寧に育てれば長年にわたりその個性的な姿と香りを楽しむことができます。 ちなみに、トリステは塊根の形によって見た目の印象が大きく変わるため、フォルム選びにこだわる愛好家が多い印象です。 というのもトリステは成長速度が極めて遅く、10年かけても数mmしか太らないことから、購入後に塊根の形が変化することはほぼありません。 そのため、最初の形選びがとても重要になります。 × Dinterは、この種が1926年にドイツの植物学者Moritz Kurt Dinterにより発表・記載されたことに由来。 × ペラルゴニウム・ミラビレは、南アフリカのナミブ砂漠地域が原産。 最も特徴的なのは、サンゴのように複雑に分岐した枝の構造です。 このため、塊根植物というよりは「灌木」にカテゴライズされることもあります。 主幹は非常に短く、直径は最大で約4cm程度であり、そこから細くて硬い枝が放射状に広がり、全体で直径約60cmに達することもあります。 枝は赤褐色から灰褐色で、表面にはワックス質の物質が含まれています。 この枝、現物を見た誰もが“かりんとう”を連想するようです。 葉はとても小さく、長い枝葉を持ち、表面はグレーグリーンで柔らかく、両面に微毛が生えていて、これがまた可愛らしい🥰。 開花株になると、初夏の休眠に入る前に小さな花を咲かせます。 花は、白〜薄ピンク色の花弁の中央にチェリーレッド色のドットをまとった、とても可愛らしい見た目で、まるでサンゴが花を咲かせたような印象。 × E.Mey. ex R.Knuthは、この学名をドイツの植物学者E. Meyerが1835年に提案し、ベルリン植物園の植物分類学者R. Knuthによって1912年に正式に発表されたことに由来。 × モンソニア・ムルチフィダは、南アフリカのノーザンケープ州および南西ナミビアとの国境となるオレンジ川沿いや、その沿岸砂漠帯といった海霧の掛かる乾燥地域に局地的に分布している小型の塊根性半低木です。 粗い砂礫や岩間の隙間といった、極めて水はけの良い過酷な環境に適応し、地際から太く短い主幹を伸ばし、その幹がやがて地表に近いところで水平に枝を広げて、直径20~25 cm程度までに展開することもあります。 幹の色は灰褐色〜薄茶色で、表面には短く毛が密生し、独特の質感を呈します。 晩秋になると枝の至る所からまるでパセリのような葉を展開し、その葉が多方向に裂けるように見えます。 この特徴がラテン語による学名「multifidus=多裂」の由来となっています。 また葉全体は、白~銀色の細毛に覆われ、光を浴びると葉そのものが美しく際立ち、横に広がる樹形と相まって盆栽的な趣を感じさせます。 さらに、桜を彷彿とさせる花も大きな魅力の1つです。 花期になると、枝先から花茎を僅かに伸ばし、直径2.5~3 cmの淡いピンク色の花を咲かせるのですが、花弁の根元に赤いマーキングが入ることにより花の存在感が増し、この花見たさにムルチフィダを求める方も多くいます。 × Wyleyの表記は、1850年代後半にこの植物を最初に発見し、新種として認識した英国の地質学者Andrew Wyley(アンドリュー・ワイリー)を指します。 ただし、Wyley自身はこの植物を学名として正式に発表していません。 ex Harv.という表記は、Wyleyの標本と記述をもとに、1863年に正式な新種記載を行ったアイルランドの植物学者William Henry Harvey(ウィリアム・ヘンリー・ハーヴェイ)を指します。 exは、「前者が記述し、後者が正式に発表した」ことを意味します。 Welwの表記は、その後、本種の形態や分類学的位置づけを再検討し、1869年に現在の Pachypodium属に移した、オーストリアの植物学者Friedrich Martin Josef Welwitsch(フリードリヒ・ウェルウィッチ)を指します。 × パキポディウム属のほとんどの品種はマダガスカル原産の夏型塊根ですが、パキポディウム・ナマクアナムは南アフリカ原産のため、日本では冬型塊根と同じサイクルで栽培され、このカテゴリーに位置付けられています。 日本では「光堂」という名で知られていますが、この名称は中国で付けられたもので、光り輝く堂(建物)のような姿に見えることから、そう名付けられたとされています。 原産地は南アフリカ共和国ノーザンケープ州および南西ナミビアの乾燥した岩山地帯、Richtersveld(リフターズフェルド)周辺です。 この地域をナマクアランドと呼ぶため、それが学名の由来となりました。 幹は基部が非常に太く、園芸個体でも直径が最大で約25 cmまで肥大する例があります。 自生地では成長すると高さが4〜5 mに達することもあり、かなり大きくなる植物です。 幹は上部に向かって細くなり、成熟時には典型的な「瓶(ボトル)型」や「クラブフット(太い足)型」のフォルムとなります。 現地で野生株を見た人々は、その姿を「神々しい」と表現するほどです。 トゲは上部ほど密集し、基部に行くほど突起が目立つ構造をしています。 また、幹の先端部分が“北向き”に傾くこともあり、この現象は、強烈な日差しや風を避けるための適応の一環と考えられています。 この姿が“人が頭を垂れている”ように見えることから、現地のサン族(San people)からは「Halfmens(半人間)」と呼ばれ、この種にまつわるさまざまな伝説が語り継がれています。 花はほかのパキポディウムとは一線を画すほど大変美しく、縦長の筒状で、内側は赤味を帯び、外側は黄緑など淡色をしています。 ただし栽培難易度は、あらゆる塊根植物の中でも1〜2を争うほどの難物で、塊根上級者以外にはおすすめできません。 × (Pillans)G.D.Rowleyは、この種が1928年に南アフリカの植物学者Neville Stuart Pillansにより、Portulacaria pygmaeaとして発表・記載され、1996年にゴードン・ダグラス・ローリーによりCeraria属へ再分類されたことに由来。 × ケラリア・ピグマエアは、南アフリカ北ケープ州とナミビア南部の乾燥地帯に自生しています。 まるで古木のような塊根が特徴で、そこから太く短い枝を不規則な方向に伸ばし、全体的に小型の低木のような姿になります。 成長期には厚く丸みのあるグレーグリーンの多肉質の葉が多数展開し、異形な塊根とその可愛らしい葉のミスマッチが、まるでおとぎの国に誘われたかのような感覚を覚えます。 このファンタジーな見た目こそがピグマエア最大の魅力。 成長しても高さはおよそ20cm前後とコンパクトで、成長速度はとても遅いです。 ピグマエアは雌雄異株(雄株と雌株が別々)のため、オス株の花は緑がかった白、メス株の花は淡いピンク色の小さな花と、雌雄で色が異なる花を咲かせます。 古木のような風格は和鉢などで合わせると盆栽的な造形美を楽むこともでき、それも魅力の1つです。 野生個体が極めて少なく、保全の面からも大切にされている希少種であり、その神秘的で静かな佇まいが、多くの愛好家を惹きつけています。 ただ、塊根の形によって見た目の印象がまったく変わるため、理想のフォルムに出会えるまで徹底して妥協しない愛好家が多い印象です。 これは前述のペラルゴニウム・トリステ同様、本種も数年規模ではほとんど形が変化しない超極遅の成長速度ゆえに、最初の“形選び”がとても重要になるからです。 ちなみに名前の由来ですが、属名のCerariaは塊根から生える枝が動物の角に見えることからギリシャ語で角を表すkeras(ケラス)に、種名のPygmaeaはラテン語で小人を意味するpygmaeus(ピグミウス)に由来するとされています。 × LEDライトで特に気をつけたいのは、光源からの距離です。 距離が離れすぎると徒長の原因になるため、塊根植物の栽培で使用されることの多い植物育成LEDライト「AMATERAS」や「TSUKUYOMI」などの場合は、光源から30〜50cmの範囲を目安に設置するのがおすすめです。 ただし、製品によって照射角度・光量・PPFDなどのスペックが異なるため、使用するライトのメーカー推奨値を必ず確認してください。 •植物育成LEDライトの詳しい情報は👉🏻コチラ × エアコンでは空気は循環できないのか? という質問をよくいただきますが、エアコンとサーキュレーターでは“空気の動かし方”が根本的に異なります。 まずエアコンは、基本的に室内の温度を調整することを目的とした機器です。 そのため吹き出し口付近だけ風量が強く、風の向きも一定、またはわずかにスイングする程度に限られます。 部屋全体の空気を均一に動かすようには設計されていないため、温度自体は変化しても、室内には必ず“空気が滞留する場所”が残ってしまいます。 特に塊根植物を置きやすい棚の上や部屋のコーナー、窓際などは、もともと空気が動きにくい“デッドスペース”になりがち。 エアコンの風は、こうした細かなスペースまで十分に届かないことが多く、株の周囲だけ湿気や熱がこもる原因になり、空気の停滞が根腐れやカビの発生、病害虫の誘発にもつながります。 一方でサーキュレーターは 「空気そのものを攪拌し、循環させること」 を目的とした機器です。 エアコンの風との大きな違いは、その風の質にあります。 サーキュレーターは直線的で強い風を壁や天井に向けて送り、室内に大きな空気の流れ(循環ループ)を作り出すことで、部屋全体の空気をまんべんなく撹拌します。 この空気循環により、株の周囲や植物棚の上に生じやすい「空気のよどみ(=蒸れ・湿度の偏り)」 を効果的に防ぐことができます。 塊根植物にとっては、エアコンだけでは不十分で、サーキュレーターを併用して“空気を混ぜる”ことが非常に重要になります。 ちなみに一般的な扇風機は人体用に設計されているため構造的に風を拡散させてしまい、室内空気の循環には不向きです。 •サーキュレーターの詳しい情報は👉🏻コチラ × 見た目が酷似している「メキシコ亀甲竜」という夏型の塊根植物があり、区別するために本種を「アフリカ亀甲竜」と呼ぶこともあります。 × 野生種は、南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、VU(Vulnerable=準・深刻な絶滅危惧種)として評価されています。 × 2023年4月25日付けのCITES(ワシントン条約)通知(Notification to the Parties 2023)において、同年2月23日にCITES附属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。 ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。 × 2023年5月21日よりCITES(ワシントン条約)附属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。※P67参照。 ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。 × 2023年4月25日付けのCITES(ワシントン条約)通知(Notification to the Parties 2023)において、同年2月23日にCITES附書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。 野生種は、南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、LC(Least Concern=軽度な絶滅懸念種)として評価されています。 × 2022年4月にIUCN(国際自然保護連合)により「Critically Endangered (絶滅寸前種)」に指定。 2023年5月21日よりCITES(ワシントン条約)附属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。※P70参照 ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。 ⚠️以前は「サルコカウロン属ムルチフィズム」という学名でしたが、1996年にドイツの植物学者Focke Albersの論文により、サルコカウロン属がモンソニア属に統合されたことにより「モンソニア属ムルチフィダ」に学名が変わりました。 × 2021年5月にIUCN(国際自然保護連合)により「Least Concern (軽度の絶滅懸念)」に指定。 南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」では、野生種はCR(Critically Endangered=絶滅寸前種)に指定。 CITES(ワシントン条約) 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 × 野生種は南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、EN(Endangered=深刻な絶滅危惧種種)として評価されています。 2023年5月21日よりCITES(ワシントン条約)附属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。※Appendices参照。ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。
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多肉・サボテン

ユーフォルビアの魅力大解剖! 編集部員Kが個性溢れる秘蔵17株をご紹介
いまユーフォルビアが面白い! その理由 サボテンともパキポディウムとも違う、異形の楽園 ユーフォルビア属(Euphorbia)は、世界中の愛好家から注目される多様性豊かな植物グループで、現在約2,000種が知られています。魅力は何といっても、同じ属とは思えない形状や性質の幅広さ。柱サボテンのように直立しトゲを持つもの、パキポディウムのように膨らんだ塊根(かいこん)タイプ、鮮やかな葉色や奇抜な花を見せるものなど、姿は千差万別です。多肉植物ファンはもちろん、観葉植物ファンからも注目されており、その独特な世界観に魅了される人が爆増中です。 ユーフォルビア属(以下、ユーフォルビア)は、形や見た目だけでなく、原産地もアフリカ、マダガスカル、インド、南米など多岐にわたり、各地の厳しい環境に適応して進化してきました。 そのため、姿の面白さに加え、植物としての“生き様”にも奥ゆきを感じさせます。今回は、知れば知るほど深みにハマるユーフォルビアを、私編集部員Kのコレクションから厳選してご紹介します。 多肉好きが進化の系譜の中で絶対ハマる「ユーフォルビア属」 多肉好きの方は、人によって順序は異なりますが、趣向における“進化の系譜”というものを持っています。私のケースでいえば、まずは「サボテン」にハマり、次にホームセンターで買える安価で初心者向けの通称「“ホムセン”ユーフォルビア」➡️「塊根(コーデックス)」➡️そして高価で栽培技術を要する「“レアモノ”ユーフォルビア」と、こんな感じ。 同じ道を歩む人も多いようで、案外これが王道なのかも、と思っています。ホムセンとレアモノの間に塊根が入ったのは、パキポディウムをきっかけに塊根の魅力に目覚め、やがてレアなユーフォルビアの中に塊根的な魅力を持つ種があると知り、そこに没入していったからです。ユーフォルビアは価格、姿、レア度、栽培難易度の幅が非常に広く、同じ属とは思えない多彩な世界観を楽しめます。経験や興味に応じて選べ、育てながら自然と視野が広がっていく感覚がある。だからこそ、その魅力は尽きません。ユーフォルビアはまさに“進化の系譜”に寄り添ってくれる存在だと感じています。 そして私はコレクターになった(編集部員Kの場合) 手間をかけた分だけ、新鮮な世界観で応えてくれる 私が最初に買ったユーフォルビアは、ユーフォルビア「大雲閣」。 都内のホームセンターで500円(税込)で購入した、いわゆるホムセン・ユーフォルビアです。当初はサボテンの仲間だと思い込んでいましたが😅、調べるとユーフォルビア属の多肉植物だと知り、驚きとともに愛着が急速に深まりました。水やりのタイミング、光の好み、旺盛に子株を吹いてゴージャスに変化していく姿・・・。購入時には想像もしなかった表情を次々と見せ、私は完全に心を奪われました。気づけば毎晩、ほかのユーフォルビアを検索する自分がいたのです。手間をかけた分だけ、小さな変化から劇的な変化まで応えてくれる、それがユーフォルビアの醍醐味なのです。 さらに、ほとんどの品種が「サイアチアム(cyathium)」と呼ばれる特殊な花序を咲かせます。サイアチアムは蜜腺を持つ嚢胞状または杯状の花で、複数咲く場合は「サイアチア(cyathia)」と呼び方が変わります。その花が現れる瞬間、ユーフォルビアが秘める奥深さにハッとさせられ、ますます魅了されていきました。彼らを部屋に並べるだけで、自分だけの静かな異世界が広がる感覚に包まれます。 ユーフォルビア・ハナキリンのサイアチア。 被写体としての魅力 じつは私は音楽業界を主戦場とするフリーランスのフォトグラファーでもあり、これまで国内外の数多くの音楽アーティストを撮影してきました。音楽アーティストは、強烈な個性を放つ存在です。シャッターを切る瞬間、こちらの感性と彼らのエネルギーがぶつかり合い、写真に緊張感が宿る。その感覚を、ユーフォルビアにも覚えるのです。異形のシルエットや肌の質感が放つ存在感は、まるでアーティストの放つvibes(波動)。「この角度が本質だ」「この枝の陰影がこの株らしい」、そう感じながらレンズを向ける時間は、表現者としての喜びに満ちています。 ユーフォルビアは、写真にすると本当に面白い。全体を収めるのもよいですが、特におすすめはズームで拡大して一部を切り取るスタイル。 iPhone14 Pro 通常の写真モード(露出+1.7)で撮影。球体の場合、全体を写さず幹肌の一部にフォーカスを固定し、表現したい部分(この場合は幹肌の美しさ)を大胆に切り取ったほうがダイナミクス溢れる1枚が撮れる。 普通に全体を撮った場合。まん丸とした可愛さは感じられるものの、”作品”としては面白みに欠ける。 トゲの先端、幹肌の凹凸、葉のカール・・・気になる箇所に寄れば、肉眼では気づきにくいコントラストや立体感が鮮明に立ち現れ、高揚感を味わえます。その瞬間、ユーフォルビアが放つ“声”に気付くのです。 個性爆発! 編集部員Kの秘蔵ユーフォルビア17選 ⚠️ [🪴特徴] [✨魅力] [🌱育て方]は、各項目をタップ(クリック)してご覧ください。 立ち姿系ユーフォルビア ユーフォルビア属の中でも、比較的立ち姿に味わいがあり、葉やトゲをしっかりと持つタイプ。多肉ビギナーにも親しみやすい見た目ながら、観察していると、かなり奥が深いことに気付きます。四季の変化や成長サイクルも感じやすく、日々の変化が楽しいカテゴリーです。 大雲閣(ダイウンカク) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia abyssinica J.F.Gmel. (Euphorbia acrurensisとして扱われる場合もあり) 別名/和名:Desert candle(砂漠のロウソク)/大雲閣(ダイウンカク) 原産地:エチオピア、ソマリア、スーダン、エリトリア(ホーン・オブ・アフリカ一帯) 栽培難易度:★★☆☆☆(丈夫で初心者向き) 市場価格帯:小型株500〜1,500円前後。中〜大型株は2,000〜1万円程度までと幅広い 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 大雲閣は、ユーフォルビア属の中でも特にサボテンらしい柱状の姿が特徴です。 3〜4本の稜を持つ茎がまっすぐに伸び、稜には等間隔にトゲ状の突起と小さな葉が並びます。 この突起はユーフォルビア特有の「仮葉」と呼ばれ、ロウソクに火が灯ったように見えることから、海外では"Desert candle(砂漠のロウソク)"とも呼ばれます。 春〜秋の成長期にはぐんぐん背丈を伸ばすため、鉢のサイズや支柱の工夫が必要。 自生地では高さ10mに達する個体も確認されており、茎の色合いは光の加減でライトグリーンから深緑まで多彩に変化します。 大雲閣の魅力は何といっても、圧倒的なシルエットの美しさにあります。 特に光を受けて浮かび上がる稜の陰影は、まるで自然が作り上げた彫刻のような造形。 背筋をピンと伸ばし、上に向かって突き進むようなフォルムは、眺めていると気持ちまで上向きになります。 また、柱状の茎が複数に分岐して増えていくことで、株全体がどんどん立体的になっていき、成長も早いため毎年異なる姿で楽しませてくれます。 インテリアとしても室内に1鉢あるだけで、空間の印象が引き締まり、グリーンというより“彫刻オブジェ”のような存在感を放ちます。 とにかく安価で育てやすく、それでいて個性もある。 ビギナーにもベテランにも愛される理由が、実際に育てるとよく分かります。 ☀️置き場所▶︎屋外では遮光して風通しのよいところで管理。 屋内管理の場合でも日当たりのよい場所が最適。 直射日光にも比較的強いが、昨今の夏場の強光下では葉焼けを起こす可能性があるため、夏場は屋外の場合は40〜50%程度の遮光をするか、屋内の場合はレースのカーテンごしくらいの明るさで管理するのが望ましい。 また、風通しのよさを確保できると◎。 💧水やり▶︎乾燥にはかなり強く、逆に蒸れを嫌うため、春〜秋は土の表面が乾いてからたっぷりと(目安は週一回程度)。 冬は量、回数共に控えめに(月1回、用土表面が湿るくらいでOK)。 ⚠️注意点▶︎あまりに伸びすぎた場合は、切り戻して仕立て直すことも可能。 ただし、切り口から毒性のある白い樹液が出るため、肌につかないよう要注意(切り口は程なくして固まる)。 花麒麟(ハナキリン) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia milii 別名/和名:クラウン・オブ・ソーンズ(キリストの茨)/花麒麟(ハナキリン) 原産地:マダガスカル その他:CITES附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★☆☆☆(丈夫で花付きもよく、1年を通して楽しめる) 市場価格帯:一般的な園芸品種は1,000〜2,000円。希少種や斑入り種は3,000〜1万円前後と幅広い。 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 花麒麟は、ユーフォルビア属の中でも特に「花を楽しめるタイプ」として知られています。 鋭いトゲをまとう枝ぶりとは対照的に、枝先にはポップでカラフルな花(サイアチア)が咲き、まばゆい太陽の光によく映える南国らしい無邪気さを感じさせます。 花色は赤・ピンク・白・黄など多彩で、開花期も長く、栽培に慣れれば年に何度も花を楽しめます。 園芸的にも古くから親しまれ、東南アジアでは縁起植物としての人気も高い存在です。 茎は細めながら硬質で、等間隔に鋭いトゲがびっしりと並びます。 このトゲの姿が、中国神話に登場する伝説の霊獣「麒麟」を思わせることから、和名の由来になったといわれています。 まさに「飾れる、咲かせられる、愛でられる」と、三拍子揃った花麒麟。 私がこの植物に惹かれたのは、“トゲと花のコントラスト”の妙にあります。まるで硬派な革製品に花柄の刺繍が入っているような、“ギャップに美が宿る”植物なんです。 また最近は、園芸用に作出された斑入り品種や八重咲きタイプも流通しており、よりコレクタブルな存在へと進化を遂げつつあります。 風水では麒麟は平和と安定のシンボルとされ、花麒麟は災いを遠ざけ、福を招くといわれています。 ☀️置き場所▶︎日光をしっかり浴びることで花付きがよくなる。 室内でも育つが、成長期は戸外の日なた〜半日陰に出すと元気に育つ。 耐寒性・耐暑性・耐光性が強いので、関東以南では地植えも可。海外では垣根として植えている家も。 💧水やり▶︎乾燥には強いため、春〜秋は土の表面が乾いてからたっぷりと(目安は週2回程度)。 冬は量・回数とも控えめに(月1回、表面が湿る程度でOK)。 ⚠️注意点▶︎トゲに注意して扱うこと。 茎が旺盛に伸びるため、剪定や植え替えの際には樹液に注意。厚手の手袋の着用を推奨。 🌺花麒麟に関しては、こちらの特集記事でも詳しく紹介しています。 大正麒麟(タイショウキリン) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia officinarum subsp. echinus Hook.f. 別名/和名:大正麒麟(タイショウキリン) 原産地:モロッコ、西サハラ、モーリタニア 栽培難易度:★★☆☆☆(初心者でもOK。ただし冬越しには少し注意) 市場価格帯:小型株:500〜1,200円程度。中〜大型株:2,500〜6,000円前後 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 大正麒麟は、マットグリーンの幹肌に白い稜から伸びる白いトゲがとても個性的。 室内で栽培すれば、インテリアグリーンとしても映える存在です。 成長はやや早めで、野生種はモロッコの乾燥した沿岸や高地という過酷な環境に自生しているため、栽培条件さえ整えば非常に丈夫な株に育ちます。 さらに子株を吹きやすく、自生地ではユニークな群生株に頻繁に出会えるといわれています。 春〜夏にかけて成長点付近に、下の写真のような赤いサイアチア(花)を咲かせます。 この小さな赤い花と、鋭いトゲのアンバランスさも特徴的です。 先端に付着する黄色い部分は花粉。 ちなみに和名の「大正麒麟」については、由来は定かではありませんが、大正時代に日本に渡来したことが考えられます。 また“大正”という表現には、姿が豪壮になったタイプを指す場合もあり、その堂々とした見た目に“大正時代の豪華さ、モダンさ”を重ねて名付けられたという説もあります。 まず驚いたのは、親指ほどの小株が398円という、かなり手頃な価格で手に入ったこと。 なのに見た目はどこかアートピースのようで、すでに完成された存在感があります。 そのうえ、私の株はまだ小株ですが、SNSの投稿をチェックしてみると、育て方次第でシャープにも、ずんぐりした迫力系にも変化し、仕立てる楽しさも味わえる。 特にこの株は、不規則な方向に伸びる白いトゲがワイルドで、ちょっとやんちゃな存在感を放ちます。 ☀️置き場所▶︎成長期の春〜秋は日当たりと風通しのよい屋外が理想。 しっかり日に当てることで締まった姿に育つ。 夏の直射日光が強すぎると葉焼けすることがあるので、真夏は遮光ネット下か、半日陰に避難させるのが望ましい。 冬は室内の明るく暖かい場所に取り込み、最低5℃以上を保つこと。 💧水やり▶︎春〜秋は土が完全に乾いてからたっぷりと(目安としては週1回)。 湿気に弱いため、鉢底から水が抜けるようしっかり管理。 冬は量、回数共に控えめに(月1回、用土表面が湿るくらいでOK)。 ⚠️注意点▶︎根腐れしやすいため、水の与えすぎと過湿に注意。 ネリフォリア 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia neriifolia 別名/和名:日本ではそのままネリフォリア。かつてはインドユーフォルビアなどと呼ばれたことも。 原産地:インド〜南アジア(特に中央インドや東部インド地域)を原産とし、東南アジアやニューギニアにも広く分布 栽培難易度:★★★☆☆(非常に成長が早く丈夫だが、好樹形を保つための管理には注意が必要) 市場価格帯:小型株で2,000〜5,000円。成熟した株(特に幹が太く年代物)は1万円前後から。 その他:CITES附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ネリフォリアは、巨大化する可能性のある、樹木級ユーフォルビアです。 写真のような小株(樹高20cm)の茎は円柱形ですが、成熟すると茎はしっかりと五稜に角張り、そうした株は自生地では6mを超えるまでに大きくなります。 幹の先端には鮮やかなオリーブグリーンの葉がスパイラル状に付きます。 葉は成長とともに落ち、落ちた跡が独特のテクスチャーを作り、まるで自然のアート作品のようです。 また、成長の遅い品種が多いユーフォルビア属にあって、成長が非常に早いのも特徴。 個人的には、先にご紹介した「大正麒麟」よりも成長速度は速い印象です。 この株の魅力は、「可愛さ」と「雄々しさ」の同居。 離れて眺めるとチンアナゴみたいな可愛さなのですが、近くに寄って下から仰いで見ると意外にも、岬の突端に立つ灯台のような雄々しさも感じられるんです。 成熟すると雄々しさのほうが際立つということなので、この二面性が楽しめるのは小株の間だけかもしれません。 成熟すると雄々しさのほうが際立つ… ☀️置き場所▶︎直射日光を好むため、屋外の日当たりのよい場所が理想。 ただ、昨今の真夏の屋外は、本来直射日光が好きな植物にとっても葉焼けや幹焼けの危険が及ぶことがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 葉焼けや幹焼けは、程度によっては株の寿命にも影響を及ぼす場合があるため要注意。 心配な場合は完全室内栽培でもよいが、この場合LED育成ライトが必須。 耐寒性が低いため、冬は5℃以下にならないように注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜秋は土が完全に乾いてからたっぷりと(目安としては週1回)。 湿気に弱いため、鉢底から水が抜けるようしっかり管理。 冬は量、回数共に控えめに(月1回、用土表面が湿るくらいでOK)。 ⚠️注意点▶︎梅雨時の過湿には弱いため、雨季は屋内の明るい場所を推奨。LED育成ライトがあれば◎。 塊根・幹芸系ユーフォルビア 地中や株元に太く肥大した塊根(コーデックス)を持つタイプなど、ユニークな形状の幹が魅力的な種類です。葉や花よりも、幹や株元のフォルムそのものを観賞する楽しみ方から、マニアの間では「塊根・幹芸系ユーフォルビア」と呼ばれています。ゴツゴツとした見た目の中に、個体ごとの美しさや風格があり、育てるほどに愛着が増していく魅力的な品種。 蘇鉄麒麟(ソテツキリン) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia bupleurifolia × Euphorbia susannae 別名/和名:パイナップルヘッド、パイナップルコーン/蘇鉄麒麟(ソテツキリン)※※海外では和名の蘇鉄麒麟をローマ字にした”Sotetsukirin”で販売されているケースも。 原産地:園芸交配種のため人工的に作出。両親は南アフリカ原産 栽培難易度:★★★☆☆(比較的丈夫だが、水のやりすぎに注意) 市場価格帯:小型株1,500〜3,000円前後。中〜大型株は5,000円以上も 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 蘇鉄麒麟は、その名のとおりソテツを思わせるゴツゴツとした幹肌が特徴的な塊根ユーフォルビア。 交配の親株品種の1つである‘鉄甲丸’由来の規則的な凹凸を持つ塊根が、旺盛に子株を吹く性質と組み合わさり、両親の魅力を兼ね備えたユニークな造形を見せます。 上部からはマットグリーンの細長い多肉質の葉を展開し、剛健な塊根とのギャップも楽しめます。 生育期は春から秋で、成長はゆっくりながら塊根はしっかりと太り、脇から次々と子株を吹くため、日々の変化を観察する喜びがあります。 なお、ユーフォルビア鉄甲丸(E. bupleurifolia)が片親であることは確かですが、もう一方については諸説あり、瑠璃晃(E. susannae)ではなく鱗宝(E. mammillaris)だとする見解も存在します。 複数系統の混在も考えられますが、交配者や正式な命名情報は公表されておらず、日本で作出された可能性が高いとされています。 ちなみに、これが購入時(幹高約7cm)。現在の幹高49cmになるまで5年を要した。 海外で通称“パイナップルヘッド”と呼ばれるとおり、まさにパイナップルの頭という風貌で、初めて見るとつい目を奪われてしまう造形。 幹肌の質感や凹凸の陰影が特に美しく、塊根植物として扱われることも多く、その中でもデザイン性が高い部類に入ります。 また、‘瑠璃晃’の影響か、小さくまとまりやすく、盆栽的な雰囲気も漂います。 放射状に生える多肉質の葉は、上から眺めるとまるで花火のようで、アートピースのような存在感も放ちます。 春になると、葉の間から覗くたくさんのサイアチア(花)を楽しむことができます。 ☀️置き場所▶︎成長期の春〜秋は日当たりと風通しのよい場所に。直射日光に強く、屋外管理も可(ただし梅雨時は雨よけを)。冬は室内の明るい場所で管理。 💧水やり▶︎生育期は土が完全に乾いたらたっぷりと。 塊根の保水力が高いため、水のやりすぎに注意。 冬は量、回数共に控えめに(月1回、用土表面が湿るくらいでOK)。 ⚠️注意点▶︎寒さに弱いため、冬は最低でも5℃以上をキープ。 鉢が深すぎると根腐れしやすいので、通気性と水はけ重視の用土で。 パキポディオイデス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia pachypodioides 別名/和名:パキポディオイデス(学名で流通) 原産地:マダガスカル北部(アンカラナ保護区のツィンギと呼ばれる数万年かけて侵食された針山のような無数の尖塔状の岩場) その他:2004年にIUCNレッドリストにより「Critically Endangered(絶滅寸前種)」に指定。CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★★☆(気難しい面もあるため、中〜上級者向け) 市場価格帯:国内実生6,000〜1万数千円。ワイルド株や大型株は2〜5万円超えも 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 「パキポディオイデス」のオイデスとは、ラテン語で“〜みたい”という意味で、その種小名の表すとおり、パキポディウムのような丸みのある塊根と幹が特徴。 先端に集中して生える葉は、生え始めの頃は赤紫色で縁取られた緑色だが、大きくなると赤紫が抜けて灰緑色となり、まるでゴムのような手触りの葉が独特な個性を放つ、とても稀少なユーフォルビアです。 手触りもさることながら、水を弾くため、本当にゴムのよう。 塊根部分は灰色〜淡褐色で、表面の凹凸とざらつきのある質感が、野趣あふれる雰囲気を醸し出します。 多くの場合、幹は枝分かれせず単一で伸びますが、上の写真の株は、頭頂部が折れてしまったため、脇から子株を吹き、それが大きく成長した結果、パキポディオイデスではあまり類を見ない奇異な形となり、とても趣深い株となっています。 通常販売されている株はこんな感じ。 開花期には長い花茎の先に赤紫色の花(サイアチア)を鈴なりに生成し、その先端はたくさんの黄色い花粉で彩られます。 ただ開花には、温度、日照、休眠期の管理などで繊細な対応が求められるため、開花させるには熟練の環境調整が必要です。 ユーフォルビアでありながら、まるで塊根植物の王様「パキポディウム」と見紛うような姿。 それでいて、塊根の表情や枝ぶりにはどこかユーフォルビアらしい趣向があって、唯一無二の雰囲気を放っています。 水やりのタイミングや湿気対策など栽培手腕はなかなか問われますが、それだけに美しく太った塊根から花茎を伸ばし、いくつものサイアチアを見せてくれたときの喜びは格別。 その姿は、まるで空想世界の植物のような雰囲気さえ漂います。 休眠期の冬に見せる、葉をすべて落とした姿は、それはそれでとてもユニーク。 いろいろな顔で楽しませてくれるパキポディオイデス、見つけたら即買いをおすすめします。 ☀️置き場所▶︎直射日光を好むため、屋外の日当たりのよい場所が理想。 ただ、昨今の真夏の屋外は、直射日光耐性が強い品種であっても葉焼けや幹焼けの危険が及ぶことがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 葉焼けや幹焼けは、程度によっては株の寿命にも影響を及ぼす場合があるため要注意。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は15℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎塊根が蒸れやすいため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 休眠の入り方、明け方もデリケートなので、急な環境変化には要注意。 トゥレアレンシス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia tulearensis 別名/和名:トゥレアレンシス(学名で流通) 原産地:マダガスカル南西部トゥレア(Tuléar)近郊の石灰岩地帯 その他:2004年にIUCNにより「Critically Endangered(絶滅寸前種)」に指定。 2025年2月7日よりCITES 附属書Ⅰ(Appendix Ⅰ)に掲載されているため、種の保全のため国際取引は原則全面禁止。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★★★(超希少種&デリケートな性質のため上級者向け) 市場価格帯:実生小型株2〜5万円前後。ワイルド株は入手困難なレベル。 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 トゥレアレンシスは、高さは低く、地を這うようにして育つ小型塊根ユーフォルビアの超希少種。 極太の塊茎から伸びる幹は扁平に広がり、直径は平均して5〜10cm程度。 ゴツゴツとした白い木肌のような質感を持ち、全身に繊細なトゲをまといます。 幹の上部から細かく短い枝を伸ばし、そこに多肉質で縮れた、緑色、青銅色、薄紫色の小さな葉を密につけます。 葉の色の違いは、個体差や紫外線による影響で変わる(あるいはその色で固定)と考えられています。 まるでSF映画に出てきそうな非現実的な形状と、手のひらサイズに凝縮された造形美。 盆栽のような雰囲気も漂わせ、塊根植物ファンの中でも“究極の1株”と称されることも。 品種自体の成長も特に遅く、なおかつ4〜5年経ってもあまり大きくならないため、緩やかな時の流れを楽しむといった感じでしょうか。 超希少種なため、入手できたらかなり幸運だと思います。 とにかく、小さくて美しい! 限られた土地と厳しい自然環境の中で育ったトゥレアレンシスは、まるで大地の精霊のような存在感を放ちます。 手のひらに収まるサイズながら、その造形の複雑さと詰め込まれた情報量には驚きの一言。 動きのある枝ぶり、味わい深い幹肌、縮れた小さな葉の付き方・・・すべてに予定調和のない美があり、前衛芸術的なものを感じます。 カメラを向けていると、不思議と「もっとよい角度を探せ!」と挑まれているような気分になるため、写真力も問われるという、なんともすごい品種です。 ☀️置き場所▶︎直射日光を好むため、屋外の日当たりのよい場所が理想。 ただ、昨今の真夏の屋外は、直射日光耐性が強い品種であっても葉焼けや幹焼けの危険が及ぶことがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 葉焼けや幹焼けは、程度によっては株の寿命にも影響を及ぼす場合があるため要注意。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は15℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎塊根が蒸れやすいため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 休眠の入り方、明け方もデリケートなので、急な環境変化には要注意。 トゥレアレンシスの水やりは、“迷ったらむしろ与えない”これが最大のコツ。 アンボボンベンシス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia ambovombensis 別名/和名:Baobab madinika(小さなバオバブ)/アンボボンベンシス(学名で流通) 原産地:マダガスカル南部・アンボヴォンベ地方(Ambovombe)、アルウディア・ディディレアの森(Alluaudia-Didierea forest)周辺の固有種 その他:2004年にIUCNにより「Vulnerable(絶滅リスク高)」に指定。CITES 附属書Ⅰ(Appendix Ⅰ)に掲載されているため、種の保全のため国際取引は原則全面禁止。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(環境が合えば育てやすいが、湿気や寒さにやや敏感) 市場価格帯:小型株5,000〜1万2,000円前後。根元が太く幹肌が荒れた“ビンテージ株”はさらに高価。 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 アンボボンベンシスは、マダガスカル南部の限られた地域に自生する希少種。 幹が太く、成長すると株元が木質化しながらコンパクトにまとまる姿が魅力です。 節ごとに縮れのある小さな葉をつける枝は、先端に短いトゲを持ち、成長は比較的ゆっくり。 自生地アンボヴォンベの乾燥した大地に適応した構造を持ち、根元が自然にバオバブのような塊根状に膨らむ個体もあります。 自生地ではそのような個体が多いため、現地語(マラガシ語)でバオバブ・マディニカ(Baobab madinika=小さなバオバブ)とも呼ばれていると聞きます。 葉はトゥレアレンシスに似ていますが、枝先のトゲはトゥレアレンシスのような繊細さよりも、力強さを感じさせます。 アンボボンベンシスは、塊根植物らしい堂々とした幹の存在感と、うねりのある優しい色彩の葉との対比が美しい品種です。 塊根ユーフォルビアの中でもアンボボンベンシスは、塊根部と葉の調和がひときわ美しいと感じています。 縮れた茶緑色の葉と、縁に入るグレーの色合いが絶妙で、そのフォルムをより際立たせています。 上の写真の手元の株はまだ小さく、幹高もわずか3.5cmほど。 どのように成長するかは未知数ですが、日光と風をたっぷり与えながら育てていけば、葉の数や縮れの美しさ、塊根の造形美も増し、かなり完成度の高い株へと育ってくれるのではないかと期待しています。 野生種は絶滅の危機にあるため、園芸個体であっても、その尊さを心に留めて、大切に育てていきたいですね。 ☀️置き場所▶︎直射日光を好むため、屋外の日当たりのよい場所が理想。 ただ、昨今の真夏の屋外は、直射日光耐性が強い品種であっても葉焼けや幹焼けの危険が及ぶことがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 葉焼けや幹焼けは、程度によっては株の寿命にも影響を及ぼす場合があるため要注意。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は15℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎塊根が蒸れやすいため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 ギラウミニアナ 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia guillauminiana Boiteau 別名/和名:ギラウミニアナ 原産地:マダガスカル北西部・Analalava/Port‑Bergé 地区の溶岩岩場 その他:2004年にIUCNにより「Endangered(絶滅危惧種)」に指定。CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(環境管理が必要だが、慣れれば扱いやすい) 市場価格帯:子型株5,000〜1万2,000円前後。古株や大型株はさらに20,000円以上 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ギラウミニアナは、密に枝分かれする多肉低木で、高さは最大で60cmほど。 全身を鋭いトゲで覆われており、その姿は我が家での呼び名であるハリネズミのよう。 幹の先端から枝が放射状に分枝し、見応えのある逆円錐形の樹形を形成します。 枝の先端には光沢ある濃緑の葉がロゼット状に付き、春にはそこから黄〜赤色の小さなサイアチアをつけます。 休眠に入ると葉をすべて落とし、トゲだけの姿に変身。 成長期とのギャップが楽しめます。 攻撃的なトゲと、エレガントなベージュの幹色とグリーンの葉とのコントラストが奏でる圧倒的な存在感に目を奪われます。 しかし株全体を遠目で眺めると、その存在感とは裏腹に、岩地にひそむような佇まいで、寄り引きとで異なったテイストを持つ、そこがなんとも面白くて、カメラを構えるとつい枚数が増えがち。 また、休眠期に入り葉をすべて落とした姿(下の写真)は、まるで白いウニみたいで面白いですよ。 私の所有株は樹高8cm程度の小株ですが、それでも十分にレアプランツ然とした風格があります。 コレクター気質を刺激するギラウミニアナは、自己主張が強めの植物が好きな人には、たまらない株です。 野生種は国際自然保護連合(IUCN)から絶滅危惧種にも指定されている大変貴重な品種なので、園芸個体であっても、その尊さを心に留めて大切に育てていきたいですね。 ☀️置き場所▶︎直射日光を好むため、屋外の日当たりのよい場所が理想。 ただ、昨今の真夏の屋外は、直射日光耐性が強い品種であっても葉焼けや幹焼けの危険が及ぶことがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 葉焼けや幹焼けは、程度によっては株の寿命にも影響を及ぼす場合があるため要注意。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は15℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎ギラウミニアナは特に蒸れを極度に嫌うため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 ステラータ(飛龍) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia stellata Willd. 別名/和名:飛龍(ヒリュウ)放射状に伸びる枝ぶりが、大地を這いながらも天へ舞い上がる龍の姿を思わせることから名付けられたと考えられる。 原産地:南アフリカ・東ケープ州の乾燥岩地帯 その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(管理しやすいが直射日光と水はけに注意) 市場価格帯:小型株2,000〜5,000円。形のよいものや大型株は10,000円前後 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ステラータは、星形に放射する枝が特徴的な、小型の塊根ユーフォルビア。 株元の塊根状の幹から、トゲの生えた深緑色の枝が放射状に広がり、それがまるで星のように見えることから、ラテン語の星を表す種小名が付きました。しかし日本人の感覚では飛翔する龍にも見えるため、飛龍という和名が付いたと考えられています。 じつに縁起がよさそうな名前ですね。ただ我が家では「大根」と呼ばれていますが(笑)。 上の写真の株だと、オランダの風車にも見えますね。 このように、見た人のイマジネーションを刺激するのもステラータの特徴かもしれません。 枝は長いものでは20cm前後まで伸び、高所に置くと鉢より下まで垂れ下がります。 また、春〜秋に開花し、枝先に緑がかった黄色の小さなサイアチアをつけます。 ステラータの魅力は、“静かな存在感”。 まるで自然が生んだアート作品のよう・・・、とまぁカッコよく言えばそうなのですが、正直言うと、大根が畑から半分顔出したような、ちょっとコミカルなテイストが気に入ったというところです😁。 扁平な枝の周囲をぐるりと飾るトゲの存在もはずせません。 どこかサボテンのような雰囲気もあり、サボテンと塊根の両方が好きな私としては、一石二鳥の楽しみをくれる存在です。 枝は伸びて垂れ下がるので、ハンギングしても絵になるのではないでしょうか。 購入先のガディンツキープランツ関さんも大のお気に入りのステラータ、とっても可愛いですよ! 一目見たら衝動買い確実です。 ☀️置き場所▶︎日光を好むため、春、および秋は屋外の日当たりのよい場所が理想。 初夏〜晩夏の屋外は、直射日光による葉焼けを起こす恐れがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は15℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎ステラータは蒸れを嫌うため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 シリンドリフォリア 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia cylindrifolia Marn.-Lap. & Rauh 別名/和名:筒葉ちび花麒麟(ツツバチビハナキリン) 原産地:マダガスカル南東部、フォートドーフィン地域のごく限られた乾燥林や茂み地帯 その他:2004年にIUCNにより「Endangered(絶滅危惧種)」に指定。 CITES 附属書Ⅰ(Appendix Ⅰ)に掲載されているため、種の保全のため国際取引は原則全面禁止。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(環境が合えば育てやすいが、湿気や寒さにやや敏感) 市場価格帯:小型株4,000〜8,000円。形のよいものや大型株は10,000円以上 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ユーフォルビア・シリンドリフォリアは、地中に球状から扁平状の塊根をしっかりと形成し、そこから細い枝が不規則に枝分かれして立ち上がる、塊根植物の王道をいくビジュアルが人気の品種。 枝先に生える多肉質の葉は円筒状で、ラテン語による種小名、Cylindrus(円筒)+folia(葉)= cylindrifolia、また、和名の”筒葉ちび花麒麟”はその姿を表しています。 葉は、若いときは鮮やかな緑色ですが、強い日差しや乾燥にさらされると赤紫色や褐色を帯び、株全体の印象が引き締まります。 時間が経つと古い葉は下から順に落ち、枝がより木質化していきます。 また、秋から冬にかけては、ベージュの苞葉に包まれた直径数ミリの小さなサイアチウムを多数咲かせ、サイアチアを形成します。 自生地では、トゲに覆われたブッシュの生い茂る砂質の痩せた土壌で生育し、乾燥と強光に適応した構造を持っています。 このため、栽培環境さえ整っていれば見た目に反して育てやすい印象です。 シリンドフォリアの魅力はなんといっても、塊根と幹の造形美が一体となった芸術的なフォルムにあります。 株全体がコンパクトながらも、地中に潜む塊根の存在感と、不規則に展開する枝とその先の葉が織りなす立体感は、コレクターや幹芸愛好家の心を強く惹きつけます。 また落葉後の休眠期には、幹や塊根の骨格がより際立ち、味のある姿で楽しませてくれます。 シリンドフォリアは、その個性爆発な樹形を最大限活かすために、鉢にこだわって盆栽的なスタイリングをすると、より存在感を発揮すると思います。 ☀️置き場所▶︎日光を好むため、春、および秋は屋外の日当たりのよい場所が理想。 初夏〜晩夏の屋外は、直射日光による葉焼けを起こす恐れがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は10℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎蒸れを嫌うため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 タコものユーフォルビア 放射状に枝を伸ばす独特な姿が特徴のユーフォルビアの一群は、愛好家の間で「タコもの」と呼ばれています。地面からにょろにょろと這い出したようなシルエットは、どこか奇妙で、好奇心を刺激するユニークな魅力を放っています。その造形の面白さや個体差の豊かさから、“通にはたまらない”ジャンルとして、じわじわと人気を集めています。見た目に反して育てやすいので、ビジュアルに惹かれた方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。 イネルミス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia inermis Mill. 別名/和名:Medusa’s Head(メデューサの頭)、Green Crown(緑の王冠) / 九頭竜(くずりゅう) 原産地:南アフリカ東ケープ州南部Jeffreys Bay〜Port Elizabeth周辺の砂礫地帯 栽培難易度:★★★☆☆(基本は丈夫だが、水管理に注意) 市場価格帯:小型株1,500〜3,000円。中〜大型株で5,000円前後 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ユーフォルビア・イネルミスは、タコものユーフォルビアの人気品種で入手もしやすいため、タコものの入門には最適。 地中に太い塊根を形成するため、鉢上げして塊根を見せることで、より怪物感や存在感を楽しめるタイプです。 名前の“イネルミス(inermis)”はラテン語の「トゲのない」という言葉に由来し、どこかサボテン的な外見ながらもトゲがほとんどないのも大きな特徴です。 枝は先端に向かってわずかに細くなり、気温や環境によって黄緑〜赤茶に色づくこともあります。 写真の株はまだそうではありませんが、開花株にまで成長すると、枝の先端に小さく白いサイアチアを咲かせます。 シンプルな外見に意外な彩りを添えてくれるのも人気の秘密かも。 まず最大の魅力は、その異形の造形美。 扁平な塊根からサボテンのような枝が四方八方に広がる姿は、まるで地底から這い出したモンスターのようでもあり、同時に禅的なバランス美をも感じさせます。 和名の”九頭竜”は、塊根から複数の竜の頭が飛び出したように見えることに由来するとされ、日本に古来より伝わる九頭龍大神の伝説になぞらえ、商売繁盛・金運守護などの縁起物として扱われることも。 個体によって枝の太さや湾曲具合に差があり、自分だけのフォルムを育てる楽しさもあります。 ☀️置き場所▶︎日光を好むため、春、および秋は屋外の日当たりのよい場所が理想。 初夏〜晩夏の屋外は、直射日光による葉焼けを起こす恐れがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は10℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎塊根部が蒸れを嫌うため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 ゴルゴニス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia gorgonis A.Berger 別名/和名:Gorgon's Head(ゴルゴンの頭)※ / 金輪際(こんりんざい)※ゴルゴンはギリシャ神話に登場するメデューサの別名のため、Medusa’s Head(メデューサの頭)とも呼ばれる。 原産地:南アフリカ、東ケープ州、サンデイズ川〜ズワルトコプス川の間の丘陵地帯 その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★★☆(やや難しい) 市場価格帯:小型株で6,000~10,000円。大型株は数万円に達することも(市場や状態により幅あり) 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ゴルゴニスは小型のタコものユーフォルビアで、球状または逆円錐形の塊根(最大直径約10 cm)を持ち、そこから放射状に細い枝が上に広がります。 若い枝は球形で、成長すると円筒形に。 枝や塊根の表面は三角形のチューバクルと呼ばれる乳頭で覆われているため、株全体に凹凸があり、そのフォルムがよりメデューサ(ゴルゴン)の頭っぽさを醸し出しています。 若い枝は成長期に小さな葉が現れますが、すぐに落葉し、特徴的な枝と塊根の造形を際立たせます。 ゴルゴニスの魅力は、なんといってもその彫刻のような美しいフォルムにあります。 放射状に広がる枝と、中央に構えるずっしりとした塊根が調和し、目に焼き付くほどの存在感を放ちます。 整った形の株はまるでアート作品のようで、インテリア性も高く、高価な大型の株を室内に飾るとより洗練された空間になります。 また、成長が比較的ゆっくりで、フォルムが乱れにくく、美しいシルエットを長く楽しめる点も人気。 流通量は限られていますが、それだけに希少性があり、塊根植物好きの方や個性的な植物を求める方にとっては“ぜひコレクションに加えたい1株”との声が多く聞かれます。 ちなみに、写真の株は、オザキフラワーパークで購入。 ☀️置き場所▶︎日光を好むため、春、および秋は屋外の日当たりのよい場所が理想。 初夏〜晩夏の屋外は、直射日光による葉焼けを起こす恐れがあるため、遮光率40〜50%の遮光ネット下での栽培を推奨。 完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 耐寒性が低いため、冬は10℃以下にならないように要注意。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 塊根の保水力が高いため、水を頻繁に与えるとかえって腐敗の恐れあり。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎全体的に蒸れを嫌うため、風通しと用土の排水性を重視。 根腐れ防止に、素焼き鉢か、排水性能の高いプラ鉢を推奨。 球状ユーフォルビア コロンと丸いシルエットが魅力の球状ユーフォルビアは、ユーフォルビア属の中でも特に人気の高いグループです。一見シンプルに見えますが、縞模様の入り方や稜の立ち方、トゲの有無など、個体ごとに大きな違いがあり、じっくり観察すると奥深い世界が広がっています。かわいらしい見た目の裏には、微妙な違いにこだわるコレクターの探究心を刺激するポイントが随所に詰まっており、ハマること間違いなしです。育てやすさと美しさを兼ね備え、初心者から上級者まで楽しめる懐の深いカテゴリーです。 オベサ 🗒️[基礎データ] 学名:Euphorbia obesa Hook.f. 別名/和名:Baseball plant(ベースボールプラント)/日本ではそのままオベサ 原産地:南アフリカ・ケープ州グレートカルー周辺の極めて限定的なエリア その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(乾燥には強いが寒さと根腐れに注意) 市場価格帯:オス株2,000〜6,000円前後。流通量が少ないメス株は6,000円〜(共にサイズや形で価格差あり)。また、共に基部が木質化した通称“ヴィンテージ株”は1万円前後から 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ユーフォルビア・オベサは、整った球体状の姿が美しい多肉植物で、8本前後の稜(りょう)を持つ独特の形状が特徴です。 表皮は緑〜灰緑色で、薄く縞模様や斑点が入ることもあり、個体によって模様の違いを楽しめます。 大きくなっても直径10cm程度とコンパクトなため、棚上やデスク周りなどでも育てやすく、"生きたオブジェ"としても大変人気があります。 オベサは雌雄異株で、開花期には株頂部にごく小さなサイアチアを咲かせます。 花は小さく地味ですが、性別を見分けるポイントになるため、種子繁殖を狙う際には重要な要素です。 オベサの最大の魅力は、そのシンプルで完璧なまでに整った球状フォルムにあります。 飾る場所を選ばず、ミニマルな美しさを追求する方にも好まれるデザイン性があり、インテリアグリーンとしての存在感も抜群です。 また、成長が比較的ゆっくりで、株姿が長期間安定するため、気に入った形を維持しやすいという点も魅力のひとつ。 近年は模様やフォルムに個性を持つ選抜株も出回っており、特に基部の木質化が進んだ通称ヴィンテージ株に注目が集まっています。 ガディンツキー・プランツで販売していた基部の木質化が美しいヴィンテージ株。 ※現在はSOLD OUT。 オベサは、初心者からコアな愛好家まで幅広い層に支持される、王道の球状ユーフォルビアです。 ☀️置き場所▶︎春から秋にかけては、日当たりと風通しのよい場所で管理。 直射日光にも比較的強いが、真夏は株表面の日焼けを防ぐために40〜50%の遮光を推奨。 冬は室内の明るい場所に移動し、寒さと湿気を避ける。 耐寒性が低いため、冬は5℃以下にならないように要注意。 年間通しての完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 株自体の保水力が高いため、水を頻繁に与えると腐敗の恐れあり。 このため“迷ったらむしろあげない”くらいがちょうどよい。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎オベサは見た目に反してやや繊細な面もあり、特に過湿と寒さには注意が必要。 用土は水はけのよい配合にし、植え替えは春に暖かくなってから行う。 ⚾️オベサに関しては、こちらの特集記事でも詳しく紹介しています。 メロフォルミス 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia meloformis W.T.Aiton 別名/和名:メロンユーフォルビア、メロンスパージュ(Melon Spurge)/貴青玉(キセイギョク) 原産地:南アフリカ・グレート・カルーおよび東ケープ州の乾燥地帯 その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆(ほどよい難しさ) 市場価格帯:小型株では3,000〜5,000円程度。選抜株や特に形が美しいものは1万円以上になることも 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ユーフォルビア・メロフォルミスは、その名のとおりメロンのような球形が特徴的。 一般に8〜12本の稜を持ち、大きいものでは高さ約20cm、直径約15cmほどに育ちます。 春〜夏には、小さな黄色いサイアチアム(花)を咲かせ、サイアチア(花の集合体)を形成します。 花は「ペデュンクル」と呼ばれる短い花柄の先端に1つずつ付き、開花後も枯れずに残ります。 この花柄の跡が積み重なることで、メロフォルミスならではの独創的なフォルムが生まれるのです。 また、緑とクリーム色のマーブル模様が美しい斑入りの品種「メロフォルミス錦(Euphorbia meloformis f. variegata)」も人気。 自然界で突然変異で生まれたものが、育苗家によって選抜・繁殖され固定流通しています。 錦モノは小株のうちは価格差が少ないものの、直径10cmを超える大株になると通常株の2〜3割ほど高価になる傾向があります。 メロフォルミスの魅力は、もぎたての果実のような瑞々しさとシンプルな球形フォルム。 丸みを帯びたラインは余分な装飾を一切排し、洗練された美しさを感じさせます。 オベサの栽培を経験した方が、さらに違う種類の球状ユーフォルビアを、という際に選ばれることが多いようです。 オベサと同じように、成長が比較的ゆっくりであるため、形が崩れにくく、長く美しい姿を保てる点も嬉しいポイント。 余談ですが、オベサを最初に発見した植物学者は当初、オベサより以前に発見されていたこの“メロフォルミスの新種”としてオベサを持ち帰った、というエピソードがあります。 ちなみに、メロフォルミスもオベサと同様に雌雄異株のため、交配を行うにはオス株とメス株が必要となります。 私の所有するメス株の雌しべ。オベサ同様、錨⚓️の形をしている。 ☀️置き場所▶︎春から秋にかけては、日当たりと風通しのよい場所で管理。 直射日光にも比較的強いが、真夏は株表面の日焼けを防ぐために40〜50%の遮光を推奨。 ⚠️メロフォルミス錦に関しては直射日光に弱いため、夏季は40〜50%、秋〜春は20〜30%の遮光を推奨。 冬は室内の明るい場所に移動し、寒さと湿気を避ける。 耐寒性が低いため、冬は5℃以下にならないように要注意。 年間通しての完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 株自体の保水力が高いため、水を頻繁に与えると腐敗の恐れあり。 このため”迷ったらむしろあげない”くらいがちょうどよい。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎球状ユーフォルビアは見た目に反してやや繊細な面もあり、特に過湿と寒さには注意が必要。 用土は水はけのよい配合にし、植え替えは春に暖かくなってから行う。 バリダ 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia valida N.E. Br.(※Euphorbia meloformis ssp. valida の同義とされることもあります) 別名/和名:バリダ(学名で流通)/万代(バンダイ) 原産地:南アフリカ・東ケープ州、ジャンズヴィル、ステイトルヴィル、サマセットイースト、アルバニー周辺の半砂漠地帯 その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆ 市場価格帯:市場価格帯:小型株5,000〜10,000円。スーパーバリダやスーパーブラックなどの選抜株や形のよい株は1万円以上になることも 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 ユーフォルビア・バリダは、球形またはやや円筒形の胴体に8〜12本の稜を持つ比較的大きめの球状ユーフォルビアです。 メロフォルミスと非常に似ていますが、花後に残る花柄(ペデュンクル)がより多く、そして長期間残る点が特徴です。 この花柄の量が多く、そして長く、なおかつボディが良形の株は、市場では“スーパーバリダ”と呼ばれ、流通も稀なことから、一般的なバリダよりも3〜5割くらい高価になります。 ちなみに上の写真は直径3.8cmの小株ながらも、スーパーバリダとスーパーブラックという特選株同士を掛け合わせたハイブリッド株。 選抜株同士の交配も楽しいですが、オベサ同様に雌雄異株のため、行うにはオス株とメス株が必要となります。 バリダの魅力は、球状ユーフォルビアらしい整ったフォルムと、成熟後も残る長い花柄からなる、個性ある見た目の絶妙なバランスにあります。 花柄はメロフォルミスより高さが出るため、ビジュアル的な存在感がさらに際立ちます。 この残った花柄により、長く株の変化を楽しめるのも魅力です。 「スーパーバリダ」や「スーパーブラック」など、育種家が作出した希少性のある選抜株は、コレクター心をくすぐるため、バリダだけをまるで何かに取り憑かれたように蒐集する突出したコレクターも多いと聞きます。 怖いですね😅。 ☀️置き場所▶︎春から秋にかけては、日当たりと風通しのよい場所で管理。 直射日光にも比較的強いが、真夏は株表面の日焼けを防ぐために40〜50%の遮光を推奨。 冬は室内の明るい場所に移動し、寒さと湿気を避ける。 耐寒性が低いため、冬は5℃以下にならないように要注意。 年間通しての完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 株自体の保水力が高いため、水を頻繁に与えると腐敗の恐れあり。 このため“迷ったらむしろあげない”くらいがちょうどよい。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎球状ユーフォルビアは見た目に反してやや繊細な面もあり、特に過湿と寒さには注意が必要。 用土は水はけのよい配合にし、植え替えは春に暖かくなってから行う。 群星冠(ぐんせいかん) 🗒️ [基礎データ] 学名:Euphorbia stellispina Haw. 別名/和名:ステリスピナ(学名由来/ラテン語で「星のとげ」の意味)/ 群星冠(グンセイカン) 原産地:南アフリカ、主にカルー地方やゴルドニアの乾燥した岩場など その他:CITES 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。 栽培難易度:★★★☆☆ 市場価格帯:小型株4000円前後。成熟株は1万円になることも。流通が少ない分、価格に幅があります 🪴特徴 ✨魅力 🌱育て方 群星冠は、放射状に広がる鋭い星形のトゲが特徴。 このトゲは春〜初夏に咲く黄色いサイアチアの花後に残った花柄が硬化したもので、株全体に独特のフォルムを与えます。 また、トゲは最初は鮮やかなピンク色をしていますが、時間の経過とともに赤褐色へと変化し、色合いの移ろいも楽しめます。 幹は濃緑色で、10〜16本の稜と、多肉植物の形態学上で「乳頭(tubercle, チューバクル)」と呼ばれる、トウモロコシの実のようにポコポコと規則的に並んだ突起に覆われています。 幼苗期は球形に近い姿ですが、成長とともに柱状に伸び、高さは60cm前後、直径20cmほどに達することもあります。 また、基部から多数の子株を吹き、群生株を形成する姿もよく見られます。 成長点には一時的に小さな葉(下の写真)を展開しますが、すぐに落ちてしまいます。 しかしその跡は腺点として残り、株全体の表情に独特のアクセントを与えます。 我が家では「もろこしアンテナ」と呼ばれている群星冠。 その魅力は、ほかにはないアンテナのような“トゲの放射美”にあります。 星形に広がるトゲは、見る角度によって表情が変わり、まるで宇宙の星のよう。 見れば見るほどアーキテクチュアルで、室内に飾ると抜群の存在感を放ちます。 珍な見た目に反してとても育てやすいので、ちょっと変わった”球モノ”を育てたい方にはおすすめです! ☀️置き場所▶︎春から秋にかけては、日当たりと風通しのよい場所で管理。 直射日光にも比較的強いが、真夏は株表面の日焼けを防ぐために40〜50%の遮光を推奨。 冬は室内の明るい場所に移動し、寒さと湿気を避ける。 耐寒性が低いため、冬は5℃以下にならないように要注意。 年間通しての完全室内栽培も可能だが、この場合LED育成ライトとサーキュレーターによる空気循環が必須。 💧水やり▶︎成長期の春〜初夏、秋は土が完全に乾いたらたっぷりと与える。 株自体の保水力が高いため、水を頻繁に与えると腐敗の恐れあり。 このため“迷ったらむしろあげない”くらいがちょうどよい。 成長が鈍化する真夏は、週2回、夕方以降に用土表面が湿るくらいに留める。 LED育成ライトやサーキュレーターを設置するなど、環境を整えた室内栽培の場合は夏季も環境が安定しているため、土が完全に乾いたらたっぷり与える。 冬は量、回数共に控えめにし、月1回、用土表面が若干湿るくらいに留める。 ⚠️注意点▶︎球状ユーフォルビアは見た目に反してやや繊細な面もあり、特に過湿と寒さには注意が必要。 用土は水はけのよい配合にし、植え替えは春に暖かくなってから行う。 ユーフォルビアを育てる上での共通するポイント 冬の水やり ユーフォルビアの水やりは「乾燥気味」を基本に、品種や季節に応じて調整する必要があります。冬場は多くが休眠に入りますが、完全な断水は避けましょう。ユーフォルビアは根の張りが強くないため、極端な乾燥で細根が傷むと、春の立ち上がりが鈍くなります。目安としては、週に1回、ごく少量の水を与えるのがポイントです。 完全室内で育てていても株は季節を感じ取るため、鉢底から流れるほどの水やりは不要。冬は用土表面を上の動画で行っているように、「ほんのり湿らせる」程度がちょうどよいのです。株に水がかかっても問題はありませんが、できれば拭き取ってあげると安心です。 用土 ユーフォルビアは排水性の高い土壌を好むため、用土選びでは「水はけのよさ」が最重要ポイントです。初心者なら市販の多肉植物・サボテン用培養土で十分。根腐れのリスクを抑えつつ適度な保水性もあり、扱いやすいので安心です。栽培にこだわりたい中級者以上には、自分で配合するブレンド土がおすすめ。赤玉土、鹿沼土、軽石、日向土、ゼオライトなどを組み合わせ、理想的な環境を追求できます。また、ガーデンセンターや専門ショップのオリジナルブレンドも優秀です。たとえば、ガディンツキープランツやオザキフラワーパークの専用用土はプロが植物特性に合わせて調整しており、仕上がりの美しさにもつながります。 ガディンツキー・プランツ関さんによる多肉用土は筆者のお気に入り。 施肥 ユーフォルビアは痩せた土地でも自生できる力を持っているため、少ない栄養で十分に育ちます。与えすぎると枝の徒長や株全体の形崩れの原因になるため、普段の栽培では基本的には追肥は不要。植え替えどきに少量の堆肥や緩効性肥料を混ぜるだけで十分です。ただし、開花後にタネを採取した株には、消耗した栄養を補う“お礼肥え”として、成長期(春〜秋)の晴天時にごく薄めた液肥を少量与えると、回復がスムーズになり効果的です。施肥の基本は「控えめ」。与えすぎないよう心がけましょう。 液体肥料『ハイポネックス』の場合、2Lペットボトル満量の水に対し、キャップ内のシールリング(円錐状の突起)すり切り未満くらいが適量。500mLのペットボトルの場合は、ほんの1滴でよい。 個体差と“クセ”を楽しむ姿勢 ユーフォルビアの魅力は、品種ごとの特徴だけにとどまりません。同じ品種でも、1株ごとに驚くほどの個性があり、茎のうねり方やトゲの形、成長スピードまで、まるで「その株だけのストーリー」を持っています。こうした個体差こそが、育てる面白さ。 マニュアルどおりに育てるのではなく、目の前の株が何を求め、どんな表情を見せるのかに耳を傾ける。そんな柔軟な姿勢で向き合うことで、ユーフォルビアの奥深さはぐっと広がります。 FAQ|ユーフォルビアに関してよくある質問 Q1. ユーフォルビア属にはどのような害虫が付きますか? また、対策は? A1. ユーフォルビアは基本的に害虫には強い品種が多いですが、オベサなど、稀に成長期にコナカイガラムシ(カイガラムシ類)が発生する場合があり、特に成長点付近に見られることが多いです。放置すると病気の原因になり、株に深刻なダメージを与えることも。見つけ次第、市販のカイガラムシ用殺虫剤で速やかに駆除しましょう。ただし、コナカイガラムシは非常に見つけにくい害虫でもあるため、成長期を迎える前に『オルトランDX粒剤』を用土に混ぜ込むか、もしくは予防的に殺虫スプレーを株全体に噴霧するのも効果的です。 Q2. ユーフォルビア属の繁殖方法は? A2. 品種によりますが、子株を吹いた場合、本体に傷がつかないように外して挿し木をするのが一般的で、切り口を数日間乾燥させてから植えます。その際、用土は、細粒の焼成(しょうせい)赤玉土がおすすめです。発根までは1週間〜数週間かかります。タネを採取しての繁殖も可能ですが、交配、発芽、種子育成に時間と手間がかかるため、主に経験者向けです。種子繁殖に関しては、別途記事にて解説をする予定です。 Q3. 異なるユーフォルビア属同士で交配はできますか? A3. 同属の種間であれば交配は可能ですが、遺伝的な相性や環境条件によって成功率が異なります。自然交配は稀で、人工授粉や環境管理が必要な場合も多く、難易度が高いため上級者向けの作業になります。 Q4. ユーフォルビア属はペットのいる環境で栽培できますか? A4. ユーフォルビア属の葉や茎に含まれている乳液には毒性物質(ラテックス系)が含まれ、皮膚に触れると刺激や炎症を起こすことがあります。ペットや小児が誤飲した場合、中毒症状を引き起こす恐れがあるため、取り扱いには注意が必要です。万一誤飲した場合は、症状の有無にかかわらず早めに医療機関に相談することをおすすめします。参照:ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会):一例としてユーフォルビア・ミルクブッシュ(Pencil Cactus)の記述項 余談ですが、古代ギリシャでは王族がユーフォルビアを下剤や嘔吐剤として使っていた記録があり、それを用いていた医師の名が「エウフォルボス(Euphorbos)」だったことが、ユーフォルビアの語源となっています。 Q5. 乳液が皮膚や服に付いた場合はどうすればよいですか? A5. 皮膚に付着した場合はかぶれを起こす恐れがあるため、すぐに流水と石鹸でよく洗い流してください。症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。服に付いた場合は速やかに洗濯し、皮膚に触れないよう注意してください。 まとめ|まだ見ぬ“推しユーフォルビア”との出会いへ ユーフォルビア属は、その多様性ゆえに「これぞ」という1株との出会いが、まるで一期一会のように感じられる奥深い植物です。愛らしいトゲをまとった球状の姿から、グロテスクなほど個性に富んだシルエットまで、その表情は千差万別。しかも、同じ種でも育つ環境や年数、さらには株ごとのクセによって、姿も性格もまるで変わってきます。今回ご紹介した代表種は、ほんの入り口に過ぎません。世の中には、まだ名前も知られていないような魅惑のユーフォルビアたちが、ひっそりとナーサリーの温室の片隅にたたずんでいるかもしれません。そんな1株との出会いは、まさに運命の“推し”探し。まずは1株から。栽培にチャレンジすることで、その奥深さやクセの面白さにどんどん惹き込まれていくはずです。ぜひ、あなただけのユーフォルビアとの出会いを楽しんでください。
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多肉・サボテン

夏こそ育てたい! 丸くて可愛い多肉植物【オベサ】の魅力と育て方をプロが徹底解説
「ユーフォルビア・オベサ」で夏の多肉植物ライフをEnjoy! 今回もお話をうかがうのは、2024年9月に世田谷区・九品仏でビザールプランツ専門店「gadintzki plants(ガディンツキー・プランツ)」をオープンさせた園芸家・関ヨシカズさん(以下、関さん)。当連載「多肉植物狂い」でも、その深い知識と経験をたびたびご紹介しています。そんな関さんが、この夏楽しむべきおすすめ多肉植物として紹介してくれるのが、ユーフォルビア・オベサ。今回は、多肉植物初心者でも存分に楽しめる、オベサの魅力をたっぷりと教えていただきました。 「ユーフォルビア・オベサ」とは? 「オベサ」の基本情報 植物名:ユーフォルビア・オベサ 学名:Euphorbia obesa Hook.f.(1903年記載) 英名: Baseball plant(ベースボールプラント) 和名: 特になく、「オベサ」と呼ぶのが一般的 科属: トウダイグサ科(Euphorbiaceae)ユーフォルビア属(Euphorbia) 原産地: 南アフリカ共和国・ケープ州中部の乾燥地帯(特にグレートカルー地方) 形態: 多年草 / 夏季成長型多肉植物 園芸分類: 多肉植物 開花時期: 初夏〜晩夏(5〜8月頃/首都圏以南・以西の場合) 草丈・樹高: 5〜20cm程度(栽培環境による)※成熟個体でも背丈はあまり伸びない 耐寒性: 弱い(5℃以上を推奨) 耐暑性: 強い(高温・乾燥に適応) 花色: 黄緑色〜赤褐色オベサは雌雄異株でメス花とオス花が異なる形で咲く。また、花が咲くまでは雌雄の判別ができない。 オス株の花(写真上)は、雄しべの先端に花粉が付いているが、メス株の花(写真下)は、Y字状に広がった雌しべのみ。雌しべの奥にある2つのコブは交配成功によってできたタネ鞘🫛。 丸くてずんぐりとしたフォルムが愛らしいユーフォルビア・オベサ(以下オベサ)。この特徴的な姿を表すように、「obesa」という種小名は、ラテン語の「太った」という意味をもつ言葉に由来します。その容姿からサボテンの仲間と間違う方もいますが、じつはユーフォルビア属の多肉植物なのです。 オベサの歴史 1897年ごろ、南アフリカ・ケープ州にて、当時のケープ植物標本館責任者であるピーター・マクオーワン(Peter MacOwan)がこの奇妙な球状の植物を発見し、先に発見されていたユーフォルビア・メロフォルミス(Euphorbia meloformis)と同じか、その変種だろうと仮定して、キュー王立植物園に標本を送付しました。しかし、英国のキュー王立植物園のジョセフ・ダルトン・フッカー(Joseph Dalton Hooker)は、この植物を精査した結果「これは新種だ」と判断。1903年に、フッカーにより英国の園芸雑誌『Curtis’s Botanical Magazine』第129巻に、「Euphorbia obesa Hook.f.」として正式に記載されました。 記載時にフッカーが描いたとされるオベサの植物画 ※参考文献:BHL(左記Curtis’s Botanical Magazine第129巻デジタルアーカイブのTab.7888の項目で1903年記載時のより詳細な解説を見ることができる)ちなみに、当初それの変種だろうと勘違いしていた「メロフォルミス」はこちら。 確かに似ているため、発見者が間違うのも頷ける。 園芸家「関ヨシカズ」的に、オベサのここが推し! 最大の魅力は個体差によるバリエーションが豊富 オベサは、球形ユーフォルビアの中でも圧倒的に人気がある種類です。中でも僕が一番魅力に感じているのは、個体ごとのバリエーションが本当に豊富なところ。たとえばホリダやバリダも球形ですが、基本的には「その種らしい形」に収まるんですよね。でも、オベサは違う。同じ種でも、ひとつひとつのフォルムや模様の出方がまったく違うんです。とくに、完全な球体に近い個体なんかは、まるで人工物のような完璧さで、芸術的な美しさがあります。一方で、万華鏡を覗いたような模様が現れる個体もあって、これがまたコレクション欲を刺激するんです。ガディンツキープランツでも、オベサは男女問わず人気があります。見た目がかわいらしいので、女性のお客様がふらっと来て買っていかれることもよくありますし、逆に、成長点が突然変異して帯状に伸びる「綴化(てっか)株(通称モンスト株)」なんかは、いかにも“異形好き”なマニアの男性に刺さる傾向がありますね。 オベサの通称「モンスト株」。株の右側が綴化(てっか)しつつあることが分かる。 商品価格:11,550円(税込) あと、オベサってほんと中毒性が高いんです。最初は1株だけのつもりが、すぐに「もっとほしい」となって、2株、3株と増えていく(笑)。しかも雌雄異株で、市場流通はオス株が圧倒的に多いので、「花が咲いてみたらまたオスだった!」を繰り返してメス株探しにハマる人もいます。成長がとてもゆっくりな点も魅力のひとつ。手のひらサイズでじっくり楽しめるし、育て方もそれほど難しくないので、初心者の方にもおすすめできるユーフォルビアですね。 交配が楽しい! オベサを育てていると、いつの間にか「交配してみたい!」という気持ちが芽生えてくる人が少なくありません。中でも、メス株を手に入れた方はほぼ例外なく、“せっかくなら花粉をつけてみよう”と一度は交配に挑戦したくなるんです。というのも、オベサの交配は意外なほど簡単なんです(※詳しい方法は後半に動画で紹介していいます)。 雌雄異株のオベサは、タネをとるにはオス株とメス株の両方を揃え、さらに花の咲く時期が重なる必要があります。そのため、まずは『オスとメスのペアを集める』という過程自体がひとつの楽しみにもなっています。そしてその先には、自分だけの“次世代オベサ”を育てるという、さらなる魅力が待っています。「この個体とあの個体を組み合わせたら、どんな模様が出るんだろう?」そんな想像をふくらませながら、ついつい夢中になってしまう。オベサの世界には、コレクションから一歩先の楽しみ方が、しっかりと用意されているんです。 ガディンツキープランツの「オベサ」 ガディンツキー・プランツは今オベサ真っ盛り!店内の関さん選りすぐりのオベサをいくつかご紹介します。 高さ6.5cm(鉢含まず) 幅7cm 価格13,200円(税込) 卵形のフォルムが印象的なこのオベサは、実生5〜6年ほどの年季が感じられる1株。稜に沿って立ちのぼる炎のように広がる木質化が美しく、まさに極上の風格をまとっています。 高さ5cm(鉢含まず) 幅5cm 価格6,820円(税込) 欧州の教会の聖堂を彷彿とさせる独特のシルエットが印象的なこの株。すでに美しい木質化が始まっており、模様も非常に整っています。上からのぞけば、まるで万華鏡のような美しさを楽しめる1株です。 高さ4cm(鉢含まず) 幅5.5cm 価格6,720円(税込) この株は、愛嬌のある丸みがなんとも可愛らしく、木質化の風合いにも趣があります。これからどのように変化していくのか、成長の過程を見守るのが楽しみな1株です。 高さ5cm(鉢含まず) 幅6cm 価格6,820円(税込) まるで野球ボールのように美しい球体を持つこの株は、緑の色乗りが際立ち、販売ラインナップの中でもひときわ目を引きます。 高さ2.5cm(鉢含まず) 幅3.5cm 価格1,650円(税込) オベサ初心者におすすめの手頃な小株。サイズは控えめながら、稜の立ち方や色彩の美しさなど、細部にまで美株の素質が感じられる、将来が楽しみな1株です。※各在庫状況は随時店頭にDMにてお問い合わせください。 プロが教える「オベサ」を選ぶポイントと購入時の注意 どんな個体を買えばいい?|ここをチェック! オベサは扁平、まん丸、縦長など、形に幅があり、色合いもさまざまです。そのため、色や形に明確な正解があるわけではなく、「よい個体」の基準は基本的には個人の好みや感性に委ねられるところが大きいでしょう。また、成長とともに縦に伸びる性質があるため、縦長や山型の個体でも、それは徒長したわけではありません。自然な成長過程ででき上がった形、と考えてください。 まるでおむすび山🍙のような形も、成長に伴って出現した個性だ。 サイズに関しては、大きさ=価格というのが基本です。オベサは極めて成長が遅いため、小さな株を大きく育てるには年単位の時間がかかります。予算に余裕があるなら、最初からある程度のサイズを選ぶのも手です。ただし、小型でもバランスのよい個体はあり、価格が必ずしも安いとは限りません。造形や模様の美しさを基準に、小さな株をじっくり育てる楽しみ方もおすすめです。 稜 オベサにおいて、価値の目安のひとつとなるのが“稜(りょう)”です。稜とは、球体の縦方向に走る筋状の隆起で、造形の基本となる部分です。通常は上の写真の株のように8稜が基本とされますが、2〜3本の差で価値が大きく変わることはありません。ただし、4稜など極端に少ないものや、12〜13稜といった多稜の個体は希少性が高く、市場でも高値で取引される傾向があります。特に多稜個体は、成長とともにさらに稜が増えることがあり、形の珍しさに加えて“時間的な価値”も加味され、高評価を得やすくなります。また、木質化によって稜と稜の間に陰影が生まれると、フォルムの美しさが際立ちます。こうした点にも注目しながら選ぶことで、より魅力的な1株と出会えるはずです。 木質化 オベサを育てていると、株の下部や稜の谷間が茶〜灰褐色に変色し、表皮が硬く乾いたようになる「木質化」が見られるようになります。年を重ねた株ほどこの傾向が強く、ひび割れや鱗状の質感が出てくることも。木質化は老化にともなう自然な変化であると同時に、紫外線や乾燥といったストレスに対する適応反応ともいわれます。さらに、幹のようにまっすぐ立つ株や、少し斜めに立つ株では、木質化した部分が株をしっかり支える役割を果たしていることも考えられます。とくに年季の入った株は、木質化によって風格や重厚感が増し、「ヴィンテージ・オベサ(またはオールド・オベサ)」としての魅力が際立ちます。ヴィンテージやオールドといった株には明確な定義はないものの、実生から5年以上の株をヴィンテージ株とみなす傾向があり、10年選手ともなればマニア垂涎の的です。なお、木質化は必ずしも年齢だけでなく、日照・乾燥・通風などの環境によって若い株にも現れます。その“カッコよさ”も含め、株の木質化は選ぶ際の大きな魅力の1つです。 購入時はここに注意! オベサを購入する際に注意すべきは「成長点」です。成長点が突出している個体は、いわゆる間延び=徒長してしまっている状態であり、生育不良の兆候である可能性があります。購入の際は、成長点が適度にへこんでいる株を選ぶのが基本です。 これが正しい成長点。 また、虫の付着や病斑がないかも要チェック。株のボディがしっかり硬く、引き締まっているかどうかも確認しましょう。柔らかい場合、水管理などに問題がある可能性があります。このような観点から、フリマアプリやネットオークションなど、現物を見ずに購入する場合は、出品者の評価や購入者のレビューを確認し、信頼できる相手から入手することが大切です。 「オベサ」の育て方 ⚠️初心者の方へ オベサは見た目こそシンプルですが、育てるにはちょっとしたコツが必要な植物です。多肉植物の栽培経験がある方にとっては育てやすい品種ですが、園芸そのものが初めてという方は「どんな点に気をつければいいの?」と不安になるかもしれません。しかし、これから紹介するポイントをおさえれば、誰でも安心して育てることができます。重要なのは、「オベサを育てる環境づくり」を意識すること。置き場所や水やり方法など、次項以降を参考に、自分に合った育成スタイルを考えてみてください。この夏、Let’s try Obesa! 置き場所と日光管理 直射日光と風が必須 オベサの健やかな生育には、日光と風が欠かせません。特に春〜秋はたっぷり光を浴びせることで、締まりのある美しいフォルムに育ちます。風も代謝を促し、硬く丈夫なボディをつくる大切な要素です。こうした自然の要素を栽培環境で再現することが、オベサを元気に育てるコツです。このため、成長期は屋外管理が理想的です。 ただし、近年の夏の太陽には注意が必要です。強い直射日光は葉焼けを引き起こす恐れがあり、特に7月以降は遮光ネット(遮光率30〜50%推奨)で日差しを和らげましょう。また、長く日陰で育った株を急に屋外に出すと、確実に肌が焼かれてしまうため、この場合も遮光ネットの活用をおすすめします。葉焼けは悪化すると、株が枯れてしまうこともあるので要注意です。遮光ネットはホームセンターや園芸店、Amazonなどのネット通販などで簡単に入手可能です。初心者には少し難しく感じるかもしれませんが、適当なサイズにカットして輪ゴムで鉢に固定するだけでも十分。まずは気軽に取り入れてみてください。 最適な温度管理 オベサの原産地、南アフリカ・ケープ州グレートカルー地方では、夏は日中40℃を超えることもあり、オベサは高温環境に強い性質を持ちます。日焼けにさえ気をつければ、夏場は40℃を超える暑さでも問題なく育ちます。人のほうが参ってしまいますが・・・。一方で、現地の冬は日中でも平均16〜18℃と比較的温暖で、日本のように氷点下になることはほとんどありません。そのため、極端な寒さには弱い傾向があります。冬場は最低気温が10℃を下回る時期には室内に取り込み、特に夜間は5℃以下にならないように管理すると、根のダメージや生育の停滞を防ぐことができます。 室内管理の注意点 室内でオベサを育てる際に最も大切なのは、日照と風通しの確保です。オベサは日光を非常に好む植物のため、できるだけ長時間、陽射しが差し込む明るい場所に置くようにしましょう。天候や立地によって十分な自然光が得られない場合は、植物育成用のLEDライト(TSUKUYOMIやAMATERASなど高出力タイプ)の使用もおすすめです。これらのライトを使えば、太陽光に近いスペクトルの光を安定して与えることができ、日照不足による徒長や生育停滞のリスクを軽減できます。 日照が不足すると、成長が止まるだけでなく、成長点が盛り上がってしまう徒長(間延び)の原因にもなるので注意が必要です。また、室内は空気がこもりやすく湿度も上がりやすいです。特に夏場や梅雨時期は、サーキュレーターを使用して空気の流れを作ることがとても重要です。これにより、蒸れやカビのリスクを下げるだけでなく、オベサに付きやすいカイガラムシの予防にもつながり、健康な状態を保ちやすくなります。 加えて、エアコンの風が直接当たる場所も避けるようにしましょう。過度な乾燥や急激な温度変化は、株に大きなストレスを与える可能性があります。照度と換気を意識しながら、できるだけ穏やかで安定した環境を整えることが、室内でオベサをうまく管理するコツです。 水やりのコツ|多肉植物ならではの管理方法 水やりの方法 オベサへの水やりは、ボディにかけず、用土だけを湿らせる方法がおすすめです。与える際は、鉢底から水がしっかりと流れ出る程度に、たっぷりと与えましょう。 もちろん、ボディに多少水がかかっても大きな問題になることはありませんが、成長点のくぼみに水が溜まったままになるのは要注意です。 この部分に水が残ると、蒸れの原因となり、最悪の場合は腐敗を引き起こすことがあります。特に気温や湿度の高い時期は注意が必要です。もし水が溜まってしまった場合は、ティッシュや綿棒を使って、やさしく吸い取ってあげましょう。ちょっとした気配りが、オベサの健康を保つ大切なポイントです。 季節ごとの水やりの頻度 オベサは季節によって生育リズムが大きく変化するため、時期に応じた水やりの調整が非常に重要です。以下を参考に、株の状態をよく観察しながら水やりを行いましょう。●初春(3月):生育開始期日中の気温が20℃前後に安定してきたら、水やりを再開します。10日に1回程度を目安に、用土がしっかり乾いてからたっぷりと与えましょう。●春〜初夏(4月〜5月):成長期オベサが最も活発に成長する時期です。用土の表面が乾いたら、週1回を目安にしっかり水を与えましょう。乾いたらたっぷり、が基本のリズムです。●初夏〜初秋(6月〜9月):緩慢期蒸し暑さと高温の影響で、オベサの成長が緩やかになります。この期間は過湿による根腐れのリスクが最も高まるため注意が必要です。 水やりは、土がしっかり乾いてから4〜5日ほど空け、夕方以降の涼しい時間帯にたっぷり与えるようにしましょう。土の乾き具合は、慣れれば指先の感触で判断できるようになりますが、慣れないうちは竹串や水分チェッカーを使うのがおすすめです。 竹串を使った水分チェック。鉢のヘリ付近に竹串を挿し、抜いた後に挿した部分を触ってみて、湿り気を感じれば鉢の中は完全乾燥しておらず、乾いていれば水やりのタイミングだ。 ●秋(10月〜11月):成長期(再び)気温が落ち着いてくるこの時期も、春と同様に活発に成長します。週1回の水やりでOKですが、11月中旬以降は徐々に間隔を空け、10日に1回程度にしていきましょう。●冬(12月〜2月):休眠期オベサは休眠に入り、成長がほぼ止まります。この期間は基本的に断水気味の管理が推奨されます。完全断水する方法もありますが、関さんや筆者が実践しているのは「微量潅水」というスタイル。2週間に1回ほど、晴れた日の午前中に、用土の表面がほんのり湿る程度の極少量の水を与えるという方法です。この方法は、オベサの繊細な根の活動を完全に止めず、休眠中の細根を枯らさずに維持するのに役立ち、春先のスムーズな生育スタートにつながります。 【とにかく蒸れには要注意!】 オベサ栽培で特に注意したいのが「蒸れ」。 オベサは過湿を極度に嫌うため、(水を)与えて蒸らすよりは、与えずにいたほうが枯れるリスクを回避できます。1カ月間水を与えなくても枯れることはないので(しぼんでも水で復活します)、初心者の方はとにかく乾かし気味栽培を徹底してください。 用土と鉢の選び方|通気性がカギ 用土のポイント オベサに用いる土は、市販の「サボテン・多肉植物用土」で基本的にはOKです。ただし、粒がやや大きい場合は、粗めの赤玉土を少し加えると、水はけと保水のバランスが整います。オベサは根腐れに弱いため「排水性の高さ」が何より重要。必ず水はけのよい用土を選びましょう。なお、ガディンツキープランツの専用ブレンド用土は、多肉や塊根植物に適した素材が網羅されており、初心者にも扱いやすくおすすめです。 関さんの長年の経験が詰まったガディンツキープランツのオリジナル多肉植物用培養土。容量:2L 価格:715円(税込) さらに、植え替えの際に『オルトランDX粒剤』を少量混ぜておくと、オベサにつきやすいカイガラムシの予防にもなります。 鉢選びのポイント 購入時のプラスチック鉢のままでも栽培は可能ですが、植え替える際は「通気性のよい鉢」がおすすめ。中でも素焼きのテラコッタ鉢は、排水性・通気性に優れ、根腐れのリスクを減らしてくれる理想的な選択肢です。植え替え時は、鉢底に軽石や鉢底ネットを敷き、水はけをしっかり確保しましょう。 オベサは根張りが強くないものの、鉢が手狭になると根詰まりを起こすこともあるため、株のサイズに合った鉢を選ぶことが大切です。ちなみに、関さんのおすすめは「スリット入りプラスチック鉢」。 通気性が高く、夏は熱がこもりにくく、冬は適度な保温効果が期待できます。黒や緑のプラ鉢は太陽熱を吸収しやすく、寒い時期に鉢内の温度を保つ効果も。価格が手頃で扱いやすく、初心者にもおすすめです。 肥料の与え方|与える場合は成長期を狙って適量を オベサは痩せた土地に自生するため、肥料の与えすぎは徒長や形崩れの原因になります。基本的には、植え替え時に少量の堆肥や緩効性肥料を混ぜるだけで十分です。普段の栽培では基本的には追肥は不要です。ただし、開花後にタネを採取した株には、消耗した栄養を補う“御礼肥え”として、成長期(春〜秋)の晴天時にごく薄めた液肥を少量与えると、回復がスムーズになります。施肥の基本は「控えめ」。与えすぎないよう心がけましょう。 目安としては水ペットボトル2Lに対し、液体肥料(『ハイポネックス』の場合)のキャップ内のシールリング(円錐状の突起)すり切り未満くらいが適量。500mlのペットボトルの場合は、ほんの1滴でよい。 害虫対策 オベサはコナカイガラムシ(カイガラムシ類)が発生しやすく、特に成長点付近に見られることが多いです。放置すると病気の原因になり、株に深刻なダメージを与えることも。見つけ次第、市販のカイガラムシ用殺虫剤で速やかに駆除しましょう。ただし、非常に見つけにくい害虫でもあるため、成長期を迎える前に『オルトランDX粒剤』を用土に混ぜ込むか、もしくは予防的に殺虫スプレーを株全体に噴霧するのも効果的です。 「オベサ」の増やし方 とっても簡単、交配にチャレンジ! オベサの交配は超簡単! そして発芽率超高し!ここではオベサの交配の仕方を映像で紹介します。 オベサのたのしい仲間たち オベサには、いくつかの魅力的な仲間たちがいます。本記事の締めくくりとして、直系の品種や近縁種など、個性あふれるオベサの仲間たちを紹介します。オベサと一緒に育てれば、その楽しさも倍増です! ユーフォルビア・シンメトリカ(Euphorbia symmetrica) オベサの変種とされることもある非常に近縁な品種。名前のとおり、整った稜と模様が美しい左右対称なフォルムが特徴です。オベサよりもやや扁平な形になりやすく、地表に貼り付くような姿が魅力。 ユーフォルビア・オベサブロウ(Euphorbia obesa × susannae =‘Obesablow’) オベサと、瑠璃晃の名で知られるユーフォルビア・スザンナエとの交配によって生まれた園芸品種。オベサよりもコンパクトで締まりがあり、稜が波打つようにうねる特徴があります。交配由来の個体差も豊かで、コレクションにも最適。筆者のお気に入りで「オベ三郎」と呼んでいます。 ユーフォルビア・オベサ梵天(Euphorbia obesa ‘Bonten’) オベサをベースに園芸的に作出された交配種。通常のオベサよりも全体的に大きく、稜が太くうねるように出るのが特徴で、子もよく吹き、どこか野性味を感じるフォルムが魅力です。名前の「梵天」は仏教における宇宙を司る神「創造神ブラフマン」を意味し、品種の独特な雰囲気からそう名付けられたとされています。 ユーフォルビア・バリダ(Euphorbia valida) 2006年までオベサの変種とされていたこともある近縁種で、オベサよりも稜の凹凸が強く出る傾向があります。ひと目でバリダと分かる特徴が、長く伸びる花茎(かへい)。花後もその茎が枯れたまま残るため、古株になるほど独特の“骨格”のような風貌に。見た目はオベサよりワイルドで、並べて育てると対比が楽しい存在です。 まとめ|「オベサ」を育ててみよう! 見た目の可愛らしさと、個体ごとの豊かなバリエーション、そしてコンパクトなサイズ感。オベサは多肉植物の中でも、“育てる楽しさ”と“集める面白さ”を同時に味わえる特別な存在です。たしかに、観葉植物に比べれば、ややクセのある管理が必要ですが、この記事でご紹介したポイントを押さえれば、初心者でも上手に育てることが可能です。成長はゆっくりでも、日々観察していると少しずつ表情が変わっていくのが分かるはず。1株、また1株とコレクションが増えていくうちに、きっとあなたも“オベサの沼”にハマっていくことでしょう。まずは気に入ったフォルムの1株を、ぜひお迎えしてみてください。あなたの暮らしの中に、ちいさな「宇宙」が生まれるかもしれません。
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多肉・サボテン

パキポディウム・ウィンゾリーは赤花が咲く塊根! 注目の園芸家が育て方と魅力を徹底解説
プロの園芸家をも虜にする「パキポディウム・ウィンゾリー」 今回お話をうかがうのは、2024年9月に世田谷区・九品仏でビザールプランツ専門店「gadintzki plants(ガディンツキー・プランツ)」をオープンさせた園芸家・関ヨシカズさん(以下、関さん)。本連載「多肉植物狂い」でも、その深い知識と経験をたびたびご紹介しています。そんな関さんが、数えきれないほどの多肉植物の中で「いちばん好きな品種」として挙げるのが、パキポディウム・ウィンゾリー。店内には、販売用の若株とは別に、シンボルツリーのような巨大な親株が鎮座しており、ウィンゾリーへの並々ならぬ思いが伝わってきます。今回は関さんに、そんな“特別な存在”であるウィンゾリーについて、たっぷりと教えていただきました。 「パキポディウム・ウィンゾリー」とは? 「ウィンゾリー」の基本情報 植物名: パキポディウム・ウィンゾリー 学名: Pachypodium windsorii Poiss.(2004年以降※)※以前はPachypodium baronii subsp. windsorii と記載された 英名: P.Windsorii または、Dwarf baobab(小さなバオバブ) 和名: 特になく、ウィンゾリーと呼ぶ 科属: キョウチクトウ科(Apocynaceae)パキポディウム属(Pachypodium) 原産地: マダガスカル北部アンツィラナナ州、ウィンザーキャッスル周辺の乾燥した岩場地帯 形態: 多年草 / 夏季成長型塊根植物 園芸分類: 多肉植物・塊根植物(コーデックス) 開花時期: 初夏〜盛夏(6〜8月頃 / 首都圏以西の場合) 草丈/樹高: 10〜30cm(栽培環境による)※野生種は1m以上の個体もある 耐寒性: 弱い(10℃以上を推奨) 耐暑性: 強い(高温・乾燥に強い) 花色: 鮮やかな赤(中心部は黄色) ウィンゾリー開花の瞬間(筆者所有株) 黄色や白い花を咲かせる品種が多いパキポディウム属の中で、ウィンゾリーは珍しく赤い花を咲かせることから、ひときわ人気を集めています。日本酒を温めて飲むときに使う「とっくり🍶」を思わせるユニークな幹の形は、どこかひょうきんなキャラクターを感じさせ、気づけばつい目で追ってしまう、そんなじつに摩訶不思議な植物です。 「ウィンゾリー」はワシントン条約で保護されている ウィンゾリーは、2023年2月3日付でワシントン条約(CITES)の附属書Ⅰに掲載されました。この附属書Ⅰに記載される種は絶滅の危険性が高く、国際取引がその存続に影響を与える可能性があるとされており、野生個体の国際商取引は原則禁止となっています。日本国内では「種の保存法」により、CITES附属書Ⅰの種は「国際希少野生動植物種」に指定されており、譲渡や販売なども厳しく規制されています。ただし、親株も含めて管理下で人工的に増やされた繁殖個体であれば、国内での流通・売買は可能です。つまり、私たちが手に入れられるウィンゾリーは、ナーサリーや趣味家が育てた実生株(タネから育てた株)に限られます。そのため流通量は少なく、とても希少で貴重な植物となっています。※参照資料1:環境省, 参照資料2:CITES 「バロニー」との関係|「ウインゾリー」は亜種として位置付けられていた ウィンゾリーを語るに外せないのが、同様に赤い花を咲かせるパキポディウム・バロニーの存在。 現在確認されているパキポディウム全25種類のうち、赤花を咲かせるのはこのウィンゾリーとバロニーだけで、ウィンゾリーは長い間、原種であるバロニーの亜種(下位区分の種)とされてきたため、バロニーに関しても解説します。 「バロニー」の基本情報 植物名: パキポディウム・バロニー 学名: Pachypodium baronii Costantin & Bois 科属: ウィンゾリーと同じ 原産地: マダガスカル北西部マハジャンガ州、ベファンドリアナ(Befandriana-Nord)からマンドリツァラ(Mandritsara)にかけての標高の低い乾燥林や岩場 草丈・樹高: 20〜50cm(栽培環境・個体差による)※野生種は1m以上の個体もある 花色: ウィンゾリーと同様の鮮やかな赤(中心部は黄色) 「パキポディウム・バロニー」は19世紀後半に植物収集家でもある英国人宣教師バロン(Richard Baron)により発見されました。そして氏が逝去した1907年、フランスの植物学者ジュリアン・コスタンタン(Julien Noël Costantin)とデジレ・ボワ(Désiré Georges Jean Marie Bois)によって、フランスの権威ある学術誌Annales des Sciences Naturelles, Botanique(自然科学年報・植物学シリーズ)の第9シリーズ第6巻317ページに、発見者のバロン氏に敬意を表し、Pachypodium baroniiとして記載されました。※参考文献:BHL, 参照データ:Kew(1887年9月にバロン氏が実際に採集したバロニーの標本を確認できます。) 「ウィンゾリー」の発見と、その後の経緯 バロン氏がバロニーを発見してからおよそ30年後の20世紀初頭、パキポディウム・ウィンゾリーは、フランスの植物学者ポワソン(Henri Louis Poisson)により、マダガスカル北部、アンツィラナナ州のウィンザーキャッスル周辺で発見されました。このため、ウィンゾリーという小種名が付きました。 ガディンツキープランツから自生地ウィンザーキャッスルまでの直線距離は約10,838kmで、山手線を314周乗るのと同じ距離だ。現地に行くには航空機の乗り継ぎと地上移動も含め、約30時間を要するといわれている。 ポワソンは1916年に本種についてBulletin Trimestriel de l’Académie Malgache(マダガスカル学士院季刊誌)の新シリーズ第3巻に最初の記載をしましたが、1949年にフランスの植物学者ピション(Marcel Pichon)によって Pachypodium baronii var. windsorii 、つまりバロニーの変種として再分類されます。しかし2004年に、パキポディウム属の分類学的整理の権威でもあるスイスの植物学者リュティ(J.M. Lüthy)が英国のサボテン・多肉植物学会の年報『Bradleya』第22号に、ウィンゾリーは独立種として扱うべきであると提唱する論文を掲載し、以降は植物分類学上は独立種とされています。※参照データ1:Plantamor, 参照データ2:Kew, 参照データ3:Kew 「バロニー」と「ウィンゾリー」、見た目の違いと価格差 前述のように、ウィンゾリーの発見と分類には複数の植物学者が関与していますが、日本国内では現在も「バロニーの亜種」として扱われることが多くあるため、その2種の違いを整理してみましょう。最も明確な違いは、葉と幹の形状です。バロニーの葉は細くシャープな印象なのに対し、ウィンゾリーは全体的に丸みを帯びた柔らかい印象を与えます。 幹の違いも顕著です。バロニーは円錐状の単幹で、分枝しないのが基本。一方、ウィンゾリーは地際がぷっくりと膨らんだ、とっくりのような形状をしており、若いうちから分枝しやすい性質があります。また、パキポディウム属全体において「太く丸みのある幹」が好まれる傾向があるため、この点でもウィンゾリーは人気を集めやすいのです。 続いて、花の違いにも注目です。 両種とも赤い花を咲かせ、中心部が黄色く染まる点は共通しています。しかし、ディテールに目を向けると違いがはっきりします。バロニーの花は細長く、ひだが付いており、どこかトロピカルな雰囲気。対してウィンゾリーの花は花弁(はなびら)がふっくらとしていて、可愛らしく、柔和な印象を与えます。中心部の黄色い部分は「喉部(こうぶ)」と呼ばれ、「ネクターガイド(蜜標)」として虫などの送粉者(ポリネーター)に蜜の在処を示す役割を果たします。特に、マダガスカルに生息するスズメガは赤と黄色のコントラストを認識しやすいため、これは受粉成功率を高めるための色彩戦略と考えられています。 こうした適応は、バロニーとウィンゾリーが過酷な自然環境の中で種を残していくための“生存戦略”でもありますが、その造形美は見る者の心をつかんで離しません。開花までの年数にも差があります。実生から開花まで、おおよそバロニーは6〜7年、ウィンゾリーは3〜4年。この開花スピードも、ウィンゾリーの人気を後押しする理由のひとつです。価格面では、同じく実生2〜3年の株でも、ウィンゾリーのほうが2〜3倍ほど高価で取引される傾向にあります。それだけに希少性と人気の高さがうかがえます。とはいえ、どちらも個性豊かで魅力にあふれる品種。育ててみると、それぞれに異なる面白さを味わえるはずです。 「ウィンゾリー」と園芸家「関ヨシカズ」 さて、そんなウィンゾリーと関さんの「出会い」、そして彼がたどってきた「ウィンゾリーとの歩み」を語っていただきました。 出会い 僕が塊根をやり初めた17年前、初めて入手したパキポディウムはグラキリスでした。その時もウィンゾリーの存在は知ってはいたのですが、その頃のウィンゾリーはまだかなりレアな存在だったため、価格的に手が出ませんでしたね。小さな株はいくつか手にはしましたが、親株になるレベルのものをいつかは、と憧れを抱いていて、2016年に初めて写真(下)の大株を購入しました。以来、この株で自家受粉を行ってきたため、旧店(フラワーガーデン・セキ)時代と現在当店で販売している多くのウィンゾリーの親株として君臨しています。もはや御神木のような存在です(笑)。 この株を手に入れたことでウィンゾリーの魅力に完全にハマり、現在までに200株以上のウィンゾリーを売買してきました。 旧店(フラワーガーデン・セキ)時代に手がけたウィンゾリーの数々。 写真提供:関ヨシカズ 園芸家関ヨシカズを虜にした「ウィンゾリー」の魅力 ウィンゾリーの魅力はたくさんありますが、僕が一番初めに惹かれたのは花ですね。とにかく美しい! この奇怪な幹から鮮烈な赤い花を咲かせるわけですから、その圧倒的な花の存在感に完膚無きまで魅了されました。また、ほかのパキポディウムにはない独特な味わいのあるフォルムにも惹かれました。 パキポディウムは全体的に好きなのですが、やはりウィンゾリーへの想いは格別ですね。パキポディウムの受粉は、僕はウィンゾリーでしか行わないので、ある意味コーデックス(塊根植物)のイロハを学んだのがこのウィンゾリーだといっても過言ではないと思います。 ガディンツキープランツの「ウィンゾリー」 あいにく2025年5月の取材時は店頭にあった株すべてがSOLD OUT。以下は、直前まであった株たちです。いずれも、前出の親株から採取したタネからの実生株で、関さんが天塩にかけて育てた良型の株ばかり。 参考価格:25,000円(税別) 写真提供:関ヨシカズ 参考価格:25,000円(税別) 写真提供:関ヨシカズ 参考価格:8,000円(税別) 写真提供:関ヨシカズ 下の写真は、現在ガディンツキープランツ店内で栽培されている、前出の親株からの稚苗(非売品)。 2024年6月に播種した1歳の稚苗たち。 2023年8月に播種した約2歳の稚苗。稚苗で分枝するのは珍しいため、将来の動向が楽しみ。 これらの稚苗は、基本的に限られたお客様にしか販売しないもので、値段が付いて店頭に並ぶのは3年目くらいにまで成長してから。その時の価格は樹形により変動しますが、およそ5,000円から。※ウィンゾリーの在庫状況は随時店頭にDMにてお問い合わせください。 「ウィンゾリー」の育て方 そもそも、初心者でも育てられるのか? 多肉植物を育てた経験がある方であれば、コーデックス(塊根植物)も特別に難しいものではありません。重要なのは、このあと解説しますが、「栽培に適した環境をつくれるか否か」です。一方、多肉植物自体が初めてという方にとっては、多肉全般に共通する「乾かし気味に管理する」という点が少し難しく感じるかもしれませんが、これはコツを理解すれば心配はいりません。ウインゾリーを“はじめてのコーデックス”として選ぶのは、ある意味でとてもよい選択といえるでしょう。 置き場所と日光管理|日差しと風が好きな「ウインゾリー」 直射日光と風が必須 パキポディウム・ウィンゾリーは、マダガスカルの強い日差しのもとで自生している植物です。そのため、栽培においても直射日光が欠かせません。日照不足になると、徒長してしまったり、葉の色つやが悪くなる原因となります。成長期である春から秋にかけては、陽当たりと風通しのよい屋外に置くことが理想的です。その際、エアコンの室外機付近は避けてください。日光と風にしっかりと当てることで、葉の展開や幹の締まりがよくなり、健康的に育ちます。ただし、猛暑日や、梅雨の湿度には注意が必要です。 レザーのような質感を持つウィンゾリーの葉は、強靭なため葉焼けしにくいのが特徴ですが、個体差があるため、年々異常さを増す昨今の真夏の強光には注意が必要。葉焼けした場合は遮光や移動で様子を見つつ、徐々に直射日光に慣らしましょう。 室内管理の注意点 室内でパキポディウム・ウィンゾリーを育てる際の最大のポイントは、日照と風通しの確保です。ウィンゾリーは日光を非常に好むため、できるだけ長時間、陽射しが入る明るい場所に置くようにしましょう。また、TSUKUYOMIやAMATERASなど、高出力な植物育成LEDライトを使えば、天候に左右されずに太陽光に近い光を確保できるため、こちらもおすすめです。 日照不足になると、成長が止まったり、葉を落とす原因になります。また、室内は空気がこもりやすく湿度も上がりやすいため、風通しを意識して管理することが大切です。特に夏場や梅雨時期は、サーキュレーターを使って空気の流れをつくると、蒸れやカビのリスクを下げ健康に育てることができます。 エアコンの風にも注意を。風が直接当たる場所は避けて管理しましょう。乾燥や急激な温度変化によって、株にストレスがかかる恐れがあります。照度と換気を意識しながら、穏やかな環境を整えてあげることが室内管理のポイントです。 水やりのコツ|塊根植物ならではの管理方法 季節ごとの水やりの頻度 パキポディウム・ウィンゾリーは季節によって水の必要量が大きく変わる植物です。無理に一定の頻度で与えるのではなく、気温や成長状態を見ながら柔軟に対応しましょう。 春(4〜5月):生育開始期気温が安定してきたら水やりを再開します。10日に1回程度を目安に、土がしっかり乾いてから与えます。 夏〜秋(6〜10月):成長期のピークもっとも活発に育つ時期です。週1回〜10日に1回が目安ですが、風通しのよい環境で乾きが早い場合はやや多めでもOK。ただし蒸らさないためにも、夕方以降に与えましょう。 ここ数年の8〜9月は夜でも気温が下がらず寒暖のメリハリがなくなるため、成長が緩慢になる傾向があります。このため、この時期の蒸れには特に注意しましょう。 晩秋(11月):生育終了期気温が下がり始めるとともに徐々に水やりを控えます。2〜3週間に1回程度に減らし、塊根が休眠に入る準備を促します。 冬(12〜3月):休眠期夏型塊根植物のウィンゾリーは、冬になると休眠に入ります。通常、休眠期に入ると落葉しますが、環境や個体差により葉を完全には落とさずに、数枚残したまま冬を越すこともあります。これは決して異常ではなく、気温が比較的高く、日照もある程度確保されている場合に見られる自然な反応です。ただし、葉が残っているからといって根が活発に水を吸っているわけではないため、冬の水やりはあくまでも「休眠モード」での対応が基本です。休眠モード中は根の活動が極端に鈍くなるため断水気味の管理が基本ですが、完全に水を絶つのではなく、月に1〜2回、用土の表面がほんのり湿る程度にごく少量を与えるのが理想的です。この“ほんのり加減” の湿り気が細根に刺激を与え、休眠中の枯死リスクを回避する効果があります。 ほんのり加減は、写真の4号鉢(直径12cm)くらいの大きさだと、株周りを軽く2週程度でよい。 ただ一方で、2カ月以上まったく水を与えない「完全断水」という管理法も存在します。特に過湿になりがちな暖房の効いた室内では、完全断水のほうが根腐れを防ぎやすく、メリハリのある休眠と成長のリズムを作れるという利点があります。さらに、しっかりとした休眠を経験した個体は、春の芽吹きが力強くなる傾向も見られます。しかし、初めて塊根植物を育てる方にとって「完全断水」は少々ハードルが高く感じられるかもしれません。「ほんのり潤す派」と「完全断水派」、どちらも間違いではなく、栽培環境とご自身の管理スタイルに合った方法を選ぶことが大切です。 「ウィンゾリー」は乾燥には超強い。ゆえに、水やりはタイミングが重要 ウィンゾリーは、塊根部分に水分を蓄える性質を持ち、乾燥に非常に強い多肉植物です。また、CAM型光合成という特殊な光合成を行う植物で、夜間に気孔を開き、光合成に必要な二酸化炭素を取り込むことで、水分の蒸散を抑えるしくみを備えています。こうした特性を持つ植物は、水を与えすぎると根腐れを起こす恐れがあるため、前述の頻度を参考に、適切な水やりを行ってください。 水やりをする上で重要なのは、成長期(春から夏)と休眠期(秋から冬)でしっかりメリハリをつけること。成長期には土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れる程度にたっぷりと与えるのが基本ですが、全体的にギュッと詰まった感じの樹形にさせたい場合は、用土表面の乾燥を確認後1週間程度経ってから与えるという「じらし戦法」という方法もありますが、これは基本的な水やりに慣れてから行ったほうがよいでしょう。 用土と鉢の選び方|通気性がカギ 用土のポイント 用土は、市販のサボテン・多肉植物用土でOKですが、粒が大きい場合は、粗めの軽石や川砂を足して調整するとよいでしょう。水はけが悪いと根腐れを起こしやすいので、必ず排水性のよい土を使ってください。ガディンツキープランツで販売している用土は、多肉や塊根によい素材を網羅的にブレンドしているので、おすすめです。 関さんの長年の経験が詰まったガディンツキープランツのオリジナル多肉植物用培養土。容量:2L 価格:715円(税込) 鉢選びのポイント 鉢は購入時のプラ鉢のまま栽培しても大丈夫ですが、もし自前の鉢に植え替える場合は、通気性のよい素焼きのテラコッタ鉢が理想的です。植え替えの際、鉢底には軽石や鉢底ネットを敷いて排水をよくしてください。 また、塊根の成長に合わせて鉢サイズを選び、根詰まりに注意してください。ちなみに関さんのおすすめはスリットが入ったプラスチック鉢。 プラスチック(特に黒や緑色)は熱を溜め込む性質があるため、直射日光が当たったときに鉢内の温度が上がるメリットがあります。スリットが入っていれば、夏は適度に熱放出してくれるし、冬は温度を溜め込むことができ、塊根植物には最適です。何より安価なのも◎。 肥料の与え方|与える場合は成長期を狙って適量を ウィンゾリーをはじめとする塊根植物は、もともと栄養の乏しい土地に自生しているため、肥料を与えすぎると徒長したり、バランスの悪い形に育ってしまうことがあります。基本的には植え替え時に堆肥を用土に混ぜ込む程度で、小型〜中型の株であれば基本的に追肥はしなくてもOK。ただし、繁殖のためタネを採取したあとはエネルギーを消費したため“お礼肥え”としてごく少量の液肥を与えるとよいでしょう。 目安としては水ペットボトル2Lに対し、液体肥料(『ハイポネックス』の場合)のキャップ内のシールリング(円錐状の突起)のすり切り未満くらいが適量。 一方、春〜夏の成長期に合わせて高濃度の液肥を適切に与えることで、幹の肥大化を爆速化させる栽培法もあります。ただしこの場合、光量が不足していると徒長につながるため注意が必要です。施肥は育て方や環境に左右されるため、これが正解というものはありません。もし肥料を与える場合は、薄めた液体肥料を月1〜2回、ごく控えめに与える程度が無難です。肥料はあくまで“補助的な栄養”。植物の様子を観察しながら、慎重に使うことが美しい株に育てるコツです。 冬越しの方法|低温に弱い「ウィンゾリー」を守るには? 最低管理温度と室内取り込みの目安 温暖なマダガスカル原産のウィンゾリーは、日本の冬の寒さが苦手なため、冬場の温度管理が非常に重要です。最低温度の目安は15℃。それを下回ってすぐに枯れるわけではありませんが、春の15℃と真冬の15℃では植物の感じ方が異なるため、冬は15℃ギリギリではなく、それ以上をキープするのが理想です。特に10℃を下回る環境に長時間置くと、枯死のリスクが高まるので注意が必要です。 ウインゾリーをはじめとするパキポディウム属は、環境の変化に対して非常に敏感で、その反応が見た目に表れやすい植物です。気温の変化によって紅葉したり、自然に落葉したりするので、これらのサインを観察することが室内に取り込むタイミングを見極めるポイントになります。具体的には、11月に入り葉が黄色くなりはじめたら、それが取り込みの合図です。 室内取り込み後のケア 室内に取り込んだ後も、室温が15℃を下回らないように管理しましょう。これは非常に重要なポイントです。特に寒さの厳しい1〜2月は、夜間や留守中などに室温が10℃を下回る懸念がある場合は、鉢の温度を保つ目的で育苗用のヒーターマットを使用するのも効果的です。 ヒーターマットは本来育苗用だが、この上に置くだけでも保温効果がある。 写真:Amazon.co.jp 現在の住宅環境では、室内がそこまで冷え込むことは少ないかもしれませんが、寒冷地にお住まいの方や断熱性の低い住居で栽培している場合の室温管理には特に注意が必要です。 プロが教える「ウィンゾリー」を選ぶポイントと購入時の注意 よい個体の見分け方|ここをチェック! 現在市場に流通しているパキポディウム・ウィンゾリーは、基本的に実生株が主流です。そのため、根のない状態で販売されることは少ないですが、タイや台湾で栽培された「輸入実生株」の中には、植物防疫法により根を切ったまま輸入され、未発根のまま出回っているものも存在します。 ガディンツキープランツで販売されているタイ産の輸入実生株。もちろんしっかりと根付いている。価格:12,650円(税込) こうした株はフリマアプリなどで相場より安く手に入る反面、発根の有無はしっかり確認をする必要があります。もし未発根株であれば、自力で発根させるための知識や技術、そして根気が求められます。(※輸入株の発根方法については今後の連載で詳しく解説予定です。)株の形状は好みによりますが、ウィンゾリーらしい“良形”として人気が高いのは、地際のふくらみが丸く太く、とっくり型のフォルムを持つ個体です。この形にくびれが入り、上に幹がスッと伸びるバランスの良い株は特に評価が高く、価格も上がる傾向があります。特に、実生3〜4年ほどの若株で徒長がなく、脇芽が出ていない個体は人気が集中します。 筆者所有株。 購入時参考価格:18,000円 一方、ウィンゾリーは若いうちから分枝しやすいため、バランスのとれた分枝株も評価が高く、特に中〜大型株ではその傾向が顕著です。これは、分枝が進むことで開花数が増え、採種できるタネの量も増加するためです。 筆者所有株で関氏の旧店時代に入手したもの。購入時参考価格:25,000円 分枝の形状は、地際から錨状⚓️に伸びるタイプや、上部でY字に分かれるタイプなどさまざま。最終的には「自分の好み」が最も大切な選定基準になります。そもそも塊根植物には「定価」というものが存在せず、株の状態や相場、売り手の判断によって価格が決まります。だからこそ、園芸店などで気になる株に出会ったら、その時に感じたインスピレーションを大事にしましょう。これはウィンゾリーに限らずですが、ビザールプランツ(珍奇植物)を購入する上で何よりも大切なのは、実際に目で見て、触れて、感じることです。あとはご自身の予算と相談しながら、納得のいく株を見つけてください。 ハイブリッド株には要注意! ウィンゾリーがバロニーと同じ場所で栽培されていると、両者が同じタイミングで開花した場合、虫などの送粉者(ポリネーター)の媒介によって、両者間で交配が行われていまい、バロニーの血が入ったウィンゾリー、いわゆるハイブリッド種、通称「ウィンバロ」が作出されてしまうことがあります。 筆者所有株。発芽して葉が出て初めて判明する純血か否か。フリマアプリでウィンゾリーの種子を購入すると常にこのリスクが伴う。 上の写真は実生2年目の株ですが、幹はウィンゾリーのキャラクターを持っていますが、シャープな葉は明らかにバロニーのもの。このように、ハイブリッドな株をウィンゾリーとして割安で販売しているケースもあるため、注意が必要です。ただ、これはこれでどんなふうに育つのか楽しみですけどね。 まとめ|「パキポディウム・ウィンゾリー」を育ててみよう! ウィンゾリーをうまく育てるためには、まず「強い光」、「風通し」、「適切な温度」、という3つの基本環境を整えられるかがカギになります。これは“枯らさないため”というより、ウィンゾリー本来の“美しさを引き出すため”の育て方です。マダガスカルの厳しい自然を生き抜いてきたウィンゾリーは、もともととても丈夫な植物。とはいえ、必要な条件が一つでも欠けると、枝が徒長したり、花が咲かなくなったりといった、本来の魅力を失ってしまいます。そうした個体は免疫力も落ち、病気や害虫のリスクも高まります。植物栽培においていちばん大切なのは、「適切な愛情」を注ぐこと。過保護にするのではなく、植物が求める環境と世話を見極めて、きちんと応えてあげる。それが、ウィンゾリーを健やかに、美しく育てるコツであり、何よりの楽しさでもあります。この記事を読んでその魅力を感じたら、迷わずにウィンゾリー栽培にトライしてください!その価値がある植物ですから。
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多肉・サボテン

癒やし系ぷにぷに多肉植物10選|見てほっこり育ててハマる、推しの品種を厳選紹介!
癒やしが必要な今、多肉植物という選択肢 新生活が始まり、少しずつ慣れてきたころにやってくる5月病。なんとなく気分が沈んだり、疲れが抜けない、という方も多いのではないでしょうか?そんな時、そっと心に寄り添ってくれるのが、小さな植物たち。 特に、ぷにぷにとした触感とユニークな姿で人気の“多肉植物”は、忙しい毎日に癒やしを感じさせてくれる存在です。 多肉植物の癒やしポイントって? ぷにぷに、ころんとしたフォルム 多肉植物の魅力は、何といってもその“ぷにぷに感”。見ているだけでつい触りたくなる柔らかな葉の質感と、まるっとしたシルエットは、子猫や子犬に感じるような愛おしさを呼び起こします。 やさしい色合い 淡いグリーンやピンク、ブルーがかった葉など、柔らかく穏やかな葉の色合いも癒やしポイント。部屋の雰囲気を壊すことなく、自然とインテリアに溶け込みます。 小さくてスペースを取らない 小型の多肉植物は、デスクやキッチンカウンター、窓辺の小さなスペースにも置ける程よいサイズ感が魅力で、どんな住宅事情にもマッチします。コンパクトながらも存在感があり、視界に入るたびにほっこりとした気持ちにしてくれます。 世話の手間が少ない Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 多肉植物は葉やボディーにたっぷりと水分を蓄えているため頻繁に水をやる必要もなく、基本的には放っておいてOK。植物自体を初めて育てる人でも安心してインドアグリーンを楽しむことができます。ただし、多肉植物には春から秋にかけて成長が活発になる「夏型」、秋から春にかけて成長が活発になる「冬型」、春と秋に顕著に育ち、夏と冬は成長が鈍化する「中間型(春秋型)」が存在します。それぞれに合ったお世話のコツだけはチェックしておいてください(後述)。 眺めるだけで「ほっ」とできる 多肉植物は、小動物のように動きこそありませんが、日に日に少しずつ成長していく様子を見守ることで、忙しい日常の中にほんの少しの「余白」が生まれます。その“余白”が、いつの間にか心の緊張をほどいてくれるでしょう。 癒やしの多肉植物おすすめ10選 筆者編集部員Kが特に“癒やし”という視点で選んだ、多肉植物10種類をご紹介。いずれもフォルムの可愛らしさや育てる楽しさには定評があります。 ①モニラリア Photo courtesy of みつき屋 学名:Monilaria 和名:うさ耳モニラリア®︎(種子輸入総代理店「みつき屋」による園芸流通上の通称) 原産地:南アフリカ西ケープ州 成長期:秋から春にかけて成長する冬型 特徴と癒やしポイント:メセンの中間であるモニラリア。茎からぷにっとしたうさぎの耳のような双葉がぴょこんと立ち上がる姿は、まるでイラストから飛び出してきたような愛らしさです。モニラリアにはモニリフォルミス、ピシフォルミス、オブコニカ、などの種類がありますが、小さなうちはどれも似ていて見分けがつきにくく、葉の形や質感の違いが現れ、どの品種か判別できるのはもう少し育ってから。 筆者所有、実生2年目のモニラリア・モニリフォルミス。 個性が少しずつ見えてくる過程も、モニラリアならではの楽しみです。乾燥に強く、手がかからないのに、なぜかつい構いたくなる存在感で、小さなペットのような癒やしをくれる多肉植物です。 栽培難易度:★★☆☆☆(育てやすいが休眠期の夏は蒸れに注意) 置き場所:明るい窓辺など日当たりの良い室内が最適。直射日光は避け、冬は5℃以上をキープ。 水やり頻度:春・秋は10日〜2週間に1回、休眠する夏と生育が緩慢になる真冬は断水気味に。 筆者雑感:「うさぎの耳が生えてる!?」と誰もが二度見する可愛さ。小動物が鉢から顔を出しているかのような姿を見ると、自然と笑みがこぼれます。小さなお子さまのいるご家庭や、室内にほっこりを求める方におすすめです。 市場価格帯:1,000〜4,000円前後(サイズ・状態による) うさ耳モニラリア®︎はタネから育てる実生栽培キットがおすすめ! 福岡の種子輸入販売業者「みつき屋」が販売する、うさ耳モニラリア®︎「ミニ栽培キット」は、タネ、用土、鉢はもちろん、鉢底ネットから鉢底石、腰水をするための外鉢まで付いた至れり尽くせりの栽培キットで、届いたその日から手軽にうさ耳モニラリア®︎の実生を楽しむことができます。 キットにタネを播いて20日ほど経てば、もううさ耳の新芽が! 葉を覆うキラキラしたものは水晶細胞といい、保水効果と葉を守るために光を反射拡散する効果、また食害防御のための迷彩効果があると言われている。 みつき屋は、モニラリアを「うさ耳モニラリア®︎」としていち早く国内に紹介し、その普及に務めているモニラリアのパイオニア。記事の最後に栽培キットプレゼントのお知らせがあるので要チェックです! ②ハオルチア・オブツーサ 学名:Haworthia cymbiformis var.obtusa 和名・別名:日本ではオブツーサ、もしくは雫石欧米ではクッションアロエとも呼ばれる 原産地:南アフリカ東ケープ州 成長期:春と秋に特に成長する中間型 特徴と癒やしポイント: 透明感のあるぷるんとした葉が魅力の「ハオルチア・オブツーサ」は、“多肉界のゼリー”とも称される存在。葉の先端がぷっくりと膨らみ、“窓”と呼ばれる透明な部分がガラス細工のような光沢とみずみずしさを持っていて、日光を受けるとキラリと輝く美しさは唯一無二。まるで小さな宝石を集めたようなロゼット型のフォルムは、見ているだけで癒しを与えてくれます。コンパクトで場所を取らず、インテリア性も高く、成長が穏やかなので初心者にもおすすめです。 栽培難易度:★★☆☆☆(初心者向け) 置き場所:室内の明るい場所(夏の直射日光はNG)。“窓”の透明度を保つにはレースのカーテン越しの光が理想的。直射日光を長時間浴びると”窓”の透明度が落ちる傾向があります。 水やり頻度:春秋は週1回たっぷりと、夏冬は月2回程度で量は控えめに。 筆者雑感:ぷにぷに、つやつや、きらきら、ハオルチア・オブツーサは、見る角度や光の加減で表情を変える“生きた宝石”のような多肉植物です。ハオルチアには他にもたくさんの種類がありますが、オブツーサの魅力にハマってコレクションを始める方は多く、筆者もまさにその1人。目の前にこのぷにぷにした“ぷに葉”があれば、もう触らずにはいられません。疲れた心に”ぷに葉”がそっと語りかけてくれる、そんな存在です。 市場価格帯:800〜2,500円程度(株の形や、”雫石”や”アイススプライト”など、オブツーサの種類により変動) ③アドロミスクス・松虫 学名:Adromischus hemisphaericus 和名:松虫(まつむし) 原産地:南アフリカ西ケープ州の固有種 成長期:春と秋に特に成長する中間型 特徴と癒やしポイント: アドロミスクス・松虫は、天然石のような葉の形が特徴。でも触るとちゃんと“ぷに葉”してます。生えたばかりの葉は赤褐色で、それが徐々にティーグリーンに変化していく様子は興味深いです。その色彩ゆえに、古風な和鉢がマッチします。無骨で媚びない小さな姿に心が静かに落ち着く、まさに“静かな癒し”を与えてくれる存在です。 栽培難易度:★★★☆☆(少しコツが必要) 置き場所:風通しの良い明るい場所(屋外でもOK) 水やり頻度:春秋は10日に1回、夏は断水気味、冬は月1〜2回程度 筆者雑感:ある個体は盆栽的で、ある個体は地に咲く花のような、ひとつとして同じ形がなく、まるで天然石のような魅力がある松虫。静かに机の上に置いて眺めるだけで、自然とのつながりを思い出させてくれる存在です。上の写真は筆者所有株。灌木のような幹が自慢で、茶室に飾られているかのような侘びた佇まいに日々癒されます。 市場価格帯:1,000〜3,000円前後(希少個体は高騰傾向) ④ユーフォルビア・オベサ 学名:Euphorbia obesa 和名・別名:日本ではそのままオベサ欧米では野球のボールに似ているためbaseball plantとも呼ばれる 原産地:南アフリカ・ケープ州グレートカルー周辺の極めて限定的なエリアにのみ自生 成長期:春から秋にかけて成長する夏型 特徴と癒やしポイント: ユーフォルビア・オベサは、スイカのような縦ラインが特徴的な丸い球状のボディを持つユニークな外見が魅力。硬めのマットな表皮は、淡い緑から紫がかった色に変化し、下の方がゆっくりと木質化して行き、年々味わいを増して行きます。まるっとしたビジュアルとやさしい色合いが気分をほっこりとさせてくれます。成長はゆっくりなので、長く付き合える相棒となるでしょう。珍しい雌雄別株の植物で、オス株とメス株とでは花の形が異なります(上の写真はオス株)。 オス株の花。先端に花粉が付いている。 メス株の花。先端がY字に分岐しており、花粉は付いていない。 オス株とメス株が同時に開花すれば、交配しタネを生み出す楽しみも。 メス株。雌雄の見た目は同じため、開花するまで区別はつかない。 個体ごとに模様も異なり、同じ模様はひとつとして存在しない。その美しさはまるで万華鏡をのぞいているようで、自然の造形美には驚かされる。 栽培難易度:★★★☆☆(乾燥には強いが寒さと根腐れに注意) 置き場所:明るく風通しの良い場所(直射日光を避けた窓際など。室内OK) 水やり頻度:春秋は10〜14日に1回、夏は控えめに、冬は断水気味に。 筆者雑感:初めて見たとき、「え、オブジェ?」と一瞬戸惑うほど、完成された形に驚かされました。音も言葉もないのに、存在そのものが癒やしを放ってくる不思議な魅力。机の上に置くだけで、日々のざわつきをすっと吸い取ってくれるような無言の癒やし力。これは手放せません。 市場価格帯:雄株2,000円〜6,000円前後(サイズや形で価格差あり)。基部が木質化した通称“ヴィンテージ株”は最低でも1万円以上。筆者のおすすめは2,000円程度のオス株。球体の直径は3〜4cmほどで、これから共に過ごすにはちょうど良い大きさ。ちなみに、メス株の市場流通は稀で、基本的には1万円前後から。 ⑤コノフィツム・ブルゲリ 学名:Conophytum burgeri 和名:ブルゲリ(”光るブドウ”と呼ばれることも) 原産地:南アフリカからナミビアにかけてのオレンジ川周辺域 成長期:秋から春にかけて成長する冬型 特徴と癒やしポイント: メセンの仲間であるブルゲリは、まるでキャンディやグミのような、ぷるんとしたフォルムが魅力。半透明のつやつやとした質感で、マスカットのようなグリーンがとても幻想的。ひと目で惹かれるビジュアルは静かな美しさを秘めており、見ているだけで癒されます。休眠期に入る前は下の写真のように全体が赤紫色に染まるため、色彩の変化も楽しめ、その透き通るような美しさはまさに癒やしの宝石。 栽培難易度:★★★★★(上級者向け)育てたいと思う方は多いのですが、中上級者でも水やりでの失敗が多いというほど難易度は高め。 置き場所:成長期は風通しがよく、適度に遮光した環境で育てます。特に風通しは必須で、風通しがない状態が続くと溶けてしまいます。また、成長期に光量が不足すると休眠前に赤くならないため、屋外で30%ほど斜光した太陽光をたっぷり与えてあげるか、またはAMATERASなど高出力タイプの植物育成LEDライトとサーキュレーターを用いての完全室内栽培もおすすめです。休眠期は特に蒸れに注意しながら、風通しと涼しさ、そして遮光(50%程度)した環境で管理します。 水やり頻度:成長期(秋)は、土が“乾ききる寸前”にたっぷり水を与えるのが基本。この”寸前の見切り”を誤って、水分が多めに残っているうちに水を与えると、表皮が裂けて腐敗することも。逆に乾かしすぎると吸水をやめてしまい枯れてしまうこともあり、水やりの繊細な見極めが求められます。筆者が行っているのは、週2〜3回ほど竹串を用土に挿し、土の湿り具合を確認する方法。 休眠期(春〜秋)は基本的に断水しますが、完全な断水にも弱いため、週1回夕方以降に土の表面を軽く湿らせる程度の水を与えます。 筆者雑感:「これ、本当に植物なの!?」と驚かれること間違いなしの不思議系多肉植物ブルゲリ。栽培難易度に敷居の高さを感じてしまうかもしれませんが、この手間と向き合う時間さえも癒やしをくれるという稀有な多肉植物です。まるで静かに思索にふけるようにそっとそこに佇む姿は、心にじんわりとした余韻を残してくれるため、筆者的には“哲学する植物”と評しています。希少性が高いため出会えたら即ゲット推奨! 市場価格帯:4,000〜10,000円以上(大きさにより変動) ⑥ランプランサス・アウレウス’オレンジムーン’ (マツバギク) 学名:Lampranthus aureus ‘Orange Moon’ 和名:マツバギク(松葉菊) 原産地:南アフリカ西ケープ州周辺南西域 成長期:春と秋に特に成長する中間型 特徴と癒やしポイント: シャープで多肉質な葉をぎゅっと密に茂らせ、その中から現れるビビッドなオレンジの花にうっとり。オレンジムーンは、ムーンというネーミングとは真逆の、小さな太陽のような存在感を放ち、癒やしと共に元気も与えてくれます。花期は春から初夏にかけてで、一度開花すると、午前中にふわっと花開き午後にはそっと閉じるリズムが2〜3週間も続くため、日々の中に“咲く喜び”を繰り返し届けてくれます。多肉植物の中では珍しく“花を主役”にできるタイプでありながら、茎の木質化や肉厚な葉の質感も見どころ。 茎はかなり伸びて垂れ下がるため、ハンギングで楽しむのがおすすめ。 栽培難易度:★★★☆☆(日当たり重視で蒸れに注意) 置き場所:直射日光を好むため、日当たり良好な屋外推奨(室内でも窓際の強い光がある場所なら可)関東以北の冬場は室内管理推奨 水やり頻度:春〜初夏は週1回ほど。夏は控えめ、冬は断水気味に。 筆者雑感:開花した瞬間、ふっと気持ちが明るくなります。パッと花開く様子に癒やされるだけでなく、まるで自分の気持ちまで開花するような気分に。午前中に開く花が今日1日の活力を与えてくれる、”心にビタミン”な多肉植物です。しかも安い! 市場価格帯:250〜1,500円前後(ポット苗やハンギング鉢仕立てなど、バリエーションにより変動) ⑦パキポディウム「恵比寿笑い」 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 学名:Pachypodium brevicaule 和名:恵比寿笑い(えびすわらい) 原産地:マダガスカル島アンタナナリボ南部からイトレモ山脈にかけての標高1,250~1,900mの岩場 成長期:春から秋にかけて成長する夏型 特徴と癒やしポイント: ぽってりと膨らんだ塊根部と、そこからちょこんと飛び出す葉。その独特なフォルムで見る人をほっこりさせる「恵比寿笑い」。ぷにぷにした感触はありませんが、ユニークで愛嬌たっぷりな姿を眺めるだけで心がほぐされます。和名「恵比寿笑い」は、“見ていると自然と笑顔になる”というところから付けられたとも言われており、まさにネーミング通りの魅力を放っています。成長はゆっくりで、少しずつの変化をじっくり楽しめるのも醍醐味のひとつ。塊根植物ならではの「育てる時間の豊かさ」を感じさせてくれます。個体差がありますが、直径3cmほどの小さな株でも黄色くて可憐な花を咲かせることがあるので、そうなると愛着もひとしおです。 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 栽培難易度:★★★★☆(休眠期の管理に少しコツが必要) 置き場所:日当たりのよい場所。室内でもOKだが通年で風通しと日光が必須。 水やり頻度:春〜秋の成長期は土が乾いたらたっぷりと。冬は断水気味に。 筆者雑感:「見れば見るほど可愛い!」と、筆者妻は恵比寿笑いの大ファン。恵比寿様のようにどっしりと構えてニコニコしているような、なんともほっこりする存在。成長期に葉をたくさんつけている様子も可愛いですが、筆者個人的には葉を完全に落とした冬の休眠期のからの目覚めの姿(下の写真)が好きですね。 ファーストコーデックス(最初の塊根植物)にもおすすめだ。 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 市場価格帯:5,000〜20,000円以上(サイズや現地球か実生かで変動) ⑧ケラリア・ピグマエア 学名:Ceraria pygmaea(現在は Portulacaria pygmaea に分類されることも) 和名・別名:日本ではそのままケラリア・ピグマエアで流通欧米では"Pygmy Porkbush(とても小さな低木)"とも呼ばれている 原産地:ナミビアと南アフリカ・ケープ州の国境域 成長期:秋から春にかけて成長する冬型 特徴と癒やしポイント: まるでミニチュアの盆栽のような風格ある姿が魅力的な塊根植物。古木のような幹に小さなグミのような多肉質の葉がぽつぽつと付き、まるでおとぎ話の中の木のような不思議な可愛らしさを感じさせます。 そんな見た目とは裏腹に、乾燥した環境に強く、野生では厳しい岩場に根を張るほどのたくましい性格の持ち主。成長がとてもゆっくりなので、長くじっくりと付き合える人生の相棒的存在になるでしょう。ただ、写真のような古木風の塊根部を楽しめるのは現地球(輸入株)であり、タネから育てた実生株は塊根部も細く、あっさりとした印象です。 栽培難易度:★★★★☆(乾燥管理と日照確保がポイント) 置き場所:成長期は日当たりのよい屋外か屋内。風通しの良さが大切だが、厳冬期は室内へ。 水やり頻度:春〜秋は土がしっかり乾いてからたっぷりと。厳冬期は量を控えめに。 筆者雑感:”手のひらサイズの小さな森”ですね。まるで小人が住んでいそうな雰囲気は見ているだけで自然の世界に引き込まれてしまいます。実生株も十分に可愛いのですが、現地球の誘惑は強烈なものです。ただ価格が・・・。成長期を迎える秋冬になると値段も高止まりするため、ある程度価格が下がる春の「冬型塊根売り尽くしセール」などを狙うのもアリかも。実際に筆者もそれで購入。 市場価格帯:【実生株】2,000〜10,000円前後(サイズや樹形により異なる)【現地球(輸入株)】20,000〜70,000円(サイズや樹形、根の状態により異なる) ⑨サボテン「デフューサ(翠冠玉)」 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 学名:Lophophora diffusa 和名:翠冠玉(すいかんぎょく) 原産地:メキシコ中部ケレタロ州に自生するメキシコ固有種 成長期:春から秋にかけて成長する夏型 特徴と癒やしポイント:まるで高級和菓子のような見た目の翠冠玉は、トゲのないぷにぷにの肉厚ボディーと、ふさふさの羽毛が特徴。手のひらにすっぽり収まるサイズ感とやさしい質感が、”触れる癒やし”を与えてくれます。成長はとてもゆっくりですが、だからこそ「焦らなくていいよ」と語りかけてくるような穏やかさを持った存在。視覚と触感、両方から癒してくれるサボテン界のセラピストです。 栽培難易度:★★★★☆(水管理と風通し、日照のコントロールが重要) 置き場所:太陽が大好きだが、直射日光は肌焼けの危険があるので遮光下で管理。室内でもOKだが風通しの良さは必須。 水やり頻度:春〜秋は月1〜2回、用土が完全に乾いてからたっぷり与える。冬は断水気味に。 筆者雑感:ぷにフサっ、とでも言いましょうか、静かな可愛さを醸し出す佇まいは、どんな空間にも凛とした空気を添えてくれます。見ているだけで自然と呼吸が深くなるような存在。和菓子っぽいので、和鉢が似合います。 市場価格帯:4,000〜12,000円前後(大きさ・羽毛の生え方によって変動) ⑩サボテン「月世界」 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 学名:Epithelantha micromeris 和名:月世界(つきせかい) 原産地:米国のメキシコ国境地域からメキシコ北東部の乾燥地帯 成長期:春から秋にかけて成長する夏型 特徴と癒やしポイント:小型サボテンの人気種で、銀白色の極小トゲが綿毛のように密集。全体がビロードのような質感に包まれ、米俵のようなフォルムもユニークです。円柱形のボディにふわふわの羽毛のような柔らかいトゲが愛らしく、思わず守りたくなる存在。そっと触れると”ザラぷに”感があり、日々のストレスでギスギスした心を視覚と感触で静かに和らげてくれる存在です。静物好きにおすすめの癒し系です。 栽培難易度:★★★☆☆ (蒸れと過湿に注意すれば比較的育てやすい) 置き場所:成長期は風通しの良い明るい屋外の日陰か、レースのカーテンごし程度の明るさの室内がベスト。冬は室内に。 水やり頻度:春〜秋は月2回程度、冬は断水気味に。しっかり乾いてから与える「乾燥→たっぷり」のメリハリが大事。 筆者雑感:名前も見た目もどこか非日常で、眺めているだけで楽しくなるサボテンです。薄いピンクの小さな花を咲かせた後、交配すると下の写真のように赤い実(種鞘)ができるのですが、これがまた愛嬌たっぷり。 種鞘のぷにぷに感は、たまらなく気持ちいい。 Photo:JOHN CHEESEBURGER FOTOG./CACTUS RULEZ®︎ 市場価格帯:2,000〜8,000円前後(サイズや状態で変動) 癒やし系多肉植物の育て方のポイント 癒やしを楽しむには「気負わず育てることが」が大事。多肉植物は基本的に強い子ばかり。多少のミスがあってもすぐに枯れることはありません。ここでは無理なく続けられるお世話のポイントを押さえておきましょう。 水やりのポイント 水やりの際は、できるだけ株本体に水がかからないように注意しましょう。葉やボディに水がたまると、蒸れて病害虫の原因になるほか、水跡が残って美観も損なわれてしまいます。 鉢底から水が溢れるまで与える。 また、おすすめ10選の中でいくつかの品種は「冬は断水気味に」と明記してありますが、完全に水を断つわけではありません。細根を傷めないためにも、冬場は月1〜2回、用土表面がほんのり湿る程度に軽く与えるのが理想。この“ほんのり加減”が次の成長期の質を高めるカギとなります。 ほんのり加減は、株周りを一周程度で良い。(※動画がループしているため何周もしているように見えますが、実際は一周です。) 光の当て方のポイント 多肉植物は日光に強い種類が多いですが、室内育ちの株をいきなり強い日差しに当てると葉焼けの原因に。屋外に出す場合は、まずは明るい日陰で慣らす「順化」のステップを忘れずに。また、直射日光が苦手な種類には、下の写真のように園芸用遮光ネット(30〜50%遮光)を適当な大きさに切って、鉢にかぶせ、輪ゴムで止めるのも手です。 最近の日本の直射日光はかなり強烈なので、無理に屋外で育てず、特に初心者の方には植物育成LEDライトを使った室内栽培もおすすめ。ただし、湿度管理には注意が必要です。サーキュレーターなどで室内の空気を循環させ、蒸れやカビを防ぎましょう。 プラ鉢からの植え替え 購入時のプラスチック鉢でも十分に育てられますが、味気なさを感じたら、お気に入りの鉢に植え替えるのも楽しい選択です。 確かに味気ないが、植物を守り育てる機能性は高い。ゆえにプロは使用する。 ただし、多肉植物の根はデリケート。元の土を無理に崩さず、同じかワンサイズ大きい鉢に優しく移しましょう。鉢選びに迷ったら「素焼き鉢」がおすすめ。素焼き鉢は土(粘土)を原料とし、素材に含まれる微細な気孔が空気を通すことで、通気性と排水性に優れています。そのため根腐れのリスクを抑えられます。見た目もナチュラルで多肉との相性◎。使用時は鉢底石をお忘れなく(詳細は後述)。 鉢底石と土のポイント 多肉植物を元気に育てるカギは、「通気性」と「排水性」。購入時のプラスチック鉢はスリットが多く通気・排水に優れていますが、素焼き鉢など底穴が一つだけの鉢を使う場合はひと工夫が必要です。まず、鉢底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を重ねて土を底上げしましょう。これにより通気と排水の性能がグッと高まり、蒸れや根腐れを防ぐことができます。目安としては3号鉢(直径9cm)で鉢底石の高さが1/4程度がちょうど良いバランスです。 土は市販の「多肉植物・サボテン用培養土」でも十分ですが、筆者のおすすめは、プロが調合した専用土。たとえば、当連載でもおなじみの「ガディンツキープランツ」関さんや、オザキフラワーパークのオリジナル用土など、多肉を知り尽くしたエキスパートによる配合なら安心して使えます。 まとめ|小さな多肉が、心のビタミンになる 癒やしの存在は人それぞれ。我が家の場合、今年6歳になる愛猫の甘えた姿は、何にも代えがたい心のオアシスです。でも、小さな多肉植物たちも、ふとした瞬間にそっと心をなごませ、元気をくれる存在になっています。忙しい日々の中「植物と暮らす」ということは、ぷにぷにとしたフォルムや、ころんとしたシルエットに癒やされながら、自分のペースで心を整える時間を持つということ。まるでビタミンを補うように、気づけば明日への活力になってくれます。思うに、癒やしとは一方的にもらうものではなく、こちらからも愛情を注ぐことで初めて返ってくるもの。愛とは、ちょっとしたお世話や、健やかに育ってほしいと願う気持ち。それは動物でも植物でも、きっと同じです。小さな多肉植物たちも、ちゃんとその想いに応えてくれます。あなたの毎日に、ちいさな緑のビタミンをひとつ、加えてみませんか?
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多肉・サボテン

【必見】アロエハイブリッドの魅力と育て方|進化系アロエをプロが解説!
今回お話をうかがう関ヨシカズ氏 今回お話をうかがう関ヨシカズ氏(以下関さん)は、2024年9月に世田谷区九品仏に、多肉などのビザールプランツを取り扱う専門店として「gadintzki plants(ガディンツキー・プランツ)」をオープンさせた園芸のプロフェッショナル。同店をオープンする前は30年にわたり目黒区祐天寺にて園芸店を営んできており、ガーデンストーリーでは「街の園芸店がお悩みを解決!」という連載記事でもご活躍いただいてきました。 ガディンツキープランツは、育てやすい植物をお求めやすい価格で、がモットーのお店。古着のポップアップストアも併設されたおしゃれな店内には、いつも常連さんや、関さんに園芸のアドバイスを求めるお客様でにぎわいをみせています。そんな関さんの園芸哲学は、「園芸は人と人との縁(えにし)を繋ぐもの」。本やWebで学ぶ知識も大切だけれど、実際に言葉を交わし、知識や経験を共有することで園芸の楽しさはさらに広がる、と熱く語ります。「最近はアロエが来てますよ!」と、お店に集うお客様同士でも話題になっているそうで、さっそくアロエに関していろいろと教えていただきました。 アロエの基本情報 アロエの歴史と原産地、名の由来 植物名:アロエ 学名:Aloe 英名:Aloe 和名:蘆薈(ロカイ)=中国語で「草むらに茂る」という意味 科名:ツルボラン科(旧分類ではユリ科) 属名:アロエ属 原産地:アフリカ南部、マダガスカル、アラビア半島などの乾燥地帯 形態:多年草(常緑性多肉植物) 園芸分類:観葉植物・多肉植物・薬用植物 開花時期:12〜3月(温暖地域で屋外栽培の場合) 草丈・樹高:10〜100cm(種類によって異なる) 耐寒性:やや弱い(種類によって異なる) 耐暑性:強い 花色:橙、赤、黄色などアロエは南アフリカを中心に、アラビア半島、マダガスカル、インド洋の島々に分布する多肉植物の一種。原産地では乾燥した環境に適応し、砂漠や岩場に自生しており、その強靭な生命力が特徴です。古代エジプトでは「不死の植物」として神聖視され、クレオパトラが美容のために使用していたとも伝えられています。 想像図 ギリシャやローマの医学書にも登場し、日本でも中国経由で初めて持ち込まれた江戸時代に薬用植物として広まりました。「良薬口に苦し」といわれるように、薬効成分を含むアロエの果肉はとても苦いもので、このためアロエの名は、古代アラビア語で”苦い”を意味する「alloeh」が語源となり、ギリシャ語「αλόη(aloé)」へと派生し、植物学上の学名としてラテン語の「Aloe」が確立されました。現在では観賞用としての人気も高まり、独特の造形美や育てやすさが、多肉植物愛好家の心を掴んでいます。 アロエの種類と特徴(観賞用・薬用・食用) アロエは現在650種類以上が確認されており、大きく分けて観賞用、薬用、食用の3つのカテゴリーに分類されます。 観賞用アロエは、葉の模様やトゲ、ロゼット状の形状など、多様な美しさを持ち、原種系やハイブリッド系などに分類されます(後述)。 原種系アロエ (Left)Pix by PhotoSky/Shutterstock.com、(Right)Pix by Valentino Vallicelli/Courtesy of llifle ハイブリッド系アロエ 薬用アロエの代表格はアロエ・ベラやキダチアロエで、抗炎症作用や保湿効果があり、古くから民間療法に用いられてきました。ただし、民間療法には誤認識もあるため、体のことは医師に相談しましょう。 食用アロエは、特にアロエ・ベラの葉肉がゼリー状で食べやすく、ご存じのとおり、ヨーグルトやジュースに加工されることが多いです。 アロエベラとその果肉。 園芸界におけるアロエの評価 アロエといえば美容や健康への効果が注目されがちですが、園芸界でもその価値が見直されています。アロエは多肉植物の中でも成長が比較的遅いため、長くその姿を楽しめる点も評価され、個体ごとの個性をじっくり味わうことができることから、単なる実用植物にとどまらず、観賞用多肉植物として園芸の分野でも重要な存在となっています。そんな観賞用アロエの魅力は、まずその独特な美しさにあります。ロゼット状に広がる葉は品種ごとに異なり、トゲの形や色彩、葉の質感などが多様で、コレクション性が高いのが特徴です。 またアロエは特に乾燥に強く、水やりの頻度が少なくてすむ点は、多肉植物初心者にも人気の理由のひとつ。近年では、“手間のかからないグリーン”を求めるライフスタイル志向の高まりとともに、アロエの需要が再注目されています。 観賞用アロエの種類 観賞用アロエは以下の3種類に分かれます。 ①原種アロエ②アロエハイブリッド「ネームド」③アロエハイブリッド「ノーネーム」それぞれに関して関さんに解説してもらいました。 ①原種アロエ 原種アロエは、原産地に自生する野生種、またはそれをもとに育苗された株(実生株や子株など)を指します。極端な気候や乾燥した環境に適応しながら自然の中で進化してきたため、その姿には独特の美しさがあります。 原種アロエの最大の魅力は「自然が生み出した造形美」。葉の形やトゲの配置、成長の仕方など、すべてが環境に最適化されているからこそ、人工的に作られたものとは違う力強さを感じます。 マルロシー(鬼切丸) 原種アロエは、希少な品種や美しい美観と大きさを兼ね備えた株ともなると数万円の値がつくものもありますが、そういったものは愛好家の間では「生きた芸術品」とも称されています。しかし、大量生産された実生株でも十分に観賞価値を有していて、品種によっては1,000〜2,000円台で入手できることから、観賞用アロエ初心者の方にもおすすめです。 代表的な原種アロエ①:アロエ・ポリフィラ 〜渦巻きアロエの異名を持つ〜 Pix by Ladykhris/shutterstock.com アロエ・ポリフィラ(Aloe polyphylla)は、南アフリカ・レソト高地原産の原種アロエで、螺旋状に展開する葉が特徴。真上から見ると万華鏡のように美しく、原種の中でも特に人気があります。名前の「ポリフィラ」はギリシャ語で「多くの葉」を意味し、欧米では「スパイラルアロエ」、日本でも「渦巻きアロエ」と呼ばれることも。希少性が高く、小さな実生株で4,000円前後、大株では30,000円以上することもあります。価格は株の状態や販売店により変動します。 代表的な原種アロエ②:アロエ・スザンナエ 〜マダガスカルのツリーアロエ〜 Pix by Valentino Vallicelli / Courtesy of llifle アロエ・スザンナエ(Aloe susannae)は、マダガスカル原産で、野生では高さ3〜4m、最大5mにもなる大型種。「マダガスカルのツリーアロエ」とも呼ばれ、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに登録された絶滅危惧種でもあります。 マダガスカルにおける野生の4m級スザンナエ。一見してつくしのように生える花穂も巨大だ。 Pix by S.E. Rakotoarisoa(University of Antananarivo) Courtesy of ResearchGate 名前は、同島の植物研究に功績を残したフランスの植物学者スザンナ・デカリーにちなみます。細身で斑点模様のある葉は、明るい緑〜灰緑色。花はオレンジから黄色の穂状で、開花までに数十年を要し、また再び咲くまでにも長い年月が必要となります。園芸種の小株は6,000円前後、優良な株は1〜4万円で流通することもあります。 ガディンツキープランツで買える原種アロエ ここに紹介する原種アロエ3商品はすべて実生によるもので、色彩的には、いわゆる一般的なアロエのイメージに近いかも。でもトゲの色や形、樹形には独特の個性があり、それぞれの魅力が光ります。 ペグレラエ 高さ9cm 広がり幅6cm 価格2,750円(税込) マルロシー(鬼切丸) 高さ10cm 広がり幅14cm 価格2,200円(税込) ロンギスティラ 高さ12cm 広がり幅6.5cm 価格6,600円(税込) ②アロエハイブリッド「ネームド」 アロエハイブリッドとは、複数のアロエ原種をもとに交配して生まれた人工作出種のことを指します。原種アロエの持つ個性を掛け合わせることで、色彩、葉の模様、形状、トゲの付き方などが多様になり、観賞価値の高い株が生まれます。近年では、交配を手がける“ハイブリダイザー”と呼ばれる育種家たちによって、芸術品のような魅力を持つアロエハイブリッドが数多く生み出されており、アロエハイブリッド「ネームド」(以下ネームド)とは、そんなハイブリダイザーたちによって作出されたアロエハイブリッドのうち、選抜され、ネーム(商品名)が明記された色付きの札(タグ)を付けて流通しているものを指します。 このタグが鉢の縁に挿してある。これはタイの著名なナーサリー「TCT Nursery」のタグ。 現在市場に出回るアロエハイブリッドの多くは、タイや台湾で作出されており、その中でもネームドは特に高い人気があります。その魅力に惹かれてコレクションを始める愛好家も増え、観賞用アロエの世界はますます奥深いものになっています。 代表的なアロエハイブリッド「ネームド」:テンプラ(Aloe 'tempra') Pix by SHOCK_BTU 現在日本の園芸市場でアロエハイブリッド人気を牽引しているといっても過言ではない品種が、「アロエ テンプラ(Aloe 'tempra')」。優秀なアロエハイブリッドをいくつも発表しているタイの著名なナーサリー「TCT Nursery」のテプチャイ・ティッパヤチット(Tepchai Tippayachit)氏によって作出され、値段は数万円という、まさに高嶺の花の”高級テンプラ”です。テンプラは正式な学名ではなく、あくまでも園芸流通における商業上の名前ですが、テプチャイ氏が日本文化にオマージュをこめてこのように名付けました。厚みのあるテンプラの葉の表面を埋め尽くす朱色の突起模様や鋸状のトゲが、どことなく天ぷらの衣にも見えなくもないですね。 ハイブリダイザーの名が入った「ハイブリダイザー・ネームド」というのもある ハイブリダイザー・ネームドとは、著名なハイブリダイザーによって作出された株を指し、それらの商品名の多くには、ハイブリダイザーの名が含まれています。例えば、ケリー・グリフィン氏(Kelly Griffin)のK.G.Hyb.や、ディック・ライト氏(Dick Wright)のD.W.Hyb.です。また、その商品名自体がハイブリダイザーの作出したものであることを指す場合もあります。ケリー・グリフィン氏、ディック・ライト氏は、ともにアロエハイブリッドシーンを牽引する米カリフォルニアの著名なハイブリダイザーで、彼らが生み出す品種は、希少性とコレクション性の面からとても注目されています。 ガディンツキープランツで販売しているケリー・グリフィン氏作出の株「Twilightzone K.G.Hyb.」 筆者所有ディック・ライト氏作出の株「Godzilla D.W.Hyb.」。文字どおりゴジラの尻尾みたいだ。 ③アロエハイブリッド「ノーネーム」 アロエハイブリッド「ノーネーム」(以下ノーネーム)は、トゲの形がやや不揃いだったり、葉面の突起が少ないといった理由から、ネームドとして選抜されなかった個体を指します。ただし、原種の性質をある程度受け継いでおり、ナーサリーによって品質のよさが認められたものが該当します。 もっとも、日本におけるアロエハイブリッドのムーブメント自体がまだ黎明期にあるため、ノーネームに関する基準はやや曖昧です。しかし、商業的に一定の知名度を持つナーサリーが手がけたものに限ってノーネームと呼ばれる傾向があります。ちなみに、前述のタイ・TCTナーサリーが販売するノーネーム商品には「白タグ」という通称が付けられています。いずれにしても、ノーネームはネームドほどの高値ではありませんが、一定の価値が認められており、相応の価格で取引されることもあります。 アロエハイブリッドの「札落ち(ふだおち)」とは、ノーネームの中でも、どのナーサリーが作出したか不明な株を指します。出所が明らかでない分、価格も比較的安価で、ものによっては数百円で手に入ることもあり、非常にリーズナブルにアロエハイブリッドを楽しむことができます。 また、趣味家が自身で交配・育成した株を販売しているケースも札落ちに該当します。 ただし、中には有名ナーサリーが手がけた美株が、流通の過程でタグを失って(あるいは意図的に外されて)紛れ込んでいることもあるため、「札落ち=C級品」とは一概には言えません。 多肉植物の栽培が初めてで、「まずはアロエハイブリッドから試してみたい」という方には、手軽に始められる札落ちがおすすめです。 ガディンツキープランツで買える「ノーネーム」 ノーネームアロエハイブリッド各種:1,000〜5,000円 ※価格詳細は店頭にてお問い合わせください。 ノーネームとは、名を冠するには値しないものの限りなくそれに近い、いわゆる「名も無き逸品」。どの株も個性が光っており、"作品"に対するハイブリダイザーの情熱が感じられます。 これなどは、ケリー・グリフィン作'Fang'のノーネーム? と思えるほど、美しい株です。 アロエハイブリッドは必ずブームが来る! その3つの理由とは? 理由① 初心者でも容易にチャレンジできる価格 コレクション性が高い多肉植物は、過去にサボテンや現在のパキポディウム、アガベなどがそうであるように、必ずブームがくるものです。これらは高価な商品が次々と売れ、市場も活性化しました。しかし、その多くが高価格であることが、初心者にとっては敷居が高く感じることもあります。その点アロエハイブリッドは、札落ちからスタートすれば1,000円以下で手に入れることができるため、価格面での敷居が低いのが大きな魅力です。 上の写真は筆者が初めてガディンツキープランツで購入したノーネームアロエハイブリッド。いかにもテンプラの選抜落ちという感じだが、故郷のタイで手塩にかけられたものであることには違いない。 ノーネームや札落ちのアロエハイブリッドは、農作物でいう「規格外品」に近いものですが、品質が劣るわけではなく、むしろ「唯一無二の個性を持ったアロエ」として楽しめます。関さんは、「名前にこだわらず、まずはファーストインプレッションでこの摩訶不思議な植物との一期一会の出会いを楽しんでいただきたい。その先には、テンプラが待っています!」と語り、初心者が段階を踏んで楽しむことができるアロエハイブリッドに大きな期待を寄せています。 理由② 誰でもオリジナルのハイブリッドを! Pix: GreenThumbShots/shutterstock.com アロエハイブリッドは、どんな株も高い確率で開花するため、異なる品種を掛け合わせることで、新しい形や模様、色合いを持つ個体が生まれる可能性があります。つまり、自分だけのオリジナル品種を作り出せるかもしれません。実際に、テンプラなどの人気品種を種子親として他の品種と掛け合わせた、アロエハイブリッドのハイブリッド、いわば“二世代目”を育てている趣味家さんたちも多くいます。ハイブリダイザーによる傑作ハイブリッドも魅力的ですが、自分で交配して新しいアロエを生み出す楽しさを体験してみませんか? 方法は非常に簡単です。アロエの花は長い花軸の先端に鈴なりに咲くため、一方の株の花の一つを穂からもぎ、その花の雌しべを、もう一方の株の雄しべに付けて花粉を移すだけです。ただし交配を行うためには、両方の株が同じタイミングで花を咲かせている必要があります。初心者でも比較的挑戦しやすいので、ぜひ交配の世界に踏み込んでみてください! 理由③ 寄せ植えとしても楽しめる! ちなみにアメリカでは、アロエハイブリッドの多くが小型の品種であるため「ドワーフアロエ(Dwarf Aloes)」や、ヒトデに似ていることから「スターアロエ(Star Aloes)」と呼ばれています。特にカリフォルニアでは、この品種に魅了された園芸ファンが増えており、非常に人気があります。日本と違って広い庭があるため、そうした魅力的なアロエを育てやすいのがうらやましいですね。下の動画では、カリフォルニアの著名なガーデンフォトジャーナリスト、デブラ・リー・ボールドウィン氏(Debra Lee Baldwin)がドワーフアロエの寄せ植え方法を紹介しています。 ボールドウィン氏が動画の中でセダムとの寄せ植えをレクチャーしているように、アロエハイブリッドは寄せ植えにもぴったりな素材です。小型で多様な形状や色合いを持っているため、ほかの植物と組み合わせることで、美しいデザインが楽しめます。 観賞用アロエの育て方のポイント 管理場所 観賞用アロエは日当たりと風通しのよい場所で育てるのが理想的です。 【成長期:春〜秋】 基本的には 屋外の日なたが適していますが、品種によっては強すぎる直射日光で葉焼けすることもあるため、夏は強光線を避けるために半日陰に移動するか、遮光率50%程度の遮光ネットを使うのも有効です。また、多湿環境は根腐れの原因となるため、雨ざらしを避け、梅雨の長雨のときは軒下か、簡易ビニールハウス、あるいは屋内で管理するとよいでしょう。 筆者愛用の簡易ビニールハウス「パンタグラック」。色彩豊かなアロエハイブリッドの栽培にもおすすめだ。 屋内で管理する場合は、できるだけ南向きの窓際など、十分に日光が当たる場所を選びましょう。屋内で日照不足になると徒長しやすくなり、美しいロゼット形状が崩れる原因になります。ただし屋外同様に、夏の直射日光には要注意です。 【冬季】 冬の寒さには比較的強いですが、霜や凍結には弱いため、気温が5℃を下回る地域では室内や温室に取り込むのが安心です。特に冬場は日照が不足しがちなので、植物育成ライトの使用がおすすめ。 【屋内栽培では植物育成ライトとサーキュレーターを使おう!】 植物の生育には「光」、「風」、「水」の3つの自然要素が必須となります。しかし屋内、特にマンションの居室で栽培する場合は風による通気が極端に少なくなるため、サーキュレーターを使用して室内の空気を循環させることを強く勧めます。これにより、屋内栽培の失敗例として最も多い「蒸れによる根腐れ」を防ぐことができます。 用土 関さんの長年の経験が詰まったガディンツキープランツのオリジナル多肉植物用培養土。筆者は所有する多肉植物のほとんどに用いている。 容量:2L 価格:715円(税込) 観賞用アロエは水はけのよい土を好みます。上の写真の関さんオリジナルブレンドの培養土をはじめ、市販の多肉植物用培養土を用いるのが手軽ですが、自作する場合は、前出の「TCT Nursery」が推奨するアロエ・ハイブリッド向けの用土レシピを参考にするとよいでしょう。テップチャイ・ティッパヤチット氏が実際に使用している配合です。 ※オスモコートは日本では入手困難のため、住友化学園芸の「MY PLANTS 長く丈夫に育てるタブレット」(N-P-K=12.5-11-11)が代用品としておすすめ。 鉢底に軽石を敷いてから土を入れることにより排水性が向上します。 水やり 観賞用アロエは乾燥に強く、過湿に弱いため、水やりは控えめが基本です。まず、ポイントとしては、下の動画のように、葉にかからないように与えること。100円ショップの園芸コーナーでも販売しているペットボトル用ノズルを使用すると便利ですよ。 春~秋(成長期):土がしっかり乾いてからたっぷり与える。週1〜2回が目安。 冬(緩慢期):成長が鈍化し水を吸収しにくくなるため、月1~2回程度、用土表面が湿る程度の控えめな水やりでOK。 また、葉についた水滴は蒸れの原因にもなるため綿棒などで吸い取ってあげましょう。ちなみに筆者のおすすめは、カメラ用品のブロアー(ホコリを飛ばすための手動ポンプ)を用いた水滴飛ばし。効率よく確実に水滴を飛ばせます。 肥料 元肥が入っている用土を使う場合、基本的には追肥を頻繁に行う必要はありません。ただし成長期(春から秋にかけて)は栄養を必要とすることがあるので、元肥が切れる頃や、株が元気に成長していると感じたときにメネデールなどの活力剤を与えることは有効です。元肥がない場合は、成長期の春〜秋に月1〜2回、規定量より薄めにした液体肥料を水やりの際に与えましょう。冬はあげないでOKです。 かかりやすい害虫・病気 害虫 観賞用アロエは基本的に害虫には強いですが、適切な管理を行わないと以下の害虫がつく場合があります。 カイガラムシ:葉や茎に白い綿状のものが付着する。見つけ次第、歯ブラシでこすり落とすか、殺虫剤(GFオルトラン粒剤など)を使用。 ハダニ:葉の裏に寄生。乾燥を好むため、霧吹きで葉を湿らせると予防になる。 アブラムシ:新芽に集まり成長を阻害。見つけたら水流で流し落とすか、牛乳スプレーで窒息させる方法も有効。 害虫を防ぐには、風通しをよくし、定期的に葉の裏もチェックすることが大切です。 病気 病気も、その多くは過湿や風通しの悪さが原因で発生します。 黒斑病(ブラックスポット):葉に黒い斑点が出来るカビ系の病気。発生した部分は早めに切除し、切り口にGFベンレート水和剤などの殺菌剤を散布し消毒します。 軟腐病:細菌により葉や茎がどろどろに溶ける病気。発生すると進行が速いため、感染部分を切除し、GFベンレート水和剤などの殺菌剤を散布し消毒を徹底します。 病気を防ぐには、適度な乾燥と風通しの確保が大切。特に梅雨時期や冬の室内管理では注意が必要です。 まとめ|美しきアロエの世界へようこそ 【関さんから読者の皆さんにメッセージ】 アロエといえば、多肉植物に興味がない方でもその存在は知っていて、近所を散歩すれば必ずどこかのお宅が軒先に植えているという、まさに「国民的多肉植物」。そんなアロエの中でも、アロエハイブリッドは色や形のバリエーションが豊富で、まるで芸術作品のような美しさを持っています。初心者でも育てやすくコレクション性も高いため、一度魅了されると次々に集めたくなることでしょう。かくいう私も関さんのせいで沼落ち5秒前です。また、交配でオリジナルの株を作出できるかもしれないというのは夢が広がりますよね!デブラさんによるアロエハイブリッドの寄せ植えも大変興味深いです。あなたもぜひ、この奥深いアロエハイブリッドの世界に足を踏み入れてみませんか?
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多肉・サボテン

今が買い時! 多肉植物【アドロミスクス】の育て方とおすすめ品種を徹底解説
アドロミスクスの基本情報 多肉植物狂い、今回は私も好きで3品種ほど育てているアドロミスクス(Adromischus)をご紹介します。アドロミスクスは、ベンケイソウ科アドロミスクス属に属する多肉植物で、南アフリカを原産としています。名前の由来は、ギリシャ語の「adros(太い・丈夫)」と「mischos(茎)」からきており、丈夫で成長が早い特徴を持つことをあらわしています。日本には20世紀初頭に輸入され、観賞植物としてその美しいフォルムの魅力が徐々に広まりました。しかし一般的に流通するようになったのは1990年代後半から2000年代初頭です。現在は多肉植物のブームの影響もあり、アドロミスクスの栽培を楽しむ園芸ファンがますます増えています。 アドロミスクスの概要 独特な葉の形状と模様が人気 アドロミスクスの特徴的なポイントは、そのユニークな葉の形状です。葉は厚みがあり、多肉植物らしい丸みを帯びた形状をしていて、パッド状、棒状、扇状、こん棒状と、葉姿のバリエーションの多さも魅力です。葉の表面には、品種により多様な斑点や模様が見られます。一部の品種では、まるで宝石のように輝く斑点を見ることもできます。この不規則で芸術的な模様が、アドロミスクスを他の多肉植物と一線を画す存在にしています。形、色合いともに個性的で、また、成長して大きくなっても株全体の広がりは15cm程度のため、コンパクトなインテリアグリーンとして、コレクターはもちろん、幅広い層からから愛され続けています。 小さな花 アドロミスクス・クーペリーの花 Photo by Lourdes Izquierdo/flickr.com アドロミスクスは花も魅力的です。小さな花は株の中心から伸びる長い花茎に咲き、白や薄いピンク色が一般的で、とても可愛らしい印象です。とはいえ、葉の存在感、観賞価値に比べるとその佇まいはかなり控えめ。それでも花が咲いたときには、株全体がさらに華やかに見えるため、花が咲く過程を楽しみに育てる人も多いです。 アドロミスクスの品種 クーペリー Photo Courtesy of LLIFLE , Photo by Gennaro Re 原産地:南アフリカ東ケープ州 名前の由来:「クーペリー」の名前は、発見者である植物学者ジョン・クーパーに由来しています。英語圏では、見た目が千鳥という鳥の卵に見えることからPlover Eggs Plant(千鳥の卵植物)とも呼ばれています。 概要:アドロミスクス・クーペリーは、アドロミスクスのアイコン的な品種。深い緑色の葉が丸みを帯びて整然と並ぶ姿が特徴的で、葉には薄く白い斑点があり、その模様が光を反射し独特のエレガントな美しさを誇ります。この品種は、ズール山脈という比較的標高が高い場所の岩がゴロゴロした荒地に自生しているため、園芸品種として市場に出回っているものも野生種同様に乾燥に強いとてもタフな品種です。薄ピンク色の小さな花を咲かせることもあり、野生味のある葉の間から可愛らしい花が咲く姿のミスマッチ感も面白いです。 市場価格:1,000円〜4,000円クーペリーは、アドロミスクスの中でも比較的流通量の多い品種の一つで、店頭やネットで簡単に入手できます。また、昔ながらの園芸店ではアドロミスクス・クーペリーではなく「アドロミクス」としてこの品種を販売している例もあります。 マリアンナエ Photo Courtesy of LLIFLE , Photo by Flavio Agrosi 原産地:南アフリカ/ナミビア国境付近 名前の由来:この品種は、発見者である南アフリカの植物学者マリアンヌ.Nにちなんで名付けられたとされています。 概要:アドロミスクス・マリアンナエは、葉の縁に赤紫色の模様が現れる美しい品種です。この品種は寒さに強く、室内で育てやすいのが特徴です。比較的育成が簡単で、特に葉の美しい模様が観賞用に最適です。アドロミスクス・マリアンナエは、多肉植物を取り扱っている比較的大きめな園芸店で入手でき、ネット販売でも数多くが出品されています。 市場価格:1,500円〜6,000円ネットでの苗の販売価格の多くは1,500円程度でしたが、都内の大手園芸店では2,000円前後が一般的です。葉の模様や株ぶりがよいと、5,000円以上する場合もあります。ネット上での出品数も極めて少ないので、確実に入手したい場合は大手園芸店へのお問い合わせをおすすめします。 松虫 原産地:南アフリカ西ケープ州 名前の由来:日本では「松虫」という和名で親しまれていますが、種名はAdromischus hemisphaericus(アドロミスクス・ヘミスフェリクス)。hemisphaericusはラテン語の「半球」を意味する言葉で、葉の形からその種名がつきました。和名の「松虫」の由来は、風に揺れる葉の動きが松虫というバッタのような昆虫を彷彿させるため、最初は中国で松虫と命名され、それがそのまま日本で使われている、といわれています。 概要:松虫は、葉の形が細長く、先端がやや鋭角になっていて、槍先にも似た特徴があります。その色彩は、深い緑と錆びたような赤色が混ざった独特な色合いで、コントラストがとても美しいです。上の写真では新芽が生まれていますが、新芽は赤いことが分かりますね。松虫は、紅葉時期(冬成長型なので春先)には葉の色は黄色がかり、葉先がピンク色に染まるため、葉色の美しい変化も楽しむことができます。 上の写真の株は私所有のものですが、この株は長く伸びた幹が灌木のような独特な風情を醸し出し、個人的にも気に入っています(葉挿しのために葉をむしってしまいましたが、実際にはもっと葉がありました)。松虫は全体的に成長が遅めですが、耐寒性があり寒冷地でも育てやすいタフな品種です。 市場価格:約700円〜5,000円松虫は、かつては流通量が少なく、高価な品種だったのですが、昨今は葉挿しから増やした株がネット上で700〜800円くらいで販売されており、気軽に手に取って楽しめる品種となりました。しかし、株立ちがよいものとなると高価になります。 クリステイタス(永楽) 原産地:南アフリカ東ケープ州 名前の由来:品種名の「クリステイタス」は、特徴的な小さな突起のある葉の先端部が冠のように見えることから、ラテン語で「冠を持つ」を意味する「cristatus」と名付けられました。日本では「永楽」という和名で親しまれていますが、もともと永楽という言葉は古代中国の元号であり、長寿や永遠の繁栄を象徴する大変めでたい言葉とされています。そこに、クリステイタスの力強い生命力をなぞらえてこの名が付いた、と考えられています。贈り物にすると喜ばれそうですね。 概要:アドロミスクス・クリステイタスは、厚い逆三角形の葉の先端がひだ状になっているのが特徴で、一見すると餃子の皮にも見える、とても可愛らしい葉が目を惹きます。 特に葉の表面が光の角度や加減によって翡翠色に輝いたり、新芽が若草色に煌めく様子はとても美しく、幹から生える赤いヒゲのような毛とのミスマッチ感も面白くて、マニア心をくすぐります。 原産地は南アフリカの乾燥地帯で、岩がゴツゴツとした斜面の岩陰などで自生しています。そんな悪環境で生きているためか、多少日照条件が悪い場所でも問題なく栽培できます。しかし、健康的な大株に育てたい場合は、日当たりのよい場所での栽培がおすすめです。この品種は、他のアドロミスクス品種と比べて成長が速く、比較的丈夫なので初心者にも育てやすいです。 市場価格:100円〜5,000円クリステイタスは比較的流通しており、価格はサイズや状態によって異なります。小さいポット植えの場合は100円ショップでも販売していることがあり、とても安価に購入できますが、しっかりと育った株や大きなサイズは高額になります。 クラビフォリウス Photo Courtesy of LLIFLE , Photo by Julio C. García 原産地:南アフリカ東ケープ州 名前の由来:「clavifolius(クラビフォリウス)」は、ラテン語で「こん棒のような葉」を意味しており、この品種の葉の特徴を表しています。私だったら「マラカス」という名をつけますけどね。日本では「赤棍棒(あかこんぼう)」という和名がついており、これは、日本国内で見られる株の多くは葉の先端に赤い斑点が現れることに由来しています(上の写真の株は海外株)。 概要:クラビフォリウスは、前出のクリステイタス(永楽)の変種で、クリステイタス同様に岩が露出した斜面などに自生しています。とてもタフな品種ですが、クラビフォリウスは暗い場所で栽培すると葉色が薄くなり、やがて落葉してしまいます。とはいえ、直射日光への耐性も弱いので、レースのカーテン越しや、遮光ネット越しなど、20〜30%ほど遮光した場所での管理がおすすめです。 市場価格:1,100円〜5,000円店頭で見るのは稀なレア品種で、ネットで検索しても決して出品数が多い品種ではありません。現在確認したところ、某フリマアプリでの1,200円が最安値でしたが、レア品種であることを考えるとその商品はかなりお買い得ですね。 シュルドティアヌス ・原産地:ナミビアの中央部から南西、南アフリカ北部※写真の株は私所有のもので、南アフリカ北ケープ州の小さな村Pofadder(ポファッダー)郊外のPoortseberg(ポールツェベルク=丘陵地帯)産の輸入株。・名前の由来:「シュルドティアヌス」は、この品種の発見者であるドイツの園芸家ハンス・シュルド氏にちなんで名付けられました。名前の最後の「-アヌス」は、ラテン語で「-に関連する」という意味で、「シュルド氏が名付けた」ということを意味する品種名が付きました。・概要:シュルドティアヌスは、アドロミスクス特有の多肉質で複雑な彩りを魅せる葉と、基底に極太の塊根部を形成する独特な茎を持つ、とてもユニークな形状をした珍種。アドロミスクス好きとコーデックス(塊根植物)好きの両方の好みを満たすという、なんとも都合のよい品種ですね。 矢のように先端が尖ったグレーグリーンの葉は、触れてみると意外にもマットな質感で、上の写真をご覧いただくと分かるように、新芽の先端には比較的くっきりとしたピンクが現れています。葉が成長していくにつれてこのピンク色は薄くなり、成長した葉に美しいグラデーションをもたらします。ゴツゴツした塊根部にこの魅力的な葉をたくさん付けた様子は、時を忘れて眺めていることができます。 葉の間からニョキッと花芽を出している。 成長速度は他のアドロミスクスに比べて大変遅いです。この品種を育てるうえで重要なのは、日照と風通し。成長期である秋冬の日中は外に出して、陽の光と自然の空気をたっぷりと与えます。また蒸れを極度に嫌うため、水やりも土が完全に乾いてから2〜3日経過してから与えるという、やや辛めの水やりが望ましいです。 市場価格:4,000円〜10,000円市場の流通は稀で、ネット上でもなかなか入手が困難な希少種です。見つけたら即買いがおすすめです。 アドロミスクスの基本的な育て方 アドロミスクスは、南アフリカの南西部から南東部の幅広い地域に分布している多肉植物。この地域の気候に日本の気候をなぞらえると、日本ではアドロミスクスの品種の多くは高温多湿な夏に成長が停滞し、乾燥した秋~春に成長する冬季成長型の多肉植物として育てるのが一般的です。冬季成長型の一般的な栽培方法は以下のとおりです。 置き場所(日当たりと風) アドロミスクスは基本的に明るい日光を好みます。特に、冬の時期は成長を促進するために日光と風(揺れるような風ではなく空気を循環させること)を十分に与えてあげることが重要です。日当たりのよいバルコニーがある方は、秋〜春は午前中〜14時くらいまで、晴れている日は外に出してあげましょう。ただし、直射日光への耐性は品種により異なるため、園芸店あるいはネットなどで事前に調べておく必要がありますが、本記事で紹介したクラビフォリウス以外の5品種は基本的に冬の直射日光は大丈夫です。住環境でこれらが難しい場合は、太陽の代わりに植物育成LEDライト、自然の風の代わりにサーキュレーターで室内の空気を循環させることにより、適切な管理を行うことができます。 ただし冬成長型といっても、過度に低温の環境に置くと株のパフォーマンスも落ちるため、株周りの温度は7℃以上を保つようにしましょう。休眠期の夏は直射日光を避け、室内での管理を推奨します。アドロミスクスはどの品種も蒸れを嫌うため、風通しのよい場所で保管するか、サーキュレーターを用いて室内の空気を循環させるようにしましょう。 ペットや幼児に対する毒性 アドロミスクスの属するベンケイソウ科の植物の多くは、葉や茎に動物の心臓機能に影響を及ぼす強心配糖体が含まれているため、アドロミスクスも同様に注意が必要と考えます。念のため、ペットや幼児のいるご家庭では、手の届かない場所でアドロミスクスの管理をすることをおすすめします。万一、ペットや幼児がアドロミスクスをかじったりした場合、嘔吐や下痢などの症状が出る可能性があり、これらの症状の有無に関わらず、速やかに病院で受診してください。 用土 アドロミスクスは排水性のよい土を好みます。市販の多肉植物用土で大丈夫ですが、そのまま使用すると運搬などで破砕した微細粒も取り込み、多肉用土の特性である排水性通気性が損なわれ、蒸れを起こす場合があります。これを防ぐためにも、使用する土は、一度篩(ふるい)にかけて微細粒を落としてから使用することをおすすめします。 振ったあとのボウルを見ると結構な量の微細粒が混ざっていることが分かる。 自前で用土を作る場合は、赤玉土3:鹿沼土3:腐葉土4の割合で土を配合するとよいでしょう。 植え付け 植え付け時は、土を軽くほぐし、根が広がりやすいように鉢に植え付けます。乾燥した土壌を好むアドロミスクスですが、根が干物のように乾燥しすぎるのもよくないので、土の排水性と保水性の微妙なバランスを整えてくれる素焼き鉢がおすすめです。土を入れる前に、鉢底には軽石を敷き、水はけを良くしましょう。また、必ず鉢底穴のある鉢を選んでください。 肥料 アドロミスクスは、成長期である秋〜春に、月1回程度、極薄めの液体肥料を与えるとよいです。肥料を与えすぎると、徒長(本来の形ではなく間のびした状態)を起こして葉の模様が薄くなることがあるので、回数と濃度には注意が必要です。 水やり アドロミスクスは乾燥に強いですが、過湿には注意が必要です。成長期の秋と春は土の表面が乾いたら水を与えるようにし、気温が極端に下がる厳冬期(1〜2月)は寒さにより根もパフォーマンスを落とすため、用土が完全に乾いたのを確認してから与えます。ちなみに、前出のシュルドティアヌスは、塊根部が濡れると蒸れの原因になるので、下の写真のようにノズルなどを使い、水が株にかからないように注意しましょう。 写真のノズルキャップは市販のペットボトルにつけて使用するもので、100円ショップで入手可能。 休眠期の初夏〜夏は水やりを休止しますが、細根を生かし初秋の立ち上がりをよくするために、用土表面がわずかに湿る程度の”水滴”を、霧吹きなどを用いてあげるとよいでしょう。アドロミスクスは、湿度の高い場所は避け、風通しのよい場所で育てることがポイントです。 土の乾き具合は「竹串」で確かめよう 土の乾き具合のチェックには、市販の竹串の使用がおすすめ。使い方は簡単。まず竹串を、根を傷つけないように鉢の縁あたりに深く挿します。 30秒ほどしたら引き抜き、下の写真のように挿していた箇所が汚れていたらまだ水のやり時ではありません。 下の写真のように乾いていたら、土全体が乾いていて、水のあげ時であることが分かります。 ぜひ活用してみてください。 アドロミスクスのお手入れ方法 アドロミスクスは、比較的手間のかからない植物ですが、定期的なお手入れが大切です。葉にホコリが溜まったり、枯れた部分があれば取り除くようにしましょう。また、株が元気に育っているか、葉に異常がないか、毎日確認することも重要です。 おすすめの増やし方 葉挿し アドロミスクスの増やし方としては「葉挿し」が一般的です。葉挿しは、切り取った葉を乾燥させてから土に挿します。切り取った直後にメネデール希釈液に30分ほど浸してから乾かすと、発根に効果が期待できます。 土に挿したあとは、湿度(40%以上)と温度(20℃以上)を保ちながら管理し、数週間後に根が出始めたら、新しい株として育てることができます。 かかりやすい害虫・病気 害虫 アドロミスクスは、他の多肉植物と同じく、いくつかの害虫に気をつけなければなりません。特に気をつけたいのは、カイガラムシとハダニです。これらの害虫は植物にストレスを与える原因となります。害虫は、風通しのよい環境で栽培すれば基本的には発生を防ぐことができます。万一発見した場合は、速やかに水で洗い流すか、専用の殺虫剤を使って駆除しましょう。 病気 アドロミスクスがかかりやすい病気としては、根腐れやカビがあります。根腐れを発見した場合、病変部を切り取り、切断面とその周囲に「GFベンレート水和剤」などの殺菌剤を散布して殺菌処理を行い、完全に乾いたあとに新しい土に植え替えます。カビの場合は、カビが発生した葉と周囲の葉を早めに取り除き、株全体に「ベニカXファインスプレー」などの殺虫殺菌剤を吹き付けて防除します。 見た目が個性的なアドロミスクスを育ててみよう アドロミスクスは、その独特な葉の形状や模様が魅力的な多肉植物です。基本的にはサイズが小さい多肉植物なので、異なる品種2〜3株を育てるのがおすすめです。そうすれば、個性的なフォルムと色合いを楽しめるだけでなく、インテリアグリーンとしても優れた存在感を発揮します。しかし、比較的手間がかからず育てやすい一方で、適切な環境での管理が必要です。この記事に書いた育て方やお手入れ方法を押さえてアドロミスクスを上手に育てると、それはもう楽しくて、気づいたときには部屋中アドロミスクスでいっぱいになるかもしれません。特に今(2月上旬)の時期は、来たる春を目指して芽吹いている株が多いので、買い時だと思いますよ!わたしが普段その魅力を説いている、ちょっとマニアックなサボテンやコーデックスと異なり、このアドロミスクスは日本国民1億2,359万人(2025/1/1概算)全員におすすめしたい多肉植物です。楽しんでください!
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和洋中どれもおまかせ! 食用サボテン【ノパル】を使った万能レシピ8選
2025年は日常のメニューにヘルシーなノパル料理を取り入れよう! 昨年「サボテンのまち春日井」プロジェクトを取材し、特産品であるノパル(ウチワサボテンの若芽)を使用した料理を初めて食べ、その美味しさに感銘を受けた編集部員Kは、ノパルの美味しさを広めるべく、前回の記事ではノパルを使ったクリスマスメニューをご紹介しました。今回はその後編ということで、前回に続き、長年飲食業に携わり料理をライフワークとする編集部員Kの妻による、日頃の食卓で気軽に楽しめるノパルを使った日常レシピ8品をご紹介。ノパルはまだまだ日本ではメジャーな食材ではありませんし、入手できる場所も限られていますが(入手方法は後述)、栄養豊富で、しかも美容への効果が期待できるノパルをこのまま放っておくのはもったいない!ご紹介するメニューは全て手軽に作れるものばかり。そろそろ正月料理にも飽きた頃と思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。2025年は、ご家庭でノパルを新たな食材としてぜひレギュラーメンバーに! ノパルの基本情報 ノパル(写真上)は、ウチワサボテン(サボテン科オプンチア属)の若い茎の部分を指し、特にメキシコ料理には欠かせない存在で、メキシコに国境を接している米国南西部のスーパーマーケットでも日常食として販売されています。また、サボテンの中でも随一の生命力を誇るウチワサボテンは、世界の食糧危機を救うかもしれない高いポテンシャルを持つ作物として、国連も注目しています。 ノパルの味と栄養価 ノパルは、生食と加熱の両方で美味しく食べることができます。生食では、シャキシャキとした歯応えとオクラのような粘り気が特徴で、少し酸味も感じられます。加熱すると、甘みと旨みが増してトロッとした食感になり、クセがなく食べやすくなります。栄養面では、食物繊維、抗酸化作用を持つビタミンC、肌細胞の代謝を高めるカルシウムなどが豊富で、美容面での効果が期待でき、なおかつ低カロリーなのも嬉しい点。また、血糖値の安定やコレステロール値の改善も期待できる健康食材としても注目されています。 万能食材「ノパル」を使った日常レシピ8選 【ノパルを使う際の下処理のポイント】 ノパルには「棘座(しざ)」と呼ばれる突起があるため、事前にそれをピーラーなどで取り除く必要があります。 棘座はトゲを産生するサボテン科特有の器官ですが、ノパルは若芽のためトゲは生えておらず、とても簡単にかつ安全に取り除けます。 ①ノパル香る旨味ネギトロ丼 メキシコ生まれの万能食材「ノパル」を取り入れた、新感覚のネギトロ丼が登場!まろやかなネギトロに、みじん切りにしてだし醤油と合わせた基本のノパル旨味ダレを合わせ、温かいごはんの上にたっぷりかけました。ネバネバとしたノパルの食感が、ネギトロのとろける旨味と絡み合い、一口ごとに深い味わいが広がります。さらに、イクラやシソ、カイワレなど、お好きなトッピングを加えることで、見た目も華やかに仕上がり、日常のレシピに彩りをプラスします。 【POINT】 ここで作るノパル旨味ダレはさまざまな料理に応用できる万能ダレなので、これを使ったレシピもこの後いくつかご紹介します。 【材料】(2人分)[基本のノパル旨味ダレ]・ノパル 2枚・砂糖 小さじ1・だし醤油 大さじ1・わさび 適量[ネギトロ丼]・ノパル旨味ダレ 40〜50g・白米 約1.5合・ネギトロ 約200g・だし醤油 大さじ1・わさび 適量 作り方 【基本になるノパル旨味ダレ】 ①ノパル2枚をみじん切りにし、よく混ぜる。 ②だし醤油大さじ1、砂糖小さじ1を加え、よく混ぜる。 いろいろなものに使える魔法のタレ。 【仕上げ】③ネギトロとノパル旨味ダレをボウルに入れ混ぜ合わせる。 ④わさび、だし醤油大さじ1を入れ、よく混ぜる。⑤丼に盛ったごはんにかければできあがり!いくらやシソ、カイワレなど、お好みでトッピングを。 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 ②ノパル香る卵かけごはん まろやかな卵かけごはんに、前出の「ノパル香る旨味ネギトロ丼」で作ったノパル旨味ダレをたっぷりかけた新しい味わいをご提案!みじん切りにしたノパルのネバネバ感が、卵のまろやかさと絶妙に絡み、旨味が一層引き立ちます。シンプルながらも、ノパルの爽やかな香りと深い味わいが楽しめる一品で、忙しい日のお手軽ごはんにもぴったり。じつは、今回8品のレシピを考案した中で、「え、まじ!?」と一番感動したのが、この卵かけごはんなんです! 【材料】(2人分)[ノパル旨味ダレ]・ノパル 2枚・砂糖 小さじ1・だし醤油 大さじ1・わさび 適量[卵かけごはん]・卵 2個・白米 1〜1.5号(お茶碗2杯分) 作り方 ①ノパル旨味ダレを作る(「ノパル香る旨味ネギトロ丼」参照)。②熱々ごはんに、卵(黄身だけがおすすめ)を乗せ、適量の醤油(だし醤油がおすすめ)をかける。 ③ノパル旨味ダレをかければできあがり! ちなみに我が家では卵かけごはんには牡蠣だし醤油が定番!濃厚な牡蠣の旨みが広がる牡蠣醬油は、一度使ったらやみつきになります。 牡蠣だし醤油は比較的多くのスーパーで取り扱っている。 ③ノパル香る納豆ごはん 卵かけごはんに引き続き、ノパル旨味ダレを今度は納豆と合わせてみたら、納豆のネバネバ感と、ノパル万能ダレの爽やかな香りが絶妙にマッチした一品に仕上がりました。みじん切りにしたノパルとだし醤油で作ったシンプルなタレなのですが、納豆の旨味を引き立て、さらに深い味わいに昇華させます。納豆にノパルの風味が加わることで、普段の納豆ごはんがこんなにも新しい楽しみ方に。健康的で栄養満点、お手軽なランチや朝食にもぴったりです。こちらも、卵かけごはんに続いて、夫婦で「うんまーーーー!!」と絶叫してしまいました。 【材料】(2人分)[ノパル旨味ダレ]・ノパル 2枚・砂糖 小さじ1・だし醤油 大さじ1・わさび 適量[納豆かけごはん]・納豆 2個・白米 1〜1.5号(お茶碗2杯分) 作り方 ①ノパル旨味ダレを作る(「ノパル香る旨味ネギトロ丼」参照)。②熱々ごはんに、よ〜くかき混ぜた納豆を乗せ、適量の醤油(だし醤油推奨)をかける。ポイントは、納豆に付属のタレとからしは使わないこと。③ノパル旨味ダレをかければできあがり! ④ノパルとツナのさっぱり大根サラダ もはや万能ダレ! の、ノパル旨味ダレを使って今度はサラダを作ってみました。爽やかなノパルとツナの旨味が大根にしっかり絡んだ、ヘルシーでさっぱりとした大根サラダです。大根のシャキシャキ食感とツナのまろやかさを、ノパル旨味ダレが文字通り旨味で包み込みます。普段のサラダに新しい風味が加わり、シンプルながらも栄養満点で、食事のアクセントとしておすすめ!忙しい日にも簡単に作れる一品です。 【材料】(2人分)[ノパル旨味ダレ]・ノパル 2枚・砂糖 小さじ1・だし醤油 大さじ1・わさび 適量[サラダ]・大根 150g・ツナ 1/2缶 作り方 ①ノパル旨味ダレを作る(「ノパル香る旨味ネギトロ丼」参照)。②大根を千切りにし、キッチンペーパーで水分を取る。 ③ツナ缶1/2の水気を取る。④ボウルに千切りにした大根、水気を切ったツナ、ノパル旨味ダレを入れ、混ぜ合わせる。 ⑤皿に盛り、できあがり。 ⑤ノパル香るトマトの爽やかサラダ ノパル旨味ダレを使った最後のレシピは、さっぱりとしたノパルの味わいとごま油の香りがトマトにしっかり絡んだ、簡単でヘルシーなサラダ。トマトの甘みとノパルの風味が絶妙に調和し、食欲をそそる一品です。シンプルながらも、彩り豊かで食卓に華やかさをプラス。さっぱりとした味わいで、”あともう一品”の時にも助けになり、和洋中どの食卓にもマッチする万能サラダです。 【材料】(2人分)[ノパル旨味ダレ]・ノパル 2枚・砂糖 小さじ1・だし醤油 大さじ1[サラダ]・トマト 1個・ごま油 小さじ1 作り方 ①ノパル旨味ダレを作る(「ノパル香る旨味ネギトロ丼」参照)。②ノパル旨味ダレにごま油を加え、軽く混ぜて香りをつける。③トマトを薄切りにする。④ボウルに切ったトマトと②を入れ、軽く和えたらできあがり。 ⑥プリプリ海老とノパルのウェイパー炒め 中華の万能調味料「味覇(ウェイパー)」と、メキシコ生まれの食材「ノパル」が出会い、驚きの一皿が完成! プリプリ食感の海老と、シャキッとしたノパルを香ばしく炒め、ウェイパーのコク深い旨味で包み込みました。海老の甘み、ノパルの爽やかな風味、そしてウェイパーの絶妙な塩味が三位一体となり、ごはんがどんどん進む味わいに仕上がっています。 【材料】(2人分)・ノパル 2枚・海老(むき海老) 12〜16尾・オイル(サラダ油またはオリーブオイル)適量・ニンニク 1片・唐辛子 1個・味覇(ウェイパー) 小さじ2・料理酒 大さじ2・塩、胡椒 適量 作り方 ①殻をむいた海老に、塩、胡椒をふる。 ②ノパルをひと口大にスライス。 ③ニンニク1片をみじん切りに。④フライパンにオイルを敷き、よく熱したら食材を投入。⑤唐辛子1個と、中華スープの素「味覇(ウェイパー)」を小さじ2杯入れ、炒める。 味覇(ウェイパー)はペースト状の調味料だ。 ⑥ペースト状の味覇がしっかりと溶け、全体に行き渡ったら、料理酒を大さじ2杯程度入れる。⑦料理酒が煮立ったところにニンニクを入れ、炒める。 ⑧ノパルから出たとろみが全体によく馴染んだら完成! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 ⑦鶏唐揚げノパル香味彩り和え カリッとジューシーな鶏の唐揚げに、ノパルとパプリカで作った香味ダレをたっぷり絡めた新感覚のおかずが登場! 唐揚げの旨味と、甘辛の香味ダレに絡んだノパルとパプリカの爽やかな風味が絶妙にマッチし、一口ごとに満足感が広がります。見た目にも華やかで、おかずとしてはもちろん、おつまみにもぴったりです。 【材料】(2人分) [香味ダレ]・ノパル 2枚・赤パプリカ 1/2個・オイル(サラダ油) 適量・唐辛子 1個・水 大さじ4・砂糖 小さじ1〜2(お好みで)・だし醤油(めんつゆでも可) 大さじ3・料理酒 大さじ1[唐揚げ] ・鶏もも肉 300g・だし醤油 大さじ1・酢 大さじ2・料理酒 大さじ1・すりおろし生姜 小さじ1 (チューブでOK)・すりおろしニンニク 小さじ1 (チューブでOK)・片栗粉 30g・薄力粉 30g・サラダ油 適量 作り方 【香味ダレ】①ノパル2枚と赤パプリカ1/2個を、1cm幅のこま切れにする。 ②フライパンにサラダ油を敷き、熱したら唐辛子1個を割り入れ、香り付けをする。③こま切れにしたノパルとパプリカを入れ、炒める。④ノパルが糸を引き始めたら、水大さじ4、砂糖小さじ1〜2(お好みで)、だし醤油大さじ3を加える。 ノパルは火が入るとやや色がくすみ、ねばり気が出るが、これにより旨味が倍増する。 ⑤煮立ったら料理酒大さじ1を入れ、再度ひと煮立ちさせたらできあがり。 【唐揚げ】①鶏もも肉300gをひと口大に切る。 ②切った鶏肉をボウルに入れ、だし醤油大さじ1、酢大さじ2、料理酒大さじ1、すりおろしニンニク小さじ1、すりおろし生姜小さじ1を加え、揉みこむ。 ③調味料を揉みこんだ鶏肉は冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。④寝かせた鶏肉に薄力粉30gと小麦粉30gの合わせ粉をまんべんなくつける。 ⑤180℃の油で3分間揚げたらできあがり。 【仕上げ】①香味ダレを煮立たせたら唐揚げを投入し、よく絡める。 ②盛り付けたらお好みで糸唐辛子(または唐辛子輪切り)をトッピングし、完成! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 ⑧ノパル×アンガスビーフ デュオステーキ 旨味たっぷりのアンガスビーフステーキと、爽やかな風味が魅力のノパルステーキが贅沢に一皿で楽しめる「デュオステーキ」が完成!肉厚でジューシーなアンガスビーフと、香ばしく焼き上げたノパルの組み合わせに、バルサミコをじっくり煮詰めた濃厚なソースが絡み合い、一口ごとに深い味わいが広がります。ソースの酸味と甘みが肉とノパルの旨味を引き立て、日常のごちそうメニューに仕上がりました。ワインのお供にもGood!この料理、ステーキ肉なら基本的にどの肉でもOKですが、ノパルには黒毛和牛よりも輸入牛肉のほうが合うため、今回は輸入牛肉でも特に赤身の濃厚な旨味が特徴の米国産アンガスビーフを使用しました。 【材料】(2人分) ・ノパル 5枚・牛ステーキ肉 300〜500g※アンガスビーフ推奨・オイル(サラダ油またはオリーブオイル)適量・バルサミコ 200cc・塩、胡椒 適量 作り方 【バルサミコのステーキソース】①バルサミコ200ccをフライパンで中火で煮立たせる。 ②焦げ付かないようにフライパンを振りながら、5分くらい煮詰めたら火から上げ、容器に移す。 バルサミコは煮詰めることで濃厚なトロミと味わいになる。 【ノパルステーキ】①オイルをひいたフライパンにノパルを並べ、焼き目が付いたら裏返す。 ②同様に焼き目が付き、柔らかくなったら火から上げる。③盛り付けはお好みで。一口サイズにカットするか、そのままステーキの脇に添えるのもよい。※※今回は一口サイズにカットし、一口大にカットしたステーキと交互に並べました。 【アンガス牛ビーフステーキ】 (極厚肉をレアで焼き上げる場合)①肉は焼く前に冷蔵庫から出し、常温で30分くらい置いておく。 写真の肉は1ポンド(約500g) ②肉の両面に、塩、胡椒をふる。③オイルをひいたフライパンで、片面あたり強火で約1分半(両面で計約3分)焼き色が付くまで焼く。 ④一旦取り出してアルミホイルに包み、3分間余熱でゆっくり火を入れる。 ⑤もう一度フライパンに戻して、アルミホイルでフタをして片面あたり軽く(30秒程度)焼く。※1 ⑥盛り付けはお好みで。ひと口サイズにカットするか、そのままナイフで切り分けながら食べるのもよい。※2 ⑦バルサミコソースをかけてできあがり。※1 焼く時間は、肉の厚みや好みの焼き加減に応じ、適宜調整してください。※2 今回はひと口サイズにカットし、ひと口大にカットしたノパルと交互に並べてあります。 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 ノパルの買える場所 ノパルは我が国では一般的な食材ではないため、ネットでの購入が現実的。ちなみに本記事で使用しているノパルはすべて、春日井市の老舗サボテン農家「後藤サボテン」のもので、同社のオンラインストアで購入することができます。このほかにも、同じく春日井市でノパルを栽培、販売している「太陽の葉」や、個人でフリマアプリに出品している「Kaktus’s shop」などもおすすめです。 まとめ|ノパルで毎日の食卓に新しい風を! いかがでしたか? ノパルを使ったレシピで、いつもの食事がもっと楽しく、健康的に変身します!メキシコ生まれの食材「ノパル」は、普段の料理にアクセントを加え、彩り豊かなメニューを実現してくれます。今回ご紹介したレシピには、以下のポイントが詰まっています:① 新しい食材で料理に変化をノパルの爽やかな香りと風味は、普段の食卓では味わえない新しい楽しみを提供します。② アレンジ自在な万能食材ノパルは、サラダから丼物、卵かけごはんまで、多彩な料理に活用できる万能食材。③ ヘルシーで栄養満点ノパルは低カロリーで栄養豊富。健康を意識した食事にもぴったりです。ノパルを使えば、簡単に普段の食事をアップグレードできます。ぜひ日常の食卓にノパルを取り入れて、2025年をもっと美味しく、そして健康的にお過ごしください!
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レシピ・料理

【クリスマスディナー】に新提案! 食用サボテン「ノパル」の絶品レシピ5選
ノパル料理で特別なクリスマスを楽しもう! 今年の夏、愛知県春日井市で進められている「サボテンのまち春日井」プロジェクトを取材し、特産品であるノパル(ウチワサボテンの若芽)を使用したサボテン料理の数々に舌鼓を打った編集部員K。サボテンの食材としての可能性にすっかり魅了された私は、その魅力をさらに深堀りするべく、長年飲食業に携わり料理をライフワークとする妻に、ノパルを使ったオリジナルのクリスマスメニューの試作を依頼しました。その結果、私以上にノパルに魅了された妻は、渾身のレシピを5つも完成させたので、今回は、連載「多肉植物狂い」の番外編として、見て楽しむだけでなく、食べても美味しいサボテンの魅力について、ここで皆さんにご紹介します。ノパルは食卓を彩り、クリスマスにも大活躍する食材なんです! ノパルの基本情報 ノパル(写真上)は、ウチワサボテン(サボテン科オプンチア属)の若い茎の部分を指し、特にメキシコで広く食用にされています。その歴史は古代アステカ文明までさかのぼり、現在もメキシコ料理には欠かせない存在で、メキシコに国境を接している米国南西部のスーパーマーケットでも日常食として販売されています。また、サボテンの中でも随一の生命力を誇るウチワサボテンは、世界の食糧危機を救うかもしれない高いポテンシャルを持つ作物として、国連も注目しています。 ノパルの味と栄養価 ノパルは生食と加熱の両方で美味しく食べることができます。生食では、シャキシャキとした歯応えとオクラのような粘り気が特徴で、少し酸味も感じられます。加熱すると、甘みと旨みが増してトロッとした食感になり、クセがなく食べやすくなります。栄養面では食物繊維やビタミンC、カルシウムが豊富で低カロリー。また、血糖値の安定やコレステロール値の改善が期待され、健康食材としても注目されています。 ノパルの買える場所 ノパルは我が国では一般的な食材ではないため、ネットでの購入が現実的。ちなみに本記事で使用しているノパルはすべて、春日井市の老舗サボテン農家「後藤サボテン」のもので、同社のオンラインストアで購入することができます。このほかにも、同じく春日井市でノパルを栽培、販売している「太陽の葉」や、個人でフリマアプリに出品している「Kaktus’s shop」などでも購入することができます。 ノパルを使ったクリスマスメニューレシピ5選 【ノパルを使う際の下処理のポイント】 食用に栽培されたノパルにはトゲはほぼないのですが、サボテンそのものにはそのトゲを産む棘座(しざ)と呼ばれる突起があるため、事前にそれをピーラーを使い取り除く必要があります。 手作りドレッシングで楽しむノパルとベーコンの彩りサラダ シャキッとしたノパルと香ばしいベーコンの絶妙な組み合わせに、手作りドレッシングの爽やかさが加わった、ノパルを野菜のように楽しめる一皿。独特な酸味と苦味のあるノパルの魅力は生で食べてこそ、その真髄が味わえます。彩り豊かな野菜たちとノパルの食感が引き立ち、まさにクリスマスの夜に相応しいスペシャルなサラダに仕上がります。 【材料】(2人分) ・ノパル 2枚・ベーコン 80〜100g・ゆでたまご 2個・茹でたジャガイモ 1つ・レタス 半玉・トマト 1つ・ツナ 1缶・種抜きオリーブ 適量・アンチョビフィレ 4枚・塩、胡椒 適量〜ドレッシングの材料〜・卵 1個・アンチョビフィレ 2枚・酢 大さじ3・サラダ油 大さじ3・塩、胡椒 少々 作り方 ①卵は茹でて殻をむき、粗熱をとり半分に切ります。茹で時間は沸騰してから約8分が目安。②ジャガイモは厚めにスライスし、竹串がスムースに刺さるくらいまで約6分間茹で、ザルに上げて粗熱を取る。 ③ノパルはピーラーで棘座を取り除き、クリスマスツリーをイメージして三角形に切る。 クリスマスツリーをイメージして三角形にカット。 ④ベーコンをフライパンで熱し焼き色をつけて好みの大きさに切る。⑤トマトはヘタを取り除き、一口大の大きさに切る。レタスは洗って水気をよく切り、手でちぎる。【ドレッシングを作る】⑥ボウルに生卵、アンチョビフィレ、酢、サラダ油、塩、胡椒を入れ、泡立て器でよ〜くかき混ぜる。 ⑦大きめの皿にそれぞれを盛り付け、ドレッシングをかけてでき上がり! ノパルとジャガイモのかんたんグラタン Gratin dauphinois aux nopales 焼いたノパルはトロッとした食感がやみつきに。チーズとの相性も抜群。 クリーミーで濃厚な一皿。ジャガイモのホクホク感とノパルの柔らかな歯ごたえが心地よいコントラストを生み出し、フォークが止まらなくなるおいしさ!チーズの香ばしい焼き色が、見た目と香りで食欲をさらに引き立てます。ホワイトソースを使わず、牛乳だけで簡単に作れるのもポイント!これからの、寒い冬にぴったりのメニューです。 【材料】(2人分)・ノパル 2〜3枚・ジャガイモ 大きいサイズなら 3個、小さめサイズなら4〜5個・牛乳 300cc・コンビーフ 40g ・ニンニク 1片・ピザ用チーズ 適量・コンソメ 小さじ2~3・塩、胡椒 適量 作り方 ①ジャガイモは皮をむき、2〜3mm程度の薄切りにする。 ②ノパルはピーラーで棘座を取り除き、切ったジャガイモと同じくらいのサイズに切る。厚みがあるので、包丁の刃を寝かせ、そぐようにスライスするとよい。 ③フライパン(鍋でもOK)に薄切りにしたジャガイモを並べ、牛乳、刻んだニンニクを加え、火にかける。④牛乳がふつふつと沸いてきたらコンソメと塩&胡椒を加え、弱火で約5分煮る。コンソメを入れることで牛乳の独特なにおいが無くなり、牛乳が苦手な方でも美味しく食べられる。短時間で煮てジャガイモのシャキシャキ感を残すのがポイント。 ⑤グラタン皿に、煮たジャガイモとノパルを交互に並べる。その上にコンビーフをのせて、ソースをかけ、最後にとろけるチーズをトッピング。 ⑥200℃のオーブントースターで焼き色が付くまで10分程度焼いて出来上がり! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 ノパルのブルスケッタ Bruschetta alle Nopales 2種類で楽しみます。ノパルとコンビーフのブルスケッタは、ジューシーなコンビーフの旨味と、ノパルのさっぱりとした酸味が絶妙にマッチした一品。クリーミーなベースが口当たりを滑らかにし、バゲットの食感が楽しさをプラス。やみつきになる大人の味わいです。ノパルとトマトのブルスケッタは、トマトの甘酸っぱさとノパルの爽やかな風味が奏でる、ライトでフレッシュなブルスケッタ。仕上げのオリーブオイルの香りが鼻をくすぐり、一口ごとにイタリアの香りを感じるような軽やかさが広がります。 【材料】(2人分) [ノパルとコンビーフのブルスケッタ] ・バゲット 6〜7mmくらいにスライスしたものを6〜7枚・コンビーフ 1缶(約80g)・ノパル 1枚・ヨーグルト 50g・ニンニク 半片(1片の半分) ・塩、胡椒 適量 [ノパルとトマトのブルスケッタ】 ・バゲット 6〜7mmにスライスしたものを5枚程度・トマト 大きめなら1個、小さめなら2個・ノパル 1枚・ニンニク 半片・オリーブオイル 少々・塩、胡椒 適量 作り方 【ノパルとコンビーフのブルスケッタ】①カップにコーヒーフィルターまたはキッチンペーパーをセットし、ヨーグルトを約1時間放置し、水分を濾しておく。 ②ノパルはピーラーで棘座を取り除き、ラップで包み電子レンジで30秒加熱し、粗熱が取れたところでみじん切りにする。③器にほぐしたコンビーフ、水分を濾したヨーグルト、ノパル、刻んだニンニク(すりおろしやチューブでも可)、胡椒をふり、混ぜ合わせる。 ノパルは熱を加えると変色し昆布のようになる(左)。(右)は生の状態。 ④ペースト状になるまで混ぜ合わせ、具材をバゲットに塗れば完成! 【ノパルとトマトのブルスケッタ】①トマトは半分に切り、タネを取り出したらキッチンペーパーで水気を取り除き、みじん切りにする。②ノパルは生のほうもみじん切りにし、加熱処理したノパルと合わせることで異なる食感が楽しめる。③器にトマト、ノパル、刻んだニンニク(すりおろしやチューブも可)オリーブオイルを入れ、混ぜ合わせ、塩、胡椒で味を整える。④具材をバゲットにのせれば完成! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 メカジキのソテー 〜ノパルとトマトのソース〜Pesce Spada alla Griglia con Salsa di Nopal e Pomodoro 地中海とメキシコの出会いは、メインディッシュに相応しい洗練された一皿。 地中海料理でお馴染みのメカジキの香ばしいソテーに、ノパルの瑞々しさとトマトの甘酸っぱさが絶妙に絡む一品。火を通したノパルがほんのり柔らかくなり、トマトのソースが全体を包み込むことで、軽やかさの中にも深みのある味わいを実現しました。ノパルの爽やかな酸味が魚の旨味を引き立て、まるで地中海の空気にメキシコの太陽が混ざり合ったような新鮮な感動を楽しめる料理です。 【材料】(2人分) ・メカジキの切り身 4切れ・ノパル 2枚・ミニトマト 1パック・ニンニク 2片・パセリ 適量・白ワイン 50cc・塩、胡椒 適量 作り方 【メカジキ】①メカジキの両面に塩、胡椒をふる。 ②フライパンにオリーブオイルを敷き、ニンニク(半片)を入れ、弱火でオイルに香りをつける。そこにメカジキを入れ中火にし、焼き色が付いたら裏返し両面を焼いていく。この時、ニンニクは一旦取り出す。 ③両面にしっかりと焼き色がついたらフタをして約2分、中まで火が通ったら一旦取り出す。 【ソース】④ノパルは棘座を取り除き2cmくらいの角切りに、ミニトマトは半分に切っておく。⑤メカジキを焼いたフライパンにオリーブオイルを足し、ニンニク、ミニトマト、白ワインを加え、中火にかける。ミニトマトが加熱され、ソースに濃いオレンジ色が付くまでフツフツと煮る。ここで水分が足りないようならば、水または白ワインを加えてもよい。⑥ノパルを投入しさらに加熱し、ノパルにとろみが出たところで塩をふって味を整える。シンプルなイタリアンの味付けなので、まろやかな味わいが好みの場合は顆粒状の和風だしを加えてもOK。 ⑦焼いておいたメカジキを戻し入れ、ソースをなじませる。⑧パセリで香りを加えたら完成! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 手作りサルシッチャとノパルのスパゲティSpaghetti con salsiccia fatta in casa e nopal お肉を食べたい! という方におすすめ、イタリア風アレンジのユニークなノパル料理。イタリア発祥のサルシッチャ(生ソーセージ)は、肉の旨味とハーブの香りが特徴で、手作りならではのジューシーさが際立ちます。その濃厚な味わいにノパルの爽やかな酸味とシャキッとした食感が絶妙なアクセントを加えます。スパゲティに絡むソースは、ノパルの風味とサルシッチャの旨味を引き立てるよう丁寧に仕上げ、口の中で食材が調和する一皿に。豊かな香りと食感のハーモニーが楽しめるこのパスタは、何度でも食べたくなる美味しさです。 【材料】(2人分) ・ノパル 2枚・豚ひき肉 250g・イタリアンパセリ みじん切りにしたものを大さじ2 手でちぎったものを大さじ1・パセリ みじん切りにしたものを大さじ2・セージパウダー 少々・乾燥バジル 少々・ナツメグ 少々・塩 3g・胡椒 少々・パスタ(乾麺1.6mm) 200g・オリーブオイル 20cc・ニンニク 2片・唐辛子 1つ 作り方 ①サルシッチャのベースを作る。ボールにひき肉を入れ、みじん切りにしたイタリアンパセリ、パセリ、セージパウダー、ニンニク(チューブでも可)乾燥バジル、ナツメグ、塩&胡椒を入れ混ぜ合わせ、手でこねる。 ②ノパルは棘座を取り除き3cmくらいの短冊切りにし、ニンニクは包丁の腹を使い軽く潰し割る。 ③フライパンにオリーブオイル20cc、ニンニク、唐辛子を入れ、弱火にかけながらオイルに香をつける。④オリーブオイルに香りがついたら中火にし、サルシッチャベースを入れ焼いていく。この時、ニンニクと唐辛子を取り除く。ニンニクと唐辛子が焦げるとエグ味が移ってしまうため要注意!サルシッチャベースは、両面にこんがりと焼き色が付くまで形を崩さずに焼いていく。 サルシッチャのベースは手で平に広げ焼いていく。 ⑤サルシッチャベースの両面に焼き色が付いたら、ヘラなどを使い一口サイズにカットする。そこにノパル、取り除いたニンニクを戻し入れ、中火にかけノパルに火を入れていく。白ワインを加え、ソースをなじませていく。 一口サイズにカットするとこんな感じ。 ⑥パスタを茹でる。ちなみに、我が家ではパスタは2人分で316gくらい。一般的なお店での”大盛り”に相当します。 水の量の1%の塩を入れ、沸騰したらパスタを投入。茹で時間は袋に明記してある時間より1分短めがおすすめ。⑦ ソースにパスタの茹で汁を加えソースと茹で汁をなじませ、そこに茹で上がったパスタを入れ、さらに茹で汁を加えソースとパスタを絡ませていく。この時、味見をしながら塩味を整える。マイルドな味が好みの場合、和風だしを加えてもOK。 ⑧最後に、手でちぎったイタリアンパセリとみじん切りのパセリで香りを付けて完成! 【実際の作っているところを動画でもご覧いただけます】 実は相性抜群なクリスマスディナーとノパル クリスマスカラーといえば赤と緑ですが、それぞれに意味があるのはご存じですか?赤は愛と情熱を表し、キリスト教においてはイエス・キリストの血を象徴しているともいわれています。緑は永遠の命や希望、繁栄を象徴する色で、クリスマスツリーに使われるモミの木や松といった常緑樹は、四季を問わず緑を保つことから、不死や再生を象徴しています。今回の主役であるノパル(=ウチワサボテン)は、サボテンの中でも特に強い生命力を誇ります。そのため、ノパルの緑をクリスマスの食卓に取り入れることで、永遠の命や希望を象徴する意味が加わり、聖夜の食事を一層特別なものにしてくれるでしょう。 まとめ|ノパルで特別なクリスマスを! いかがでしたか? ノパルで楽しむクリスマスディナーメキシコの伝統食材「ノパル」を使ったクリスマスディナーは、ユニークで健康的なだけでなく、見た目も華やかでおもてなしにもぴったりなんです!今回ご紹介した料理には、以下のポイントが詰まっています:①新しい食材で驚きと楽しさをプラスノパルの爽やかな酸味と独特な食感は、普段の食卓にはない特別な風味を提供してくれます。 ②多彩なレシピでアレンジ自由サルシッチャやグラタンなど、ノパルはあらゆるジャンルの料理にマッチする万能食材。クリスマスディナーを個性豊かに彩ります。③健康を意識したごちそうメニュー低カロリーで栄養価の高いノパルは、年末のごちそうシーズンでもヘルシーさをキープできます。特別な日の食卓にノパルを加えれば、家族やゲストとの会話も弾むこと間違いなし!ぜひあなたのクリスマスディナーに取り入れてみてください。Merry Christmas!
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あなたの多肉植物みせてください! 激レア塊根専門店主がおすすめの逸品4選を拝見
あなたの多肉植物みせてください! とは 「あなたの多肉植物見せてください!」は、街で噂の多肉植物や、ご自慢の多肉植物について、編集部員Kが直接見に行ってお話を伺うという、連載「多肉植物狂い」のスペシャル企画です。読者から寄せられた情報だけでなく、編集部員Kが自らの足と嗅覚を使って探し当てたお宝多肉植物も紹介しちゃいます! 今回紹介するのは新規オープンしたばかりの激レア多肉植物専門店! 今回ご紹介するのは今年の9月14日に開店したばかりの園芸店gadintzki plants(ガディンツキープランツ)。店内は多肉植物以外のプランツも充実しているのですが、店主が多肉植物に造詣が超深く、マニア垂涎モノの激レアコーデックスが目白押しのため、ご紹介させていただきます。 その店主の正体は・・・ じつはその店主、ガーデンストーリーで人気の連載「街の園芸店がお悩みを解決!」でお馴染みの、関ヨシカズ氏なのです! 件の連載では顔出しNGでしたが、今回晴れて皆さまにお目にかかります。 その連載でもお世話になった目黒区祐天寺のフラワーガーデン・セキは、今年3月に30年の歴史を閉じ、装い新たに同区の自由が丘(最寄駅は東急大井町線九品仏駅)の地にて、gadintzki plants(ガディンツキープランツ)として生まれ変わりました。 「gadintzki plants」(ガディンツキープランツ)とは gadintzki plantsは2024年9月14日開業。祐天寺でフラワーガーデン・セキを営んでいた関ヨシカズ氏(以下関さん)が、その豊富な園芸知識と経験を活かすべく新たな業態としてスタートさせた園芸店。旧店では生花が中心でしたが、gadintzki plantsが主に扱うのは観葉植物と珍奇植物(ビザールプランツ)。じつは、旧店舗でもひっそりと塊根植物やサボテンのレア品種などを販売しており、特に型のよいグラキリスの輸入株や、関さん自らが親株から採種して手がけた実生株(みしょうかぶ=国内で種から育った株)のウィンゾリーなどが破格の値段で販売されていたため、常連プランツマニアの誰もがこの店の存在を知られたくなかったという・・・。 実際に旧店で販売していたパキポディウム・バロニー(実生)。目利きの良さが感じられる逸品であった。 もちろん闇市のようにやっていたわけでないのですが(笑)、旧店のフラワーガーデン・セキは、なにぶん店の見た目も街のお花屋さん感が強かったため、まさか奥様方がガーデニングの花を選んでいる傍で、数千〜数万円のビザールプランツ(珍奇植物)が売られていたとは、ちょっと驚きですよね! かくいう私も、関さんにより塊根植物に開眼し、初めてパキポディウム“サンデルシー”を購入したのも旧店でした。そんな多くのファンを持つ関さんが新たに始めた新店舗、期待せずにはいられません。 店名の由来 gadintzki plantsのgadintzki(ガディンツキー)は関さん考案の造語。関さんが友人のオーストラリア人に、旧店名の“フラワーガーデンセキ”を英語で発音でしたら、その友人にはそれが“ガディンツキー”と聞こえたそうで、自分の拙い英語の発音が通じなかったのは残念ながらも、“ガディンツキー”にはドイツ語っぽいニュアンスがあってcoolだな、と感じたため、そのまま新店名に採用したという。なんとも関さんらしいユニークなエピソードですね。 店内紹介 店の奥では近隣の古着屋さんのポップアップストアなども不定期でおこなわれています。 関さんおすすめ多肉植物の逸品4選 関さんに取材時(2024年10月上旬)の在庫の中から、おすすめの4商品を選んで、解説してもらいました。掲載の商品は全て1点ものなので、ご購入希望の場合は事前に店に問い合わせてください。 ①パキポディウム・グラキリス(輸入株) 価格:49,500円(税込) 大きさ:高さ(鉢含まず)25cm 幹幅12cm 特徴 根や幹、茎に水分を蓄え、肥大化したフォルムが特徴的な塊根植物(コーデックス)の中でも人気のパキポディウム属。その人気を牽引してきた最大の功労者こそ「グラキリス」です。主な原産地はマダガスカルを中心に、南アフリカ、ナミビア、アンゴラといった、アフリカ大陸南部で、その多くが岩場やインゼルバーグと呼ばれる広大な平原に孤立した丘陵地帯など、通常の植物であれば生育できない過酷な環境で自生しています。近年は観賞用植物としての乱獲が相次ぎ、国際間取引にはワシントン条約による厳しい規制がかけられているため入手も難しくなってきましたが、gadintzki plantsでは原産地政府が公認している正式なルートからの株しか仕入れていないため、安心して大自然が生んだ奇跡の造形美をお楽しみいただけます。 関さん推しの理由 人気のグラキリスも"輸入株(現地球)"なんて肩書きが付くと上級者向きでは? と難しく考えている方も多いのですが、意外にもグラキリスの現地球は塊根植物初心者にもおすすめなんです。自生地の様子をそのまま楽しめる輸入塊根植物の醍醐味を存分に味わえるのがこのグラキリス。サボテンなんかよりも全然ラクに育てられるんですよ! 大きさ、価格、共に幅広く取り揃えています。 グラキリスは低重心で扁平な球状が整っていれば整っているほど高値が付くのですが、僕がまん丸よりはちょっと変わった形のほうが好きなので、それを選んで仕入れているため価格が抑えられつつ、僕の好みが反映されているのが当店のグラキリスの特徴ですかね。 ②パキポディウム・ウィンゾリー(実生) 価格:3,000〜6,000円(税込) 大きさ:高さ(鉢含まず)5〜7cm 幅全て約2cm 特徴 パキポディウム・バロニーの変種として原種のバロニーよりも人気を誇るパキポディウム・ウィンゾリー。パキポディウム属の中で唯一赤い花を咲かせるバロニーの変種のため、ウィンゾリーも同様に美しい赤花を咲かせます。原種のバロニーは幹高30cm以上まで成長しないと開花株にはなりませんが、ウィンゾリーは比較的小さい12cmくらいの幹高でも開花するため、花を早く見たい人にはウィンゾリーがおすすめです。 筆者所有株の開花の瞬間。もちろん、関さんの旧店から迎え入れたものだ。 Photo by JOHN CHEESEBURGER FOTOG. 徳利のような愛嬌のある形も人気で、真っ直ぐ上に成長するバロニーに対し、ウィンゾリーは分枝も多く、横方向にも旺盛に成長していくため、低重心で盆栽的な味のある株に出会うことができたらラッキーでしょう。ただ、徳利型が綺麗でバランスよく分枝した株となると価格も急上昇し10万円など悠に超えてしまうため、ウィンゾリーは現在でも高級レアプランツの地位を不動のものとしています。 関さん推しの理由 おすすめの理由は、なんといっても僕が手塩にかけて育て上げた親株(写真下)で自家採種したタネからの実生株なので、将来的に親株のような良株に育ってくれるであろうというロマンが詰まっているからです。 一時期に比べるとレア感も減少した感のあるウィンゾリーですが、それはあくまで愛好家目線でのことであって、やはり一般的なお花屋さんではまず出会うこともない植物なので、ぜひこの機会に育ててみていただきたいなと思います。 ちなみにここでご紹介している稚苗は現在の大きさからだと開花するまでに6年以上を要しますが、年を重ねるごとに目に見えて肥え太っていくので、形ができ上がってしまっている中型以上の株とは異なり、稚苗は成長が見える楽しさ、育てる楽しさを存分に味わえるのが魅力です。ともに時を過ごした株に赤く可愛らしい花が咲いた瞬間は、万感の思いがこみあげてきますよ。 ③コミフォラ・ピュアカタフ(輸入株) 価格:55,000円(税込) 大きさ:高さ(鉢含まず)40cm 幹幅6cm 特徴 コミフォラ・ピュアカタフは、カンラン科に属する植物で、アフリカ北東部および東部の熱帯地域、そしてアラビア半島南西部に自生しています。多肉のようで多肉でない、塊根のようで塊根でない、いわゆる「灌木系(かんぼくけい)」というジャンルで括られます。神々しい独特な雰囲気、視線を釘付けにする観賞価値、所有感をくすぐる希少性と三拍子が揃った、とても魅力的な植物です。 白い表皮は成長とともに、まるで材木をカンナで削ったようにめくれていくので、それがまた味わい深さを増しています。予測できない方向に伸びていく黒い枝も面白いです。これは時間の経過により黒くなるわけではなく、幹から出た瞬間にもう黒いので、この色彩の妙は自生地アフリカらしい野生味を感じさせますね。香木としても利用されており、その歴史は数千年前にまで遡るといわれています。もちろん、これも枝を切ると甘く上品な香りがします。分泌される樹脂はその高貴な香りとともに鎮静鎮痛の薬効も持つため、古代エジプト文明や西洋宗教では没薬(お清めの薬)として珍重されてきました。 関さん推しの理由 コミフォラの謎めいた姿に取り憑かれて沼落ちしてしまったマニアも決して少なくはありません。マニアはこの盆栽チックな形が異形であればあるほど10万、20万と高値を付けるのですが、僕は暴れた感じの樹形よりも、コミフォラ独特の表情がありつつ、穏やかな表情も見せる株が好きなので、値段のほうも同品種としては抑えられていると思います。そもそも、数年前までまったく流通していなかったので、その頃はピュアカタフが出るとネット界隈がざわつくほど幻の植物だったんです。もしその時代にこの株が出ていたら、おそらく20万円は下らなかったはずです。現在はある程度流通が確立されたとはいえ、グラキリスやウィンゾリーほど安定しているものではないので、今当店にあるこの株は、希少性、樹形の美しさ、価格の3点から考えてもかなりおすすめです。 ④オトンナ・カカリオイデス(実生) 価格:4,400円(税込) 大きさ:高さ(鉢含まず)3cm 幹幅4.5cm 特徴 オトンナ・カカリオイデスは南アフリカの山岳地帯が原産のキク科の植物。糸のように細い花軸の先にキク科らしい黄色く可愛らしい花を咲かせます。塊根から不規則に出てくる薄緑色の小さな葉の可愛らしさは、店頭で実物を見ると悶絶級です。この葉、よ〜く目を凝らして見ると、何気に多肉らしく肉厚であることが分かります。(写真下) この株は実生株ですが、元来が極小型の塊根植物なので、現地で自生しているものでも塊根幅10〜12cmくらいまでしか大きくはなりません。しかも岩ばかりのかなり荒い土壌のわずかな砂溜まりで塊根部が全部埋まった形で自生しているんです。6〜8月が休眠期となり、葉を全て落としたこの時期の姿はまるで生姜のよう。秋口から目覚めて、翌年の5月くらいまで塊根が隠れるほど葉が生い茂ります。決して多くは出回らない、かなりのレアプランツです。 関さん推しの理由 冬型の塊根植物なので、これからの季節に葉を出し、成長していく姿を楽しめます。うちでは割とよく販売しているのですが、大きめの専門店でもあまり置いていないかなりレアな植物です。オトンナ属もさまざまな種類があり、僕もけっこういろいろ扱ってきたのですが、旧店新店ともにこのカカリオイデスがとても人気なんですよ。見た目が可愛らしいからでしょうか、新店オープンしてからもう5つが売れ、5つとも女性のお客様にご購入いただきました。しかも5人ともまったくの塊根植物未経験者で、「かわい〜」の一言でお買い上げという(笑)。動機なんてそれでいいんですよ。 “生姜のような塊根”の形も様々なものを取り揃えているので、ぜひ見に来てください! おすすめ商品の育て方 ここで紹介した関さんおすすめの4つのプランツは、全て乾燥地帯で自生している植物なので、用土は乾燥気味に保つという部分は共通しています。そして塊根系を育てるうえでの基本3原則、①太陽ガッツリ ②空気循環 ③水やり控えめ、は必須条件です。 オトンナ・カカリオイデス以外の3商品、グラキリス、ウィンゾリー、ピュアカタフは成長期が春〜秋の夏成長型植物。このため、昨今の亜熱帯化した日本の気候を考えると、3月末〜10月中旬くらいまでは屋外でたっぷりと太陽光(直射日光OK)を浴びせながら管理し、3〜4日おきに鉢底から溢れ出るくらいたっぷりの水を与えます。ただし梅雨時は屋内管理に切り替え、水やりも週1回程度に留めておきます。オトンナ・カカリオイデスは成長期が日本の冬にあたる冬成長型の塊根植物のため、秋から春にかけての成長期は屋外でたっぷりと陽射しをあてて育てます。真冬も氷点下にさえならなければ屋外でOK。ただし風の強い日は落葉を防ぐために屋内に取り込んでください。また、オトンナ・カカリオイデスは蒸れを極度に嫌うため、成長期といえど土が完全に乾燥するまでは水を与えないでください。完全に乾燥したら、他の3商品同様にたっぷりと水を与えます。土の乾燥具合は慣れれば感覚で分かるのですが、初心者の方は竹串を用いると便利ですよ。 鉢の縁に挿し、引き抜いた串が汚れていれば、まだ水のあげ時ではないことがわかる。 4商品とも、肥料は成長期に月に1回、規定量より薄めにした液肥を水やりの際にあげてください。液体肥料『ハイポネックス』原液の場合、目安としては2Lのペットボトル満水に対し市販飲料のペットボトルキャップ内側の枠すり切り(=1cc)での希釈がベスト。 休眠期の管理 4商品とも、休眠期は室内で管理します(グラキリス、ウィンゾリー、コミフォラは冬季に14℃以下にならないよう注意)。休眠中とはいえ、屋外と同様の環境づくりをしてあげることは植物栽培にとって重要なこと。室内で管理すると自ずと日照と風が不足がちになるため、これを補うために植物育成LEDライトとサーキュレーターの使用をおすすめします。 【それぞれの使用方法はこちらの記事にて】植物育成LEDライトサーキュレーター植物育成LEDライトを導入しない場合は、陽の当たる場所で管理してください。ただし、オトンナ・カカリオイデスは休眠中に夏の直射日光を浴びるとストレスになるため、レースのカーテン越しなどの遮光した環境下で管理します。また、陽当たりが悪い、あるいは屋外管理が難しい場合は、植物育成LEDライトとサーキュレーターを用いることにより、4商品とも1年を通じて室内栽培することは可能です。 休眠期の水やり 4商品とも休眠期は水やりを基本的には休止しますが、細根を生かして休眠明けの立ち上がりを良くするために、週一回程度、土表面が湿るくらいの水はあげてください。この時、グラキリス、ウィンゾリー、ピュアカタフは昼に、オトンナ・カカリオイデスは夜に、いずれもボディーに極力水がかからないように注意しながら与えます。また、成長期と休眠期の間は、急激に水やりを再開したり、やめたりするのではなく、間隔、水量ともに徐々に増減を行うようにしてください。 関さんおすすめのグッズ gadintzki plantsは園芸関係のグッズも取り揃えています。今後も、グローブ、スコップ、ジョウロなどを増やしていく予定なので、商品の在庫状況は店にお問い合わせください。 鉢 左奥:磁器製(黒)受皿付き3号鉢 2,310円(税込) 右手前:陶器製(濃藍)受皿付き3.5号鉢 3,300円(税込) 鉢もメーカー量産鉢から数量限定の作家鉢まで、多数取り揃えています。写真の鉢は、ミニマルな感じの色彩とフォルムが植物を絶妙に引き立てるのでおすすめです。ウィンゾリーの稚苗を合わせてみましたが、オトンナ・カカリオイデスにも似合うと思います。 オリジナル多肉植物用土 容量:2L 価格:715円(税込) 赤玉土と鹿沼土をベースにした完全に関さんオリジナルブレンドの多肉専用土。関さん配合の用土は筆者も旧店時代から愛用しており、筆者宅の全ての多肉植物の成長に欠かせない最高品質の用土。用土をふるいにかけて、細粒や粉末化した土を除去する“ミジン抜き”をしていないので、通気性速乾性を確保しながらも、細根が細かい土をしっかりと捕まえて栄養を吸収できるため、活着も早く塊根の幹も肥大化が促進されます。まさにここでしか購入できないプロの知識と経験が詰まった土です。 関さんの土を使ったグラキリス。細根が細粒を捕まえてギッシリと生えている様子が分かる。 関さんに聞きました gadintzki plantsオープンに至る経緯 以前から観葉植物と塊根植物を主体としたお店をやりたいと考えていた関さん。そんな折、先代のお父様が引退し、また店も老朽化が著しかったため、これを契機にと心機一転の独立。夢を実現すべく、この自由が丘エリアは九品仏の地を選び、新たな店の準備が始動したのは昨年2023年の夏。 九品仏は日頃、自由が丘でお酒を飲んでいる関さんにとっては庭みたいなもので、なおかつ、周辺地域には切花を扱う園芸店は数店舗あるものの、観葉植物や塊根植物などの専門的な植物を扱う店がないことも、この地を選んだ理由です。こうして入念なリサーチをした結果、2024年に入り現物件に出会ったわけですが、物件の状態は居住仕様だったため、店舗仕様へと自身で大幅なリノベーションを敢行することになるのです。 この状態から自身の手で全てを築くことを決意。真の男は夢の実現のためには自ら泥に塗れることをいとわない。 写真提供:gadintzki plants 本人曰く「必要最小限の金で最良のものを作りたかった。」とのことですが、その行動力と実現力の源は、自分が選んだ最高の植物を地域の皆様へという情熱が彼を突き動かすのだと思います。 gadintzki plantsがオープンするまでのエピソード 作業を進めるうえで、どうしてもその道のプロの知識と経験がなければ先に進めない部分も出てきます。スタイロ(断熱材)剥がしがまさにそれでしたが、専門業者に任せきりにせず、関さん自ら率先して作業に参加しました。 スタイロ剥がしは関さん自身もかなり汗をかいた難作業だった。 写真提供:gadintzki plants フロア中心を飾る自作のモルタル台は自慢の逸品。 写真提供:gadintzki plants 入店してまず目線が向かうここに店の看板商品となるものを配置するわけですが、考えが柔軟な関さんは、この台を植物だけに限らず、自分がよいと思ったアイテムや、要望があれば、ポップアップストアの展示台としても活用していく予定です。 関さんの目指すもの 「gadintzki plantsで販売している観葉植物や多肉植物の多くは、庭のガーデニングに用いる植物というよりは、どちらかといえば室内でインテリアグリーンの一つとして楽しむもの。まずは地域の方々に、型どおりのインテリアグリーンだけではなく、ちょっとほかでは見られない塊根植物などのビザールプランツ(珍奇植物)を用いた、インドアグリーンの新たな楽しみ方を提案し、この地域にプランツマニア(植物好き)をどんどん増殖させ、店が皆の情報発信地になれば嬉しいですね。その結果として店を拡大できればいうことないですね。」と関さんは語ります。でも、人との繋がりを大切にしたい関さん的には、買う買わない関係なく、単に店を休憩所と思って気軽に遊びに来てほしい、のだそう。そんな思いが自然に人を引き寄せるのか、取材中も近所の奥様が「これ植え替えして!」とフランクにお願いしにきたり、店の奥でポップアップストアを展開する古着屋さんの友達が集ったりと、この地で育む人間関係を次の未来に生かしたいという、関さんの新たな世界地図が広がっています。 関ヨシカズという人の人柄、園芸への愛と見識をもってすれば、gadintzki plantsの未来、すなわち関さんが目標として掲げている店舗の拡大は遠からず実現するものと確信しています。そんな愛と夢がつまった珠玉の植物たちを、ぜひ散歩ついでに見にきませんか? gadintzki plantsへのアクセス 東京都世田谷区奥沢7丁目18-1ハドル自由が丘101東急大井町線九品仏駅から徒歩1分 東急東横線/大井町線自由が丘駅から徒歩8分OPEN 11時〜19時(場合によっては20時) お店周辺のおすすめスポット gadintzki plantsの周辺には、関さんお気に入りのお店やパワースポットなど、つい寄り道してみたくなっちゃう場所が盛りだくさん! その中から関さん特にお気に入りのスポットを紹介します。 Comme’N TOKYO(コム・ン トウキョウ) gadintzki plantsから徒歩30秒もかからないご近所のパン屋さんComme’N TOKYOは関さんのお気に入り。 美味いですからぜひ、とすすめられていざ行ってみたら、なんとお店のオーナーシェフ大澤秀一氏はパンの世界大会で日本人初の総合優勝に輝いた“世界一”のパン職人だというではありませんか! 関さん曰く普段は結構並ぶのだそうですが、この日は奇跡的にすぐに入店できたので、早速お店一番人気という「生ハムとカマンベール」(写真下)を購入してみました。 かぶりついた瞬間にバゲットの香ばしさと、もっちりとした食感が心地よく、直後に具材の塩味と旨味が絶妙な調和を楽しませてくれるという、一見スタンダードな組み合わせでここまで感動するパンを作るとは、驚きです。出た答えはこれ一つです。「並んででも食べるべき。」 お店の場所 東京都世田谷区奥沢7-18-5 1F自由が丘駅徒歩10分 九品仏駅徒歩1分年中無休7:00〜18:00URL : https://commen.jp 九品仏浄真寺 Comme’N TOKYOの前の交差点を渡ったらすぐに参道の入り口がある九品仏浄真寺(くほんぶつじょうしんじ)は浄土宗の寺で、開山は今から346年前というから驚きです。本堂まで大人の足で6分かかる参道は、絶好のお散歩コースです。参道を抜け緑豊かな境内に入ると、東京都が天然記念物に指定している巨大なイチョウをはじめとした緑の競演に、都心の住宅街にこんな場所が!? と驚かせてくれます。その奥にある3つのお堂には、それぞれ都が有形文化財に指定している阿弥陀如来像が3体ずつ安置されていて、合計9体の像が"九品往生"という人の品性を顕していることから、この地が「九品仏」という地名になったといわれています。地元のみならず全国から参拝者が来る名刹、関さんのところでお買い物がてら、ぜひ立ち寄ってみては? お寺の場所 東京都世田谷区奥沢7丁目41-3Tel:03-3701-2029 (9:00~16:00)開門時間 6:00~16:30URL:https://kuhombutsu.jp 編集後記 初めて店(旧店)で買い物した2017年から数えれば知己を得て7年になりますが、その間私の園芸知識(特に多肉植物)の向上には関さんの存在は欠かせないものでした。もちろんこれからも。彼の話す情報やアドバイスは、一般的な園芸店や専門家から聞くそれとは異なり、いささか型破りなところがあり、そして常に直球。彼の園芸トークの中には方便がなく、本質を見据えた辛辣な言葉が時折ギターソロのように放り込まれ、そこにシンパシーを感じた私は、縁あってこのガーデンストーリーで関さんをフューチャーした連載記事「街の園芸店がお悩み相談」を書かせていただくことになりました。そして回を重ねるごとに本編でも記述したように、もっと彼の見識が活きる場があるのではないか、という思いが強くなって行ったのです。そこで今回の船出を聞き、正直嬉しかったですね。新たな大海で、まさに水を得た魚のように激しく泳ぎ回ることでしょう。そんな彼の活躍を、今後もガーデンストーリーは追っていきたいと思います。関さん、Godspeed!




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